特許第6232166号(P6232166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6232166
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】占有監視
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/20 20170101AFI20171106BHJP
【FI】
   G06T7/20 300Z
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-513136(P2017-513136)
(86)(22)【出願日】2016年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2016067851
(87)【国際公開番号】WO2017025326
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】15180329.3
(32)【優先日】2015年8月10日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ロック,ムクル ユリウス
(72)【発明者】
【氏名】キレンコ,イホール オレホヴィッチ
【審査官】 佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−530890(JP,A)
【文献】 特開2014−166197(JP,A)
【文献】 特表2006−513504(JP,A)
【文献】 特開2008−206868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具を占有している対象を監視する装置であって、
家具の可動部分へ固定して取り付けられるプロジェクタであり、前記可動部分は、その位置及び/又は向きを、前記家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成され、前記プロジェクタは、前記表面上にパターンを投影するよう構成される、前記プロジェクタと、
前記表面の連続した画像を捕捉するよう構成される少なくとも1つのカメラと、
前記少なくとも1つのカメラから前記画像を受け取り、該受け取られた画像において前記投影されたパターンを検出し、前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、該判定に基づき信号を出力するよう構成されるプロセッシングユニットと
を有する装置。
【請求項2】
家具の可動部分へ固定して取り付けられる更なるプロジェクタを更に有し、前記可動部分は、その位置及び/又は向きを、前記家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成され、前記更なるプロジェクタは、前記表面上にパターンを投影するよう構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロジェクタ及び前記更なるプロジェクタは両方とも、家具の同じ可動部分へ固定して取り付けられ、前記プロジェクタは、第1の領域上に投影するよう構成され、前記更なるプロジェクタは、第2の領域上に投影するよう構成され、
前記少なくとも1つのカメラは、連続した画像を捕捉するよう構成され、該連続した画像の夫々は、前記第1の領域及び前記第2の領域を含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記家具の両側に位置する、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記プロジェクタは、第1の家具に取り付けられ、第1の領域上に第1のパターンを投影するよう構成され、前記更なるプロジェクタは、第2の家具に取り付けられ、第2の領域上に第2のパターンを投影するよう構成され、
前記少なくとも1つのカメラは、連続した画像を捕捉するよう構成され、該連続した画像の夫々は、前記第1の領域及び前記第2の領域を含み、
前記プロセッシングユニットは、
前記受け取られた画像において前記第1の投影されたパターン及び前記第2の投影されたパターンを検出し、
前記第1の投影されたパターンを前記第1の家具と関連付け、前記第2の投影されたパターンを前記第2の家具と関連付け、
前記受け取られた画像において、前記第1の投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、前記第2の投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、
前記第1の投影されたパターンの少なくとも1つの特徴への前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、前記第2の投影されたパターンの少なくとも1つの特徴への前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、
前記判定に基づき信号を出力する
よう構成され、
前記出力された信号は、前記第1の家具及び/又は前記第2の家具を識別する情報を含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記プロジェクタは、第1の位置で家具に取り付けられ、前記更なるプロジェクタは、前記第1の位置から空間的に離れている第2の位置で同じ家具に取り付けられ、
前記プロジェクタは、第1の領域上に投影するよう構成され、前記更なるプロジェクタは、第2の領域上に投影するよう構成され、
前記少なくとも1つのカメラは、連続した画像を捕捉するよう構成され、該連続した画像の夫々は、前記第1の領域及び前記第2の領域を含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の領域は、前記第1の領域と同じであり、前記プロジェクタは、第1の部分パターンを投影するよう構成され、前記更なるプロジェクタは、第2の部分パターンを投影するよう構成され、それにより、前記第1の部分パターン及び前記第2の部分パターンを有する結合パターンが前記第1の領域上に投影される、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッシングユニットは、
前記プロジェクタの動きに関連した第1の変化を検出し、
前記更なるプロジェクタの動きに関連した第2の変化を検出し、
前記検出された第1の変化及び前記検出された第2の変化に基づき対象の動きに関する空間情報を決定する
ことによって、前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出するよう構成される、
請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッシングユニットは、第1の時点で取得された第1の画像を、後の第2の時点で取得された第2の画像と比較することによって、前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出するよう構成され、
前記比較することは、
前記第1の画像に基づき前記少なくとも1つの特徴に関する第1の値を決定し、
前記第2の画像に基づき前記少なくとも1つの特徴に関する第2の値を決定し、
前記少なくとも1つの特徴についての変化値を計算する
ことを有し、
前記変化値は、前記第1の決定された値と前記第2の決定された値との間の差を有し、
前記少なくとも1つの予め定義された基準は、最小変化閾値を有する、
請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッシングユニットは、変化信号を生成することによって、前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出するよう構成され、前記変化信号は、計算された変化値の時系列に、あるいは、決定された第1及び/又は第2の値の時系列に基づき、前記少なくとも1つの予め定義された基準は、変化信号の特徴に関する少なくとも1つの条件を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの基準は、動きタイプに対応する予め定義された変化シグニチャを有し、前記プロセッシングユニットは、前記検出された変化が前記変化シグニチャと適合するかどうかを判定することによって、前記検出された変化が対象退場イベントの前記少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定するよう構成される、
請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記プロジェクタは、近赤外光を投影するよう構成され、前記カメラは、近赤外光を検出するよう構成される、
請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
家具を占有している対象を監視するシステムであって、
可動部分を有する家具であり、前記可動部分は、その位置及び/又は向きを、前記家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成される、前記家具と、
前記家具の前記可動部分へ固定して取り付けられ、前記表面上にパターンを投影するよう構成されるプロジェクタと、
前記表面の連続した画像を捕捉するよう構成されるカメラと、
前記カメラから前記画像を受け取り、該受け取られた画像において前記投影されたパターンを検出し、前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、該判定に基づき信号を出力するよう構成されるプロセッシングユニットと
を有するシステム。
【請求項14】
前記可動部分は、患者支持側の反対にある前記家具の側に関連し、それにより、前記プロジェクタは、前記家具の患者支持面の真下に位置する、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
家具を占有している対象を監視する方法であって、
表面の連続した画像を受け、該画像の夫々は、家具の可動部分に固定して取り付けられるプロジェクタによって前記表面上に投影されたパターンを含み、前記可動部分は、その位置及び/又は向きを、前記家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成され、
前記受け取られた画像において前記投影されたパターンを検出し、
前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、
前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの定義された基準を満足するかどうかを判定し、
前記判定に基づき信号を出力する
ことを有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象が家具から立ち去った場合を検出することを含め、家具を占有している対象を監視する装置、システム及び方法に関係がある。
【背景技術】
【0002】
対象の動き及び/又は位置を検出することは、いくつかのヘルスケア用途において重要である。例えば、病院のベッドにいる患者がある方法において動かないようにすることが、しばしば望まれる。投薬、記憶障害、老齢、及び/又は他の能力的な障害の結果として、支援なしで自身のベッドから出ようとする患者は、しばしば落下し、負傷する。助けのない患者の動きも、その患者に取り付けられている医療機器が外れて適切に機能しなくなることを生じさせうる。
【0003】
しかし、臨床的支援なしでベッドから下りるべきでない患者の監視は、病院スタッフの相当の負担となりうる。
【0004】
ベッド占有検出のために使用されている多くの現在の方法は、ベッドに向けられたカメラを利用する。いくつかの例において、人(例えば、医療専門家)は、カメラから供給される画像を常に監視しなければならない。米国特許出願公開第2009/0278934号明細書(特許文献1)で記載されているシステムのような、他の例では、ベッドから出るイベントを検出するために自動画像解析が使用されるが、これは、ベッドの境界を検出し、対象の動きを分類する複雑なアルゴリズムを必要とする。そのようなアルゴリズムは、対象の動き以外の他の動き(例えば、ブランケットがベッドから落下すること)によって混乱することがあり、対象がベッドから出ようとしていない場合に誤警報が引き起こされうる。また、自動化されたカメラに基づくシステムは、カメラ及びベッドの相対位置が変化するたびに再較正することを必要とし、そのような再較正が実施されない場合に信頼できなくなる。
【0005】
従って、医療スタッフからの最低限の入力により、病院のベッド及び/又は他の家具を占有している対象を確実に監視して、対象がベッド又は他の家具から出ようとしている場合を検出することができるシステムの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0278934号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様に従って、家具を占有している対象を監視する装置が提供される。当該装置は、家具の可動部分へ固定して取り付けられるプロジェクタを有する。前記可動部分は、その位置及び/又は向きを、前記家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成される。前記プロジェクタは、前記表面上にパターンを投影するよう構成される。当該装置は、前記表面の連続した画像を捕捉するよう構成される少なくとも1つのカメラと、プロセッシングユニットとを更に有する。前記プロセッシングユニットは、前記少なくとも1つのカメラから前記画像を受け取り、該受け取られた画像において前記投影されたパターンを検出し、前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、該判定に基づき信号を出力するよう構成される。
【0008】
いくつかの実施形態に従って、当該装置は、家具の可動部分へ固定して取り付けられる更なるプロジェクタを更に有し、前記可動部分は、その位置及び/又は向きを、前記家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成され、前記更なるプロジェクタは、前記表面上にパターンを投影するよう構成される。いくつかのそのような実施形態において、前記プロジェクタ及び前記更なるプロジェクタは両方とも、家具の同じ可動部分へ固定して取り付けられ、前記プロジェクタは、第1の領域上に投影するよう構成され、前記更なるプロジェクタは、第2の領域上に投影するよう構成される。いくつかのそのような実施形態において、前記少なくとも1つのカメラは、連続した画像を捕捉するよう構成され、該連続した画像の夫々は、前記第1の領域及び前記第2の領域を含む。いくつかの実施形態において、前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記家具の両側に位置する。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記プロジェクタは、第1の家具に取り付けられ、第1の領域上に第1のパターンを投影するよう構成され、前記更なるプロジェクタは、第2の家具に取り付けられ、第2の領域上に第2のパターンを投影するよう構成される。いくつかのそのような実施形態において、前記少なくとも1つのカメラは、連続した画像を捕捉するよう構成され、該連続した画像の夫々は、前記第1の領域及び前記第2の領域を含む。いくつかのそのような実施形態において、前記プロセッシングユニットは、前記受け取られた画像において前記第1の投影されたパターン及び前記第2の投影されたパターンを検出し、前記第1の投影されたパターンを前記第1の家具と関連付け、前記第2の投影されたパターンを前記第2の家具と関連付け、前記受け取られた画像において、前記第1の投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、前記第2の投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、前記第1の投影されたパターンの少なくとも1つの特徴への前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、前記第2の投影されたパターンの少なくとも1つの特徴への前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、前記判定に基づき信号を出力するよう構成され、前記出力された信号は、前記第1の家具及び/又は前記第2の家具を識別する情報を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記プロジェクタは、第1の位置で家具に取り付けられ、前記更なるプロジェクタは、前記第1の位置から空間的に離れている第2の位置で同じ家具に取り付けられる。いくつかのそのような実施形態において、前記プロジェクタは、第1の領域上に投影するよう構成され、前記更なるプロジェクタは、第2の領域上に投影するよう構成される。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つのカメラは、連続した画像を捕捉するよう構成され、該連続した画像の夫々は、前記第1の領域及び前記第2の領域を含む。いくつかの実施形態において、前記第2の領域は、前記第1の領域と同じであり、前記プロジェクタは、第1の部分パターンを投影するよう構成され、前記更なるプロジェクタは、第2の部分パターンを投影するよう構成され、それにより、前記第1の部分パターン及び前記第2の部分パターンを有する結合パターンが前記第1の領域上に投影される。いくつかの実施形態において、前記プロセッシングユニットは、前記プロジェクタの動きに関連した第1の変化を検出し、前記更なるプロジェクタの動きに関連した第2の変化を検出し、前記検出された第1の変化及び前記検出された第2の変化に基づき対象の動きに関する空間情報を決定することによって、前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出するよう構成される。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記プロセッシングユニットは、第1の時点で取得された第1の画像を、後の第2の時点で取得された第2の画像と比較することによって、前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出するよう構成される。いくつかのそのような実施形態において、前記比較することは、前記第1の画像に基づき前記少なくとも1つの特徴に関する第1の値を決定し、前記第2の画像に基づき前記少なくとも1つの特徴に関する第2の値を決定し、前記少なくとも1つの特徴についての変化値を計算することを有する。いくつかの実施形態において、前記変化値は、前記第1の決定された値と前記第2の決定された値との間の差を有する。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの予め定義された基準は、最小変化閾値を有する。いくつかの実施形態において、前記プロセッシングユニットは、変化信号を生成することによって、前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出するよう構成される。いくつかの実施形態において、前記変化信号は、計算された変化値の時系列に、あるいは、決定された第1及び/又は第2の値の時系列に基づく。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの予め定義された基準は、変化信号の特徴に関する少なくとも1つの条件を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの基準は、動きタイプに対応する予め定義された変化シグニチャを有する。いくつかのそのような実施形態において、前記プロセッシングユニットは、前記検出された変化が前記変化シグニチャと適合するかどうかを判定することによって、前記検出された変化が対象退場イベントの前記少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定するよう構成される。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記プロジェクタは、近赤外光を投影するよう構成され、前記カメラは、近赤外光を検出するよう構成される。
【0014】
本発明の第2の態様に従って、家具を占有している対象を監視するシステムが更に提供される。当該システムは、可動部分を有する家具を有し、前記可動部分は、その位置及び/又は向きを、前記家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成される。当該システムは、前記家具の前記可動部分へ固定して取り付けられるプロジェクタを更に有し、該プロジェクタは、前記表面上にパターンを投影するよう構成される。当該システムは、前記表面の連続した画像を捕捉するよう構成されるカメラと、プロセッシングユニットとを更に有する。前記プロセッシングユニットは、前記カメラから前記画像を受け取り、該受け取られた画像において前記投影されたパターンを検出し、前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、該判定に基づき信号を出力するよう構成される。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記可動部分は、患者支持側の反対にある前記家具の側に関連し、それにより、前記プロジェクタは、前記家具の患者支持面の真下に位置する。
【0016】
本発明の第3の態様に従って、家具を占有している対象を監視する方法が更に提供される。当該方法は、
表面の連続した画像を受け、該画像の夫々は、家具の可動部分に固定して取り付けられるプロジェクタによって前記表面上に投影されたパターンを含み、前記可動部分は、その位置及び/又は向きを、前記家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成され、
前記受け取られた画像において前記投影されたパターンを検出し、
前記受け取られた画像において前記投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、
前記検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの定義された基準を満足するかどうかを判定し、
前記判定に基づき信号を出力する
ことを有する。
【0017】
このように、本発明の実施形態は、有利なことに、医療スタッフからの継続的な入力を必要とせずに、家具を占有している対象の動きを確実に且つ邪魔にならずに監視することができるシステムを提供する。このようにして、ベッド(又は他の家具)から出るイベントは自動的に検出可能であり、医療スタッフの監視負担を相当に減らすことができる。更には、ベッドにおける対象の身体動作のレベルは、センサが患者に取り付けられる必要なしに、且つ、医療スタッフの関与なしで、連続的に且つ邪魔にならずに監視され得る。このようにして、様々な生理学的測定(例えば、睡眠品質、下肢情動不安(leg restlessness))は効果的に且つ都合良く監視され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のより良い理解のために、且つ、それが如何にして実施されるかをより明らかに示すよう、これより、一例として、添付の図面が参照される。
図1】本発明の一般的な実施形態に従って、対象が家具から立ち去った場合を検出する装置の説明図である。
図2a】可撓性のベッドベースに第1の角度で取り付けられた、図1の装置のプロジェクタを示す。
図2b】可撓性のベッドベースに第2の角度で取り付けられた、図2aのプロジェクタを示す。
図3】ベッドとともに使用されている図1の装置を示す。
図4a】ベッドとともに使用されている、本発明の実施形態に従う複数のプロジェクタを有する第1の例となる装置を示す。
図4b】ベッドとともに使用されている、本発明の実施形態に従う複数のプロジェクタを有する第2の例となる装置を示す。
図5】ベッドとともに使用されている、本発明の実施形態に従う複数のプロジェクタを有する第3の例となる装置を示す。
図6a】本発明の実施形態における使用に適した第1の例となるパターンである。
図6b】本発明の実施形態における使用に適した第2の例となるパターンである。
図6c】本発明の実施形態における使用に適した第3の例となるパターンである。
図7】2つのベッドとともに使用されている、本発明の実施形態に従う複数のプロジェクタを有する第4の例となる装置を示す。
図8】本発明の一般的な実施形態に従って、対象が家具から立ち去った場合を検出する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一般的な実施形態に従って、対象が家具(an item of furniture)から立ち去った場合を検出する装置10を示す。装置は、プロジェクタ11、カメラ12、及びプロセッシングユニット13を有する。
【0020】
語「プロセッシングユニット」は、処理するためのエンティティ又はシステム、例えば、信号若しくはデータに応答して処理するもの、及び/又は自動的に処理するもの、を指すために、本願で使用される。プロセッシングユニットは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラム可能なデジタル信号プロセッサ、集積回路、コンピュータソフトウェア、コンピュータハードウェア、電気回路、特定用途向け集積回路、プログラム可能なロジックデバイス、プログラム可能なゲートアレイ、プログラム可能なアレイロジック、パーソナルコンピュータ、チップ、及びディスクリートのアナログ、デジタル若しくはプログラム可能なコンポーネントのあらゆる他の組み合わせ、又はプロセッシング機能を提供することが可能な他のデバイスを包含すると理解されるべきである。
【0021】
プロジェクタ11は、家具(例えば、可撓性のベッド又は椅子のベース)の可動部分への固定取り付けのために構成される。可動部分は、その位置及び向きを、家具を占有している対象の動きに応答して、表面(例えば、家具がある床、又は家具の近くの壁)に対して変えるよう構成される。いくつかの実施形態において、装置10は、複数のプロジェクタを有する。いくつかのそのような実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、家具がある面の異なる領域、又は家具に近い別の面の上に投影するよう構成され得る。いくつかの実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、異なる家具に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、同じ家具の異なる可動部分に取り付けられ得る。
【0022】
語「固定取り付け」、「固定して取り付けられる」、及び「固定される」は、堅固に固定された取り付け、例えば、ネジ又はナット及びボルトのような金属製留め具の使用によって一般に達成されるようなもの、を指すために、本願で使用される。
【0023】
プロジェクタ11は、表面上にパターン14を投影するよう構成される。プロジェクタ11は照射源を有する。いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、プロジェクタによって発せられた略全ての光が予め定義された範囲内の波長を有するように構成される。望ましくは、プロジェクタ11は、装置が使用されるべきである位置にある他の光源が有意な量の光を発しないか、又は光源11によって発せられるその波長での光の強度に対して高い強度で光を発しない波長で光を発するよう構成される。有利なことに、他の光源が多くの光を発さないか、又は低い強度でしか発しない波長を使用することは、その波長で光を優先的に検出するよう構成されるカメラによって捕捉された画像においてパターンが高コントラストのオブジェクトとして現れることを確かにする。いくつかのそのような実施形態において、プロジェクタ11は、予め定義された範囲内の波長を有する光の通過を許すよう構成される光学フィルタを有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、照射源は、近赤外線(IR;infrared)光を発する。有利なことに、パターン14を投影するために近IR光を使用するプロジェクタは、患者又は病院スタッフへの視覚妨害を防ぐことができる。いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、投影されたパターンが家具の可動部分の動きを増幅するように、言い換えれば、可動部分の(よって、プロジェクタの)小さな動きがより大きい変化を投影されたパターン14に引き起こすように、構成される。プロジェクタの動きの増幅の程度が変更され得る1つの方法は、表面に対してプロジェクタの向き(特に、プロジェクタの照射源の向き)を変えることである。より浅い角度は、図2a及び2bによって示されるように、より高い増幅をもたらす。
【0025】
図2aは、プロジェクタ11が取り付けられる可撓性のベッドベース20の部分に対して第1の角度Φでベッドベース20に固定して取り付けられるプロジェクタ11を示す。プロジェクタ11は、表面22(この例では、ベッドベース20の真下の床)の上にパターンを投影するよう示されている。図2a(i)では、ベッドベース20が含まれているベッドは占有されておらず、それにより、可撓性のベッドベースは、対象の重さによって変形されていない。結果として、プロジェクタ11は、床上の第1の高さaにある。高さaで、プロジェクタによって投影されるパターンの長さは第1の長さxである。図2a(ii)で、ベッドは対象によって占有されており、対象の重さは、可撓性のベッドベース20を床22の方へ変形させる。結果として、プロジェクタ11は、床上の第2の高さbにある。高さbは高さaよりも低い。高さbで、投影されるパターンの長さは第2の長さyである。図2aの部分(i)及び(ii)を比較することによって、パターン長さyはパターン長さxよりも短いことが分かる。よって、パターン長さは、プロジェクタ11と床22との間の距離が短くなるにつれて、短くなる。従って、パターン長さは、床22へ向かう可撓性のベッドベース20の動き及び床22から離れる可撓性のベッドベース20の動きに応答して、そのため、そのような動きを引き起こすベッド上の態様の動きに応答して、変化する。図2aはパターン長さしか示さないが、2Dパターンの場合には、パターン幅も同様に変化することが認識されるだろう。
【0026】
図2bは、プロジェクタ11が、それが取り付けられる可撓性のベッドベース20の部分に対して第2の角度Φでベッドベース20に固定して取り付けられることを除いて、図2aと同じ配置を示す。角度Φは、角度Φよりも小さい。取り付け角度のこの差は、プロジェクタ11によって発せられる光ビームが、図2aにおける状況と比較して、より浅い角度で床22に投射する効果がある。結果として、ベッドが占有されていないときの投影パターンの長さxは、長さxよりも長い。ベッドが占有されているときの投影パターンの長さyは、より小さい量ではあるが、長さyよりもやはり長い。角度Φをより一層小さくすることは、この長さの差を更に大きくする。同じことは、2Dパターンが使用される実施形態におけるパターン幅に当てはまる。このように、表面22へ向かうプロジェクタ11の動き及び表面22から離れるプロジェクタ11の動きは、プロジェクタ11とそれが固定して取り付けられる可動部分(この例では、可撓性ベッドベース20の中央)との間の角度を小さくすることによって、投影パターンにおいて増幅され得る。
【0027】
装置10が複数のプロジェクタを有するいくつかの実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、複数のプロジェクタが空間的に分離されるように、1つの家具の異なる可動部分(又は同じ可動部分の異なる領域)に固定して取り付けられる。いくつかのそのような実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、家具の近くにある異なる面の上に、又は同じ面の異なる領域の上にパターンを投影するよう構成される。いくつかの実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、表面の同じ領域上にパターンを投影するよう構成され、それにより、結果として現れるパターンは、複数のプロジェクタの夫々からの光によって作られる。有利なことに、複数の空間的に分離されたプロジェクタを利用する実施形態は、家具における対象の動きに関する空間情報を提供することができる。
【0028】
例えば、図4aは、1つのそのような実施形態を示す。この実施形態において、第1のプロジェクタ41aは、ベッド40の上端(ヘッドエンド)の真下に位置する可撓性ベッドベースの第1の領域に固定され、第2のプロジェクタ41bは、ベッド40の下端(フットエンド)の真下に位置する可撓性ベッドベースの第2の領域に固定される。この例において、両方のプロジェクタ41a、41bは、ベッドがある床42の同じ領域上に投影するよう位置付けられている。第1のプロジェクタ41aの動きは、ベッドにおける対象の頭、腕、胴の動きから生じ、一方、第2のプロジェクタ41bの動きは、ベッドにおける対象の脚の動きから生じる。そのような実施形態において、投影パターン44は、第1及び第2のプロジェクタの夫々からの動きによって引き起こされるその変形への寄与が、適切なアルゴリズムを用いて、プロセッシングユニット13によって区別され得るように、設計され得る。図4bに示される代替の構成では、プロジェクタ41a、41bの夫々は、床42の異なる領域の上に投影するよう構成され、プロセッシングユニット13は、夫々の受け取られた画像において2つの別々のパターン44a、44bを検出し、それによって、夫々のプロジェクタ41a、41bの動きを区別するよう構成される。このように複数のプロジェクタの使用によって提供される空間情報は、様々な活動タイプ(例えば、座ること、呼吸すること、寝返りを打つこと、落ち着かない脚の動き、など)が識別され区別されることを可能にすることができる。
【0029】
装置10が複数のプロジェクタを有するいくつかの実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、1つの家具の同じ可動部分又は隣接した可動部分に固定して取り付けられる。なお、複数のプロジェクタの夫々は、家具に近い表面の異なる領域、又は家具に近い異なる表面、の上に投影するよう構成される。異なる表面又は表面領域は、家具の異なる側に位置する。いくつかの実施形態において、異なる表面又は表面領域は、家具の両側に位置する。有利なことに、家具の異なる側においてパターンを投影するために複数のプロジェクタを利用する実施形態は、投影パターンのうちの1つの曖昧さ(例えば、パターンが投影されている表面領域上に枕が落ちたことによる)が装置10の動作又は信頼性に影響を及ぼさないので、非常に信頼できる。
【0030】
例えば、図5は、1つのそのような実施形態を示す。この実施形態において、第1のプロジェクタ51aは、ベッド50に対して中心に位置する可撓性ベッドベースの第1の領域に固定され、第2のプロジェクタ51bは、第1のプロジェクタ51aの隣に、同じく第1の領域に固定されるが、第1のプロジェクタ51aとは逆方向に投影するよう位置付けられている。第1のプロジェクタ51aは、ベッド50の第1の長い側に隣接した床52の上にパターン54aを投影し、第2のプロジェクタ51bは、ベッド50の第2の、反対にある長い側に隣接した床52の上にパターン54b(この例では、第1のプロジェクタ51aによって投影されるパターン54aと同じである。)を投影する。ベッド50における対象の動きは、両方のプロジェクタ51a、51bを同じ(又は略同じ)ように動かす。そのような実施形態において、カメラは、両方の投影パターン54a、54bがそのFOV内にあるように位置付けられ、プロセッシングユニット13は、受け取られた画像において2つのパターンを検出するよう構成される。両方のパターンが受け取られた画像において検出可能であるとき、いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、両方のパターンを解析し、ベッドから出るイベントについての少なくとも1つの基準が満足されているかどうかの最終決定を行う際の使用のために結果を結合する。他の実施形態では、両方のパターンが可視的であるとき、プロセッシングユニット13は、パターンの一方のみを解析し、他方のパターンを無視するよう構成される。一方のパターンしか受け取られた画像において検出可能でないとき(例えば、パターンの一方が何らかの理由により不明りょうであるため)、プロセッシングユニット13は、変化を検出し、検出可能なパターンにのみ基づき、ベッドから出るイベントについての少なくとも1つの基準が満足されているかどうかの決定を行う。
【0031】
パターン14は、望ましくは、明確なパターンである。いくつかの実施形態において、パターンは2Dパターンである。パターン14は、パターンの少なくとも1つの特徴が表面に対するプロジェクタ11の位置及び/又は向きの変化に応答して変化するように構成される。プロジェクタの位置及び向きの変化に応答して変化する少なくとも1つの特徴は、パターン長さ、パターン幅、パターン直径、パターン形状、パターンの第1部分とパターンの第2部分との間の距離(例えば、パターンが格子である場合には、第1格子ノードから第2格子ノードまでの距離)、総パターン面積、などのうちの1つ以上を有してよい。いくつかの実施形態において、パターン14は、画像処理アルゴリズムによって周囲表面から容易に分離されるよう構成される。いくつかの実施形態において、パターン14は格子を有する。いくつかの実施形態において、パターン14はバーコードを有する。いくつかの実施形態において、パターン14はQRコード(登録商標)を有する。QRコードは、変化する照射条件及びパターン方向に直面してさえ、容易に利用可能なアルゴリズムにより確実に検出され得る。原理上、変形が容易に検出可能である如何なるパターンも使用され得る。図6a〜6cは、本発明の実施形態によって用いられるのに適したパターンのいくつかの例を示す。図6a、6b及び6cは夫々、格子、QRコード及びバーコードを示す。
【0032】
いくつかの実施形態、例えば、装置10が複数のプロジェクタを有する実施形態において、装置10は、1つ以上の表面上に複数のパターン14を投影するよう構成されてよい。そのような実施形態において、複数のパターンの夫々は同じであってよい。代替的に、複数のパターンのうちの少なくともいくつは、互いと異なってよい。いくつかの実施形態において、複数のパターンの夫々は異なるバーコードを有する。いくつかの実施形態において、複数のパターンの夫々は異なるQRコードを有する。いくつかの実施形態において、一意のパターンが、複数の監視される家具の夫々に関連付けられ、いずれかの所与のプロジェクタによって投影されるパターンは、そのプロジェクタが取り付けられている家具に関連したパターンである。いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、複数の異なるパターンのうちの1つを選択的に投影するよう構成される。複数のプロジェクタ(すなわち、異なる家具に夫々取り付けられている)が夫々異なるパターンを投影する実施形態は、有利なことに、装置10によって監視される夫々の家具の自動識別(例えば、プロセッシングユニット13による)を可能にする。
【0033】
例えば、図7は、1つのそのような実施形態を示す。この実施形態において、第1のプロジェクタ71aは、第1のベッド70aの可撓性ベッドベースに固定され、第2のプロジェクタ71bは、第1のベッドに隣接して位置する第2の別のベッド70bの可撓性ベッドベースに固定される。第1のプロジェクタ71aは、第1のベッド70aの長い側に隣接した床72の上にパターン74aを投影し、第2のプロジェクタ71bは、第2のベッド70bの長い側に隣接した床72の上に異なるパターン74bを投影する。第1のベッド70aにおける対象の動きは、第1のプロジェクタ71aを動かし、第2のベッド70bにおける対象の動きは、第2のプロジェクタ71bを動かす。カメラは、両方の投影パターン74a、74bがそのFOV内にあるように位置付けられ、プロセッシングユニット13は、受け取られた画像において2つのパターンを検出するよう構成される。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、夫々のパターンを別々に且つ同時に解析するよう構成される。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、例えば、第1のパターンと第2のパターンとの間の差に基づき、第1の投影されたパターンを第1の家具と関連付け、第2の投影されたパターンを第2の家具と関連付けるよう構成される。
【0034】
いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、ユーザから入力を受けるユーザインターフェイスを含む。いくつかのそのような実施形態において、ユーザインターフェイスは、オン/オフスイッチを含む。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェイスは、プロジェクタ11によって投影される複数の可能なパターンのうちの1つを選択することをユーザに可能にする機能を含む。いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、例えば、有線又は無線通信リンクを用いて、遠隔のプロセッシングユニットと通信する。いくつかのそのような実施形態において、プロジェクタ11は、遠隔のプロセッシングユニットから制御信号を受信するよう構成される。いくつかの実施形態において、遠隔のプロセッシングユニットは、装置10のプロセッシングユニット13である。
【0035】
カメラ12は、表面の連続した画像を捕捉するよう構成される。カメラ12は、プロジェクタ11によって発せられた光と同じタイプの光を検出するよう構成される。光源によって発せられる略全ての光が予め定義された範囲内の波長を有するようにプロジェクタ11が構成される実施形態において(例えば、プロジェクタが光学フィルタを有することによる)、少なくとも1つのカメラは、その予め定義された範囲内の波長を有する光を検出するよう構成される。いくつかのそのような実施形態において、カメラ12は、予め定義された範囲内の波長を有する光の通過を許し、予め定義された範囲の外の波長を有する光の通過を遮るよう構成される光学フィルタを有する。
【0036】
例えば、プロジェクタ11が近IR光を発するよう構成される実施形態において、カメラ12は、近IR光を検出し、検出された近IR光に基づき画像を生成するよう構成される。いくつかの実施形態において、カメラ12は2Dカメラである。いくつかの実施形態において、カメラ12は広角カメラである。いくつかの実施形態において、装置10は、複数のカメラを有し、その場合に、夫々のカメラからの画像は、パターン検出などのために解析される前に、単一の大きい画像を生成するよう、プロセッシングユニット13によってつなぎ合わされてよい。カメラ12は、図1において破線によって表される視野(FOV;field of view)を有する。FOVは、望ましくは、プロジェクタ11及びカメラ12が使用のために位置付けられるときに投影パターン14を取り囲むほど十分に幅広い。
【0037】
プロセッシングユニット13は、例えば、通信リンク15を介して、カメラ12から画像を受けるよう構成される。通信リンク15は有線又は無線であってよい。プロセッシングユニット13は、受け取られた画像において投影パターン14を検出するよう更に構成される。プロセッシングユニット13は、投影パターン14を検出するよう、当該技術で知られている如何なる適切なパターン検出アルゴリズムも使用するよう構成されてよい。いくつかの実施形態、例えば、装置10が少なくとも1つのカメラ12(例えば、病棟全体といった、比較的広い領域を見るよう構成される。)及び複数のプロジェクタ11(例えば、複数の家具に取り付けられている。)を有する実施形態において、プロセッシングユニット13は、受け取られた画像において複数の投影パターンを検出しそれらを区別するよう構成される。いくつかのそのような実施形態において、プロセッシングユニット13は、例えば、プロセッシングユニット13に含まれているか又はそれへ接続されているメモリに記憶されているパターンへ家具を結び付けるルールに基づき、受け取られた画像において検出された夫々の投影パターンを家具と関連付けるよう構成される。有利なことに、そのような実施形態において、装置10は、いくつかの家具を同時に監視することができる。プロセッシングユニット13は、受け取られた画像において投影パターン14の少なくとも1つの特徴に対する変化を検出するよう更に構成される。少なくとも1つの特徴は、パターン長さ、パターン幅、パターン直径、パターン形状、パターンの第1の部分とパターンの第2の部分との間の距離、総パターン面積、のうちの1つ以上を有することができる。プロセッシングユニット13が複数の投影パターンを検出するよう構成される実施形態において、プロセッシングユニット13は、受け取られた画像において検出された夫々の投影パターンに関して、投影パターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を別々に且つ同時に検出するよう構成される。
【0038】
いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、第1の時点で取得された第1の画像を、後の第2の時点で取得された第2の画像と比較することによって、投影パターン14の少なくとも1つの特徴に対する変化を検出するよう構成される。第2の時点は、第1の時点の直ぐ後であってよく、あるいは、代替的に、第1の時点から所定時間後であってよい。いくつかのそのような実施形態において、プロセッシングユニット13は、第1の画像に基づき特徴に関する第1の値(例えば、パターン長さ値)を決定し、第2の画像に基づき特徴に関する第2の値を決定し、2つの決定された値を比較するよう構成される。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、変化値を計算するよう構成される。変化値は、2つの決定された値の間の差を有する。いくつかのそのような実施形態において、プロセッシングユニット13は、第1及び第2の決定された値が同じでない場合に、特徴に対して変化が起きたと決定するよう構成される。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、第1及び第2の値が予め定義された閾値よりも大きく相違する場合(例えば、計算された変化値が予め定義された閾値よりも大きい場合)に、特徴に対して変化が起きたと決定するよう構成される。
【0039】
いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、受け取られた画像によってカバーされる期間の部分又は全てについて、時間変化する変化信号を生成するよう構成される。いくつかのそのような実施形態において、変化信号は、特徴に関する決定された値の時系列を有するか又はそれに基づく。いくつかの実施形態において、変化値は、特徴に関する変化値の時系列を有するか又はそれに基づく。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、投影パターン14の複数の特徴の夫々に関して、値を決定し、変化値を計算し、且つ/あるいは、変化信号を生成するよう構成される。
【0040】
プロセッシングユニット13は、検出された変化が対象退場イベントについての少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定するよう更に構成される。いくつかの実施形態において、予め定義された基準は、1つ以上の条件の組を有する。そのような組に含まれている条件は、変化の大きさ、変化の速さ、変化信号の形状に関する条件、のうちの1つ以上を含むことができる。変化信号の形状に関する条件は、変化信号の変動性の大きさ、変化信号の変動が予め定義された閾値を越える時間の量、変化信号が予め定義された閾値を越える期間の周波数、変化信号におけるピークの相対位置、変化信号におけるピークの相対高さ、変化信号の下の面積、のうちのいずれか又は全てを有することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、様々な異なる動きタイプ(寝返りを打つこと、起き上がること、など)に対応する変化シグニチャの組を記憶しているメモリを有するか又はそれと通信する。変化シグニチャは、例えば、特徴についての変化値の組、特徴についての変化信号、複数の特徴についての変化値又は変化信号の組み合わせ、などを有してよい。いくつかのそのような実施形態において、少なくとも1つの基準は変化シグニチャを有し、検出された変化が少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定することは、検出された変化が変化シグニチャと適合するかどうかを判定することを有する。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、検出された変化が対象退場イベントについての少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかの夫々の判定に関して信頼情報(confidence information)を計算するよう更に構成される。
【0042】
プロセッシングユニット13は、判定に基づき信号を出力するよう更に構成される。いくつかの実施形態において、信号は、例えば、プロセッシングユニット13との有線又は無線通信リンクを有しているデバイスへの、制御信号を有する。そのようなデバイスは、例えば、通信デバイス、表示デバイス、警報デバイス、などであってよい。そのような実施形態において、制御信号は、例えば:
・警報デバイス(例えば、視覚又は音声警報発生装置)に警報を発生させること;
・通信デバイスにケアする人へのメッセージを生成させること;
・通信デバイスに対象へのメッセージを生成させること;
・通信デバイスに信号を遠隔デバイス(例えば、医療専門家のページャー(pager)、PDA又は携帯電話機)へ信号を送らせること;
・表示デバイス(例えば、モニタ又はスクリーン)に情報を表示させること
のうちの1つ以上を引き起こすよう構成されてよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、信号は、例えば、ベッドから出るイベントが検出されたことを示す、ケアする人へのメッセージを有する。いくつかの実施形態において、信号は、例えば、支援が到着するまでベッドに留まるよう対象に指示するための、対象へのメッセージを有する。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、複数の信号、例えば、医療専門家の携帯電話機のような通信デバイスへの通信信号、及び警報デバイスに警報を発生させる警報デバイスへの制御信号、を出力するよう構成される。
【0044】
いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、プロジェクタが取り付けられる家具の、カメラ12に対する向きを決定するよう更に構成される。向きのそのような決定は、例えば、受け取られた画像における他の特徴に対する投影パターンの向きを解析することによって、又は画像における家具の向きを予め定義するための既知の自動若しくは半自動の技術を用いて、達成され得る。いくつかのそのような実施形態において、プロセッシングユニット13は、決定された向きに基づき信号を出力するよう更に構成されてよい。いくつかのそのような実施形態において、決定された向きに基づく信号は、方向情報を含み、他のカメラに基づく監視システム(例えば、家具の画像を取得するよう構成されたカメラを有する。)へ出力される。有利なことに、そのような実施形態は、家具及び/又は家具を占有している対象の画像を取得するよう構成される装置10以外の他のカメラに基づく監視システムの自動較正を容易にして、家具が動かされるときに医療従事者がそのようなシステムを較正し直す必要性を軽減又は除去することができる。
【0045】
いくつかの実施形態(すなわち、装置10が1つの家具に取り付けられる複数のプロジェクタを有する実施形態)において、プロセッシングユニット13は、検出された変化に対する夫々の個別のプロジェクタからの寄与を検出するよう構成される。いくつかの実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、異なる表面、又は同じ表面の異なる領域の上に投影するよう構成される。そのような実施形態において、プロセッシングユニット13は、夫々のプロジェクタについて別個のパターンを検出し、上述されたようにそれらのパターンの夫々の特徴に対する変化を別々に(しかし、望ましくは、同時に)検出するよう構成される。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、全てのパターンに関して検出された変化をまとめて解析するよう構成される。いくつかの実施形態において、複数のプロジェクタの夫々は、同じ表面の同じ領域上に投影するよう構成され、それにより、全体として1つのパターンがその表面上に作られる。そのパターンは、複数のパターンの夫々からの寄与を有する。そのような実施形態において、プロセッシングユニット13は、夫々の検出された変化に対する複数のプロジェクタの夫々からの寄与を区別するために、検出されたパターンの少なくとも1つの特徴への検出された変化を解析するよう構成される。
【0046】
複数のパターンの夫々に対する、又はパターン全体への複数のプロジェクタの夫々の寄与に対する変化の間の差を(例えば、角度、時間的挙動、などに関して)解析することは、ベッドにおける対象の身体動作に関する空間情報が抽出されることを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、プロセッシングユニット13は、そのような複合解析に基づき動きタイプ(例えば、寝返りを打つこと、起き上がること、落ち着かない脚の動き)を決定するよう構成される。例えば、2つのパターンの特徴の変化の程度の差を解析することによって、対象の胴体の上又は下部分が動いているかどうかが決定され得る。いくつかのそのような実施形態において、プロセッシングユニット13は、解析に基づき動きタイプ(例えば、寝返りを打つこと、起き上がること、落ち着かない脚の動き)を決定するよう構成される。いくつかのそのような実施形態において、対象退場イベントについての少なくとも1つの予め定義された基準は、動きタイプに関する1つ以上の条件を有する。例えば、起き上がっている位置は、ベッドから出ることの初期徴候となることができるので、いくつかの実施形態において、対象退場についての少なくとも1つの予め定義された基準は、起き上がる動きタイプが、予め定義された基準が満足されたことをプロセッサが決定するために、(検出された変化に基づき)識別されなければならないように定義される。
【0047】
図3は、家具とともに使用される図1の装置を示す。表されている例では、家具は、可撓性のベッドベース(図示せず。)を有する病院のベッド30を有する。ベッドベースは、ベッド30を占有している対象33の動きに応答して、ベッド30がある床32に対して上下に動く。なお、他の例では、家具は他のタイプのベッド、椅子、車椅子、又は家具を占有している対象の動きに応答して、プロジェクタ11によるパターンを投影することが可能である表面に対して動く可動部分を備えたあらゆる家具、を有することができる。
【0048】
可動部分は、家具を占有している対象の動きに応答して、家具がある表面の方へ又は豹変から離れる方へ動く家具の如何なる部分であることもできる。望ましくは、可動部分は、家具の裏面(すなわち、家具の患者支持側とは反対の側)に関連し、それにより、プロジェクタ11は、可動部分に取り付けられる場合に、家具の患者支持面の真下に位置する。有利なことに、家具の患者支持面の真下にプロジェクタ11を置くことは、対象が家具から出入りすること、又は医療スタッフが家具の近くで(例えば、家具を占有している対象の世話をするために)作業すること、の邪魔にならないことを意味する。加えて、投影される光ビームは、プロジェクタ11が家具30の真下にある場合に、装置10の使用中に不明りょうになることがない。
【0049】
いくつかの例において、可動部分の動きは、可動部分によって支持されている対象の加重の変化によって引き起こされる。いくつかの例において、プロジェクタが取り付けられる可動部分は、それ自体が対象の動きに応答して動くことができるより大きい部分のコンポーネント又は領域を有する。いくつかの例において、可動部分は、弾性コンポーネントを(例えば、バネ、弾性材料の部分、ゴムの部分、など)を有する。いくつかの例において、可動部分は、弾性コンポーネントによって家具の残りの部分へ接続される。
【0050】
プロジェクタ11は、可撓性のベッドベースに固定して取り付けられ、それにより、可撓性のベッドベースの動きは、プロジェクタ11に、プロジェクタが取り付けられている可撓性のベッドベースの部分の動きと同じタイプ及び程度の動きを経験させる。動きの主たるコンポーネントは、ベッドがある表面(すなわち、この例では、床32)へ向かい、そして表面から離れると期待される。なお、対象がベッドの幅に対して位置を変える場合には、(ベッドベースの正確な構成に応じて、)プロジェクタ11が取り付けられているベッドベースの部分の(従って、プロジェクタ11の)、床32に対する角度が変化することが起こり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、可動部分に直接取り付けられる。いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、間接的に、例えば、取り付けブラケットのような中間コンポーネントを用いて、可動部分に取り付けられる。そのような実施形態において、中間コンポーネントは、可動部分に固定して取り付けられ、プロジェクタ11は、中間コンポーネントに固定して取り付けられる。取り付けブラケットのような中間コンポーネントの使用は、家具30の可動部分とプロジェクタ11との間の距離を大きくすること、及び/又はプロジェクタ11と可動部分との間のより大きい角度範囲を許容することを可能にする。有利なことに、そのような大きくされた距離及び/又は角度範囲は、例えば、家具が、それがある表面に向かって延在する突起を有する場合に、投影パターンの不明りょう化を回避することができる。例えば、多くの最新の病院ベッドは、様々なそのような突起を有する複雑な機構(例えば、対象支持面を上げ下げし及び/又はその角度を変えるためのもの)においてサポートされている。特定の家具を装置10に備える場合に、どの可動部分にプロジェクタ11を取り付けるべきか、取り付けブラケットを使用すべきかどうか、可動部分に対して何度でプロジェクタ11をセットすべきか、などのような決定は、特定の家具の正確な構成に基づき(例えば、装置10を設置するエンジニアによって)行われる。
【0052】
図3の例では、カメラ12及びプロセッシングユニット13は監視デバイス35に組み込まれている。プロジェクタ11は、取り付けブラケット36を介して、可撓性ベッドベースに固定して取り付けられている。それにより、プロジェクタ11は、ベッドベースとともに、対象33の動きに応答して床32に対して上下に動く。プロジェクタ11は、パターン14がベッド30に隣接した床の区域の上に投影されるように、ある量だけ床32に向かって角度をつけられている。
【0053】
対象33が動く(例えば、ベッドから出るために起き上がる)場合に、可撓性ベッドベースは、動きが進むにつれて対象の重さがベッドベースの異なる領域によって支持されることにより、(重力に対して)上下に動く。動きが進むにつれて支える対象の重さが少なくなる可撓性ベッドベースの領域は、結果として、床32から離れる。動きが進むにつれて支える対象の重さが増える可撓性ベッドベースの領域は、結果として、床32に近づく。プロジェクタ11が取り付けられている可撓性ベッドベースの部分によって(従って、プロジェクタ11によって)経験される動きの量及び方向は、家具における対象の開始位置に対する可動部分の位置に、更には、動きの性質に依存する。
【0054】
図3の例では、プロジェクタが取り付けられる可動部分は、ベッドベースの中央に位置する。患者がベッドの中央に寝そべっているとき、対象の重さの第1の量は、プロジェクタ11が取り付けられている可撓性ベッドベースの部分によって支持され、プロジェクタ11は、床32の上に第1の距離で位置付けられる。対象が身を起こして座る場合に、より多くの対象の重さが、プロジェクタ11が取り付けられている可撓性ベッドベースの部分によって支持される。これは、ベッドのヘッドエンドがもはや如何なる重さを支持していないからであり、結果として、プロジェクタ11は、(最初の位置よりも)床に対して近くに位置付けられる。それに反して、対象が依然として寝そべったままで横向きになる場合に、より少ない対象の重さが、プロジェクタ11が取り付けられている可撓性ベッドベースの部分によって支持される。これは、対象の身体が、プロジェクタ11が取り付けられている可撓性ベッドベースの部分の上に直接にはもはやないからであり、結果として、プロジェクタ11は、(最初の位置よりも)床から更に離して位置付けられる。このように、異なる動きタイプは、プロジェクタ11の高さ(及び、場合により、向きも)へ異なるパターンの変化を引き起こす。
【0055】
プロジェクタ11の動きは、投影パターン14のサイズ及び形状を変化させる。投影パターンに対する変化の性質は、動きの性質に依存する。例えば、床32の方へ直接に向かうプロジェクタ11の動きは、図2a及び2bに関連して先に説明されたように、パターンの長さ、幅(及び、従って、面積)の低減を引き起こす。パターン内の特徴(パターンが格子である場合には、格子ノード)間の距離も小さくなる。プロジェクタ11と床32との間の相対角度の増大(例えば、プロジェクタが可撓性ベッドベース20に対して中心に位置していない場合に、図2a(ii)及び図2b(ii)で表された状況で起こり得る。)は、床32におけるパターンの位置を、ベッド30の端のより近くに移動させる。実際に、プロジェクタの向きの変化が高さの変化に加えて起こり得る場合に、対象の如何なる所与の動きも、通常、投影パターンへのサイズの変化及び位置の変化の組み合わせを引き起こす。変化の正確なパターンは、動きの性質に依存するので、様々な共通の動きタイプ(例えば、起き上がること、寝返りを打つこと、など)のための特徴的なパターン変化シグニチャを定義することが可能である。
【0056】
いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、手動により、例えば、人がプロジェクタ11のオンスイッチを作動させることによって、アクティブにされ、手動により、例えば、人がプロジェクタ11のオフスイッチを作動させることによって、非アクティブにされるまで連続的に投影する。いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、自動的に、例えば、プロセッシングユニットからの制御信号によって、アクティブにされる。いくつかの実施形態において、プロジェクタ11は、プロセッシングユニット13との通信リンクを有し、プロセッシングユニット13からの制御信号によってアクティブにされ(その後に、非アクティブにされ)る。望ましくは、プロジェクタ11は、家具が使用中である時間中にのみアクティブにされる。本発明のために、家具は、家具を使用する対象の、例えば、浴室に行くため、又は治療を受けるための一時的不在の間は、“使用中”のままであると見なされる。対照的に、家具は、その家具を以前に占有していた対象の退院から、新しい対象によるその家具の最初の占有までの期間中は使用されていないと見なされる。
【0057】
監視デバイス35は、図3において破線によって表されているカメラ12の視野(FOV)が投影パターン14の少なくとも部分を取り囲むように位置付けられる。望ましくは、監視デバイス35は、ベッド30の支持面がカメラのFOV内にないように位置付けられる。これは、ベッドを占有している対象が、カメラによって取得される画像に含まれないことを確かにする。画像に対象を含めないことは、プライバシーの観点から、更には、捕捉された画像においてパターン特徴を検出し追跡するタスクを簡単にするために、有利である。なお、実施形態は、複数の家具に関連した複数の投影パターンを監視するために一台のカメラが使用されるとして考えられている。この場合に、監視される家具の少なくともいくつかの支持面は、カメラのFOV内にある。
【0058】
装置10の使用において、プロジェクタ11は、それが連続してパターンを表面32の上に投影するように、上述された様態のうちの1つにおいてアクティブにされる。カメラ12は、記録期間中に、投影パターン14の少なくとも部分を含む、表面32の画像を捕捉する。いくつかの実施形態において、カメラ12は、装置10が使用中である間ずっと連続的に画像を捕捉する。それにより、記録期間は、装置10が使用中である期間を有する。いくつかの実施形態において、カメラ12は、イベントに応答してアクティブにされる。いくつかのそのような実施形態において、イベントは、別個のモーション検出器(例えば、家具に取り付けられた加速度計、又は別の、カメラに基づくモーション検出システム)による対象の動きの検出を有する。いくつかの実施形態において、カメラ12は、予め定義された量の時間(すなわち、記録期間の存続期間が予め定義される。)に画像を捕捉するよう構成される。いくつかの実施形態において、捕捉された画像はビデオフレームを有する。いくつかの実施形態において、カメラ12は静止画像の連続を捕捉する。
【0059】
カメラによって捕捉された画像は、プロセッシングユニット13へ送信される。プロセッシングユニット13は引き続いて、捕捉された画像に基づき、対象退場イベントが起きているかどうかを評価する(例えば、図8に示される方法を実施することによる。)。
【0060】
図8は、対象が家具から立ち去った場合を検出する方法を表す。第1のステップ801で、表面(例えば、床32)の連続画像は、(例えば、プロセッシングユニット13によって)受け取られる。画像の夫々は、プロジェクタ(例えば、上記の様態のいずれかにおけるプロジェクタ11)によって表面上に投影されたパターン(例えば、パターン14)を含む。プロジェクタは、家具(例えば、ベッド30)の可動部分に固定して取り付けられている。可動部分は、その位置及び向きを、(例えば、上記の様態のいずれかにおいて)家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変えるよう構成される。いくつかの実施形態において、画像は、画像を捕捉したカメラから、例えば、有線又は無線通信リンクを介して、受け取られる。いくつかの実施形態において、画像は、遠隔のサーバ(例えば、中央病院サーバ)から、例えば、有線又は無線通信リンクを介して、受け取られる。いくつかの実施形態において、画像は、マシン読み出し可能な非一時的記憶媒体において受け取られる。いくつかの実施形態において、画像は、リアルタイム又は準リアルタイムで(例えば、画像がカメラによって捕捉される時に)受け取られる。いくつかの実施形態において、画像は、複数のソース、例えば、第1の家具を監視するよう構成される第1のカメラ、及び第2の家具を監視するよう構成される第2のカメラ、から受け取られる。
【0061】
ステップ802で、投影パターン14は、例えば、プロセッシングユニット13によって、受け取られた画像において検出される。いくつかの実施形態において、投影パターンは、プロセッシングユニット13の動作に関して上述されたように検出される。いくつかの実施形態において、ステップ802を実施することは、受け取られたビデオストリームの夫々のフレームにおいて投影パターン14を検出することを有する。いくつかの実施形態において、ステップ802を実施することは、受け取られた静止画像の連続の夫々の画像において投影パターン14を検出することを有する。
【0062】
ステップ803で、投影パターンの少なくとも1つの特徴に対する変化は、例えば、プロセッシングユニット13によって、受け取られた画像において検出される。いくつかの実施形態において、ステップ803を実施することは、プロセッシングユニット13に関して上述されたように、投影パターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出することを有する。ステップ803の結果は、肯定的な検出(すなわち、投影パターンの少なくとも1つの特徴に対する変化が起こったことが検出される。)又は否定的な検出(すなわち、変化が投影パターンの少なくとも1つの特徴に対して起こらなかったことが検出される。)であってよい。いくつかの実施形態において、ステップ803の出力は、(時間において)連続的な受け取られた画像の間の比較の結果を有する。いくつかのそのような実施形態において、比較の結果は、少なくとも1つの変化値を有し、夫々の変化値は、投影パターンの特徴の変化の大きさを表す。いくつかの実施形態において、比較結果は、投影パターンの異なる特徴に夫々対応する変化値の組を有する。いくつかの実施形態において、ステップ803の出力は、例えば、変化値の時系列に基づく、変化信号を有する。いくつかの実施形態において、ステップ803の出力は、投影パターンの異なる特徴に夫々対応する変化信号の組を有する。
【0063】
ステップ804で、検出された変化が対象退場イベントについての少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかが判定される。いくつかの実施形態において、ステップ804を実施することは、プロセッシングユニット13の動作に関して上述されたように、検出された変化が対象退場イベントについての少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定することを有する。いくつかの実施形態において、ステップ804は、肯定的な変化検出を有するステップ803の結果に応答して実施される。いくつかの実施形態において、ステップ804は、引き続き、例えば、新しい変化値がステップ803によって生成されるたびに、実施される。いくつかの実施形態において、判定は、予め定義された期間、例えば、予め定義された長さを有する、最も直近に受け取られた画像の捕捉時間につながる期間、をカバーする変化データ(すなわち、複数の変化値、又は変化信号)に基づき実施される。ステップ804によって生成された判定は、従って、夫々の新たに受け取られた画像(又はビデオストリームの夫々のその後のフレーム)に関して再計算されてよい。
【0064】
ステップ805で、信号は、判定に基づき(すなわち、ステップ804の結果に基づき)(例えば、プロセッシングユニット13によって)出力される。いくつかの実施形態において、ステップ805を実施することは、プロセッシングユニット13の動作に関して上述されたように、信号を出力することを有する。信号は、監視デバイス(例えば、監視デバイス35)の通信機能を用いて出力されてよい。いくつかの実施形態において、信号は、連続的に、リアルタイムで、又は準リアルタイムで、出力される。そのような実施形態において、望ましくは、画像の受信と信号の出力との間の遅延は、数秒に満たない。それにより、医療スタッフは、ベッドから出るイベントの検出に素早く反応することができる。いくつかの実施形態において、信号は、検出された変化が対象退場イベントについての少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかの判定の結果(例えば、基準が満足される場合には、対象退場イベントが起きている/起きた可能性が高いとのインジケーション、又は基準が満足されない場合には、対象退場イベントが起きている/起きた可能性が低いとのインジケーション)を含む。いくつかの実施形態において、信号は、ステップ804で生成された判定の結果に関連した信頼情報を含む。いくつかの実施形態において、ステップ805は、ステップ804の結果が、少なくとも1つの基準が満足されたことである場合にのみ、実施される。いくつかの実施形態において、信号は、判定の結果に関連した時間情報、例えば、判定が基づいた検出された変化が起こった期間、を含む。いくつかの実施形態において、信号は、動きタイプに関する情報を含む。いくつかの実施形態、例えば、一台のカメラが複数の家具を監視するために使用される実施形態において、信号は、特定の判定結果が関連付けられる家具を識別する情報を含む。いくつかの実施形態において、ステップ805を実施することは、複数の信号を発することを有し、夫々の信号は、監視される異なる家具に関する。
【0065】
好適な実施形態において、図8の方法は、期間中、例えば、装置10が動作可能である期間中に、連続して実施される。
【0066】
従って、本発明の実施形態は、有利なことに、家具における対象の動きが自動的に且つ邪魔にならずに監視されることを可能にする。そのような監視は、対象が家具から出るか、又は出ようとしている場合を検出するための信頼でき且つ費用効率の高いシステムの基礎をなすことができる。
【0067】
本発明は、図面及び前述の説明において図解及び記載されてきたが、そのような図解及び記載は、限定ではなく、例示又は説明と見なされるべきであり、本発明は、開示されている実施形態に制限されない。
【0068】
開示されている実施形態に対する変形は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求されている発明を実施する際に当業者によって理解及び達成され得る。特許請求の範囲において、語「有する(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、単称(不定冠詞a又はan)は、複数個とを除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲で挙げられているいくつかのアイテムの機能を満たしてよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項で挙げられているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はその部分として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体において記憶/分配されてよいが、他の形態においても、例えば、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介しても、分配されてよい。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、適用範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【要約】
家具を占有している対象を監視する装置が提供される。装置は、家具の可動部分へ固定して取り付けられるプロジェクタを有し、可動部分は、その位置及び/又は向きを、家具を占有している対象の動きに応答して、表面に対して変える。プロジェクタは、表面上にパターンを投影するよう構成される。装置は、表面の連続した画像を捕捉するよう構成される少なくとも1つのカメラと、プロセッシングユニットとを更に有する。プロセッシングユニットは、少なくとも1つのカメラから画像を受け取り、受け取られた画像において投影されたパターンを検出し、受け取られた画像において投影されたパターンの少なくとも1つの特徴に対する変化を検出し、検出された変化が対象退場イベントの少なくとも1つの予め定義された基準を満足するかどうかを判定し、判定に基づき信号を出力するよう構成される。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8