特許第6232118号(P6232118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232118ターボファンエンジンで使用するためのケーシングおよびこれから流体を排出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232118
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】ターボファンエンジンで使用するためのケーシングおよびこれから流体を排出する方法
(51)【国際特許分類】
   F02K 3/06 20060101AFI20171106BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20171106BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   F02K3/06
   F01D25/12 E
   F02C7/00 E
   F02C7/00 F
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-222582(P2016-222582)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2017-129118(P2017-129118A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年1月23日
(31)【優先権主張番号】14/955,327
(32)【優先日】2015年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・ウェイン・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・マイケル・トンプキンス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アラン・ニアーガース
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第2746542(EP,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第2853759(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2672071(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0199445(US,A1)
【文献】 特開2008−106746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/12
F02C 7/00
F02K 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボファンエンジン(100)で使用するためのケーシング(132)であって、前記ケーシング(132)は、
前記ケーシング(132)のほぼ下死点に画定された第1の流体開口部(140)を含む内側ハブ(134)と、
前記内側ハブ(134)から半径方向外側に配置された中間ケーシング(136)と、
前記中間ケーシング(136)から半径方向外側に配置された外側ケーシング(138)と、
前記内側ハブ(134)の周りに円周方向に離間して配置され、かつ前記内側ハブ(134)と前記外側ケーシング(138)との間に延在する複数の支柱と、を含み、前記複数の支柱は、前記ケーシング(132)の下死点の両側に配置された第1の支柱(144)および第2の支柱(146)を含み、そのようにして前記内側ハブ(134)と、前記中間ケーシング(136)と、前記第1および第2の支柱(144,146)と、の間に第1の流体サンプ(148)が画定され、前記第1および第2の支柱(144,146)の少なくとも一方は、これを貫通して延在する流路(150、152)を含み、そのようにして前記第1の流体開口部(140)から、前記第1の流体サンプ(148)を通り、前記流路(150、152)を通る流体流経路(154、156)が画定される、ケーシング(132)。
【請求項2】
請求項1に記載のケーシング(132)であって、前記第1の支柱(144)は、これを貫通して延在する第1の流路(150)を含み、前記第2の支柱(146)は、これを貫通して延在する第2の流路(152)を含む、ケーシング(132)。
【請求項3】
請求項2に記載のケーシング(132)であって、前記第1の流体開口部(140)から、前記第1の流体サンプ(148)を通り、前記第1の流路(150)を通る第1の流体流経路(154)が画定され、前記第1の流体開口部(140)から、前記第1の流体サンプ(148)を通り、前記第2の流路(152)を通る第2の流体流経路(156)が画定される、ケーシング(132)。
【請求項4】
請求項1に記載のケーシング(132)であって、前記複数の支柱は、前記第1の支柱(144)から円周方向に離間し、かつ前記第2の支柱(146)の反対側に配置された第3の支柱(158)をさらに含み、そのようにして前記第1の支柱(144)と前記第3の支柱(158)との間に第2の流体サンプ(162)が画定され、前記複数の支柱は、前記第2の支柱(146)から円周方向に離間し、かつ前記第1の支柱(144)の反対側に配置された第4の支柱(160)をさらに含み、そのようにして前記第2の支柱(146)と前記第4の支柱(160)との間に第3の流体サンプ(164)が画定される、ケーシング(132)。
【請求項5】
請求項4に記載のケーシング(132)であって、前記内側ハブ(134)は、前記内側ハブ(134)内に画定され、かつ前記第1の支柱(144)と前記第3の支柱(158)との間に配置された第2の流体開口部(166)と、前記内側ハブ(134)内に画定され、かつ前記第2の支柱(146)と前記第4の支柱(160)との間に配置された第3の流体開口部(168)と、を含む、ケーシング(132)。
【請求項6】
請求項1に記載のケーシング(132)であって、前記ケーシング(132)の下死点からオフセットされた円周方向位置において前記内側ハブ(134)内に画定された流体スクープ(182)をさらに含む、ケーシング(132)。
【請求項7】
請求項6に記載のケーシング(132)であって、前記流体スクープ(182)は、前記内側ハブ(134)の半径方向内面から半径方向にオフセットされたガイド部材(188)により画定されたスクープ開口部(184)を含む、ケーシング(132)。
【請求項8】
請求項7に記載のケーシング(132)であって、前記流体スクープ(182)を前記流路(150、152)と流体連通して結合する収集器(186)をさらに含み、そのようにして前記スクープ開口部(184)から、前記収集器(186)を通り、前記第1および第2の支柱(144,146)の少なくとも一方に画定された前記流路(150、152)を通る第3の流体流経路(170)が画定される、ケーシング(132)。
【請求項9】
航空機で使用するためのターボファンエンジン(100)であって、前記ターボファンエンジン(100)は、
ギヤボックス(128)と、
前記ギヤボックス(128)を少なくとも部分的に囲むケーシング(132)と、を含み、前記ケーシング(132)は、
前記ケーシング(132)のほぼ下死点に画定された第1の流体開口部(140)を含む内側ハブ(134)と、
前記内側ハブ(134)から半径方向外側に配置された中間ケーシング(136)と、
前記中間ケーシング(136)から半径方向外側に配置された外側ケーシング(138)と、
前記内側ハブ(134)の周りに円周方向に離間して配置され、かつ前記内側ハブ(134)と前記外側ケーシング(138)との間に延在する複数の支柱と、を含み、前記複数の支柱は、前記ケーシング(132)の下死点の両側に配置された第1の支柱(144)および第2の支柱(146)を含み、そのようにして前記内側ハブ(134)と、前記中間ケーシング(136)と、前記第1および第2の支柱(144,146)と、の間に第1の流体サンプ(148)が画定され、前記第1および第2の支柱(144,146)の少なくとも一方は、これを貫通して延在する流路(150、152)を含み、そのようにして前記第1の流体開口部(140)から、前記第1の流体サンプ(148)を通り、前記流路(150、152)を通る第1の流体流経路(154)が画定される、ターボファンエンジン(100)。
【請求項10】
請求項9に記載のターボファンエンジン(100)であって、前記流路(150、152)と流体連通して結合された少なくとも1つの吸引装置(174,176,177)をさらに含み、前記少なくとも1つの吸引装置(174,176,177)は、前記第1の流体サンプ(148)内の負圧を維持するように構成される、ターボファンエンジン(100)。
【請求項11】
請求項10に記載のターボファンエンジン(100)であって、前記少なくとも1つの吸引装置(174,176,177)は、前記第1の支柱(144)内に画定された第1の流路(150)および前記第2の支柱(146)内に画定された第2の流路(152)と流体連通して結合された第1の吸引装置(174)を含む、ターボファンエンジン(100)。
【請求項12】
請求項11に記載のターボファンエンジン(100)であって、
前記第1の流路(150)および前記第2の流路(152)と流体連通して結合された少なくとも1つのバルブ(179、181、183、185)と、
前記第1の吸引装置(174)および前記少なくとも1つのバルブ(179、181、183、185)と通信可能に結合された作動装置(178)と、を含み、前記作動装置(178)は、ロール軸に対する前記ターボファンエンジン(100)の向きに基づいて、前記第1の吸引装置(174)および前記少なくとも1つのバルブ(179、181、183、185)を選択的に作動させるように構成される、ターボファンエンジン(100)。
【請求項13】
請求項9に記載のターボファンエンジン(100)であって、前記複数の支柱は、前記第1の支柱(144)から円周方向に離間し、かつ前記第2の支柱(146)の反対側に配置された第3の支柱(158)をさらに含み、そのようにして前記第1の支柱(144)と前記第3の支柱(158)との間に第2の流体サンプ(162)が画定され、前記複数の支柱は、前記第2の支柱(146)から円周方向に離間し、かつ前記第1の支柱(144)の反対側に配置された第4の支柱(160)をさらに含み、そのようにして前記第2の支柱(146)と前記第4の支柱(160)との間に第3の流体サンプ(164)が画定される、ターボファンエンジン(100)。
【請求項14】
請求項9に記載のターボファンエンジン(100)であって、前記内側ハブ(134)は、前記ケーシング(132)の下死点からオフセットされた円周方向位置において前記内側ハブ(134)内に画定された流体スクープ(182)を含む、ターボファンエンジン(100)。
【請求項15】
ターボファンエンジン(100)で使用するためのケーシング(132)を組み立てる方法であって、前記方法は、
内側ハブ(134)から半径方向外側に中間ケーシング(136)を配置するステップであって、前記内側ハブ(134)は、前記ケーシング(132)のほぼ下死点に画定された第1の流体開口部(140)を含む、ステップと、
前記中間ケーシング(136)から半径方向外側に外側ケーシング(138)を配置するステップと、
複数の支柱を前記内側ハブ(134)の周りに円周方向に離間して配置するステップと、を含み、前記複数の支柱は、前記内側ハブ(134)と前記外側ケーシング(138)との間に延在し、前記複数の支柱は、前記ケーシング(132)の下死点の両側に配置された第1の支柱(144)および第2の支柱(146)を含み、そのようにして前記内側ハブ(134)と、前記中間ケーシング(136)と、前記第1および第2の支柱(144,146)と、の間に第1の流体サンプ(148)が画定され、前記第1および第2の支柱(144,146)の少なくとも一方は、これを貫通して延在する流路(150、152)を含み、そのようにして前記第1の流体開口部(140)から、前記第1の流体サンプ(148)を通り、前記流路(150、152)を通る流体流経路(154、156、170、172)が画定される、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1の支柱(144)を貫通して延在する第1の流路(150)を画定するステップと、
前記第2の支柱(146)を貫通して延在する第2の流路(152)を画定するステップと、をさらに含む方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、複数の支柱を離間して配置するステップは、
第3の支柱(158)を前記第1の支柱(144)から円周方向に、かつ前記第2の支柱(146)の反対側に離間して配置するステップであって、そのようにして前記第1の支柱(144)と前記第3の支柱(158)との間に第2の流体サンプ(162)が画定される、ステップと、
第4の支柱(160)を前記第2の支柱(146)から円周方向に、かつ前記第1の支柱(144)の反対側に離間して配置するステップであって、そのようにして前記第2の支柱(146)と前記第4の支柱(160)との間に第3の流体サンプ(164)が画定される、ステップと、を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記内側ハブ(134)内で前記第1の支柱(144)と前記第3の支柱(158)との間に配置された第2の流体開口部(166)を画定するステップと、
前記内側ハブ(134)内で前記第2の支柱(146)と前記第4の支柱(160)との間に配置された第3の流体開口部(168)を画定するステップと、をさらに含む方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、前記ケーシング(132)の下死点からオフセットされた円周方向位置において前記内側ハブ(134)内に流体スクープ(182)を画定するステップをさらに含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記流体スクープ(182)のガイド部材(188)を、前記ガイド部材(188)が前記内側ハブ(134)の半径方向内面から半径方向にオフセットされるように延在させるステップをさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般的にはターボファンエンジンに関し、より具体的には、ターボファンエンジン内の潤滑流体を排出するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボファンエンジンなどの少なくともいくつかの公知のガスタービンエンジンは、ファン、コアエンジン、および動力タービンを含む。コアエンジンは、少なくとも1つの圧縮機、燃焼器、および直列の流れの関係で互いに結合された高圧タービンを含む。より具体的には、圧縮機および高圧タービンは、第1の駆動シャフトを介して結合され、高圧ロータアセンブリを形成する。コアエンジンに入った空気は、燃料と混合され点火されて、高エネルギーガス流を形成する。高エネルギーガス流は、高圧タービンを通って流れ、シャフトが圧縮機を回転可能に駆動するように高圧タービンを回転可能に駆動する。ガス流は、高圧タービンの後方に配置された動力または低圧タービンを通って流れるにつれて膨張する。低圧タービンは、第2の駆動シャフトに結合されたファンを有するロータアセンブリを含む。低圧タービンは、第2の駆動シャフトを介してファンを回転可能に駆動する。
【0003】
ターボファンエンジンの駆動シャフトは、通常、1つまたは複数の軸受により支持されており、少なくともいくつかの公知のターボファンは、低圧タービンとファンとの間の駆動シャフトに沿って結合された減速ギヤボックスを含む。ギヤボックスは、低圧タービンの速度からファン先端の速度を分離することを容易にする。オイルなどの潤滑流体は、通常、ターボファンエンジンの動作中に軸受およびギヤボックスに供給される。潤滑流体は、軸受およびギヤボックスの潤滑を容易にし、またこれらから熱を除去することを容易にする。より具体的には、潤滑流体は、通常、潤滑されている部品から排出され、ターボファンエンジン内のファン・フレーム・キャビティから排出され、継続して使用するために再循環される。少なくともいくつかの公知のファンフレームは、ファン・フレーム・キャビティから潤滑流体を排出するためのボルト留めスクープを含む。しかし、ファン・フレーム・キャビティ内の半径方向空間は一般的に限られているので、ファン・フレーム・キャビティ内に配置される部品の半径方向高さを低くすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8985277号明細書
【発明の概要】
【0005】
一態様では、ターボファンエンジンで使用するためのケーシングが提供される。ケーシングは、内側ハブと、内側ハブから半径方向外側に配置された中間ケーシングと、中間ケーシングから半径方向外側に配置された外側ケーシングと、内側ハブの周りに円周方向に離間して配置され、かつ内側ハブと外側ケーシングとの間に延在する複数の支柱と、を含む。複数の支柱のうちの少なくとも1つの支柱は、これを貫通して延在する流路を含む。ケーシングはまた、内側ハブ内に画定された流体スクープと、流体スクープを流路と流体連通して結合する収集器を含む。
【0006】
別の態様では、航空機で使用するためのターボファンエンジンが提供される。ターボファンエンジンは、ギヤボックスと、ギヤボックスを少なくとも部分的に囲むケーシングと、を含む。ケーシングは、内側ハブと、内側ハブから半径方向外側に配置された中間ケーシングと、中間ケーシングから半径方向外側に配置された外側ケーシングと、内側ハブの周りに円周方向に離間して配置され、かつ内側ハブと外側ケーシングとの間に延在する複数の支柱と、を含む。複数の支柱のうちの少なくとも1つの支柱は、これを貫通して延在する流路を含む。ケーシングはまた、内側ハブ内に画定された流体スクープと、流体スクープを流路と流体連通して結合する収集器を含む。
【0007】
さらに別の態様では、ターボファンエンジンで使用するためのケーシングを組み立てる方法が提供される。本方法は、内側ハブから半径方向外側に中間ケーシングを配置するステップと、中間ケーシングから半径方向外側に外側ケーシングを配置するステップと、複数の支柱を内側ハブの周りに円周方向に離間して配置するステップと、を含む。複数の支柱は、内側ハブと外側ケーシングとの間に延在し、複数の支柱のうちの少なくとも1つの支柱は、これを貫通して延在する流路を含む。本方法はまた、内側ハブ内に流体スクープを画定するステップと、流体スクープが流路と流体連通して結合されるように、流体スクープと流路との間に収集器を延在させるステップと、を含む。
【0008】
本開示のこれらの、ならびに他の特徴、態様および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、類似する符号は類似する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的なターボファンエンジンの断面図である。
図2図1に示すターボファンエンジンで使用することができるケーシングの第1の部分の領域2を拡大した断面図である。
図3図2に示すケーシングの第1の部分の断面斜視図である。
図4図2に示したケーシングの第1の部分の代替的な実施形態の断面斜視図である。
図5図1に示すターボファンエンジンで使用することができるケーシングの第2の部分の領域4を拡大した断面図である。
図6図4に示すケーシングの第2の部分の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に明記しない限り、本明細書において提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を例示するものである。これらの特徴は、本開示の1つまたは複数の実施形態を含む多種多様なシステムで適用できると考えられる。したがって、図面は、本明細書に開示される実施形態の実施のために必要とされる当業者に知られているすべての従来の特徴を含むわけではない。
【0011】
以下の明細書および特許請求の範囲において、いくつかの用語に言及するが、これらは以下の意味を有すると規定する。
【0012】
単数形「1つの(a、an)」、および「この(the)」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の言及を含む。
【0013】
「任意の」または「任意に」は、続いて記載された事象または状況が生じてもよいし、また生じなくてもよいことを意味し、かつ、その説明が、事象が起こる場合と、これが起こらない場合と、を含むことを意味する。
【0014】
近似する文言は、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたってここで用いられるように、これが関連する基本的機能の変更をもたらすことなく許容範囲で変化することができる定量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」等の用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似する文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、これに包含されるすべての部分範囲を含む。
【0015】
本明細書で用いる「軸方向の」および「軸方向に」という用語は、タービンエンジンの中心線に対して実質的に平行に延びる方向および向きを指す。また、「半径方向の」および「半径方向に」という用語は、タービンエンジンの中心線に対して実質的に垂直に延びる方向および向きを指す。さらに、本明細書で使用する「円周方向の」および「円周方向に」という用語は、タービンエンジンの中心線の周りに円弧状に延びる方向および向きを指す。
【0016】
本開示の実施形態は、一体型駆動ターボファンエンジンまたはアンダクテッド単一ファン・ターボプロップ・エンジンなどのタービンエンジン、およびその製造方法に関する。より具体的には、本明細書で説明するタービンエンジンは、ファン・フレーム・キャビティ内から潤滑流体を排出することを容易にするように設計されたケーシングを含む。たとえば、ケーシングは、ケーシングのほぼ下死点に配置された流体サンプと、流体サンプを少なくとも部分的に画定する一対の支柱と、を含む。潤滑流体がファン・フレーム・キャビティから、流体サンプを通って、支柱内に画定された流路を通って導かれることができるように、流路が支柱の少なくとも1つに画定されている。また、ケーシングは、ターボファンエンジンの動作中にファン・フレーム・キャビティ内から半径方向外側に排出された潤滑流体を収集するための、ケーシング内に画定された少なくとも1つの接線方向/軸方向の流体スクープを含む。そのようにして、ケーシング内の除去機能の組み合わせが、ファン・フレーム・キャビティから潤滑流体をより効率的で軽量で省スペースなやり方で排出することを可能にし、これによって入口拡散損失を低減し、燃料燃焼を改善させる。
【0017】
図1は、ファンアセンブリ102、低圧またはブースタ圧縮機104、高圧圧縮機106、および燃焼器アセンブリ108を含む例示的なターボファンエンジン100の概略図である。ファンアセンブリ102、ブースタ圧縮機104、高圧圧縮機106、および燃焼器アセンブリ108は、流体連通して結合される。ターボファンエンジン100はまた、燃焼器アセンブリ108および低圧タービン112と流体連通して結合された高圧タービン110を含む。ファンアセンブリ102は、ロータディスク116から半径方向外側に延在するファンブレード114のアレイを含む。低圧タービン112は、第1の駆動シャフト118を介してファンアセンブリ102およびブースタ圧縮機104に結合され、高圧タービン110は、第2の駆動シャフト120を介して高圧圧縮機106に結合される。ターボファンエンジン100は、吸気口122、排気装置124、および中心線126を含み、中心線126を中心として、ファンアセンブリ102、ブースタ圧縮機104、高圧圧縮機106、およびタービンアセンブリ110、112が回転する。さらに、減速ギヤボックス128は、ファンアセンブリ102と低圧タービン112との間の第1の駆動シャフト118に沿って結合される。
【0018】
動作時には、吸気口122を通ってターボファンエンジン100に入る空気は、ファンアセンブリ102を通ってブースタ圧縮機104に向かって導かれる。圧縮された空気は、ブースタ圧縮機104から高圧圧縮機106に向かって排出される。高度に圧縮された空気は、高圧圧縮機106から燃焼器アセンブリ108に向かって導かれ、燃料と混合されて、混合気が燃焼器アセンブリ108内で燃焼される。燃焼器アセンブリ108によって生成された高温の燃焼ガスは、タービンアセンブリ110、112に向かって導かれる。低圧タービン112は、第1の回転速度で回転し、ギヤボックス128は、ファンアセンブリ102が第1の回転速度よりも低い第2の回転速度で動作するように、動作する。燃焼ガスは、その後排気装置124を経由してタービン・エンジン・アセンブリ100から排出される。
【0019】
図2は、ターボファンエンジン100(図1に示す)で使用することができるケーシング132の第1の部分130の拡大断面図であり、図3は、ケーシング132の第1の部分130の断面斜視図である。例示的な実施形態では、ケーシング132は、内側ハブ134と、内側ハブ134から半径方向外側に配置された中間ケーシング136と、中間ケーシング136から半径方向外側に配置された外側ケーシング138と、を含む。内側ハブ134は、ケーシング132のほぼ下死点に画定された第1の流体開口部140を含む。ケーシング132の下死点は、一般的に、ターボファンエンジン100を中心線126に沿って軸方向に見た場合に、中心線126(図1に示す)に対して約180°±約5°の位置で定義される。したがって、第1の流体開口部140は、重力排出によりファン・フレーム・キャビティ142内を流れる潤滑流体を収集するように配置される。
【0020】
ケーシング132はまた、内側ハブ134の周りに円周方向に離間して配置され、かつ内側ハブ134と外側ケーシング138との間に延在する複数の支柱を含む。一実施形態では、複数の支柱は、ケーシング132の下死点の両側に配置された第1の支柱144および第2の支柱146を含み、そのようにして内側ハブ134と、中間ケーシング136と、第1および第2の支柱144、146と、の間に第1の流体サンプ148が画定される。第1および第2の支柱144、146の少なくとも一方は、これを貫通して延在する流路を含む。より具体的には、第1の支柱144は、これを貫通して延在する第1の流路150を含み、第2の支柱146は、これを貫通して延在する第2の流路152を含む。各支柱はまた、第1の流体サンプ148を各流路と流体連通して結合するための、その中に画定された開口部(図示せず)を含む。このようにして、第1の流体開口部140から、第1の流体サンプ148を通り、第1の流路150および第2の流路152の少なくとも一方を通る流体流経路が画定される。より具体的には、第1の流体開口部140から、第1の流体サンプ148を通って、第1の流路150を通る第1の流体流経路154が画定され、また第1の流体開口部140から、第1の流体サンプ148を通って、第2の流路152を通る第2の流体流経路156が画定される。第1の流体流経路154および第2の流体流経路156は、潤滑流体がファン・フレーム・キャビティ142から収集され、ケーシング132から排出され得るように配向される。
【0021】
複数の支柱はまた、第2の支柱146の反対側にある第1の支柱144から円周方向に離間した第3の支柱158と、第1の支柱144の反対側にある第2の支柱146から円周方向に離間した第4の支柱160と、を含む。第1の支柱144と第3の支柱158との間に第2の流体サンプ162が画定され、第2の支柱146と第4の支柱160との間に第3の流体サンプ164が画定される。内側ハブ134はまた、その中に画定され、かつ第1の支柱144と第3の支柱158との間に配置された第2の流体開口部166と、その中に画定され、かつ第2の支柱146と第4の支柱160との間に配置された第3の流体開口部168を含む。第2の流体開口部166および第3の流体開口部168は、一般的に、ケーシング132の下死点からオフセットされる。このようにして、第2の流体開口部166から、第2の流体サンプ162を通って、第1の流路150を通る第3の流体流経路170が画定され、また第3の流体開口部168から、第3の流体サンプ164を通って、第2の流路152を通る第4の流体流経路172が画定される。ターボファンエンジン100がそのロール軸に対して傾いている場合には、第3の流体流経路170および第4の流体流経路172は、潤滑流体がファン・フレーム・キャビティ142から収集され、ケーシング132から排出され得るように配向される。ターボファンエンジン100のロール軸は、中心線126(図1に示す)と実質的に同軸に整列されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの吸引装置は、第1および第2の支柱144、146に画定された第1および第2の流路150、152と流体連通して結合される。より具体的には、一実施形態では、第1の吸引装置174は第1の支柱144および第3の支柱158と連通して結合され、第2の吸引装置176は第1の支柱144および第2の支柱146と連通して結合され、第3の吸引装置177は第2の支柱146および第4の支柱160と連通して結合される。少なくとも1つの吸引装置は、第1の流体サンプ148内の、いくつかの実施形態では、第2および第3の流体サンプ162、164内の負圧を維持することを容易にして、流体開口部140、166、168を通して潤滑流体を排出するために重力と組み合わせて用いる場合に、潤滑流体の収集を強化する。
【0023】
さらに、例示的な実施形態では、作動装置178は、吸引装置174、176、177と、ならびに第1の流路150と流体連通して結合された第1のバルブ179および第2の流路152と流体連通して結合された第2のバルブ181と、通信可能に結合される。作動装置178は、ロール軸に対するターボファンエンジン100の向きを決定することができ、ターボファンエンジン100の向きに基づいて、吸引装置174、176、177、およびバルブ179、181を選択的に作動させることを容易にする。より具体的には、作動装置178は、ターボファンエンジン100(図1に示す)がロール軸の周りに回転する場合に空気が第1および第2の流路150、152を通して引き出されないことを確実にするように動作することができる。たとえば、第1の流体開口部140がターボファンエンジン100の約6時の位置にあるように、ターボファンエンジン100が配向された場合に、作動装置178は、バルブ179、181を開位置にし、第2の吸引装置176を動作させる。第2の流体開口部166が約6時の位置にある場合には、作動装置178は、流体が第1の支柱144および第3の支柱158を通して引き出されるように、バルブ181を閉じ、第1の吸引装置174を動作させる。作動装置178は、第3の流体開口部168が約6時の位置にある場合にも同様に動作する。このように、バルブ179、181を選択的に開閉し、かつ少なくとも1つの吸引装置を選択的に動作させることにより、ターボファンエンジン100の向きに基づいて支柱を通して引き出される空気量を減少させることが容易になる。
【0024】
作動装置178は、限定はしないが、フロートバルブを含む、システムが本明細書に記載したように機能することを可能にする任意の適切な装置であってもよい。このように、作動装置178は、ターボファンエンジン100が傾いている場合に、空気ではなく、潤滑流体が第1の流路150または第2の流路152のいずれかを通って引き出されることを確実にすることを容易にし、これによって第1の流体サンプ148内の流体レベルを変化させる。
【0025】
図4を参照すると、支柱を通して引き出される空気量を減少させるための代替的な実施形態が示されている。例示的な実施形態では、第3のバルブ183は、第1の支柱144および第3の支柱158の下流側に結合され、第4のバルブ185は、第2の支柱146および第4の支柱160の下流側に結合される。単一の吸引装置174は、流体サンプ内の負圧を生成するように動作し、第3および第4のバルブ183、185は、ロール軸に対するターボファンエンジン100の向きに基づいて選択的に動作することができ、ターボファンエンジン100の向きに基づいて支柱を通して引き出される空気量の低減を容易にする。
【0026】
図5は、ターボファンエンジン100(図1に示す)で使用することができるケーシング132の第2の部分180の拡大断面図であり、図6は、ケーシング132の第2の部分180の断面斜視図である。例示的な実施形態では、流体スクープ182は、ケーシング132の下死点からオフセットされた円周方向位置において内側ハブ134内に画定される。動作時には、潤滑流体の少なくとも一部は、内側ハブ134に向かって半径方向外側に排出される。流体スクープ182は、内側ハブ134で受け取った潤滑流体を収集するためのスクープ開口部184を含み、そのようにして潤滑流体がより効率的な方法でファン・フレーム・キャビティ142から排出される。収集器186は、流体スクープ182を、第1および第2の支柱144、146(図3に示す)の少なくとも一方に画定された流路と流体連通して結合する。より具体的には、収集器186は、ケーシング132内で円周方向に延在し、内側ハブ134および中間ケーシング136によって少なくとも部分的に画定される。このようにして、スクープ開口部184から、収集器186を通って、第1および第2の支柱144、146の少なくとも一方に画定された流路を通る第5の流体流経路が画定される。さらに、1つの流体スクープ182を含むものとして示しているが、複数の流体スクープを、異なる円周方向位置で内側ハブ134内に画定することができることを理解されたい。
【0027】
図6を参照すると、流体スクープ182は、内側ハブ134の半径方向内面190から半径方向にオフセットされたガイド部材188によって画定されるスクープ開口部184を含む。より具体的には、ガイド部材188の少なくとも一部が収集器186内に位置するように、ガイド部材188は半径方向外向きの方向に延在する。より具体的には、ガイド部材188は、半径方向内面190と実質的に同一平面上の第1の端部192と、第1の端部192から延在する第2の端部194と、を含む。いくつかの実施形態では、潤滑流体は、内側ハブ134の半径方向内面190に沿って流れる。ガイド部材188は、第2の端部194がケーシング132の中心線126に対して第1の端部192から円周方向にオフセットされるように配向される。このようにして、スクープ開口部184は、空間を節約するように半径方向内面190に形成される。あるいは、流体スクープ182は、内側ハブ134に一体的に鋳造または溶接することができる。例示的な実施形態では、ガイド部材188の向きは、半径方向内面190に沿って流れる潤滑流体の流れと実質的に整列している。収集器186内の潤滑流体は、ケーシング132の下死点に向かって重力排出が可能になる。代替的な実施形態では、流体スクープ182は、潤滑流体がファン・フレーム・キャビティ142から排出されることを可能にする任意の構成を有することができる。
【0028】
本書に記載した方法、システム、および装置の技術的効果は、(a)ファン・フレーム・キャビティから潤滑流体を排出すること、(b)ファン・ハブ・フレームの下の半径方向空間の利用度を向上させること、(c)排出システムの排出効率を向上させること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
以上、ターボファンエンジンで使用するための排出システムの例示的な実施形態を詳細に記載している。排出システムは、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、システムの構成要素および/または方法のステップは、本明細書に記載した他の構成要素および/またはステップから独立に、かつ別個に利用することができる。たとえば、排出システムはまた、キャビティから流体を収集することから利益を得る他のシステムと組み合わせて使用することができ、本明細書に記載したシステムおよび方法のみを用いて実施することに限定されるものではない。むしろ、例示的な実施形態は、他の多くの機械用途と関連して実現および利用することができる。
【0030】
本開示の様々な実施形態の具体的な特徴をいくつかの図面には示してあって、他の図面には示していないが、これは単に便宜上のためである。本開示の原理によれば、図面の任意の特徴は、他の任意の図面の任意の特徴と組み合わせて参照および/または請求することができる。
【0031】
本明細書は、実施形態を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も実施形態を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本開示の特許され得る範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例が請求項の字義通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、または、これらが請求項の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。
【符号の説明】
【0032】
100 ターボファンエンジン、タービン・エンジン・アセンブリ
102 ファンアセンブリ
104 ブースタ圧縮機
106 高圧圧縮機
108 燃焼器アセンブリ
110 高圧タービン、タービンアセンブリ
112 低圧タービン、タービンアセンブリ
114 ファンブレード
116 ロータディスク
118 第1の駆動シャフト
120 第2の駆動シャフト
122 吸気口
124 排気装置
126 中心線
128 減速ギヤボックス
130 第1の部分
132 ケーシング
134 内側ハブ
136 中間ケーシング
138 外側ケーシング
140 第1の流体開口部
142 ファン・フレーム・キャビティ
144 第1の支柱
146 第2の支柱
148 第1の流体サンプ
150 第1の流路
152 第2の流路
154 第1の流体流経路
156 第2の流体流経路
158 第3の支柱
160 第4の支柱
162 第2の流体サンプ
164 第3の流体サンプ
166 第2の流体開口部
168 第3の流体開口部
170 第3の流体流経路
172 第4の流体流経路
174 第1の吸引装置
176 第2の吸引装置
177 第3の吸引装置
178 作動装置
179 第1のバルブ
180 第2の部分
181 第2のバルブ
182 流体スクープ
183 第3のバルブ
184 スクープ開口部
185 第4のバルブ
186 収集器
188 ガイド部材
190 半径方向内面
192 第1の端部
194 第2の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6