(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2つの柔軟なリーフ要素のそれぞれを前記柔軟なリーフ部分の1つに対応させるように構成した2つの柔軟なリーフ要素をさらに備えている請求項1〜5のいずれか一項に記載の閉鎖装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車、多目的車、トラック、バス、又は鉄道台車を含む車両においては、窓又は開口を閉鎖すべく、ガラス状の面要素が付設され、これが接続用のフレームによって適所に保持されるようになっている。かかるフレームは、内側部分及び外側部分を有しており、これらの部分が、ガラス状の面要素の縁部と車体に形成された開口の縁部とをシール用の裏当てと共に同時に把持するように構成されている。
【0003】
別の技術については、本特許出願の所有者によって出願された特許文献1及び特許文献2に詳細に記載されている。これらの文献に記載されている閉鎖装置(以下において、「フラッシュ窓(flush bay)」又は「フラッシュ開口(flush opening)」とも呼ばれる)は、ガラス状の部分を含んだ固定要素と、該固定要素と比較して本質的にガラス状になっている可動要素とを備えている。可動要素は、必要とされる可動性能をもたらす機能的手段又はレールによって、固定要素に接続されており、具体的には、車両の内部を向く固定要素の面に取り付けられている。
【0004】
このような「フラッシュ窓」は、車両から独立して構成されて、一体的に取り付けられており、かつかかる目的のために車両の車体内に画定されたハウジングに外部から付設されている。また、特許文献3に記載されている技術によれば、フラッシュ窓は、特に、接着によってドアの下部に固定的に取り付け可能である。
【0005】
審美的な観点によれば、外部から見た場合において、フラッシュ窓は、車体の縁部とフラッシュ窓の縁部との間にフレームを設ける必要がないので、滑らかな外観であって、車体と同一平面になっている外観を有するように構成できる。
【0006】
一般的に透明なパネルから構成されている可動パネルの摺動を確実にするために、上述の機能的手段は、第1のガイドレール及び第2のガイドレールを有するガイド装置を備えている。これらのガイドレールは、可動パネルによって閉鎖される開口の両側において、窓の固定パネルに固定的に取り付けられている。このような可動パネルは、レールに取り付けられており、これによって、1つ(又は複数)の開放位置と、可動パネルを窓に面した状態で窓から離している中間的な離間位置との間において、長手方向に摺動面に沿って摺動するようになっている。
【0007】
種々の具体的な技術としては、可動パネルを窓に面した状態で窓から横断方向に後退させて配置した中間的な離間位置と、可動パネルを窓内に配置した閉鎖位置との間における可動パネルの横断方向の移動を可能にするように、可動パネルをガイドレールに接続する手段が知られている。
【0008】
このような案内手段によれば、(閉鎖位置における)固定要素によって形成された面から当該面と実質的に平行な摺動面への可動要素の移行又はその逆の移行が可能となる。
【0009】
また、揺動を伴う形態に2つの移動を組み合わせることも可能である。かかる形態では、可動要素の遠位縁部(すなわち、係止手段から遠い縁部であって、前縁部とも呼ばれるもの)が、窓の面内にて移動端に位置している(このとき、可動要素は、閉鎖平面と摺動平面との間を横断していることになる)。閉鎖を確実に行なうためには、近位縁部(すなわち、係止手段に近い縁部であって、後縁部とも呼ばれるもの)を手動により後方に移動させれば十分である。
【0010】
本発明は、さらに詳細には、このような形式の閉鎖装置及びその変更形態並びにその改良に関連している。
【0011】
可動要素を閉鎖位置及び必要に応じて選択された開放位置に係止するためのいくつかの解決策が、特に、本願出願人によって提案されてきている。これらの解決策は、多くの場合、人間工学的にそれほど優れておらず、及び/又は非実用的であり、特に、労力、例えば、係止及び/又は解除を得るための締付力又は回転力を必要とするものになっている。具体的には、これらの解決策は、概して、車両の内部に向かって飛び出す要素に対する制約を伴った大きさ(例えば、23mm未満)を規定する規格によって定められた限定寸法を有する把持面を含んでいる。これらの寸法は、解除動作及び/又は摺動時の案内動作を行なうことを難しくしている。
【0012】
先行技術の他の欠点としては、同一のハンドル(又は2つのハンドル要素が設けられているのであれば、同一のハンドル組)によって解除及び移動を可能にするために、概して、かんぬき要素(bolt、ボルト)への伝達動作、アイドル位置への復帰等を行なうための複雑な手段を設ける必要があることが挙げられる。加えて、多数の部品を伴う組立は、複雑であり、かつ特定の設定を必要とする場合がある。
【0013】
このような問題を解消すべく、特許文献4においては、フレーム部分の横縁部の1つから延びる作動ハンドルを取り付けることが提案されている。これによって、車両の内部を向くハンドルが制約された大きさを有さなければならないという義務を遵守することが確実になる。
【0014】
このように提案された解決策は技術面では比較的簡単である。なぜならば、ハンドルにおける2つの部材は、かんぬき要素の移動と平行に移動するからである。しかしながら、かかる作動モードは、パネルの解除時点でパネルを摺動させる作動モードと比較して、人間工学的に優れていないか、又は直感的なものではない。
【0015】
また、他の解決策も示されているが、どの技術情報においてもこれらの解決策の具体的手法が明記されておらず、かかる態様は実施困難であることが分かっている。実際、フレームにおけるハンドルの横断方向の移動は、該移動をかんぬき要素への作用に変換する特別な手段の存在を暗示しているが、ほとんどの場合、このことは、ハンドルに対してかなりの遊びを設けると共に、伝達手段にそのための延長部を設けることを必要とするようになっている。これによって、ハンドルを支持するフレーム部分の幅が極めて大きくなるが、このことは、特に、組立体の審美的な観点及び窓の空間的な観点から好ましくない。
【0016】
加えて、これらの手段は、概して、ハンドルの作動が完全に位置合わせされておらず、かつ直線状に移動しなかった場合には、2つのかんぬき要素における動作の均等性が確実に得られないこととなる。これによって、解除の妨害及び/又は解除の困難性が生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記実情から、窓を閉鎖する手段における可動パネルの係止及び解除を簡単、確実、かつ効率的に制御するように構成される簡単かつ有効な機構が必要とされている。
【0019】
従って、少なくとも1つの特定の態様における本発明の目的は、先行技術よりも効率的かつ簡単なこの種の装置を提供することにある。
【0020】
また、本発明の目的は、容易に、直感的に、かつより大きな力を必要とせずに、係止及び解除、さらに典型的には、開閉操作を行なうことができる窓の閉鎖装置を提供することにある。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、作製及び車両への取付の簡単な窓の閉鎖装置を提供することにある。
【0022】
少なくともいくつかの他の実施形態では、本発明の他の目的は、本願の所有者によって既に開発されている「フラッシュ窓」の利点の全て、特に、
− 同一平面による審美的な外観と、
− 空気力学的態様と、
− 製造容易性及び製造のコスト低減と、
− 組立容易性及び組立のコスト低減と
を維持可能に構成された窓の閉鎖装置を提供することにある。
【0023】
少なくともいくつかの実施形態における本発明の他の目的は、大きな窓空間(すなわち、車両の透明面)を得て、これによって、特に、可動パネルのフレームにて必要とされる空間の大きさを制限可能にするために用いられるこの種の閉鎖装置を提供することにある。
【0024】
少なくともいくつかの実施形態における本発明のさらに他の特定の目的は、小型であり、ほとんど遊びがなく、同時に標準的な規制を順守し、人間工学的に優れるこの種の閉鎖装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
これらの目的の全て又は一部、及び以下に明示する他の目的は、固定要素と、該固定要素に対して移動可能な少なくとも1つのパネルとを備え、自動車の車体要素に形成された窓を閉鎖するように構成される閉鎖装置であって、前記パネルの摺動が、前記固定要素によって支持された2つのレールを用いて案内されるようになっており、前記可動パネルが、各レールにそれぞれ形成された2つの対応するストライカーと協働可能に構成される2つのかんぬき要素を具備しており、前記可動パネルが、該可動パネルの摺動方向と直交する1つの解除方向にて、前記かんぬき要素を前記ストライカーに係合させる係止位置と、前記かんぬき要素を前記ストライカーから離脱させる解除位置であって、摺動を可能にする解除位置との間にて移動可能に構成されている、閉鎖装置によって達成されることになる。
【0026】
本発明によれば、前記可動パネルが、前記かんぬき要素を作動させるように構成される作動ハンドルであって、前記摺動方向と平行な1つの作動方向に移動可能に構成される作動ハンドルと、前記かんぬき要素のそれぞれに対して1つの柔軟なリーフ部分を設けているアングル伝達手段であって、前記柔軟なリーフ部分の第1の端部が、前記解除方向と平行に延びており、かつ前記かんぬき要素に取り付けられており、前記柔軟なリーフ部分の第2の端部が、前記作動方向と平行に延びており、かつ前記ハンドルに取り付けられている、アングル伝達手段と、前記リーフ部分を前記解除方向及び前記作動方向の間における方向転換を制御しながら案内するように構成される案内手段とを具備している。
【0027】
これによって、可動パネルにとって、特に、簡単かつ効率的な解除であって、ハンドルの比較的僅かな動作によって制御可能な解除が得られることになる。
【0028】
1つの特定の実施形態によれば、前記案内手段が、前記ハンドルの各側に、2つの同心状の壁によって画定された円弧状の通路を有している。
【0029】
従って、簡単な方法によって、破損又は劣化のおそれをもたらすことなく、リーフ部分を効率的に案内することが可能になる。
【0030】
前記壁は、特に、前記可動パネルにおけるフレームの一部の表面に固定して設けられてもよいし、又はこの可動パネルに一体成形されてもよい。
【0031】
1つの特定の実施形態によれば、前記2つの壁のうち1つは、前記ハンドルを案内する機能もまた果たすように構成されている。
【0032】
かんぬき要素によって画定された軸と直交する方向にハンドルの移動を制御することは、実に望ましい。かかる機能は、ハンドルの対応する縁部に接触する2つの壁のうち1つの外部によって、全体的又は部分的に果たされることになる。
【0033】
1つの特定の実施形態によれば、前記可動パネルは、前記2つのかんぬき要素の端部間にてかなり大きく延びる少なくとも1つのフレーム部分を具備しており、前記少なくとも1つのフレーム部分は、前記可動パネルの外部に向かって延びるその横面、及び/又はその前部に、前記ハンドルの移動を可能にする開口を有している。
【0034】
これによって、フレームの厚みを超えて延びないか又はフレームの厚みを極めて僅かに超えて延びると共に、同時に十分に人間工学的であるハンドルの簡単な構成を得ることができる。
【0035】
特に、この場合、前記フレーム部分は、前記可動パネルの内部に向かって延びるその横面に、少なくとも1つの相補的な把持区域を具備することができる。
【0036】
加えて、この場合、前記可動パネルは、前記ハンドルを前記作動方向にて案内するように構成される少なくとも1つの要素を具備することができる。
【0037】
第1の構成によれば、本発明の装置は、2つの柔軟なリーフ要素のそれぞれを前記柔軟なリーフ部分の1つに対応させるように構成した2つの柔軟なリーフ要素をさらに備えている。
【0038】
この場合、2つの柔軟なリーフ要素はハンドルに固定的に取り付けられている。
【0039】
上記2つの部分は互いに接続されて、これらが、前記柔軟なリーフ部分と、前記ハンドルにて及び/又は前記ハンドルに沿って巡回移動する中心部分とを有する単一の柔軟なリーフ要素を構成してもよい。
【0040】
一実施形態によれば、本発明の装置は、前記かんぬき要素のそれぞれに作用するように構成され、かつ前記かんぬき要素を前記係止位置に後退させるように促す構成である戻り手段を備えている。この場合、前記1つ又は複数の柔軟なリーフ要素は、前記戻り手段が前記かんぬき要素を係止位置に後退させた際に、前記ハンドルを休止位置に後退させることができる。
【0041】
1つの特定の実施形態によれば、前記1つ又は複数のリーフ要素は鋼製となっている。
【0042】
さらに、本発明は、上述の閉鎖装置を少なくとも1つ備えている自動車に関する。
【0043】
本発明の他の特徴及び利点は、例示的かつ非排他的な例として挙げられている以下の好ましい実施形態の説明及び添付の図面から、さらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[フラッシュ窓の概要]
本発明に係る閉鎖装置1(又は「フラッシュ窓」)であって、自動車の車体要素に形成された窓を閉鎖するように構成された閉鎖装置1の一例が、
図1に概略的に示されている。
【0046】
このようなフラッシュ窓は、先ず第1に、固定要素11を備えている。固定要素11には、例えば、全体的に又は本質的にガラスが嵌め込まれている。車両の内部に向けられた側を示す
図1から分かるように、固定パネル11の周囲には、要素12
1,12
2,13
1,13
2を除いて何も設けられていない(これらの要素12
1,12
2,13
1,13
2の機能については、後で説明する)。従って、
図1の閉鎖装置は、車両の車体内に画定された窓の縁部に車体の外部から直接取り付けることができる。窓のこれらの縁部は、好ましくは、固定パネル11の厚みに明確に対応する僅かな凹部を有するように作製されており、これによって、固定要素11は、車両に取り付けられたとき、車体の残りと同一平面上に位置することになる。
【0047】
具体的には、窓は、(例えば、多目的車、ミニバン、エステートワゴン等の場合)車両の横壁に形成されるか、(例えば、ピックアップの場合)車両の後部に向けられた壁に形成されるか、又はドアに形成されることもある(この場合、窓の縁部は、ドアのフレームから延びる受入要素によって部分的に形成され、装置は、フレームの上縁部及びフレームから延びる受入要素に取り付けられるようになっている)。
【0048】
シール又はビード状接着剤(図示せず)が、固定要素の縁部上又は車体の窓の縁部上に置かれ、これによって、固定要素11の周囲は、フレーム又はどのような他の中間連結要素を設けることなく、直接、接着によって窓の縁部に取り付けられるようになっている。また、ビード状接着剤は、有利には、シール機能も果たすことになる。
【0049】
開口14が固定要素11に形成されている。
図1から分かるように、この開口14の縁部は、固定要素11の周囲から離間しており、これによって、上述したように、固定要素11を窓の縁部に固定的に取り付けることが可能になる。
【0050】
固定要素11は、自動車への使用に適するガラス又はプラスチックから作製された単一ガラス状要素の形態にあってもよく、該ガラス状要素に開口14が形成されている。本明細書において、「ガラス状(glazed)」という用語は、少なくとも部分的に光を透過させる任意の材料(透明材料、半透明材料、着色ガラス材料等)の使用を指すと理解されたい。
【0051】
固定要素11は、いくつかの構成要素から作製され、これらの要素が各々開口14の1つ又は複数の側部を画定するようになっていてもよい。このような構成によって、特に、ガラスパネルへの開口11の作製が簡素化される。当然のことではあるが、この場合、固定要素の種々の構成要素は、同一平面上に配置されることになる(場合によっては、この同一面は、湾曲していてもよく、例えば、車体の曲面に追従する少なくとも1つの面が得られるように内方湾曲していてもよい)。実際、外部から見て、固定要素は、滑らかな外観、すなわち、同一平面の外観を有していなければならない。
【0052】
これらの種々の構成要素の固定的な取付は、どのような適切な手段、例えば、接着によって成されてもよい。レール15
1,15
2が、この固定的な取付に協働するようになっていてもよい。本発明の構成から逸脱することなく、固定部分の要素の1つをガラス状ではないものとすることができる。
【0053】
一変更形態によれば、固定要素11は、特に、該固定要素の周囲を画定する支持要素であって、例えば、プラスチックから作製された支持要素を備えていてもよい。支持要素には、2つの開口、すなわち、固定的に取り付けられるガラス状の要素によって恒久的に閉鎖される第1の開口、及び開口14に対応する第2の開口が形成されている。この支持要素及びガラス状の固定要素は、外部から見たときに滑らかな表面を画定するように、同一面内に位置するようになっている。
【0054】
閉鎖装置は、開口14を閉鎖又は開放することができる可動要素16も備えている。この可動要素16は、ガラス状部120と、フレーム部、特に図示されている例では、フレーム17と、係止/解除装置とを備えている。可動要素16は、2つのレール15
1,15
2によって保持され、かつ案内されるようになっている。レール15
1,15
2は、上述の理由から、車両の内部に向けられた固定要素の面に取り付けられており、かつ固定要素の周囲から離間している。
【0055】
可動要素16は、固定要素11によって画定された面と実質的に平行の摺動面において、レール15
1,15
2に沿って移動可能になっており、(又はモータ駆動手段が設けられているならば、該手段によって移動することが可能になっている)。従って、可動要素16は、レール15
1,15
2に対するその位置に従って、1つ又は複数の開口位置を取ることができる。
【0056】
加えて、可動要素16は、開口14を(固定要素11と同一平面になる)閉位置において閉鎖するために、固定要素11によって画定された面と直交して移動することができ、これによって、車体、固定要素、及び可動要素を備えるフラッシュ組立体をもたらすことができる。
【0057】
車両の内部に向けられた固定パネルの面は、開口14の外形に接着されたシール(
図1にて図示せず)をさらに有しており、可動パネル16が閉位置にあるとき、該シールのリップ端が、可動パネル16に支持されるようになっている。一変更形態では、固定要素11に接触するシールが、フレーム17に取り付けられていてもよい。
【0058】
固定要素11に対する可動要素16の移動は、第1の構成によれば、2つの独立した移動、すなわち、
− 可動要素が固定要素及び開口と同一面に位置するように閉鎖された係止位置から、可動要素が固定要素から摺動面に位置ズレして摺動を可能にするようになっている解除位置に移行することを可能にする移動であって、固定要素によって形成された面と直交する移動と、
− 固定要素によって形成された面と平行の摺動面に沿った移動と
に分類することができる。
【0059】
他の動作もまた、もちろんのこと可能である。すなわち、第2の構成によれば、可動要素が揺動するようになっていてもよい。言い換えれば、可動要素が、曲面に追従して、該曲面に沿って2つの動作(係止/離脱及び摺動)が開放及び閉鎖の動作に連結されるようになっていてもよい。
【0060】
レール15
1,15
2は、接着又はどのような他の適切な手段によって、固定要素11に固定的に取り付けられてもよい。また、レール15
1,15
2は、例えば、成形又はオーバーモールド成形によって、固定要素11に直接形成されていてもよい。典型的に、レール15
1,15
2は、車両の外部から見えることを防ぐために、他の機能要素と同じようにスクリーン印刷によって隠されるようになっている。
【0061】
場合によっては、これらのレールは非平行になっていてもよい。
【0062】
加えて、安全性の理由から(すなわち、車両安全性に関する規則及び/又は法律に基づく認可の理由から)、レール15
1,15
2が車体、さらに具体的には、窓の縁部に固定的に取り付けられることが重要となる。実際、欧州規則EC43は、例えば、ガラス(ここでは、固定要素11)の破損が生じたとき、外に投げ出される可能性のある要素は、所定の限界値未満の大きさ及び/又は重量を有していなければならないことを規定している。レール及び可動要素は、この限界値をはるかに超えているが、規定されていなくても、固定要素11が破損した場合、レール15
1,15
2及び可動パネル16のいずれも適所にされないことを理解されたい。これらのレール及び可動要素が投げ出されたのであれば、車両内の乗客、又は通行人に対する損傷のおそれが生じることになる。
【0063】
欧州特許出願公開第0778168号において提案されているように、本願の所有者は、レール15
1,15
2に延長片12
1,12
2,13
1,13
2を設けることを提案している。延長片12
1,12
2,13
1,13
2は、固定要素11の車両の内部に向けられた面に沿って延びており、これによって、固定要素11の縁部と車体の窓の対応する縁部との間に挟まれることになる。
【0064】
また、固定要素11を車体に固定的に取り付ける接着剤の継ぎ目(seam,シーム)が、これらの延長片12
1,12
2,13
1,13
2を車両の車体の縁部に固定的に取り付けるようになっている。従って、仮に固定要素11が破損しても、従って、仮に固定要素11が失われたとしても、レール15
1,15
2は、これらの延長片によって、車体に対して適所に保持されることになる。これらの部分に対するレール15
1,15
2は、可動要素16を保持している。
【0065】
これらの延長片は、直接成形によってレールに形成されてもよいし、又はどのような適切な手段、例えば、接着又はクリップ止めによってレールに取り付けられていてもよい。
【0066】
下側レール15
2は延長片13
1,13
2を具備している。延長片13
1,13
2は、例えば、車両内の水分の凝縮によってレール15
2内に集められた水を排出するために十分な開口をさらに有している。従って、この水は、密封品質に悪影響を与えることなく、簡単かつ効率的に車両の外部に排出されることになる。もちろん、破損及び水の排出に対してその場で対処する保持部分の機能は、別の要素によって確保されるようになっていてもよい。
【0067】
例示されている実施形態によれば、2つのレール15
1,15
2は、可動要素16の縁部に沿って2つのレール間に延びるリンク要素111を備える部分と同じ部分に形成されている。この部分は、固定要素11に接着されている。
【0068】
フレーム17は、車両の内部に向けられた可動要素16の面に沿って延びている。フレームは、同一平面(flush)の態様を維持するために、他の面に延びないようになっている。図示されている例では、フレーム17は、車両の内部に向けられた可動要素の面においてガラス状部120を包囲している。フレーム17は、ガラス状部120及び2つの横縁部122,123によって画定された面と実質的に平行の主面121を有している。横縁部122,123の少なくとも1つ、ここでは、横縁部122は、フレーム17をガラス状部に連結している。横縁部122,123は、図示されている例では、ガラス状部120によって画定された面と実質的に直交している。
【0069】
図示されている例では、フレーム17は、レール15
1,15
2にそれぞれ形成された対応する摺動面に案内されるように設計された少なくとも1つの上側案内ピン18
1及び下側案内ピン18
2を有している。
【0070】
望ましい案内をもたらすために、他のピンが考慮されてもよい。
【0071】
図示されている実施形態では、案内機能は、相補的ピン19
1,19
2によって完全なものとされる。相補的ピン19
1,19
2は、同時にかんぬきの機能を果たし、この目的のためにレール15
1,15
2に設けられたストライカーと協働し、可動要素16をその閉位置(必要に応じて、1つ又は複数の所定の開位置)に係止することになる(対応するストライカーは、レールの適切な位置に設けられている)。
【0072】
[解除ハンドル]
本発明は、特に、この態様に関し、さらに典型的には、(摺動時の案内機能及び/又は最大開放時の停止機能を含む)2つのかんぬき要素の作動に関する。以下に説明する技術によってかんぬき要素の解除を作動させるために、及び可動要素16の摺動を可能にするために、かんぬき要素に作用する作動ハンドル110がフレーム17に取り付けられている。
【0073】
本発明によれば、作動ハンドル16は、フレーム17の横縁部122,123の1つから延びており、その主面121から延びていない。従って、ハンドルは、車両の内部に延びておらず、この方向における制限された長さの規制を満たしていることになる。
【0074】
図示されている例では、作動ハンドル110は、フレーム17の横縁部123から延びている。以下に説明するように、異なる構成、特に、前部において部分的又は全体的にアクセス可能な構成も可能である。
【0075】
横縁部123は、フレーム17の外側枠を形成している。もしも、フレーム17が、(例えば、ハンドルをかんぬき要素に接続する手段を覆う部分上にのみ延びる)フレーム部分であって、ガラス状の可動要素120を完全に包囲するフレーム部分ではなかったとしても、本発明から逸脱するものではない。
【0076】
図2A及び
図2Bにおいては、可動パネルのフレームの支柱部21をさらに詳細に示しており、支柱部21の上側区域は、解除機構を示すために取り外されている。
【0077】
図2Aは、係止位置にある装置を示している。この位置において、すなわち、作用力がこのハンドルに加えられていないとき、この実施形態によれば、ハンドルは、この横縁部123からかなり大きく、例えば、約15mm延出している。この位置において、かんぬき要素19
1,19
2は、この目的のためにレール内に設けられた対応するストライカーと協働することができる係止位置にある。
【0078】
図2Bは、解除位置にあるかんぬき要素19
1、19
2、すなわち、ストライカーから離脱するためにフレームの内部に向かって後退したかんぬき要素19
1,19
2を示している。
【0079】
休止位置又は初期位置である係止位置から解除位置への移行は、ハンドル110によって行なわれるようになっている。ハンドル110は、フレームの支柱部21に配置されており、可動パネルの摺動方向Xに沿って移動可能になっている。このハンドル110を矢印A(
図2B)に沿って押圧することによって、かんぬき要素19
1、19
2は、矢印B1,B2に沿って移動し、対応するストライカーから引き出されることになる
【0080】
ハンドル110と2つのかんぬき要素19
1,19
2との連結は、それぞれ、2つの柔軟なリーフ要素又はリーフスプリング、例えば、鋼製リーフ要素22
1,22
2によってもたらされるようになっている。アングル伝達機構をもたらすために、リーフスプリングの各々を案内する手段23
1,23
2が設けられている。また、アングル伝達機構をもたらすために、各リーフ要素の第1の端部221
1,221
2は、ハンドル110の横縁部に固定的に取り付けられており、各リーフ要素の第2の端部222
1,222
2は、各かんぬき要素19
1、19
2に固定的に取り付けられている。
【0081】
案内手段23
1,23
2は、図示されている実施形態によれば、
図3にさらに明瞭に示されるように、2つの同心状の壁31,32によって構成されている。同心状の壁31,32は、フレームの基部からフレームと直交して延び、90°を越える円弧の形態にある通路を画定しており、該通路内をリーフ要素22
2が移動するようになっている。
【0082】
さらに、壁31は、ハンドルを該壁31と平行に移動させるように案内するために、ハンドル110と接触する構成になっていてもよい。
【0083】
変更形態として、案内手段23
1,23
2は、同様の案内を行なう他の要素、例えば、適切に配置された円筒状のパッドによって置き換えられてもよい。
【0084】
リーフ要素の端部222
1,222
2は、どのような適切な手段、例えば、接着、ねじ込み、圧着、リベット留め等によって、ハンドル及びかんぬき要素に固定的に取り付けられていてもよい。
【0085】
かんぬき要素19
1,19
2は、旧来の方法によって、戻り手段と協働するようになっている。従って、これらの戻り手段は、機構の理解を容易にするために図示されていない。これらの戻り手段は、かんぬき要素を係止位置(
図2A)に引き戻すように促す構成となっている。これらの戻り手段は、かんぬき要素の移動の軸と平行に取り付けられた螺旋バネとすることができる。
【0086】
リーフスプリング22
1,22
2は、引張及び圧縮の両方の作用を行なうように構成されている。従って、作用力がハンドル110に加えられないとき、戻り手段は、かんぬき要素を係止位置に引き込むのみならず、リーフスプリングを介して、ハンドル110も引き込み、これによって、ハンドル110は、ハンドルに対して特別の戻り手段を設けることなく、解除位置(
図2A)に自然に戻ることになる。
【0087】
[ハンドルの例]
ハンドル110は、1つ又は複数の部品から作製されていてもよいことに留意されたい。特に、リーフスプリングに接続された内部工作部品及び外部作動部分222を設けることができる。
【0088】
内部部品は、必要に応じて、ボタンの移動の方向を制御し、かつ該移動方向を制限するために、フレーム内に形成された先端部と協働する窓を有することができる。
【0089】
図4A及び
図4Bは、一例として、このようなハンドル61を示している。このハンドルの支持面61
1は、取扱いを容易にするために凹状になっている。また、ハンドルと反対側のフレーム63の部分上に、例えば、中空形状のボス62を設けることもできる。このボス62は、この場合も把持を容易にするために、及び機構を分かり易いものとし、かつ可動パネルが同一の動作で解除及び摺動することを可能にするために、相補的な把持区域を形成している。
【0090】
ハンドルの進入を可能にするフレームの開口は、
図4A及び
図4Bに示されているようにフレーム側面にのみ存在することは、もちろん、必ずしも必要ではない。ハンドルは、係止位置及び解除位置にあるそれぞれのハンドルを示す
図5A及び
図5Bに示されているように、前部からアクセス可能とすることもできる。
【0091】
これらの図は、ハンドル73を受入れ、かつ案内するハウジング71がフレームの支柱部72に形成されていることを示している。従って、このハンドルは、側部及び/又は前部から容易にアクセス可能である。フレームの支柱部72は、ハンドルをその全ての位置において一体に収容するために、このハンドルの位置において拡張されている。このハウジング72によって、ハンドル73の線状案内を制御することもできる。
【0092】
また、ハウジング71は、前部からのみアクセス可能とすることもでき、例えば、ハウジング71が側部の壁によって閉鎖されるようになっていてもよい。この場合、ハンドルの表面が、作動を容易にする中空ボス又は任意の他の要素を備えることができる。
【0093】
[代替的実施例:単一の柔軟なリーフ要素]
上述の実施形態では、各かんぬき要素は、個別の柔軟なリーフ要素によって制御されるようになっている。従って、柔軟なリーフ要素の各々は、請求項の記載から理解されるように、柔軟なリーフ部分を構成している。
【0094】
他の構成によれば、
図6A及び
図6Bに示されているように、2つの柔軟なリーフ部分を備える単一の柔軟なリーフ要素を用いることもできる。この作用は、上述の作用と同じであるが、柔軟なリーフ要素81は、
− 第1のかんぬき要素19
1を制御する第1のリーフ部分811と、
− 第2のかんぬき要素19
2を制御する第2のリーフ部分812と、
− 第1及び第2のリーフ部分811,812を接続する中心部分813と
を備えている。
【0095】
リーフ要素110の動作は、上述の方法と同じように、第1及び第2のリーフ部分811,812を介して、かんぬき要素に作用することを理解されたい。これらのリーフ部分は、ハンドルに固定的に取り付けられていてもよいし、固定的に取り付けられていなくてもよい。固定的な取付は、中心部分において行なわれてもよい(この固定的な取付は、絶対的に義務付けられるものではないが、解除の効率的なバランスを保つために、行なうことが好ましい)。
【0096】
中心部分813は、特に図示されているようにハンドル110に沿って巡回移動する構成であってもよいし、又はこのハンドル内に作製されたハウジング(例えば、溝)内において巡回移動する構成であってもよい。