(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スタックの中にある複数のプレートであって、前記スタックは、熱を放出または吸収する単位操作を行う少なくとも1つのプロセス層、および前記少なくとも1つのプロセス層と熱を交換する少なくとも1つの熱交換層を含み、前記プロセス層は平行に整列した複数のプロセスマイクロチャネルを含み、各プレートは30から250cmの範囲の長さ、15から90cmの範囲の幅、及び0.8から25mmの範囲の厚さを有し、各プレートは周縁部を有し、各プレートの前記周縁部は隣接する次のプレートの前記周縁部に溶接されて前記スタックを結合し、前記スタックに外周封止部を提供し、前記溶接は溶け込み溶接であり、各溶接部の平均溶け込みは0.25から10mmであり、隣接するプレートの間の前記溶接部の前記平均溶け込みに対する隣接するプレートのそれぞれの平均表面積の比は少なくとも100cm2/mmである複数のプレートを含む、装置。
前記プロセス層は前記プロセスマイクロチャネルに流入する実質的に一様な反応体の分布を提供するように構成される複数の内部マニホールドおよび/または前記プロセスマイクロチャネルから流出する実質的に一様な生成物の分布を提供するように構成される複数の内部マニホールドを含む、請求項1または請求項2に記載の装置。
前記プロセス層は、反応体層と、前記反応体層と隣接して配置されている生成物層と、前記反応体層および生成物層の一端に配置されて前記反応体層から前記生成物層への流体の流れを可能にするプロセス折り返し部とを含み、前記プロセス層は、1つ以上の反応体が反応して生成物を形成し、前記1つ以上の反応体は前記反応体層に流入し、触媒と接触し、反応して生成物を形成し、前記生成物は前記生成物層から流出する反応に用いられるように構成される、請求項1または請求項2に記載の装置。
前記熱交換層は、燃料層と、前記燃料層と隣接して配置された空気層と、前記燃料層と前記空気層との間に配置された熱交換壁と、前記熱交換壁の中の複数の開口であって前記空気層から前記開口を通って前記燃料層に入る空気の流れを可能にする複数の開口と、前記燃料層の中に配置された燃焼触媒と、排気層と、前記燃料層の一端および前記排気層の一端に配置されて前記燃料層から前記排気層への流体の流れを可能にする熱交換折り返し部とを含み、前記熱交換層は、燃料が前記燃料層の中を流れ、空気が前記空気層から前記熱交換壁の中の前記開口を通って前記燃料層に流入して前記燃料と混合して燃料−空気混合物を形成し、前記燃料−空気混合物は前記燃焼触媒と接触して流れて燃焼反応を起こして熱および排気ガスを生じ、前記熱は前記プロセス層に熱を供給し、前記排気ガスは前記排気層を通って前記熱交換層から流出することを可能にするように構成される、請求項1または請求項2に記載の装置。
前記熱交換層は燃料層を含み、前記燃料層は複数の燃料マイクロチャネルと、前記燃料マイクロチャネルに流入する実質的に一様な燃料の分布を提供するように構成される複数の内部マニホールドとを含む、請求項1または請求項2に記載の装置。
前記熱交換層は空気層を含み、前記空気層は複数の空気マイクロチャネルと、前記空気マイクロチャネルに流入する実質的に一様な空気の分布を提供するように構成される複数の内部マニホールドとを含む、請求項1または請求項2に記載の装置。
前記プロセス層および/または前記熱交換層の中に触媒が存在し、前記触媒は1つ以上のプレートに、前記プレートを溶接して前記スタックを形成する前にエクスサイチュ塗布される、請求項1または請求項2に記載の装置。
前記プロセス層および/または熱交換層の中のプレートは表面を含み、前記表面のすべてではなく一部はその上に触媒、腐食防止層および/または固着防止層、および/またはメタルダスト抵抗層を有する、請求項1または請求項2に記載の装置。
1つ以上のプレートがその上に表面保護層を有し、前記表面保護層は2つまたは3つの層を含み、各層は異なる組成の材料を含む、請求項1または請求項2に記載の装置。
前記スタックは格納容器の中に配置され、前記スタックは大気圧より高い内圧で運転されるようになっており、前記格納容器は大気圧より高い内圧で運転され、前記スタックの外側の表面への圧力の印加を提供するようになっており、前記格納容器は、前記格納容器内の圧力を前記スタック内の前記内圧と少なくとも同じ高さに維持する制御機構を備えている、請求項1に記載の装置。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ロウ付けまたは拡散接合を用いて層間に連続的な金属界面を設けて作られたマイクロチャネルプロセス装置の問題点は、解体および刷新に直ちに対応することができないことである。刷新は通常、触媒被覆物ならびに他の被覆物、例えば保護障壁被覆物、固着防止被覆物、耐メタルダスティングである被覆物、腐食抑制被覆物および類似物の交換が含まれる。従って、これらのプロセス装置は、長期にわたって使用するとき通常は交換する必要がある。マイクロチャネルプロセス装置は費用が高くなる可能性があり、長期にわたって使用するときに交換する必要があるのでは多くの利用分野において工業的に受け入れられない。本発明はこの問題への解決策を提供する。
【0005】
本発明は、マイクロチャネルプロセス装置のためのコアアセンブリとして用いることができる装置に関する。装置は、スタックの中にあり少なくとも1つのプロセス層および少なくとも1つの熱交換層を定める複数のプレートを含むとよく、各プレートは周縁部を有し、各プレートの周縁部は隣接する次のプレートの周縁部に溶接されてスタックに外周封止部を提供し、ミリメートル(mm)で表した隣接するプレートの間の溶接部の平均溶け込みに対する平方センチメートル(cm
2)で表した隣接するプレートのそれぞれの平均表面積の比は、少なくとも約100cm
2/mm、または約100から約100,000、または約100から約50,000、または約100から約30,000、または約100から約20,000、または約100から約10,000、または約100から約5000、または約100から約2000、または約100から約1800、または約100から約1600cm
2/mmの範囲である。溶接部溶け込みに対するプレート表面積の比がこれらの範囲にある周縁部溶接を用いる比較的大きなマイクロチャネルプロセス装置を用いて成功を収めることができるであろうとは予測されなかったので、これらの比には意味がある。
【0006】
本発明は、スタックの中にあり少なくとも1つのプロセス層および少なくとも1つの熱交換層を定める複数のプレートであって、各プレートは周縁部を有し、各プレートの周縁部は隣接する次のプレートの周縁部に溶接されてスタックに外周封止部を提供し、プロセス層は水蒸気メタン改質触媒を含み、熱交換層は燃焼触媒を含む複数のプレートを含む装置に関する。
【0007】
一実施態様において、スタックは格納容器の中に配置されてよく、スタックは大気圧より高い内圧で運転されるようになっており、格納容器は大気圧より高い内圧で運転されてスタックの外表面に圧力を加えるようになっており、格納容器は少なくともスタック内の内圧と同じ高さの格納容器内の圧力を維持する制御機構を備えている。制御機構は逆止弁および/または圧力調整器を含んでよい。一実施態様において、プロセス層の中で反応体気体を用いてよく、格納容器の中で封じ込め気体を用いてよく、制御機構は封じ込め気体によって提供される圧力が低下したときにプロセス気体を格納容器の中に振り分ける配管系統を備えている。
【0008】
一実施態様において、スタックの外側に外部構造体が取り付けられてスタックに構造支持を提供してよい。
【0009】
一実施態様において、スタックのそれぞれの側に末端プレートが取り付けられてスタックに構造支持を提供してよい。
【0010】
一実施態様において、プロセス層は単位操作を行うための少なくとも1つのプロセスマイクロチャネルを含んでよく、熱交換層は熱交換流体を含む少なくとも1つのチャネルを含んでよく、熱交換流体はプロセス層に加熱または冷却を提供する。
【0011】
一実施態様において、プロセス層はプレートの中に形成された複数のプロセスマイクロチャネルを含んでよく、装置は同じプレートの中で1つのプロセスマイクロチャネルから別のプロセスマイクロチャネルへの流体の流れを妨げる内部溶着部を備えている。
【0012】
一実施態様において、熱交換層はプレートの中に形成された複数の熱交換チャネルを含んでよく、装置は同じプレートの中で1つの熱交換チャネルから別の熱交換チャネルへの流体の流れを妨げる内部溶着部を備えている。
【0013】
一実施態様において、各プレートの周縁部は溶接材料を用いて溶接されてよく、プレートは金属または金属合金で作られ、溶接材料は金属または金属合金で作られる。一実施態様において、プレートと溶接材料とは同じ金属または金属合金で作られていてよい。一実施態様において、金属合金はニッケル、クロム、コバルト、モリブデンおよびアルミニウムを含んでよい。
【0014】
一実施態様において、各プレートの周縁部はレーザーを用いて隣接する次のプレートの周縁部に溶接されてよい。
【0015】
プレートは少なくとも約200平方センチメートル(cm
2)、または約200から約48000cm
2、または約200から約30,000、または約200から約15000、または約1000から約5000、または約1500から約2500、または約2000cm
2の表面積を有してよい。プレートの「表面積」という用語はプレートの全長にプレートの全幅を乗じた積を指す。従って、たとえば75cmの全長と30cmの全幅とを有するプレートは2250cm
2の表面積を有する。
【0016】
隣接するプレートの間の溶接部の平均溶け込みは最大約10ミリメートル(mm)、または約0.25から約10mm、または約0.25から約8mm、または約0.25から約6.5mm、または約0.25から約5mm、または約0.5から約3mm、または約0.75から約3mm、または約1から約2mm、または約1から約1.5mm、または約1.27mmであってよい。用語「溶接部の平均溶け込み」は2つの隣接するプレートの周縁部に溶接材料をあてがったときに2つの隣接するプレートの間の隙間に溶接材料が溶け込む平均深さを指す。
図22にこれが例示されている。
図22においては2つの隣接するプレートの周縁部に溶接部があてがわれ、プレートの間の隙間に溶接部が溶け込む(「溶接部溶け込み」)。
【0017】
装置は1つまたは複数のプロセス層、たとえば1から約1000、または1から約100、または1から約50、または1から約30、または約2から約30、または約4から約30、または約8から約24、または約16のプロセス層と、1つまたは複数の熱交換層、たとえば1から約1000、または1から約100、または1から約50、または1から約30、または約2から約30、または約4から約36、または約8から約24、または約16の熱交換層とを設けるのに十分な数のプレートを含んでよい。プレートは水平に整列させて上下に積層してもよく、垂直に整列させて横に並べて配置してもよく、あるいは水平に対してある角度で整列させてもよい。プロセス層と熱交換層とは、プロセス層が熱交換層と隣接し、熱交換層が今度は別のプロセス層と隣接し、別のプロセス層が今度は別の熱交換層と隣接する、等と交互配列で整列させてよい。あるいは、2つ以上のプロセス層および/または2つ以上の熱交換層を互いに隣接させて配置してもよい。
【0018】
装置は1つまたは複数の繰り返し単位を含んでよく、各繰り返し単位は同じであり、それぞれが1つ以上のプロセス層と1つ以上の熱交換層とを含む。たとえば、繰り返し単位は1から約10、または1から約5、または1から約3、または約2のプロセス層と、1から約10、または1から約5、または1から約3、または約2の熱交換層とを含んでよい。繰り返し単位は水平に整列させて上下に積層してもよく、垂直に整列させて横に並べて配置してもよく、あるいは水平に対してある角度で整列させてもよい。各繰り返し単位内でプロセス層と熱交換層とは、プロセス層が熱交換層と隣接し、熱交換層が今度は別のプロセス層と隣接し、別のプロセス層が今度は別の熱交換層と隣接する、等と交互配列で整列させてよい。あるいは、2つ以上のプロセス層および/または2つ以上の熱交換層を互いに隣接させて配置してもよい。プレートのスタックは任意の数の繰り返し単位、たとえば1から約1000、または1から約500、または1から約100、または1から約50、または1から約20、または1から約10の繰り返し単位を含んでよい。
【0019】
装置は、スタックに溶接されてプロセス層の中への流体の流れを提供する入口プロセスマニホールド、スタックに溶接されてプロセス層から出る流体の流れを提供する出口プロセスマニホールド、スタックに溶接されて熱交換層の中への流体の流れを提供する少なくとも1つの入口熱交換マニホールド、および熱交換層から出る流体の流れを提供する熱交換出口をさらに含んでよい。熱交換出口は、スタックの末端に溶接され、熱交換層からの排気ガスの流れを提供するようになっている排気出口を含んでよい。
【0020】
上記に示されているように、コアアセンブリと呼んでもよいスタックは、運転時の圧力に耐えるために、格納容器の中に配置されるかまたはコアアセンブリの周りに機械的補強材を配置させてよい。スタックは大気圧より高い内圧、たとえば最大約15MPa、または最大約12MPa、または最大約10MPa、または最大約7MPa、または最大約5MPa、または最大約3MPa、あるいは約0.1から約15MPaの範囲、または約0.1から約12MPaの範囲、または約0.1から約10MPaの範囲、または約0.1から約7MPaの範囲、または約0.1から約5MPaの範囲、または約0.1から約3MPaの範囲、あるいは約0.2から約10MPaの範囲、または約0.2から約5MPaの範囲のゲージ圧において運転されるようになっていてよい。スタック内の内圧はプロセス層の中のプロセス活動および/または熱交換層の中の熱交換活動によって発生してよい。プロセス層の中の第1の圧力における第1の単位操作と、熱交換層の中の第2の圧力における熱交換プロセスとを動作させた結果として、スタック内に2つ以上の内圧があってよい。たとえば、プロセス層の中の高圧反応、たとえばSMR反応と熱交換層の中の比較的低い圧力の反応、たとえば燃焼反応との結果として比較的高い圧力が生じてよい。プロセス層の中の内圧と熱交換層の中の内圧との間の圧力差は最大約10MPa、または約0.1から約10MPa、または約0.2から約5MPaの範囲であってよい。格納容器も大気圧より高い内圧、たとえば最大約10MPa、または最大約7MPa、または最大約5MPa、または最大約4MPa、または最大約3.5MPa、または最大約3MPa、あるいは約0.1から約10MPaの範囲、または約0.1から約7MPaの範囲、または約0.1から約5MPaの範囲、または約0.1から約3MPaの範囲のゲージ圧で運転されるようになっていてよい。格納容器内の内圧は封じ込め気体を用いて維持してよい。封じ込め気体は窒素のような不活性気体であってよい。格納容器内の内圧を用いてスタックの外表面に対して圧力を加え、それによってスタックに構造支持を提供してよい。上記に示されているように、格納容器は少なくともスタック内の内圧と同じ高さのレベルの格納容器内の圧力を維持する制御機構を備えていてよい。このようにすれば、スタックの外側に加わる圧力はスタック内の内圧と少なくとも同じであるかまたは超えることもできる。封じ込め気体によって提供される構造支持のおかげでスタックに構造支持を提供するためのクランプ、外部補強材、外部支持および類似物の使用を避けることができる。クランプ、外部補強材、外部支持、および類似物は刷新が望ましいとき費用を増加させ、かつ問題を生じることがある。
【0021】
上記に示されているように、格納容器内の圧力を維持するための制御機構は逆止弁および/または圧力調整器を含んでよい。これらの一方または両方をパイプ、バルブ、コントローラおよび類似物の系統と組み合わせて用いて、格納容器内の圧力を少なくともスタック内の内圧と同じ高さのレベルに確実に維持するようにしてよい。これは、スタックを封止するために用いられる周縁溶接部を保護するためもあって行われる。格納容器内の圧力が顕著に低下し、これに対応するスタック内の内圧の低下が伴わないと、費用の高い周縁溶接部の破裂につながる可能性があろう。制御機構は封じ込め気体によって加えられる圧力が低下したときに格納容器の中に1つ以上のプロセス気体を振り分けることを可能にする配管系統を備えていてよい。
【0022】
上記に示されているように、外部構造体を含んでよい構造支持体をスタックの外側に取り付けてスタックに構造支持を提供してよい。外部構造体は、スタックの末端プレートの主な外表面と密着して保持された(たとえば溶接によって)補強部材のマレイを含んでよい。マレイの部材の剛性は部材が積層方向(すなわちプレートの面と直交する方向)の曲げに抵抗するようにすればよい。あるいは、側面または末端の破裂を最小限にするようにプレートの面に追加された剛性部材があってもよい。
図32にスタックに構造支持を提供するための外部構造体の使用が例示されている。
【0023】
上記に示されているように、スタックの各側面に取り付けるかまたは溶接した比較的厚い末端プレートを用いることによって構造支持を提供してよい。比較的厚い末端プレートは約1センチメートル以上の厚さを有してよく、反応器に所望される設計温度および圧力に加えスタックの断面積にももとづいてサイズを設定してよい。運転時の内圧を維持するために比較的厚い末端プレートを有する一実施態様において、末端プレートの溶接部溶け込みはスタックの中の内部プレートで用いられる溶接部溶け込みより大きくてよい。したがって、末端プレートの溶接部溶け込みは約0.75mmより大きく、または約1.5mmより大きく、または約2mmより大きく、または約3mmより大きく、または約5mmより大きく、または約7mmより大きく、または約10mmより大きくてよい。
【0024】
装置は、プロセス層の中で少なくとも1つの単位操作を行うのに適したものであってよい。単位操作は、化学反応、蒸発、圧縮、化学分離、蒸留、凝縮、混合、加熱、冷却、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。
【0025】
化学反応はメタノール合成反応、ジメチルエーテル合成反応、アンモニア合成反応、水性ガスシフト反応、アセチル化付加反応、アルキル化、脱アルキル、水素化脱アルキル、還元アルキル化、アミノ化、芳香族化、アリール化、自己熱改質、カルボニル化、脱カルボニル、還元カルボニル化、カルボキシル化、還元カルボキシル化、還元カップリング、縮合、クラッキング、水素化クラッキング、環化、環状オリゴマ化、脱ハロゲン、二量化、エポキシ化、エステル化、フィッシャー・トロプシュ反応、ハロゲン化、水素化ハロゲン化、ホモログ化、水和、脱水、水素化、脱水素、水素化カルボキシル化、ヒドロホルミル化、水素化分解、ハイドロメタレーション、ヒドロシリル化、加水分解、水素化処理、異性化、メチル化、脱メチル、メタセシス、ニトロ化、酸化、部分酸化、重合、還元、改質、逆水性ガスシフト、スルホン化、テロメル化、エステル交換、三量体化、サバチエ反応、二酸化炭素改質、優先酸化、部分酸化、または優先メタン化反応を含んでよい。化学反応は水蒸気メタン改質(SMR:steam methane reforming)反応を含んでよい。化学反応はエチレン、スチレン、ホルムアルデヒドおよび/またはブタジエンを作るためのプロセスを含んでよい。
【0026】
プロセス層は平行に整列した複数のプロセスマイクロチャネルを含んでよい。各プロセスマイクロチャネルは触媒を含有する反応ゾーンを含んでよい。プロセス層はプロセスマイクロチャネルに流入する反応体の実質的に一様な分布を提供するようになっている複数の内部マニホールドを含んでよい。プロセス層はさらに、プロセスマイクロチャネルから流出する生成物の実質的に一様な分布を提供するようになっている複数の内部マニホールドを含んでよい。プロセスマイクロチャネルは表面構成要素および/または毛管構成要素を含んでよい。
【0027】
プロセス層は反応体層、生成物層、ならびに反応体層および生成物層の一端に配置されて反応体層から生成物層への流体の流れを可能にするプロセス折り返し部を含んでよい。反応体層は生成物層に隣接させて配置してよい。プロセス層は1つ以上の反応体が反応して生成物を形成する反応において用いられるようになっていてよく、1つ以上の反応体は反応体層に流入し、触媒と接触し、反応して生成物を形成し、生成物は生成物層から流出する。
【0028】
熱交換層は平行に整列した複数の熱交換チャネルを含んでよい。熱交換チャネルを用いてプロセス層に加熱または冷却を提供してよい。熱交換チャネルはマイクロチャネルを含んでよい。熱交換チャネルは表面構成要素および/または毛管構成要素を含んでよい。熱交換層は熱交換チャネルに入る、熱交換チャネルを通る、および熱交換チャネルから出る熱交換流体の流れを提供するようになっていてよい。熱交換流体は液体、気体、またはそれらの混合物を含んでよい。熱交換層は熱交換層の中で燃焼反応、あるいは他の酸化反応または発熱反応、たとえば部分酸化反応および類似反応を行うようになっていてよい。
【0029】
熱交換層は燃料層、燃料層に隣接して配置された空気層、燃料層と空気層との間に配置された熱交換壁、空気層から燃料層に入る空気の流れを可能にする熱交換壁の中の複数の開口またはジェット、燃料層の中に配置された燃焼触媒、排気層、ならびに燃料層の末端および排気層の末端に配置されて燃料層から排気層への排気の流れを可能にする熱交換折り返し部を含んでよい。熱交換層は燃料が燃料層の中を流れ、空気が空気層から熱交換壁の中の開口を通って燃料層に流入して燃料と一緒になって燃料−空気混合物を形成し、燃料−空気混合物が流れて燃焼触媒と接触し燃焼反応を提供して熱および排気ガスを生じ、熱はプロセス層に熱を提供し、排気ガスは排気層を通って熱交換層から流出することを可能にするようになっていてよい。燃料層は複数の燃料マイクロチャネルと、燃料マイクロチャネルに流入する実質的に一様な燃料の分布を提供するようになっている複数の内部マニホールドとを含んでよい。空気層は複数の空気マイクロチャネルと、空気マイクロチャネルに流入する実質的に一様な空気の分布を提供するようになっている複数の内部マニホールドとを含んでよい。燃料層および/または空気層は表面構成要素および/または毛管構成要素を含んでよい。
【0030】
装置は水蒸気メタン改質反応器を含んでよく、プロセス層は水蒸気メタン改質触媒を含み、熱交換層は燃焼触媒を含む。水蒸気メタン改質触媒はロジウムおよびアルミナ担体を含んでよい。燃焼触媒は白金、パラジウムおよびアルミナ担体を含んでよく、アルミナ担体はランタンを含浸される。
【0031】
装置はプロセス層および/または熱交換層の中に触媒を含んでよく、触媒は1つ以上のプレートにエクスサイチュで塗布され、塗布はこれらのプレートを溶接してスタックを形成する前に行う。
【0032】
装置は腐食防止層および/または固着防止層を有する1つ以上のプレートを含んでよく、腐食防止層および/または固着防止層はそのようなプレートの1つ以上の表面にある。
【0033】
装置はメタルダスト抵抗層を有する1つ以上のプレートを含んでよく、メタルダスト抵抗層はそのようなプレートの1つ以上の表面にある。
【0034】
一実施態様において、プレートの1つ以上がその上に1つ以上の表面保護層を有する。一実施態様において、表面保護層は2つまたは3つの層を含み、各層は異なる組成の材料を含む。一実施態様において、表面保護層は3つの層を含み、第1の層は銅を含み、第2の層はアルミニウム含有金属合金を含み、第3の層は金属合金を含む。一実施態様において、表面保護層には触媒を接着させる。
【0035】
本発明は上記の装置を形成するためのプロセスに関する。プロセスは、プレートのスタックを形成するステップ、および各プレートの周縁部を隣接する次のプレートの周縁部に溶接して外周封止部を提供するステップを含む。
【0036】
本発明は上記の装置を刷新するプロセスに関する。プロセスは、プレートの周縁部から溶着部を除去するステップ、プレートを分離するステップ、プレートの欠陥を修正するステップ、プレートのスタックを再形成するステップ、および各プレートの周縁部を隣接する次のプレートの周縁部に溶接してスタックに新しい外周封止部を提供するステップを含む。本発明は、上記の刷新プロセスによって形成された刷新された装置に関する。この刷新プロセスは装置の耐用年数の間に任意の所望の回数、たとえば1回から約20回、または1回から約15回、または1回から約10回、または1回から約5回、または1回から約2回もしくは3回もしくは4回繰り返してよい。装置が1つ以上の触媒を含むとき、触媒はプレートのスタックを再形成する前に交換し、および/または再生してよい。プレートの1つ以上の表面に1つ以上の触媒が接着しているとき、触媒はグリットブラスト法によって除去してよい。1つ以上のプレートが損傷したアルミナスケールを含むとき、アルミナスケールは熱処理によって補充してよい。刷新時に1つ以上のプレートを交換してよく、したがって刷新後の装置は異なる製造日付を有する1つ以上のプレートを含んでよい。刷新時に1つ以上のプレートを交換した結果、刷新された装置では1つ以上のプレートが以前に用いられていた元のプレートの組と異なってよい。交換プレートには、刷新のために最初の溶接の組が除去されたときの元のスタックからの金属損失に合わせて元のプレートより若干小さな断面が必要となるであろう。刷新後に得られる新しいスタックは刷新サイクル毎に断面が若干小さくなってよい。各刷新サイクル時に除去される外周金属の量は約0.1mmから約10mm、または約0.5から約2mmの範囲になるであろうと予測される。各刷新サイクル時に失われる外周金属の量は最小限にすることが好ましい。
【0037】
周縁溶接部は装置の刷新を容易にするために比較的薄くしてよい。たとえば平均溶接部溶け込みは最大約10mm、または約0.25から約10mm、または約0.25から約8mm、または約0.5から約6.5mm、または約0.5から約5mm、または約0.5から約3mm、または約0.75から約2mm、または約0.75から約1.5mm、または約0.05インチ(1.27mm)であってよい。各プレートは各プレートの活動区域(たとえばプロセスマイクロチャネル、熱交換チャネル等)を囲んでいる境界部を有してよい。
図21にこれが例示されている。刷新時にたとえば溶着部および境界部を機械加工することによって周縁溶接部と境界部の一部とを除去してよい。従って、溶接部が薄くなるほど各刷新時の境界材料の損失が少なくなる。たとえば各溶接部の平均溶け込みが0.05インチ(1.27mm)、各プレートの各境界部が0.5インチ(12.7mm)の幅を有するなら、各プレートは廃棄される前に10回刷新することができるであろう。多数回の刷新が可能になればマイクロチャネルプロセス装置の耐用年数が顕著に長くなり、それによってその全体コストが低くなるのでこれは重要である。
【0038】
本発明は上記の装置を用いて単位操作を行うためのプロセスに関する。プロセスは、プロセス層の中で単位操作を行うステップおよびプロセス層と熱交換層との間で熱を交換するステップを含む。
【0039】
本発明は、上記の装置を用いて化学反応を行うためのプロセスに関する。プロセスはプロセス層の中で化学反応を行うステップ、およびプロセス層と熱交換層との間で熱を交換するステップを含む。
【0040】
本発明は上記の装置を用いて水蒸気メタン改質反応を行うためのプロセスに関する。プロセスは、プロセス層の中で触媒の存在下で水蒸気をメタンまたは天然ガスと反応させて合成ガスを形成するステップ、および熱交換層の中で燃焼反応を行ってプロセス層に熱を供給するステップを含む。
【0041】
水蒸気メタン改質反応を実行するための一実施態様において、プロセス層の中のメタンまたは天然ガスの流れは1秒あたり約10から約200メートルの範囲の空塔速度であり、水蒸気メタン改質反応に関する平衡到達は少なくとも約80%であり、装置の中の圧力降下あたりの反応熱は約2から約20W/Paの範囲である。
【0042】
水蒸気メタン改質反応を実行するための一実施態様において、水蒸気メタン改質反応のための接触時間は最大約25msであり、水蒸気メタン改質反応に関する平衡到達は少なくとも約80%であり、装置の中の圧力降下あたりの反応熱は約2から約20W/Paの範囲である。一実施態様において、単位接触時間あたりの反応熱は少なくとも約20W/msである。一実施態様において、装置の中の圧力降下あたりの反応熱は約2から約20W/Paの範囲である。
【0043】
本発明の装置の中で水蒸気メタン改質反応を実行するための一実施態様において、水蒸気メタン改質反応はプレートの表面にメタルダスティングの孔が形成することなく少なくとも約2000時間実行してよい。一実施態様において、水蒸気メタン改質反応は少なくとも約2000時間実行し、少なくとも約2000時間反応を実行した後のプロセス層の圧力降下はプロセスの開始時における圧力降下の約20%未満増加する。
【0044】
一実施態様において、プロセス層および/または熱交換層の中のプレートは、表面のすべてはないが一部が表面に接着された触媒、腐食防止層および/または固着防止層、および/またはメタルダスト抵抗層を有する表面を含んでよい。装置は新しく構築された装置または刷新された装置であってよい。上記の触媒、腐食防止層および/または固着防止層、および/またはメタルダスト抵抗層は、プレート全体が覆われているであろう連続層と比較して、不連続層の形であると言ってもよい。そのような不連続層の塗布はエクスサイチュ被覆法および下記で考察されるマスク式塗布技法を用いて実現可能である。
【0045】
添付の図面において同様の部品および構成要素には同じ符号を付ける。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書および請求項に開示されているすべての範囲および比の限界値はどのように組み合わせてもよい。特に断らない限り、「a」、「an」および/または「the」への参照は1つ以上を含んでよく、単数形の品目への参照は複数形の品目も含んでよいと理解するべきである。請求項において指定されるすべての組み合わせはどのように組み合わせてもよい。
【0048】
用語「マイクロチャネル」は高さまたは幅の内部寸法の少なくとも1つが最大約10ミリメートル(mm)、または最大約5mm、または最大約2mmであるチャネルを指す。マイクロチャネルは高さ、幅および長さを有すればよい。高さと幅との両方がマイクロチャネルの中の流体の流れのバルク流方向に垂直であってよい。マイクロチャネルは少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を含んでよく、少なくとも1つの入口は少なくとも1つの出口と異なる。マイクロチャネルはオリフィスだけでなくてもよい。マイクロチャネルは、ゼオライトまたはメソ多孔質材料を通るチャネルだけでなくてもよい。マイクロチャネルの長さは高さまたは幅の少なくとも約2倍、または高さまたは幅の少なくとも約5倍、または高さまたは幅の少なくとも約10倍であってよい。高さまたは幅はマイクロチャネルの対向する内壁の間の隙間と言ってもよい。マイクロチャネルの内部の高さまたは幅は約0.05から約10mm、または約0.05から約5mm、または約0.05から約2mm、または約0.1から約2mm、または約0.5から約2mm、または約0.5から約1.5mm、または約0.08から約1.2mmの範囲であってよい。他方の高さまたは幅の内部寸法は任意の寸法、たとえば最大約10センチメートル(cm)、または約0.1から約10cm、または約0.5から約10cm、または約0.5から約5cmであってよい。マイクロチャネルの長さは任意の寸法、たとえば最大約250cm、または約5から約250cm、または約10から約100cm、または約10から約75cm、または約10から約60cmであってよい。マイクロチャネルは任意の形、たとえば正方形、長方形、円形、半円形、台形等を有する断面を有してよい。マイクロチャネルの断面の形状および/またはサイズはその長さにわたって変化してよい。たとえば高さまたは幅は比較的大きな寸法から比較的小さな寸法へ、または逆向きに、マイクロチャネルの長さにわたってテーパー形となっていてよい。
【0049】
用語「プロセスマイクロチャネル」はプロセスが行われるマイクロチャネルを指す。プロセスは任意の単位操作を含んでよい。プロセスは化学反応、たとえば水蒸気メタン改質(SMR)反応を含んでよい。反応はエチレン、スチレン、ホルムアルデヒド、ブタジエンおよび類似物を製造するためのプロセスを含んでよい。反応は部分酸化反応を含んでよい。
【0050】
用語「マイクロチャネルプロセス装置」はプロセスが行われてよい1つ以上のプロセスマイクロチャネルを含む装置を指す。プロセスは1つ以上の流体が処理される単位操作を含んでよい。プロセスはSMR反応などの化学反応を含んでよい。
【0051】
用語「マイクロチャネル反応器」は反応プロセスが行われる1つ以上のプロセスマイクロチャネルを含む装置を指す。プロセスはSMRプロセスなどの任意の化学反応を含んでよい。2つ以上のプロセスマイクロチャネルを用いるとき、プロセスマイクロチャネルは並列で運転してよい。マイクロチャネル反応器は1つ以上のプロセスマイクロチャネルに入る反応体の流れを提供するためのマニホールドと、1つ以上のプロセスマイクロチャネルから出る生成物の流れを提供するマニホールとを備えていてよい。マイクロチャネル反応器はこれらの1つ以上のプロセスマイクロチャネルと隣接している、および/または熱接触している1つ以上の熱交換チャネルをさらに含んでよい。熱交換チャネルはプロセスマイクロチャネルの中の流体に加熱および/または冷却を提供してよい。熱交換チャネルはマイクロチャネルであってよい。マイクロチャネル反応器は熱交換チャネルに入る熱交換流体の流れを提供するためのマニホールドと、熱交換チャネルから出る熱交換流体の流れを提供するマニホールドとを備えていてよい。マイクロチャネル反応器は熱交換チャネルの中で燃焼反応が行われるとき排気マニホールドおよび排気出口も備えていてよい。
【0052】
用語「溶接」は融合を引き起こすことによって材料、通常は金属または熱可塑性樹脂を結合させる製造プロセスを指す。これは加工材料を溶融させ、および/または充填材料を加え、溶融材料のプール(溶接プール)を形成させることによって実行してよい。この溶融材料のプールは、冷却すると強い継ぎ目となり、圧力を用いて、ときには熱を加え、あるいはそのままで溶接部を形成する。
【0053】
用語「ロウ付け」は充填材料がその融点より高温に加熱され、密着して合せた2つ以上の部品の間に毛管作用によって分配される金属結合プロセスを指す。充填金属は適当な雰囲気、通常はフラックスによって保護されながら融点より若干高温にされる。充填金属は基材金属の上に流れ(濡れとして知られる)、冷却されて加工材料を一緒に結合する。
【0054】
用語「拡散接合」は金属部品が力を加えられて一緒に保持され、真空炉の中で加熱され、各部品からの原子を他の部品へ拡散させるプロセスを指す。ロウ付けと異なり、充填材合金は用いない。
【0055】
用語「接触時間」は、流れが横切り、反応触媒を含む反応器の開放体積を標準状態で計算されたプロセス入口流の流量で除した商を指す。反応体セクション接触時間は、触媒を含有する第1の流路を含むデバイスの反応器セクション内のチャネルの中のプロセス流の全体積と、反応体チャネルと熱接触し同じ軸方向位置によって定められる付随する生成物チャネルの体積とを、標準状態で計算されたプロセス気体のチャネルあたりの全入口流量で除した商を指す。触媒チャネルだけの接触時間は、プロセス触媒を含む反応体チャネルの中だけのプロセス流のチャネルの中の全体積を標準状態で計算されたプロセス気体のチャネルあたりの全入口流量で除した商を指す。反応器コア接触時間は、回収熱交換セクションおよび反応器セクションを含む反応器の中のチャネル回路のチャネルあたりの全流れ体積を標準状態で計算されたプロセス気体のチャネルあたりの全入口流量で除した商を指す。
【0056】
用語「十分に一様な流れ」は、3本以上のチャネルを有するデバイスの性能が同等なチャネル設計(長さ、幅、高さおよび触媒位置)の単一チャネルデバイスの性能の95%以内にあるという点で、完璧ではないが流れの非一様さの量がプロセス性能を実質的に低下させない流れの分布を指す。
【0057】
マイクロチャネル内の体積に関する用語「体積」は、流体が貫流するかまたは側流することができるマイクロチャネルの中のすべての体積を含む。この体積は、マイクロチャネルの中に配置され、貫流方式または側流方式の流体の流れに対応することができる表面構成要素内の体積を含んでよい。
【0058】
1つのチャネルの位置を別のチャネルの位置に対して指すときの用語「隣接する」は、単数または複数の壁が2つのチャネルを隔てるように直接隣接することを意味する。2つのチャネルは共通の壁を有してよい。共通の壁は厚さが変化してよい。しかし、「隣接する」チャネルはこれらのチャネルの間の熱伝達と干渉する介在チャネルによって隔てられていない。1つのチャネルはチャネルの一部にわたって別のチャネルと隣接してよい。
【0059】
用語「熱接触」は、互いに物理接触していてもいなくてもよく、あるいは互いに隣接していてもいなくてもよいが、それでも互いに熱を交換する2つの実体、たとえば2つのチャネルを指す。別の実体と熱接触している1つの実体は相手の実体を加熱するかまたは冷却してもよい。
【0060】
用語「流体」は気体、液体、気体と液体との混合物、あるいは分散した固体、液滴および/または気泡を含有する気体または液体を指す。液滴および/または泡は不規則形状または規則形状であってよく、同様なサイズまたは異なるサイズであってよい。
【0061】
用語「気体」および「蒸気」は同じ意味を有し、区別なく用いてよい。
【0062】
用語「滞留時間」または「平均滞留時間」は、チャネル内の空間の、この空間の中を流れる流体が占有する内部体積を、この空間の中を流れる流体の用いられている平均温度および圧力における平均体積流量で除した商を指す。
【0063】
用語「表面構成要素」は、チャネル内の流れを撹乱するチャネル壁の凹みまたは突起および/またはチャネル内部構造を指す。
【0064】
用語「毛管構成要素」は、流れが層流型であるときにはチャネル内の流れを撹乱しないチャネル壁の凹みまたは突起および/またはチャネル内部構造を指す。たとえば、毛管構成要素は流れの方向に実質的に垂直である壁の凹みであってよい。毛管構成要素は斜交平行模様であってもよく、あるいは粗面処理によって作り出されるもののような他の不規則形状であってもよい。一般に、毛管構成要素の中で流れは実質的に停滞してよく、この停滞流領域は、反応体が拡散して毛管構成要素に隣接する高速移動流の中に戻る前に触媒と接触し続けるための安全な避難所を作り出すことによって反応速度促進を可能にすることができる。
【0065】
用語「バルク流方向」は、流体がチャネルの中の開放経路の中を移動することができる方向のベクトルを指す。
【0066】
用語「バルク流領域」は、チャネル(たとえばプロセスマイクロチャネル)の中の開放区域を指す。連続的なバルク流領域は顕著な圧力降下なくチャネルを通る迅速な流体の流れを可能にすることができる。一実施態様において、バルク流領域の中の流れは層流であってよい。バルク流領域はマイクロチャネルの内部体積および/または断面積の少なくとも約5%、一実施態様においては約5%から約100%、一実施態様においては約5%から約99%、一実施態様においては約5%から約95%、一実施態様においては約5%から約90%、一実施態様においてはマイクロチャネルの内部体積および/または断面積の約30%から約80%を含んでよい。
【0067】
チャネル(たとえばプロセスマイクロチャネル)の用語「断面積」は、チャネルの中の流体のバルク流の方向に垂直に測定された面積を指し、存在してよい任意の表面構成要素を含むチャネル内のすべての面積を含んでよいが、チャネル壁を含まない。長さに沿って湾曲するチャネルの場合、断面積は、長さに平行でありチャネルの(面積での)中央にある線に沿って選ばれた点におけるバルク流の方向に垂直に測定してよい。高さおよび幅の寸法は1つのチャネル内壁から反対側のチャネル内壁まで測定してよい。これらの寸法は表面構成要素、表面粗さおよび類似物が原因となって生じる変化を考慮した平均値であってよい。
【0068】
用語「プロセス流体」は、反応体、生成物、希釈剤、および/またはプロセスマイクロチャネルに入り、流入および/または流出する他の流体を指す。
【0069】
用語「反応体」は、化学反応において用いられる反応体を指す。SMR反応の場合、反応体は水蒸気およびメタンを含んでよい。燃焼反応の場合、反応体は燃料(たとえば水素、炭化水素たとえばメタン等)および酸素源たとえば空気を含んでよい。
【0070】
用語「反応ゾーン」は化学反応が起こる、すなわち少なくとも1つの化学種の化学変換が起こるマイクロチャネル内の空間を指す。反応ゾーンは1つ以上の触媒を含んでよい。
【0071】
用語「熱交換チャネル」は熱を放出し、および/または熱を吸収する熱交換流体を中に有するチャネルを指す。熱交換チャネルは、隣接するチャネル(たとえばプロセスマイクロチャネル)、および/または熱交換チャネルと熱接触している1つ以上のチャネルから熱を吸収するかまたは熱を放出してよい。熱交換チャネルは、互いに隣接しているが熱交換チャネルとは隣接していないチャネルから熱を吸収するかまたは熱を放出してよい。一実施態様において、1つ、2つ、3つまたはそれ以上のチャネルが互いに隣接し、2つの熱交換チャネルの間に配置されてよい。
【0072】
用語「熱伝達壁」は、プロセスマイクロチャネルと、隣接する熱交換チャネルとの間の共通の壁を指し、熱は共通の壁を通って一方のチャネルから他方に移動する。
【0073】
用語「熱交換流体」は熱を放出および/または熱を吸収することができる流体を指す。
【0074】
用語「反応体の変換」はマイクロチャネル反応器に流入する流体とマイクロチャネル反応器から流出する流体との間の反応体モル数変化をマイクロチャネル反応器に流入する流体の中の反応体のモル数で除した商を指す。
【0075】
用語「mm」はミリメートルを指せばよい。用語「nm」はナノメートルを指せばよい。用語「ms」はミリ秒を指せばよい。用語「μs」はマイクロ秒を指せばよい。用語「μm」はミクロンまたはマイクロメートルを指せばよい。用語「ミクロン」と用語「マイクロメートル」とは同じ意味を有し、区別なく用いてよい。用語「m/s」は1秒あたりメートルを指せばよい。用語「kg」はキログラムを指す。特に断らない限り、すべての圧力は絶対圧で表される。
【0076】
本発明の装置は1つ以上のプロセス層および1つ以上の熱交換層を含んでよい。装置を用いて任意の単位操作を行ってよい。単位操作は装置のプロセス層の中で行ってよく、熱交換層によって加熱または冷却を提供してよい。2つ以上のプロセス層および2つ以上の熱交換層を用いるとき、それらを交互配列で整列させてもよく、あるいは2つ以上のプロセス層および/または2つ以上の熱交換層を互いに隣接させて配置してもよい。
【0077】
1つ以上のプロセス層の中で行なわれてよい単位操作は化学反応、蒸発、圧縮、化学分離、蒸留、凝縮、混合、加熱、冷却、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。
【0078】
化学反応は任意の化学反応を含んでよい。化学反応は、メタノール合成反応、ジメチルエーテル合成反応、アンモニア合成反応、水性ガスシフト反応、アセチル化付加反応、アルキル化、脱アルキル、水素化脱アルキル、還元アルキル化、アミノ化、芳香族化、アリール化、自己熱改質、カルボニル化、脱カルボニル、還元カルボニル化、カルボキシル化、還元カルボキシル化、還元カップリング、縮合、クラッキング、水素化クラッキング、環化、環状オリゴマ化、脱ハロゲン、二量化、エポキシ化、エステル化、フィッシャー・トロプシュ反応、ハロゲン化、水素化ハロゲン化、ホモログ化、水和、脱水、水素化、脱水素、ヒドロカルボキシル化、ヒドロホルミル化、水素化分解、ヒドロメタル化、ヒドロシリル化、加水分解、水素化処理、異性化、メチル化、脱メチル、メタセシス、ニトロ化、酸化、部分酸化、重合、還元、改質、逆水性ガスシフト、スルホン化、テロメル化、エステル交換、三量体化、サバチエ反応、二酸化炭素改質、部分酸化、優先酸化、または優先メタン化反応を含んでよい。化学反応はSMR反応を含んでよい。化学反応はエチレン、スチレン、ホルムアルデヒド、ブタジエンおよび類似物を製造するための化学反応を含んでよい。
【0079】
図面を参照する。最初に
図1から
図4を参照する。本発明の装置はプレートのスタック100を含んでよい。スタック100はマイクロチャネルプロセス装置のためのコアアセンブリとして用いることができる。スタック100は互いに隣接するかまたは互いに熱接触して配置されている1つ以上のプロセス層と1つ以上の熱交換層とを含んでよい。スタック100はたとえば1から約1,000、または1から約500、または1から約200、または1から約100、または1から約50、または1から約30、または1から約20のプロセス層と、これらのプロセス層と隣接しているかまたは熱接触している対応する熱交換層とを含んでよい。スタック100はプレートの周縁部によって形成される側面101、102、103および104を備えてよい。側面101、102、103および104のそれぞれにある各プレートの周縁部は隣接する次のプレートの周縁部に溶接されてよい。このようにして、スタック100は溶接部によって形成される外周封止部を側面101、102、103および104のそれぞれに含んでよい。溶接部はスタック100に構造一体性を提供するためにも用いてよい。
【0080】
スタック100はプレートを垂直に整列させて横に並べて配置してプロセス流体および熱交換流体の流れを促進してもよい。あるいは、スタック100は水平に配向するかまたは水平に対してある角度で配向するプレートを提供するように整列させてもよい。スタック100はその側面にマニホールド150、160、170および180を溶接してよい。これらのマニホールドはスタック100に入る反応体、スタック100から出る生成物、ならびにスタックに入る熱交換流体およびスタックから出る熱交換流体の流れを提供するために用いてよい。熱交換層の中で燃焼反応が行われるときに2つのマニホールドを用いてスタック100の中への燃料および空気の流れを提供してよい。熱交換層の中で燃焼反応が行われる場合、スタック100の上面に排気を取り出すための排気出口190も溶接してよい。
【0081】
マニホールド150、160、170および180を側面に溶接し、上端に排気出口190を溶接したスタック100はマイクロチャネルプロセス装置192と言ってもよい。
図4および5を参照すると、マイクロチャネルプロセス装置192は格納容器193の中に配置してよい。格納容器193は上部ヘッド194、格納セクション195、支持脚部196、封じ込め気体入口197、温度制御ポート198、および格納セクション195の底にある液抜きポート(図面には示されていない)を備えていてよい。入口パイプおよび出口パイプ151、161、171および181が対応するマニホールド150、160、170および180から延在し、上部ヘッド194を通って突き出ている。同様に、排気出口開口191が排気出口190から上部ヘッド194を通って延在している。格納容器193はその内部におよび/またはその外部表面に適切な断熱材を備えていてよく、所望の最終用途に構造一体性を提供することができる任意の材料を用いて構築してよい。これらの材料は鋼(たとえばステンレス鋼、炭素鋼および類似物)、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、前述の金属のいずれかを含有する合金、モネル、インコネル、真鍮、ポリマー(たとえば熱硬化性樹脂)、セラミック、ガラス、1つ以上のポリマー(たとえば熱硬化性樹脂)とガラス繊維とを含む複合材料、石英、シリコン、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。格納容器は炭素鋼で構築してよく、260℃において450psig(3.10MPa)の定格であってよい。格納容器193の外径(OD)は意図された目的に合わせた任意の所望の寸法であってよい。たとえば、SMR反応器の場合、格納容器のODは約30インチ(76.2cm)、または約32インチ(81.3cm)、または約36インチ(91.4cm)であってよい。格納容器の高さは約24から約200インチ(約61から約508cm)、または約48から約72インチ(約122から約183cm)、または約60インチ(約152cm)であってよい。
【0082】
格納容器は格納容器内の圧力を少なくともスタック内の内圧と同じ高さのレベルに維持する制御機構を備えていてよい。格納容器内の圧力を維持するための制御機構は逆止弁および/または圧力調整器を含んでよい。逆止弁または調整器は格納容器のための任意の所望の内圧、たとえば約400psig(2.76MPa)で起動するようにプログラムしてよい。これらの一方または両方は、格納容器の中の圧力を少なくともスタック内の内圧と同じ高さのレベルに維持することを確実にするように、パイプ、バルブ、コントローラおよび類似物の系統と組み合わせて用いてよい。これは、スタックを封止するために用いられている周縁溶接部を保護するためにも行われる。格納容器内の圧力が顕著に減少し、スタック内の内圧が対応して減少しないと、費用の高い周縁溶接部の破裂につながる可能性があろう。制御機構は、閉じ込め気体によって加えられている圧力が減少した場合に1つ以上のプロセス気体を格納容器の中に振り分けることが可能になるように設計してよい。
【0083】
代りの一実施態様において、外部構造体を用いてスタック100に構造支持を提供してよい。
図32にこれが示されている。外部構造体はスタックの末端プレートの主な外表面と密着して保持されている補強部材のアレイを含んでよい。アレイの部材の剛性は部材が積層方向(すなわちスタックの面に直交する方向)の屈曲に抵抗するようにすればよい。外部構造体はスタックに溶接してよい。あるいは、外部構造体はロウ付け、接着または他の手段によってスタックに取り付けてよい。
【0084】
外部構造体がある場合、溶接された補強部材は、曲げ応力に抵抗する剛性の増加を提供するように、長い方の側が負荷の加わる方向と平行になるように配向した長方形の断面を有するようにしてもよい。これによってより薄いプレートを用いることが可能になり、同等な負荷を支えるために必要な材料の重量および費用を低減することができる。
【0085】
外部構造体はクランプより優れていることがある。クランプは、特にボルトで適所に固定するかまたは簡易離脱機構で作れば、外部構造体より容易に取り外すことができる。外部構造体は取り外すために通常は切断または研削が必要である。締結ネジを有する厚いプレートを有するクランプを用いることができる。しかし、これらのクランプ用のプレートは曲げ応力に十分強い必要があろう。この方向の負荷を締結ネジにはかけられないからである。締結ネジはプレートに作用する圧力によって生み出される力が原因となる引張り応力全体に対して十分強い必要があろう。他方、外部構造体はどちらの場合にもプレートに追加の支持を提供する。
【0086】
スタック100は1つまたは複数の繰り返し単位を含んでよく、各繰り返し単位は同じであり、それぞれが1つ以上のプロセス層と1つ以上の熱交換層とを含む。たとえば繰り返し単位は1から約100、または1から約20、または1から約10、または1から約5、または1から約3、または約2のプロセス層と、1から約100、または1から約20、または1から約10、または1から約5、または1から約3、または約2の熱交換層とを含んでよい。繰り返し単位は水平に整列させて上下に積層してもよく、垂直に整列させて横に並べて配置してもよく、あるいは水平に対してある角度で整列させてもよい。各繰り返し単位内でプロセス層と熱交換層とは、プロセス層が熱交換層と隣接し、熱交換層が今度は別のプロセス層と隣接し、別のプロセス層が今度は別の熱交換層と隣接する、等と交互配列で整列させてよい。あるいは、2つ以上のプロセス層および/または2つ以上の熱交換層を互いに隣接させて配置してよい。
【0087】
図6を参照すると、スタック100がSMR反応の実行に用いられるようになっているとき、プロセス層は、反応体層、生成物層、および反応体層から生成物層への流体の流れを可能にするように反応体層および生成物層の末端に配置されたプロセス折り返し部を含んでよい。反応体層は生成物層と隣接させて配置してよい。プロセス層の中で、反応体は触媒と接触し、反応して生成物を形成してよく、生成物は次に生成物層から流出する。熱交換層は、燃料層、燃料層と隣接して配置された空気層、燃料層と空気層との間に配置された熱交換壁、空気層から燃料層の中への空気の流れを可能にする熱交換壁の中の複数の開口またはジェット、燃料層の中に配置された燃焼触媒、排気層、および燃料層から排気層への排気の流れを可能にする燃料層の末端および排出層の末端に配置された熱交換折り返し部を含んでよい。
【0088】
スタック100がSMR反応器として用いられるようになっているとき、
図7および8に示されている繰り返し単位110を用いてスタックを構築してよい。
図7に示されているように、繰り返し単位110は互いに隣接して配置された2つの熱交換層、およびこれらの熱交換層のそれぞれの側に配置されたSMRプロセス層を含む。繰り返し単位110は10枚のプレートを含む。これらのプレートは説明のために互いに離れているように
図8に示されているが、実際に用いられるときプレートは互いに接触することになる。各プレートの周縁部は隣接する次のプレートの周縁部に溶接されてスタックに周縁部シールを提供してよい。繰り返し単位110はプレート200、210、220、230、240、250、260、270、280および290を含む。各プレートのそれぞれの側はその表面に形成されたマイクロチャネル、内部マニホールド、毛管構成要素および/または表面構成要素を含んでよく、各プレートはプレートを貫いて突き出し、2つのSMRプロセス層および2つの燃焼層の機能を提供する空気開口またはジェット、および/または折り返し部、あるいは開口またはスロットを含んでよい。プレートのそれぞれはワイヤー放電機械加工、従来型機械加工、レーザー切削、光化学機械加工、電気化学機械加工、スタンピング、エッチング(たとえば化学エッチング、光化学エッチングまたはプラズマエッチング)、およびそれらの組み合わせを含む公知の技法を用いて作製してよい。
【0089】
プレート200、210、220、230、240、250、260、270、280および290の配置に関する以下の考察においては、
図8に示されているように各プレートの上面および下面を参照するが、上記に示されているように、プレート200、210、220、230、240、250、260、270、280および290は、スタック100の中に配置され、SMR反応に用いられるときには、
図8に示されているように水平に整列させるのではなく垂直に整列させてよい。
【0090】
図8を参照すると、プレート200は上面201および下面202を有する。プレート210は上面211および下面212を有する。プレート220は上面221および下面222を有する。プレート230は上面231および下面232を有する。プレート240は上面241および下面242を有する。プレート250は上面251および下面252を有する。プレート260は上面261および下面262を有する。プレート270は上面271および下面272を有する。プレート280は上面281および下面282を有する。プレート290は上面291および下面292を有する。運転時、矢印310および311によって示されているように右から左へ(
図8に例示されているように)SMR反応からの生成物が流れる。SMRプロセスのための反応体は矢印300および301によって示されているように左から右へ流れる。矢印320および321によって示されている方向に左から右へ燃料が流れる。矢印330および331によって示されている方向に左から右へ空気が流れる。それぞれの場合に、空気層と熱交換層とを隔てている壁は、空気が空気層から燃料層の中に流れ、燃料と一緒になって燃料−空気混合物を形成し、次に燃焼を行うことを可能にする開口またはジェット332または333を含んでいる。矢印340および341によって示されるように右から左へ燃焼反応からの排気が流れる。SMR反応を触媒するためにSMR触媒層350、351、352および353が提供されている。燃焼反応を触媒するために燃焼触媒層360および361が提供されている。
【0091】
繰り返し単位110に均一なまたは平らな側面ならびに均一なまたは平らな上面および下面を提供するためにプレート200、210、220、230、240、250、260、270、280および290は共通の長さおよび幅を有してよい。各プレートの長さはたとえば約30から約250センチメートルの範囲、または約45から約150センチメートル、または約29インチ(73.66cm)であってよい。各プレートの幅は約15から約90cmの範囲、または約20から約40cm、または約10.74インチ(27.28cm)であってよい。各プレートの高さまたは厚さは同じであっても異なっていてもよいが、製造を簡易にするために各プレートが同じ高さまたは厚さを有すると有利である。各プレートの高さまたは厚さは約0.8から約25mmの範囲、または約1.5から約10mm、または約0.125インチ(3.175mm)であってよい。繰り返し単位110の全体高さは約0.1から約5インチ(約0.254から約12.7cm)、または約0.5から約3インチ(約1.27から約7.62cm)、または約0.75から約2.5インチ(約1.91から約6.35cm)、または約1から約1.5インチ(約2.54から約3.81cm)、または約1.25インチ(3.175cm)であってよい。スタック100の全体高さは約1から約50インチ(約2.54から約127cm)、または約3から約24インチ(約7.62から約60.96cm)、または約7から約15インチ(約17.78から約38.1cm)、または約10.125インチ(25.72cm)であってよい。1つを例外として、プレート200、210、220、230、240、250、260、270、280および290のそれぞれはプレート表面に形成されたマイクロチャネル、内部マニホールド、毛管構成要素および/または表面構成要素、および/またはプレートを貫いて突き出して反応体、生成物、燃料、空気および排気の流れを提供する開口またはジェットあるいは折り返し部開口またはスロットを有する。この1つの例外はプレート200の上面201である。プレート200はスタック100のための末端プレートとして用いてよいという事実により、上面201にはなにもない。以下の考察において、使用用語「空気」、「空気層」、「空気チャネル」および類似用語は燃焼層の中で行なわれる燃焼反応の成分としての空気を指すために用いられる。しかし、下記に示されているように、燃焼反応は、空気に代るものとして酸素源、たとえば純酸素、酸素富化空気、または酸素と不活性気体とを含む気体混合物を使用してよい。従って、本発明の装置の構造に関して空気層、空気チャネルおよび類似物が参照されたとき、前記の選択肢のいずれが空気の代わりになってもよいと理解するべきである。
【0092】
各マイクロチャネルの深さは約0.05から約10mm、または約0.05から約5mm、または約0.05から約2mm、または約0.1から約2mm、または約0.5から約2mm、または約0.5から約1.5mm、または約0.08から約1.2mmの範囲であってよい。各マイクロチャネルの幅は最大約10cm、または約0.1から約10cm、または約0.5から約10cm、または約0.5から約5cmであってよい。
【0093】
内部マニホールドを用いてマイクロチャネルに入るかまたはマイクロチャネルから出る質量流の一様な分布を提供することができる。各内部マニホールドを用いて約2から約1000のマイクロチャネル、または2から約100のマイクロチャネル、または約2から約50のマイクロチャネル、あるいは約2から約10、または2から約6、または約4のマイクロチャネルに入るかまたはこれらから出る流体の流れを提供することができる。各マニホールドの深さは、マニホールドに接続されているマイクロチャネルの深さに対応してよい。各マニホールドの幅は、マイクロチャネルに入るかまたはマイクロチャネルから出るときに所望の流れ抵抗を提供するために、マニホールドに接続されているマイクロチャネルの合計幅、あるいは合計幅の約1から約99パーセント、または約1から約90パーセントに対応してよい。マイクロチャネルの間の質量流の分布の一様さは、下式に示されている品質指標因子(Q因子)によって定めることができる。0%のQ因子は絶対一様分布を意味する。
【0095】
上式において、「m」は質量流を指す。断面積が変化すると壁におけるせん断応力に差異が生じることがある。一実施態様において、本発明のマイクロチャネルプロセス装置についてのQ因子は約50%未満、または約20%未満、または約5%未満、または約1%未満であってよい。
【0096】
表面構成要素および/または毛管構成要素はプレート表面の1つ以上にある凹みおよび/またはプレート表面の1つ以上からの突起を含んでよい。表面構成要素は円、球、半球、フラストラム(frustrums)、長円、正方形、長方形、四辺形、格子、V字形、羽根、翼、波形、および類似物の形であってよい。上述の2つ以上の組み合わせを用いてよい。表面構成要素は部分構成要素を含んでよい。この場合、表面構成要素の主壁はより小さな表面構成要素をさらに含み、より小さな表面構成要素は切れ目、波、歯、孔、ギザギザ、格子、スカラップおよび類似物の形であってよい。表面構成要素は受動表面構成要素または受動混合要素と呼んでよい。表面構成要素を用いて流れを撹乱し(たとえば層流の流線を撹乱し)、バルク流方向に対してある角度の移流を生み出すことができる。各表面構成要素の深さまたは高さは約0.05から約5mm、または約0.1から約5mm、または約0.1から約3mm、または約0.1から約2mm、または約0.4から約2mm、または約0.5から約1.5mm、または約0.08から約1.2mmの範囲であってよい。
【0097】
熱交換層において、空気チャネルを燃料チャネルから隔てているプレートは空気チャネルから燃料チャネルへの空気の流れを可能にする開口またはジェット332または333を備えていてよい。これらの開口またはジェットは約0.1から約10mmの範囲、または約0.1から約5mm、または約0.1から約2.5mm、または約0.25から約1.25mm、または約0.25から約0.75mm、または約0.015インチ(0.381mm)の平均直径を有してよい。流れ分布を制御し、空気チャネルの中への炎の拡散を防ぐために、複数の開口またはジェット、たとえば約2から約5、または2から約4、または約3の開口またはジェットをそれぞれの位置において平行に設けてよい。あるいは、ジェットは反応チャネルの長さの方向または横方向にずらしてもよい。用いられてよい開口またはジェットの数は1cm
2あたり約0.1から約12の範囲の開口またはジェット、または1cm
2あたり約0.1から約5の開口またはジェットとすればよい。
【0098】
複数のプレートが1つのプレート表面から別のプレート表面への流体の流れを可能にする折り返し部開口またはスロットを備えている。各折り返し部開口またはスロットの隙間または幅は約0.25から約5mmの範囲、または約0.5から約2.5mm、または約0.04インチ(1.02mm)であってよい。
【0099】
各プレートは、その側面のそれぞれにある周縁部および各周縁部と隣接する境界部を有する。各境界部は約1から約100mm、または約1から約75mm、または約5から約50mm、または約10から約30mmの範囲の厚さを有してよい。
【0100】
プレート200、210、220、230、240、250、260、270、280および290は所望の最終用途のために意図される温度および圧力において動作する構造一体性のために必要な特性を有する任意の金属または金属合金で構築してよい。金属および金属合金は鋼(たとえばステンレス鋼、炭素鋼および類似物)、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、前述の金属のいずれかを含有する合金、モネル、インコネル、真鍮、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。下記に記載されているインコネル617を用いてよい。
【0101】
図9〜18にプレート200、210、220、230、240、250、260、270、280および290のそれぞれの上面および下面がそれぞれ例示されている。
図9を参照すると、プレート200はなにもない上面201を有する。これは、この表面がスタック100のための末端プレートの外側の面として用いられるという事実による。下面202は矢印310によって示されるスタック100から出るSMR反応からの生成物の流れを提供するために用いることができる内部マニホールド203を備えている。プレート200のそれぞれの側、すなわちプレートの表面201および202は境界部208を有する。プレート200はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部209を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき各周縁部209に溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部209を超えて溶け込み、少なくともプレート200の表面202で境界部208の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部209から除去してよく、結果として境界部208の一部も除去してよい。
【0102】
図10にプレート210が例示されている。上面211は矢印310によって示される方向のSMR反応からの生成物の流れを提供するために用いることができるマイクロチャネル213および内部マニホールド213Aを備えている。マイクロチャネル213はプロセスマイクロチャネル213を通って流れる生成物の流れを撹乱するために用いることができる表面構成要素214を備えている。下面212は矢印300によって示される方向のSMR反応体の流れを提供するために用いることができるマイクロチャネル215および内部マニホールド216を備えている。マイクロチャネル215はSMR反応のための触媒がマイクロチャネルに塗布されている反応ゾーン217を備えている。メタンと水蒸気との混合物を含んでよい反応体が反応ゾーン217を通って流れ、触媒と接触し、反応して生成物を形成する。生成物は一酸化炭素と水素との混合物を含んでよい。プレート210はプロセスマイクロチャネル215からプロセスマイクロチャネル213への生成物の流れを提供する折り返し部開口217Aを備えている。プレート210のそれぞれの側、すなわちプレートの表面211および212は境界部218を有する。プレート210はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部219を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部219のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部219を超えて溶け込み、プレート210のそれぞれの側で境界部218の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部219から除去してよく、結果として境界部218の一部も除去してよい。
【0103】
図11にプレート220が例示されている。上面221はSMR触媒を塗布されたプロセスマイクロチャネル223と、SMR反応体の流れを再分配するためおよび/または塗布された触媒をチャネルの中に保持するための表面構成要素224とを備えている。下面222は燃焼触媒を塗布されたマイクロチャネル225と、燃料の流れを再分配するためおよび/または塗布された触媒をチャネルの中に保持するための表面構成要素または毛管表面構成要素226とを備えている。プレート220のそれぞれの側、すなわちプレートの表面221および222は境界部228を有する。プレート220はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部229を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部229のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部229を超えて溶け込み、プレート220のそれぞれの側で境界部228の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部229から除去してよく、結果として境界部228の一部も除去してよい。
【0104】
図12にプレート230が例示されている。上面231は矢印320によって示される方向の燃料の流れを提供するために用いられるマイクロチャネル233および内部マニホールド234を備えている。下面232は矢印330によって示される方向の空気の流れを提供するために用いられるマイクロチャネル235および内部マニホールド236を備えている。プレートはマイクロチャネル235からプレートを貫いてマイクロチャネル233に入り、そこで燃料と一緒になって燃料−空気混合物を形成することができる空気の流れを提供する開口またはジェット332を備えている。プレート230はマイクロチャネル233からの排気の流れのための折り返し部を提供する開口またはスロット237を備えている。プレート230のそれぞれの側、すなわちプレートの表面231および232は境界部238を有する。プレート230はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部239を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部239のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部239を超えて溶け込み、プレート210のそれぞれの側で境界部238の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部239から除去してよく、結果として境界部238の一部も除去してよい。
【0105】
図13にプレート240が例示されている。上面241は矢印330によって示される方向の空気の流れを提供するために用いられる内部マニホールド243を備えている。上面241は空気の流れの再分配を提供する表面構成要素244も備えていてよい。下面242は矢印340によって示される方向の排気の流れを提供するために用いられるマイクロチャネル245を備えている。プレート240はプレート230のマイクロチャネル233からプレート250のマイクロチャネル253への排気の流れに折り返し部を提供する開口またはスロット246を備えている。プレート240のそれぞれの側、すなわちプレートの表面241および242は境界部248を有する。プレート240はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部249を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部249のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部249を超えて溶け込み、プレート240のそれぞれの側で境界部248の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部249から除去してよく、結果として境界部248の一部も除去してよい。
【0106】
図14にプレート250が例示されている。上面251は矢印340によって示される方向の排気の流れを提供するために用いられるマイクロチャネル253を備えている。下面252は矢印341によって示される方向の排気の流れを提供するために用いられるマイクロチャネル254を備えている。プレート250のそれぞれの側、すなわちプレートの表面251および252は境界部258を有する。プレート250はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部259を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部259のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部259を超えて溶け込み、プレート250のそれぞれの側で境界部258の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部259から除去してよく、結果として境界部258の一部も除去してよい。
【0107】
図15にプレート260が例示されている。上面261は矢印341によって示される方向の排気の流れを提供するために用いられるマイクロチャネル263を備えている。下面262は矢印331によって示される方向の空気の流れを提供するために用いられる内部マニホールド263を備えている。下面262は空気の流れの再分配を提供する表面構成要素265も備えている。プレート260はプレート280のマイクロチャネル283からプレート250のマイクロチャネル254への排気の流れに折り返し部を提供する開口またはスロット266を備えている。プレート260のそれぞれの側、すなわちプレートの表面261および262は境界部268を有する。プレート260はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部269を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部269のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部269を超えて溶け込み、プレート260のそれぞれの側で境界部268の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部269から除去してよく、結果として境界部268の一部も除去してよい。
【0108】
図16にプレート270が例示されている。上面271は矢印331によって示される方向の空気の流れを提供するために用いられるマイクロチャネル273および内部マニホールド274を備えている。下面272は矢印321によって示される方向の燃料の流れを提供するために用いられるマイクロチャネル275および内部マニホールド276を備えている。プレートはマイクロチャネル273からプレート270を貫いてマイクロチャネル275に入る空気の流れを提供する開口またはジェット333を備えている。空気はマイクロチャネル275の中で燃料と一緒になって燃料−空気混合物を形成することができる。プレート270はマイクロチャネル275からの排気の流れに折り返し部を提供する開口またはスロット277を備えている。プレート270のそれぞれの側、すなわちプレートの表面271および272は境界部278を有する。プレート270はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部279を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部279のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部279を超えて溶け込み、プレート270のそれぞれの側で境界部278の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部279から除去してよく、結果として境界278の一部も除去してよい。
【0109】
図17にプレート280が例示されている。上面281は燃焼触媒で被覆されたプロセスマイクロチャネル283および燃料の流れを再分配するための表面構成要素284を備えている。下面282はSMR触媒で被覆されたマイクロチャネル285およびSMR反応体の流れを再分配するための表面構成要素286を備えている。プレート280のそれぞれの側、すなわちプレートの表面281および282は境界部288を有する。プレート280はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部289を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部289のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部289を超えて溶け込み、プレート280のそれぞれの側で境界部288の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部289から除去してよく、結果として境界部288の一部も除去してよい。
【0110】
図18にプレート290が例示されている。上面291は矢印301によって示される方向のSMR反応体の流れを提供するために用いることができるマイクロチャネル293および内部マニホールド293Aを備えている。下面292は矢印311によって示される方向のSMR反応体の流れを提供するために用いることができるマイクロチャネル294および内部マニホールド295を備えている。マイクロチャネル294はプロセスマイクロチャネル294を通って流れる生成物の流れを撹乱するために用いることができる表面構成要素296を備えている。マイクロチャネル293はSMR反応のための触媒がマイクロチャネルに塗布されている反応ゾーン297を備えている。メタンと水蒸気との混合物を含んでよい反応体が反応ゾーン297を通って流れ、触媒と接触し、反応して生成物を形成する。生成物は一酸化炭素と水素との混合物を含んでよい。プレート290はプロセスマイクロチャネル297からプロセスマイクロチャネル294への生成物の流れを提供する折り返し部開口297Aを備えている。プレート290のそれぞれの側、すなわちプレートの表面291および292は境界部298を有する。プレート290はプレートの4つの側のそれぞれに周縁部299を備えている。スタック100または繰り返し単位110を形成するとき周縁部299のそれぞれに溶接材料があてがわれる。溶接材料があてがわれると通常それは周縁部299を超えて溶け込み、プレート290のそれぞれの側で境界部298の一部と接触する。刷新時、溶接材料はたとえば磨砕、研削および/または切削によって周縁部299から除去してよく、結果として境界298の一部も除去してよい。
【0111】
SMR触媒層350、351、352および/または353、および/または燃焼触媒層360および/または361はマイクロチャネルの内壁に直接ウォッシュコートしてもよく、または溶液から壁に成長させてもよい。触媒層はマスクを用いてマイクロチャネルの壁に選択的にスプレーして被覆物を所望の区域、例えば流れチャネル内だけに保ち、標的とする流路ではないプレート間の境界区域から実質的になくしてもよい。本発明の利点はプレートを積層する前に触媒層をプレートに塗布してよいことである。各触媒の断面積はマイクロチャネルの断面積の約1から約99%、または約10から約95%を占めてよい。触媒層はBETによって測定して約0.5m
2/gより大きな、または約2m
2/gより大きな表面積を有してよい。触媒は任意の表面積を有してよく、約10m
2/gから1000m
2/g、または約20m
2/gから約200m
2/gの範囲にあると特に有利である。
【0112】
触媒層は、界面層と、界面層の上に堆積させるかまたは界面層と混合した触媒材料とを含んでよい。マイクロチャネル表面と界面層との間に緩衝層を配置してよい。緩衝層はマイクロチャネル表面に成長させてもよく、または堆積させてもよい。緩衝層は界面層と異なる組成および/または密度を有してよい。緩衝層は金属酸化物または金属炭化物を含んでよい。緩衝層はAl
2O
3、TiO
2、SiO
2、ZrO
2、またはそれらの組み合わせを含んでよい。Al
2O
3はα−Al
2O
3、γ−Al
2O
3、またはそれらの組み合わせであってよい。緩衝層を用いてマイクロチャネルへの界面層の接着性を増加させてもよい。界面層は窒化物、炭化物、硫化物、ハロゲン化物、金属酸化物、炭素、またはそれらの組み合わせを含んでよい。界面層は、担持される触媒に高い表面積および/または触媒−担体相互作用を提供してよい。界面層は触媒担体として用いてよい任意の材料を含んでよい。界面層は金属酸化物を含んでよい。用いてよい金属酸化物の例はAl
2O
3、SiO
2、ZrO
2、TiO
2、酸化タングステン、酸化マグネシウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、ランタン系列酸化物(単数または複数)、ゼオライト(単数または複数)、およびそれらの組み合わせを含んでよい。界面層は、その上に別の触媒的に活性な材料をまったく堆積させずに触媒活性層として用いてよい。界面層は触媒的に活性な材料または層と組み合わせて用いてよい。界面層は2つ以上の組成的に異なる部分層で形成してもよい。界面層の厚さは約0.5から約100μm、または約1から約50μmの範囲であってよい。触媒材料は界面層の上に堆積してよい。あるいは、触媒材料は界面層と同時に堆積させてよい。触媒材料は界面層の上におよび/または界面層の中に密接に分散してよい。触媒材料が界面層「の上に分散」または「の上に堆積」してよいとは、微視的な触媒粒子が界面層の表面の上に、界面層の割れ目の中に、および/または界面層の開いた細孔の中に分散してよいという通常の理解を含む。
【0113】
あるいは、SMR触媒層350、351、352および/または353、および/または燃焼触媒層360および/または361はそれぞれが固体微粒子の固定床を含んでよい。中央値粒子直径は約1から約1000μm、または約10から約500μmの範囲であってよい。
【0114】
SMR触媒層350、351、352および/または353、および/または燃焼層360および361は触媒粒子を保持するための発泡体を含んでよい。触媒層は、グラファイト発泡体を含む被覆された発泡体、炭化ケイ素、金属(たとえばFe、Cr、AlおよびYを含む合金であるフェクラロイ(Fecralloy))、セラミック、および/または高熱伝導率被覆物のためのグラフェンの内部被覆物を含んでよい。
【0115】
SMR触媒および/または燃焼触媒は多孔質担持構造体、たとえば発泡体、フェルト、詰め物、またはそれらの組み合わせに担持してよい。用語「発泡体」は本明細書においては連続壁を有する構造体であって、連続壁が構造体の長さに沿ってまたは構造体全体にわたって配置されている細孔を備えている構造体を指すために用いる。細孔は連続壁の表面にあり、発泡構造体の壁に触媒材料(たとえば触媒金属粒子)を接着させるために用いてよい。用語「フェルト」は本明細書においては繊維の構造体であって繊維の間に隙間の空間を有する構造体を指すために用いる。用語「詰め物」は本明細書においてはスチールウールのような絡み合った糸の構造体を指すために用いる。触媒はモノリス、ハニカム構造体、1つ以上のフィンを含むフィン構造体または微細な溝を有する担体に担持してよい。
【0116】
SMR触媒層350、351、352および/または353、および/または燃焼層360および361は傾斜触媒を含んでよい。傾斜触媒は変化するターンオーバー速度の触媒活性部位を有してよい。傾斜触媒は反応経路に沿った距離または層の中の位置の関数として変化する物理的性質および/または形を有してよい。
【0117】
スタック100または繰り返し単位110はプレートを所望の順序で上下に積層することによって組み立てることができる。次にスタックを圧縮してプレート同士を接触させ、プレート同士の間の空隙を減らしてよい。圧縮はボルトアセンブリによって荷重を加える締め付け器具を用いて、またはスタックに荷重を加える外付けプレスを用いて加えてよい。次にプレートは各プレートの周縁部を隣接する次のプレートの周縁部に溶接することによって一緒に結合してよい。これはスタックの4つの側面のそれぞれにおいて行ってよい。このように、スタックに周縁部シールを提供してよい。締め付け器具または外付けプレスは溶接が完了した後に取り外すことができる。各溶接部の厚さは最大約10mm、または約0.25から約10mmの範囲、または約0.25から約8mmの範囲、または約0.25から約6.5mmの範囲、または約0.25から約5mm、または約0.5から約3mm、または約0.75から約3mm、または約1から約2mm、または約1から約1.5mm、または約1.27mmであってよい。できるだけ薄い溶接部を用いてできるだけ多くの回数の刷新を可能にすると有利である。溶接ワイヤーの形であってよい溶接材料は任意の金属または金属合金を含んでよい。溶接材料は鋼(たとえばステンレス鋼、炭素鋼および類似物)、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、前述の金属のいずれかを含有する合金、モネル、インコネル、真鍮、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。溶接材料とプレートとは同じ金属または金属合金、あるいは異なる金属または金属合金で作られてよい。プレートおよび溶接材料は下記で考察されるインコネル617を含んでよい。溶接技法はタングステン不活性気体溶接、金属不活性気体溶接、電子線溶接、レーザ溶接および類似方法を含んでよい。レーザ溶接が特に有利であってよい。
【0118】
この製造方法の利点は、拡散接合および/またはロウ付けに必要となる表面調製要件がなくてよいことである。高品質の拡散接合および/またはロウ付けのために表面は非常に清浄かつ平らでなければならない。ロウ付けおよび/または接合ステップがなくなると、拡散接合および/またはロウ付けに必要とされる組み立てられたスタックを高温に加熱することも必要なくなる。ロウ付けおよび/または接合のためにスタックを加熱および冷却するのに必要なエネルギーは、過度の歪みおよびその結果生じる変形を招くことなくスタックを接合またはロウ付けの間加熱および冷却するのに必要な時間に劣らずかなりのものであろう。本発明の製造方法では接合ステップおよび/またはロウ付けステップが用いられず、その結果マイクロチャネルプロセス装置はコストが低くなり、時間が短縮され、高い品質で製造することができる。
【0119】
マイクロチャネルプロセス装置はスタック100を加圧格納容器から取り出し、溶接されたマニホールドをスタックから取り外すことによって刷新することができる。次に、スタック100は、プレートの周縁部から溶接材料を除去するステップ、プレート同士を分離するステップ、プレートの不具合を修正するステップ、プレートのスタックを再形成するステップ、および各プレートの周縁部を隣接する次のプレートの周縁部に溶接してスタックに新しい外周封止部を設けるステップによって刷新することができる。溶接材料は磨砕などの任意の従来技法を用いて除去してよい。スタック100が1種以上の触媒を含むとき、触媒はスタックを再形成する前に交換および/または再生してよい。修理することができない個々のプレートは交換してよい。
【0120】
スタックを組み立てるときに各プレートの周縁部に比較的薄い溶接部を用いて周辺溶接部の溶け込みを制限することが望ましい。周辺溶接部の溶け込みを制限することによってプレート200、201、220、230、240、250、260、270、280および290は、プレートにもはや機能がないところまで各プレートの境界部が減少する前に、多数回の刷新手順を行うことができる。たとえば各プレートの境界部は約15mmの厚さを有してよく、各刷新時に1.5mmの境界部が磨砕除去されるならプレートは廃棄される前に10回刷新することができる。
【0121】
代りの一実施態様において、プレート200、210、220、230、240、250、260、270、280および/または290の1つ以上は、同じプレートの中で1つのマイクロチャネルから別のマイクロチャネルへの流体の流れを妨げる内部溶着部を備えていてよい。内部溶着部はレーザー溶接機械を用いて適用してよい。溶接機械は各プレートの所望のマイクロチャネル壁を追尾するようにプログラムするか、自動化するかまたは半自動化してよく、プレートは周縁溶着部を溶接する前に内部溶接される。プレートと同じ材料で作られた溶接ワイヤーを用いてよい。
【0122】
SMR反応では触媒の存在下でメタンと水蒸気とが次の化学式に従って反応して一酸化炭素と水素との混合物を形成する。
CH
4+H
2O→CO+3H
2
反応体混合物は水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、および類似物の1つ以上を含んでよい。この反応によって形成される生成物は合成ガスまたはシンガスと呼んでよい。SMR反応は加熱を必要とする吸熱反応である。反応のための熱は熱交換層の中で行われる燃焼反応によって供給してよい。燃焼反応は燃料と酸素または酸素源との反応を含んでよい。燃料は水素、メタン、炭化水素燃料(たとえばディーゼル燃料、燃料油、バイオディーゼル、および類似物)、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。酸素源は酸素、空気、酸素富化空気、または酸素と不活性気体(たとえばヘリウム、アルゴン等)とを含む気体混合物を含んでよい。
【0123】
SMR触媒は任意のSMR触媒を含んでよい。SMR触媒のための活性触媒材料または元素はNi、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。活性触媒材料または金属はAl
2O
3、MgO、MgAl
2O
4、CeO
2、SiO
2、ZrO
2、TiO
2、またはそれらの2つ以上の組み合わせに担持させてよい。
【0124】
燃焼触媒は任意の燃焼触媒を含んでよい。活性触媒材料または元素は1つ以上の貴金属、たとえばPt、Rh、Pd、Co、Cu、Mn、Fe、Ni、これらの金属のいずれかの酸化物、ペロブスカイト型化合物および/またはアルミン酸塩を含んでよい。燃焼触媒は活性を増強する促進剤、たとえばCe、TbまたはPr、それらの酸化物、またはそれらの2つ以上の組み合わせを伴ってよい。燃焼活性触媒材料または元素は任意の適当な担体に担持させてよい。担体はAl
2O
3、MgO、MgAl
2O
4、SiO
2、ZrO
2、TiO
2、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。
【0125】
マイクロチャネルの中で触媒が使用されるとき、マイクロチャネルはバルク流路を有することを特徴としてよい。用語「バルク流路」はプロセスマイクロチャネル内の開いた通路(連続的なバルク流領域)を指す。連続的なバルク流領域は大きな圧力降下なくマイクロチャネルを通る迅速な流体の流れを可能にする。一実施態様において、バルク流領域の中の流体の流れは層流であってよい。代りの一実施態様において、バルク流領域の中の流体の流れは遷移流または乱流であってよい。さらに別の一実施態様において、流れは流れの回路全体にわたって2つ以上の流動様式を有してよい。この場合、流路の少なくとも一部において流れは約2000から約5000の間のレイノルズ数によって定められる遷移流様式である。バルク流領域は、触媒を含んでいるマイクロチャネルの断面積の約5%から約95%、一実施態様においては約30%から約80%を含んでよい。
【0126】
燃焼反応以外の方法を用いて熱交換層の中の加熱または冷却が提供されてよい。燃焼反応を用いる以外の加熱または冷却が使用されるとき、熱交換流体を用いてよく、熱交換流体は任意の流体であってよい。流体は空気、水蒸気、液体の水、水蒸気、気体窒素、不活性気体を含む他の気体、一酸化炭素、溶融塩、鉱油などの油、気体炭化水素、液体炭化水素、熱交換流体、例えばダウ−ユニオンカーバイド(Dow−Union Carbide)から入手可能なダウサームA(Dowtherm A)およびサーミノール(Therminol)、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。「ダウサーム」および「サーミノール」は商標である。熱交換流体は1つ以上の反応体および/または生成物の流れを含んでよい。
【0127】
熱交換チャネルは吸熱プロセスまたは発熱プロセスが行われるプロセスチャネルを含んでよい。これらの熱交換チャネルはマイクロチャネルであってよい。熱交換チャネルの中で行われるプロセスはプロセスマイクロチャネルの中で行われる反応と反対の熱性の化学反応を含んでよい。たとえば、プロセスマイクロチャネルの中で吸熱反応であるSMR反応が行われてよく、熱交換チャネルの中で発熱反応である燃焼反応が行われてよい。熱交換チャネルの中で行われてよい吸熱プロセスの例は脱水素または改質反応を含んでよい。発熱反応は燃焼反応、他の発熱酸化反応、および類似反応を含んでよい。加熱または冷却のために熱交換チャネルの中で発熱反応または吸熱反応を用いると、発熱反応または吸熱反応を用いないで得られるであろう熱流束より通常大体1桁以上大きな熱流束が可能になる加熱効果または冷却効果の増強を得ることができる。
【0128】
熱交換流体は熱交換チャネルを通って流れる際に部分的な相変化または完全な相変化を行ってよい。この相変化は対流冷却によって提供されるもの以外のプロセスマイクロチャネルからの上積みの熱除去を提供することができる。蒸発しつつある液体熱交換流体の場合、プロセスマイクロチャネルから伝わる上積みの熱は熱交換流体が必要とする蒸発潜熱に由来するものであってよい。そのような相変化の例は熱交換流体、たとえば部分沸騰を行う油または水であろう。
【0129】
熱交換チャネルの中の熱交換流体は約100℃から約800℃、または約250℃から約500℃の範囲の温度であってよい。プロセスマイクロチャネルの中の熱交換流体とプロセス流体との間の温度差は最大約50℃、または最大約30℃、または最大約10℃であってよい。熱交換チャネルの中の熱交換流体の滞留時間は約1から約1000ms、または約1から約500ms、または1から約100msの範囲であってよい。熱交換流体が熱交換チャネルの中を流れるときの圧力降下は最大約0.01MPa/cm、または最大約10MPa/cmであってよい。熱交換チャネルの中の熱交換流体の流れは層流または遷移流であってよい。熱交換チャネルの中の熱交換流体の流れのレイノルズ数は最大約50,000、または最大約10,000、または最大約2300、または約10から約2000の範囲、または約10から約1500であってよい。
【0130】
反応体は触媒と接触しながら反応ゾーンの中を流れて最大約100000、または最大約10000、または最大約100のレイノルズ数を生じてよい。レイノルズ数は約200から約8000の範囲であってよい。
【0131】
マイクロチャネルプロセス装置の中の熱交換のための熱流束はマイクロチャネルプロセス装置の中の熱伝達壁の1平方センチメートルの表面積あたり約0.01から約500ワット(W/cm
2)、または約0.1から約350W/cm
2、または約1から約250W/cm
2、または約1から約100W/cm
2、または約1から約50W/cm
2の範囲であってよい。
【0132】
マイクロチャネルの中の反応体と触媒(SMR触媒および燃焼触媒を含む)との接触時間は約1から約2000ミリ秒(ms)、または1から約1000ms、または約1から約500ms、または約1から約250ms、または約1から約100ms、または約1から約50ms、あるいは約2から約1000ms、または約2から約500ms、または約2から約250ms、または約2から約100ms、または約2から約50msの範囲であってよい。
【0133】
マイクロチャネルの中の流体の流れの気体毎時空間速度(GHSV)は約500から約2,000,000hr
−1の範囲であってよい。
【0134】
流体がマイクロチャネルの中を流れているときの圧力降下はマイクロチャネルの1センチメートルの長さあたり最大約0.01MPa(MPa/cm)、または最大約0.1MPa/cm、または最大約1MPa/cm、または最大約10MPa/cmの範囲であってよい。
【0135】
マイクロチャネルの中のプロセス流体の流れは層流または遷移流、あるいは乱流であってよい。マイクロチャネルの中の流体の流れのレイノルズ数は最大約10,000、または最大約5000、または最大約2500、または最大約2300、または約100から約5000の範囲、または約100から約3500の範囲、または約100から約2300の範囲であってよい。
【0136】
プロセス層のマイクロチャネルの中を流れている流体の空塔速度は1秒あたり少なくとも約10メートル(m/s)、または約10から約200m/sの範囲、または約20から約150m/sの範囲、または約30から約100m/sの範囲、または約50から約90m/sの範囲であってよい。
【0137】
本発明の溶接されたSMR反応器は熱伝達のレベルの増強または増加に関わる利点を提供する。反応器の触媒セクションの中の単位接触時間あたりの全反応熱は約90から約150kW/ms、または約110から約130kW/msの範囲であってよい。反応器の反応器セクションの中の単位接触時間あたりの全反応熱は約55から約75kW/ms、または約60から約70kW/msの範囲であってよい。反応器の反応器コア全体の中の単位接触時間あたりの全反応熱は約30から約50kW/ms、または約30から約40kW/msの範囲であってよい。反応器の単位圧力降下あたりの全反応熱は約2から約20W/Pa、または約2から約10W/Pa、または約2から約5W/Paの範囲であってよい。
【実施例1】
【0138】
ケムキャド(Chemcad)を用いて
図1〜
図20に例示されている種類のマイクロチャネル反応器を用いるSMRプロセスをシミュレーションした。ケムキャドはケムステーションズ・ドイッチラント・ゲーエムベーハー(Chemstations Deutschland GmbH)から入手可能なプロセスシミュレーションのソフトウェアプログラムである。反応器は
図7および
図8に示されている繰り返し単位110を8つ使用する。各繰り返し単位は10枚のプレートを有し、従って合計80枚のプレートが繰り返し単位によって提供される。スタックの底部においてプレート290の表面292に81番目のプレートが結合される。81枚のプレートのそれぞれは29インチ(73.66cm)の長さ、10.74インチ(27.28cm)の幅および0.125インチ(3.175mm)の厚さを有する。各プレートの表面積は2009.4cm
2である。スタック全高は10.125インチ(25.72cm)である。プレートの周縁部はレーザー溶接を用いて一体化溶接される。各プレートの各周縁部が隣接する次のプレートの周縁部に溶接される。平均溶接部溶け込みは1.27mmである。溶接部の平均溶け込み(1.27mm)に対する各プレートの平均表面積(2009.4cm
2)の比は1580cm
2/mmである。
【0139】
各プレートならびに溶接材料はニッケル、クロム、コバルト、モリブデンおよびアルミニウムを含有する金属合金であるインコネル617でできている。インコネル617はA−1ワイヤ・テック・インコーポレイテッド(A−1 Wire Tech,Inc.)から入手可能であり、以下の組成および性質を有する。
化学組成 重量%
Ni.−44.5最小
Cr−20.0〜24.0
Co−10.0〜15.0
Mo−8.0〜10.0
Al−0.8〜1.5
C−0.05〜0.15
Fe−3.0最大
Mn−1.0最大
Si−1.0最大
S−0.015最大
Ti−0.6最大
Cu−0.5最大
B−0.006最大
破裂強度(1000時間) MPa
650℃ 320
760℃ 150
870℃ 58
980℃ 25
1095℃ 10
物理定数および熱的性質
密度: 8.36mg/m
3
融解範囲: 1330〜1380℃
比熱: 419J/kg・℃
熱伝導率: 13.6W/m・℃
【0140】
各プレートのマイクロチャネルは0.040インチ(1.016mm)の深さを有する。各マイクロチャネルの幅は0.160インチ(4.064mm)である。空気チャネルと燃料チャネルとの間の熱交換壁の中の開口またはジェットのそれぞれは0.015インチ(0.381mm)の直径を有する。
【0141】
SMR反応器の容量については、640のプロセスマイクロチャネルをSMR反応に用いる場合約3500SLPMのメタンまたは天然ガスを供給する。SMR反応器は中間プロセス回収装置と直列に運転される1、2または3以上のフィッシャー・トロプシュ反応器に用いられる合成ガスを製造するために用いてよい。フィッシャー・トロプシュ反応器は合成燃料を製造するために用いてよい。合成ガスはフィッシャー・トロプシュ反応器の前に中間プロセス装置(たとえば膜または他の単位操作)を通して進ませて一酸化炭素に対する水素の比を約2:1に引き下げてよい。SMR反応器に合わせた炭素に対する水蒸気の比は反応器入口において約2.3:1である。メタンに対する水蒸気の比は2:1である。燃焼反応には約15%過剰の空気を用いる。約5%から約50%の範囲の過剰の空気を用いてもよい。もっと高いレベルの過剰の空気を用いてもよいが、そのような高いレベルを用いると使われない空気を予熱する必要があるので効率が低くなることがある。SMR反応におけるメタンの変換率に関するプロセス平衡は223.2psig(1.54MPa)の圧力および850℃の温度において76.1%である。223.2psi(1.54MPa)および850℃におけるCO/(CO+CO
2)は68.8%である。反応器コア圧力降下はSMRプロセス側で最大60psi(0.414MPa)、燃料/空気側で最大34psid(0.234MPa)である。次の表1に反応器の定格設計基準が示されている。
【0142】
【表1】
【実施例2】
【0143】
4チャネル全長SMR溶接型反応器を構築し、運転し、刷新し、その後に運転する。実物規模の反応器は大体10回の刷新サイクルを経て20年の寿命を有すると予測される。反応器は実物規模のマイクロチャネルSMRの内部構成要素および長さを真似している。刷新プロセスはマニホールド取り外し、プレート分離、選ばれた数のプレートの調節および清掃、刷新されたプレートへの触媒の付加、および再組み立てを含む。反応器容量および反応性能は刷新の後に再現可能である。
【0144】
図23に反応器の概要が示されている。
図23を参照すると、反応器は2つの層、すなわちプロセス層および燃焼層を有する。プロセス層は反応体チャネルおよび生成物チャネルを備えている。燃焼層は燃料チャネル、空気チャネルおよび排気チャネルを備えている。反応体チャネルおよび生成物チャネルの中でSMR反応が行われる。燃料チャネルの中で燃焼反応が行われてSMR反応に必要な熱を供給する。
【0145】
反応器は3つのセクションに分けられる。
1.熱交換器−このセクションは排気流および生成物流から熱を回収し、この熱を用いて燃料流、空気流および反応体流を予熱する。
2.反応器セクション−このセクションでSMR反応器および燃焼反応器が行われる。
3.入口セクション(
図23には示されていない)−このセクションは入口/出口接続およびマイクロチャネルへの流れの分配を提供する。
【0146】
熱交換器セクションの長さは8インチ(20.3cm)である。反応器セクションの長さは13インチ(33cm)である。反応器は各種類(反応体、生成物、燃料、空気および排気)の4つのチャネルを有する。各チャネルの幅は0.16インチ(4.06mm)である。各チャネルのギャップすなわち高さは0.04インチ(1.02mm)である。
【0147】
空気チャネルから円形の開口またはジェットを通って空気が燃料チャネルに流入する。空気は燃料チャネルの中で燃料と混合して燃料−空気混合物を形成し、燃料−空気混合物は燃焼を行ってSMR反応のための熱を発生する。空気と燃料との混合はジェットセクションで行われ、ジェットセクションの長さは8.5インチ(21.6cm)である。ジェット反応には0.34インチ(0.86cm)の間隔で互いに離れた26の軸方向位置があり、各位置に1つ以上のジェットが配置されている。各ジェットは0.015インチ(0.381mm)の直径を有する。特定の軸方向位置に空気分配のための複数のジェットがある。
【0148】
図24にある略図はある軸方向位置において燃料チャネルの0.16インチ(4.06mm)の幅方向の2つのジェットおよび3つのジェットの位置を示している。1つのジェットを有する軸方向位置の場合、ジェットは燃料チャネルの幅の中央に位置する。
【0149】
燃焼反応からの排気は
図23に示されている折り返し部屈曲を通って流れ、排気流として排気チャネルに入る。排気流は反応器から出る前に熱交換器セクションの中で燃料流および空気流を予熱するために用いられる。
【0150】
燃焼反応によって発生した熱は固体の壁を通って反応体チャネルおよび生成物チャネルに伝えられてSMR反応を加熱する。SMR反応体は反応体チャネルの中を流れ、触媒と燃焼反応からの燃焼熱との存在下で反応して合成ガスである所望の生成物を形成する。生成物流は
図23に示されている折り返し部を通って流れる。生成物流は反応器から出る前に熱交換器セクションの中で反応体流を予熱する。
【0151】
図25に示されるようにチャネル閉塞の場合に必要なら流れの再分配を可能にする間の空いた柱を用いて4つの生成物チャネルの間の連絡が提供される。チャネル閉塞はコーキング、触媒剥離または外来微粒子の結果として起こることがある。
【0152】
図23に毛管構成要素が示されている。これらの構成要素は浅い溝の形である。溝は約10から約500ミクロンの範囲、または約30から約250ミクロン、または約50から約100ミクロン、または約80ミクロンの深さを有してよい。溝は示されているチャネルの幅の一部または全体を横断してよい。これらの構成要素はチャネル壁に形成されて触媒の接着性の向上を提供する。
【0153】
図23は反応器コアの概観を提供する。
図23に示されている反応器コアは上下に積層された6つのプレートを用いて作られている。プレートにマイクロチャネルが形成され、プレートを組み立てたものが燃焼流およびSMR流のための流路を形成する。プレートは次のように特定される。
・プレート1:生成物プレートまたはPプレート
・プレート2:反応体/生成物プレートまたはRPプレート
・プレート3:触媒プレートまたはCatプレート
・プレート4:燃料/空気プレートまたはFAプレート
・プレート5:空気/排気プレートまたはAEプレート
・プレート6:排気プレートまたはEプレート
【0154】
プレート2からプレート5の厚さは0.125インチ(3.18mm)である。プレート1およびプレート6の厚さは0.25インチ(6.35mm)である。
【0155】
プレート1:P−プレート
図26にP−プレートの略図が示されている。P−プレートの全体寸法は23.32”(59.2cm)×1.82”(4.6cm)×0.25“(6.3mm)である。これはSMR反応器コアスタックの最も外側のプレートである。プレートの外側の面において標示R、P、A、FおよびEは反応体流、生成物流、空気流、燃料流および排気流の入口/出口マニホールドの位置をそれぞれ示している。スタックと向かい合う面には生成物マニホールドのためのサイズ0.16”(4.06mm)×1.32”(3.3cm)×0.04”(1.016mm)のポケットが機械加工されている。スタックと向かい合う面(
図26の示
図2に示されている)の外周は溶接物のために面取り(0.031”(0.8mm)×45°)されている。
【0156】
プレート2:RP−プレート
図27にRPプレートの略図が示されている。RPプレートの全体寸法は23.32”(59.2cm)×1.82”(4.6cm)×0.125”(3.1mm)である。このプレートはP−プレートとcat−プレートとの間に配置されている。P−プレートに隣接する面(
図27の視点1に示されている)に4つの生成物チャネルが機械加工されている。生成物チャネルの間の壁は流体連通のための連絡部を有する。これらは不連続リブと呼ばれる。
図27に不連続リブの寸法が示されている。生成物チャネルの深さは0.04”(1.016mm)である。不連続リブゾーンの全長は21.5”(54.6cm)である。
【0157】
Cat−プレートと向かい合うRPプレートの反対側の面は、
図27の示
図2に示されているように反応体チャネルを有する。
図27に示されているように反応体入口マニホールドに接続されている4つの反応体チャネルがある。4つの反応体チャネルおよび反応体マニホールドの幅および深さはそれぞれ0.16”(4.06mm)および0.04”(1.016mm)である。4つの反応体チャネルは0.06”(1.52mm)の幅のリブによって隔てられている。このプレートの反応器セクションには毛管構成要素が機械加工されている。毛管構成要素セクションの長さは13”(33cm)である。
図27にこれが示されている。毛管構成要素および反応体チャネル同士を隔てるリブの側壁にSMR触媒が塗布されている。プレートの外周は溶接部のために面取り(0.031”(0.79mm)×45°)されている。
【0158】
燃焼排気が排気チャネルへ流れることが可能になるように0.82”(2.08cm)×0.1”(2.54mm)の寸法を有する貫通スロットが機械加工されている。
【0159】
プレート3:Cat−プレート
図28にcat−プレートの略図が示されている。catプレートの全体寸法は23.32”(59.2cm)×1.82”(4.6cm)×0.125”(3.1mm)である。このプレートはRPプレートとFAプレートとの間に配置されている。
図28の示
図1に示されているようにRPプレートと向かい合う側面に毛管構成要素が機械加工されている。SMR触媒が塗布されるゾーンは
図27のRPプレートの毛管構成要素のゾーンと重なる。毛管構成要素にSMR触媒が塗布されている。
【0160】
FAプレートと向かい合うcat−プレートの側面も毛管構成要素を有する。このゾーンの毛管構成要素は
図28の示
図2に示されているようにこのプレートの反対側(RPプレートと向かい合う)の毛管構成要素を再現する。毛管構成要素から0.25”(6.35cm)離れて寸法0.82”(2.08cm)×0.3”(7.6cm)×0.02”(0.51mm)のポケットが機械加工されている。すべてのプレートを組み立てた後にこのポケットは運転上の不安定性の原因となり得るであろう燃料の逆流燃焼を防ぐ。
【0161】
反応器の運転時に温度を測定するためにプレートの軸方向の21箇所でプレートの厚さ方向に孔があけられている。これらの孔は直径が0.034”(0.86mm)、深さが0.91”(2.31cm)である。
【0162】
プレートの外周は溶接部のために面取り(0.031”(0.78mm)×45°)されている。
【0163】
プレート4:FA−プレート
図29にFA−プレートの略図が示されている。FA−プレートの全体寸法は23.32”(59.2cm)×1.82”(4.6cm)×0.125”(3.1mm)である。このプレートはCat−プレートとAE−プレートとの間に配置されている。
【0164】
Cat−プレートと向かい合う側には燃料マニホールドに接続されている4つの燃料チャネルが機械加工されている。燃料マニホールドならびに燃料チャネルの幅は0.16”(4.06mm)であり、マニホールドおよびチャネルの深さは0.04”(1.016mm)である。燃料マニホールドの長さは1.32”(3.4cm)である。燃料チャネルは燃料マニホールドに最も近いプレートの短辺から9.27”(23.5cm)のところで途切れている(
図29に示されている)。燃料チャネルの途切れは燃料の逆流燃焼を防ぐCat−プレートのポケット構成要素と重なっている。
【0165】
このプレートの反対側(AEプレートと向かい合う)には空気マニホールドに接続されている4つの空気チャネルが機械加工されている。マニホールドならびにチャネルの寸法(幅および深さ)は燃料チャネルおよびマニホールドの寸法と同じである。
【0166】
燃料チャネルと空気チャネルとはジェットによって連絡し合っている。
図29にこれらのジェットの位置が示されている。各ジェットの直径は0.015”(0.38mm)である。0.34”(8.6mm)間隔で離れた26の軸方向ジェット位置がある。一部の軸方向位置には複数のジェットがある。表3にさまざまな軸方向位置におけるジェットの数およびジェットの配置の要約が示されている。
【0167】
燃焼反応からの排気が排気チャネルへ流れることが可能になるように寸法0.82”(2.1cm)×0.04”(1mm)を有する貫通スロットが機械加工されている。
【0168】
プレートの外周は溶接部のために面取り(0.031”(0.8mm)×45°)されている。
【0169】
プレート5:AE−プレート
図30にAE−プレートの略図が示されている。AEプレートの全体寸法は23.32”(59.2cm)×1.82”(4.6cm)×0.125”(3.1mm)である。
このプレートはFA−プレートとE−プレートとの間に配置されている。
【0170】
FAプレートと向かい合うAEプレートの側には
図30の示
図1に示されているようにマニホールドスロットおよび10の再分配スロットが機械加工されている。すべてのスロットの幅は0.16”(4.06mm)であり、スロットの深さは0.04”(1.016mm)である。AEプレートのマニホールドスロットはFA−プレートのマニホールドスロットと重なってマニホールドを形成する。空気マニホールドスロットと第1の再分配スロットとの間の間隔は0.16”(4.06mm)であり、第1の再分配スロットと第2の再分配スロットとの間の間隔は0.16”(4.06mm)である。他の再分配スロットの間の間隔は0.06”(1.52mm)である。
【0171】
AEプレートの反対側(E−プレートと向かい合っている)は、下記に記載されている貫通スロットを除けば構成要素はない。
【0172】
燃焼排気が排気チャネルへ流れることが可能になるように寸法0.82”(2.08cm)×0.04”(1.106mm)を有する貫通スロットが機械加工されている。
【0173】
プレートの外周は溶接部のために面取り(0.031”(0.8mm)×45°)されている。
【0174】
プレート6:E−プレート
図31にE−プレートの略図が示されている。E−プレートの全体寸法は23.32”(59.2cm)×1.82”(4.6cm)×0.25”(6.3mm)である。これはSMR反応器コアスタックの最も外側のプレートであり、P−プレートから最も離れている。プレートの外側の面において標示R、P、A、FおよびEが反応体流、生成物流、空気流、燃料流および排気流のための入口/出口マニホールドの位置をそれぞれ示している。スタックと向かい合う面に4つの排気チャネルが機械加工されている。各チャネルは幅0.16”(4.06mm)および深さ0.04”(1.016mm)である。排気チャネルの長さは22.78”(57.9cm)である。
【0175】
スタックと向かい合う面(
図26の示
図2に示されている)の外周は溶接部のために面取り(0.031”(0.8mm)×45°)されている。
【0176】
高いプロセス圧力を支えてマイクロチャネルを保全するために反応器コアの周りに外部構造体の形の支持体が設けられる。
図32にこれが示されている。
図32は最終的な反応器の略図である。
【0177】
反応器は厚さ0.125インチ(0.318cm)のインコネル617プレートを用いて構築される。プレートおよびプレートの中のマイクロチャネル構成要素は従来の機械加工法を用いて作られる。レーザー加工法、光化学磨砕法または機械加工法、あるいは他の金属除去方法によって毛管構成要素が追加されてよい。レーザー穿孔法を用いてジェットが作製されてよい。
【0178】
プレートおよびプレートの中の構成要素の製造後に、プレートは化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)アルミニウム被覆プロセスを用いてアルミニウム被覆され、1050℃において熱処理されて接着性のアルミナスケールを形成する。アルミナスケール層は運転時にプレートが固着することを防いで刷新を容易にするかまたは可能にすることできる。
【0179】
熱処理後、プロセスチャネルの両側に約30mg/in
2(4.65mg/cm
2)のSMR触媒(28%MgO−72%Al
2O
3スピネルの担体上の20%Rh)が塗布される。スプレーコート法を用いて燃焼触媒(ランタンを有するヒュームドAl
2O
3担体上の35重量%Ptおよび8重量%Pd)がジェットの衝突面または燃料壁に約30mg/in
2(4.65mg/cm
2)の適用被覆レベルで塗布される。触媒は開いたプレートに溶接の前に塗布される。この方法によって面を直接取り扱い、塗布された触媒の品質管理を行うことが可能になる。直接取り扱うことによって、使用済み触媒を剥がし再塗布する刷新を容易なものにすることもできる。開いたプレートにより、プロセス性能を調整または最適化するために、プロセス層内で、またはプロセスプレートの両面で、または層から層へ1つまたは2つまたは3つ以上の触媒を用いることが可能になる。触媒は運転前に400℃でインサイチュ焼成される。
【0180】
触媒(SMRおよび燃焼)は反応器セクションの中でだけ塗布される。
図33にSMRおよび燃焼触媒の位置を示す略図が示されている。SMR触媒はRPプレートとCat−プレートとによって形成される反応体チャネルの毛管構成要素ならびに側壁にスプレーコートティングされる。触媒塗布を容易にするために炭素鋼で作られたマスクが用いられる。
図34にSMR触媒塗布に用いられるマスクの略図が示されている。
【0181】
cat−プレートとFAプレートとによって形成される燃料チャネルの中の毛管構成要素に燃焼触媒が塗布されている。FAプレートの燃料壁は触媒で部分的に被覆されている。AEプレートとE−プレートとによって形成される排気チャネルは燃焼触媒で被覆されている。
【0182】
これらのプレートは溶接され、一体となって反応器コアを形成する。タングステン不活性気体溶接が用いられる。各プレートの周縁部が隣接する次のプレートの周縁部に溶接されるところでは外部溶接が用いられる。溶接部の平均溶け込みは約0.03インチ(0.762mm)から0.08インチ(2.032mm)である。各プレートの表面積は272.3cmである。従って、平均溶接部溶け込みに対する平均表面積の比は134.0から357.4cm
2/mmである。溶接の前に縁のアルミナイドが研削除去される。支持リブ、マクロ−マニホールドおよびチューブの形の外部構造体がコアに追加される。
【0183】
反応器は、多重チャネル試験デバイスの形であり、組立て前に熱処理され触媒で被覆された6つのCVDアルミニウム被覆プレートからなる。刷新プロセスは、外部構造体の取り外し、排気マニホールドの取り外しおよびプレート同士の分離を含む。
【0184】
刷新時、コアを外部構造支持体から取り外す。次のステップは反応体マニホールド、生成物マニホールド、燃料マニホールド、空気マニホールドおよび排気マニホールドを取り外すことである。排気マニホールドを最後に取り外す。最初の4つのマニホールドはそれらの0.25インチ(0.635cm)チューブを最初に取り外す必要がある。CAD入力またはプログラミングロジックを用いて部品を正確に機械加工するコンピュータ数値制御(CNC:computer numerical control)フライス盤を用いて各マニホールドの溶接部外周を機械加工する。そうするには各マニホールドの溶接部外周を機械加工して削り取り、マニホールドをデバイスから引き離すことができるようにする。排気マニホールドも溶接部を機械加工除去することによって取り外す。コアからマニホールドがなくなったら外周溶接部の磨砕によってプレート同士を分離する。初回の磨砕は40ミル(1.02mm)の材料の除去を目標とする。プレート同士は区域によっては分離されたように見えるが引き離すことができないことがあるだろう。外周からさらに20ミル(0.51mm)の材料を除去する。コアを再び所定の場所に固定する。プライヤーを用いてすべてのプレートを引き離す。プレート同士を分離することが可能になるように溶接部を十分に除去するには全部で60ミル(1.53mm)の材料を機械加工して除去する。
【0185】
プレート同士が分離されたら各プレートを点検する。折り返し部は刷新プロセス時に調節される。元のサイズを小さくするために折り返し部の中に直方体のインサートが追加される。このインサートは所定の場所に溶接され、それ以上の表面調製または処理はない。
燃焼側の3つのプレート(FA、AEおよびE)を調節する。
【0186】
脱イオン水浴、続いてアセトン浴中で低出力かつ低周波数の超音波を用いてすべてのプレートを清浄にする。各ステップを30分間行う。触媒の剥離または損傷は起こらない。
【0187】
調節済みのジェットに近いFAプレートの部分に触媒を塗布する。最初の16のジェットの区間は、調節された被覆レイアウトを適用する。ここでは、0.16”(4.064mm)の幅のチャネルの外縁部に触媒を配置し、それぞれの側では1mmの触媒被覆をし、中央の2mmを被覆しないままにする。
【0188】
上部排気チャネル壁と下部排気チャネル壁との両方に燃焼触媒を塗布する。触媒は4つのチャネルのそれぞれの0.16”(4.064mm)の幅全体にわたって塗布する。チャネルとチャネルとの間を途切れさせる壁とリブとの間の金属から金属への接触部分を形成する区域では触媒をマスクする。
【0189】
上記の調節作業が完了した後に反応器を再び積層する。Pプレートに約0.2インチ(5.08mm)の若干の曲がりがある。これは積層後にプレートを整列させて所定の場所に固定することによって軽減される。コアを周縁部溶接し、新しい外部構造支持体をスタックに溶接する。
【0190】
反応器を高容量および熱流束の条件で運転する。2組の運転条件を検討する。次の表2および表3にこれらが示されている。
【0191】
【表2】
【0192】
【表3】
【0193】
プロセス不調の後に反応器の開始および再開が数回ある。表3にこれらが示されている。開始2は下流の接続部品の圧力降下の増加の後に発生する。シャットダウン後、運転を再開する前にステンレス鋼接続部品である接続部品をインコネル接続部品に取り替える。開始3はプロセス水入口における低下の後に発生する。この場合、SMRには約2分間水蒸気が供給されない。この不調時に反応器の器壁におけるピーク記録温度はシステムインターロックする前に1065℃に上昇する。インターロックの時点でピーク温度は40秒間に約200℃降下し、その後にもっと緩やかな冷却が始まる。開始4は熱損失を減らすために数個の外部ヒーターを加えた後に発生する。すべての場合において、反応器性能は同等であり目標とする性能に復帰する。
図36から
図40に結果が示されている。
【0194】
燃焼燃料にさらにメタンを追加することを含む追加の試運転をこの反応器で行う。メタンは水素より燃焼させるのが著しく困難である。報告されているように、条件1および2においては燃料の中に1.5体積%のメタンがある。燃焼燃料中のメタンの量は18%まで増加しており、この範囲(1.5%、3%、6%、10%および18%)にわたっては検出可能なメタン放出はない。検出限界は大体100ppmメタンである。すべての場合に対して余剰の空気の名目量は15%であるが、一部の試運転においては余剰の空気の量はもっと少ない。6%メタン燃料で余剰の空気が10%に低下すると出口排気温度がいくらか不安定になる。
図41から44に結果が示されている。
【実施例3】
【0195】
溶接されたSMR反応器の中のエクスサイチュ触媒塗布
SMR反応器は2種類の触媒を有する。すなわち、1)SMR反応にエネルギーを供給する、燃料を燃焼させる触媒、および2)SMR反応のための触媒である。触媒は、反応が起こるべく予め定められた位置のマイクロチャネルの壁の部分にだけ優先的に塗布される。
【0196】
拡散接合を用いるSMR反応器の製造は非常に高い温度(たとえば約1000℃超)におけるシムおよびプレートの接合を含む。これらの高温の結果として、反応器コアを拡散接合した後にだけ触媒が塗布される。しかし、反応器コアを拡散接合した後はマイクロチャネルを目視する手段がなく、マイクロチャネルを触媒溶液またはスラリーで満たし、次に液抜きし、重力によって液抜きを支援する充填および液抜き技法を用いてマイクロチャネルの壁に触媒が塗布される。これはインサイチュプロセスまたは手法と呼んでよい。それはインサイチュウォッシュコート法と呼んでもよい。マイクロチャネルの壁に触媒を塗布するこのインサイチュ手法には以下の不利な点がある。
【0197】
1.触媒被覆物を壁に塗布するために通常は複数回の充填および液抜きのサイクルが必要であった。
2.壁の触媒担持率は一般に低かった(4回の充填および液抜きサイクルの後に約5から10mg/in
2)。
3.マイクロチャネルを目視する手段がなかったので、この方法はマイクロチャネルの中の触媒の流れを制御しにくかった。触媒を特定の軸方向または横方向の位置に選択的に塗布することは難しかった。反応チャネル長さの一部に触媒が塗布され、触媒のない中断領域がそれに続き、その次に触媒のある第3の領域となる軸方向に不連続な被覆物を作り出すことも可能でなかった。
4.インサイチュウォッシュコート法は時間のかかるプロセスである。単一マイクロチャネルデバイスでさえ触媒塗布に最大1週間を必要としかねなかった。工業規模の装置(>100kg/hrのプロセス流量)に触媒を塗布するには、塗布のために複雑な追加のマニホールドが必要であった。
図45は多重マイクロチャネルを有するSMR反応器に塗布するための装置の略図を示す。
5.触媒を反応器の中の特定の高さに容易に維持することができなかった。これは、特にデバイスの隅または割れ目において溶液をより高い位置に吸い上げる毛管力のためであった。
6.触媒を塗布するインサイチュ法は小さな面積に塗布するために大きな体積の触媒を必要とする。触媒溶液を充填および液抜きするためのマニホールド系統を使用するので、最初に大きな体積の触媒溶液が必要であった。しかし、実際にはこの触媒溶液のごく一部だけが反応器の中に残った。反応器から液抜きされた触媒溶液はしたがって用途が限られ、多くの場合に1回または2回だけの使用後に処分またはリサイクルしなければならなかった。
【0198】
本発明によってSMR反応器を製造するための溶接型手法は、簡単、迅速かつ正確な触媒のための塗布法を可能にする。溶接型手法を用いて多重シムの高温拡散接合をより少ないプレートの溶接によって置き換えることができる。溶接に必要な高い温度はプレートの縁に局部限定してよく、触媒を塗布する必要のあるマイクロチャネルに影響を及ぼさない。したがって、触媒はプレートの溶接の前にエクスサイチュ塗布することができる。
【0199】
触媒を塗布するエクスサイチュ法では、触媒溶液は、エアブラシを通るエアジェットを用いるなどの簡単な方法を用いて塗布してよい。マイクロチャネルを十分に目視することが可能なので、触媒が必要でない場所は
図46に示されているように簡単にマスクして隠すことができる。同じマイクロチャネルの中の特定の場所に異なる触媒を塗布して良好な性能を実現することもできる。被覆物の被覆率レベルは参照クーポンを用いて決定することができる。参照クーポンは塗布の前後に重さを秤量して塗布された触媒の量を決定する。
【0200】
触媒を塗布した後、プレートは溶接してSMR反応器を構築する前に空気中で乾燥させてよい。次に、SMR反応器を約450℃で焼成してマイクロチャネルの壁の上に最終的な触媒を形成してよい。
【0201】
エクスサイチュ触媒塗布法には従来のインサイチュ触媒塗布法と比べていくつかの利点がある。利点として以下を挙げることができる。
1.エクスサイチュ技法はインサイチュ塗布技法より顕著に速い。インサイチュ触媒塗布では通常約1週間を要し得る反応器を、エクスサイチュ法を用いると1日のうちに塗布することができる。
2.エクスサイチュ塗布によって、塗布する触媒の位置、種類および量を制御することが可能になる。
3.エクスサイチュ塗布法を用いると触媒担持率レベルの良好な再現性を実現することができる。
4.触媒が塗布される前か後のどちらかのプレートに、あるいは触媒を含んでいないアセンブリのプレートに触媒以外の被覆物も加えることができる。
5.エクスサイチュ塗布法は塗布位置を制御する能力があるため、調製される触媒溶液の体積を小さくすることができ、したがって無駄になる触媒溶液が少なくなる。
【0202】
多重チャネルSMR反応器を設計し、製造し、性能を試験する。エクスサイチュ法を用いて燃焼触媒およびSMR触媒をプレートに塗布する。Cat−プレート(反応体チャネルと向かい合う)およびA−Eプレート(反応体チャネル)に燃焼触媒を塗布する。Catプレート(反応体チャネルと向かい合う)およびR−Pプレート(反応体チャネル)にプロセス触媒を塗布する。
【0203】
触媒塗布のために、塗布されるプレートに合わせた所望の触媒を含むスラリーを調製する。
図47に示されているマスキングプレートを用いる。マスキングプレートの断面図も
図47に示されている。マスキングプレートは炭素鋼から作られているが、任意の硬い材料または可撓性材料からも作ることができるであろう。マスクは多重チャネル反応器の中の4つのプロセスチャネルを塗布するために設計されている。触媒を塗布される各チャネルの断面積は0.16インチかける13インチ(0.41cmかける33.0cm)である。マスキングプレートの外の領域は建築現場用のテープを用いてマスクする。
【0204】
触媒溶液はパーシェ・エアブラシ・セット(Paasche Airbrush Set)を用いて、単動、サイフォン給液、外部混合法で塗布し、スラリーの吹き付けには32〜35psi(0.22〜0.24MPa)の圧力を用い、#1ノズル装置を用いる。
図48は被覆後のマスクされたプレートの写真を示している。R−Pプレートの触媒担持率は25mg/in
2(3.87mg/cm
2)である。
【実施例4】
【0205】
SMR反応器の中のメタルダスティングを防ぐ被覆物または層の追加
鉄、ニッケルまたはコバルトを主な成分とする合金は一酸化炭素(CO)ガスが存在するとメタルダスティング腐食を受けやすくなることがある。メタルダスティング腐食に対する耐性を高めた新しい金属合金を開発する努力が重ねられてきたが、今のところメタルダスティング腐食を受けない市販の合金はない。合金をメタルダスティング腐食から保護する被覆物を開発することが求められている。本実施例で用いられている合金はインコネル617(Ni、Cr、Fe、Mo、AlおよびCoを含有する合金)であるが、メタルダスティングの問題はいずれのニッケルまたは鉄含有金属または金属合金でも起こり得る。
【0206】
メタルダスティングが始まると、生じた孔はチャネルの圧力境界を通って侵食することがある。さらに、孔はCO+COからC(固体)およびCO
2へのブドアール反応(Boudouard reaction)によるコーキングの開始を招く可能性を高めることがある。コークは始まると通常はフィラメント状の形で成長し続け、フィラメントがマイクロチャネルを完全にまたは部分的に閉塞することがある。チャネル閉塞すると多重チャネルデバイスの中の流れ分布不良、性能低下およびより一層の圧力降下を招くことがある。
【0207】
被覆物を用いてCOなどの気体分子が金属合金に到達するのを防ぐことができる。被覆物それ自体はメタルダスト形成しないことがあり、使用環境と適合することがある。
【0208】
被覆物は単層被覆物を含んでよい。被覆物材料はアルミナなどのセラミックを含んでよい。
【0209】
下にある合金に気体分子が到達するのを防ぐため、被覆物はピンホールまたは微小亀裂などの欠陥があってはならない。被覆物は気密であってよい。セラミックは一般にもろく、亀裂が入りやすい。金属は、一般にセラミックより延性が高く、従って亀裂が入りにくい。金属被覆物は、銅、クロム、銀、金、それらの2つ以上の混合物、ならびに他の不活性金属または貴金属を含んでよい。金属被覆物の使用には問題が伴うことがある。1つの問題は金属被覆物と基質合金との間で相互拡散が起こり得ることである。メタルダスティングは約450℃から約750℃の温度範囲で起こる可能性がある。この温度範囲においては金属被覆物と合金との間の相互拡散が予測されることがある。時間の経過とともにNi、CoおよびFeが合金から被覆物に拡散し、被覆物の耐性または保護性を低下させることがある。合金の内部への被覆物材料の拡散も合金の特性に好ましくない変化を引き起こすことがある。被覆物からピンホールなどの欠陥をなくすことには別の問題が関係している。欠陥のない被覆物を作り出すことは難しいが、一般に被覆物の厚さが増加すると、ピンホールのような欠陥の個体群密度(population density)が低下することがある。
【0210】
図49は、様々な継続期間についてメタルダスティング環境に曝露された後の銅で被覆されたインコネル617のクーポンを示している。クーポンはその明るい銅の外観を徐々に失うがメタルダスティング腐食は起こらない。2,000時間経過後に測定可能な重量変化もない。
図49にこれが示されている。比較すると、被覆されていないインコネル617のクーポンは1000時間の時点で明らかに孔食を受け、2400時間経過の時点でひどく腐食されている。
図50にこれが示されている。
図50に示されている重量低下は腐食のさらなる証拠である。
【0211】
863時間の曝露後の銅で被覆されたクーポンの断面分析はCu被覆物の中へのNiの拡散および被覆物の中の微小亀裂の成長を示す。
図51にこれが示されている。これは銅がメタルダスティングに対する短期間の保護被覆物になり得ることを示している。
【0212】
被覆物と基質との間の相互拡散を防ぐために拡散障壁が用いられることがある。金属は通常はセラミックを通って拡散しないので、アルミナなどのセラミック被覆物が良好な障壁となることがある。
【0213】
2層被覆物系の方がメタルダスティング耐性に関して単層被覆物より良好に機能することがある。第1の層は拡散障壁、たとえばアルミナ被覆物層などのセラミック被覆物層を含んでよい。アルミナ被覆層は基質の上に直接堆積させてもよく、またはアルミニウム含有金属合金の熱処理由来の熱成長アルミナスケールとして形成させてもよい。一部の市販合金はアルミナ形成材である。そのようなアルミニウム含有金属合金の例はインコネル693(ニッケル、クロムおよびアルミニウムを含有する合金)およびヘインズ(Haynes)214(ニッケル、クロム、アルミニウムおよび鉄を含有する合金)を含んでよい。他の合金の場合には、アルミニウム被覆によって合金の表面を拡散被覆物としてのアルミニナイドに変換してよい。そうすればアルミニウム被覆された合金の熱処理によってアルミナスケールが熱成長することがある。
【0214】
第2の層は、延性があり被覆性のある金属被覆物を含んでよい。用いることができる材料はCu、Cr、Al、Ag、Au、それらの2つ以上の混合物ならびにメタルダスティングされにくい他の素材、たとえば金属炭化物を含んでよい。これらは2つ以上の金属の複合材料を合金、または2層被覆物、または3層被覆物のいずれかとして含んでよい。
【0215】
第2の層はセラミック被覆物を含み、被覆物の系をすべてセラミックにしてもよい。セラミック被覆物は亀裂が入りやすいが、2つの層を用いると、両方の被覆物の中の亀裂の位置が揃って下にある基質合金が露出される可能性を減らすことができる。
図52はインコネル617のクーポンを用いてアルミナ上の炭化チタンのそのような2層セラミック被覆物の性能を示している。
図52に示されているように、小さな重量低下はあるが、被覆されたクーポンは
図50に示されている被覆されていないクーポンより良好な性能を示している。
【0216】
第2の層は依然として延性ではあるがより良好に基質と適合するCTE(coefficient of thermal expansion:熱膨張率)を有する合金被覆物を含んでよい。例としてAl−Cu合金、Al−Ag合金、Al−Cr合金、Cu−Cr合金および類似物を挙げることができる。第2の層としてアルミニウム含有合金を用いる別の利点は、使用する前の専用の熱処理によるかまたは使用する間の自然形成によるかのどちらであっても、それが表面においてアルミナスケールを形成する可能性に関連する。
【0217】
アルミニウム含有被覆物の上にアルミナスケールが形成されると、被覆物の系は3層系になる。層の数が増加するとすべての層を通してピンホールの位置が揃って下にある基質合金の好ましくない曝露を引き起こす可能性を低くすることができる。アルミナ被覆物は金属被覆物の上に直接堆積させてもよい。アルミナ堆積は物理蒸着法(PVD:physical vapor deposition)または化学蒸着法(CVD)を用いることによって実行することができる。
【0218】
層の数がさらに増加すると有利なことがある。例として、インコネル617のクーポンをアルミニウム被覆し、熱処理して熱成長アルミナスケールを発生させてよい。アルミナスケールは約0.5から約1.0ミクロンの厚さを有してよい。次に、陰極アーク堆積法によってクーポンをアルミニウムブロンズの層で被覆してよい。2つの厚さのアルミニウムブロンズ被覆物を試験する。一方は20ミクロンの厚さであり、他方は40ミクロンの厚さである。クーポンを950℃において水素中で4時間処理する。処理後、クーポンの表面はアルミナの表層によって覆われている。これらのクーポンを100℃から850℃の間で12回熱サイクルにかける。各クーポンは亀裂、破砕またはフレーク化などの被覆物の損失または損傷の徴候を示さない。
【0219】
次に、クーポンのメタルダスティング耐性を保護されていないクーポンと共に試験する。試験条件は過酷であり、380psig(1.62MPa)の圧力および620℃の温度において行われる。気体環境は58.4%H
2、18.4%CO、12.3%CO
2、6.1%N
2および4.9%CH
4を含む。気体環境に水蒸気がないので試験は極めて腐食性が高くなる。700時間の試験後、アルミニウムブロンズで被覆されたクーポンは目に見える不良も重量低下も示さない。
図53にこれが示されている。比較すると、SS304クーポンはわずか250時間でひどく腐食している。保護されていないインコネル617の孔食は100から1,000時間の間に起こる。
【0220】
メタルダスティングからの効果的な保護には以下の一連のステップを含めてよい。
ステップ1:アルミナスケールの中に亀裂があれば、CO含有気体流に対処する第1のアルミナスケールが、金属に向かう気体の進入に対する第1の防御線となってよい。
ステップ2:被覆物の中に亀裂があれば、Cu−Al合金など本質的にCOによって攻撃されない浸炭耐性被覆物が、金属に向かうCO進入に対する第2の防御線を構成してよい。
ステップ3:アルミナスケールの中に亀裂があれば、金属に向かう気体の進入に対する第3の防御線を提供する第2のアルミナスケール。
ステップ4:アルミニウム被覆プロセスから形成されてよいCr−Mo相互拡散層がメタルダスティングに対する耐性を増強してよい。
図54および
図55にこれが示されている。
図55はこのゾーンにおいて金属の攻撃が止まった場合を示している。
ステップ5:CO含有流を含む相互接続されたチャネルを有する製品設計。最初の4つの防御線が功を奏さず、孔食の結果であるコーキングが起こったら、気体をデバイス全体に再分布させて反応器の供用を続ける。
ステップ6:刷新−時間の経過とともに炭素蓄積が進み、もはや再分布に効果がなくなったら、溶接されたプレートを分解して表面からコークを除去することができる。プレートを供用に戻すために孔食を受けたゾーンに追加の障壁被覆物を配置してよい。
ステップ7:交換−メタルダスティングを含むプレートを修理することができないなら、反応器全体を再び供用するときに特定のプレートを新しいプレートと交換する。このように、全体を守るために一部を犠牲にする。
【0221】
耐メタルダスティング性被覆物は、メタルダスティングが起こりやすい温度(たとえば約450から約750℃)で運転されるように設計された反応器位置を選択的に被覆することができる。本発明の反応器技術によれば、マスクまたは他の手段を使用して、より高温またはより低温の領域から、あるいはメタルダスティングを発生しない流体を処理するチャネルから被覆物を遮断することが可能になる。
【実施例5】
【0222】
触媒被覆物の刷新
SMR触媒および燃焼触媒は時間とともに活性低下すると予測されることがある。さらに、不適当な運転条件に起因するコーキングなどの望ましくない条件がマイクロチャネルの部分的または全体的な詰まりを引き起こし、不十分な性能に至ることがある。そのような状況において、SMR反応器に触媒被覆物を刷新するかまたは望ましくない堆積物を除去する能力があったなら有利であろう。接合型のマイクロチャネルの内部から被覆された触媒を除去する直截的な方法はない。
【0223】
本発明によって提供される溶接型の製造手法ならSMR反応器を個別プレートへ解体することが可能になり、したがって反応器を溶接する前に可能であったのと同じようにすべてのプレートに接近できるようになる。SMR反応器の中の触媒を刷新するステップは以下のようであってよい。
1.反応器の個別プレートへの解体
プレートおよびマニホールドの周りの溶接部を除去してプレートを取り外してよい。従来の研削および機械加工などの方法を用いて溶接部を除去してよい。プレートを取り外したら、あらゆる変形を点検する。プレートが変形していたら、機械的平坦化の熱アニーリングステップで矯正するかまたは新しいプレートと交換してよい。
2.プレートからの触媒の除去
触媒を除去する場所を特定する。これらの場所を高純度白色アルミナ粒子(220グリットサイズ)で選択的にグリットブラストしてよい。アルミナ粒子の強度は触媒だけが除去されるように調節してよい。壁から触媒を除去するために他のサイズのグリットまたは材料を用いてもよい。壁から使用済み触媒を除去するための代りの方法は音波処理および機械的振動を含んでよい。
図56はCat−プレートのグリットブラスト処理前後の比較を示している。
図57はR−P−プレートのグリットブラスト処理前後の比較を示す。
3.熱処理(任意選択)
プレート上のアルミナスケールが損傷を受けたらプレートを熱処理してアルミナスケールを補充してよい。熱処理の例としては以下挙げることができる。
a.Ar中18ppmのO
2の制御された環境においてプレートを環境温度から1050℃に加熱する。
b.Ar中21%(モル)のO
2中、プレートを1050℃で10時間熱処理する。
c.Ar中21%(モル)のO
2中、プレートを環境温度に冷却する。
あるいは、プレートを開放箱形炉の中で、あるいは希釈空気または未希釈空気の代りの組み合わせを用いて加熱してよい。
4.触媒を塗布する
前と同じ方法を用いて触媒を塗布する。プレートの上でマスクを用いて所望の場所だけに触媒を塗布してよい。触媒を塗布した後にそれを空気中で乾燥させてよい。
5.プレート同士を溶接する
上記と同じ製造ステップを用いてプレート同士を溶接して一緒にしてよい。コアを最初に溶接し、続いてマニホールドの取り付けおよび入口/出口管接続を行ってよい。
6.触媒を活性化し、反応器を運転する
反応器を設備に設置し、そこで触媒を活性化してよい。そうすれば反応器は運転準備完了である。
【実施例6】
【0224】
2つの別個の反応器を用いてSMR反応を行う。「溶接型」反応器と呼ばれる第1の反応器は本発明に従って周縁部溶接およびエクスサイチュ触媒塗布を用いて作られる。「接合型」反応器と呼んでよい他方の反応器は拡散接合およびインサイチュ触媒塗布を用いて作られる。以下の表4に結果が示されている。
【0225】
【表4】
【0226】
さまざまな一実施態様に関連して本発明を説明してきたが、本明細書を読めばそれらのさまざまな変更形が当業者には自明であることを理解するべきである。したがって、本明細書に開示されている発明はそのような変更形を添付の特許請求の範囲に属するものとして包含するものであることを理解するべきである。