(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232209
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
G08B17/00 H
G08B17/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-106688(P2013-106688)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-228976(P2014-228976A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 有也
【審査官】
石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−282567(JP,A)
【文献】
特開2011−086224(JP,A)
【文献】
特開2012−242880(JP,A)
【文献】
特開2011−165114(JP,A)
【文献】
特開2001−118164(JP,A)
【文献】
特開平06−052456(JP,A)
【文献】
米国特許第05635904(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0058093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色系統の色を有する本体と、透光性を有する板からなる押釦とを有し、該押釦が操作されると火災信号を出力する発信機と、
該発信機の近傍に設けられ、該発信機の位置を表示する表示灯と、
前記火災信号を受信し、火災を報知する火災受信機と、を備える火災報知設備であって、
前記表示灯は赤色系統の色で点灯又は点滅し、
前記火災受信機は、前記発信機から出力される前記火災信号を受信したときに点灯又は点滅する発信機灯を有し、
前記発信機は、前記火災受信機が前記火災信号を受信したときに出力する応答信号を受信すると点灯又は点滅する応答灯を有し、
前記発信機灯及び前記応答灯は、赤色系統以外の色であり、かつ、同系色で点灯又は点滅することを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
前記発信機灯及び前記押釦を通して視認できる前記応答灯の色は、青色系統であることを特徴とする請求項1記載の火災報知設備。
【請求項3】
前記表示灯は、
前記発信機を収容する発信機収容部と、該発信機収容部の外周にリング状に点灯する赤色の発光部とからなり、
前記発信機は、表示灯に組み込まれて、取付面より背面側に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器及び発信機等を有する火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の火災報知設備は、火災受信機が中央監視室に設けられ、火災受信機から共通線及び信号線が配設されている。そして、火災感知器は、共通線及び信号線を介して火災受信機に接続されている。また、発信機は、共通線及び信号線を介して火災感知器と並列になるように火災受信機に接続され、さらに応答線を介して火災受信機と接続されている。(例えば、特許文献1参照)
一般的に、火災受信機には、発信機の操作により出力される火災信号を受信したことを表示する発信機灯が設けられている。発信機灯は赤色に点灯又は点滅することによって表示される。なお、発信機は人為的に操作されるため、発信機が操作される時は火災である確率が高く、発信機が操作されたことを瞬時に判断するために発信機灯は点灯又は点滅する。(例えば、特許文献2参照)
一方、発信機には、発信機の操作により出力される火災信号を火災受信機が受信したことを表示する応答灯が設けられている。応答灯は赤色に点灯又は点滅することによって表示される。(例えば、特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−282771号公報
【特許文献2】特開平5−282567号公報
【特許文献3】実開平5−064993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、火災受信機には発信機灯以外にも多くの表示灯があり、それらの表示灯は赤色又は橙色に点灯又は点滅するため、発信機灯が赤色に点灯したとしても、どの表示灯が点灯又は点滅しているのか瞬時に判断することが難しいことがあった。
【0005】
一方、発信機は、本体が赤色で構成されているため、応答灯が赤色で点灯したときに、視認しづらいと感じる虞があった。また、発信機の設置されている付近には、発信機の位置を知らせるために赤色に発光する表示灯が設置されており、表示灯の赤色発光によって、赤色に点灯する応答灯が視認しづらくなる虞があった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、火災受信機の発信機灯が点灯していることを瞬時に判断でき、かつ、発信機の応答灯が見えやすくなる火災報知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
赤色系統の色を有する本体と、透光性を有する板からなる押釦
とを有し、該押釦が操作されると火災信号を出力する発信機と、
該発信機の近傍に設けられ、該発信機の位置を表示する表示灯と、火災信号を受信し、火災を報知する火災受信機と、
を備える火災報知設備
であって、
表示灯は赤色系統の色で点灯又は点滅し、火災受信機は、発信機から出力される火災信号を受信したときに点灯又は点滅する発信機灯を有し、発信機は、火災受信機が火災信号を受信したときに出力する応答信号を受信すると点灯又は点滅する応答灯を有し、発信機灯
及び応答灯は、赤色系統以外の色であり、かつ
、同系色で点灯又は点滅することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、火災受信機の発信機灯及び発信機の応答灯が赤色系統以外の色で点灯又は点滅するので、発信機灯及び応答灯が視認しやすくなり、かつ、発信機が操作されたことを瞬時に判断することができる。また、発信機灯及び応答灯の色を同系色に統一したため、発信機灯と応答灯の連関性が明確になり、発信機が操作されて発信機灯が点灯又は点滅していることを直感的に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る火災報知設備の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る表示灯及び発信機の構成図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る表示灯の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る火災報知設備について、
図1乃至
図3に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る火災報知設備1の概略構成図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る表示灯30及び発信機10の構成図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る表示灯30の断面図である。
【0011】
火災報知設備1は、ビル等の建物の各部屋等に設置される火災感知器20と、各階における各部分からの距離が所定の距離以下となるように設置される発信機10と、火災感知器20及び/又は発信機10から出力される火災信号を受信して警報をする火災受信機2とからなる。
【0012】
火災受信機2は、P型受信機であり、共通線C及び信号線Lを介して1個又は複数の火災感知器20が接続される。また、火災受信機2は、共通線C及び信号線Lに加えて応答線Aを介して1個又は複数の発信機10が接続される。一般的に、P型火災受信機とは、共通線C及び信号線Lからなる感知器回線に接続されている火災感知器20及び/又は発信機10の電気的な接点が閉じることにより起こる感知器回線の電圧等の電気的な変化(火災信号)に基づいて火災を判断するものである。なお、本実施の形態では火災受信機2をP型受信機として説明するが、火災受信機2はこれだけに限られず、例えば、R型受信機でも良い。
【0013】
火災受信機2は、火災信号を受信したときに火災を音声で報知するための図示しないスピーカや、該スピーカから発する音響を停止するための音響停止スイッチ4、各種情報を表示する各種表示灯6及び地区窓8が設けられている。
【0014】
各種表示灯6は、火災感知器20が火災信号を出力して、火災受信機2側で蓄積していることを示す表示灯や、火災発生を示す表示灯、発信機10が操作されて火災信号が出力されたことを示す発信機灯6a等、異常を示す複数の表示灯からなる。発信機灯6aを除く各種表示灯6は、赤色系統の色(赤色や橙色)で点灯又は点滅し、火災又は異常等を報知する。発信機灯6aは、発信機灯6aを除く各種表示灯6とは異なる色、つまり赤色系統以外の色で点灯又は点滅する。具体的には、発信機灯6aは、例えば青色や青緑色のような青色系統の色で点灯又は点滅する。
【0015】
火災感知器20は、火炎によって生じる熱、煙、炎などを検出すると、共通線C及び信号線Lからなる感知器回線を介して火災受信機2に火災を検知した旨の信号である火災信号を出力する。なお、火災感知器20の火災信号とは、例えば、火災感知器20のスイッチング動作によって感知器回線のインピーダンスを小さくするものである。
【0016】
発信機10は、本体11が赤色で構成され、透光性を有する黒色系統の樹脂等の板からなる押釦12を有する。発信機10は、押釦12に連動する図示しないスイッチが設けられており、押釦12を押下すると、押釦12に連動してスイッチが閉じて、共通線C及び信号線Lが短絡すると共に、共通線C及び応答線Aが短絡する。発信機10は、これら短絡による電圧等の変化を火災信号として火災受信機2に出力する。
【0017】
発信機10の押釦12の背面側には、LED等からなる応答灯14が設けられている。応答灯14は、火災受信機2が火災信号を受信したときに出力する応答信号を発信機10が受信したときに、点灯又は点滅する表示灯である。なお、応答信号とは、例えば、火災受信機2が火災信号を受信したときにリレーを閉じることによる、共通線C及び応答線Aからなる発信機回線の電圧等の電気的な変化のことである。
【0018】
発信機10が応答信号を受信して応答灯14が点灯又は点滅すると、透光性を有する押釦12を通して視認することができる。応答灯14は、発信機10の本体11とは異なる色、つまり赤色系統以外の色で点灯又は点滅する。具体的には、応答灯14は青色や青緑色のような青色系統の色で点灯又は点滅する。即ち、応答灯14と発信機灯6aは同系色で構成される。
【0019】
なお、本発明に係る実施の形態では、押釦12が黒色系統の透光性を有し、押釦12の背面に設置される応答灯14が青色系統のLEDであると説明したが、押釦12を通して視認できる応答灯14の色が青色系統であれば良く、例えば、押釦12が青色系統の透光性を有し、応答灯14が白色系統のLEDで構成されても良い。
【0020】
ここで、従来より、発信機10付近には発信機の位置を表示する表示灯が設けられ、常時、赤色に発光している。一般的に、表示灯は発信機10付近で壁面から突出して設けられる略円錐状の形状からなる。このような一般的な表示灯(図示なし)を有する火災報知設備1においても、本発明を適用できることは言うまでもないが、本実施の形態では、そのような一般的な表示灯ではなく、発信機10と一体的に構成される表示灯30を、発信機の位置を表示する表示灯として説明する。
【0021】
表示灯30は発信機収容部32を有し、該発信機収容部32に発信機10を収容している。発信機10を収容した状態で、表示灯30は壁面Wの背面から固定される。表示灯30は、発信機収容部の周囲、即ち発信機10を収容した場合における発信機10の周囲が発光部34となっており、発光部の背面側にはLED等の発光素子36が設けられた基板38が組み込まれている。表示灯30の発光部は発信機10の周囲を囲むようにリング状に発光し、発信機10の位置が分かりやすくなっている。表示灯30の発光部は赤色で点灯又は点滅する。即ち、表示灯30は応答灯14の色とは異なる色で発光している。
【0022】
上記のような構成を持つ火災報知設備1の火災時における動作の説明を、
図1乃至
図3に基づいて、以下に説明する。
【0023】
先ず、火災時に、発信機10の操作者は発信機10の押釦12を押下する。すると、共通線C及び信号線Lが短絡すると共に、共通線C及び応答線Aが短絡し、そのことによる共通線C及び信号線L並びに共通線C及び応答線Aのインピーダンスが小さくなり、これを火災受信機2が火災信号として受信する。即ち、発信機10の押釦12が押下されると、発信機10から火災信号が出力されて、その火災信号を火災受信機2が受信する。
【0024】
次に、火災受信機2は、発信機10から出力された火災信号を受信すると、各種表示灯6のうち、火災発生を示す赤色で発光する表示灯を点灯又は点滅させると共に、青色系統の色で発光する発信機灯6aを点灯又は点滅させる。そして、火災受信機2は、火災信号を受信したことを示す応答信号を発信機10に出力する。
【0025】
最後に、発信機10は、火災受信機2から出力される応答信号を受信すると、青色系統の色で発光する応答灯14を点灯又は点滅させる。
【0026】
本発明の実施の形態に係る火災報知設備1は、上記のような構成及び動作をするため、以下のような効果を有する。
【0027】
火災報知設備1では、火災受信機2における発信機灯6aの色と、発信機灯6a以外の各種表示灯6の色とが異なっているため、発信機灯6aが視認しやすく、発信機10が操作されたときには、火災受信機2の盤面を見れば瞬時に発信機10が操作されたと判断することができる。
【0028】
また、発信機10の応答灯14の色と、発信機10の本体11の色及び表示灯30の発光している色とが異なっているため、応答灯14が点灯又は点滅していることが視認しやすくなる。
【0029】
また、発信機灯6aと応答灯14の色とを同系色に統一したため、火災受信機2又は操作された発信機10のいずれかを見ても、直感的に発信機10が操作されたことが分かりやすくなる。
【0030】
また、発信機灯6a及び応答灯14が青色系統で発光するため、ユニバーサルデザイン、いわゆるカラーバリアフリーとなっており、重要な表示灯である発信機灯6a及び応答灯14を色覚偏位者も視認しやすくなる。
【符号の説明】
【0031】
1 火災報知設備
2 火災受信機
4 音響停止スイッチ
6 各種表示灯
6a 発信機灯
8 地区窓
10 発信機
11 本体
12 押釦
14 応答灯
20 火災感知器
30 表示灯
32 発信機収容部
34 発光部
36 発光素子
38 基板
A 応答線
C 共通線
L 信号線
W 壁面