(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
エンジンやトランスミッションを電子制御する電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)は、車載バッテリ電圧を外部からの入力電圧として用い、このバッテリ電圧を所定の電圧に調整し、様々な給電対象に対して適切な電圧及び電流を供給する電源制御装置を搭載している。給電対象には、ECU内部に搭載されるマイクロコントローラや各種IC(Integrated Circuit)、ECU外部に接続されている各種センサ、等がある。給電対象へ供給する電圧は、通常、車載バッテリ電圧よりも低いため、電源制御装置では、車載バッテリ電圧を給電対象の入力電圧として適した電圧に降圧する。
【0003】
近年、燃費向上策として、車両停車時にエンジンのアイドリングを停止するアイドリングストップシステムを搭載する車両が増加している。アイドリングストップ状態からエンジンを再始動する際にスタータを駆動する必要があるが、このスタータ駆動はバッテリから電力を供給するため、一時的なバッテリ電圧低下が生じる。そのため、ECUは今までよりも頻繁にバッテリ低電圧時の動作が要求されるため、バッテリ低電圧時の確実な動作保証が必要となる。電源制御装置としてはバッテリ低電圧時においても、給電対象に対して適切な電圧及び電流の供給を維持することが求められる。
【0004】
従来から、この種の電源制御装置として、電力変換効率と出力電圧リップルを考慮し、降圧スイッチングレギュレータと、シリーズレギュレータで構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。一般的に降圧スイッチングレギュレータはシリーズレギュレータと比較して高効率な電力変換を可能とするが、出力電圧リップルはシリーズレギュレータと比較して大きく、これは、例えば、AD(Analog Digital)変換回路の基準電圧に用いる場合に問題となり得る。そのため、降圧スイッチングレギュレータによってバッテリ電圧を所定の電圧に中間電圧として高効率に変換し、この中間電圧をシリーズレギュレータで給電対象に適した電圧となるように降圧することで、電源制御装置としての電力変換効率と出力電圧リップルを両立させている。
【0005】
図17は、従来例である電子制御装置を示す構成図である。
【0006】
電源制御装置4は第1の電源1、第2の電源2及び第3の電源3から構成される。
【0007】
電源制御装置4への入力電圧としてバッテリ電圧41が入力され、バッテリ電圧41は逆接防止ダイオード42を介して第1の電源1へ入力される。
【0008】
第1の電源1は、降圧スイッチングレギュレータであり、第1の電源入力電圧44を第1の電源出力電圧17に降圧する。第1の電源1は、スイッチング素子11、還流ダイオード15、インダクタ14、第1の電圧制御回路12で構成される。第1の電圧制御回路12がオンを指示するとき、スイッチング素子11は第1の電源入力電圧44をインダクタ14側へ通電させ、第1の電源1の後段へ電流を供給する。一方、第1の電圧制御回路12がオフを指示するとき、スイッチング素子11は第1の電源入力電圧44をインダクタ14側へ通電させず、還流ダイオード15を介してインダクタ14に蓄えられたエネルギーが放電されることによって第1の電源1の後段へ電流を供給する。このようにして、スイッチング出力電圧13は、第1の電圧制御回路12がオンを指示するときは第1の電源入力電圧44、オフを指示するときは基準電位45となる。第1の電圧制御回路12は第1の電源出力電圧17を監視し、第1の電源出力電圧17が所定の電圧となるようにスイッチング素子11をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。
【0009】
第2の電源2は、マイクロコントローラ5を供給対象とするシリーズレギュレータである。第2の電源2は、第2の電源用出力トランジスタ21、第2の電圧制御回路22で構成される。第2の電圧制御回路22は第2の電源出力電圧24を監視し、第1の電源出力電圧17を入力電圧として第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように第2の電源用出力トランジスタ21を制御する。
【0010】
第3の電源3は、マイクロコントローラ5以外、例えば電子制御装置外部のセンサ等を供給対象とするシリーズレギュレータである。第3の電源3は、第3の電源用出力トランジスタ31、第3の電圧制御回路32で構成される。第3の電圧制御回路32は第3の電源出力電圧34を監視し、第1の電源出力電圧17を入力電圧として第3の電源出力電圧34が所定の電圧となるように第3の電源用出力トランジスタ31を制御する。ここで第3の電源出力電圧34は、第2の電源出力電圧24と同電圧に制御されるものとして説明を続ける。
【0011】
また、電源制御装置4は第3の電源3に対して電圧生成機能制御レジスタ36を備えている。電圧生成機能制御レジスタ36にシリアル通信等を介して第3の電源出力オン制御信号110aを送信すると、電圧生成機能制御レジスタ36はハイとなり、第3の電源3がオンし、第3の電圧制御回路32は第3の電源出力電圧34を監視し、第3の電源出力電圧34が所定の電圧となるように第3の電源用出力トランジスタ31を制御する。一方、電圧生成機能制御レジスタ36にシリアル通信等を介して第3の電源出力オフ制御信号110bを送信すると、電圧生成機能制御レジスタ36はローとなり、第3の電源3がオフし、第3の電源用出力トランジスタ31がオフ状態となって電源としての電力供給を停止する。
【0012】
マイクロコントローラ5は電源電圧に対して一般に保証動作範囲を持ち、この保証動作範囲外の電源電圧を供給している場合にマイクロコントローラ5の動作は保証されない。そのため、マイクロコントローラ5の電源電圧が保証動作範囲外にあるときにはマイクロコントローラ5に対してリセット信号71を出力し、マイクロコントローラ5の予期しない動作を防ぐ必要がある。このリセット信号71を電源制御装置4で生成するために、電源制御装置4は第2の電源出力電圧24に対して第2の電源出力低電圧検出回路25を備えており、第2の電源出力低電圧検出回路25は第2の電源出力電圧24の低電圧を検出して第2の電源出力低電圧検出出力信号72を出力し、第2の電源出力電圧24の低電圧状態が所定期間継続するとリセット信号生成回路71aによってリセット信号71が生成され、このリセット信号71をマイクロコントローラ5に出力する。
【0013】
第1の電源1、第2の電源2、第3の電源3は回路構成上、それぞれ供給可能な電流値、いわゆる電流容量が設定されている。仮に電流容量以上の電流が電源出力から引き抜かれた場合、所定電圧に降圧する電圧制御が不可能となり、目標の電圧値よりも低い電圧値となる。特に、第3の電源3はECU外部センサを供給対象としているため、第3の電源出力電圧34の信号線は地絡する可能性があり、この場合、第3の電源出力電流は電流容量以上となり、前述した現象に繋がる。
【0014】
前述の通り、第2の電源2及び第3の電源3は第1の電源1の後段に接続されるレギュレータである。そのため、第1の電源出力電流は第2の電源出力電流と第3の電源出力電流の総和となる。
【0015】
ここで、バッテリ電圧41が低く、第1の電源入力電圧44が第1の電源1の降圧制御電圧値以下となるようなバッテリ低電圧時における各電源の動作を述べる。
【0016】
第1の電源1は、降圧スイッチングレギュレータの特性上、入力電圧不足により、第1の電源出力電圧17を所定の電圧値に制御することは不可能となる。第1の電源出力電圧17は第1の電源1の降圧制御電圧値以下であるため、第1の電源出力電圧17を上昇させようとしてスイッチング素子11をフルオン制御する。このとき、第1の電源出力電圧17は、スイッチング素子11のオン抵抗値、インダクタ14の直列抵抗値及び第1の電源出力電流値から決まる降圧量を第1の電源入力電圧44から差し引いた電圧となる。
【0017】
第2の電源2は、通常時よりも低い第1の電源出力電圧17を入力電圧として第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように制御する。シリーズレギュレータは、出力トランジスタの特性に起因して、入出力間に必要な最小電位差(ドロップアウト電圧)が設定されている。このため、第2の電源出力電圧24は、第1の電源出力電圧17と第2の電源2の制御電圧値との差がドロップアウト電圧以上ある場合は目標電圧値に制御されるが、第1の電源出力電圧17と第2の電源2の制御電圧値との差がドロップアウト電圧未満の場合は、入力電圧不足となり、第1の電源出力電圧17からドロップアウト電圧を差し引いた電圧となる。
【0018】
第3の電源3は、第2の電源2と同様の挙動を示し、第3の電源出力電圧34は、第1の電源出力電圧17と第3の電源3の制御電圧値との差がドロップアウト電圧以上ある場合は目標電圧値に制御されるが、第1の電源出力電圧17と第3の電源3の制御電圧値との差がドロップアウト電圧未満の場合は、入力電圧不足となり、第1の電源出力電圧17からドロップアウト電圧を差し引いた電圧となる。
【0019】
電子制御装置のバッテリ電圧に対する保証動作範囲が前述のバッテリ低電圧時を含む場合、設計時に前述の内容と給電対象の消費電流を考慮して、第1の電源1のスイッチング素子11のオン抵抗値及びインダクタ14の直列抵抗値、第2の電源2のドロップアウト電圧、第3の電源3のドロップアウト電圧を設定する必要がある。ここで、第1の電源1のスイッチング素子11のオン抵抗値、第2の電源2のドロップアウト電圧、第3の電源3のドロップアウト電圧は、各電源に使用している出力トランジスタの面積に大きく依存する。具体的には、第1の電源1のスイッチング素子11のオン抵抗値を低減させるためには、スイッチング素子11に使用している出力トランジスタの面積を増加させる必要がある。また、第2の電源2及び第3の電源3のドロップアウト電圧を低減させるためには、第2の電源2及び第3の電源3の出力トランジスタの面積を増加させる必要がある。
【0020】
前述の通り、第3の電源3は電子制御装置外部のセンサを供給対象としているため、第3の電源出力電圧34の信号線は地絡する可能性がある。このような異常が発生した場合、第3の電源出力電流は給電対象の消費電流よりも大きくなり、最大で第3の電源3の電流容量まで増加する。第3の電源出力電流の増加分は、第1の電源出力電流の増加分となる。
【0021】
図18を用いて、第3の電源出力電圧34の地絡異常がバッテリ低電圧時に発生する場合を述べる。
【0022】
第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生すると、第3の電源出力電流68の増加に伴って第1の電源出力電流66が増加する。バッテリ低電圧時、第1の電源1はスイッチング素子11をフルオン制御しているため、第1の電源出力電流66の増加に伴って第1の電源出力電圧17が低下すると、第2の電源2の入力電圧不足となり、第2の電源出力電圧24を第2の電源に対する制御電圧61に制御できなくなる。第2の電源出力電圧24は第1の電源出力電圧17からドロップアウト電圧を差し引いた電圧に安定するまでの間は第2の電源出力容量23に蓄電されている電荷が第2の電源2の供給対象であるマイクロコントローラ5の消費電流を供給する。
【0023】
このようにして、第2の電源出力電圧24が低下し、第2の電源出力低電圧検出閾値64を下回ると第2の電源出力低電圧検出出力信号72が生成され、リセット信号生成フィルタ時間75後にマイクロコントローラ5に対してリセット信号71を出力する。従って、第3の電源出力電圧34の地絡異常がバッテリ低電圧時に発生する場合、バッテリ電圧が電子制御装置の保証動作範囲内にあるにも関わらず電源制御装置4がマイクロコントローラ5の動作を停止させてしまうため、電子制御装置は正常に機能することができなくなる問題が発生する。
【0024】
上記の問題を回避するために、第3の電源出力電圧34の地絡異常がバッテリ低電圧時に発生する場合を考慮し、電源制御装置が第2の電源出力電圧24を目標電圧値に制御可能なように、第1の電源1のスイッチング素子11のオン抵抗値及び第2の電源2のドロップアウト電圧を低減させる方法がある。しかしながら、これらの方法は、前述の通り電源制御装置に使用している出力トランジスタの面積を増加させることになり、これは電源制御装置のコストアップに繋がる。第3の電源出力電圧34の地絡異常が発生しない状態を考えると、特性的に過剰な仕様となるため、機能とコストの最適化をする上で障害となる。
【0025】
また、
図19及び
図20を用いて、第3の電源出力電圧34の地絡異常中にバッテリ電圧41が断線する場合の問題点を述べる。
【0026】
図19は第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生していないときにバッテリ電圧41が断線した場合のタイミングチャートである。
【0027】
バッテリ電圧41が断線すると、電源制御装置入力容量43が電源制御装置の電池としての役割を担い、電源制御装置は動作するが、電源制御装置入力容量43に蓄電されている電荷は電源制御装置の動作に伴って減少するため、第1の電源入力電圧44は徐々に低下する。第1の電源入力電圧44が低下するにつれて、第2の電源出力電圧24も低下し、第2の電源出力低電圧検出閾値64を下回ると第2の電源出力低電圧検出出力信号72が生成され、リセット信号生成フィルタ時間75後にマイクロコントローラ5に対してリセット信号71を出力する。
【0028】
第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生していない場合、第2の電源出力電圧24はマイクロコントローラ保証動作電圧範囲下限62より高い電圧にあるときにリセット信号71が出力されており、マイクロコントローラ5の動作はマイクロコントローラ5の電源電圧に対する保証動作範囲内での動作に制限されているため、マイクロコントローラ5は設計通りに動作する。
【0029】
図20は第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生しているときにバッテリ電圧41が断線した場合のタイミングチャートである。
【0030】
第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生すると、第3の電源出力電流68の増加に伴って第1の電源出力電流66が増加する。この第1の電源出力電流66の増加に伴い、バッテリ電圧41断線後の第1の電源入力電圧44の低下速度は第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生していない場合と比較して速くなり、第2の電源出力電圧24の低下速度も速くなる。このため、第2の電源出力電圧24がマイクロコントローラ保証動作電圧範囲下限62より低い電圧にあるときにリセット信号71が出力される可能性がある。即ち、マイクロコントローラ5の動作がマイクロコントローラ5の電源電圧に対する保証動作範囲内での動作に制限されておらず、マイクロコントローラ5は予期しない動作をする恐れがある。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0040】
図1は、第1の実施例である電子制御装置を示す構成図である。
【0041】
第1の実施例を説明するにあたり、背景技術で述べた従来例との差異に関して説明し、同一箇所については説明を省略する。
【0042】
第3の電源異常電流検出回路35は、第3の電源出力電流が所定の電流値を超えた際に、第3の電源出力電流が異常であると判定し、第3の電源出力異常電流検出出力信号73を出力する。
【0043】
第2の電源出力低電圧検出出力信号72は、第2の電源出力低電圧検出回路25が第2の電源出力電圧24を低電圧であると判定した際に出力される信号である。
【0044】
NAND回路51は、第3の電源出力異常電流検出出力信号73と第2の電源出力低電圧検出出力信号72を入力信号として否定論理積信号を出力する回路である。NAND回路51の出力信号は所定のフィルタ時間を有したフィルタ回路52を介して電圧生成機能制御レジスタ36に送信される。
【0045】
実施例1では、
図1のような構成とすることにより、電圧生成機能制御レジスタ36がハイであるとき、即ち第3の電源3がオンしているときにNAND回路51からフィルタ回路52を介して電圧生成機能制御レジスタ36にロー信号が送信された場合、電圧生成機能制御レジスタ36を強制的にローにすることによって第3の電源3をオフにすることを特徴とする。
【0046】
図2は、第1の実施例において、第3の電源出力電圧34の地絡異常がバッテリ低電圧時に発生した場合の効果を説明するタイミングチャートである。
【0047】
第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生すると、第3の電源出力電流68が増加し、第3の電源出力異常電流検出閾値65を超えると、第3の電源出力異常電流検出出力信号73が出力される。また、第3の電源出力電流68の増加に伴って第1の電源出力電流66が増加する。バッテリ低電圧時、第1の電源1はスイッチング素子11をフルオン制御しているため、第1の電源出力電流66の増加に伴って第1の電源出力電圧17が低下すると、第2の電源2の入力電圧不足となり、第2の電源出力電圧24を第2の電源に対する制御電圧61に制御できなくなる。第2の電源出力電圧24は第1の電源出力電圧17からドロップアウト電圧を差し引いた電圧に安定するまでの間、第2の電源出力容量23に蓄電されている電荷が第2の電源2の供給対象であるマイクロコントローラの消費電流を供給するため徐々に低下する。
【0048】
第2の電源出力電圧24が低下し、第2の電源出力低電圧検出閾値64を下回ると第2の電源出力低電圧検出出力信号72が生成され、第3の電源出力異常電流検出出力信号73と第2の電源出力低電圧検出出力信号72が同時に出力されてからNAND出力信号フィルタ時間74後に第3の電源3をオフにする。ここで、NAND出力信号フィルタ時間74はリセット信号生成フィルタ時間75よりも短く設定されている。
【0049】
上記のように第3の電源3を制御し、第3の電源出力電流68を停止させ、第1の電源出力電流66を低減させる。これにより、第2の電源2の入力電圧である第1の電源出力電圧17がバッテリ低電圧時の正常範囲内まで上昇し、第2の電源2の入力電圧不足が解消されるため、第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように制御することが可能となる。
【0050】
従って、電子制御装置が動作を保証するバッテリ電圧範囲内において、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生した場合においても、本発明を適用した電子制御装置では、電源制御装置がマイクロコントローラに対して適切な電圧及び電流の供給を維持し、且つリセット信号を出力しないため、電子制御装置は正常に機能することが可能となる。
【0051】
図3は、第1の実施例において、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生しているときにバッテリ電圧41が断線した場合の効果を説明するタイミングチャートである。
【0052】
第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生すると、第3の電源出力電流68が増加し、第3の電源出力異常電流検出閾値65を超えると、第3の電源出力異常電流検出出力信号73が出力される。また、第3の電源出力電流68の増加に伴って第1の電源出力電流66が増加する。この第1の電源出力電流66の増加に伴い、バッテリ電圧41断線後の第1の電源入力電圧44の低下速度は第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生していない場合と比較して速くなり、第2の電源出力電圧24の低下速度も速くなる。
【0053】
第2の電源出力電圧24が低下し、第2の電源出力低電圧検出閾値64を下回ると第2の電源出力低電圧検出出力信号72が生成され、第3の電源出力異常電流検出出力信号73と第2の電源出力低電圧検出出力信号72が同時に出力されてからNAND出力信号フィルタ時間74後に第3の電源3をオフにする。
【0054】
上記のように第3の電源3を制御し、第3の電源出力電流68を停止させ、第1の電源出力電流66を低減させることにより、第2の電源2の入力電圧である第1の電源出力電圧17を上昇させることが可能となると共に、第1の電源入力電圧44の低下速度を第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生していない場合よりも遅くすることが可能となるため、第2の電源出力電圧24はマイクロコントローラ保証動作電圧範囲下限62より高い電圧にあるときにリセット信号71を出力することが可能となる。
【0055】
従って、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生しているときにバッテリ電圧41が断線した場合においても、本発明を適用した電子制御装置では、電源制御装置がマイクロコントローラの電源電圧に対する保証動作範囲内でリセット信号を出力させるため、マイクロコントローラの予期しない動作を防ぐことが可能となる。
【0056】
また、上記に示した効果を、第3の電源出力電圧34に地絡異常を考慮して各電源の出力トランジスタ面積を増加させることなく実現することが可能、即ち低コストで実現することが可能となる。
【実施例2】
【0057】
図4は、第2の実施例である電子制御装置を示す構成図である。
【0058】
第2の実施例を説明するにあたり、第1の実施例との差異に関して説明し、同一箇所については説明を省略する。
【0059】
第2の実施例では、第1の実施例と比較して、第1の電源出力電圧17に第1の電源出力低電圧検出回路18が接続され、第1の電源入力低電圧検出出力信号76を出力するような構成となっている。それ以外は、第1の実施例と同様である。
【0060】
次に、第2の実施例の動作を、
図5のタイミングチャートを用いて説明する。
【0061】
図5は第1の電源入力電圧44が低電圧時、第3の電源出力電圧34が地絡した場合の状態を説明している。第1の電源入力電圧44が低電圧となっている際、第3の電源出力地絡タイミング91において第3の電源出力電圧34が地絡すると、
図5に示すように第3の電源出力電流68が増加する(短絡電流が流れる)。そして第3の電源出力異常電流検出閾値65に到達すると、これを検知して第3の電源出力異常電流検出出力信号73を出力する。
【0062】
一方、第3の電源出力電圧34の地絡によって第3の電源出力電流68が増加すると、第1の実施例と同様に第1の電源出力電圧17も低下する。そして、第1の電源出力低電圧検出回路18に設けられた第1の電源出力低電圧検出閾値69に到達すると、第1の電源出力低電圧検出タイミング95において第1の電源入力低電圧検出出力信号76が出力される。
【0063】
これにより第1実施例と同様に、第3の電源出力異常電流検出出力信号73と第1の電源入力低電圧検出出力信号76が同時に出力され、NAND出力信号フィルタ時間74後、第3の電源オフタイミング93において第3の電源3がオフとなり、第3の電源出力電流68を停止させ、第1の電源出力電流66を低減させる。よって、
図5に示すように短絡電流による第1の電源出力電圧17の降下、及び第2の電源出力電圧24の降下が無くなる為、第2の電源2は第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように制御することが可能となる。これにより、リセット信号71はハイ状態を維持する事が可能となる。
【0064】
従って、電子制御装置が動作を保証するバッテリ電圧範囲内において、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生した場合においても、本発明を適用した電子制御装置では、電源制御装置がマイクロコントローラに対して適切な電圧及び電流の供給を維持し、且つリセット信号を出力しないため、電子制御装置は正常に機能することが可能となる。
【実施例3】
【0065】
図6は、第3の実施例である電子制御装置を示す構成図である。
【0066】
第3の実施例を説明するにあたり、第1から第2の実施例との差異に関して説明し、同一箇所については説明を省略する。
【0067】
第3の実施例では、第1から第2の実施例と比較して、第1の電源入力電圧44に第1の電源入力低電圧検出回路46が接続され、第1の電源入力低電圧検出出力信号77を出力するような構成となっている。それ以外は、第1から第2の実施例と同様である。
【0068】
次に、第3の実施例の動作を、
図7のタイミングチャートを用いて説明する。
【0069】
図7は第1の電源入力電圧44が低電圧時に、第3の電源出力電圧34が地絡した場合の状態を説明している。第1の電源入力電圧44が低電圧となった際、第1の電源入力低電圧検出タイミング96において第1の電源入力電圧44の低下が検知され、第1の電源入力低電圧検出出力信号77が出力される。
【0070】
一方、この時に第3の電源出力地絡タイミング91において第3の電源出力電圧34が地絡すると、
図7に示すように第3の電源出力電流68が増加する(短絡電流が流れる)。そして第3の電源出力異常電流検出閾値65に到達すると、これを検知して第3の電源出力異常電流検出出力信号73を出力する。
【0071】
これにより第1、第2実施例と同様に、第3の電源出力異常電流検出出力信号73と第1の電源入力低電圧検出出力信号77が同時に出力され、NAND出力信号フィルタ時間74経過後、第3の電源オフタイミング93において第3の電源3がオフとなり、第3の電源出力電流68を停止させ、第1の電源出力電流66を低減させる。よって、
図7に示すように短絡電流による第1の電源出力電圧17の降下、及び第2の電源出力電圧24の降下が無くなる為、第2の電源2は第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように制御することが可能となる。これにより、リセット信号71はハイ状態を維持する事が可能となる。
【0072】
従って、電子制御装置が動作を保証するバッテリ電圧範囲内において、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生した場合においても、本発明を適用した電子制御装置では、電源制御装置がマイクロコントローラに対して適切な電圧及び電流の供給を維持し、且つリセット信号を出力しないため、電子制御装置は正常に機能することが可能となる。
【実施例4】
【0073】
図8は、第4の実施例である電子制御装置を示す構成図である。
【0074】
第4の実施例を説明するにあたり、第1から第3の実施例との差異に関して説明し、同一箇所については説明を省略する。
【0075】
第4の実施例では、第1から第3の実施例と比較して、第3の電源3の近傍に第3の電源過温度検出回路37が設けられ、第3の電源3の温度異常検知時に第3の電源過温度検出出力信号81を出力するような構成となっている。それ以外は、第1から第3の実施例と同様である。
【0076】
次に、第4の実施例の動作を、
図9のタイミングチャートを用いて説明する。
【0077】
図9は第1の電源入力電圧44が低電圧時に、第3の電源出力電圧34が地絡した場合の状態を説明している。第1の電源入力電圧44が低電圧となった状態で、第3の電源出力地絡タイミング91において第3の電源出力電圧34が地絡すると、
図9に示すように第3の電源出力電流68が増加する(短絡電流が流れる)。この時に流れる第3の電源出力電流68、及び第3の電源用出力トランジスタ31のON抵抗値によって計算される発熱が生じる為、第3の電源過温度検出回路37によって検知される第3の電源温度83も、第3の電源出力電流68の上昇に応じて
図9に示すように上昇する。そして第3の電源過温度検出閾値82に到達すると、これを検知して第3の電源過温度検出タイミング97において第3の電源過温度検出出力信号81を出力する。
【0078】
一方、第3の電源出力電圧34の地絡によって流れる第3の電源出力電流68が増加すると、第1の電源出力電流66も増加するため、これにより第1から第3の実施例と同様に、第1の電源出力電圧17、第2の電源出力電圧24も低下する。そして第2の電源出力低電圧検出タイミング92において、第2の電源出力低電圧検出出力信号72が出力される。
【0079】
第3の電源過温度検出出力信号81と第2の電源出力低電圧検出出力信号72が同時に出力され、NAND出力信号フィルタ時間74経過後、第3の電源オフタイミング93において第3の電源3がオフとなり、第3の電源出力電流68を停止させ、第1の電源出力電流66を低減させる。よって、
図9に示すように短絡電流による第1の電源出力電圧17の降下、及び第2の電源出力電圧24の降下が無くなる為、第2の電源2は第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように制御することが可能となる。これにより、リセット信号71はハイ状態を維持する事が可能となる。
【0080】
従って、電子制御装置が動作を保証するバッテリ電圧範囲内において、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生した場合においても、本発明を適用した電子制御装置では、電源制御装置がマイクロコントローラに対して適切な電圧及び電流の供給を維持し、且つリセット信号を出力しないため、電子制御装置は正常に機能することが可能となる。
【0081】
また本実施例は第1の実施例と同様の構成で説明しているが、第2の実施例、もしくは第3の実施例と同様の構成においても成立する事は明白である。
【実施例5】
【0082】
図10は、第5の実施例である電子制御装置を示す構成図である。
【0083】
第5の実施例を説明するにあたり、第1から第4の実施例との差異に関して説明し、同一箇所については説明を省略する。
【0084】
第5の実施例においては、第3の電源異常電流検出回路35によって検出される第3の電源出力異常電流検出出力信号73が、インバータ回路53を介してフィルタ回路52に入力されるような構成となっている。また、第3の電源出力オン制御信号110aが電圧生成機能制御レジスタ36に入力されるような構成となっている。この電源出力オン制御信号はレジスタ設定信号であり、CPU等の外部制御装置から入力されるのが一般的である。
【0085】
これ以外は、第1から第4の実施例と同様である。
【0086】
次に第5の実施例の動作について、
図11のタイミングチャートを用いて説明する。
【0087】
図11は第1の電源入力電圧44が低電圧時、第3の電源出力電圧34が地絡した場合の状態を説明している。第1の電源入力電圧44が低電圧となっている際、第3の電源出力地絡タイミング91において第3の電源出力電圧34が地絡すると、
図11に示すように第3の電源出力電流68が増加する(短絡電流が流れる)。そして第3の電源出力異常電流検出閾値65に到達すると、これを検知して第3の電源出力異常電流検出出力信号73を出力する。
【0088】
これにより第1の実施例と同様に、第3の電源出力異常電流検出出力信号73が出力され、フィルタ回路52によるインバータ出力信号フィルタ時間78経過後、第3の電源オフタイミング93において第3の電源3がオフとなり、第3の電源出力電流68を停止させ、第1の電源出力電流66を低減させる。よって、
図11に示すように短絡電流による第1の電源出力電圧17の降下、及び第2の電源出力電圧24の降下が無くなる為、第2の電源2は第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように制御することが可能となる。これにより、リセット信号71はハイ状態を維持する事が可能となる。
【0089】
従って、電子制御装置が動作を保証するバッテリ電圧範囲内において、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生した場合においても、本発明を適用した電子制御装置では、電源制御装置がマイクロコントローラに対して適切な電圧及び電流の供給を維持し、且つリセット信号を出力しないため、電子制御装置は正常に機能することが可能となる。
【0090】
また、第5の実施例には次のようなメリットもある。
【0091】
第5の実施例では、第3の電源出力異常電流検出出力信号73を用いて第3の電源3のオフを行っている。そのため、電源をオフすると電流値がゼロとなるため、第3の電源出力異常電流検出出力信号73は正常状態に復帰する。すると、再び第3の電源3がオン制御となり、短絡電流が流れて再び第3の電源出力異常電流検出出力信号73が出力されて第3の電源3がオフされるような動作となるため、第3の電源3の短絡状態が解消されるまで、これを繰り返すことになる。
【0092】
第5に示す実施例では、第3の電源出力オン制御信号110aが電圧生成機能制御レジスタ36に入力されるような構成となっている。よって、一度、第3の電源出力異常電流検出出力信号73を用いて第3の電源3のオフが実施されると、その後第3の電源3をオンさせる場合は、
図11の第3の電源オンタイミング99に示すように、第3の電源出力オン制御信号110aが入力される事によって、再度第3の電源3をオンする。これにより、上記に述べたような、第3の電源3の短絡状態が解消されるまで、オン状態とオフ状態を繰り返すような動作を回避する事が出来る。
【0093】
また、第5の実施例で説明した効果は、第1から第4の実施例で説明した構成においても成立する事は明白である。
【実施例6】
【0094】
図12は、第6の実施例である電子制御装置を示す構成図である。
【0095】
第6の実施例を説明するにあたり、第1から第5の実施例との差異に関して説明し、同一箇所については説明を省略する。
【0096】
第6の実施例では、第1から第5の実施例と比較して、第1の電源入力電圧44と第1の電源出力電圧17とを比較するための第1の電源入出力電圧差検出回路111が設けられ、第1の電源入出力電圧差検出信号112を出力するような構成となっている。またこの時、第1の電源1がフルオン状態であることを検知するために、スイッチング素子11の駆動信号も同時に第1の電源入出力電圧差検出回路111に入力されるような構成となっている。それ以外は、第1から第5の実施例と同様である。
【0097】
次に、第6の実施例の動作を、
図13のタイミングチャートを用いて説明する。
【0098】
図13は第1の電源入力電圧44が低電圧時、第3の電源出力電圧34が地絡した場合の状態を説明している。第1の電源入力電圧44が低電圧となっている際、第3の電源出力地絡タイミング91において第3の電源出力電圧34が地絡すると、
図13に示すように第3の電源出力電流68が増加する(短絡電流が流れる)。そして第3の電源出力異常電流検出閾値65に到達すると、これを検知して第3の電源出力異常電流検出出力信号73を出力する。
【0099】
一方、第3の電源出力電圧34の地絡により第3の電源出力電流68が増加すると、第1の実施例と同様に第1の電源出力電圧17も低下する。これらは第1の電源入出力電圧差検出回路111に入力され、第1の電源入出力電圧差検出回路111に設けられた第1の電源入出力電圧差検出閾値114に到達すると、第1の電源入出力電圧差検出タイミング100において第1の電源入出力電圧差検出信号112が出力される。なおこの電位差の検知は、スイッチング素子11の駆動信号を用いて、スイッチング素子11がフルオンの時のみに検知される。
【0100】
これにより第1の実施例と同様に、第3の電源出力異常電流検出出力信号73と第1の電源入出力電圧差検出信号112が同時に出力され、NAND出力信号フィルタ時間74後、第3の電源オフタイミング93において第3の電源3がオフとなり、第3の電源出力電流68を停止させ、第1の電源出力電流66を低減させる。よって、
図13に示すように短絡電流による第1の電源出力電圧17の降下、及び第2の電源出力電圧24の降下が無くなる為、第2の電源2は第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように制御することが可能となる。これにより、リセット信号71はハイ状態を維持する事が可能となる。
【0101】
従って、電子制御装置が動作を保証するバッテリ電圧範囲内において、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生した場合においても、本発明を適用した電子制御装置では、電源制御装置がマイクロコントローラに対して適切な電圧及び電流の供給を維持し、且つリセット信号を出力しないため、電子制御装置は正常に機能することが可能となる。
【実施例7】
【0102】
図14は、第7の実施例である電子制御装置を示す構成図である。
【0103】
第7の実施例を説明するにあたり、第1から第6の実施例との差異に関して説明し、同一箇所については説明を省略する。
【0104】
第7の実施例では、第1から第6の実施例と比較して、第2の電源入力電圧である第1の電源出力電圧17と第2の電源出力電圧24とを比較するための第2の電源入出力電圧差検出回路115が設けられ、第2の電源入出力電圧差検出信号116を出力するような構成となっている。それ以外は、第1から第6の実施例と同様である。
【0105】
次に、第7の実施例の動作を、
図15のタイミングチャートを用いて説明する。
【0106】
図15は第1の電源入力電圧44が低電圧時、第3の電源出力電圧34が地絡した場合の状態を説明している。第1の電源入力電圧44が低電圧となっている際、第3の電源出力地絡タイミング91において第3の電源出力電圧34が地絡すると、
図15に示すように第3の電源出力電流68が増加する(短絡電流が流れる)。そして第3の電源出力異常電流検出閾値65に到達すると、これを検知して第3の電源出力異常電流検出出力信号73を出力する。
【0107】
一方、第3の電源出力電圧34の地絡により第3の電源出力電流68が増加すると、第1の実施例と同様に第1の電源出力電圧17、第2の電源出力電圧24も低下する。これらは第2の電源入出力電圧差検出回路115に入力され、第2の電源入出力電圧差検出回路115に設けられた第2の電源入出力電圧差検出閾値118に到達すると、第2の電源入出力電圧差検出タイミング101において第1の電源入出力電圧差検出信号116が出力される。
【0108】
これにより第1の実施例と同様に、第3の電源出力異常電流検出出力信号73と第2の電源入出力電圧差検出信号116が同時に出力され、NAND出力信号フィルタ時間74後、第3の電源オフタイミング93において第3の電源3がオフとなり、第3の電源出力電流68を停止させ、第1の電源出力電流66を低減させる。よって、
図15に示すように短絡電流による第1の電源出力電圧17の降下、及び第2の電源出力電圧24の降下が無くなる為、第2の電源2は第2の電源出力電圧24が所定の電圧となるように制御することが可能となる。これにより、リセット信号71はハイ状態を維持する事が可能となる
。
【0109】
従って、電子制御装置が動作を保証するバッテリ電圧範囲内において、第3の電源出力電圧34に地絡異常が発生した場合においても、本発明を適用した電子制御装置では、電源制御装置がマイクロコントローラに対して適切な電圧及び電流の供給を維持し、且つリセット信号を出力しないため、電子制御装置は正常に機能することが可能となる。
【実施例8】
【0110】
図16は、第8の実施例である電子制御装置を示す構成図である。
【0111】
第8の実施例を説明するにあたり、第1から第7の実施例との差異に関して説明し、同一箇所については説明を省略する。
【0112】
第8の実施例においては、第1の電源入力低電圧検出回路46によって検出される第1の電源入力低電圧検出出力信号77が、インバータ回路53を介してフィルタ回路52に入力されるような構成となっている。これ以外は、第1から第7の実施例と同様である。
【0113】
ここで、電源制御装置の起動時の動作に関して述べる。電源制御装置は図示しない電源制御装置許可信号が入力されることによって各電源の制御を開始する。電源制御装置の構成上、まず、第1の電源1が動作を開始し、第1の電源出力電圧17が所定の電圧に達すると第2の電源2及び第3の電源3が動作を開始する。つまり、第3の電源3に関して言及すると、電源制御装置の起動時、電圧生成機能制御レジスタ36は自動でハイに設定され、第3の電源3は動作を開始する。
【0114】
次に、電源制御装置の起動時に第1の電源入力電圧44が低電圧である場合を述べる。この場合に電圧生成機能制御レジスタ36が自動でハイに設定されると、第3の電源出力電流68が増加することによって第1の電源出力電圧17が低下し、第2の電源入力電圧不足となるため、第2の電源出力電圧24が第2の電源出力低電圧検出閾値64を上回ることができず、リセット信号71がハイ状態にならない可能性がある。特に、第3の電源出力電圧34が地絡した状態で電源制御装置が起動する場合、第3の電源出力電流68は給電対象の消費電流よりも大きくなるため、前述の可能性が高くなる。
【0115】
第8の実施例では、第1の電源入力低電圧検出出力信号77がインバータ回路53及びフィルタ回路52を介して電圧生成機能制御レジスタ36に入力されるような構成となっている。このような構成とすることにより、電源制御装置の起動時に第1の電源入力電圧44が低電圧である場合、第1の電源入力低電圧検出回路46は第1の電源入力電圧44が低電圧であることを検知して第1の電源入力低電圧検出出力信号77を出力し、電圧生成機能制御レジスタ36が自動でハイに設定されることを抑制する。
【0116】
これにより、電源制御装置の起動時に第1の電源入力電圧44が低電圧である場合においても、第1の電源出力電流66から第3の電源出力電流68の寄与を削減することによって、前述のリセット信号71がハイ状態にならない可能性を低減させることが可能となる。
【0117】
また、第8の実施例で説明した効果は、第1から第7の実施例で説明した構成においても成立する事は明白である。