(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ユーザ利用性の高い新たなサプリメント供給サービスを実現するために、様々な場所に設置可能で、且つ複数ユーザで共有可能な粉体供給装置を提供することを目的とする。また、サプリメントのようなミリグラム単位の粉体を正確に取り扱い可能な粉体収容容器を、ユーザ自身がワンタッチで挿脱可能なカートリッジとして提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、上述の課題の少なくとも一部を解決することを意図している。そして本技術は、以下に示す態様を特徴とする。
本技術の一態様によれば、カートリッジと、カートリッジに連結される駆動器とを備える粉体供給装置であって、当該粉体供給装置に搭載されるカートリッジが、粉体を収容する容器本体と、粉体を吐き出す吐出部と、容器本体内で粉体を送り出すオーガ軸であって、平面部が設けられると共に、端部に、駆動器と連結する連結部が設けられたオーガ軸とを備え、駆動器がオーガ軸を回転させると、平面部が吐出部を開くように構成される、粉
体供給装置が提供される。
【0008】
本技術の一態様によれば、更に、カートリッジを組み立てると、平面部が吐出部を閉じるように構成され、駆動器が、所定の整数回だけオーガ軸を回転させるように構成され、オーガ軸が回転していないときに、平面部が吐出部を閉じるように構成される、粉体供給装置が提供される。
【0009】
本技術の一態様によれば、更に、連結部を通じてオーガ軸と同軸を構成して回転させる回転軸を有するモータと、発光部および受光部を備え、受光部が発光部からの光を検知可能なセンサと、モータの回転軸と同軸を構成する回転シャフトであって、切り欠きを有し、発光部および受光部の間に挿入されて遮光する遮光部を備える回転シャフトとを備え、センサの受光部が、発光部からの光の通過を、切り欠きを通じて検知する状態において、平面部が吐出部を閉じるように、切り欠きおよび平面部が位置合わせされる、粉体供給装置が提供される。
【0010】
本技術の一態様によれば、更に、回転軸の先端部が駆動器の表面に突設され、駆動器が、先端部の対向側で、当該粉体供給装置に一端を固定した弾性体に係止するための係止部を備える、粉体供給装置が提供される。
【0011】
本技術の一態様によれば、更に、カートリッジが当該粉体供給装置の所定の位置に挿入される際に、駆動器と接触して弾性体が押し込まれると、弾性体の反発力によって駆動器が付勢されて、回転軸の先端部が、カートリッジの連結部が備える回転口に差し込まれ、付勢されたまま係止される、粉体供給装置が提供される。
【0012】
本技術の一態様によれば、更に、プロセッサを備え、駆動器の回転軸の先端部が、連結部の回転口の形状に対応した形状を有し、接触が検知されると、プロセッサが、モータの回転軸を少なくとも1回転させるように駆動器に指令し、回転軸が少なくとも1回転され、回転軸の先端部の形状が回転口の形状に位置合わせされると、弾性体の反発力にしたがって付勢された回転軸の先端部が回転口に差し込まれ、付勢されたまま係止される、粉体供給装置が提供される。
【0013】
本技術の一態様によれば、更に、検知電極を備える接触検知部を備え、接触検知部が、カートリッジの表面に設けたICチップの検知電極との接触を検知する、粉体供給装置が提供される。
【0014】
本技術の他の一態様によれば、粉体を収容する容器本体と、容器本体内で粉体を送り出すオーガ軸と、粉体を吐き出す開口を有する吐出部とを備えるカートリッジであって、吐出部が、オーガ軸に設けた第1平面部を開口に配置し、オーガ軸が回転されると、第1平面部の回転によって開口を開くように構成される、カートリッジが提供される。
【0015】
本技術の他の一態様によれば、更に、吐出部が、オーガ軸が回転していないときに、第1平面部が開口を閉じるように構成される、カートリッジが提供される。
【0016】
本技術の他の一態様によれば、更に、吐出部が、開口の重力方向の上側を塞ぐ第2平面部を配置し、第1平面部が開口の重力方向の下側を塞いで、第2平面部と共に開口を閉じるように構成される、カートリッジが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、ユーザ利用性の高い新たなサプリメント供給サービスを実現するために、様々な場所に設置可能で且つ複数ユーザで共有可能な粉体供給装置を提供することが
できる。また、サプリメントのようなミリグラム単位の粉体を正確に取り扱い可能な粉体収容容器を、ユーザ自身がワンタッチで挿脱可能なカートリッジとして提供することができる。これにより、サービス提供事業者は、小型のカートリッジ単体を商品として市場で流通させ、コンビニエンスストア等でユーザに販売可能とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態による粉体供給装置およびカートリッジの具体例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
1.粉体供給装置本体
図1〜
図3は、本実施形態による粉体供給装置1の概要図を示す。粉体供給装置1は、サプリメント(粉体)の供給指示をユーザから受けると、サプリメント種別や量に基づき粉体の取り出しおよび配合を行い、それを外部に出力してユーザに供給する。
図1は、粉体供給装置1の筐体の外観例を示す。この例では、下略3分の1を占める下段が出力部19、真ん中部分を占める中断が表示部15、そして上部略3分の1を占める上段が配合部17として構成される。なお、中段部分は、単なる表示部のみならず、タッチパネル部として構成してもよい。また、中段には、センサ部16が両側面部に搭載され、また、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、および通信インタフェース13が内部に設けられる。下段の出力部19には、正面に凹み部分が設けられる。ユーザは、凹み部分の中にコップ等の容器をセットすることで、上部に設けた出力口から配合済みの粉体の出力を受けることができる。
【0021】
図2は、粉体供給装置1を正面から見た断面図である。配合部17は、各カートリッジから粉体を取り出して配合するための機構を有する。配合部17には、スロット部175が設けられ、配合部用台座176上のスロット部175に、粉体を収容したカートリッジ
20が搭載される。カートリッジから取り出され配合された粉体は、配合部用台座176に設けたスロット開口を通じてシュート部18に集められる。シュート部18は、配合部で配合された粉体を確実に外部容器に出力するための機構を有する。シュート部18は、配合部用台座176下部に取り付けられたシュータ185、シュータ185の周りを部分的に接触可能に覆うシュータ・ポケット186を備える。シュート部用台座の中央部には出力口191が設けられ、重力方向に沿って、出力口を通じて粉体が出力部19に出力される。
【0022】
図3は、粉体供給装置1のブロック図であり、ここでは、バスを通じて相互に電気的に接続される主要な構成要素のみを示す。粉体供給装置1は、これに限定されないが、ハードウェア構成として、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、通信インタフェース13、入出力インタフェース14、タッチパネル部15、センサ部16、配合部17、およびシュート部18を備える。
【0023】
プロセッサ10は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行する。メモリ11は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memor
y)などの揮発性記憶装置である。また、ストレージ12は、例えばHDD(Hard
Disc Drive)などの不揮発性記憶装置である。ストレージ12には、ユーザの
認証プログラムやサプリメント配合支援プログラム等が格納される。サプリメント配合支援プログラムは、ユーザ状態に応じて適切なサプリメント量を決定する。また、ストレージ12には、各プログラムで実装される処理に関連し、必要な各種情報を格納したテーブルを有するデータベースが構築されてもよい。
【0024】
通信インタフェース13は、スマートフォンやタブレット端末のようなユーザ端末との通信を可能にし、ユーザ端末との間で各種情報を送受信する。通信は、例えば、Bluetooth(より詳細には、BLE;Bluetooth Low Energy)等による近距離無線通信とするのがよい。通信インタフェース13を介して、ユーザ端末からユーザ情報を取得するのがよい。ユーザ情報とは、ユーザのログイン情報や属性情報に加え、ユーザの歩数や移動距離を測定する活動データとするのがよい。なお、ユーザ端末との通信は必須ではなく、粉体供給装置単体でスタンドアロン端末として動作してもよい。
【0025】
入出力インタフェース14は、例えばマウスやキーボード等の情報入力機器や液晶ディスプレイ等である。タッチパネル部15は、タッチパッドのような入力部151、および液晶ディスプレイのような表示部152を組み合わせた電子部品である。入力部151はユーザの作用(主に、タッチ操作等の物理的接触操作)を受けた画面位置の情報を検知して外部へ信号出力する機能を備える。タッチパネルは、静電容量方式や抵抗膜方式等、いずれの方式を採用したものでもよい。なお、上記のとおり、タッチパネル部15は単なる表示部として構成してもよい。センサ部16は、例えばセンサ電極として粉体供給装置1の両側面部に設けられ、ユーザが両手で電極部に接触することで心拍数等の生体情報を取得することができる。センサは、例えばECGセンサや筋電センサのような生体センサに加えて、気象センサ等を含んでもよい。
【0026】
配合部17は、サブプロセッサ170、駆動部171および接触検知部172を備える。サブプロセッサは主に、駆動部171の動作を制御する。駆動部171は、サプリメント供給指示に応じて内蔵モータを駆動させ、回転軸を回転させる。駆動部171を通じて、スロット部に搭載済みのカートリッジのオーガ軸が所定数だけ回転され、該カートリッジに収容されたサプリメントが指示された分量だけ抽出される。接触検知部172は、カートリッジが粉体供給装置1に搭載されると、カートリッジ表面に設けたICチップとの接触を検知する接触検知用電極を備える。本実施形態では、接触の検知に応答して、カー
トリッジが駆動部171と完全に連結されるように動作される(後記)。シュート部18は、シュート部用台座187に設けた振動部181を備える。プロセッサ10は、カートリッジから粉体を取り出すのと連動して、振動部181にシュータ・ポケット186を振動させるよう指令する。当該振動により、粉体に集めたシュータ185も振動され(後記)、重力方向に粉体を確実に落とすことができる。
【0027】
2.粉体供給装置の配合部
2−1.配合部全体
本実施形態による粉体供給装置の配合部17の機構について、
図4を参照して詳細に説明する。
図4は、粉体供給装置1を上面から見た立体図である。なお、上面のカバーを取り外している。配合部17は、粉体供給装置の上段を構成し、配合部用台座176の上に設けられた駆動部171およびスロット部175を備える。また、配合部用台座176は、粉体をシュート部18に送るためのスロット開口177を有する。駆動部171には、駆動器30(30a〜30g)がレーン状に配列される。各駆動器30は、粉体供給装置1に固定された固定部173において、その一端が支持される。
【0028】
スロット部175には、各駆動器30a〜30gに対応して、これらに連結されるカートリッジ20a〜20gがレーン状に配列される。各カートリッジ20は配合部用台座176上のガイドに沿って、挿脱可能に搭載される。例えば、ユーザが新規のカートリッジ20aをスロット部に挿入する際、カートリッジの上面に設けた爪21aが、配合部用台座176に立設されたL字形状の爪係止部174aに掛けられることで係止される。ユーザによってカートリッジがスロット部に押し込まれることにより、カートリッジ20がスロット部175に装着される。逆に、カートリッジを取り外す際は、ユーザは、押下部26を指で押し下げることで、爪21aの爪係止部174aとの係止が解除される。
【0029】
なお、本実施形態による粉体供給装置1は、カートリッジおよび駆動器をそれぞれ7個有するように図示しているが、当該個数に限定されない。スロット部および駆動部はまた、一段構成に限定されず、多段構成となるように配置してもよいことも当業者によって理解されて然るべきである。サブプロセッサ170は、段ごとに駆動部の動作を制御するように配置されるのがよい。すなわち、スロット部および駆動部をN段構成(Nは1以上の整数)として構成するのに、配合部17は、N個のサブプロセッサ170a〜170nを具備することになる。
【0030】
2−2.カートリッジ
図5を参照して、本実施形態による粉体供給装置1に搭載されるカートリッジ20の機構について詳細に説明する。
図5は、カートリッジ20が駆動器30に連結された状態の立体図である。図示されるように、カートリッジ20は、カートリッジ本体の上面部に設けられた爪(透明部)21、粉体を収容する容器本体(透明部)22、容器本体を覆うカバー23、および押下部26を備える。また、粉体を取り出すためのオーガ軸24、および駆動器30と連結するための連結部25を備える。オーガ軸24は、容器本体の重力方向下部に配設され、中心軸に沿って螺旋形状の羽を有し、回転により容器内部の粉体を送り出すことができる。連結部25は、オーガ軸の一方の端部に設けられる。オーガ軸の他方の端部はカバー側に配置される。更に、当該カートリッジ20において、カバーと対向側の面にはICチップ27が貼り付けられる。ICチップ27は、カートリッジ20が粉体供給装置1に搭載されるときに、粉体供給装置の接触検知部272の接触検知用電極(非図示)と接触する位置に予め位置合わせされる。
【0031】
図6〜
図8は、本実施形態による粉体供給装置1に搭載されるカートリッジ20の各部品およびその組み立ての例を示す立体図である。
図6は、容器本体を覆うカバー23を示す。カバー23は、オーガ軸で送り出された粉体を吐き出す吐出部231、およびユーザ
が指を掛けるための指掛け部234を備える。吐出部231はまた、粉体を吐き出すための開口232、および開口に設けた平面部233を備える。
図8のように、カートリッジ20が組み立てられると、吐出部231の開口および平面部233は、オーガ軸の中心軸に対して略垂直方向に構成される。また、平面部233は、開口232の重力方向の上側を塞ぐように配置され、重力方向の下側に粉体を通す口が形成される。指掛部234は、吐出部231の面に所定の角度を付けた平面として設けられる。
【0032】
また、
図7に示すように、オーガ軸24は、連結部とは対向側の端部に平面部241を備える。なお、当該平面部241はオーガ軸24の端部に必ずしも設けなくてもよいことが当業者によって理解されるべきである。
図8を再度参照する。カートリッジ20が組み立てられると、オーガ軸の平面部241が吐出部の開口232部分に配置される。そして、開口232において重力方向の上側を塞ぐ平面部233に対して、当該平面部241が重力方向の下側を塞ぐことで開口232を完全に閉じる。より詳細には、カートリッジ20が組み立てられるときに、吐出部の開口232において、容器本体22の内側からカバーの平面部233の外側に向けて、オーガ軸の平面部241を、重力方向の下側を挿通させて配置する。このように、オーガ軸の平面部241が開口232の重力方向の下側を塞ぐことで開口232を閉じることができる。
【0033】
図8に示すように、オーガ軸24は、端部に設けた連結部25において駆動器30と連結され、駆動器30のモータが駆動されると、その回転軸の回転に連動してオーガ軸も回転される。オーガ軸の回転と共に、オーガ軸の平面部241が吐出部231で回転することにより、開口232を開くように構成される。本実施形態では、駆動器30は、プロセッサ10および/またはサブプロセッサ170との相互作用によって、モータが常に整数回だけ回転するように制御される(後記)。つまり、連動するオーガ軸24も整数回だけ回転させることができる。上記のように、吐出部231では、カートリッジ20を組み立てた初期状態では開口232が必ず閉じられる。その結果、オーガ軸24が整数回だけ回転されるよう制御される場合は、オーガ軸24が回転していない状態ではオーガ軸の平面部241が開口232を常に閉じることになる。
【0034】
開口は断面が円形状を有する(
図8)。これに対して、オーガ軸の平面部241は略半円形状の平板であり(
図7)、また、カバーの平面部233は略半円形状からオーガの中心軸を挿通できるよう中心軸形状を抜いた形状を有する平板である(
図6)。つまり、吐出部231において開口を閉じるときは、オーガ軸の平面部241およびカバーの平面部233の双方で、開口232の断面円形状に相当する円形状を形成することになる。本実施形態では、カートリッジ単体で開口を閉じる機構を有する。その理由は、サプリメントのような粉体は吸湿性が高く少しの水分でも吸収してしまうので、カートリッジ自体を密閉させる必要があるからである。粉体が吐出されていない(すなわち、オーガ軸が無回転の)状態で粉体の吐出部231が密閉されない場合、吐出部の開口232から空気が流入することになり、収容された粉体は空気中の湿気を吸収し、品質に悪影響を及ぼすことになる。本発明の実施形態によるカートリッジは、上記のようにカートリッジ単体で吐出部231の密閉機構を実現し、上記湿気による品質劣化を十分に回避することができるものである。
【0035】
2−3.駆動部
図9〜
図12は、本実施形態により、配合部の駆動部171に配置される駆動器30の機構を示す。
図9は駆動部171の拡大図であり、駆動器30と粉体供給装置1本体との連結の態様を示す。各駆動器30(例えば、点線領域の30b)は、回転軸(非図示)を有するモータ34b、および粉体供給装置に設けた固定部173bに係止させる弾性体係止部39bを備える。粉体供給装置側の固定部173は、バネのような弾性体(非図示)を内蔵し、弾性体の一端が粉体供給装置1の内部の壁に固定される。係止部39は当該弾
性体の他端でバネ係止される。つまり、駆動器30は、弾性体の付勢により長手方向(回転軸方向)にスライド可能な可動域を有する。本実施形態では、カートリッジがスロット部に挿入され、駆動器が弾性体を定常状態より押し込んで(押し込み方向に)スライドされると、弾性体の反発力によって駆動器30が逆方向に付勢される。これにより、駆動器30がカートリッジ方向にスライドされ、確実にカートリッジ20と連結することができる(駆動器とカートリッジの連結の態様の詳細については後記する。)。
【0036】
図10は駆動器30の機構を示す立体図であり、
図11はこれに対応する断面図である。駆動器30は、粉体供給装置の固定部173に弾性体係止する上記弾性体係止部39に加え、長軸方向に沿った回転軸38を有するモータ34、光を検出するためのセンサ35、モータの回転軸38と共に回転する回転シャフト36、および上面の一部の上に設けた、センサ用基板390上の本体接続用コネクタ部395を備える。モータ34が有する回転軸38は、粉体供給装置の連結部25を通じてオーガ軸24と同軸を構成する。すなわち、駆動器30は、回転軸38を回転させるのに連動して、オーガ軸24も同一回転速度で回転させることができる。駆動部30は、本体接続用コネクタ部395を通じて連結されたプロセッサ10および/またはサブプロセッサ170からの電気信号を受け、その指令により駆動される。
【0037】
センサ35は、フォトインタラプタとするのがよい。一般に、フォトインタラプタは、対向する発光部と受光部を備え、発光部からの光を物体が遮るのを受光部で検出することによって、物体の有無や位置を判定可能とするセンサである。本実施形態によるフォトインタラプタ35は、センサ用基板390の下部で離間して設けた一組の発光部35aおよび受光部35bを備える。なお、一組の発光部35aおよび受光部35bの配置関係は
図10および
図11のものに限定されず、これらは逆の配置としてもよい。フォトインタラプタ35では、発光部35aで発する光は受光部35bによって受け、これを検知することができる。
【0038】
図12は、モータの回転軸38と同軸を構成する回転シャフト36の立体図である。回転シャフト36は遮光部37を備える。遮光部37は、外周部分に切り欠き365を備え、円板形状から切り欠き365を抜いた形状を有する。
図10および
図11に戻り、遮光部37は、発光部35aおよび受光部35bの間で遮光可能とするように間に挿入される。具体的な動作は、回転軸38が回転シャフト36と共に回転している間、切り欠き365が発光部35aおよび受光部35bの間に位置する場合は、発光部35aからの光は受光部35bまで通される。つまり、フォトインタラプタ35は光の通過を検知可能である。他方、切り欠き365が発光部35aおよび受光部35bの間に位置しない場合は、発光部35aからの光は遮光部37で遮光されることになる。
【0039】
本実施形態では、上記フォトインタラプタの受光部35bが発光部35aからの光の通過を(切り欠き365を通じて)検知される状態(
図10)で、オーガ軸の平面部241が吐出部の開口232を閉じる状態(
図8)とするのがよい。つまり、同軸を構成する回転軸38およびオーガ軸24に対し、切り欠き365および平面部241が位置合わせされるのがよい。そのために、カートリッジと連結部の連結時には、回転軸38の先端部を、カートリッジの連結部の回転口251と対応した向きに位置合わせするのがよい(後記)。
【0040】
また、本実施形態では、上記フォトインタラプタ35を用いることにより、駆動器30は、光の通過を検知できる状態で、回転軸38の回転を正確に停止させよう制御することができる。つまり、駆動器30は、モータが動作していない間は常に、遮光部の切り欠き365が発光部35aおよび受光部35bの間に位置された状態を維持することができる。加えて、本実施形態では、上記フォトインタラプタ35による光の通過の検知により、
サブプロセッサ170は、モータの回転軸38の(整数)回転数を正確にカウントすることができる。
【0041】
本実施形態では、粉体供給装置のプロセッサ10および/またはサブプロセッサ170の指令を通じて、検知された回転数がプロセッサ指定の整数に等しくなる際に、光の通過を検知可能な状態で、モータの回転を正確に停止させることができる。以下の例では、粉体供給装置のプロセッサ10が、特定の駆動器30(例えば30b)に、モータの回転軸38をN回転させるようにサブプロセッサ170に指令した場合を想定する(Nは2以上の整数)。なお、初期状態では、フォトインタラプタ35は光の通過を検知可能である。サブプロセッサ170から回転指令を受けた駆動器30は、モータに回転軸の回転を開始させる。フォトインタラプタ35が光の通過を最初に検知した状態が、回転軸が1回転した状態である。その後も、光の通過を検知した回数と回転軸の回転数は一致する。フォトインタラプタ35が光の通過を検知する都度(すなわち回転軸が1回転する都度)、駆動器30bはサブプロセッサ170へ報告を行い、サブプロセッサ170が回転数を順次カウントする。回転数が(N−1)回転まで到達すると、サブプロセッサ170は、駆動器30bに対し、次が第N回転目(最終回転)であることを通知する。通知を受けた駆動器30bは、フォトインタラプタ35が次に光の通過を検知したタイミングで、検知状態を維持したまま、モータに回転軸の回転を停止させる。このようにして、駆動器は所定の整数回転数だけモータに回転軸を回転させることができる。なお、回転を停止しやすくするために、最終回転では、これまでの回転速度から低下させてゆっくり回転するよう、上記通知を受けた駆動器30bがモータに指令するのがよい。
【0042】
上記のように、カートリッジ20は、サプリメントの吸湿性の問題から、粉体が吐出されていない(オーガ軸が無回転の)状態において、粉体の吐出部231を密閉する必要がある。当該課題に対し、本実施形態では、切り欠き365および平面部241を相互に位置合わせする機構とする。且つ、モータが動作していない間は常に、切り欠き365が発光部35aおよび受光部35bの間に位置された状態を維持する。これにより、吐出部231の密閉性をより一層担保することができる。つまり、本実施形態では、サプリメントの湿気による品質劣化を十分に回避することができる。
【0043】
2−4.カートリッジおよび駆動器の連結
図13および
図14を参照して、本実施形態による粉体供給装置1において、カートリッジ20および駆動器30が連結される態様について説明する。
図13はカートリッジの連結部25の拡大図を示し、
図14は駆動器連結部40の拡大図を示す。カートリッジの連結部25は、オーガ軸において平面部とは対向側の端部に設けられ、駆動器連結部40の回転軸を差し込まれて受けるための回転口251を備える。一方、駆動器連結部40は、駆動器の弾性体係止部39とは対向側に設けられ、その表面に突設される回転軸の先端部43、およびカートリッジの連結部250を受けるための溝46を備える。
【0044】
図13および
図14に示すように、回転口251および回転軸の先端部43は、相互に対応した形状を有する。具体的には、駆動器の先端部43の断面は、円から弓形部分を除いた形状を有する。また、先端に行くほど先細るようなテーパー形状を有する。これに対応して、連結部の回転口251も、当該回転軸の先端部に対応する形状を有する。連結部25の外周形状も、溝46の外周形状と対応した円形状を有する。つまり、回転軸の先端部43は、回転口251内部に挿入されるには、回転口251に対して位置合わせ(すなわち、形状が合うような向きを合わせ)が必要となる。当該形状に基づく位置合わせにより、カートリッジ20と駆動器40が完全に連結される。また、上記のように、オーガ軸の平面部241が吐出部の開口232を閉じる状態となるように、同軸を構成する回転軸38およびオーガ軸24に対し、切り欠き365および平面部241を位置合わせすることができる。
【0045】
本実施形態では、上記のようなカートリッジの連結部25および駆動器の駆動器連結部40の連結は、ユーザがカートリッジ20を粉体供給装置1にワンタッチで挿入したことに応じて、プロセッサ10の制御により自動的に実施可能である。具体的には、カートリッジ20が粉体供給装置のスロット部175の所定位置に挿入されると、駆動器30は、カートリッジ20と接触されながら、固定部173内にある弾性体が押し込まれる方向にスライドする。なお、所定位置への挿入は、カートリッジの爪21を爪係止部174aに係止させることで実施される。この状態では、駆動器30は弾性体の反発力によって逆方向(接触方向)に付勢される。当該反発力にしたがって、カートリッジの連結部25と駆動器の駆動器連結部40が連結可能となる。つまり、付勢された駆動器の回転軸の先端部43が、カートリッジの連結部25が備える回転口251に差し込まれ、付勢されたまま係止される。
【0046】
上記動作の詳細について、
図15の動作フローを参照しながら詳細に説明する。最初に、ユーザによってカートリッジ20が挿入され、爪係止部174aで係止されると、カートリッジと接触した駆動器30は、固定部20の弾性体を押し込む方向にスライドされる(S110)。この状態では、駆動器30は、弾性体の反発力によって単に逆方向に付勢されるに過ぎず、カートリッジの連結部25および駆動器の駆動器連結部40は未だ完全に連結されていない。つまり、駆動器の回転軸の先端部43が、カートリッジの連結部25の回転口251に差し込まれているとは限らない。何故ならば、先端部43と回転口251の形状の位置合わせは、特段考慮されていないからである。
【0047】
カートリッジ20と駆動器30の接触は、粉体供給装置の接触検知部172により擬似的に検知される。すなわち、接触検知部172が備える接触検知用電極(非図示)によって、カートリッジの表面に取り付けたICチップ27からの接触が検知される(S120)。ここでは、ICチップ27と接触検知用電極との接触を以って、カートリッジ20と駆動器30が接触するよう配置関係が予め設計されている。
【0048】
接触検知部172によって接触が検知されるのに応答して、粉体供給装置のサブプロセッサ170は、駆動器30に対し、初期指令として、モータの回転軸38を少なくとも1回転させるように指令する(S130)。サブプロセッサ170からの初期指令を受けて、駆動器30は、モータの回転軸を少なくとも1回転させる(S140)。少なくとも1回転させるとしているのは、モータの回転軸を最低1回転させれば、回転の過程で、駆動器の回転軸の先端部43と、カートリッジの連結部25の回転口251との各断面形状の向きが合い、必ず両者の位置合わせがなされるとみなしてよいからである。
【0049】
回転軸の先端部の形状が回転口の形状に位置合わせされると、そのまま、弾性体の反発力にしたがって付勢された回転軸の先端部43が、回転口251に差し込まれる。この状態では、回転軸の先端部は付勢されたままであり、回転口251に係止される(S150)。これにより、カートリッジの連結部25と駆動器連結部40が完全な連結状態となる。上記位置合わせにより、カートリッジの連結部25と駆動器連結部40が連結状態になると、カートリッジのオーガ軸24と駆動器の回転軸38が同軸を形成し、一体となって回転可能となる。すなわち、駆動器がモータの回転軸38を回転させると、同軸のカートリッジのオーガ軸24も回転して、カートリッジ内部の粉体を吐出部231に送り出すことができる。また、オーガ軸の平面部241も回転して、吐出部231を開くことができる。
【0050】
本発明の実施形態によれば、上記のように、ユーザによるカートリッジの挿入時に、カートリッジと駆動器を完全に連結させる。その際、カートリッジの連結部の回転口251と、駆動器の連結部の回転軸の先端部43との各形状を位置合わせする。連結に際し、仮
にユーザの手動による調整作業を要する場合は、ユーザ操作性(特にカートリッジ装着の手間)の点で妥当ではない。これに対して、本実施形態では、上記位置合わせは自動で実施可能である。そのための手段として、まず、カートリッジ20と駆動器30の接触の検知を、カートリッジのICチップと粉体供給装置の接触電極との接触を検知することで推定する。接触の検知後、駆動器のモータの回転軸を少なくとも一回転させることにより、位置合わせを自動で実施する。その際、駆動器30をスライドさせて回転軸の先端部をカートリッジの回転口251に差し込んで、駆動器30が付勢された状態で連結状態を維持することができる。つまり、本実施形態によれば、ユーザは粉体供給装置1にカートリッジをワンタッチで挿入するだけで、カートリッジを粉体取り出し可能状態にセットすることができる。
【0051】
2−5.モータ回転数の管理に基づくカートリッジ内の粉体残量管理
本実施形態では、カートリッジ20がスロット部175に装着されると、どのカートリッジ(カートリッジID)がどの位置のスロット(スロットID)に装着されたかを関連づける。その際、カートリッジのICチップ27に格納された各種情報を、接触検知部172をリーダとして機能させることで読み出す。具体的には、各カートリッジのICチップには、1つ以上のID(例えば、カートリッジIDや収容サプリメントID)、収容粉体初期量、オーガ軸1回転当たり粉体吐出量、およびこれまでの累積モータ回転数等が記憶されており、リーダがこれらを読み取る。上記関連づけや各種情報は、ストレージ12内のテーブルに格納することができ、そしてプロセッサ10および/またはサブプロセッサ170は、これらを随時利用することができる。なお、累積モータ回転数のような都度更新される情報は、使用の都度ICチップに格納し、またはICチップから読み出すことが可能である。本実施形態によれば、次に説明する、モータ回転軸回転数(またはオーガ軸回転数)に基づくカートリッジ20内の粉体の残量管理を実施することができる。
【0052】
最初に、プロセッサ10は、ユーザ要求に応答して、所定の種別のサプリメント(サプリメントID)を所定の粉量(ミリグラム単位)だけ吐き出すよう決定する。または、粉体供給装置1の外部から吐き出し指示を受ける。これに応答して、プロセッサ10および/またはサブプロセッサ170は、テーブルを参照して当該サプリメントIDに関連づけられたカートリッジIDを特定する。そして、当該カートリッジIDのカートリッジを搭載した、スロット位置(スロットID/例えば、端から2番目のスロット)を特定する。併せて、プロセッサ10および/またはサブプロセッサ170は、テーブルを参照して、カートリッジIDに対応するオーガ軸1回転当たり粉体吐出量を特定し、粉量(ミリグラム単位)に対する回転数を特定する。また、該当カートリッジについての最大回転数や累積回転数を、同じくテーブル参照により特定する。
【0053】
その結果、プロセッサ10および/またはサブプロセッサ170は、上記特定したスロット位置に搭載されたカートリッジに連結された駆動器に対し、上記粉量に対する回転数だけ回転するように指令することができる。そして、モータ回転動作に対して、テーブル内の上記累積回転数を更新する。同時に、ICチップ27内の累積回転数も更新する。また、累積回転数、すなわちモータ回転軸(オーガ軸)が合計何回転したかを読み出し、サプリメント初期量に対応する最大回転可能数と比較することで、残余回転可能数を特定することができる。これにより、サプリメント残量を特定することができる。特に、カートリッジの残余回転可能数が不足していると判断された場合、そのカートリッジは、使用済み状態として、動作対象とならないことになる。
【0054】
3.シュート部
先に
図2に関連して説明したように、カートリッジから取り出され配合された粉体は、配合部用台座176に設けたスロット開口を通じてシュート部18に集められ、出力部19に出力される。シュート部18は、粉体供給装置1の中段を構成し、配合部で配合され
た粉体を確実に外部容器に出力するための機構を有する。本実施形態の粉体供給装置1は、上記したように、粉体をミリグラム単位のオーダーの微量を正確に取り扱う必要がある。つまり、より正確な出力量を実現する手段として、カートリッジ20から吐き出された粉体が本体内部に残留させないような機構を設ける必要がある。
【0055】
図16および
図17を参照して、本実施形態による粉体供給装置1が備えるシュート部18の機構について説明する。
図16は、シュート部18の正面斜視図である。シュート部18は、配合部用台座176下部に取り付けられたシュータ185、およびシュータ185の周りを包み込むように、シュータ185を接触可能に覆うシュータ・ポケット186を備える。シュータ185は、重力下部に向かうほど幅が狭くなるような形状の部品であればよく、一例として漏斗形状とするのがよい。シュータ・ポケット186は、図示のように断面が略M字形状とするのがよい。本実施形態によれば、シュート部18は更に、シュート部用台座187の上に、シュータ・ポケットを重力方向に支持するシュータ・ポケット支持部188を備える。
【0056】
図17は、粉体供給装置1の側面から見た、特にシュート部18内部を示す立体図である。図示のように、シュート部が備えるシュータ・ポケット支持部188は、シュート部用台座187上で、シュータ・ポケット186をコーナー4点で支持するのがよい。また、シュータ・ポケット支持部188は、重力方向に設けた弾性体を備えるように構成し、シュータ・ポケット186を重力方向に揺動可能に支持することができる。すなわち、シュート部用台座187に対し、シュータ・ポケット186上に浮遊する状態を構成する。そして、シュータ・ポケット186に対し、バイブレータのような振動部181(非図示)によって振動を加えることができる。上記のシュータ・ポケット支持部188および振動部181により、シュータ・ポケット186に接触しているシュータ185も間接的に振動させることができる。振動部181は、プロセッサ10および/またはサブプロセッサ170による指令を受けて、カートリッジが粉体を取り出している間に振動動作を行うようにするのがよい。
【0057】
振動部181の代替として、ソレノイドによる打撃部を構成し、シュータ・ポケット186に対して打撃を加えることにより、間接的にシュータ185に振動を加えてもよい。ソレノイドは、引っ張り運動可能なものを適用するのがよく、引っ張り運動により、引き込み動作(すなわち、弾性体を縮める重力方向に引っ張る動作)およびその解除動作(反発力で戻る動作)を繰り返して、重力方向に振動させるのがよい。
【0058】
本実施形態では、シュータ185を間接的に振動できる機構とすることにより、シュータ内に粉体を残留させることなく、確実に外部容器に出力可能とすることができる。シュータ185およびシュータ・ポケット186を別の部材として設けることにより、シュータ185をシュータ・ポケット186と分離して取り外し可能に配合部用台座176に取り付けることができる。シュータ185を取り外し可能とすることにより、ユーザは実際に粉体に触れるシュータ185を取り外して洗浄することで、清潔な状態を保つことができる。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施形態の粉体供給装置によれば、ユーザ利用性の高い新たなサプリメント供給サービスを実現するために、様々な場所に設置可能で且つ複数ユーザで共有可能な粉体供給装置を提供することができる。また、本発明の実施形態によるカートリッジによれば、サプリメントのようなミリグラム単位の粉体を正確に取り扱い可能な粉体収容容器を、ユーザ自身がワンタッチで粉体供給装置に挿脱可能に搭載するものとして提供することができる。特に、本発明の実施形態によるカートリッジは、カートリッジ単体で吐出部の密閉機構を実現し、内部に空気が流入することに伴う湿気による品質劣化を十分に回避することができる。
【0060】
更に、本実施形態によれば、粉体供給装置のプロセッサの指令を通じて、駆動器のモータの整数回転を正確に制御することができる。加えて、本実施形態によれば、ユーザが粉体供給装置にカートリッジをワンタッチで挿入するだけで、カートリッジを駆動器に完全に連結させた連結状態にでき、ユーザが好みのサプリメントのカートリッジを搭載した粉体供給装置を利用可能とする。加えて、本実施形態によれば、シュータを間接的に振動できる機構とすることにより、シュータ内に粉体を残留させることなく、確実に外部容器に出力可能とすることができる。
【0061】
上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【解決手段】本発明は、カートリッジと、該カートリッジに連結される駆動器とを備える粉体供給装置であって、当該粉体供給装置に搭載されるカートリッジが、粉体を収容する容器本体と、粉体を吐き出す吐出部と、容器本体内で粉体を送り出すオーガ軸であって、平面部が設けられると共に、端部に、駆動器と連結する連結部が設けられたオーガ軸とを備え、駆動器がオーガ軸を回転させると、平面部が吐出部を開くように構成される。