(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232192
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】充放電検査システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/36 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
G01R31/36 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-50155(P2013-50155)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-174147(P2014-174147A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
【審査官】
續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/093652(WO,A1)
【文献】
特開2010−243372(JP,A)
【文献】
特開2003−219565(JP,A)
【文献】
特開2013−019832(JP,A)
【文献】
米国特許第04451791(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査プロセスにおいて、トレーに搭載される複数N個(Nは2以上の整数)の2次電池を充放電する多チャンネルの充放電検査装置と、前記充放電検査装置を校正する校正プロセスにおいて前記トレーに代えて設置される校正装置と、を有する充放電検査システムであって、
前記校正装置は、
標準抵抗器と、
チャンネルごとに設けられるN個の端子対と、
を備え、
前記充放電検査装置は、
チャンネルごとに設けられるN個のプローブ対であって、(i)前記検査プロセスにおいて、それぞれが、前記トレーに搭載される対応する2次電池の電極に対して接離可能であり、(ii)前記校正プロセスにおいて、それぞれが、前記校正装置の対応する端子対と接離可能である、N個のプローブ対と、
チャンネルごとに設けられ、それぞれが、前記検査プロセスにおいて対応する前記プローブ対を介して対応する前記2次電池に電力を供給するN個の電源と、
チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応する前記プローブ対を介してソースまたはシンクされる電流の経路上に設けられ、当該経路に流れる電流量を示す電流検出値を生成するN個の電流センサと、
を備え、
前記充放電検査システムは、前記校正プロセスにおいて、N個のチャンネルのうち、M個(2≦M≦Nを満たす整数)を校正対象とするとき、前記N個のプローブ対が前記校正装置の前記N個の端子対と接触した状態において、M個のチャンネルから選択されるひとつのマスターチャンネルの電源の出力端子対の間に、前記標準抵抗器および前記M個のチャンネルの電流センサを直列接続可能に構成されることを特徴とする充放電検査システム。
【請求項2】
前記N個のプローブ対と前記N個の電流センサは、前記N個の電源とは独立したプローブユニット上に実装され、
前記プローブユニットは、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応する前記電源の出力端子対に対して配線を介して接離可能なN個のコネクタ対を備え、
前記校正プロセスにおいて、前記N個の電源のうち、前記マスターチャンネルを除く(N−1)個の電源は、前記プローブユニットの前記N個のコネクタ対とは切り離されており、前記校正プロセスにおいて、前記プローブユニットの複数のコネクタ対を、結線用の複数の第1配線により接続するとともに、前記校正装置の複数の端子対を、結線用の複数の第2配線により接続したことを特徴とする請求項1に記載の充放電検査システム。
【請求項3】
前記N個のプローブ対と前記N個の電流センサは、前記N個の電源とは独立したプローブユニット上に実装され、
前記プローブユニットは、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応する前記電源の出力端子対に対して配線を介して接離可能なN個のコネクタ対と、
(N−1)個のバイパススイッチであって、i番目のバイパススイッチは、i番目のコネクタ対の一方と(i+1)番目のコネクタ対の他方の間に配置される、N個のバイパススイッチと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の充放電検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次電池を検査する充放電検査装置に関し、特にその校正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池、ニッケル水素電池をはじめとする繰り返し充電可能な2次電池が広く利用されている。2次電池はその出荷前に、充放電検査装置を用いて正常に機能するかが検査される(特許文献1)。2次電池の良否を正確に検査するためには、充電検査装置そのものを定期的に校正(キャリブレーション)する必要がある。
【0003】
図1(a)、(b)は、本発明者が検討した充放電検査システムを示すブロック図である。なお、この充放電検査システムを公知技術と認識してはならない。
図1(a)は、検査プロセスにおける構成を、
図1(b)は、校正プロセスにおける構成を示す。
図1(a)を参照し、検査プロセスについて説明する。多数の2次電池1を同時に検査するために、充放電検査装置4rは多チャンネルで構成され、複数N個のチャンネルCH1〜CHNそれぞれの2次電池1_1〜1_Nを充電し、あるいは放電することにより、各2次電池1の電気的特性が仕様を満たしているかを検査する。N個の2次電池1は、電池トレー8に搭載されて搬送される。
【0004】
充放電検査装置4rは、チャンネルCHごとに、プローブ対10
P/N、電源12、電流センサ14を備える。各チャンネルは同様に構成される。
【0005】
各チャンネルにおいて、プローブ対10
P/Nは、2次電池1の電極と接離可能となっている。電源12は、プローブ対10
P/Nに装着される2次電池1に電力を供給し、2次電池1を充放電する。電流センサ14は、電源12からソースされ、またはシンクされる電流を検出する。
【0006】
各チャンネルの電源12は、検査プロセスにおいて、電流センサ14により検出された電流量が所定の目標値に近づくように、2次電池1に供給する充放電電流をフィードバック制御する。
【0007】
図1(b)を参照し、校正プロセスについて説明する。校正プロセスでは、複数の2次電池1に代えて、校正装置6rが充放電検査装置4rに装着される。校正装置6rは、標準抵抗器30と、計測器32と、セレクタ34を備える。
【0008】
セレクタ34は、標準抵抗器30を、校正対象のチャンネルのプローブ対10
P/Nと接続する。
図1(b)には、2番目のチャンネルが校正対象の状態を示す。この状態では、第2チャンネルの電源12_2が生成する校正電流が、標準抵抗器30および電流センサ14_2に流れる。計測器32は、標準抵抗器30の両端間の電圧を測定し、電源12_2が生成する校正電流の真の値を測定する。真の電流値と、電流センサ14_2が測定した電流量にもとづいて、充放電検査装置4rの第2チャンネルが校正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−219565号公報
【特許文献2】特開2012−083263号公報
【特許文献3】特開2001−333543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
標準抵抗器30および計測器32は高価であるため、標準抵抗器30は
図1(b)に示すように複数のチャンネルで共有される。したがって充放電検査装置4rは、全チャンネルを同時に校正することはできず、複数のチャンネルをひとつずつ順に切りかえる必要がある。
【0011】
図2は、
図1(a)、(b)の充放電検査システム2rの動作を示すシーケンス図である。
図2には、第1チャンネルと第2チャンネルが順に校正される様子が示される。たとえば充放電検査システム2rは、チャンネルごとに、校正電流を2値で切りかえて、校正パラメータを計算する。
【0012】
はじめに、第1チャンネルCH1の選択にともない、セレクタ34が、第1チャンネルに対応するリレーをオンする(期間T1)。続いて、電源12_1が校正電流を第1の電流量Ic1に増大させる(T2)。続いて、計測器32および電流センサ14_1によって、校正電流が測定される(T3)。続いて、電源12_1が、校正電流を第2の電流量Ic2に切りかえる(T4)。続いて計測器32および電流センサ14_1によって、校正電流が測定される(T5)。続いて電源12_1は、校正電流をゼロに切りかえる(T6)。その後、第2チャンネルCH2の校正に移行し、第1チャンネルCH1と同じ工程T1〜T6が繰り返される。その後も、第3チャンネルCH3、第4チャンネルCH4、…と順に校正される。
【0013】
図1(a)、(b)の充放電検査システム2rでは、各チャンネルを順に校正する必要があるため、校正時間が長くなるという問題がある。具体的には、チャンネルを切りかえるたびに、リレーの切りかえ時間、校正電流の立ち上がり時間、校正電流の立ち下がり時間が発生し、それらを待機する必要が生じる。
図2のシーケンスでは、トータルの校正時間Tcは、
Tc=N×(T1+T2+T3+T4+T5+T6)
となる。生産性の向上の観点からは、年に1回程度の校正といえども、それに要する時間は極力短いことが望ましい。
【0014】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、短時間で校正可能な充放電検査システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある態様は、充放電検査システムに関する。充放電検査システムは、複数N個(Nは2以上の整数)の2次電池を充放電する多チャンネルの充放電検査装置と、充放電検査装置を校正する校正装置と、を有する。充放電検査装置は、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応する2次電池の電極に対して接離可能なN個のプローブ対と、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応するプローブ対を介して対応する2次電池に電力を供給するN個の電源と、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応する電源からソースまたはシンクされる電流の経路上に設けられ、当該経路に流れる電流量を示す電流検出値を生成するN個の電流センサと、を備える。校正装置は、標準抵抗器と、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応するプローブ対に対して接離可能なN個の端子対と、を備える。充放電検査システムは、校正プロセスにおいて、N個のチャンネルのうち、M個(1≦M≦Nを満たす整数)を校正対象とするとき、M個のチャンネルから選択されるひとつのマスターチャンネルの電源の出力端子対の間に、標準抵抗器およびM個のチャンネルの電流センサを経由する校正経路を形成可能に構成される。
【0016】
この態様によると、複数M個のチャンネルの電流センサと標準抵抗器を同一の電流経路上に直列に接続し、その電流経路に、マスターチャンネルの電源から校正電流を供給することにより、M個のチャンネルの電流センサを同時に校正することができ、複数チャンネルを順次校正する場合に比べて校正時間を大幅に短縮できる。
【0017】
ある態様において、N個のプローブ対とN個の電流センサは、N個の電源とは独立したプローブユニット上に実装されてもよい。プローブユニットは、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応する電源の出力端子対に対して配線を介して接離可能なN個のコネクタ対を備えてもよい。校正プロセスにおいて、N個の電源は、プローブユニットのN個のコネクタ対とは切り離されてもよい。校正プロセスにおいて、プローブユニットの複数のコネクタ対を、結線用の複数の第1配線により接続するとともに、校正装置の複数の端子対を、結線用の複数の第2配線により接続してもよい。
【0018】
N個のプローブ対とN個の電流センサは、N個の電源とは独立したプローブユニット上に実装されてもよい。プローブユニットは、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応する電源の出力端子対に対して配線を介して接離可能なN個のコネクタ対と、(N−1)個のバイパススイッチと、を備えてもよい。i番目のバイパススイッチは、i番目のコネクタ対の一方と(i+1)番目のコネクタ対の他方の間に配置される。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のある態様の充放電検査システムによれば、校正時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1(a)、(b)は、本発明者が検討した充放電検査システムを示すブロック図である。
【
図2】
図1(a)、(b)の充放電検査システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図3】実施の形態に係る充放電検査システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3の充放電検査システムの校正プロセスを示すシーケンス図である。
【
図5】変形例1に係る充放電検査システムの構成を示す図である。
【
図6】変形例2に係る充放電検査システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図3は、実施の形態に係る充放電検査システム2の構成を示すブロック図である。
図3は、校正プロセスにおける充放電検査システム2の状態を示す。
【0023】
はじめに検査プロセスについて説明する。検査プロセスでは
図1(a)と同様に、校正装置6に代えて、電池トレー8に搭載された複数N個の2次電池1_1〜1_Nが、充放電検査装置4に接続される。多数の2次電池1を同時に検査するために、充放電検査装置4は多チャンネルで構成され、複数N個のチャンネルCH1〜CHNそれぞれの2次電池1_1〜1_Nを充電し、あるいは放電することにより、各2次電池1の電気的特性が仕様を満たしているかを検査する。2次電池1は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などが例示されるが、特に限定されない。
【0024】
充放電検査装置4は、チャンネルCH1〜CHNごとに設けられた、プローブ対10
P/N、電源12_1〜12_N、電流センサ14_1〜14_Nを備える。各チャンネルは同様に構成される。
【0025】
各チャンネルCHi(1≦i≦N)のプローブ対10
P/Nは、検査プロセスにおいて2次電池1_iの電極に対して、接離可能となっている。
【0026】
各チャンネルCHiの電源12_iは、プローブ対10
P/Nに装着される対応する2次電池1_iに電力を供給し、対応する2次電池1_iを充放電する。各チャンネルCHiの電流センサ14_iは、対応する電源12_iからソースされ、またはシンクされる電流の経路上に設けられ、当該経路に流れる電流量を検出する。各チャンネルCHiの電源12_iは、検査プロセスにおいて、電流センサ14_iにより検出された電流量が所定の目標値に近づくように、2次電池1_iに供給する充放電電流をフィードバック制御する。
【0027】
N個のチャンネルCH1〜CHNのプローブ対10
P/Nおよび電流センサ14_1〜14_Nは、N個の電源12_1〜12_Nとは独立したプローブユニット16上に実装される。
プローブユニット16は、チャンネルごとに設けられ、それぞれが、対応する電源12_1〜12_Nの出力端子対(+端子、−端子)に対して、配線を介して接離可能なN個のコネクタ対18
P/Nを備える。プローブユニット16の内部において、チャンネルごとに、コネクタ18
Pとプローブ10
Pが結線され、コネクタ18
Nとプローブ10
Nが電流センサ14を経由して結線される。電流センサ14は、P極側の配線上に設けられてもよい。
【0028】
以上が充放電検査装置4の構成である。続いて校正装置6の構成を説明する。校正装置6は、標準抵抗器30、計測器32、N個の端子対36
P/Nを備える。端子対36
P/Nは、チャンネルごとに設けられる。各チャンネルの端子対36
P/Nは、対応するチャンネルのプローブ対10
P/Nに対して接離可能となっている。計測器32は、たとえばデジタルマルチメータであり、標準抵抗器30の電圧降下を測定することにより、標準抵抗器30に流れる校正電流の量を検出する。以上が校正装置6の構成である。
【0029】
続いて、充放電検査システム2の校正プロセスの構成について説明する。
校正プロセスにおいて、N個のチャンネルのうち、M個(1≦M≦Nを満たす整数)を同時校正の対象とする。本実施の形態では、N=M、つまり全チャンネルが同時校正の対象とされる。
【0030】
校正プロセスにおいて、電源12_1〜12_Nは、プローブユニット16から切り離される。M個のチャンネルのうちのひとつをマスターチャンネルとする。本実施の形態では、第1チャンネルCH1がマスターチャンネルに設定される。
図3には、マスターチャンネル以外の電源12は破線にて示される。
【0031】
充放電検査システム2は、校正プロセスにおいて、マスターチャンネルCH1の電源12_1の出力端子対(+端子、−端子)の間に、標準抵抗器30およびM個のチャンネルの電流センサ14_1〜14_Nを経由する校正経路を形成可能に構成される。
【0032】
より具体的には、校正プロセスにおいて、プローブユニット16の複数のコネクタ対18
P/Nを、結線用の複数の第1配線L1により接続し、校正装置6の複数の端子対36
P/Nを、結線用の複数の第2配線L2により接続することにより、校正経路(校正ループ)が形成される。
【0033】
続いて、充放電検査システム2の校正プロセスの動作を説明する。
【0034】
図4は、
図3の充放電検査システム2の校正プロセスを示すシーケンス図である。はじめに、
図3に示す校正経路を形成するように、複数の第1配線L1、複数の第2配線L2を接続する(期間T1)。校正経路上には、標準抵抗器30と、校正対象のM個のチャンネルすべての電流センサ14が直列に配置される。
【0035】
この状態で、マスターチャンネルの電源12_1は、校正経路に供給する校正電流を増大させ(期間T2)、続いて、ある一定期間、第1の量Ic1の校正電流を出力する(期間T3)。期間T3において、計測器32ならびに全チャンネルの電流センサ14_1〜14_Nによって、校正電流の量が測定される。続いて電源12_1は、校正電流を増大させる(T4)、続いてある一定期間、第2の量Ic2の校正電流を出力する(期間T5)。期間T5において、計測器32ならびに全チャンネルの電流センサ14_1〜14_Nによって、校正電流の量が測定される。最後に、電源12_1は、校正電流をゼロとする(T6)。
【0036】
以上が充放電検査システム2による校正プロセスである。
図3の充放電検査システム2によれば、
図4に示す1回の校正シーケンスによって、M個のチャンネルすべてを同時に校正することができる。このときの校正時間Tcは、Tc=(T1+T2+T3+T4+T5+T6)で済むため、オーバーヘッドを無視すれば
図2の場合に比べて1/M倍に短縮することができる。
【0037】
図2のシーケンスにおいて、1チャンネル当りの校正時間(T1+T2+T3+T4+T5+T6)が1分であるとする。この場合、
図1(b)の充放電検査システム2rによってM=16チャンネルを試験する場合、オーバーヘッドを含めて20分ほどを要することになる。これに対して
図3の充放電検査システム2によれば、オーバーヘッドを考慮しても、2分ほどに短縮することができる。
【0038】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0039】
(変形例1)
図3の充放電検査システム2においては、充放電検査システム2のユーザが、手作業で第1配線L1を結線する必要がある。変形例1では、第1配線L1、第2配線L2の結線の手間を短縮可能な技術が提供される。
図5は、変形例1に係る充放電検査システム2aの構成を示す図である。プローブユニット16は、第1配線L1に代えて、複数(N−1)個のバイパススイッチSW1を備える。i番目のバイパススイッチSW1は、i番目のコネクタ対18
P/Nの一方18
Pと(i+1)番目のコネクタ対18
P/Nの他方18
Nの間に配置される。バイパススイッチSW1を設けることにより、第1配線L1の結線を自動化でき、その手間を省くことができる。
【0040】
(変形例2)
図6は、変形例2に係る充放電検査システム2bを示す図である。充放電検査システム2bは、L個のトレー、つまり(L×N)個の2次電池1を同時に測定可能となっている。N個のチャンネルを含む単位をスロットと称する。充放電検査システム2bは、L×N個の電源12と、L個のプローブユニット16と、L個の校正装置6を備える。
図6にはL=2の場合が示される。
この変形例において、第1スロットの校正装置6_1は、
図3のそれと同様に校正される。一方、それ以外のスロット校正装置6_2からは標準抵抗器30および計測器32が省略されており、その内部において端子対36
P/Nの間が、第3配線L3により固定的に結線される。この変形例によれば、L個のスロットを同時に校正することができる。
【0041】
(変形例3)
図3、あるいは
図5の充放電検査システム2に、
図1(b)の校正装置6rと同様にセレクタ34を設けてもよい。
実施の形態では、N個のチャンネルの充放電検査装置4に対して、全チャンネルを同時に校正する場合を説明したが、この変形例によれば、N個のチャンネルのうち、任意のM個を同時に校正できる。たとえば全チャンネルを2つに分け、はじめに半分のM(=N/2)チャンネルを同時に校正し、続いて残りのチャンネルを同時に校正するなどの処理が可能となる。
【0042】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0043】
1…2次電池、2…充放電検査システム、4…充放電検査装置、6…校正装置、8…電池トレー、10…プローブ対、12…電源、14…電流センサ、16…プローブユニット、18…コネクタ対、30…標準抵抗器、32…計測器、34…セレクタ、36…端子対、L1…第1配線、L2…第2配線、L3…第3配線。