特許第6232162号(P6232162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6232162-外部から調整可能なクラッチ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232162
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】外部から調整可能なクラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 43/21 20060101AFI20171106BHJP
   B66D 3/20 20060101ALN20171106BHJP
【FI】
   F16D43/21
   !B66D3/20 C
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-501710(P2017-501710)
(86)(22)【出願日】2016年6月8日
(65)【公表番号】特表2017-525900(P2017-525900A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】US2016036417
(87)【国際公開番号】WO2016205039
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2017年2月16日
(31)【優先権主張番号】14/741,003
(32)【優先日】2015年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517006832
【氏名又は名称】コロンバス マッキノン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドベイ、ジャレド ビー.
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−292533(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0014551(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0116232(US,A1)
【文献】 特開2006−273490(JP,A)
【文献】 特開平7−206388(JP,A)
【文献】 特開昭48−78366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 11/00−23/14
F16D 41/00−47/06
B66D 1/00− 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能なクラッチ・アセンブリであって、前記調整可能なクラッチ・アセンブリは、
ベース部と、
クラッチ・ハウジング・キャップと、
第1のトルク伝達面を有する第1の回転部材であって、前記第1の回転部材は、クラッチ軸線の周りで回転するように、及び、第1のシャフトに回転結合するように構成されている、第1の回転部材と、
スリップ・ジョイントにおいて前記第1の回転部材の前記第1のトルク伝達面に対向する第2のトルク伝達面を有する第2の回転部材であって、前記第2の回転部材は、前記クラッチ軸線の周りで回転するように、及び、第2のシャフトに回転結合するように構成されている、第2の回転部材と、
前記クラッチ・ハウジング・キャップと前記第1の回転部材との間に軸線方向に配置されているばね要素であって、前記ばね要素は、前記対向した第1及び第2のトルク伝達面を軸線方向に互いに付勢するように構成されている、ばね要素と、
ホイール及びシャフトを含むギヤ駆動装置であって、前記ホイールは、前記クラッチ軸線の周りで回転するように構成されており、前記シャフトは、前記ホイールと係合し、且つ、調整軸線の周りで回転するように構成されており、それにより前記クラッチ軸線の周りで前記ホイールを選択的に回転させ、前記ホイールが、前記クラッチ・ハウジング・キャップと係合し、前記シャフトが第1の部分を有しており、調整トルクが前記第1の部分に加えられ得る、ギヤ駆動装置と、
前記ベース部に対する前記クラッチ・ハウジング・キャップの回転運動を抑制するロッキング要素と
を含み、
前記クラッチ軸線の周りの前記ホイールの選択的回転が、前記ベース部又は前記第2の回転部材に対する前記クラッチ軸線に沿った前記クラッチ・ハウジング・キャップの軸線方向運動を引き起こすように、前記ギヤ駆動装置、前記ベース部、前記ロッキング要素、及び前記クラッチ・ハウジング・キャップが構成され、
それにより前記ばねの前記付勢が、前記シャフトの回転により調整できる、調整可能なクラッチ・アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の回転部材が、駆動部材であり、前記第2の回転部材が、被駆動部材である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のトルク伝達面が、摩擦ライナ層を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ばね要素が、前記クラッチ軸線の周りに配向された円筒形圧縮ばねを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記クラッチ・ハウジング・キャップが、前記ばねの第1の端部を軸線方向に保持するばねシートを含み、前記アッセンブリは、前記ばねの第2の端部を受けるばねカップをさらに含む、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ばねカップと前記第1の回転部材との間に軸線方向に配置され、且つ、前記第1の回転部材と前記クラッチ・ハウジング・キャップとの間に径方向に配置された軸受をさらに含む、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記軸受と前記クラッチ・ハウジング・キャップとの間に径方向に配置された円筒形ブッシングをさらに含む、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ホイールが、外側に延在する円周方向に間隔を置いて配置された歯を有する外部円筒面を含み、前記シャフトが、ネジ部を有する外部円筒面を含み、前記ホイールと前記シャフトとの前記係合は、前記シャフトの前記ネジ部が前記ホイールの歯に回転可能に係合することを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記シャフトの前記第1の部分が、トルク付加工具を受けるように構成された凹部を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記クラッチ・ハウジング・キャップが、ネジ部を有する外部円筒面を含み、前記ホイールが、ネジ部を有する内部円筒面を含み、前記ホイールと前記クラッチ・ハウジング・キャップとの前記係合は、前記ホイールの前記内部円筒面の前記ネジ部が、前記クラッチ・ハウジング・キャップの前記外部円筒面の前記ネジ部に回転可能に係合することを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ロッキング要素が、環状ロッキング・プレートを含み、前記環状ロッキング・プレートは、前記ベース部に固定され、且つ、前記クラッチ・ハウジング・キャップの外面に係合する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記環状ロッキング・プレートが、前記クラッチ軸線に向かって径方向内側に延在する複数の突起を含み、前記クラッチ・ハウジング・キャップの前記外面が、複数の軸線方向に延在する溝を含み、前記突起が、前記溝内を前記クラッチ軸線に対して軸線方向に摺動することが可能であり、前記溝によって前記クラッチ軸線の周りの回転運動を抑制され、それにより前記クラッチ・ハウジング・キャップが、前記ベース部に対して軸線方向に可動であり、且つ前記ベース部に対して回転を抑制される、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記環状ロッキング・プレートが、複数のシャフト要素を介して前記ベース部に固定されている、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記ホイールが、複数の軸受によって回転可能に支持され、前記軸受が、前記環状ロッキング・プレートと前記ベース部との間で、それぞれのシャフト要素に対して支持されている、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記シャフト要素が、ターン・スタッドを含み、前記アッセンブリが、複数のばね要素をさらに含み、前記複数のばね要素は、前記環状ロッキング・プレートと前記それぞれの軸受との間に、前記それぞれのターン・スタッドに対して配置されており、且つ、前記ベース部から離れるように前記ロッキング・プレートを付勢するように構成されている、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記ベース部に固定されたホイスト・ハウジングと、前記第2の回転部材と前記ホイスト・ハウジングとの間に径方向に配置された第2の軸受とをさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記第2の回転部材が、前記第2の軸受を受ける外部ジャーナルを含む、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記第1の回転部材及び前記ばね要素が、前記ベース部と前記クラッチ・ハウジング・キャップとの間に配置され、
前記クラッチ・ハウジング・キャップが、内面を有し、前記第1の回転部材が、前記クラッチ・ハウジング・キャップの前記内面に対向する面を有し、
前記ばね要素が、前記クラッチ・ハウジング・キャップの前記内面と、前記クラッチ・ハウジング・キャップの前記内面に対向する前記第1の回転部材の前記面との間で作用し、
前記クラッチ・ハウジング・キャップ及び前記第1の回転部材は、前記第1の回転部材に対する前記クラッチ・ハウジング・キャップの軸線方向運動が、前記ばね要素の前記付勢を調整するように構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記ギヤ駆動装置が、前記クラッチ・ハウジング・キャップの外側に配置されている、請求項18に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にクラッチの分野に関し、より具体的には、例えば、ホイスト・システムにおいて過大なトルクの伝達を防止するための、改善された外部から調整可能なクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
クラッチは、当技術分野で周知であり、2つの回転シャフトの間で力を伝達するために一般に使用されている。シャフトの一方は、典型的にモータに取り付けられ、駆動部材と呼ばれることがあり、他方のシャフトは、行うべき作業のための出力を提供し、被駆動部材と称されることも多い。クラッチは、スリップ・ジョイントを横切って2つのシャフトを接続し、2つのシャフトが、同じ速度で回転するように係合され得るか、又は、異なる速度で回転するように分離及び離脱され得るようになっている。
【0003】
独国特許公開DE102004054890B3は、可動摩擦プレートに対する摩擦を増加させるために加圧される圧力ディスクに他端が接続されるロッドのネジ端部でばねの外側に位置決めされる圧縮ナットを締めることによって調整されるクラッチを対象とする。
【0004】
独国特許公開DE19927847C1は、クラッチ・ディスク間の摩擦を増加させるために加圧される圧力ディスクに他端が接続されるネジ付きプル・ロッドの一端でばねの外側に位置決めされる圧縮ナットを締めることによって調整されるスリップ・クラッチを対象とする。
【0005】
米国特許第5,853,165号は、つる巻きばねに作用し、且つクラッチ・ディスク及び第2のばねを越えて突き出るスタブ・シャフト上で対応するネジに螺合するナットによって、ディスクの予圧が与えられるクラッチを対象とする。
【0006】
独国特許公開DE4408578A1は、ケーシングを開放せずに調整できるスリップ・クラッチを対象とする。シャフトは、ナットが螺合する外部ネジを持っている。圧縮ばねは、摩擦リングに対するばね付勢力が調整できるように、ナットとベアリングとの間で作用する。
【0007】
英国特許出願GB2321504Aは、摩擦力の量が、ネジ付きシャフト部に対する調整部材の回転によって変化するスリップ・クラッチを対象とする。
【0008】
米国特許第5,533,712号は、弾性部材と、調整部材とを有するスリップ・クラッチを対象とする。
【0009】
DE19757500は、シャフトのネジ部と螺合するネジ付きリングを有するキャップ内に圧縮ばねを含む調整機構を有するクラッチを対象とする。
【0010】
米国特許第1,807,210号は、摩擦結合を対象とし、且つ一般にハブと、従動リングと、ばねと、円筒形シェルとを有するキーギヤを開示する。
【0011】
米国特許第2,953,911号は、駆動結合を対象とし、且つ径方向溝を有する被駆動プレートと、ハブと、駆動プレートと、圧力プレートと、クラッチばねとを開示する。
【0012】
米国特許第7,591,357号は、クランク・シャフト・トルク変調器を対象とし、且つ被駆動ハブと、クラッチばねと、キャリヤ・ディスクと、スラスト・ワッシャと、クランク・シャフト・プーリと、取付ハブとを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】DE102004054890B3
【特許文献2】DE19927847C1
【特許文献3】米国特許第5,853,165号
【特許文献4】DE4408578A1
【特許文献5】GB2321504A
【特許文献6】米国特許第5,533,712号
【特許文献7】DE19757500
【特許文献8】米国特許第1,807,210号
【特許文献9】米国特許第2,953,911号
【特許文献10】米国特許第7,591,357号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
限定としてではなく、単に例示目的で、開示された実施例の対応する部品、部分、又は表面を括弧内に参照して、本発明は、調整可能なクラッチ・アセンブリ(15)であって、調整可能なクラッチ・アセンブリ(15)は、ベース部(18)と、クラッチ・ハウジング・キャップ(19)と、第1のトルク伝達面(23)を有する第1の回転部材(20)であって、第1の回転部材(20)は、クラッチ軸線(22)の周りで回転するように、及び、第1のシャフトに回転結合するように構成されている、第1の回転部材(20)と、スリップ・ジョイント(25)において前記第1の回転部材の前記第1のトルク伝達面に対向する第2のトルク伝達面(24)を有する第2の回転部材(21)であって、第2の回転部材(21)は、クラッチ軸線の周りで回転するように、及び、第2のシャフトに回転結合するように構成されている、第2の回転部材(21)と、クラッチ・ハウジング・キャップと第1の回転部材との間に軸線方向に配置されているばね要素(26)であって、ばね要素(26)は、対向した第1及び第2のトルク伝達面を軸線方向に互いに付勢するように構成されている、ばね要素(26)と、ホイール(29)及びシャフト(30)を含むギヤ駆動装置(28)であって、ホイール(29)は、クラッチ軸線の周りで回転するように構成されており、シャフト(30)は、ホイールと係合し、且つ、調整軸線(31)の周りで回転するように構成されており、それによりクラッチ軸線の周りでホイールを選択的に回転させ、ホイールが、クラッチ・ハウジング・キャップと係合し、シャフトが、第1の部分(32)を有しており、調整トルクが前記第1の部分(32)に加えられ得る、ギヤ駆動装置と、ベース部に対するクラッチ・ハウジング・キャップの回転運動を抑制するロッキング要素(34)とを含み、クラッチ軸線の周りのホイールの選択的回転が、ベース部又は第2の回転部材に対するクラッチ軸線に沿ったクラッチ・ハウジング・キャップの軸線方向運動を引き起こすように、ギヤ駆動装置、ベース部、ロッキング要素、及びクラッチ・ハウジング・キャップが構成され、それによりばねの付勢が、シャフトの回転により調整できる、調整可能なクラッチ・アセンブリ(15)を提供する。
【0015】
第1の回転部材は、駆動部材であっても良く、第2の回転部材は、被駆動部材であっても良い。第1のトルク伝達面は、摩擦ライナ層(35)を含んでも良い。ばね要素は、クラッチ軸線の周りに配向された円筒形圧縮ばねを含んでも良い。
【0016】
クラッチ・ハウジング・キャップは、ばねの第1の端部を軸線方向に保持するばねシート(36)を含んでも良く、アセンブリは、ばねの第2の端部を受けるばねカップ(38)をさらに含んでも良い。アセンブリは、ばねカップと第1の回転部材との間に軸線方向に配置され、且つ第1の回転部材とクラッチ・ハウジング・キャップとの間に径方向に配置された軸受(39)をさらに含んでも良い。アセンブリは、軸受とクラッチ・ハウジング・キャップとの間に径方向に配置された円筒形ブッシング(40)をさらに含んでも良い。
【0017】
ホイールは、外側に延在する円周方向に間隔を置いて配置された歯(41)を有する外部円筒面を含んでも良く、シャフトは、ネジ部(42)を有する外部円筒面を含んでも良く、ホイールとシャフトとの係合は、シャフトのネジ部がホイールの歯に回転可能に係合することを含んでも良い。シャフトの第1の部分は、トルク付加工具を受けるように構成された凹部(33)を含んでも良い。クラッチ・ハウジング・キャップは、ネジ部(43)を有する外部円筒面を含んでも良く、ホイールは、ネジ部(44)を有する内部円筒面を含んでも良く、ホイールとクラッチ・ハウジング・キャップとの係合は、ホイールの内部円筒面のネジ部が、クラッチ・ハウジング・キャップの外部円筒面のネジ部に回転可能に係合することを含んでも良い。
【0018】
ロッキング要素は、環状ロッキング・プレート(34)を含んでも良く、環状ロッキング・プレート(34)は、ベース部に固定され、且つ、クラッチ・ハウジング・キャップの外面に係合しても良い。環状ロッキング・プレートは、クラッチ軸線に向かって径方向内側に延在する複数の突起(45a〜c)を含んでも良く、クラッチ・ハウジング・キャップの外面は、複数の軸線方向に延在する溝(46a〜c)を含んでも良く、突起は、溝内をクラッチ軸線に対して軸線方向に摺動することが可能であり、溝によってクラッチ軸線の周りの回転運動を抑制され、それによりクラッチ・ハウジング・キャップが、ベース部に対して軸線方向に可動であり、且つベース部に対して回転を抑制される。環状ロッキング・プレートは、複数のシャフト要素(48a〜c)を介してベース部に固定されても良い。ホイールは、複数の軸受(49a〜c)によって回転可能に支持されても良く、軸受は、環状ロッキング・プレートとベース部との間で、それぞれのシャフト要素に対して支持されても良い。シャフト要素は、ターン・スタッドを含んでも良く、前記アッセンブリが、複数のばね要素(50a〜c)をさらに含んでも良く、複数のばね要素(50a〜c)は、環状ロッキング・プレートとそれぞれの軸受との間で、それぞれのターン・スタッドに対して配置されており、且つ、ベース部から離れるようにロッキング・プレートを付勢するように構成されている。
【0019】
アセンブリは、ベース部に固定されたホイスト・ハウジング(16)と、第2の回転部材とホイスト・ハウジングとの間に径方向に配置された第2の軸受(51)とをさらに含んでも良い。第2の回転部材は、第2の軸受を受ける外部ジャーナル(52)を含んでも良い。
【0020】
第1の回転部材(20)及びばね要素(26)は、ベース部(18)とクラッチ・ハウジング・キャップ(19)との間に配置されても良く、クラッチ・ハウジング・キャップは、内面(55)を有しても良く、第1の回転部材は、クラッチ・ハウジング・キャップの内面に対向する面(53)を有しても良く、ばね要素は、クラッチ・ハウジング・キャップの内面と、クラッチ・ハウジング・キャップの内面に対向する第1の回転部材の面との間で作用することが可能であり、クラッチ・ハウジング・キャップ及び第1の回転部材は、第1の回転部材に対するクラッチ・ハウジング・キャップの軸線方向運動が、ばね要素の付勢を調整するように構成されても良い。ギヤ駆動装置は、クラッチ・ハウジング・キャップの外側に配置されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】改善されたクラッチの実施例の平面図である。
図2図1に示すクラッチの部分正面図である。
図3図1の線A−Aで全体的に切った、図1に示すクラッチの垂直断面図である。
図4図1の線B−Bで全体的に切った、図1に示すクラッチの垂直断面図である。
図5図1の線C−Cで全体的に切った、図1に示すクラッチの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
最初に、同様の参照番号が、幾つもの図面を通して一貫して同じ構造要素、部分又は面を特定するよう意図されることが明瞭に理解されるべきである。なぜならば、そのような要素、部分又は面は、この詳細な記載がその一部である、明細書全体によってさらに記載又は説明され得るからである。別段の指示がない限り、図面は、明細書と一緒に読まれ(例えば、クロスハッチング、部品の配列、比率、度等)、且つ本発明の明細書全体の一部とみなされることが意図される。以下の記載で使用される場合、用語「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、及び「下」、並びにその形容詞及び副詞的派生語(例えば、「水平に」、「右側に」、「上方に」等)は、特定の図面が読者の方へ向く際に、例示された構造の配向を指すに過ぎない。同様に、用語「内側に」及び「外側に」は、必要に応じてその伸長軸線、又は回転軸線に対する面の配向を一般に指す。
【0023】
ここで図面を、より具体的にはその図1図3を参照すると、改善されたクラッチ・アセンブリが与えられ、その実施例は、全体的に15で示されている。アセンブリ15は、ホイスト・ハウジング16に固定されたベース・プレート18と、クラッチ・ハウジング・キャップ19と、ベース・プレート18とクラッチ・ハウジング・キャップ19との間で作用するウォーム駆動装置28と、駆動ハブ20と、被駆動ハブ21と、クラッチ・ハウジング・キャップ19と駆動ハブ20との間で作用するばね26とを一般に含む。クラッチ・アセンブリ15は、クラッチ15の内部ばね26及びばね力が、ウォーム駆動装置28を介して外部から調節又は調整できるように構成及び配設され、それによりカバー又は構成部品を取り除く必要性をなくす。
【0024】
図2図5に示すように、クラッチ・ハウジング・キャップ19は、クラッチ軸線22とも呼ばれるx−x軸線の周りに配向され、且つ上部に円筒形開口部68を有する、概して釣り鐘状の構造である。図4を参照すると、ハウジング・キャップ19は、内向き垂直円筒面54、下向き水平環状面55、内向き垂直円筒面56、下向き水平環状面57、内向き垂直円筒面58、下向き水平環状面59、内及び下向き円形円錐台形面60、内向き垂直円筒面61、下向き水平環状面62、外向き垂直円筒面63、外及び上向き円錐台形面64、外及び上向き第2の円錐台形面65、並びに、その内縁端部で面54の上縁端部に連結される上向き水平環状面66によって、全体的に境界を定められている。
【0025】
面54は、キャップ・ハウジング19の上部で開口部68を画定する。面55及び56は、環状ばねシート36を画定する。外向き垂直円筒面63の底部43は、ネジ付きである。ハウジング・キャップ19は、同軸ばねカップ38と、軸受39と、ブッシング40と、ばね26と、駆動ハブ20とを含む。
【0026】
示されているように、ばねカップ38は、クラッチ軸線22の周りに配向された概してリング状の環状構造であり、且つ、ばね26の一端を受ける、内及び上向き環状シート69と、外部円筒面とを有する。軸受39は、クラッチ軸線22の周りに配向された概してリング状の環状構造であり、且つ、外部円筒面と、内部円筒面とを有する。ブッシング40は、クラッチ軸線22の周りに配向された概して細長いリング状の環状構造であり、且つ、外部円筒面と、内部円筒面とを有する。
【0027】
この実施例において、ばね26は、クラッチ軸線22の周りに配向された円筒形圧縮ばねである。示されているように、ばね26は、上端部において、ハウジング・キャップ19内のシート36によって、且つ、下端部において、ばねカップ38内のシート69によって、クラッチ軸線22の周りに径方向に保持されている。ばね26は、ハウジング・キャップ19内のシート36とばねカップ38内のシート69との間で、軸線方向に直接的に圧縮されている。
【0028】
ブッシング40の外部円筒面は、ハウジング・キャップ19の内面58に取り付けられている。示されているように、軸受39及びばねカップ38の両方とも、ブッシング40によってクラッチ軸線22の周りに径方向に保持され、且つ、ブッシング40と軸線方向に摺動自在な係合をしており、それらが、ばね26の圧縮力に応じてクラッチ軸線22に沿って軸線方向に動けるようになっている。したがって、ブッシング40は、ばねカップ38及び軸受39の外部円筒面と、ハウジング・キャップ19の内部円筒面58との間に延在している。軸受39は、ばねカップ38と駆動ハブ20の環状シート53との間に軸線方向に挟まれている。
【0029】
示されているように、駆動ハブ20は、クラッチ軸線22の周りに配向された概してリング状の環状構造である。駆動ハブ20の内部円筒面は、スプラインが付されており、且つ、回転係合のためにモータ・シャフトの対応するスプラインが付された端部を受けるように構成されたボアを形成している。したがって、モータ・シャフトが、ハウジング・キャップ19内で開口部68を通って延在し、且つ、駆動ハブ20のスプラインが付されたボアに係合するとき、クラッチ軸線22の周りのモータ・シャフトの回転は、クラッチ軸線22の周りの駆動ハブ20の対応する回転を引き起こす。
【0030】
示されているように、被駆動ハブ21は、クラッチ軸線22の周りに配向された概して円筒形の環状構造である。また、被駆動ハブ21は、内部円筒面を有しており、内部円筒面は、スプラインが付されており、且つ、回転係合のために駆動シャフトの対応するスプラインが付された端部を受けるように構成されたボアを形成している。したがって、駆動シャフトが、被駆動ハブ21のスプラインが付されたボアに係合するとき、クラッチ軸線22の周りの被駆動ハブ21の回転は、クラッチ軸線22の周りのその駆動シャフトの対応する回転を引き起こす。
【0031】
示されているように、この実施例において、駆動ハブ20は、示されているように駆動ハブ20に結合された従来の環状の非金属複合摩擦ライナ35を含む。摩擦ライナ35は、それぞれ駆動ハブ20及び被駆動ハブ21の対向するトルク伝達面23及び24の間に所望の接触面積を提供する。この実施例において、ライナ35は、駆動ハブ20に結合されているが、その代わりに、ライナ35は、自由浮動するか、又は被駆動ハブ21に結合されても良い。摩擦ライナ35は、接触面積の大きさ、形状及び場所、並びに、駆動ハブ20のトルク伝達面23と被駆動ハブ21のトルク伝達面24との間でのスリップ・ジョイント25において結果として生じたトルクを制御する形状を備えても良い。例えば、摩擦ライナ35は、テーパーが付けられても良い。
【0032】
示されているように、駆動ハブ20は、環状レッジ、ジャーナル、又はシート53を含み、その中に軸受39が位置決めされている。軸受39の内向き垂直円筒面は、駆動ハブ20のシート53の外部円筒面に当接するように構成され、軸受39の外部円筒面は、ブッシング40の内部円筒面に当接するように構成されている。したがって、軸受39は、ハウジング・キャップ19及びベース・プレート18に対して、クラッチ軸線22の周りで、駆動ハブ20が回転することを可能にする。
【0033】
示されているように、軸受51は、クラッチ軸線22の周りに配向された概してリング状の環状構造である。示されているように、軸受51は、ホイスト・ハウジング16の内部円筒面によってクラッチ軸線22の周りで径方向に保持されており、ホイスト・ハウジング16は、ベース・プレート18に対して固定されている。被駆動ハブ21は、環状レッジ、ジャーナル、又はシート52を含み、その中に軸受51が位置決めされている。軸受51のこの内向き垂直円筒面は、被駆動ハブ21のシート52の外部円筒面に当接するように構成され、軸受51の外部円筒面は、ホイスト・ハウジング16の内部円筒面に当接するように構成されている。したがって、軸受51は、被駆動ハブ21を適切な径方向及び軸線方向アライメントに保持しながら、ホイスト・ハウジング16及びベース・プレート18に対して、クラッチ軸線22の周りで、被駆動ハブ21が回転することを可能にする。
【0034】
示されているように、ばね26は、一方の側でハウジング・キャップ19の面55に当接し、他方の側でばねカップ38のシート69の対向面に当接する。動作時に、ばね26は、ばねカップ38を軸線方向に押し、そして、ばねカップ38が軸受39を軸線方向に押すことを引き起こし、そして、軸受39が駆動ハブ20を軸線方向に押すことを引き起こす。そして、このことは、駆動ハブ20及び摩擦ライナ35が被駆動ハブ21を軸線方向に押すことを引き起こす。このことは、被駆動ハブ21が、スリップ・ジョイント25での接触摩擦により、駆動ハブ20と一緒に回転することを促す。しかし、駆動トルクが摩擦トルクを超えるときには、被駆動ハブ21が、駆動ハブ20に対して滑り、駆動シャフトは、もはやモータ・シャフトと同じ速度では回転しないことになる。
【0035】
一般的に、ウォーム装置28は、従来のタイプのウォーム・ギヤ29と螺合された従来のタイプのウォーム30を含む。図1に示されているように、ウォーム・シャフト30は、軸線31の周りに配向された概して円筒形の構造であり、且つ、軸線31の周りに回転するように構成されている。シャフト30は、軸線31に沿って動かないように軸線方向に固定されている。シャフト30は、調整部32と、ネジ部42とを含む。調整部32は、ハウジング・キャップ19の外部に置かれ、且つ、凹部33を一端に含み、凹部33は、軸線31の周りの調整トルクをシャフト30に選択的に加える工具を受けるように構成されている。この実施例において、凹部33は、六角形であり、六角レンチを受けるように構成されているが、トルクを選択的に加える他の機構又は構成が使用され、それによって、シャフト30を軸線31の周りで回転させることができるということが予期される。シャフト30は、浅い螺旋状ネジを有する第2の中央部42を含み、浅い螺旋状ネジは、交差しない垂直軸線の構成で、ウォーム・ギヤ29に係合する。
【0036】
ウォーム・ギヤ29は、クラッチ軸線22の周りに配向されたリング状の環状構造であり、且つ、クラッチ軸線22の周りで回転するように動作可能に構成されている。示されているように、ウォーム・ギヤ29は、外部軸受49a〜c上でクラッチ軸線22の周りを回転するように構成され、また、クラッチ軸線22と実質的に平行に配向された、円周方向に間隔を置いて配置された外側に突き出す複数の歯41を有する外部中央円筒面を含む。軸受49a〜cは、ウォーム・ギヤ29の外部円筒縁部を回転自在に支える上部及び下部円筒部を有し、ウォーム・ギヤ29の外部円筒面の中央が、ホイールの歯41を有する。
【0037】
ウォーム・ギヤ29は、その内部円筒面に内部ネジ部44も含み、部分44は、ハウジング・キャップ19の外部円筒面63のネジ部43と係合する。ウォーム・ギヤ29の内部円筒部44と、ハウジング・キャップ19の対向する外部円筒部43との相対的なネジは、クラッチ軸線22の周りで螺旋状になっており、クラッチ軸線22の周りのウォーム・ギヤ29の相対回転は、クラッチ軸線22に沿ったハウジング・キャップ19の軸線方向運動を引き起こす。
【0038】
ロッキング・リング又はプレート34は、クラッチ軸線22の周りに配向された概してリング状の環状構造であり、且つ、クラッチ軸線22に対してハウジング・キャップ19の径方向外側又は外部に位置決めされている。ロッキング・プレート34は、それぞれ軸受49a〜cを回転自在に支持する円周方向に間隔を置いて配置された3つのターン・スタッド48a〜cによってベース・プレート18に固定されている。軸受49a〜cは、クラッチ軸線22上で駆動ハブ20、被駆動ハブ21、及びハウジング・キャップ19と同軸にウォーム・ギヤ29を保つ。波形ばね50a〜cは、プレート34の底部とそれぞれ軸受49a〜cとの間でターン・スタッド48a〜c上に位置決めされ、且つ、ロッキング・プレート34をベース・プレート18から離れるように付勢する。Eクリップ70a〜cは、ロッキング・プレート34をそれぞれターン・スタッド48a〜cの端部に固着する。
【0039】
示されているように、ベース・プレート18は、クラッチ軸線22の周りに配向された概してリング状の環状構造である。ベース・プレート18は、ボルト71a〜dによってホイスト・ハウジング16にボルト締めされている。したがって、ベース・プレート18及びホイスト・ハウジング16は、互いに対して固定されている。被駆動ハブ21及びベース・プレート18は、同様に互いに対して軸線方向に固定されている。
【0040】
図1及び図2に示されているように、ロッキング・プレート34は、円周方向に間隔を置いて配置された径方向内部に延在する3つの突起45a〜cを内部円筒面に有する。ハウジング・キャップ19の外面63は、軸線方向に延在する3つの溝46a〜cを含み、軸線方向に延在する3つの溝46a〜cは、それぞれ、ロッキング・プレート34の突起45a〜cに対応しており、それを受ける。突起45a〜cが、クラッチ軸線22に対するハウジング・キャップ19の軸線方向運動を伴って、溝46a〜c内を軸線方向に摺動できるように、突起45a〜cは、溝46a〜cとともに構成されている。しかし、突起45a〜cは、クラッチ軸線22の周りでのハウジング・キャップ19の回転運動を抑制するように、それぞれ、溝46a〜c内に嵌合している。したがって、クラッチ・ハウジング・キャップ19は、ベース・プレート18及びホイスト・ハウジング16に対してクラッチ軸線22に沿って軸線方向に可動であり、且つベース・プレート18及びホイスト・ハウジング16に対して回転方向に抑制される。ロッキング・プレート34に起因して、ハウジング・キャップ19は、ベース・プレート18に対する回転運動を抑えられている。
【0041】
示されているように、動作時に、軸線31の周りでのシャフト30の回転は、ウォーム・ギヤ29の回転を引き起こし、軸線31の周りでのシャフト30の回転は、シャフト30の端部で六角凹部33に挿入された六角レンチによって外部から実行できる。ウォーム・ギヤ29の内部円筒面のネジ部44と、ハウジング・キャップ19の外部円筒面63の重複するネジ部43との間のネジ接続に起因して、クラッチ軸線22の周りでのウォーム・ギヤ29の回転は、ベース・プレート18に対するハウジング・キャップ19の軸線方向運動を引き起こす。クラッチ軸線22の周りでのそのような時計回りの方向の運動は、駆動ハブ20に対するばね26の圧力を増加させ、また、そのような反時計回りの方向の運動は、駆動ハブ20に対するばね圧力及びばね26の付勢を減少させる。このことは、ばね26のばね付勢を外部から所望の通りに調整できるようにする。したがって、時計回りの方向のキャップ・ハウジング19の外部でのウォーム・シャフト30の回転は、キャップ・ハウジング19内のばね圧力を増加させ、また、反時計回りの方向の外部のウォーム・シャフト30の回転は、キャップ・ハウジング19内のばね圧力を減少させる。したがって、例えば時間の経過に伴い、ばね26がその弾性を失うか、又は、クラッチ15のライナ若しくはハブ境界面のいずれが摩耗した場合には、ウォーム・シャフト30は、キャップ・ハウジング19内部のばね26の所望の付勢を維持するために、外部から調整できる。この調整は、ハウジング19及び/又はハウジング16を取り除く必要なしに行える。その上、ウォーム・ギヤ29は、容易に緩められず、したがって、クラッチ15のばね調整をロックする別個の機構が必要ない。
【0042】
単一の駆動ハブ20及び被駆動ハブ21が、示され且つ記載されているが、複数の圧力プレート及び摩擦ハブが、トルク伝達を所望の通りに調整するために使用できる。さらに、ばね26は、示され且つ記載されたばねカップ38及び軸受39よりも多い又は少ない要素によって、クラッチ・ハウジング・キャップ19及び駆動ハブ20から分離できる。そのような場合に、ばね26は、駆動ハブ20及び被駆動ハブ21に対して依然としてばね力を及ぼせるので、クラッチ・ハウジング・キャップ19と駆動ハブ20との間に軸線方向に依然として配置でき、且つ、そのばね力は、被駆動ハブ21に対するハウジング・キャップ19の軸線方向運動によって調整できる。
【0043】
本発明は、多くの変更及び修正がなされ得ることを予期する。したがって、外部から調整可能なクラッチ・アセンブリの現在の好ましい形を示し且つ記載し、且つ幾つもの修正及び代替案を論じたが、当業者は、種々の追加の変更及び修正が、以下の請求項によって定義され且つ識別されているような本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることを容易に認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5