(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記箱体は、請求項2に記載された箱体であり、前記板材の重ねられた部分が、前記蓄熱材の水和反応による膨張圧によって、前記容器の内壁に押し付けられる請求項5に記載の化学蓄熱反応器。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0029】
(化学蓄熱システム10)
まず、本実施形態に係る化学蓄熱システム10について説明する。
図1は、化学蓄熱システム10の概略構成を示す全体図である。
【0030】
化学蓄熱システム10は、
図1に示されるように、水(H
2O)の蒸発、凝縮が行われる蒸発部の一例としての蒸発凝縮器12と、後述する蓄熱材30A、30Bの水和反応又は脱水反応が行われる化学蓄熱反応器の一例としての反応器20と、蒸発凝縮器12及び化学蓄熱反応器20(以下、反応器20という)に接続されこれらの内部を連通させる水蒸気流路14と、を含んで構成されている。なお、本実施形態では一例として、化学蓄熱システム10を自動車(図示省略)に適用している。
【0031】
蒸発凝縮器12は、貯留した水を蒸発させて反応器20に供給する(水蒸気を生成する)蒸発部、反応器20から導入された水蒸気を凝縮する凝縮部、及び水蒸気が凝縮された水を貯留する貯留部としての各機能を兼ね備えている。また、蒸発凝縮器12は、内部に水を貯留した容器16を有しており、容器16内に水蒸気の凝縮用の冷媒流路17及び蒸発用のヒータ18が設けられている。冷媒流路17は、容器16内における少なくとも気相部16Aを含む部分で熱交換を行うように設けられており、ヒータ18は、容器16内における少なくとも液相部(貯留部)16Bを含む部分で通電により加熱を行うように設けられている。
【0032】
水蒸気流路14には、蒸発凝縮器12(容器16)と反応器20(後述する反応容器22)との連通、非連通を切り替えるための開閉弁19が設けられている。容器16、反応容器22、水蒸気流路14、及び開閉弁19は、互いの接続部位が気密に構成されており、これらの内部空間が予め真空脱気されている。
【0033】
(反応器20)
次に、反応器20について説明する。
図2(A)及び
図2(B)は、反応器20の内部構成を示す断面図である。
【0034】
図2(A)及び
図2(B)に示されるように、反応器20は、内部を熱媒体(以後、熱媒という)が流れる媒体流路としての熱媒流路24、25に隣接し、水蒸気流路14から水蒸気が流れる反応容器22(容器の一例)を備えている。さらに反応器20は、反応容器22内の熱媒流路24、25側に設けられた蓄熱材30A、30B(粉体の集合体の一例)と、反応容器22内で蓄熱材30A、30Bの熱媒流路24、25側とは反対側に設けられたフィルタ部46(第1壁部の一例)を有する箱体40、28と、反応容器22内でフィルタ部46の蓄熱材30A、30B側とは反対側に設けられた流路形成部材26と、を備えている。
【0035】
なお、以後の説明では、反応容器22において、流路形成部材26、フィルタ部46、蓄熱材30A、30Bの積層方向を矢印Y方向、矢印Y方向と直交し且つ水蒸気が流れる方向を矢印X方向、矢印X方向及び矢印Y方向と直交する直交方向を矢印Z方向とする。また、反応容器22内への水蒸気の流入方向、流出方向を区別する場合は、流入方向を矢印+X方向、流出方向を矢印−X方向とする。
【0036】
ここで、
図2(A)、(B)の上下方向が矢印Y方向となっており、反応容器22内では、下側から上側へ向けて、蓄熱材30B、フィルタ部46、流路形成部材26、フィルタ部46、蓄熱材30Aの順で積層された構成となっている。そして、反応容器22の下側に隣接して熱媒流路25が配置され、反応容器22の上側に隣接して熱媒流路24が配置されている。なお、本実施形態では一例として、X−Y面が鉛直面となるように反応器20が配置されているが、これに限らず、X−Y面が水平面となるように反応器20を配置してもよい。
【0037】
熱媒流路24、25は、一例として、角筒状のステンレス鋼で構成されており、熱媒が流入する扁平矩形状の流入口24A、25Aと、熱媒が流出する扁平矩形状の流出口24B、25Bとを有している。なお、流入口24A、25Aから熱媒流路24、25内への熱媒の流入を矢印Aで示しており、熱媒流路24、25内から流出口24B、25Bへの熱媒の流出を矢印Bで示している。矢印A、Bは、共に矢印X方向に沿っている。
【0038】
熱媒は、蓄熱材30A、30Bから得た熱を加熱対象に輸送するためのものであり、本実施形態では、熱媒の一例として、自動車(図示省略)のエンジンオイルを用いている。なお、熱媒の他の例として、水等の流体を用いてもよい。また、熱媒としての流体ではなく触媒を用いて、この触媒を温めるようにしてもよい。
【0039】
一方、反応容器22は、直方体状の容器であり、矢印X方向の一方の側壁の矢印Y方向中央部分に開口部22Aが形成されている。そして、開口部22Aには、水蒸気流路14の一端が接続されている。また、反応容器22内で開口部22Aと対向する部位には、流路形成部材26が配置されている。
【0040】
図2(B)及び
図3に示されるように、流路形成部材26は、一例として、プレス加工により矢印Z方向における断面形状(Y−Z面)が凹凸を繰り返す矩形波状とされた、ステンレス鋼から成る波板(壁部)で構成されている。具体的には、矢印Z方向に間隔をあけて直立配置された複数の側壁26Aと、矢印Z方向で1つおきに2つの側壁26Aの上端部を繋ぐ上壁26Bと、上壁26Bとずらして矢印Z方向で1つおきに2つの側壁26Aの下端部を繋ぐ下壁26Cとで構成されている。
【0041】
側壁26Aは、矢印X方向を長手方向、矢印Y方向を短手方向とする矩形状に形成されており、上壁26B及び下壁26Cは、矢印X方向を長手方向、矢印Z方向を短手方向とする矩形状に形成されている。そして、流路形成部材26は、2つの側壁26Aと1つの下壁26Cとで「コ」字状に囲まれた上側流路27A(水蒸気の流路の一例)と、2つの側壁26Aと1つの上壁26Bとで「コ」字状に囲まれた下側流路27B(水蒸気の流路の一例)とを形成し、複数の上側流路27A及び複数の下側流路27Bに水蒸気が流入するようになっている。
【0042】
蓄熱材30A、30Bは、一例として、アルカリ土類金属の酸化物の1つである酸化カルシウム(CaO)の成形体が用いられている。この成形体は、例えば、酸化カルシウム粉体をバインダ(例えば粘土鉱物等)と混練し、焼成することで、略矩形ブロック状に形成されている。
【0043】
ここで、蓄熱材30A、30Bは、水和に伴って放熱(発熱)し、脱水に伴って蓄熱(吸熱)するものであり、反応器20内では、以下に示す反応で放熱、蓄熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
CaO + H
2O ⇔ Ca(OH)
2
【0044】
この式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、
CaO + H
2O → Ca(OH)
2 + Q
Ca(OH)
2 + Q → CaO + H
2O
となる。なお、一例として、蓄熱材30A、30Bの1kg当たりの蓄熱容量は、1.86[MJ/kg]とされている。
【0045】
(箱体40)
次に、箱体40の具体的な構成について説明する。なお、箱体28は、箱体40と同様に構成されているので、適宜、説明を省略する。
【0046】
箱体40は、複数の孔70が形成された一枚の板材60(
図4参照)を折り曲げて箱状に構造化されることで構成されている(
図5参照)。具体的には、箱体40は、
図6及び
図7に示されるように、前述のフィルタ部46と、フィルタ部46の周縁に沿って配置され蓄熱材30A(
図7参照)を囲む側壁41、42、43、44(第2壁部の一例)と、を有している。
【0047】
側壁41、43は、具体的には、蓄熱材30AをX方向に挟んでおり、側壁42、44は、蓄熱材30AをZ方向に挟んでいる。すなわち、側壁41、42、43、44は、Y方向に沿った軸線周りに配置され、蓄熱材30Aを4方から囲む周壁を構成している。
【0048】
複数の孔70のうち、フィルタ部46部分に形成された孔は、流路形成部材26側からの水蒸気を蓄熱材30A側へ通過させる複数の通過孔50として機能するようになっている。すなわち、通過孔50は、Y方向に形成されており、水蒸気をY方向に通過させるようになっている。
【0049】
通過孔50は、具体的には、蓄熱材30Aの平均粒径より狭い流路となっている。これにより、通過孔50を水蒸気が通過する一方、平均粒径よりも大きいCaO粉体の流路形成部材26側(上側流路27A側)への侵入を規制するようになっている。
【0050】
なお、本実施形態において、蓄熱材30Aの平均粒径とは、蓄熱材30A、30Bを構成するCaO粒子が、粉体の場合はその平均粒径、粒状の場合は造粒前の粉体の平均粒径、成形体の場合は成形前の造粒粉の平均粒径とする。これは、粒や成形体が崩壊する場合、前工程の状態に戻ると推定されるためである。
【0051】
複数の孔70のうち、側壁41、42、43、44に形成された孔51は、水蒸気を通過させるためのものではないが、側壁41、42、43、44に凹凸を形成して、この凹凸によって蓄熱材30Aを保持する保持性(グリップ性)を向上させる機能を有している。
【0052】
また、箱体40のフィルタ部46は、流路形成部材26の複数の上壁26Bと接触して配置されている。これにより、箱体40のフィルタ部46は、流路形成部材26からの力を一部に集中させずに分散させ、面圧に変換する役割を担っている。なお、箱体28の場合では、フィルタ部46は、流路形成部材26の複数の下壁26Cと接触して配置されている。
【0053】
箱体40を形成するための板材60は、例えば、単層の金属箔で構成されている。金属箔としては、例えば、ステンレス箔が用いられる。また、板材60は、その外形及び複数の孔70が、例えば、エッチング、エレクトロフォーミング、電子ビームなどによる加工、その他機械的加工により形成されている。
【0054】
板材60は、
図4に示されるように、略長方形状に形成されている。具体的には、板材60は、板材60の中央部分に配置され、フィルタ部46となる四角形状の第1構成部61を有している。第1構成部61に対する
図4の紙面左右方向両側には、側壁42、44となる一対の長方形状の第2構成部62が設けられている。
【0055】
各第2構成部62には、第2構成部62に対する第1構成部61とは反対側に突出する蓄熱材保持爪65(蓄熱材保持部の一例)が一体に形成されている。すなわち、各蓄熱材保持爪65は、箱体40が構造化された際に側壁42、44から上側に突出する位置に形成されている(
図5参照)。各蓄熱材保持爪65は、箱体40の内側(蓄熱材30A側)に折り曲げられて、蓄熱材30Aの上面を押さえることで、箱体40に収容された蓄熱材30Aを保持するようになっている(
図7参照)。
【0056】
2つの第2構成部62に対する
図4の紙面上下方向両側には、側壁41、43となる長方形状の第3構成部63A、63B、63C、63Dが設けられている。
【0057】
第3構成部63Aの第3構成部63C側(紙面右側)、及び第3構成部63Cの第3構成部63A側(紙面左側)には、箱体40が構造化された際に第1構成部61に重ねられる第4構成部64A、64Cが形成されている。また、第3構成部63Bの第3構成部63D側(紙面右側)、及び第3構成部63Dの第3構成部63B側(紙面左側)には、第1構成部61に重ねられる第4構成部64B、64Dが設けられている(
図5参照)。
【0058】
第3構成部63Aの紙面における上端部には、紙面の左右方向にそれぞれ突出する構成部用保持爪66A(保持部の一例)、流路形成部材保持爪67(流路形成部材保持部の一例)が形成されている。また、第3構成部63Bの紙面における下端部には、紙面の左右方向にそれぞれ突出する構成部用保持爪66B(保持部の一例)、流路形成部材保持爪67が形成されている。これにより、構成部用保持爪66A、66Bは、箱体40が構造化された際に側壁42、44から上側に突出する位置に位置するようになっている。(
図5参照)。また、各流路形成部材保持爪67は、箱体40が構造化された際に側壁41、43から流路形成部材26側(下側)に突出する位置に位置するようになっている(
図5参照)。
【0059】
構成部用保持爪66Aは、箱体40が構造化された際に箱体40の内側に折り曲げられることで、第3構成部63Aに重ねられる第3構成部63Cを第3構成部63Aに対して保持するようになっている(
図6参照)。構成部用保持爪66Bは、箱体40が構造化された際に箱体40の内側に折り曲げられることで、第3構成部63Bに重ねられる第3構成部63Dを第3構成部63Bに対して保持するようになっている。
【0060】
各流路形成部材保持爪67は、流路形成部材26の下側流路27Bに折り曲げられて、上壁26Bを下側から押さえることで、流路形成部材26を箱体40に対して保持するようになっている(
図6参照)。
【0061】
第3構成部63A及び第3構成部63Cは、箱体40が構造化された際に互いが重ねられる部分73を有している。なお、
図4に示す例では、第3構成部63A及び第3構成部63Cにおける一点鎖線よりも上側の領域が、重ねられる部分73となっている。
【0062】
第3構成部63B及び第3構成部63Dは、箱体40が構造化された際に互いが重ねられる部分75を有している。なお、
図4に示す例では、第3構成部63B及び第3構成部63Dにおける一点鎖線よりも下側の領域が、重ねられる部分75となっている。
【0063】
この重ねられる部分75、73が、箱体40における合わせ目部分を構成するようになっている。なお、第3構成部63A及び第3構成部63Bは、それぞれ、第3構成部63C及び第3構成部63Dの外側に重ねられるようになっている。
【0064】
板材60は、板材60に予め付与された複数の折り目Fを谷折りすることで、箱体40として構造化される。このとき、第4構成部64A、64B、64C、64Dは、第1構成部61の外側(流路形成部材26側)に重ねられるようになっている。この重ねられた部分が、箱体40における合わせ目部分を構成している。
【0065】
また、第4構成部64A、64B、64C、64Dは、それぞれ、第1構成部61を十字状の一点鎖線(
図4参照)で4分割された各領域に対して重なるようになっている。これにより、
図8に示されるように、第4構成部64A、64B、64C、64Dと第1構成部61とが重ねられて構成されるフィルタ部46全体の厚み(高さ方向寸法)が均一化されている。なお、第4構成部64A、64B、64C、64Dの外縁(外端)同士が接触して、第4構成部64A、64B、64C、64D同士の間に隙間がないことが望ましい。
【0066】
また、第3構成部63Aと第3構成部63Cとが重ねられた部分73は、
図9に示されるように、蓄熱材30Aの水和反応による膨張圧によって、反応容器22の内壁に押し付けられるように構成されている。なお、第3構成部63Bと第3構成部63Bとが重ねられた部分75も、同様に、蓄熱材30Aの水和反応による膨張圧によって、反応容器22の内壁に押し付けられるように構成されている。
【0067】
また、第4構成部64A、64B、64C、64Dと第1構成部61とが重ねられた部分は、蓄熱材30Aの水和反応による膨張圧によって、流路形成部材26の上壁26Bに押し付けられるように構成されている。
【0068】
なお、箱体28においても、同様に、重ねられた部分73及び重ねられた部分75は、蓄熱材30Bの水和反応による膨張圧によって、反応容器22の内壁に押し付けられるように構成されている。また、箱体28においても、同様に、第4構成部64A、64B、64C、64Dと第1構成部61とが重ねられた部分は、蓄熱材30Bの水和反応による膨張圧によって、流路形成部材26の下壁26Cに押し付けられるように構成されている。
【0069】
このように、本実施形態では、合わせ目部分が、板材60が重ね合わせられて構成されている。この合わせ目部分では、板材60における一の構成部に対して、重ね合わせられた他の構成部が移動(例えばスライド)して、一の構成部と他の構成部との間に隙間ができ得る状態で接続されている。
【0070】
また、複数の折り目F部分は、側壁41、42、43、44のうちの隣り合う側壁同士の角部K、フィルタ部46と側壁41、42、43、44との角部Kとなる。
【0071】
このように、箱体40は、一枚の板材60を折り曲げることで、側壁41、42、43、44のうちの隣り合う側壁同士の角部K、及びフィルタ部46と側壁41、42、43、44との角部Kを形成しつつ、フィルタ部46と側壁41、42、43、44が構成されている。
【0072】
また、本実施形態では、板材60の接合を行わずに、箱体40が構成されている。すなわち、箱体40は、接合された接合部分を有していない。
【0073】
(本実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0074】
図10(A)に示されるように、化学蓄熱システム10において反応器20に蓄熱された熱を放熱する際には、開閉弁19を開放した状態で、蒸発凝縮器12のヒータ18により液相部16Bの水を蒸発させる。すると、生成された水蒸気が水蒸気流路14内を矢印+X方向に移動して、反応器20内に供給される。
【0075】
続いて、反応器20内では、供給された水蒸気Wが流路形成部材26の複数の上側流路27A及び下側流路27B内を流れる(
図2(A)参照)。そして、上側流路27A内の水蒸気Wが箱体40のフィルタ部46を通過して蓄熱材30Aと接触することにより、蓄熱材30Aは、水和反応を生じつつ放熱する。この熱は、熱媒流路24内を流れる熱媒によって、加熱対象に輸送される。同様に、下側流路27B内の水蒸気Wが箱体28のフィルタ部46を通過して蓄熱材30Bと接触することにより、蓄熱材30Bは、水和反応を生じつつ放熱する。この熱は、熱媒流路25内を流れる熱媒によって、加熱対象に輸送される。
【0076】
一方、
図10(B)に示されるように、化学蓄熱システム10において反応器20の蓄熱材30A、30Bに蓄熱する際には、開閉弁19を開放した状態で、熱媒流路24、25内に熱源(図示省略)によって加熱された熱媒を流通させる。この熱媒によって加熱されることで、蓄熱材30A、30Bが脱水反応を生じ、この熱が蓄熱材30A、30Bに蓄熱される。このとき、蓄熱材30A、30Bから脱水された水蒸気は、箱体40、28のフィルタ部46から流路形成部材26を通り、さらに水蒸気流路14を流れて蒸発凝縮器12内に導入される。そして、蒸発凝縮器12の気相部16Aにおいて、冷媒流路17を流通する冷媒によって水蒸気が冷却され、凝縮された水が容器16の液相部16Bに貯留される。
【0077】
以上説明した蓄熱材30A、30Bの蓄熱、放熱について、
図11に示す化学蓄熱システム10のサイクル(一例)を参照しつつ補足する。
図11には、PT線図に示された圧力平衡点における化学蓄熱システム10のサイクルが示されている。この図において、上側の等圧線が脱水(吸熱)反応を示し、下側の等圧線が水和(発熱)反応を示している。
【0078】
このサイクルでは、例えば、蓄熱材30A、30Bの温度が410℃で蓄熱された場合、水蒸気は50℃が平衡温度となる。そして、化学蓄熱システム10では、水蒸気は蒸発凝縮器12(
図1参照)において冷媒流路17の冷媒との熱交換によって50℃以下に冷却され、凝縮されて水になる。
【0079】
一方、ヒータ18(
図1参照)により加熱を行うことで、該ヒータ18の温度に応じた蒸気圧の水蒸気が発生する。例えば、
図11のサイクルにおいて、5℃で水蒸気を発生させる場合、蓄熱材は315℃で放熱することが解る。このように、内部が真空脱気されている化学蓄熱システム10では、5℃付近の低温熱源から熱を汲み上げて、315℃もの高温を得ることができる。
【0080】
ここで、本実施形態の反応器20では、箱体40、28のフィルタ部46の通過孔50が、蓄熱材30A、30Bの平均粒径より狭い流路で構成されているため、フィルタ部46において、水蒸気は通過するが平均粒径より大きい蓄熱材30A、30Bは通過しない。これにより、蓄熱材30A、30Bが水和反応により膨張して蓄熱材30A、30Bの一部が崩壊し、その崩壊部位が粉体となって蓄熱材30A、30Bから分離しても、その粉体が、フィルタ部46を通って流路形成部材26側へ流入することが抑制される。
【0081】
また、反応器20では、側壁41、42、43、44が、蓄熱材30A、30Bの側面を包囲しているので、側壁41、42、43、44によって、蓄熱材30A、30Bの粉体が、蓄熱材30A、30B側から流路形成部材26側へフィルタ部46を回り込むことが抑制される。
【0082】
このように、反応器20では、蓄熱材30A、30Bの粉体が、流路形成部材26側へ到達することが抑制される。これにより、流路形成部材26が蓄熱材30A、30Bで閉塞されにくく、水蒸気が蓄熱材30A、30Bへ良好に供給されるので、蓄熱材30A、30Bの反応性の低下を抑制することができる。
【0083】
また、反応器20では、箱体40、28を構成する板材60が、金属繊維(メッシュ構造)ではなく、単層の金属箔で構成されているので、繊維のよれ等が発生せず、蓄熱材30A、30Bの水和反応による膨張圧がフィルタ部46に付与されても、通過孔50が拡大することが抑制される。
【0084】
また、反応器20では、板材60を折り曲げることで、側壁41、42、43、44のうちの隣り合う側壁同士の角部K、フィルタ部46と側壁41、42、43、44との角部Kが形成されているので、これらの角部KがR状とならずに、箱体40、28を構成することができる。このため、上記角部KがR状とならない分、箱体40、28内部の容量が大きくなる。また、上記角部KがR状とならないため、箱体40、28の角部Kに対する蓄熱材30A、30Bの角部K1の納まりが良く、蓄熱材30A、30Bと箱体40、28のフィルタ部46との間や蓄熱材30A、30Bと側壁41、42、43、44との間に隙間ができることが抑制される(
図12(A)参照)。
【0085】
すなわち、板材の折り曲げによらず、深絞り等の加工によって角部Kを形成する構成(比較例)の場合では、
図12(B)に示されるように、箱体40、28の角部Kに対する蓄熱材30A、30Bの角部K1の納まりが悪く、蓄熱材30A、30Bと箱体40、28のフィルタ部46との間や蓄熱材30A、30Bと側壁41、42、43、44との間に隙間ができやすい。
【0086】
また、反応器20では、予め折り目Fを付与し、その折り目Fに沿って板材60を折り曲げて、箱体40、28を構造化するので、角部KがR状になりにくい。
【0087】
また、反応器20では、板材60を重ねて合わせ目部分が形成されているので、蓄熱材30A、30Bの水和反応による膨張圧によって、合わせ目部分を押し広げたとしても、合わせ目部分に隙間ができることが抑制される。これにより、蓄熱材30A、30Bの粉体が合わせ目部分をすり抜けることが抑制される。すなわち、板材60が重ね合わせられず、板材60の外縁同士が接続されて合わせ目部分を形成した構成(比較例)の場合では、蓄熱材30A、30Bの水和反応による膨張圧によって、合わせ目部分に隙間ができるおそれがある。
【0088】
また、反応器20では、箱体40における重ねられた部分73及び重ねられた部分75(合わせ目部分)は、
図9に示されるように、蓄熱材30Aの水和反応による膨張圧によって、反応容器22の内壁に押し付けられる。このため、重ねられた部分73及び重ねられた部分75(合わせ目部分)が押し広げられにくく、ばらけることが抑制される。これにより、蓄熱材30Aの粉体が、重ねられた部分73及び重ねられた部分75(合わせ目部分)ですり抜けることを抑制できる。なお、箱体28においても同様である。
【0089】
また、反応器20では、箱体40における第4構成部64A、64B、64C、64Dと第1構成部61とが重ねられた部分(合わせ目部分)は、蓄熱材30Aの水和反応による膨張圧によって、流路形成部材26の上壁26Bに押し付けられる。このため、当該重ねられた部分(合わせ目部分)が押し広げられにくく、ばらけることが抑制される。これにより、蓄熱材30Aの粉体が、当該重ねられた部分(合わせ目部分)ですり抜けることを抑制できる。なお、箱体28においても同様である。
【0090】
また、反応器20では、第4構成部64A、64B、64C、64Dと第1構成部61とが重ねられて構成されるフィルタ部46全体の厚み(高さ方向寸法)が均一化されている。これにより、蓄熱材30A、30Bが水和反応によって膨張した際に、蓄熱材30A、30Bの表面に作用する荷重が均一となる。これにより、蓄熱材30A、30Bの表面に対する荷重が不均一であることに起因する蓄熱材30A、30Bの崩壊が抑制される。
【0091】
また、反応器20では、板材60の構成部用保持爪66Aが、第3構成部63Aに重ねられる第3構成部63Cを保持するので、板材60の合わせ目部分がばらけたり、ずれたりすることを抑制できる。箱体40、28を反応容器22に収容する際などにおける箱体40、28の取り扱いが容易になる。
【0092】
また、反応器20では、箱体40、28は、接合部分を有していないので、板材60を接合する接合工程が不要となり、製造工程数が低減できる。また、箱体40、28に接合部分があると、その接合部分が、蓄熱材30A、30Bの水和反応による膨張圧によって裂けてしまうおそれがあるが、本実施形態では、箱体40、28が接合部分を有していないので、変形が吸収される。
【0093】
また、反応器20では、箱体40、28が一枚の板材60で構成されているため、箱体40、28が複数枚の板材60から形成される構成(比較例)の場合に比べ、蓄熱材30A、30Bの粉体がすり抜ける可能性がある合わせ目部分を少なくできる。これにより、合わせ目部分で板材60を繋ぎ止めておくための保持部や、板材60の合わせ目部分を少なくでき、板材60の材料コスト、製造工程の低減につながる。
【0094】
また、反応器20では、蓄熱材保持爪65によって、蓄熱材30A、30Bが箱体40、28に対して保持される。このため、蓄熱材30A、30Bが箱体40、28と一体化され、蓄熱材30A、30B及び箱体40、28を反応容器22に収容する際などにおける蓄熱材30A、30B及び箱体40、28の取り扱いが容易になる。また、蓄熱材30A、30B及び箱体40、28を反応容器22に収容する前に、蓄熱材30A、30Bを箱体40、28に対して位置決めできる。
【0095】
また、反応器20では、流路形成部材保持爪67によって、流路形成部材26が箱体40、28に対して保持される。このため、流路形成部材26が箱体40、28と一体化され、流路形成部材26及び箱体40、28を反応容器22に収容する際などにおける流路形成部材26及び箱体40、28の取り扱いが容易になる。また、流路形成部材26及び箱体40、28を反応容器22に収容する前に、流路形成部材26を箱体40、28に対して、位置決めすることができる。その結果、流路形成部材26を箱体40、28に対して、より正確に位置決めできるので、流路形成部材26が蓄熱材30A、30Bを効果的に拘束できる。
【0096】
また、反応器20では、側壁41、42、43、44に形成された複数の孔51によって、側壁41、42、43、44に凹凸が形成され、この凹凸によって蓄熱材30Aを保持する保持性(グリップ性)が向上する。これにより、蓄熱材30A、30Bを良好に拘束できる。
【0097】
このようにして、本実施形態の化学蓄熱システム10では、反応器20における蓄熱材30Aから分離した粉体の回り込みを抑制されるので、化学蓄熱システム10における熱媒の加熱効率の低下を抑制することができる。
【0098】
(箱体40を形成するための板材60の変形例)
箱体40を形成するための板材としては、前述の板材60に代えて、以下に説明する板材160を用いてもよい。なお、以下の板材160は、箱体28の形成に用いてもよい。
【0099】
板材160は、前述の板材60と同様に、例えば、単層の金属箔で構成されている。金属箔としては、例えば、ステンレス箔が用いられる。また、板材160は、その外形及び複数の孔70が、例えば、エッチング、エレクトロフォーミング、電子ビームなどによる加工、その他機械的加工により形成されている。
【0100】
板材160は、
図13に示されるように、略長方形状に形成されている。具体的には、板材160は、板材160の中央部分に配置され、フィルタ部46となる四角形状の第1構成部161を有している。第1構成部161に対する
図13の紙面左右方向両側には、側壁42、44となる一対の長方形状の第2構成部162が設けられている。
【0101】
第1構成部161に対する
図13の紙面上下方向両側には、側壁41、43となる一対の長方形状の第3構成部163が設けられている。2つの第2構成部162に対する
図13の紙面上下方向両側には、側壁41、43となる長方形状の第4構成部164A、164B、164C、164Dが設けられている。
【0102】
第4構成部164Aの紙面における上端部及び第4構成部164Bの紙面における下端部には、それぞれ、紙面の右方向に突出する構成部用保持爪166A(保持部の一例)が形成されている。第4構成部164Cの紙面における上端部及び第4構成部164Dの紙面における下端部には、それぞれ、紙面の左方向に突出する構成部用保持爪166B(保持部の一例)が形成されている。これにより、構成部用保持爪166A、166Bは、箱体40が構造化された際に側壁41、43から下側に突出する位置に位置するようになっている。(
図14参照)。
【0103】
構成部用保持爪166A、166Bは、箱体40が構造化された際に箱体40のフィルタ部46の流路形成部材26側に折り曲げられることで、各第3構成部163に重ねられる第4構成部164A、164B、164C、164Dを、各第3構成部163に対して保持するようになっている。
【0104】
なお、構成部用保持爪166A、166Bは、流路形成部材26の下側流路27Bに折り曲げられて、上壁26Bを下側から押さえることで、流路形成部材26を箱体40に対して保持する流路形成部材保持爪67として用いてもよい。
【0105】
板材160は、板材160に予め付与された複数の折り目Fを谷折りすることで、箱体40として構造化される。このとき、第4構成部164A、164B、164C、164Dは、第3構成部163の外側に重ねられるようになっている。この重ねられた部分が、箱体40における合わせ目部分を構成している。
【0106】
なお、
図15に示されるように、第1構成部161及び第2構成部162には、他の構成部が重ねられることはなく、単層の構成部によって、フィルタ部46及び側壁42、44が構成されている。
【0107】
また、互いが重ねられた各第3構成部163と第4構成部164A、164B、164C、164Dとは、蓄熱材30Aの水和反応による膨張圧によって、反応容器22の内壁に押し付けられるように構成されている。
【0108】
このように、本変形例では、合わせ目部分が、板材160が重ね合わせられて構成されている。この合わせ目部分では、板材160における一の構成部に対して、重ね合わせられた他の構成部が移動(例えばスライド)して、一の構成部と他の構成部との間に隙間ができ得る状態で接続されている。
【0109】
また、複数の折り目F部分は、側壁41、42、43、44のうちの隣り合う側壁同士の角部K、フィルタ部46と側壁41、42、43、44との角部Kとなる。
【0110】
このように、箱体40は、一枚の板材160を折り曲げることで、側壁41、42、43、44のうちの隣り合う側壁同士の角部K、及びフィルタ部46と側壁41、42、43、44との角部Kを形成しつつ、フィルタ部46と側壁41、42、43、44が構成される。
【0111】
また、本変形例では、板材160の接合を行わずに、箱体40が構成されている。すなわち、箱体40は、接合された接合部分を有していない。なお、箱体28についても、同様に、板材160を用いて構成することができる。
【0112】
本変形例の板材160により形成された箱体40、28によれば、フィルタ部46は、第1構成部161の単層で構成されるので、フィルタ部46全体の厚み(高さ方向寸法)が均一(一定)となる。これにより、蓄熱材30A、30Bが水和反応によって膨張した際に、蓄熱材30A、30Bの表面に作用する荷重が均一となる。これにより、蓄熱材30A、30Bの表面に対する荷重が不均一であることに起因する蓄熱材30A、30Bの崩壊が抑制される。
【0113】
(箱体40、28の変形例)
前述の反応器20では、箱体40、28は、それぞれ、単一の箱体で構成されていたが、これに限られず、
図16及び
図17に示されるように、複数(例えば4つ)の箱体40Aを連結して構成してもよい。なお、箱体40、28が複数の箱体40Aで構成される場合には、蓄熱材30A、30Bも複数の蓄熱材で構成され、この複数の蓄熱材のそれぞれが、各箱体40Aに対して収容されるようになっている。
【0114】
図16に示される構成では、4つの箱体40Aは、それぞれ、箱体40と同様に、板材60、160を用いて形成されている。4つの箱体40Aは、各箱体40Aにおける隣接する2つの側壁41A、42Aのそれぞれが、他の箱体40Aにおける隣接する2つの側壁41A、42Aのそれぞれと接するように配置されている。
【0115】
また、側壁41A、42Aには、
図16に示されるように、隣の箱体40Aと連結するための保持爪69を形成してもよい。この保持爪69は、隣りの箱体40Aの内側に折り曲げられることで、箱体40A同士が連結される。
【0116】
図17に示される構成では、具体的には、箱体40、28は、例えば、4つの箱体40Aが一列に連結されて構成されている。各箱体40Aは、フィルタ部46Aと、フィルタ部46Aの周縁に沿って配置され蓄熱材を囲む側壁41A、42A、43A、44Aと、を有している。複数のフィルタ部46Aによって、箱体40、28のフィルタ部46が構成される。
【0117】
互いが連結された複数の箱体40Aは、例えば、
図18に示される1枚の板材260から形成されている。板材260は、具体的には、フィルタ部46Aとなる四角形状の第1構成部261を4つ有している。4つの第1構成部261は、
図18の紙面の上下方向に沿って一列に間隔をおいて配置されている。各第1構成部261の4辺には、側壁41A、42A、43A、44Aとなる第2構成部262、第3構成部263が設けられている。4つの第1構成部261の間のそれぞれに2つずつ配置された第2構成部262の紙面左右方向両側には、第3構成部263に重なる第4構成部264が設けられている。さらに、紙面の最上に配置された2つの第3構成部263の紙面上側、及び、紙面の最下に配置された2つの第3構成部263の紙面下側には、第2構成部262に重なる第5構成部265が設けられている。
【0118】
この板材260では、板材260に予め付与された複数の折り目F1(破線部分)、F2(一点鎖線部分)が、F1(破線部分)において谷折りされ、F2(一点鎖線部分)において山折りされることで、
図18に示されるように、互いが連結された複数の箱体40Aが構成される。また、板材260では、接合を行わずに、箱体40が構成されている。
【0119】
なお、第4構成部264及び第5構成部265には、板材60、160と同様に、構成部用保持爪266が設けられている。構成部用保持爪266は、フィルタ部46の底面側(流路形成部材26側)に折り曲げられることで、第4構成部264及び第5構成部265を第3構成部263及び第2構成部262に対して保持するようになっている。なお、構成部用保持爪266は、流路形成部材26の下側流路27Bに折り曲げられて、上壁26Bを下側から押さえることで、流路形成部材26を箱体40に対して保持する流路形成部材保持爪67として用いてもよい。
【0120】
本変形例の板材260により構成された箱体40、28によれば、フィルタ部46Aは、
図19に示されるように、第1構成部261の単層で構成されるので、フィルタ部46A全体の厚み(高さ方向寸法)が均一(一定)となる。これにより、蓄熱材が水和反応によって膨張した際に、蓄熱材の表面に作用する荷重が均一となる。これにより、蓄熱材の表面に対する荷重が不均一であることに起因する蓄熱材の崩壊が抑制される。
【0121】
(他の変形例)
次に、本実施形態の他の変形例について説明する。
【0122】
前述の反応器20では、箱体40、28は、板材60(板材160、260)が接合された接合部分を有していなかったが、これに限られず、箱体40、28は、接合部分を有する構成であってもよい。例えば、構成部用保持爪66A、66Bに代えて、板材60(板材160、260)の合わせ目部分が保持されるように、板材60(板材160、260)の接合を行うようにできる。この場合は、例えば、一点又は複数点の接合により保持されるようになっている。
【0123】
また、側壁41、42、43、44における隣り合う側壁同士の角部K、及びフィルタ部46と側壁41、42、43、44との角部Kの一部を、板材60の接合によって形成してもよい。すなわち、板材60を折り曲げることにより、側壁41、42、43、44における隣り合う側壁同士の角部K、及びフィルタ部46と側壁41、42、43、44との角部Kの少なくとも1つが形成されていればよい。
【0124】
さらに、流路形成部材保持爪67に代えて、板材60(板材160、260)の接合により、箱体40、28に対して流路形成部材26を保持するようにしてもよい。なお、各部を接合する接合方法としては、例えば、スポット溶接やろう付けが用いられる。
【0125】
また、前述の反応器20では、板材60(板材160、260)を用いて箱体40、28を構成する例について説明したが、これに限られず、展開形状の異なる他の形状の板材を用いて構成してもよい。すなわち、板材を折り曲げることで箱体40、28が形成されていればよい。
【0126】
また、前述の反応器20では、フィルタ部46だけでなく、側壁41、42、43、44にも孔51が形成されていたが、側壁41、42、43、44の一部又は全部には、孔51が形成されていない構成であってもよい。
【0127】
反応器20は、反応容器22における水蒸気の流れる方向(矢印X方向)と、熱媒流路24、25の熱媒が流れる方向とが、側面視で直交する配置となっていてもよい。また、ヒータ18に換えて、熱媒が流れる熱媒流路を液相部16Bに配置して水蒸気を発生させるようにしてもよい。さらに、蓄熱材30A、30Bに隣接してヒータ又は熱媒流路を配置し、蓄熱材30A、30Bを加熱して脱水反応を生じさせるようにしてもよい。
【0128】
また、蓄熱材30A、30Bとして酸化カルシウムを用いたが、水和、脱水による放熱、蓄熱を行う他の化学蓄熱材を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、蓄熱材30A、30Bとして成形体を用いた例を示したが、これに限定されず、例えば、粒状に形成された蓄熱材を反応容器22内に充填することで反応器20を構成しても良い。
【0129】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。