(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛のための、1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物。
48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛の治療および/またはオピオイド誘発性便秘の軽減のための、1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物。
48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛のための、1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物であって、前記患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、医薬組成物。
12時間ごとの投与に適しており24mgのヒドロモルホンHClおよび48mgのナロキソンHClを含む経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供される、請求項7から9のいずれかに記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に例示的に記載する本発明は、本明細書で具体的に開示されていない1つまたは複数の要素や1つまたは複数の限定がまったくない条件下でも適切に実施することができる。
【0011】
本発明を、特定の態様および実施形態に関して、いくつかの図を参照しながら記載するが、本発明はこれらに限定されない。以下に記載する用語は全般に、別段の指示がない限り、その一般的な意味で理解されるものとする。
【0012】
用語「〜を含む」は、本発明の説明および特許請求の範囲において使用される場合、他の要素を排除しない。本発明においては、用語「〜からなる」は、用語「〜から構成される」の好ましい実施形態とみなされる。以下、例えば、ある群が、少なくとも一定数の要素を含むと定義されていれば、この定義により、好ましくはこれらの要素のみからなる群も常に開示されていると理解されるものとする。本発明の態様または実施形態が、少なくとも一定の、組成上、構造上および/または機能上の特徴を含むと定義されていれば、この定義により、好ましくはこれらの特徴のみからなる態様および実施形態も常に開示されていると理解されるものとする。
【0013】
単数名詞を指す際に不定冠詞または定冠詞、例えば「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」が使用されている場合、別段の具体的な記載がない限り、これにはその名詞の複数形が含まれる。
【0014】
本発明に関する場合、用語「約」または「およそ」は、話題にされている特徴の技術的効果がまだ確保されていると当業者には理解されると予想される精度の区間を表す。この用語は、表示された数値からのずれが±10%、好ましくは±5%であることを示す。
【0015】
用語「約」が、重量比に関する文脈、例えば、組成物が、約1:1または約1:2の重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む、などの文脈で使用される場合、「約」には、指示されている比から±0.3、好ましくは±0.2、より好ましくは±0.1のずれが常に含まれる。したがって、約1:2という比には、1:1.7〜1:2.3、好ましくは1:1.8〜1:2.2、より好ましくは1:1.9〜1:2.1の比が含まれる。
【0016】
用語「in vitro放出」およびその文法的変形ならびに類似表現は、欧州薬局方2.9.3第6版に記載の欧州薬局方に従うパドル法によってin vitro放出速度を試験した際に、薬学的活性剤、例えばヒドロモルホンHClまたはナロキソンHClが医薬組成物から放出される放出速度を指す。パドルスピードは、典型的には、pH1.2の人工胃液(SGF)溶出媒体900ml中にて100rpmに設定する。一定分量の溶出溶媒をそれぞれの時点で抜き取り、HPLCにより、C18カラム使用、アセトニトリル中30mMリン酸緩衝液(70:70、pH2.9)を用いて流速1.0ml/分で溶離、220nmで検出、という条件で解析する。
【0017】
用語「人工胃液、pH1.2」は、0.1N HCl、pH1.2を指す。
【0018】
本発明に関する場合、用語「即時放出」または「従来放出」は、特別な製剤デザインおよび/または製造方法により計画的に改変されていない活性物質(複数可)の放出を示す医薬組成物を指す。経口剤形の場合、このことは、活性物質(複数可)の溶出プロファイルが、本質的にはその活性物質(複数可)固有の特性に応じて決まることを意味する。典型的には、用語「即時放出」または「従来放出」は、45分時点で薬学的活性剤(複数可)の75%(重量比)超をin vitro放出している医薬組成物を指す。
【0019】
本発明に関する場合、用語「持続放出」および「制御放出」は互換的に使用され、同一経路により投与される即時放出医薬組成物の場合より緩徐な活性剤(複数可)放出を示す医薬組成物を指す。持続または制御放出は、特別な製剤デザインおよび/または製造方法により達成される。典型的には、用語「持続放出」および「制御放出」は、45分時点で薬学的活性剤(複数可)の75%(重量比)以下をin vitro放出している医薬組成物を指す。用語「持続放出」または「制御放出」は、したがって典型的には、活性剤が長期間にわたり、例えば約8、10、12、14、16、18、20、22または24時間などにわたり医薬組成物から放出される状況を指す。
【0020】
用語「持続放出製剤」または「制御放出製剤」は互換的に使用され、少なくとも1つの持続放出材料または制御放出材料と、少なくともヒドロモルホンおよびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを含み、これまでに説明したような活性剤の持続放出を達成するように製剤化されている、医薬組成物を指す。用語「持続放出材料」と「制御放出材料」とは、互換的に使用することができる。
【0021】
本発明に関する場合、用語「持続(または制御)放出製剤」、「持続(または制御)放出医薬組成物」および「持続(または制御)放出剤形」は互換的に使用され、好ましくは、活性剤が持続放出されることから薬学的活性剤の12時間ごとまたは24時間ごとの投与に適している、すなわち、少なくとも12時間または少なくとも24時間にわたって治療的有効性をもたらす、組成物を指す。そのような組成物は一般に、それぞれ、1日2回組成物または1日1回組成物とも呼ばれる。本明細書に記載の本発明を通じ、12時間ごとの投与に適している持続放出医薬組成物が特に好ましい。本発明の持続放出医薬組成物がヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬を含むことを考えれば、用語「12時間ごとの投与に適している」とは、患者が必要とする投与量をもたらすこのような持続放出医薬組成物であれば、12時間にわたって疼痛の治療が可能になるという意味であることは当業者には理解されよう。それに対応して、用語「24時間ごとの投与に適している」とは、患者が必要とする投与量をもたらすこのような持続放出医薬組成物であれば、24時間にわたって疼痛の治療が可能になるという意味である。当業者には、ヒドロモルホンなどのオピオイドを用いた疼痛治療は継続的な治療であることから、例えば少なくとも12時間の治療有効性とは、患者が適正な用量への調整をすでに受けており定常状態になっている状況を指す、ということは、さらに理解されよう。
【0022】
持続放出特性は、異なる手段により、例えば、コーティング(この場合、持続放出コーティングと呼ばれる)、マトリックス(この場合、持続放出マトリックスと呼ばれる)、医薬組成物の浸透圧機構、またはそれらの組合せにより、得ることができる。
【0023】
「持続または制御放出」特性を得るには、当業者は、例えば持続放出マトリックスおよび/または持続放出コーティングを含む剤形からの放出を持続させることが公知である材料を通常使用する。
【0024】
そのような「持続または制御放出材料」の典型的な例は、エチルセルロースなどの疎水性ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性ポリマー、脂肪アルコール、ワックス等、およびそれらの組合せである。「持続または制御放出材料」の性質は、放出特性が「持続放出マトリックス」によって得られるか「持続放出コーティング」によって得られるかに応じて決まり得る。したがって、用語「持続放出材料」は、どちらのタイプの材料についても説明するものである。
【0025】
用語「持続放出マトリックス材料」は、ある材料が、持続放出マトリックスを得るために使用されることを示している。同様に、用語「持続放出コーティング材料」は、ある材料が、持続放出コーティングを得るために使用されることを示している。製造の方法によっては、持続放出材料は、持続放出マトリックスおよび持続放出コーティングを作るために使用できるということが理解されるものとする。さらに、持続放出材料として有用なものであるためには、持続放出材料は最小量で存在する必要があり得る。当業者は、例えば持続放出マトリックスまたは持続放出コーティングを作るのに必要な持続放出材料の性質および量に精通している。
【0026】
薬学的活性剤(複数可)の溶出プロファイルが即時または従来放出製剤に比して緩やかになっていれば、その材料は持続または制御放出材料として作用すると予想されることが理解されるものとする。
【0027】
「持続または制御放出マトリックス」においては、活性剤(複数可)は、持続または制御放出マトリックス材料と組み合わされることになるが、その際、活性剤が三次元マトリックス構造中に埋め込まれ、そこから活性剤が上記の持続的な様式で、例えば、約6、8、10または12時間にわたって放出されるようにする。ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを別個の持続放出マトリックス中に別々に埋め込むことはできるが、制御放出マトリックスに言及する場合、この言及は常に、好ましくは、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が同一の持続または制御放出マトリックス中に埋め込まれる想定状況に関している。
【0028】
薬学的に許容される添加剤は、すでに持続化または制御されている放出を特定のプロファイルに調整するために使用されるものであって、必ずしも持続または制御放出材料とみなされるとは限らない。持続放出または制御放出マトリックス製剤の場合でいうと、そのような材料としては、水溶性の素早く溶解する成分であり、マトリックス中に埋め込んで、マトリックス中にチャネルを創出すること、マトリックスの膨潤を促進すること、またはマトリックスの緩徐な崩壊に影響を及ぼすことによって持続または制御放出マトリックス製剤からの放出を加速させるように使用することができるものを挙げ得る。そのような追加的な添加剤の例は、細孔形成剤である。
【0029】
持続放出マトリックスまたは制御放出マトリックスは、薬学的活性剤(複数可)および持続もしくは制御放出材料のみから成っていてもよく、または、それに加え、薬学的に許容される添加剤、例えば、充填剤、滑沢剤、流動促進剤等を含んでもよいことが理解されるものとする。しかし、それらの材料が活性剤(複数可)の放出の持続化を担いマトリックス構造の一部を形成するものであれば、それは持続放出マトリックス材料とみなされると予想される。
【0030】
さらに、持続放出マトリックスは、それが活性剤および持続放出マトリックス材料(複数可)のみから作られているか追加的な添加剤を含むかに関わらず、そのような添加剤と組み合わせて実際の剤形を形成し得る。この剤形が、患者に最終的に投与されると予想される医薬組成物である。持続マトリックスによりもたらされる持続または制御放出特性は、典型的には、実際の剤形を用いて、例えば錠剤について、測定されると予想される。しかし、剤形が例えば多粒子状の持続または制御放出マトリックス粒子からなり、これが例えば、カプセル剤中に充填されるかまたは即時崩壊錠剤中に埋め込まれるような場合、持続または制御放出特性は、それらの粒子について直接測定することができる。
【0031】
「持続放出コーティング製剤」または「制御放出コーティング製剤」において、「持続放出材料」または「制御放出材料」は、任意で、薬学的活性剤上に配置されて拡散障壁を形成する。持続放出マトリックス製剤とは違い、持続放出コーティングは、活性薬物が内部に分布している三次元構造を形成しない。いくつかの実施形態では、その用語からうかがえるように、持続放出コーティングは、内部に活性薬物が含まれていない、活性薬物を取り囲む層を形成する。他の実施形態では、活性薬物の一部をコーティング内部に位置させることができる。
【0032】
持続放出コーティングは薬学的活性剤上に配置される、と述べられている場合、これは、当該コーティングは当該薬学的活性剤上に必ず直接積層されるという意味に解釈されるべきではない。当然のことながら、薬学的活性剤がnu−pareilビーズなどの担体上に積層されるのであれば、コーティングはその上に直接配置することができる。しかし、薬学的活性剤を、ポリマー層中、または例えば持続放出マトリックス中に最初に埋め込むこともできる。続いて持続放出コーティングを、例えば、持続放出マトリックスを含む顆粒上に、または、そのような顆粒剤から例えば圧縮により作られる錠剤上に、配置してもよい。持続放出コーティングは、規模および/または組成によりそれ自体は実質的な持続放出特性をもたらさないマトリックス構造、すなわち非持続放出マトリックス中に活性薬物(複数可)が埋め込まれている構造上に配置することもできる。
【0033】
ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを別個の持続放出コーティングで別々にコーティングすることはできるが、制御放出コーティングに言及する場合、この言及は常に、好ましくは、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が同一の持続または制御放出コーティングにより被覆される想定状況に関している。
【0034】
制御または持続放出コーティングを有する医薬組成物は、薬学的活性剤をnon−pareilビーズなどの担体と組み合わせ、前記組合せ上に持続放出コーティングを配置することにより得ることができる。そのようなコーティングは、セルロースエーテル、好ましくはエチルセルロースなどのポリマー、アクリル樹脂、他のポリマー、およびそれらの混合物から作ることができる。
【0035】
すでに持続化または制御されている放出を特定のプロファイルに調整するために使用される薬学的に許容される添加剤は、持続または制御放出材料とは必ずしもいえない。持続放出または制御放出コーティング製剤の場合であれば、そのような材料としては、水溶性の素早く溶解する成分であり、コーティング中に埋め込んで、コーティング中にチャネルまたは穴を創出することによって持続または制御放出マトリックス製剤からの放出を加速させるように使用することができるものを挙げ得る。そのような追加的な添加剤の例は、細孔形成剤である。
【0036】
さらに、用語「持続放出マトリックス製剤」または「制御放出マトリックス製剤」は、持続または制御放出マトリックスを有し、そのマトリックス上に追加の持続または制御放出コーティングが配置されている医薬組成物を排除しないことも理解されるものとする。同様に、用語「持続放出コーティング製剤」または「制御放出コーティング製剤」は、持続放出マトリックスまたは制御放出マトリックス上に配置される持続または制御放出コーティングを有する医薬組成物を排除しない。
【0037】
いくつかの実施形態については、用語「持続放出マトリックス剤形」は、その剤形が、放出の持続化を担う唯一の構造として持続放出マトリックスを含むことを示していることがある。ただしこれは、その剤形が、本明細書において後述する即時放出部分を含み得ることを排除するものではない。
【0038】
いくつかの実施形態については、用語「持続放出コーティング剤形」は、その剤形が、放出の持続化を担う唯一の構造として持続放出コーティングを含むことを示していることがある。ただしこれは、その剤形が、本明細書において後述する即時放出部分を含み得ることを排除するものではない。
【0039】
本明細書において以後示される放出速度は、別段の指示がない限り、投与に使用されると予想される経口固形剤形、例えば、モノリシック錠(monolithic tablet)、カプセル剤または多粒子剤について言及される。
【0040】
経口固形剤形は、錠剤、多粒子剤等の形態をとり得る。
【0041】
多粒子剤とは、顆粒および粒状錠などの複数の粒子から作られ、単位用量、すなわち、患者に投与されることになる剤形中の活性薬物(複数可)の量が多粒子剤全体にわたって分布している、医薬組成物をいう。一方、モノリシック錠の場合、単位用量が単一の錠剤中に含まれることになる。
【0042】
本発明によれば、粒状錠は多粒子剤形であり、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩をマトリックス中に含み、このマトリックスは、持続もしくは制御放出マトリックスでもよく、または、持続放出特徴をもたらさない担体マトリックス構造でもよい。いずれのマトリックスも、特に、持続放出特徴をもたらさないマトリックスは、その上に配置される持続放出コーティングでコーティングされ得る。粒状錠は、典型的には、厚さ約1〜約5mm、直径約1〜5mmの丸型から楕円型の形態をとる。約1〜約4mm、約1〜約3mm、および約2mmの厚さおよび直径も適当と考えられる。
【0043】
顆粒剤または粒状錠などの多粒子剤は、直接使用してもよく、または、例えばカプセル中に充填してもよい。カプセルには多粒子剤形を入れることが考慮されるが、その理由は、カプセルシェルが持続放出特性に寄与することは仮にあったとしても十分ではないと思われるからである。顆粒剤または粒状錠を他の添加剤中に埋め込んで、例えば錠剤を形成することもできる。錠剤が瞬時に、例えば3〜5分未満で崩壊して個々の顆粒剤または粒状錠になり、in vitroでの持続放出特徴が顆粒剤または粒状錠について経時的に実測されるようになるのであれば、錠剤はまさに多粒子剤形であるといえる、という点に注目することは重要である。モノリシック錠が、例えば顆粒剤を添加剤と共に圧縮することにより生産されるのであれば、また、モノリシック錠がin vitro放出速度の測定期間にわたって無傷の状態を保つ、すなわち実質的に崩壊しないのであれば、そのようなモノリシック錠は、多粒子剤形とはいえないことになる。
【0044】
したがって、用語「多粒子剤」は、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む複数の粒子、例えば顆粒剤または粒状錠などから作られた組成物を指す。そのような多粒子剤が、カプセル中に充填されるか、または、素早く崩壊して個々の多粒子剤になる錠剤中に埋め込まれるのであれば、このようなキャリアカプセル剤(carrier capsule)または錠剤も多粒子剤とみなされると予想される。一方、用語「モノリシック錠」は、多粒子剤形ではない剤形を説明するために使用される。
【0045】
多粒子剤の粒子は、すべて、ヒドロモルホンまたはその(hereof)薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬を含み、活性剤の持続放出をもたらすことができる。代替手段においては、粒子は、ヒドロモルホンもしくはその薬学的に許容される塩またはナロキソンもしくはその薬学的に許容される塩のいずれかの持続放出製剤を含み、次いで、例えばカプセル中で合わされて粒子の混合物となることができる。粒子はすべて、持続マトリックスおよび/または持続コーティングを含むことができる。代替手段においては、一部の粒子はヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を持続放出マトリックス中に含むことができ、他の粒子はヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を持続放出コーティングに取り囲まれた状態で含むことができる。次いで、粒子を例えばカプセル中で合わせて多粒子剤組成物を得ることができる。また、多粒子剤組成物の粒子は、それぞれがヒドロモルホンもしくはその薬学的に許容される塩の追加的な即時放出相を、例えば即時放出トップコーティングの形態で含んでもよく、または、即時放出相が追加的な即時放出粒子の形態で提供されてもよい。
【0046】
好ましい可能性がある一実施形態では、本発明による持続放出剤形は、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩の両方が同一のマトリックス粒子中に埋め込まれその上に制御放出コーティングが配置されている粒状錠の形態の多粒子剤を含む。マトリックス構造は、持続または制御放出材料から作られたものであっても、活性剤の持続放出には寄与しないかまたは少なくとも十分には寄与しない。その理由は、これらの多粒子剤および/または粒状錠のマトリックス粒子のサイズが小さいことから活性薬物は相当程度が表面に位置することとなり、よって基本的には瞬時に放出されることになるからである。マトリックス構造は、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩の保存安定性をもたらすように主に働き、持続放出特性は、これらの粒状錠のそれぞれに対して、完全にではなくとも大半が制御放出コーティングによりもたらされる。
【0047】
用語「熱処理」は、持続放出マトリックス製剤を熱処理する文脈で使用される。用語「硬化」は、持続放出コーティング製剤を熱処理する文脈で使用され、コーティングの融合(coalescence)時の加熱効果に関する。組成物が持続放出マトリックスおよび持続放出コーティングを含む場合、用語「熱処理」または「熱処理された」は、持続放出コーティングが施用される前に持続放出マトリックスが熱処理されていることを表す。
【0048】
本明細書に開示の本発明は、すべての態様および実施形態に関して、ヒドロモルホンおよびナロキソンの任意の薬学的に許容される塩の使用を包含することを意図している。ヒドロモルホンおよびナロキソンに言及する本発明の任意の実施形態は、別段の指示がない限り、その塩、好ましくは塩酸塩を指すことも意図している。
【0049】
薬学的に許容される塩としては、限定されるものではないが、無機酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等;有機酸塩、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩等;スルホン酸塩、例えば、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等;アミノ酸塩、例えば、アルギン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩(asparginate)、グルタミン酸塩等;および金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等;アルカリ土類金属、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等;有機アミン塩、例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等、ならびにこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0050】
以下でヒドロモルホンなどの薬学的活性剤に言及する場合、用語「ヒドロモルホン」を使用するなど薬学的活性剤に言及した場合には遊離塩基のみを指すものとすると具体的に指示されていない限り、この言及には、この薬学的活性剤の遊離塩基の薬学的に許容される塩への言及も常に含まれる。
【0051】
本明細書において以後考察するように、すべての態様および実施形態についてはヒドロモルホンとナロキソン両方の塩酸塩の使用が好ましい。
【0052】
好ましい実施形態では、医薬剤形は、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を、独占的な薬学的活性剤として含む。
【0053】
本医薬組成物は、約1〜約64mg、例えば約1mg、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約40mg、約48mgもしくは約64mgのヒドロモルホン塩酸塩または等モル量の任意の他の薬学的に許容される塩または等モル量の遊離塩基を含むことができ、塩には、限定されるものではないが水和物および溶媒和物が含まれる。ヒドロモルホン塩酸塩、別のヒドロモルホン塩、またはヒドロモルホン遊離塩基の量に言及する場合、この言及はそれぞれ、ヒドロモルホンの塩酸塩、他の塩または遊離塩基の無水形態に関している。ヒドロモルホンの塩酸塩、別の塩または遊離塩基の水和型が使用される場合、これはそれぞれ、ヒドロモルホンの塩酸塩、他の塩または遊離塩基の無水形態の前述の量と等価な量で使用されることになる。
【0054】
本医薬組成物は、約1〜約128mg、例えば約1mg、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mg、約64mg、約96mgもしくは約128mgのナロキソン塩酸塩または等モル量の任意の他の薬学的に許容される塩、誘導体または等モル量の遊離塩基を含むことができ、塩、誘導体の形態には、限定されるものではないが水和物および溶媒和物が含まれる。ナロキソン塩酸塩または別のナロキソン塩の量に言及する場合、この言及はそれぞれ、ナロキソンの塩酸塩または他の塩の無水形態に関している。ナロキソンの塩酸塩または別の塩の水和型が使用される場合、これはそれぞれ、ナロキソンの塩酸塩または他の塩の無水形態の前述の量と等価な量で使用されることになる。
【0055】
この後の記載内容から明らかになるとおり、約2:1〜約1:3の比範囲、特に、約2:1、約1:1、約1:2および約1:3の比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を、ヒドロモルホンHClとナロキソンHClとの特定の配合薬について、例えば、8mgのヒドロモルホンHClと4mgのナロキソンHCl、8mgのヒドロモルホンHClと8mgのナロキソンHCl、8mgのヒドロモルホンHClと16mgのナロキソンHCl、および8mgのヒドロモルホンHClと24mgのナロキソンHClの特定の配合薬について試験してある。他の特定の配合薬は、表5から得ることができる。約1:2など特定の重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む、配合薬、医薬組成物、経口固形持続放出医薬組成物等に言及する場合はいつも、この重量比は、ヒドロモルホンHClとナロキソンHClとについて決定される重量比を指すことが理解されるものとする。ヒドロモルホンおよびナロキソンのその他の薬学的に許容される塩または遊離塩基が使用される場合、本明細書において言及する重量比は、それに応じて調節されなければならないと予想される。つまり、4mgのヒドロモルホンHClと8mgのナロキソンHClの約1:2比は、対応量のヒドロモルホン遊離塩基すなわち3.55mgと対応量のナロキソン遊離塩基すなわち7.2mgとが使用される場合には、約1:2.03の重量比に変換される。4mgのヒドロモルホンHClと8mgのナロキソンHClの約1:2比は、対応量のヒドロモルホン遊離塩基すなわち3.55mgと対応量のナロキソンHCl二水和物、すなわちナロキソン8.79mgとが使用される場合には、対応して約1:2.47の重量比に変換される。
【0056】
重量比範囲が約1:1〜約1:2であるという指示は、約1:1、約1:1.1、約1:1.2、約1:1.3、約1:1.4、約1:1.5、約1:1.6、約1:1.7、約1:1.8、約1:1.9または約1:2.0という重量比を包含する。
【0057】
第1の態様では、本発明は、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩、すなわち、約24mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約48mgのナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物であって、製剤は、12時間ごとの投与に適している、経口固形持続放出医薬組成物に関する。
【0058】
第2の態様では、本発明は、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩、すなわち、約24mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約24mgのナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物であって、製剤は、12時間ごとの投与に適している、経口固形持続放出医薬組成物に関する。
【0059】
第3の態様では、第1および第2の態様について記載した医薬組成物は、疼痛の治療における使用のためのものである。
【0060】
第4の態様では、第1および第2の態様について記載した医薬組成物は、疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のためのものである。
【0061】
第5の態様では、第1および第2の態様について記載した医薬組成物は、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している患者における疼痛の治療における使用のためのものである。
【0062】
第6の態様では、本発明は、患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物に関する。
【0063】
第7の態様では、本発明は、患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物に関する。
【0064】
第8の態様では、本発明は、患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物であって、該患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、経口固形持続放出医薬組成物に関する。
【0065】
この第6、第7および第8の態様の第1の好ましい実施形態では、投与される医薬組成物は、約2mg以上約32mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約2mg以上約64mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該持続放出医薬組成物は、12時間ごとの投与に適している。例えば、本経口固形持続放出医薬組成物は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mgまたは約32mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩、および、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含むことができ、該持続放出医薬組成物は、12時間ごとの投与に適している。
【0066】
この第6、第7および第8の態様の第2の好ましい実施形態では、投与される医薬組成物は、約4mg以上約24mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約4mg以上約48mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該医薬組成物は、約1:1または約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該持続放出医薬組成物は、12時間ごとの投与に適している。例えば、本経口固形持続放出医薬組成物は、約4mg、約8mg、約12mg、約16mgまたは約24mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩、および、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mgまたは約48mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含むことができ、該持続放出医薬組成物は、12時間ごとの投与に適している。
【0067】
第9の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約2mg以上約64mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬に関する。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0068】
第10の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約64mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬に関する。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0069】
第11の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約64mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬であって、該患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、配合薬に関する。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0070】
この第9、第10および第11の態様の第1の好ましい実施形態では、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩は、約8mg以上約24mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量で投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩は、約8mg以上約24mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量で投与される。例えば、そのような投与は、約8mg、約12mg、約16mgまたは約24mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約8mg、約12mg、約16mgまたは約24mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。この目的のために、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬は、12時間または24時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供することができる。
【0071】
この第9、第10および第11の態様の第2の好ましい実施形態では、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩は、約4mg以上約12mg以下のヒドロモルホン塩酸塩、例えば、約4mg、約8mgまたは約12mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩は、約4mg以上約12mg以下のナロキソン塩酸塩、例えば、約4mg、約8mgまたは約12mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに同時投与される。この目的のために、約1:1の重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬は、12時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供することができる。そのような経口固形持続放出医薬組成物は、例えば、12mgのヒドロモルホンHClおよび12mgのナロキソンHClを含むと予想される。
【0072】
第12の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約4mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬に関する。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mg、約64mgまたは約128mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0073】
第13の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約4mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬に関する。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mg、約64mgまたは約128mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0074】
第14の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約4mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬であって、該患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、配合薬に関する。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mg、約64mgまたは約128mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0075】
この第12、第13および第14の態様の第1の好ましい実施形態では、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩は、約8mg以上約48mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量で投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩は、約16mg以上約96mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量で投与される。例えば、そのような投与は、約8mg、約12mg、約16mg、約24mgまたは約48mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約16mg、約24mg、約32mgまたは約96mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。この目的のために、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬は、12時間または24時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供することができる。
【0076】
この第12、第13および第14の態様の第2の好ましい実施形態では、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩は、約4mg以上約24mg以下のヒドロモルホン塩酸塩、例えば、約4mg、約8mg、約12mgまたは約24mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩は、約8mg以上約48mg以下のナロキソン塩酸塩、例えば、約8mg、約16mg、約24mgまたは約48mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに同時投与される。この目的のために、約1:2の重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬は、12時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供することができる。そのような経口固形持続放出医薬組成物は、例えば、24mgのヒドロモルホンHClおよび48mgのナロキソンHClを含むと予想される。
【0077】
第15の態様では、本発明は、約48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬に関する。
【0078】
第16の態様では、本発明は、約48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬に関する。
【0079】
第17の態様では、本発明は、約48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬であって、該患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、配合薬に関する。
【0080】
この第15、第16および第17の態様の第1の好ましい実施形態では、約1:2の重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬は、24時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供することができる。
【0081】
この第15、第16および第17の態様の第2の好ましい実施形態では、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬は、12時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供することができる。そのような経口固形持続放出医薬組成物は、例えば、24mgのヒドロモルホンHClおよび48mgのナロキソンHClを含むと予想される。
【0082】
第18の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬に関する。ヒドロモルホンHClの最大1日量は、好ましくは64mgを超えないと予想される。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mg、約64mgまたは約128mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0083】
第19の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬に関する。ヒドロモルホンHClの最大1日量は、好ましくは64mgを超えないと予想される。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mg、約64mgまたは約128mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0084】
第20の態様では、本発明は、約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬であって、該患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、配合薬に関する。ヒドロモルホンHClの最大1日量は、好ましくは64mgを超えないと予想される。例えば、そのような投与は、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約64mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約2mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mg、約64mgまたは約128mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。
【0085】
この第18、第19および第20の態様の第1の好ましい実施形態では、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩は、約8mg以上約48mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量で投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩は、約8mg以上約96mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量で投与される。例えば、そのような投与は、約8mg、約12mg、約16mg、約24mgまたは約48mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与すること、および、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mg、約48mgまたは約96mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を1日に投与することを含む。この目的のために、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬は、12時間または24時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供することができる。
【0086】
この第12、第13および第14の態様の第2の好ましい実施形態では、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩は、約4mg以上約24mg以下のヒドロモルホン塩酸塩、例えば、約4mg、約8mg、約12mg、約16mgまたは約24mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩は、約4mg以上約48mg以下のナロキソン塩酸塩、例えば、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約24mg、約32mgまたは約48mg(これらの量のうち任意の値間の量範囲を含む)のナロキソン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに同時投与される。この目的のために、約1:1〜約1:2の重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬は、12時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供することができる。
【0087】
前述の第3〜第20の態様で、例えば疼痛の治療における使用のための組成物、配合薬等に言及している場合、この言及は、疼痛の治療のための医薬の製造における当該組成物、配合薬等の使用、または、当該組成物、配合薬等を投与することによる患者における疼痛を治療する方法についても開示しているものと考えられたい。
【0088】
例として、前述の第15の態様の主題は、約48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を投与することによる患者における疼痛の経口治療のための医薬の製造における、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬の使用にも関する。前述の第15の態様の主題はまた、約48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を投与することによるその必要がある患者における疼痛を治療する方法であって、配合薬は、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む、方法に関する。
【0089】
本明細書において企図される医薬組成物、配合薬等は、疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のためのものであり得るだけでなく、食物による影響を低減または回避することも可能にし得る。
【0090】
用語「食物による影響」とは、一般に、被験者が空腹状態で摂った場合と非空腹状態で摂った場合とでは医薬組成物が異なるバイオアベイラビリティーを示す状況を指す。本明細書において企図される医薬組成物、配合薬等は、非空腹状態において該医薬組成物、配合薬等について得られた薬物動態パラメータ、すなわち、AUC(曲線下面積)、C
max(最高血漿中濃度)および/またはT
max(最高血漿中濃度到達時間)が、空腹状態において該医薬組成物、配合薬等について得られた薬物動態パラメータ、すなわち、AUC(曲線下面積)、C
max(最高血漿中濃度)および/またはT
max(最高血漿中濃度到達時間)との生物学的同等性基準を満たしていれば、食物による影響をまったくまたは少なくとも有意ではない程度にしか示さないとみなされる(この点については、“Guideline on the Investigation of Bioequivalence” by the EMA, CPMP/EWP/QWP/1401/98 of 20 January 2010を参照のこと)。食物による影響の可能性を決定するためには、標準化された食事を摂った状態または摂っていない状態のいずれかで被験者に該医薬組成物、配合薬等を摂らせ、食事および医薬組成物、配合薬等を摂る前は同じ空腹条件を遵守させればよい。したがって、非空腹状態の被験者には、例えば高脂肪食を摂らせてもよく、そのような食事は、高脂肪(食事の総カロリー量のおよそ50パーセント)および高カロリー(およそ800〜1000kcal)食、例えば高脂肪朝食などであってもよい。空腹状態の被験者および非空腹状態の被験者には、例えば、服薬に先立ち少なくとも8時間は一切食物を摂らせないようにし得る。ランダム化して医薬組成物、配合薬等を非空腹状態で投与されるようにした被験者には、服薬前30分の間に高脂肪朝食を消費させ得る。
【0091】
約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比など、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲内にある一定の重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩は、食物による影響を回避するかまたは少なくとも低減することができることが企図される。
【0092】
したがって、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比など、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲内のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、配合薬等は、この医薬組成物、配合薬等を食物と同時に摂る患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減を可能にし得る。食物と医薬組成物、配合薬等の同時投与とは、例えば、食物が、医薬組成物、配合薬等の投与前約1時間以内もしくは約30分以内に、または、投与後約30分以内、約1時間以内、約2時間以内もしくは約3時間以内に食される状況に関する。約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比など、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲内のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、配合薬等で食物による影響がまったくないかまたは少なくとも実質的にないものは、患者が食物を食したか食していないかに関係なく、患者における疼痛の治療および/またはオピオイド誘発性便秘の軽減のためにも使用することができる。約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比など、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲内のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、配合薬等で食物による影響がまったくないかまたは少なくとも実質的にないものは、食物の同時摂取を必要とし得る患者における疼痛の治療および/またはオピオイド誘発性便秘の軽減のためにさらに使用することができる。
【0093】
前述の第9〜第20の態様において、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む配合薬に言及している場合、この言及は、ヒドロモルホンもしくはその薬学的に許容される塩およびナロキソンもしくはその薬学的に許容される塩が、例えば錠剤、カプセル剤等の同一の剤形中で提供される状況、または、ヒドロモルホンもしくはその薬学的に許容される塩およびナロキソンもしくはその薬学的に許容される塩が、例えば錠剤、カプセル剤等の別々の剤形中で提供される状況を指す。どちらの想定状況においても、剤形は持続放出剤形であることが好ましい。ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬は、同一の持続放出剤形内で提供されることが特に好ましい可能性があるが、その理由は、これにより、選択された重量比、例えば1:1または1:2の比を、活性薬物が胃腸系全体を通過する間、確実に維持することができるからである。
【0094】
ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が同一の剤形中で提供されるかまたは別々の剤形中で提供されるかに関係なく、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩の両方が、実質的に同じin vitro放出速度で放出されることが好ましいと予想される。用語「実質的に同じin vitro放出速度」とは、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩のin vitro放出速度が、同じ方法によって試験した場合、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩のin vitro放出プロファイルから約20%より大きくずれていない、好ましくは約15%以下、より好ましくは10%以下ずれていないという状況を指す。20%以下、15%以下または10%以下のずれとは、所与時点におけるナロキソンまたはその薬学的に許容される塩のin vitro放出についての、同一の所与時点におけるヒドロモルホンまたは薬学的に許容される塩のin vitro放出からの絶対的なずれを指す。したがって、例えば、2時間時点で30%のヒドロモルホンHClが剤形から放出されている場合、同一剤形からの例えばナロキソンHClの放出は、2時間時点でのナロキソンHClのin vitro放出が10%〜50%の範囲内であれば実質的に同じとみなされると予想される。それに対応して、例えば、4時間時点で40%のヒドロモルホンHClが剤形から放出されている場合、同一剤形からの例えばナロキソンHClの放出は、4時間時点でのナロキソンHClのin vitro放出が20%〜60%の範囲内であれば実質的に同じとみなされると予想される。ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を同一剤形にてまたは別々の剤形にて提供し、それらの剤形が両方の活性剤について実質的に同じin vitro放出をもたらすことが、好ましい実施形態であり得るが、その理由は、これにより、選択された重量比、例えば1:1または1:2の比を、in vitro放出期間にわたり、確実に維持することができるからである。ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を同一剤形にて提供し、この剤形がヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩の両方を実質的に同じin vitro放出速度で放出することが、特に好ましい実施形態であり得る。
【0095】
疼痛の治療について先に言及した箇所ではいずれも、この言及には、中等度から重度の疼痛、さらには最も重度の疼痛の治療が含まれる。したがって、本発明の医薬組成物は、いくつかの実施形態では、オピオイド鎮痛薬のみを用いて十分に管理することができる疼痛の治療における使用のためのものである。疼痛としては、急性および/または慢性疼痛、好ましくは慢性非悪性または慢性悪性疼痛を挙げることができる。特定のタイプの慢性非悪性疼痛としては、慢性で非悪性の内臓痛、神経障害性疼痛または骨痛が挙げられる。特定のタイプの慢性悪性疼痛としては、慢性で悪性のがん疼痛、内臓痛、神経障害性疼痛または骨痛が挙げられる。
【0096】
本発明の医薬組成物は、疼痛の治療における使用のためのものであり、好ましくは、疼痛に加えオピオイド誘発性腸機能障害症候群に罹患している患者において使用される。オピオイドによる腸機能障害症候群は、好ましくは、オピオイド誘発性便秘であり得る。したがって、疼痛の治療における使用のための本医薬組成物を使用して、疼痛の治療を受けている患者におけるオピオイド誘発性便秘を同時に改善することができる。代替的には、この医薬組成物を使用して、疼痛の治療を受けている患者におけるオピオイド誘発性便秘を同時に予防することができる。
【0097】
前述の態様および好ましい実施形態のすべてにおいて、薬学的活性剤は、最も好ましくはヒドロモルホンHClおよびナロキソンHClと予想される。これらの経口固形持続放出医薬組成物は、好ましくは、約4mgのヒドロモルホンHClおよび約8mgのナロキソンHCl、約8mgのヒドロモルホンHClおよび約16mgのナロキソンHCl、約12mgのヒドロモルホンHClおよび約24mgのナロキソンHCl、約16mgのヒドロモルホンHClおよび約32mgのナロキソンHCl、ならびに約24mgのヒドロモルホンHClおよび約48mgのナロキソンHClを含み、12時間ごとまたは24時間ごとの投与に適したものとなるが、12時間タイプの(12 hourly)組成物が好ましいと予想される。代替的には、本経口固形持続放出医薬組成物は、好ましくは、約4mgのヒドロモルホンHClおよび約4mgのナロキソンHCl、約8mgのヒドロモルホンHClおよび約8mgのナロキソンHCl、約12mgのヒドロモルホンHClおよび約12mgのナロキソンHCl、約16mgのヒドロモルホンHClおよび約16mgのナロキソンHCl、ならびに約24mgのヒドロモルホンHClおよび約24mgのナロキソンHClを含み、12時間ごとまたは24時間ごとの投与に適したものとなるが、12時間タイプの組成物が好ましいと予想される。
【0098】
その他の経口固形持続放出医薬組成物は、約5mgのヒドロモルホンHClおよび約10mgのナロキソンHCl、約6mgのヒドロモルホンHClおよび約12mgのナロキソンHCl、約7mgのヒドロモルホンHClおよび約14mgのナロキソンHCl、約9mgのヒドロモルホンHClおよび約18mgのナロキソンHCl、約10mgのヒドロモルホンHClおよび約20mgのナロキソンHCl、約11mgのヒドロモルホンHClおよび約22mgのナロキソンHCl、約13mgのヒドロモルホンHClおよび約26mgのナロキソンHCl、約14mgのヒドロモルホンHClおよび約28mgのナロキソンHCl、約15mgのヒドロモルホンHClおよび約30mgのナロキソンHCl、約17mgのヒドロモルホンHClおよび約34mgのナロキソンHCl、約18mgのヒドロモルホンHClおよび約36mgのナロキソンHCl、約19mgのヒドロモルホンHClおよび約38mgのナロキソンHCl、約20mgのヒドロモルホンHClおよび約40mgのナロキソンHCl、約21mgのヒドロモルホンHClおよび約42mgのナロキソンHCl、約22mgのヒドロモルホンHClおよび約44mgのナロキソンHCl、ならびに約23mgのヒドロモルホンHClおよび約46mgのナロキソンHClを含むことができる。これらの組成物は、12時間ごとまたは24時間ごとの投与に適したものであり得、12時間タイプの組成物が好ましい可能性がある。その他の経口固形持続放出医薬組成物は、約5mgのヒドロモルホンHClおよび約5mgのナロキソンHCl、約6mgのヒドロモルホンHClおよび約6mgのナロキソンHCl、約7mgのヒドロモルホンHClおよび約7mgのナロキソンHCl、約9mgのヒドロモルホンHClおよび約9mgのナロキソンHCl、約10mgのヒドロモルホンHClおよび約10mgのナロキソンHCl、約11mgのヒドロモルホンHClおよび約11mgのナロキソンHCl、約13mgのヒドロモルホンHClおよび約13mgのナロキソンHCl、約14mgのヒドロモルホンHClおよび約14mgのナロキソンHCl、約15mgのヒドロモルホンHClおよび約15mgのナロキソンHCl、約17mgのヒドロモルホンHClおよび約17mgのナロキソンHCl、約18mgのヒドロモルホンHClおよび約18mgのナロキソンHCl、約19mgのヒドロモルホンHClおよび約19mgのナロキソンHCl、約20mgのヒドロモルホンHClおよび約20mgのナロキソンHCl、約21mgのヒドロモルホンHClおよび約21mgのナロキソンHCl、約22mgのヒドロモルホンHClおよび約22mgのナロキソンHCl、ならびに約23mgのヒドロモルホンHClおよび約23mgのナロキソンHClを含むことができる。これらの組成物は、12時間ごとまたは24時間ごとの投与に適したものであり得、12時間タイプの組成物が好ましい可能性がある。
【0099】
前述のように、本発明による持続放出医薬組成物は、持続放出マトリックス、持続放出コーティング、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0100】
したがって、そのような持続放出医薬組成物の製造および特定の成分に関しては、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を持続放出材料と組み合わせて、それにより持続放出マトリックスおよび/または持続放出コーティングが形成されるようにすることができる。
【0101】
持続放出材料は、例えば持続放出マトリックスに製剤化される場合、活性剤に制御放出特性を付与できることが公知の任意の材料であり得る。そのような材料は、ガム、セルロースエーテル、アクリル系ポリマー、タンパク質由来の材料、ポリエチレンオキシド(polyethylenoxide)、ポリカプロラクトン(polycaprilactone)などの親水性および/または疎水性材料であり得る。
【0102】
持続放出マトリックス材料としては、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、ポリエチレングリコール、ミネラル、ならびに油およびワックスを挙げることもできる。好ましい脂肪酸および脂肪アルコールは、C
10〜C
30鎖、好ましくはC
12〜C
24鎖、より好ましくはC
14〜C
20鎖またはC
16〜C
20鎖のものである。ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコールおよびポリアルキレングリコールなどの材料が好ましいことがある。ワックスは、蜜蝋、カルナウバワックスなどの天然および合成ワックス等から選択することができる。油は植物油であり得、それには、例えばヒマシ油が含まれる。
【0103】
本発明に関して考慮され得る持続放出マトリックス材料は、セルロースエーテルから選択することもできる。
【0104】
用語「セルロースエーテル」は、少なくともアルキル基および/またはヒドロキシアルキル基で誘導体化されたセルロース由来のポリマーを含み、このポリマーは親水性または疎水性であり得る。
【0105】
例えば、持続放出マトリックス材料は、ヒドロキシC
1〜C
6アルキルセルロースなどの親水性ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に好ましくはヒドロキシエチルセルロースであり得る。
【0106】
疎水性セルロースエーテルの例としては、例えばエチルセルロースが挙げられる。エチルセルロースの使用が好ましいことがある。エチルセルロースなどの疎水性セルロースエーテルは、医薬組成物に耐アルコール性を付与するのに特に適していることがある。
【0107】
本発明による持続放出マトリックス製剤に適した材料は、アクリル樹脂の群から選択することができる。そのようなアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーで作られているものであり得る。
【0108】
残基の性質によって特徴付けることができる多様なタイプの(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーが利用可能であり、例えば、中性(メタ)アクリル酸(コ)ポリマー、アニオン性残基を有する(メタ)アクリル酸(コ)ポリマー、またはカチオン性残基を有する(メタ)アクリル酸エステルコポリマーなどがある。
【0109】
中性(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーとしては、中性残基を有する95〜100重量%の重合化モノマーを有するポリマーが挙げられる。中性残基を有するモノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルアクリレートなどの、アクリル酸またはメタクリル酸のC
1〜C
4アルキルエステルであり得る。例えば、中性(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーは、エチルアクリレート20〜40重量%およびメチルメタクリレート60〜80重量%を含むことができる。そのようなポリマーは、例えば、Eudragit(登録商標)NEの商品名で入手可能であり、これは、エチルアクリレート30重量%およびメチルメタクリレート70重量%のコポリマーである。このポリマーは、通常、30%または40%水性分散液の形態で提供されている[Eudragit(登録商標)NE30D、Eudragit(登録商標)NE40DまたはEudragit(登録商標)NM30D]。
【0110】
官能性アニオン性残基を有する(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のラジカル重合したC
1〜C
4アルキルエステルを25〜95重量%、および、アルキル残基中にアニオン性基を有するメタクリレートモノマーを5〜75重量%有する、(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーであり得る。アクリル酸またはメタクリル酸のC
1〜C
4アルキルエステルは、やはり、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルアクリレートである。アルキル残基中にアニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、例えばアクリル酸、好ましくはメタクリル酸であり得る。官能性アニオン性基を有するそのようなメタクリル酸コポリマーは、例えば、メタクリル酸40〜60重量%およびメチルメタクリレート60〜40重量%またはエチルアクリレート60〜40重量%を含むことができる。これらのタイプのポリマーは、それぞれ、Eudragit(登録商標)L100/Eudragit(登録商標)L12.5またはEudragit(登録商標)L100−55/Eudragit(登録商標)L30D−55として入手可能である。
【0111】
官能性カチオン性基を有する(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーは、第三級アミノ基を有するメタクリル酸コポリマーであり得る。そのようなポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のラジカル重合したC
1〜C
4アルキルエステル30重量%〜80重量%、およびアルキル残基中に第三級アミノ基を有するメタクリレートモノマー70〜20重量%を含むことができる。第三級アミノ基を有する一般的な(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーは、メチルメタクリレート20〜30重量%、ブチルメタクリレート20〜30重量%およびジメチルアミノエチルメタクリレート60〜40重量%を含むことができる。例えば、市販のEudragit(登録商標)E100は、メチルメタクリレート25重量%、ブチルメタクリレート25重量%およびジメチルアミノエチルメタクリレート50重量%を含む。別のよくみられる市販のポリマーEudragit(登録商標)E POは、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートとが25:25:50の比であるコポリマーを含む。
【0112】
官能性カチオン性基を有する別のタイプの(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーは、第四級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーである。このタイプの(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーは、典型的には、ラジカル重合したメチルメタクリレート50〜70%、エチルアクリレート20〜40重量%、および2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート塩化物12〜2重量%を含む。そのようなポリマーは、例えば、Eudragit(登録商標)RSまたはEudragit(登録商標)RLの商品名で入手可能である。
【0113】
例えば、Eudragit(登録商標)RSは、メチルメタクリレート65重量%、エチルアクリレート30重量%および2−トリメチルアンモニウムエチル(trimethylamoniumethyl)メタクリレート塩化物5重量%のラジカル重合した単位を含む。Eudragit(登録商標)RLは、メチルメタクリレート60重量%、エチルアクリレート30重量%および2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート塩化物10重量%のラジカル重合した単位を含む。
【0114】
持続放出製剤における持続放出マトリックス材料(複数可)の量は、医薬組成物の重量に対して約5〜90重量%、約10〜70重量%、約20〜60重量%、約20重量%〜約55重量%、約25重量%〜約50重量%、約25重量%〜約45重量%、好ましくは約30〜約40重量%であり得る。組成物中に組み込まれる持続放出マトリックス材料の量は、持続放出特性を調整する1つの方法となり得る。例えば、持続放出材料の量を増大させると、放出はさらに持続し得る。前述の量は、医薬組成物中の持続放出材料の全含量を指す。したがってこれらの量は、中性(メタ)アクリル酸(コ)ポリマー、疎水性セルロースエーテルおよび/または脂肪アルコールなどの多様な持続放出材料の混合物を指すことがある。
【0115】
セルロースエーテルが持続放出マトリックス材料に含まれる場合、典型的には、医薬組成物の重量に対して約5重量%〜約50重量%、約5重量%〜約45重量%、約5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約35重量%、約5重量%〜約30重量%、約5重量%〜約25重量%、約5重量%〜約20重量%、例えば約5重量%、約7重量%、約10重量%、約15重量%、約18重量%または約20重量%の量で存在することになる。
【0116】
脂肪アルコールが持続放出マトリックス材料に含まれる場合、典型的には、医薬組成物の重量に対して約5重量%〜約50重量%、約5重量%〜約45重量%、約5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約35重量%、10重量%〜約30重量%、約10重量%〜約25重量%、例えば約10重量%、約15重量%、約20重量%または約25重量%の量で存在することになる。
【0117】
(メタ)アクリル酸(コ)ポリマーが持続放出マトリックス材料に含まれる場合、典型的には、医薬組成物の重量に対して約5重量%〜約50重量%、約5重量%〜約45重量%、約5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約35重量%、約10重量%〜約30重量%、約10重量%〜約25重量%、例えば約10重量%、約15重量%、約20重量%または約25重量%の量で存在することになる。
【0118】
本発明による医薬組成物は、充填剤、滑沢剤、結合剤、放出速度調整剤(release rate modifier)、粘着防止剤などの薬学的に許容される添加剤も含むことができる。
【0119】
賦形剤とも呼ばれることがある充填剤としては、例えばラクトース、好ましくは無水ラクトース、グルコースまたはサッカロース、デンプン、それらの加水分解物、結晶セルロース、セラトース(cellatose)、ソルビトールまたはマンニトールなどの糖アルコール、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウムまたはリン酸三カルシウムなどの多価可溶性(polysoluble)カルシウム塩、および、先の充填剤の2つ以上の組合せを挙げ得る。
【0120】
ヒドロモルホンとナロキソンとの配合薬は、セルロースエーテルが持続放出材料として使用される場合には特に、湿気の影響を受けやすいことが観察されている。この状況に鑑み、例えば水の形態で湿気を取り込まない充填剤を使用することが好ましい場合がある。したがって、好ましい実施形態では、無水ラクトースなどの無水充填剤を使用することができる。
【0121】
滑沢剤としては、高分散シリカ、タルカム、コーンスターチ、酸化マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、水添ヒマシ油などの脂肪、フマル酸ステアリルナトリウム、ならびに先の滑沢剤の2つ以上の組合せを挙げることができる。
【0122】
滑沢剤として、ステアリン酸マグネシウムとタルカムの組合せを使用することが好ましい場合がある。これらの滑沢剤の適切な量が選定されれば、例えば、圧縮に使用される顆粒の流動特性を改善することができることが見出されている。
【0123】
したがって、滑沢剤の量は、医薬組成物の重量に対して約0.5重量%〜約4重量%、約0.7重量%〜約3重量%、約1重量%〜約2重量%、例えば約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%または約2.0重量%を用いることが好ましい場合がある。特に、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクが使用される場合、医薬組成物の重量に対して約0.75重量%〜約1.25重量%の量が好ましい場合がある。前述の量は、組成物中のすべての滑沢剤(すなわち、混合物を含む)の量を指す。
【0124】
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カーボポール、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0125】
HPCは錠剤の硬度に良い影響を及ぼし得るため、これを結合剤として使用することが好ましい場合がある。
【0126】
したがって、結合剤の量は、医薬組成物の重量に対して約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約9重量%、約3重量%〜約7重量%、約3重量%〜6重量%、約4重量%〜約5重量%、例えば約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%または約5.0重量%の量を用いることが好ましい場合がある。特に、HPCが結合剤として使用される場合、医薬組成物の重量に対して約4.4重量%〜約5.0重量%の量が好ましい場合がある。前述の量は、組成物中のすべての結合剤(すなわち、混合物を含む)の量を指す。
【0127】
結合剤としてポビドンを使用しないことが好ましい場合がある。
【0128】
放出速度調整剤とは、持続放出マトリックス材料を使用すれば可能になると予想される放出具合を調節するために、例えば、放出を加速させるまたは放出をさらに緩徐にするために使用することができる、薬学的に許容される添加剤である。そのような放出調整剤は、ポリエチレングリコール(polyethylenglycol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethlycellulose)、ヒドロキシエチルセルロースなどの親水性物質、または、油、ワックスなどの疎水性物質であり得る。他の放出調整剤としては、前述のいくつかの(メタ)アクリル(aycrylic)酸(コ)ポリマー、例えばEudragit(登録商標)RLPOタイプのポリマー、または、キサンタンガムなどのガムを挙げることができる。
【0129】
Eudragit/(登録商標)RLPOタイプのポリマー、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばHypromellose K100M、またはキサンタンガムなどの放出速度調整剤が好ましいことがある。
【0130】
そのような放出速度調整剤は、医薬組成物の重量に対して約1重量%〜約20重量%、約2重量%〜約19重量%、約3重量%〜約18重量%、約4重量%〜約17重量%、約5重量%〜約15重量%、例えば約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%または約15重量%の量で存在することができる。前述の量は、組成物中のすべての放出速度調整剤(すなわち、混合物を含む)の量を指す。
【0131】
薬学的に許容される添加剤の機能は重複し得ることが理解されるものとする。例えば、結晶セルロースなどの球状化剤(spheronising agent)は、適切な量を選べば、充填剤として使用することもできる。さらに、HPMCは、放出速度調整化剤(release rate modifying agent)として作用するだけでなく、例えばコーティングと共に持続放出製剤において使用される場合には、結合剤としても作用することができる。
【0132】
持続放出コーティングを施した持続放出医薬組成物は、当技術分野で一般的な材料から作ることができる。
【0133】
したがって、持続放出コーティング材料は、例えば、(i)アルキルセルロース、(ii)アクリルポリマー、(iii)ポリビニルアルコール、または(iv)それらの混合物から選択することができる。前述の群のうち、疎水性の代表例が好ましい場合がある。コーティングは、有機性または水性の溶液または分散液の形態で施用することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、制御放出コーティングは、疎水性制御放出材料の水性分散液に由来する。コーティングされた組成物は、次いで硬化させることができる。
【0135】
好ましい実施形態では、制御放出コーティングは、本明細書で以下に記載するものなどの可塑剤を含んでいる。
【0136】
一部の実施形態では、製剤からの放出を十分に持続させることができるように、約2〜約20%、例えば約2〜約15%、好ましくは約5〜約10%、例えば6%、7%、8%または9%の重量増加レベルを得るのに十分な量のコーティング材料でコーティングすることができる。
【0137】
アルキルセルロースを含むセルロース系材料およびポリマーは、本発明によれば、基材、例えばビーズ、顆粒、錠剤等のコーティングに好適な持続放出材料である。例示にすぎないが、好ましいアルキルセルロースポリマーには、エチルセルロースがある。
【0138】
市販のエチルセルロース水分散液の1つは、Aquacoat(登録商標)、例えばAquacoat(登録商標)ECD30(FMC Corp.、Philadelphia、Pennsylvania、U.S.A.)である。Aquacoatは、エチルセルロースを水非混和性の有機溶媒に溶解し、次いでそれを界面活性剤および安定剤の存在下にて水中で乳化させることによって調製される。ホモジナイゼーションによりサブミクロンの液滴を生成させた後、有機溶媒を真空下で蒸発させると擬ラテックスが形成される。
【0139】
別のエチルセルロース水分散液は、Surelease(登録商標)(Colorcon,Inc.、West Point、Pennsylvania、U.S.A.)として市販されている。この製品は、製造過程において可塑剤を分散液に組み込むことによって調製される。ポリマー、可塑剤(セバシン酸ジブチル)および安定剤(オレイン酸)のホットメルトを均質混合物として調製し、次いでそれをアルカリ溶液で希釈して、基材上に直接施用することができる水性分散液を得る。
【0140】
持続放出コーティング材料は、薬学的に許容されるアクリル系ポリマーであってもよく、限定されるものではないが例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)ならびにグリシジルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
【0141】
アクリルポリマーは、1つまたは複数のアンモニウムメタクリレートコポリマーから構成されていてもよい。アンモニウムメタクリレートコポリマーは、当技術分野では周知であり、第四級アンモニウム基を少量有する、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの完全重合コポリマーと説明される。典型的な例としては、低透過性アンモニウムメタクリレートポリマーであるEudragit(登録商標)RS30D、および、高透過性アンモニウムメタクリレートポリマーであるEudragit(登録商標)RL30Dが挙げられる。Eudragit RLおよびEudragit RSは水膨潤性であり、これらのポリマーによって吸収される水の量はpHに依存するが、Eudragit RLおよびRSでコーティングされた剤形はpH非依存性である。
【0142】
アクリル系コーティングは、Rohm PharmaからEudragit(登録商標)RL30DおよびEudragit(登録商標)RS30Dの商品名でそれぞれ市販されている2種類のアクリル樹脂ラッカーの混合物を含むことができる。本発明のEudragit(登録商標)RL/RS分散液は、望ましい溶解プロファイルを有する持続放出製剤を最終的に得るために、任意の所望の比(ration)で混ぜ合わせることができる。
【0143】
十分な量で施用されれば持続放出コーティング材料として使用することができる他のポリマーは、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーである。
【0144】
前述のコーティングは、組み合わせて施用することもできる。さらに、コーティング材料の量、ひいてはコーティングの厚さを増大させることによって、剤形の放出特性に影響を及ぼすことが可能である。
【0145】
コーティングが疎水性制御放出材料の水性分散液を含む本発明の実施形態では、疎水性材料の水性分散液に、有効量の可塑剤を含ませることによって、持続放出コーティングの物理的特性をさらに改善することができる。例えば、エチルセルロースは、相対的に高いガラス転移温度を有し、標準のコーティング条件下では柔軟なフィルムを形成することができないので、持続放出コーティングを含有するエチルセルロースコーティングに可塑剤を組み込んでからこれをコーティング材料として使用することが好ましい場合がある。一般に、コーティング溶液中に含まれる可塑剤の量は、フィルム形成剤の濃度を基準とし、例えば、ほとんどの場合、フィルム形成剤の約1〜約50重量%とする。
【0146】
エチルセルロースに適した可塑剤の例としては、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンなどの水不溶性可塑剤が挙げられるが、他の水不溶性可塑剤(例えば、アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油等)を使用することも可能である。クエン酸トリエチルは、本発明のエチルセルロース水分散液にとって特に好ましい可塑剤である。
【0147】
本発明のアクリル系ポリマーに適した可塑剤の例としては、限定されるものではないが、クエン酸トリエチルNF XVI、クエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジブチル、および場合により1,2−プロピレングリコールが挙げられる。Eudragit(登録商標)RL/RSラッカー溶液などのアクリル系フィルムから形成されるフィルムの弾性を強化するのに適していることが証明されている他の可塑剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油およびトリアセチンが挙げられる。
【0148】
特定のin vitro放出速度を実現しようとする場合、前述の尺度の組合せを使用すればよい。例えば、マトリックス粒子が小さすぎることから相当量の活性薬物は粒子の表面上にある状態になって即時に放出される、という理由で持続放出マトリックスからの放出が速すぎると思われる場合には、持続放出コーティングを施用して放出速度を低下させることができる。持続放出コーティングは、in vitro放出の最初の1〜2時間の間に遅滞期を設けたい場合にも適している可能性がある。持続放出コーティングがあるため活性薬物は医薬組成物の表面上に位置していないので、活性薬物は、持続放出マトリックス組成物の場合と同様、一部でも即時に放出されることはない。これにより、最初の遅滞期がもたらされる。持続放出コーティングからの活性薬物の放出を微調整するには、コーティング中に細孔形成剤を、例えば、持続放出コーティング材料より水に溶けやすい成分を含ませればよい。そのような細孔形成剤は、他の成分より素早く溶解して、コーティング中への水の浸透速度、ひいては活性薬物の放出速度を増大させると予想される。
【0149】
持続放出コーティングは、個々の持続放出マトリックス製剤、例えば、持続放出マトリックスを有するビーズ上に配置することも、または、持続放出マトリックス材料を使用しているにも関わらずそのサイズゆえに持続放出をもたらさない個々のマトリックス製剤、例えば、非持続放出マトリックスを有するビーズ上に配置することもでき、それにより多粒子製剤が得られる。これらの多粒子剤は、直接使用することも、カプセル中に充填することも、他の添加剤とブレンドして、水との接触時に即時に崩壊する錠剤などの剤形にすることもできる。
【0150】
前述のように、本発明のいくつかの好ましい態様および実施形態には、アルキルセルロースおよび脂肪アルコールなどの持続放出マトリックス材料で作られたマトリックス構造中に活性薬物ヒドロモルホンおよびナロキソンを含む単一粒子を有する持続放出多粒子医薬組成物が含まれる。好ましい例は、エチルセルロースと脂肪アルコールとの組合せである。これらの粒子は、サイズが小さいことから、一部の実施形態では、持続放出特性をもたらさない。そのため、これらの粒子はアルキルセルロースなどの持続放出コーティングでコーティングされ、この場合エチルセルロースが好ましい。そのような持続放出多粒子医薬組成物の製造については、実施例に示す。
【0151】
そのような組成物を製造する場合、活性薬物を持続放出マトリックス材料と混合し、押出加工し、熱処理し、粉砕することで、規定のサイズを得ることができる。この粒子を、次いでコーティングし、硬化する。
【0152】
粒子は、コーティング前に任意で、実質的に均一なサイズの顆粒を選別するためにふるいにかけてもよい。実質的に均一なサイズの粒子を選別することにより、最終的な持続放出医薬組成物の持続放出特性を向上させることができる。少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%がほぼ同じ平均径である粒子であれば、通常は、実質的に均一な径であるといえる。
【0153】
好ましくは、粒子は、平均径が約100μm〜約5mmの範囲、好ましくは約100μm〜約4mmの範囲、より好ましくは約100μm〜約3mmの範囲のものが選別される。選別は、適切なメッシュサイズの篩を使用して実施することができる。
【0154】
粒子は、湿式造粒によって生産することができるが、無水での押出加工など、無水での製造ステップおよび方法が好ましいことがある。マトリックス粒子を作る際に無水での製造ステップおよび方法が好ましいのは、これらのステップおよび方法が、ヒドロモルホンもしくはナロキソンまたはその薬学的に許容される塩の化学的安定性に有益な影響を与えるからである。活性剤をこのようなマトリックス中に含ませておけば、例えば持続放出コーティングの追加の施用を無水方式で行う必要はなくなる。用語「無水での製造」は、例えば持続放出マトリックスを得る過程が、相当量の水がなくても実施され得ることを示すことが理解されるものとする。このことは、使用される成分が、分子結合した水を含まないことを意味するものではない。したがって、この過程が押出加工などの無水の方式で実施される場合でも、ナロキソン塩酸塩は、例えば二水和物として提供することができ、ラクトースなどの充填剤は、無水ラクトースが好ましい可能性はあるものの、ラクトース一水和物として提供することができる。
【0155】
次に、本発明を具体例について例証する。ただし、これらの実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0156】
I.疼痛を治療しオピオイド誘発性便秘を改善するためのHMX比
1.試験デザイン
方法および目的
本試験は、ヒドロモルホン持続放出(PR、prolonged release)対ナロキソン持続放出(PR)の比を確立するための、ランダム化、二重盲検、シングルダミー、並行群、多施設共同の14週間の試験であり、24時間通しでのオピオイド療法を必要とする非がん疼痛またはがん疼痛を有する被験者に8、24または48mg/日のヒドロモルホンPRを服用させて行った。本試験は、ランダム化前相(スクリーニング期および導入期からなる)ならびに維持相(二重盲検相、選択制の再移行相(Switch-back Phase)、および追跡期からなる)の2相で構成した。
【0157】
ランダム化前相は、導入期への参加に向けて被験者の適格性を判断するためにデザインした。導入期は、鎮痛効果が得られるまでヒドロモルホンPRの用量調節を行って(8、24または48mg/日ヒドロモルホンPR)、ランダム化後に使用すべき用量とするため、本試験で用いる緩下薬に切り替えさせるため、および二重盲検相への参加に向けて被験者の適格性を判断するために、デザインした。
【0158】
二重盲検相は、ヒドロモルホンPR対ナロキソンPRの最適な用量比を確立するためにデザインした。5週間の二重盲検相を完了した被験者向けに、ヒドロモルホンPRの単独投与を受けている被験者における腸機能および鎮痛有効性を査定するために、選択制の再移行相をデザインした。
【0159】
有害事象(AE)追跡受診(AE FU、AE Follow−up Visit)中は、安全性査定(AE)および併用薬使用の査定のみ実施した。再移行相にエントリーしない被験者については、このAE FU受診はV10の7日後に行い、再移行相にエントリーする被験者には、V11の7日後に追跡を行った。
【0160】
図1に試験ダイアグラムを示す。導入期は、鎮痛効果が得られるまでHM PRの用量調節を行って(8、24または48mg/日)ランダム化後に使用すべき用量とするため、本試験で用いる緩下薬に切り替えさせるため、および二重盲検相への参加に向けて被験者の適格性を判断するために、デザインした。二重盲検相の開始時点(Visit3)で被験者をランダム化し、異なる比のHM PR+ナロキソンPR群4群(2:1、1:1、1:2、1:3)またはHM PR+ナロキソンPRプラセボ群(1:0)のうち1つに組み入れた。5週間の二重盲検相を完了した被験者向けに、腸機能および鎮痛有効性を査定するための、HM PR単独投与を受ける、選択制の再移行相を見込んだ。
【0161】
本試験の主要な目的は、以下のとおりであった:
・持続放出ヒドロモルホン/ナロキソン配合薬は、オピオイドが原因で生じまたは悪化した便秘に罹患している中等度から重度の慢性の非がんまたはがん疼痛患者に用いた場合、ヒドロモルホン単独の場合と比較して鎮痛は同程度[痛みの評価尺度(NRS(numerical range scale)を用いる]で便秘が低減[腸機能指数(BFI)]している結果になるかどうか調査すること。
・疼痛および腸の査定ならびに安全性データの知見に基づき、ヒドロモルホンとナロキソンの最適な用量比を調査すること。
【0162】
副次的な目的には、以下を含めた:
・救済薬使用の頻度を査定すること。
・緩下薬使用の発生/頻度を査定すること。
【0163】
探索的な目的には、以下を含めた:
・再移行相における腸機能、疼痛パラメータ、および安全性パラメータを査定すること。
【0164】
評価基準
有効性の評価項目は、毎日の日記の形で、また、定期的な受診の際に、収集した。主要な有効性変数は、腸機能指数(BFI)および直前の24時間の平均疼痛の平均値(mean average pain)とした。副次的な有効性変数は、救済薬使用、緩下薬使用、およびCSBMとした。
【0165】
BFIについては、Rentz et al., Journal of Medical Economics, 2009, 12(0):371-383に記載されている。BFIは、オピオイド誘発性便秘の評価尺度であり、臨床試験により妥当性が検証されている。腸機能指数(BFI)は、下記の項目(各受診時に査定した)の平均値であった:排便の容易性(数値的アナログ尺度[NAS、numerical analogue scale]、0=容易/困難を伴わない、100=ひどく困難);残便感(NAS、0=まったくない、100=非常に強い);便秘であるという個人的な判断(NAS、0=まったくない、100=非常に強い)。
【0166】
24時間疼痛のNRS尺度は、慢性の非悪性疼痛を有する被験者における疼痛を評価するために一般的に使用される(CPMP/EWP/612/00)。
【0167】
緩下薬の救済使用により、便秘解消に対する治療差がはっきりしなくなる可能性があり得る。そのようなマスキング効果を低減するために、制限的な標準化された緩下薬投与法、および、救済薬としての緩下薬は、腸機能エンドポイントへの干渉が最低限である必要があった。したがって、緩下薬摂取のマスキング効果を回避するために、1種のみの緩下薬を標準化された投与法にて提供し(ビサコジル)、これを、被験者の直近の便通(BM、Bowel Movement)またはランダム化から72時間が経過次第使用できることにした。ただし、記載した期間中に被験者が不快症状を報告した場合は、被験者には、それより前にビサコジルの服用を許可した。一方、腸の解析の妥当性に前述の影響が及ぶことから、1週間の緩下薬摂取量を限定した。したがって、ビサコジルの最大許可量は、二重盲検相中、連続する7日以内に5日分を超えない量とした。
【0168】
対照薬のヒドロモルホン持続放出薬(HM PR)は、便秘を生じさせることが公知のオピオイドである。本試験においては、HM PRとナロキソン対応プラセボ治療薬の非盲検配合薬(二重盲検相において用いる)は、腸機能に対するナロキソンの効果に関するプラセボ対照薬の役割を果たした。
【0169】
本試験において使用する安全性パラメータには、改変版「オピエート離脱に関する主観的尺度(Subjective Opiate Withdrawal Scale、SOWS)」によるオピオイド離脱の評価を含めた。SOWSは、運動、自律神経、胃腸、筋骨格および精神における一般的なオピエート離脱症状を反映する16項目から成っている。改変版SOWSでは、SOWS項目番号16「今日は薬を打ちたい気分だ」を除外してあるが、その理由は、この項目は、今回の対象である被験者集団にはあてはまらないからである。
【0170】
安全性は、有害事象(AE。自発的な報告、被験者への問診を通して知る)、臨床検査結果、バイタルサイン、理学的検査、心電図(ECG)、および改変版「オピオイド離脱に関する主観的症状[subjective opioid withdrawal symptoms(SOWS)]」を用いて査定した。
【0171】
治療期間
スクリーニング期: スクリーニングは、最長で14日かかる可能性があった。Visit1時に、書面によるインフォームドコンセントを得た後、被験者に対し試験適格性についての徹底的な評価(すなわち、すべての組入れ/除外基準)を行った。候補査定基準(Prospective Assessment Criteria)を満たした被験者は、試験への参加を継続した。
【0172】
導入期: 導入期は、最長で28日続く可能性があった。Visit2時に、被験者には、本人が試験前に受けていたオピオイド療法を非盲検ヒドロモルホン(HM)PRに切り替えさせた。HM PRは、有効な鎮痛用量になるまで用量調節を行い、導入期終了時点でのHM PRを8、24または48mg/日とした。8、24または48mg以外のHM PRの1日用量は、用量調節に用いる場合のみ許可した。ヒドロモルホン即時放出薬(HM IR)は、救済薬として利用可能とした。また、被験者には、この期間中に、本人が試験前に受けていた緩下薬療法を、便秘時に試験ルーチン薬(study routine)として使用することになる本試験用の緩下薬に切り替えさせた。導入期における7日間のベースライン査定は、HM PRに切り替えて初回投与を行う当日に開始した。被験者には定期的(2〜3日ごと)に連絡して疼痛コントロールを査定し、HM PR用量の漸増(uptitration)が必要かどうかを決定した。
【0173】
維持相: 維持相には、二重盲検相および再移行相を含めた。
【0174】
二重盲検相: 二重盲検相の期間は、5週間であった。Visit3時に、本試験の二重盲検相への組入れに適格と判断された被験者をランダム化し、異なる比の非固定配合薬(固定的でないもの)であるHM PR+ナロキソンPRの4群またはHM PR+ナロキソンPRプラセボ群のうち1つに1:1:1:1:1の患者数比で組み入れ、治験薬の投与を最長5週間にわたって受けさせた(各群は、30名の被験者からなる)。被験者のHM PR用量は、被験者が導入期終了時点で安定化していた用量(1日当たり8、24または48mgのHM PR)であった。導入期終了時点で1日当たり8mgのHM PRで安定化していた被験者は、二重盲検相開始時に、それぞれのナロキソン用量に直接的な形で移行させた。1日当たり24mgまたは48mgのHM PRで安定化していた被験者は、二重盲検相第1週のうちに、それぞれのナロキソン用量に段階的な様式で移行させた。
【0175】
【表1】
【0176】
ヒドロモルホン即時放出薬(HM IR)は、突出痛の治療のための救済薬として許可した。被験者は、コントロールできない疼痛がある場合にのみ救済薬を服用することができた。1日当たり2回を超える救済薬投与を絶えず(すなわち、1週間当たり3日以上)必要とした被験者は、試験を中止させた。HM PR用量の漸増は、二重盲検相中は許可しなかった。漸増を必要とする被験者は、試験を中止させた。
【0177】
被験者が二重盲検治療相を通じて便秘を発現している場合は、被験者にビサコジル錠を与え、緩下剤として服用させた。ビサコジル錠は、被験者の直近の便通(BM)後72時間が経過次第、使用することができた。全員、ビサコジルの最大許可量は、連続する7日以内に10mg/日のビサコジル5日分を超えない量とした。ランダム化に続き、被験者は、二重盲検相第1週のうちに3回の電話受診(V4、V5およびV6)を受けた。4回の医療機関受診(V7、V8、V9およびV10)を、それぞれ二重盲検相の第1週、第2週、第4週および第5週に設けた。
【0178】
再移行相: Visit10時に、5週間の二重盲検相を完了した被験者に対して2週間の再移行相にエントリーする選択肢を与えた。再移行相では、被験者を非盲検HM PR単独投与に直接的な様式で移行させた。再移行相にエントリーする被験者は、二重盲検相中に割り当てられたHM PR用量で開始した。用量調節は、再移行相中は許可しなかった。
【0179】
被験者には再移行相終了の7日後に連絡して、継続中の有害事象(AE)があればそれを追跡し(AE FU)、新しいAEが出現していればそれを記録した。
【0180】
被験者数
852名の被験者をスクリーニングし、417名の被験者をランダム化して試験に組み入れ、そのうち346名が試験を完了した。全体的な基準値の特性は、すべての用量比群(ratio group)間で類似していた。合計およそ133名の被験者を、HM PRの各用量強度(1日当たり8、24または48mgのHM PR)に割り付けるために募集することにした。全部で80名の被験者をHM PR:ナロキソン比ごとにランダム化することにした。HM PRの各用量強度内で5通りのHM PR:ナロキソン比を用いた[1:0(プラセボ)、2:1、1:1、1:2、および1:3]ことから、HM PRの1用量当たりおよそ27名の被験者をランダム化して、これらの比のそれぞれに割り付けた。
【0181】
組入れおよび除外の基準
組入れ基準: 本試験に組み入れた被験者は、下記の基準をすべて満たした者であった:
1.少なくとも18歳の男性または女性被験者であること(閉経後1年未満の女性は、治験薬の初回投与に先立つ血清または尿による妊娠検査の結果が陰性であり、授乳中でなく、本試験を通じて妥当かつ高度に有効な避妊法を用いる意志がなければならない)。高度に有効な受胎調節法とは、避妊手術、インプラント、注射剤、併用経口避妊薬、何らかのIUD[子宮内器具(Intrauterine Device)、ホルモン放出性のもの)]、性的禁欲、またはパートナーの精管切除術(vasoectomised)など、一貫して正しく使用された際には失敗する確率が低い(すなわち年1%未満)ものと定義する。
2.非がんまたはがん疼痛の治療のためにWHOステップIIまたはステップIIIの鎮痛剤の投与を受けている被験者であること。
3.オピオイドにより生じるまたは悪化する便秘を有する被験者であること。
・被験者は、1週間当たりの便の排泄が少なくとも3回あるようにするために緩下薬の定期的な摂取を医学的に必要としていること、または、緩下薬を服用しない場合には1週間当たりの便の排泄が3回未満であること。
・被験者および治験責任医師の意見では、被験者の便秘は、被験者が試験前に服用していたオピオイド剤により誘発されたまたは悪化したものであることが確認されている(スクリーニング時に認められている)こと。
4.被験者は、現在のオピオイド系鎮痛薬の使用習慣を中止する意志をもっていなければならない。
5.被験者は、現在の緩下薬投与法を中止する意志、および、緩下薬救済薬としての経口ビサコジルの使用を遵守する意志をもっていなければならない。
6.繊維補給物または便膨化剤(bulking agent)を日常的に摂っている被験者は、本試験を通じて安定な用量および投与法を維持することができ、治験責任医師の意見として、十分な水分補給を維持する意志がありそれが可能であると判断された場合には、適格とした。
7.被験者は、医薬の使用、主観的評価の遂行、予定された医療機関受診日における受診、電話連絡の遂行、および、書面によるインフォームドコンセントを提出することにより明示した治験実施計画書の要件の遵守を含め、本試験のすべての事柄に参加する意志をもっており参加が可能(例えば、精神的および身体的な状態)でなければならない。
8.治験責任医師の意見では、被験者が使用中の非鎮痛性の併用薬剤、例えば、うつの治療のための非鎮痛性の併用薬剤などは安定であると考えられ、本試験の二重盲検相を通じて安定したままであると思われること。
9.治験責任医師の意見では、非オピオイド系鎮痛剤の用量は二重盲検相を通して安定したままであると思われること。
【0182】
除外基準: 本試験から除外した被験者は、次の基準のいずれかを満たした者であった:
1.ヒドロモルホン、ナロキソン、ビサコジル、本治験薬の関連製品またはその他の原料に対する何らかの過敏反応歴がある。
2.ヒドロモルホン、ナロキソン、ビサコジル、および本治験薬のその他の原料に対する何らかの禁忌がある。
3.現在アルコールもしくは薬物を乱用しており、および/または、オピオイド乱用歴がある。
4.既往歴、臨床検査、ECGの結果および理学的検査により判断して、治験薬に曝露させると被験者を危険にさらすと考えられる、または、本試験の結果の解析および/もしくは解釈を混乱させる可能性があると考えられる、臨床的に意義のある、心血管疾患、腎疾患、肝疾患、胃腸管疾患(例えば麻痺性イレウス)または精神疾患の証拠がある。
5.線維筋痛症または関節リウマチに起因する慢性または間欠性の疼痛がある。
6.治験責任医師の意見として、オピオイド治験薬と併用すると中枢神経系(CNS)抑制が加わるリスクを生じるおそれがあると考えられる催眠薬または他のCNS抑制薬の投与を受けている被験者である。
7.コントロールされていない発作またはけいれん性障害を有する被験者である。
8.スクリーニング期の開始に先立つ2カ月以内に外科手術を受けている、または、8週間の維持相中に外科手術が計画されており、その手術がGIの運動性または疼痛に影響を及ぼしている可能性がある。
9.ナロキソンを服用中である、または、スクリーニング期の開始前30日以内に服用していた被験者である。
10.下痢に罹患している被験者である。
11.オピオイドが禁忌である何らかの状況(例えば、低酸素症および/または高二酸化炭素血症を伴う重度の呼吸抑制、重度の慢性閉塞性肺疾患、麻痺性イレウス)を有する被験者である。
12.甲状腺機能低下症、アジソン病、頭蓋内圧亢進を有する被験者である。
13.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST、SGOT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT、SGPT)またはアルカリホスファターゼレベルの異常(正常上限値の3倍超)がある。
14.総ビリルビンおよび/またはクレアチニンレベル(複数可)の異常(正常上限値の1.5倍超)、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGTまたはGGTP)が正常上限値の5倍以上である。
【0183】
その他の基準
二重盲検相へのエントリー基準:
1.スクリーニング組入れ/除外基準を引き続き満足させた被験者であること。
2.被験者のHM PR用量は、8、24または48mg/日であった。
3.被験者が自身の疼痛(直前の24時間の「平均疼痛」)を0〜10段階の尺度で4以下と評点付けており、直前の連続3日間、または直前の7日のうち4日間のいずれかについて1日当たりのヒドロモルホン即時放出(HM IR)救済薬の投与が2回以下でなければならない(HM IRの投与については、付録12.2項を参照のこと)。
4.被験者は、オピオイドが関係する便秘が確定していなければならず、その定義は、導入期最後の7日間のCSBMが3回未満であることとした。
5.緩下薬使用(経口ビサコジル)、非盲検HM PRの服用、および毎日の日記の遂行の遵守が実証された被験者であること。
【0184】
被験治療薬、用量および投与方法
投与する治療薬: 治験薬には、対照薬およびプラセボを含め、本試験において評価中の一切の薬物が含まれるが、救済薬は含まれない。
【0185】
本試験において投与する治療薬を以下に示す:
・ヒドロモルホンPRカプセル剤4、8または24mgを1日2回
・ナロキソンPR錠2、8または32mgを1日2回
・ナロキソンPR対応プラセボ
【0186】
医薬の組成
ヒドロモルホンPRカプセル剤は、有効成分含量が4、8および24mgのPalladone(登録商標)SRカプセル剤の形態で用いた。
【0187】
ナロキソンPR錠の製剤化:
【0188】
【表2】
【0189】
錠剤は、ナロキソンHClを、ラクトース無水物、ステアリルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、および、持続放出ポリマーであるエチルセルロースN45と混合することにより作製した。続いて、このブレンド物を、加熱した二軸押出機を用いて溶融押出しした。押出されたストランドを粉砕し、粉砕された顆粒をタンブラーミキサー中でステアリン酸マグネシウムおよびタルクとブレンドすることで、モノリシック錠を作製した。
【0190】
ナロキソンPR対応プラセボ錠の製剤化:
【0191】
【表3】
【0192】
錠剤は、ナロキソン錠について前述したものと同様に作製した。
【0193】
導入期: Visit2時に、被験者には、本人が試験前に受けていたオピオイド療法を非盲検HM PRに切り替えさせた。HM PRは、有効な鎮痛用量になるまで用量調節を行い、導入期終了時点でのHM PRを8、24または48mg/日とした。また、被験者には、この期間中に、本人が試験前に受けていた緩下薬療法を、便秘時に試験ルーチン薬として[直近の便通(BM)後72時間が経過次第、便秘時の救済薬として]使用することになる本試験用の緩下薬に切り替えさせた。
【0194】
【表4】
【0195】
二重盲検相: 被験者は、導入期終了時点で投与を受けていたものと同じ用量レベル[ヒドロモルホンPR/日(mg)](8、24または48mg/日)で二重盲検相を開始した。導入期終了時点で4mgのHM PRの1日2回投与で安定化していた被験者は、二重盲検相開始時に、それぞれのナロキソン用量に直接移行させた。12mgまたは24mgのHM PRの1日2回投与で安定化していた被験者は、二重盲検相第1週のうちに、それぞれのナロキソン用量に段階的な様式で移行させた。二重盲検治験薬の初回用量は、Visit3の夕方の用量であった。被験者は、二重盲検治験薬の投与を最長5週間受けた。HM PR用量およびそれぞれのナロキソン用量を表5に示す。
【0196】
【表5】
【0197】
対照治療薬、用量および投与方法
HM PRとナロキソンPR対応プラセボ錠の非固定配合薬にランダム化された被験者は、導入期中に確立されたHM PR用量(1日当たり8、24または48mgのHM PR)と、被験者がランダム化されたそれぞれのナロキソンプラセボ用量とで二重盲検相を開始した。
【0198】
【表6】
【0199】
統計手法
統計プログラミングおよび解析は、SAS(登録商標)バージョン9.2(SAS Institute、Cary、NC27513)を用いて実施した。
【0200】
母集団
登録集団: 登録集団は、インフォームドコンセントに署名したすべての被験者と定義した。ランダム化集団: ランダム化集団は、すべてのランダム化被験者と定義した。最大の解析対象集団: 最大の解析対象集団は、治験薬の投与を少なくとも1回受けベースライン後の主要な有効性評価項目であるBFIを少なくとも1つ有するすべてのランダム化被験者と定義した。治験実施計画書適合集団: 治験実施計画書適合集団は、最大の解析対象集団に属し重大な治験実施計画書違反のないすべての被験者と定義した。導入期安全性解析対象集団(Run-in Safety Population): 安全性解析対象集団は、導入期に非盲検HM PRの投与を少なくとも1回受けたすべての登録被験者と定義した。二重盲検期安全性解析対象集団(Double-Blind Safety Population): 安全性解析対象集団は、二重盲検期に治験薬の投与を少なくとも1回受けたすべてのランダム化被験者と定義した。再移行相安全性: 再移行相中に非盲検HM PRの投与を少なくとも1回受けた被験者。
【0201】
有効性解析:
適切なHMX比を、
・鎮痛有効性がHM+プラセボ群に比して非劣性であること、および
・BFI値に基づく腸機能がHM+プラセボ群に比して優位であること
と定義した。
【0202】
BFIと疼痛強度とは、別々に試験した。BFIについての主要解析は、HM+プラセボ群と多様なHMX比群との間におけるベースライン時(Visit3)から二重盲検相終了時(第5週)までのBFIスコアの変化の比較に基づいていた。BFIの解析の目標は、片側検定を用いて、HMX比群(HMX ratio)はHM+プラセボ群に対して優位であることを示すことであった。ベースライン時(Visit3)から二重盲検相終了時(第5週)までのBFIスコアの変化は、共分散分析(ANCOVA)モデルを用い、治療を固定効果要因、ベースライン時(Visit3)のBFIスコアを固定効果連続共変量(fixed-effect continuous covariate)、施設をランダム効果要因として、解析した。治療群間差、p値、関連する90%信頼区間および95%信頼区間は、最小二乗(LS)平均から算出した。解析の目的は有効性を決定することであったため、この解析結果を検証的解析として用いた。
【0203】
直前の24時間の平均疼痛についての主要解析は、プラセボ治療群とHMX治療群との間におけるベースライン時(Visit3)から二重盲検相終了時(第5週)までのスコアの変化の比較に基づいていた。直前の24時間の平均疼痛のベースライン時からの変化は、対数変換データでのANCOVAモデルを用い、治療を固定効果要因、ベースライン時(Visit3)における直前の24時間の平均疼痛を固定効果連続共変量、施設をランダム効果要因として、解析した。プラセボ群における直前の24時間の平均疼痛は、0.8を乗じて対数変換した。次いで、治療群間比(treatment ratio)、p値、関連する90%信頼区間および95%信頼区間を、治療群間差のLS平均の逆対数から算出した。
【0204】
副次的な有効性解析には、救済薬摂取および緩下薬使用を含めた。
【0205】
有害事象(AE)は、MedDRA(バージョン14.1)を用いて、逐語的な説明(治験責任医師が用いた用語)から標準医学用語に分類した。
【0206】
オピオイド離脱AEは、基本語「薬剤離脱症候群」が用いられるAEと定義した。オピオイド離脱AEを、各治療群(比率、ヒドロモルホン用量およびナロキソン用量)別に、また、二重盲検期全体について要約した。オピオイド離脱AEのみられた被験者をリスト化した。
【0207】
結果
1.人口統計学的および基準値の特性
全体的な基準値の特性は、すべての用量比群間で類似していた。用量比群間の年齢、性別、人種および体重の分布を表7に示す。典型的な性別分布である、合計で255名(61.3%)の女性被験者および161名(38.7%)の男性被験者を、慢性疼痛試験に組み入れた。
【0208】
【表7】
【0209】
2.内訳/曝露
合計417名の被験者をランダム化した。初回投与に至る前に1名が試験を中止したため、二重盲検相の安全性解析対象集団は416名で構成されることとなった。406名が最大の解析対象集団に含まれ、319名が治験実施計画書適合集団に含まれた。
【0210】
全部でおよそ80%の被験者が試験を完了した。完了率は、異なる治療群間で同程度であり、最高が1:0比群[75名(88.2%)]、最低が2:1比群[70名[78.7%)]であった。試験を途中で中止した被験者数は、概して少なかった。すべての治療群において最も多くみられた途中中止理由は、AEの発現であった(表8を参照のこと)。
【0211】
【表8】
【0212】
3.有効性パラメータ
3.1 鎮痛有効性パラメータ
3.1.1 24時間平均疼痛
ベースライン(ランダム化)時点では、疼痛スコア平均値(24時間平均疼痛)は、すべての治療群において同程度であった。主要な解析対象集団(治験実施計画書適合集団)においては、5週間の二重盲検相の間、いずれの治療群間においても、平均的な疼痛(mean pain)の強度に明らかな差は観察されなかった(表9を参照のこと)。疼痛スコア平均値は、二重盲検相全体を通じて低く安定なままであったことから、ヒドロモルホンとナロキソンの配合薬は、単一体のヒドロモルホンと同様の鎮痛有効性を有すること、および、ナロキソン成分は鎮痛有効性に影響を及ぼさないことが示された。
【0213】
すべてのヒドロモルホン/ナロキソン治療群がヒドロモルホン/プラセボ治療群に対して非劣性であることが、ベースライン時から第5週までの変化についての主要な統計解析により実証された。このことは、統計学的に有意なp値(非劣性についての検定)がすべてのナロキソン群について得られたことにより確認されたとおりである(2:1比群ではp=0.005、1:1比群ではp<0.001、1:2比群ではp=0.002、1:3比群ではp<0.001)。統計解析の結果を表10に示す。
【0214】
二重盲検相終了時から再移行相(この相では、患者はヒドロモルホン単独投与を受けていた)終了時までは、いずれの治療群においても疼痛強度の平均値に大きな変化は認められなかった。
【0215】
【表9】
【0216】
【表10】
【0217】
3.1.2.鎮痛救済薬
全体としては、鎮痛救済薬摂取量は少なく、すべての治療群にわたって同程度であった。このことは、ナロキソン成分はヒドロモルホンの鎮痛有効性に影響がなかったことを実証している(表11を参照のこと)。
【0218】
【表11】
【0219】
3.2.腸機能パラメータ
3.2.1 腸機能指数(BFI)
BFIの結果を、記述統計に加え検証的統計としても提示する。BFIスコアは、排便の容易性、残便感、および便秘であるという被験者の個人的な判断についての3つの質問への回答を集計したものである。
【0220】
ベースライン(ランダム化)時には、BFI平均値は高く、すべての治療群にわたって同程度であった。二重盲検相終了時までに、ナロキソン投与を受けているすべての治療群では、BFI平均値の臨床的に意義のある改善がみられたが、これに対しヒドロモルホン/ナロキソンプラセボ治療群では、BFI平均スコアの臨床的に意義のある改善は観察されなかった。最大の解析対象集団についての観察されたBFI値を
図2に記載する。
【0221】
再移行相中は治療計画からナロキソンを排除したが、その結果、BFI平均値が増大した。これは、腸機能が悪化したことを示している。再移行相終了時には、BFI平均値はベースライン値にほぼ戻っていた(
図2を参照のこと)。
【0222】
BFI値の臨床的に意義のある改善は、すべてのヒドロモルホン/ナロキソン治療群においてみられた(2:1比群では−20.33、1:1比群では−26.71、1:2比群では−28.94、1:3比群では−23.61であったが、これに対し1:0比のプラセボ治療群では−14.15であった)(表12)。プラセボの結果を考慮すると、BFI改善という臨床的意義は1:1比および1:2比では保たれているが、1:3比ではボーダーラインである(それぞれ−15.02、17.25、−11.92)ことがわかる。
【0223】
表13に示す結果は、ベースライン時から第5週までのBFIスコアの変化は、すべてのヒドロモルホン/ナロキソン比について統計学的に意義のあるものであり、1:1比および1:2比については臨床的に意義のあるものであったことを裏付ける。表12および表13におけるLS平均差(SE)は、ナロキソンプラセボ治療群(1:0比群)におけるBFI平均値の変化により補正したANCOVAモデルに基づいている。
【0224】
【表12】
【0225】
【表13】
【0226】
3.2.2 救済緩下薬
緩下薬が主要解析を複雑にする可能性があることから、本試験の治験実施計画書に規定されているように、制限的な緩下薬投与計画を適用した。
【0227】
全体としては、服用された救済緩下薬の平均数は少なかったが、1:0比治療群(ナロキソンプラセボ群)における1日当たりの摂取数は、ナロキソン投与を受けているすべての他の治療群に比してわずかに多かった。この知見はBFIの結果と一致している。このことは、腸機能の改善は緩下薬摂取に影響されたものではなく、利益はヒドロモルホンとナロキソンの配合薬にのみ帰するものであることを示している(表14を参照のこと)。
【0228】
【表14】
【0229】
3.3 二重盲検期および再移行期中におけるBFI平均値および疼痛平均値の部分集団評価
最適比についての結論的な証拠を得るために、1:1比および1:2比について、1日のヒドロモルホン絶対用量別に、鎮痛有効性についての対応する解析により支持される腸機能の改善に関して、さらに詳細な解析を実施した。
【0230】
部分集団評価は、主要解析に用いる記述統計を適用して、二重盲検および再移行相を通じたBFI平均値(表15を参照のこと)および疼痛平均値(表16を参照のこと)を解析することで、実施した。
【0231】
【表15】
【0232】
【表16】
【0233】
ベースライン(ランダム化)時には、BFI平均値は高く、すべてのヒドロモルホン用量群において、また、すべての比(1:0、1:1、1:2)にわたって同程度であった。ヒドロモルホン8mg用量群においても24mgおよび48mgの用量群においても、1:1比と1:2比の両方について、二重盲検相終了時までに、BFI平均値の臨床的に意義のある改善がみられた(表15を参照のこと)。ナロキソンプラセボ治療群におけるBFI平均値の変化量により補正したBFIの評価は、8mgおよび24mgのヒドロモルホン用量群において、1:1比と1:2比の両方について、腸機能の臨床的に意義のある改善を実証した。
【0234】
しかし、ヒドロモルホン48mg用量群において、1:2比は、腸機能の著しい臨床的に意義のある改善を示した。1:1比の結果は、ボーダーライン上の臨床的に意義のある改善を示した。すべてのヒドロモルホン用量は、両方の比にわたって、ヒドロモルホン単一体と同等の高度かつ継続的な鎮痛有効性を実証した。
【0235】
3.4 再移行相における腸機能および疼痛パラメータ
再移行相中、腸機能は悪化し始めて過去のレベルに向かい、鎮痛コントロールのレベルは同じままであった。これらの知見は、ナロキソンの追加は、ヒドロモルホンが腸機能に及ぼす有害な効果を低減すること、また、ナロキソンの追加は、ヒドロモルホンの中枢性鎮痛効果には影響がないことを実証している。
【0236】
3.5 有効性の考察および結論
ヒドロモルホン−ナロキソン間の比に関係なく、疼痛スコアは治療期間中に有意には悪化せず、すべての治療群において不変のままであった。すべてのヒドロモルホン/ナロキソン比はヒドロモルホン/プラセボ治療に比して非劣性であることが統計解析により実証され、疼痛値は再移行相の終了時まで安定したままであった。この結果は、すべての治療群において、きわめて低量の救済薬摂取量を伴って達成された。これらの結果に基づき、すべてのヒドロモルホン/ナロキソン比は、ヒドロモルホン単一体と同等の高度かつ継続的な鎮痛有効性を実証した。
【0237】
記述統計から、ヒドロモルホン/プラセボ群を除くすべてのヒドロモルホン/ナロキソン比群では、BFI値により決定した場合、ベースラインに比して腸機能の臨床的に意義のある改善がみられることが示された。このことは、ANCOVAモデルを用いたLS平均の統計解析によりさらに支持された。ヒドロモルホン/プラセボ群の結果により補正した場合のLS平均差分析を考慮すると、すべてのヒドロモルホン/ナロキソン比群は、腸機能の統計学的に有意な改善を示したが、著しくかつ臨床的に意義のある改善は1:1比群および1:2比群において実証され、最も高い改善は1:2比群においてみられた。1:3比群においてはそれほど劇的な改善は観察されなかった。1:3比群における改善は、プラセボ群に比して統計学的に有意であったが、平均差は11.92であり、したがって、1:1比群および1:2比群では達成されている事前設定した臨床目標の12ポイントをわずかに下回った。
【0238】
部分集団評価は、二重盲検および再移行相を通じたBFI平均値および疼痛平均値を解析し、主要解析に使用される記述統計を適用することで、実施した。これにより、1:2比であれば、そのBFIおよび鎮痛有効性を根拠に、ヒドロモルホンの用量範囲全体にわたって好適と予想されると結論付けられた(表15、表16)。
【0239】
全体として、また、治験実施計画書に規定したとおりの制限された緩下薬投与法に基づいていることから、救済緩下薬の平均摂取数は少なかった。このことは、腸機能の改善が、緩下薬摂取に影響されたものではなく、ナロキソン成分に帰することができることを実証していた。このことは、被験者がナロキソン投与を受けていない再移行相中にBFI平均値が増大していたことによりさらに証拠付けられる。
【0240】
6.安全性解析
6.1 有害事象
総じて、AEおよび関係のあるAEの発現率は、すべての治療群にわたって同程度であった。二重盲検期安全性解析対象集団においては、関係のあるAEを発現した被験者は170名(40.9%)であり、この結果はこのクラスの薬物について予想されたとおりであり、他のオピオイド試験でみられた結果と同程度である。少なくとも1件の関係のあるAEを発現した被験者の割合(%)も、群間でほとんど同程度であった。関係のある重度のAE(severe related AE)を発現した被験者数は少なく(全体で5.5%)、関係のあるSAEを発現した被験者数(0.5%)およびSAE全体(1.0%)も同様に少なかった。
【0241】
悪心[合計32名(7.7%)]、下痢[合計22名(5.3%)]、および腹痛[合計20名(4.8%)]は、最も多く報告されたAEであり、このことは、本試験において使用しているクラスの薬物の予想されたAEプロファイルと合致する(表17を参照のこと)。
【0242】
【表17】
【0243】
6.2 安全性に関連するその他の所見 − オピオイド離脱に関する主観的尺度(SOWS)
ベースライン時点では、二重盲検期安全性解析対象集団におけるSOWSスコア平均値は7.7(SD7.19)であり、治療群全体で同程度に低かった。これらの値は、被験者を完全なナロキソン投与に移行させた二重盲検相第1週の間は安定しており、二重盲検相終了時まで不変のままであった。このことから、ナロキソンの追加が原因で望ましくないオピオイド離脱効果が引き起こされていることはないことが確認された。
【0244】
【表18】
【0245】
6.3 安全性の考察および結論
・合計277名(66.6%)が、二重盲検相中に少なくとも1件のAEを発現した。AE件数は623件であった。170名(40.9%)が、治験薬と関係ありと治験責任医師により判断されたAE324件を発現した。
・最もよくみられたAEは、悪心[合計32名(7.7%)]、下痢[合計22名(5.3%)]、腹痛[合計20名(4.8%)]、および嘔吐[15名(3.6%)]であった。これらは、本試験において使用しているクラスの薬物の予想されたAEプロファイルと合致する。関係のあるGI AEの発現率は、群間で均等に分布していた。
・下痢の発現率は、本配合薬におけるナロキソンの比率には影響されなかった。
・17名(4.1%)が、治験薬と因果関係のある「薬剤離脱症候群」のAEを報告した。発現率は、比および用量群内で0%から11.8%までの間でさまざまであり、全体の率としては4.1%であった。ナロキソンの用量または比率がより高い部分集団において薬剤離脱症候群の発現率がより高い、という傾向は認められなかった。
・大半のAEは、軽度または中等度であった。
・治験薬と関係ありと治験責任医師により判断されたAEの発現率は、用量比間で類似していた。
・血液学的検査、血液化学的検査、尿検査および臨床検査の値からは、注目に値する治療群間差は示されなかった。
【0246】
7.結論
本試験は、疼痛および腸機能の査定ならびに安全性パラメータに基づいてヒドロモルホンと比較した場合に鎮痛有効性が同程度であり腸機能が改善されている、最適なヒドロモルホン/ナロキソン比を確立するために行われた検証的試験であった。患者の疼痛査定および鎮痛救済薬摂取量によれば、すべての治療群は同じ鎮痛有効性を実証した。したがって、ヒドロモルホン/ナロキソンの鎮痛有効性の点では、すべての比が固定配合製品に適していると考えることができる。最も多く報告されたAEは、オピオイド鎮痛薬クラスの薬物の予想されたAEプロファイルと合致した。
【0247】
ヒドロモルホン/プラセボまたはヒドロモルホン/ナロキソン治療群の投与に起因する新規または予想外のAEは観察されなかった。したがって、安全性プロファイルは、他の強力なオピオイドの安全性プロファイルと合致した。SOWS合計スコアは、低く安定していた。これは、時折みられるシングルで感受性の患者(occasional single susceptible patient)であればナロキソンを追加した後に離脱症候群を患う可能性はあるものの、離脱症候群は一般的に発現するものではなさそうであることを示している。因果関係のあるSAEを発現した被験者数が少ないこと、ならびに、観察されたAEの性質、頻度および強度に基づけば、ヒドロモルホン/ナロキソン群は、ヒドロモルホン/プラセボ治療群と比較した場合、付加的または予想外のリスクを示さなかった。したがって、ヒドロモルホン/ナロキソン比群においては、特段の安全性の懸念を生じた者はいなかった。
【0248】
すべての比(2:1比、1:1比、1:2比、および1:3比)は、腸機能(BFIスコア)の統計学的に有意な改善を実証した。あらかじめ設定した臨床的に意義のある腸機能改善に関しては、1:2比群および1:1比群において実質的な改善が観察され、1:3比群ではより低い改善が示された。したがって、腸機能パラメータに関しては、固定配合製品には1:1比および1:2比が特に適していると考えることができる。
【0249】
BFIに関して最適化された比率についてさらなる証拠を得るために、1:1比および1:2比について、1日のヒドロモルホン絶対用量別に、鎮痛有効性についての対応する解析により支持される腸機能の改善に関して、さらに詳細な解析を実施した。この目的のために、二重盲検および再移行相を通じたBFI平均値および疼痛平均値を解析し、主要解析に用いる記述統計も適用することで、部分集団評価を実施した。
【0250】
腸機能、鎮痛有効性および安全性パラメータの主要解析を通して収集した結果から、オピオイド作動薬ヒドロモルホンにナロキソンを追加すると、ヒドロモルホンの鎮痛有効性を損ねたりまたは安全性リスクを低下させたりすることなくオピオイド誘発性便秘の臨床的に意義のある改善に確実に至り、したがって疼痛患者にとっての臨床的利益を実証することが明確になった。ナロキソンプラセボ効果について補正すると、最も顕著な臨床的に意義のある改善は、1:2比の場合に観察された。腸機能の臨床的に意義のある改善は、1:1比においても示された。1:3比にした場合は、腸機能の臨床的に意義のある改善の程度はもっと低くなった。このことは、プラトー効果がみられること、すなわち、より多い量のナロキソンを追加してもオピオイド誘発性便秘がよりはっきり改善されることにはならない、ということを示している。
【0251】
BFI値に関するさらなる解析には、1:1比と1:2比との比較に焦点を合わせ、ヒドロモルホンの用量について考慮する追加の評価を含めた。8mgだけでなく24mgおよび48mgのヒドロモルホン群においても、1:2比は、鎮痛有効性を犠牲にすることなく、臨床的に際立って意義のあるBFIの改善を示した。
【0252】
本発明は、とりわけ、以下に関する。
1. 約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む、患者における疼痛の治療における使用のための経口固形持続放出医薬組成物。
2. 患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物。
3. 患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物であって、該患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、経口固形持続放出医薬組成物。
4. 投与される該医薬組成物が、約2mg以上約32mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約2mg以上約64mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該持続放出医薬組成物が、12時間ごとの投与に適している、1、2または3のいずれかに記載の使用のための経口固形持続放出医薬組成物。
5. 投与される該医薬組成物が、約4mg以上約12mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約4mg以上約12mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該医薬組成物が、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該持続放出医薬組成物が、12時間ごとの投与に適している、1、2、3または4のいずれかに記載の使用のための経口固形持続放出医薬組成物。
6. 投与される該医薬組成物が、約4mg以上約24mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約8mg以上約48mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該医薬組成物が、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含み、該持続放出医薬組成物が、12時間ごとの投与に適している、1、2、3または4のいずれかに記載の使用のための経口固形持続放出医薬組成物。
7. 該医薬組成物が、多粒子剤の形態で提供される、1、2、3、4、5または6のいずれかに記載の使用のための経口固形持続放出医薬組成物。
8. 該医薬組成物が、粒状錠である多粒子剤の形態で提供される、1、2、3、4、5、6または7のいずれかに記載の使用のための経口固形持続放出医薬組成物。
9. 該医薬組成物が、粒状錠である多粒子剤の形態で提供され、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、同一のマトリックス粒子中に両方とも埋め込まれており、該マトリックス粒子上に持続放出コーティングが配置されている、1、2、3、4、5、6、7または8のいずれかに記載の使用のための経口固形持続放出医薬組成物。
10. 該マトリックス粒子が、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を、該持続放出コーティングの非存在下でヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を即時放出させる薬学的に許容される添加剤との混合体の形態で含む、9に記載の使用のための経口固形持続放出医薬組成物。
11. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約64mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
12. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約64mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
13. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約64mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬であって、前記患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、配合薬。
14. ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩が、約8mg以上約24mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量で投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、約8mg以上約24mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量で投与される、11、12または13のいずれかに記載の使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
15. 12時間または24時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供される、11、12、13または14のいずれかに記載の使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
16. ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩が、約4mg以上約12mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、約4mg以上約12mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに同時投与される、11、12、13または14のいずれかに記載の使用のための、約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
17. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約4mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
18. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約4mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
19. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約4mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬であって、前記患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、配合薬。
20. ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩が、約8mg以上約48mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量で投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、約16mg以上約96mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量で投与される、17、18または19のいずれかに記載の使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
21. 12時間または24時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供される、17、18、19または20のいずれかに記載の使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
22. ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩が、約4mg以上約24mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、約8mg以上約48mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに同時投与される、17、18、19または20のいずれかに記載の使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
23. 約48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
24. 約48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛の治療および/またはオピオイド誘発性便秘の軽減における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
25. 約48mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約96mgのナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬であって、前記患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、配合薬。
26. 24時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供される、23、24または25のいずれかに記載の使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
27. 12時間ごとの投与に適しており24mgのヒドロモルホンHClおよび48mgのナロキソンHClを含む経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供される、23、24または25のいずれかに記載の使用のための、約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
28. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
29. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
30. 約2mg以上約64mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩と、約2mg以上約128mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩とを経口投与することによる患者における疼痛の治療における使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬であって、前記患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、配合薬。
31. ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩が、約8mg以上約48mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する1日量で投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、約8mg以上約96mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する1日量で投与される、28、29または30のいずれかに記載の使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
32. 12時間または24時間ごとの投与に適している経口固形持続放出医薬組成物の形態で提供される、28、29、30または31のいずれかに記載の使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
33. ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩が、約4mg以上約24mg以下のヒドロモルホン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに投与され、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、約4mg以上約48mg以下のナロキソン塩酸塩に対応する量で12時間ごとに同時投与される、28、29、30または31のいずれかに記載の使用のための、約1:1〜約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比範囲のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
34. 多粒子剤の形態の持続放出医薬組成物として提供される、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32または33のいずれかに記載の使用のためのヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
35. 粒状錠である多粒子剤の形態の持続放出医薬組成物として提供される、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34のいずれかに記載の使用のためのヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
36. 該配合薬が、粒状錠である多粒子剤の形態の持続放出医薬組成物として提供され、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、同一のマトリックス粒子中に両方とも埋め込まれており、該マトリックス粒子上に持続放出コーティングが配置されている、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34のいずれかに記載の使用のためのヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
37. 該マトリックス粒子が、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を、該持続放出コーティングの非存在下でヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を即時放出させる薬学的に許容される添加剤との混合体の形態で含む、36の使用のためのヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩とナロキソンまたはその薬学的に許容される塩との配合薬。
38. 約1:1のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩、すなわち、約12mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約12mgのナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物。
39. 約1:2のヒドロモルホンHCl:ナロキソンHClに対応する重量比のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩、すなわち、約24mgのヒドロモルホン塩酸塩に対応する量のヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩および約48mgのナロキソン塩酸塩に対応する量のナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口固形持続放出医薬組成物。
40. 該医薬組成物が、多粒子剤の形態で提供される、38または39に記載の経口固形持続放出医薬組成物。
41. 該医薬組成物が、粒状錠である多粒子剤の形態で提供される、38、39または40のいずれかに記載の経口固形持続放出医薬組成物。
42. 該医薬組成物が、粒状錠である多粒子剤の形態で提供され、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩が、同一のマトリックス粒子中に両方とも埋め込まれており、該マトリックス粒子上に持続放出コーティングが配置されている、38、39、40または41のいずれかに記載の経口固形持続放出医薬組成物。
43. 該マトリックス粒子が、ヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を、該持続放出コーティングの非存在下でヒドロモルホンまたはその薬学的に許容される塩およびナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を即時放出させる薬学的に許容される添加剤との混合体の形態で含む、42に記載の経口固形持続放出医薬組成物。
44. 該医薬組成物が、12時間ごとの投与に適している、38、39、40、41、42または43のいずれかに記載の経口固形持続放出医薬組成物。
45. 疼痛の治療における使用のための、38、39、40、41、42、43または44のいずれかに記載の経口固形持続放出医薬組成物。
46. 疼痛の治療ならびにオピオイド誘発性便秘の予防および/または軽減における使用のための、38、39、40、41、42、43または44のいずれかに記載の経口固形持続放出医薬組成物。
47. 該患者が、オピオイド拮抗薬の非存在下でオピオイドを用いた治療を受けた結果としてオピオイド誘発性便秘を発現している、患者における疼痛の治療における使用のための、38、39、40、41、42、43または44のいずれかに記載の経口固形持続放出医薬組成物。