特許第6232105号(P6232105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232105
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】振動モーター
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/04 20060101AFI20171106BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H02K33/04 A
   B06B1/04 S
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-126083(P2016-126083)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-85868(P2017-85868A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年6月24日
(31)【優先権主張番号】201510707600.6
(32)【優先日】2015年10月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515342457
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC TECHNOLOGIES PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】王 洪▲興▼
(72)【発明者】
【氏名】毛 路斌
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−023440(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204392054(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第104660003(CN,A)
【文献】 特開2000−354829(JP,A)
【文献】 特開2011−230067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/04
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、振動部材と、前記振動部材に対してその振動方向における弾性回復力を提供するための弾性接続具とを含み、前記弾性接続具は、第1の弾性接続具及び第2の弾性接続具を含み、前記振動部材は、それぞれ前記フレームの両側に設置された第1の振動システムと第2の振動システムを含み、前記第1の弾性接続具の一部は、前記第1の振動システムに接続され、他の一部は、前記フレームの一方の側に接続され、前記第2の弾性接続具の一部は、前記第2の振動システムに接続され、他の一部は、前記フレームの他方の側に接続されており、
前記第1の振動システムは、コイルを含み、前記第2の振動システムは、磁気ギャップを有する磁気回路システムを含み、前記コイルは、少なくとも一部が前記磁気ギャップ内に設置され、前記コイルと前記磁気回路システムとによって生成された駆動力は、前記第1の振動システム又は前記第2の振動システムを同一方向に沿って振動させるように駆動し、
前記第1の振動システム及び前記第2の振動システムに、異なる駆動周波数が与えられ、
前記第1の振動システムは、質量ブロックと、前記質量ブロックの、前記第2の振動システムに向かう表面に貼設された接続プレートとをさらに含み、前記コイルは、前記接続プレートの、前記第2の振動システムに向かう表面に固定され、前記第1の弾性接続具は一部が前記接続プレートに接続され,他の一部が前記フレームに接続されていることを特徴とする振動モーター。
【請求項2】
前記質量ブロックの、前記第2の振動システムに向かう表面にボスが凸設され、前記接続プレートは前記ボスに貼設されていることを特徴とする請求項に記載の振動モーター。
【請求項3】
前記第1の弾性接続具は、前記接続プレートに接続された第1の本体部と、前記第1の本体部に対して中心対称に設置された複数の第1の弾性支持脚とを含み、複数の前記第1の弾性支持脚は前記フレームの一方の側に接続されていることを特徴とする請求項に記載の振動モーター。
【請求項4】
前記第1の本体部はリング状をなしており、前記第1の弾性支持脚は4つあり、前記第1の本体部に対して中心対称に設置されていることを特徴とする請求項に記載の振動モーター。
【請求項5】
前記磁気回路システムは、前記第2の弾性接続具に接続された磁気ヨークと、前記磁気ヨーク内に収納された磁性鋼とを含み、前記磁気ギャップは、前記磁気ヨークと前記磁性鋼との間の隙間により形成されることを特徴とする請求項1に記載の振動モーター。
【請求項6】
前記第2の弾性接続具は、前記磁気ヨークの、前記第1の振動システムに向かう表面に接続された第2の本体部と、前記第2の本体部に対して中心対称に設置された複数の第2の弾性支持脚とを含み、複数の前記第2の弾性支持脚は前記フレームの他方の側に接続されていることを特徴とする請求項に記載の振動モーター。
【請求項7】
前記第2の本体部はリング状をなしており、前記第2の弾性支持脚は4つあり、前記第2の本体部に対して中心対称に設置されていることを特徴とする請求項に記載の振動モーター。
【請求項8】
前記磁気回路システムは、前記磁性鋼に設置されたポールコアをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の振動モーター。
【請求項9】
前記振動モーターは、前記磁気ヨークを収納固定するための下カバーをさらに含み、前記下カバーは、前記フレームに接続されていることを特徴とする請求項に記載の振動モーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動モーターに関する技術であり、特に携帯型の消耗性電子製品に適用可能な振動モーターに関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発展に伴い、携帯型の消費電子製品は、ますます人々に好まれるようになっており、例えば、携帯電話、携帯ゲーム機、ナビゲーション装置又は携帯型マルチメディア娯楽デバイスなどにおいては、通常、振動モーターがシステムのフィードバックとして用いられており、例えば、携帯電話の着信通知、メッセージの通知、ナビゲーション情報の通知、ゲーム機の振動レスポンスなどが挙げられる。
【0003】
縦式振動モーターは、モーターの回転原理を利用して振動を発生させることではなく、共振周波数に基づき、周期的に電磁力を生ずることにより共振を発生させ、これにより、振動を発生させる。
【0004】
関連技術における振動モーターは、動作するとき、振動周波数が単一であり、異な周波数の駆動周波数の場合、それと異なる共振周波数が存在するため、共振状態とすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した振動モーターの振動周波数が単一であるという技術的課題を鑑みて、本発明は振動モーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に提供された振動モーターは、フレームと、振動部材と、前記振動部材に対してその振動方向における弾性回復力を提供するための弾性接続具とを含み、前記弾性接続具は、第1の弾性接続具及び第2の弾性接続具を含み、前記振動部材は、それぞれ前記フレームの両側に設置された第1の振動システムと第2の振動システムを含み、前記第1の弾性接続具の一部は、前記第1の振動システムに接続され、他の一部は、前記フレームの一方の側に接続され、前記第2の弾性接続具の一部は、前記第2の振動システムに接続され、他の一部は、前記フレームの他方の側に接続されている。前記第1の振動システムは、コイルを含み、前記第2の振動システムは、磁気ギャップを有する磁気回路システムを含み、前記コイルは、少なくとも一部が前記磁気ギャップ内に設置され、前記コイルと前記磁気回路システムとによって生成された駆動力は、前記第1の振動システム又は前記第2の振動システムを同一方向に沿って振動させるように駆動する。
【0007】
本発明の好ましい実施例において、前記第1の振動システムは、質量ブロックと、前記質量ブロックの、前記第2の振動システムに向かう表面に貼設された接続プレートとをさらに含み、前記コイルは前記接続プレートの、前記第2の振動システムに向かう表面に固定され、前記第1の弾性接続具は一部が前記接続プレートに接続され,他の一部が前記フレームに接続されている。
【0008】
本発明の好ましい実施例において、前記質量ブロックの、前記第2の振動システムに向かう表面にボスが凸設され、前記接続プレートは前記ボスに貼設されている。
【0009】
本発明の好ましい実施例において、前記第1の弾性接続具は、前記接続プレートに接続された第1の本体部と、前記第1の本体部に対して中心対称に設置された複数の第1の弾性支持脚とを含み、複数の前記第1の弾性支持脚は前記フレームの一方の側に接続されている。
【0010】
本発明の好ましい実施例において、前記第1の本体部はリング状をなしており、前記第1の弾性支持脚は4つあり、前記第1の本体部に対して中心対称に設置されている。
【0011】
本発明の好ましい実施例において、前記磁気回路システムは、前記第2の弾性接続具に接続された磁気ヨークと、前記磁気ヨーク内に収納された磁性鋼とを含み、前記磁気ギャップは、前記磁気ヨークと前記磁性鋼との間の隙間により形成される。
【0012】
本発明の好ましい実施例において、前記第2の弾性接続具は、前記磁気ヨークの、前記第1の振動システムに向かう表面に接続された第2の本体部と、前記第2の本体部に対して中心対称に設置された複数の第2の弾性支持脚とを含み、複数の前記第2の弾性支持脚は前記フレームの他方の側に接続されている。
【0013】
本発明の好ましい実施例において、前記第2の本体部はリング状をなしており、前記第2の弾性支持脚は4つあり、前記第2の本体部に対して中心対称に設置されている。
【0014】
本発明の好ましい実施例において、前記磁気回路システムは、前記磁性鋼に設置されたポールコアをさらに含む。
【0015】
本発明の好ましい実施例において、当該振動モーターは、前記磁気ヨークを収納固定するための下カバーをさらに含み、前記下カバーは、前記フレームに接続されている。
【発明の効果】
【0016】
上記振動モーターに比べ、本発明に提供された振動モーターは、同一の方向に沿って振動する第1の振動システム及び第2の振動システムを備えており、前記振動モーターに異なる駆動周波数を与えるとき、第1の振動システム及び第2の振動システムは、異なる振動感を提供することができるため、振動モーターの性能及びユーザーの体験を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例における技術方案をより明確に説明するために、以下は実施例の説明に用いられる必要な図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明に使用される図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要しないことを前提にして、これらの図面に基づきその他の図面を得ることができる。ここで、
図1】本発明に提供された振動モーターの実施例の斜視分解図である。
図2図1に示された振動モーターの斜視構成図である。
図3図2に示された振動モーターのA−A方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における技術方案について明確に完全に説明をする。当然ながら、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が、進歩性に値する労働を要しないことを前提として得られた全ての他の実施例は、全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0019】
図1図2及び図3を参照し、ここで、図1は、本発明に提供された振動モーターの実施例の斜視分解図であり、図2は、図1に示された振動モーターの斜視図であり、図3は、図2に示された振動モーターのA−A方向における断面図である。前記振動モーター1は、フレーム11と、下カバー12と、振動部材13と、前記振動部材13へのその振動方向における弾性回復力を提供するための弾性接続具14とを含み、前記下カバー12は、前記フレーム11に接続されている。
【0020】
前記弾性接続具14は、第1の弾性接続具141及び第2の弾性接続具142を含み、前記振動部材13は、それぞれ前記フレーム11の両側に設置された第1の振動システム131及び第2の振動システム132を含み、前記第1の弾性接続具141の一部は、前記第1の振動システム131に接続され、他の一部は前記フレーム11の一方の側に接続され、前記第2の弾性接続具142の一部は、前記第2の振動システム132に接続され、他の一部は、前記フレーム11の他方の側に接続されている。図面により分かるように、第1の振動システム131及び第2の振動システム132は、フレーム11の両側に上下に設置されているが、当然ながら、第1の振動システム131及び第2の振動システム132は左右に設置されても良い。
【0021】
前記第1の振動システム131は、コイル1311と、質量ブロック1312と、前記質量ブロック1312の表面に貼設された接続プレート1313とを含む。前記質量ブロック1312の、前記第2の振動システム132に向かう表面にボス1316が凸設されている。前記接続プレート1313は前記ボス1316に貼設されている。前記接続プレート1313は、柱状のリング形の接続プレート本体1314及び前記接続プレート本体1314において被覆された接続部1315を含む。前記コイル1311は前記接続プレート本体1314の、前記第2の振動システム132に向かう表面に固定されている。
【0022】
前記第1の弾性接続具141は、前記接続プレート1313に接続された第1の本体部1411、及び、前記第1の本体部1411に対して中心対称に設置された複数の第1の弾性支持脚1412を含み、複数の前記第1の弾性支持脚1412は前記フレーム11の一方の側に接続されている。第1の本体部1411は接続部1315の外縁に接続されている。好ましくは、前記第1の本体部1411はリング状をなしており、前記第1の弾性支持脚1412は4つあり、前記第1の本体部1411に対して中心対称に設置されている。
【0023】
前記第2の振動システム132は、磁気回路システム1321を含む。前記磁気回路システム1321は、前記第2の弾性接続具142に接続された磁気ヨーク1324、前記磁気ヨーク1324内に収納された磁性鋼1325、及び前記磁性鋼1325の表面に設置されたポールコア1323を含む。前記磁気ヨーク1324と前記磁性鋼1325との間の隙間は磁気ギャップ1322を形成する。前記コイル1311の下端は磁気ギャップ1322内に設置されている。前記磁気ヨーク1324はフレーム11に接続された下カバー12により、固定される。具体的には、前記フレーム11の他端に接続柱111が形成されており、前記下カバー12は接続孔121を有し、前記接続孔121は前記接続柱111の位置に対応し、数も寸法も同じであり、前記フレーム11は、前記接続柱111を前記下カバー12の前記接続孔121に挿設することにより固定される。具体的には、前記接続柱111及び前記接続孔121の数はいずれも4つである。
【0024】
前記磁気ヨーク1324は、磁気ヨーク本体1326及び前記磁気ヨーク本体1326の上端面から折り曲げ延びて、形成された段差部1327を含む。前記第2の弾性接続具142は、前記段差部1327に接続された第2の本体部1421、及び、前記第2の本体部1421に対して中心対称に設置された複数の第2の弾性支持脚1422を含み、複数の前記第2の弾性支持脚1422は前記フレーム11の他方の側に接続されている。前記第2の本体部1421はリング状をなしており、前記第2の弾性支持脚1422は4つあり、前記第2の本体部1421に対して中心対称に設置されている。
【0025】
コイル1311に通電するとき、磁気回路システム1321と駆動力を生成し、第1の振動システム131及び第2の振動システム132を図面における垂直方向に沿って振動させるように駆動する。例えば、前記第1の振動システム131の共振周波数をf01とし、前記第2の振動システム132の共振周波数をf02とする。電流信号の周波数が第1の振動システム131の共振周波数f01に等しい時、第1の振動システム131が共振状態となり、そのとき、第2の振動システム132がまだ共振状態となっておらず、振動が弱い。電流信号の周波数が第2の振動システム132の共振周波数f02に等しい時、第2の振動システム132が共振状態となり、そのとき、第1の振動システム131がまだ共振状態となっておらず、振動が弱い。
【0026】
以上に説明した通り、前記振動モーターに異なる駆動周波数を与えるとき、第1の振動システム及び第2の振動システムは、異なる振動感を提供することができるため、振動モーターの性能及びユーザーの体験を向上させることができる。
【0027】
上述したのは、本発明の実施形態に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。本発明の明細書及び図面の内容に基づいて行う等価構成又は等価変換フロー、あるいは他の関連技術分野における直接又は間接運用は、全て同様に本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3