特許第6232212号(P6232212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6232212-洗浄液生成装置及び基板洗浄装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232212
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】洗浄液生成装置及び基板洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   H01L21/304 648G
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 647Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-119525(P2013-119525)
(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-53592(P2014-53592A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2016年6月2日
(31)【優先権主張番号】特願2012-177122(P2012-177122)
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 邦浩
(72)【発明者】
【氏名】林 航之介
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−016497(JP,A)
【文献】 特開2010−201397(JP,A)
【文献】 特開2005−183937(JP,A)
【文献】 特開2005−093926(JP,A)
【文献】 特開2012−015293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性又はアルカリ性の液体に過酸化水素水を混合して混合液を生成し、その生成した混合液の圧力を前記過酸化水素水が分解して生じた酸素ガス又は反応熱により発生した蒸気により高める密閉構造の混合部と、
前記混合部に前記液体を供給する第1の供給部であって、前記液体が流れる方向を前記混合部側への一方向にして逆流を防止する逆止弁を介して接続された第1の供給部と、
前記混合部に前記過酸化水素水を供給する第2の供給部であって、前記過酸化水素水が流れる方向を前記混合部側への一方向にして逆流を防止する逆止弁を介して接続された第2の供給部と、
前記混合部の流出側に接続され、前記混合液が通過する貫通孔を有し、前記混合部によって圧力の高められた前記混合液を前記貫通孔に通して、前記混合部により高められた前記混合液の圧力を開放し、前記混合液中に複数の微小気泡を発生させる気泡発生部と、
この気泡発生部により発生した前記複数の微小気泡を含む混合液を吐出する吐出配管と、
を有し、
前記気泡発生部に設けられる前記貫通孔は、前記吐出配管の内径よりも細く、かつ、前記混合部の配管の内径よりも細いことを特徴とする洗浄液生成装置。
【請求項2】
前記液体を加熱する加熱部をさらに備え、
前記混合部は、前記加熱部により加熱された前記液体と前記過酸化水素水とを混合することを特徴とする請求項1に記載の洗浄液生成装置。
【請求項3】
前記混合部の配管の内径は、前記第1の供給配管の内径及び前記第2の供給配管の内径よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄液生成装置。
【請求項4】
記混合部は、前記液体と前記過酸化水素水とを攪拌する攪拌構造を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の洗浄液生成装置。
【請求項5】
前記気泡発生部は、
記貫通孔の開口度を調整する調整機構を具備していることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の洗浄液生成装置。
【請求項6】
前記混合部内の前記混合液の温度及び圧力の両方又はどちらか一方を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記温度及び圧力の両方又はどちらか一方に基づいて、前記調整機構により前記貫通孔の開口度を制御する制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の洗浄液生成装置。
【請求項7】
記吐出配管は、45度以上の屈曲部を少なくとも一個有していることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の洗浄液生成装置。
【請求項8】
記吐出配管の途中に設けられた網部材と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の洗浄液生成装置。
【請求項9】
前記混合部はセラミック材料により形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の洗浄液生成装置。
【請求項10】
酸性又はアルカリ性の液体に過酸化水素水を混合して混合液を生成し、その生成した混合液の圧力を前記過酸化水素水が分解して生じた酸素ガス又は反応熱により発生した蒸気により高める密閉構造の混合部と、
前記混合部に前記液体を供給する第1の供給部であって、前記液体が流れる方向を前記混合部側への一方向にして逆流を防止する逆止弁を介して接続された第1の供給部と、
前記混合部に前記過酸化水素水を供給する第2の供給部であって、前記過酸化水素水が流れる方向を前記混合部側への一方向にして逆流を防止する逆止弁を介して接続された第2の供給部と、
前記混合部の流出口側に接続され、前記混合液が通過する貫通孔を有し、前記混合部によって圧力の高められた前記混合液を前記貫通孔を通して、前記混合部の圧力を開放し、前記混合液中に複数の微小気泡を発生させる気泡発生部と、
この気泡発生部により発生した前記複数の微小気泡を含む混合液を吐出する吐出配管と、
前記気泡発生部により発生した前記複数の微小気泡を含む混合液を前記吐出配管から吐出することにより基板を洗浄する洗浄部と、を備え、
前記気泡発生部に設けられる前記貫通孔は、前記吐出配管の内径よりも細く、かつ、前記混合部の配管の内径よりも細いことを特徴とする基板洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗浄液生成装置及び基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板洗浄装置は、基板に洗浄液を供給し、その基板に対して洗浄処理(例えば、レジスト剥離やパーティクル除去、金属除去など)を行う装置である。この基板洗浄装置は、例えば半導体装置や液晶表示装置などの製造工程に広く普及している。半導体装置の製造工程において、半導体基板に塗布されたレジストを剥離する技術としては、硫酸と過酸化水素水を混合したSPM(Sulfuric acid and Hydrogen Peroxide Mixture:硫酸過酸化水素水)処理液によりレジストを除去する技術が用いられている。
【0003】
このSPM処理液を用いた半導体基板の枚葉洗浄には、硫酸と過酸化水素水を半導体基板上で混合する方法や、硫酸と過酸化水素水を混合してから半導体基板上に吐出する方法などがある。この、SPM処理液による洗浄後、半導体基板は水洗及び乾燥されてから、あるいは、その水洗後に別の洗浄薬液で再度洗浄されてから水洗及び乾燥された後に、次の製造工程に運ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−54378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のようなSPM処理液を用いて洗浄を行うだけでは、洗浄が不十分となるため、洗浄性能の向上が求められている。例えば、半導体基板の表面にイオン注入が行われた場合には、そのイオン注入後にレジスト膜の表面は硬化(変質)する。この硬化したレジストを前述のSPM処理液により除去することは困難であり、半導体基板上にはレジストの残渣が残ってしまう。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、洗浄性能を向上させることができる洗浄液生成装置及び基板洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る洗浄液生成装置は、酸性又はアルカリ性の液体に過酸化水素水を混合して混合液を生成し、その生成した混合液の圧力を前記過酸化水素水が分解して生じた酸素ガス又は反応熱により発生した蒸気により高める密閉構造の混合部と、前記混合部に前記液体を供給する第1の供給部であって、前記液体が流れる方向を前記混合部側への一方向にして逆流を防止する逆止弁を介して接続された第1の供給部と、前記混合部に前記過酸化水素水を供給する第2の供給部であって、前記過酸化水素水が流れる方向を前記混合部側への一方向にして逆流を防止する逆止弁を介して接続された第2の供給部と、前記混合部の流出側に接続され、前記混合液が通過する貫通孔を有し、前記混合部によって圧力の高められた前記混合液を前記貫通孔に通して、前記混合部により高められた前記混合液の圧力を開放し、前記混合液中に複数の微小気泡を発生させる気泡発生部と、この気泡発生部により発生した前記複数の微小気泡を含む混合液を吐出する吐出配管と、を有し、前記気泡発生部に設けられる前記貫通孔は、前記吐出配管の内径よりも細く、かつ、前記混合部の配管の内径よりも細いことを特徴とする
【0009】
実施形態に係る基板洗浄装置は、酸性又はアルカリ性の液体に過酸化水素水を混合して混合液を生成し、その生成した混合液の圧力を前記過酸化水素水が分解して生じた酸素ガス又は反応熱により発生した蒸気により高める密閉構造の混合部と、前記混合部に前記液体を供給する第1の供給部であって、前記液体が流れる方向を前記混合部側への一方向にして逆流を防止する逆止弁を介して接続された第1の供給部と、前記混合部に前記過酸化水素水を供給する第2の供給部であって、前記過酸化水素水が流れる方向を前記混合部側への一方向にして逆流を防止する逆止弁を介して接続された第2の供給部と、前記混合部の流出口側に接続され、前記混合液が通過する貫通孔を有し、前記混合部によって圧力の高められた前記混合液を前記貫通孔を通して、前記混合部の圧力を開放し、前記混合液中に複数の微小気泡を発生させる気泡発生部と、この気泡発生部により発生した前記複数の微小気泡を含む混合液を吐出する吐出配管と、前記気泡発生部により発生した前記複数の微小気泡を含む混合液を前記吐出配管から吐出することにより基板を洗浄する洗浄部と、を備え、前記気泡発生部に設けられる前記貫通孔は、前記吐出配管の内径よりも細く、かつ、前記混合部の配管の内径よりも細いことを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗浄性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の一形態に係る基板洗浄装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示す基板洗浄装置が備える混合部及び気泡発生部の概略構成を示す図である。
図3図1に示す基板洗浄装置が行う基板洗浄工程(洗浄液生成工程も含む)の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係る基板洗浄装置1は、洗浄液を生成する洗浄液生成装置2と、その洗浄液生成装置2により生成された洗浄液を用いて基板Wを洗浄する洗浄部3と、各部を制御する制御部4とにより構成されている。
【0015】
洗浄液生成装置2は、酸性の液体の一例である硫酸を加熱して供給する第1の供給部11と、過酸化水素水を供給する第2の供給部12と、第1の供給部11から供給された硫酸と第2の供給部12から供給された過酸化水素水を混合する混合部13と、その混合部13により生成された混合液中に複数の微小気泡を発生させる気泡発生部14と、その気泡発生部14により発生した複数の微小気泡を含む混合液を吐出する吐出配管15とを備えている。
【0016】
第1の供給部11は、硫酸を貯留するタンクなどの第1の貯留部11aと、その第1の貯留部11aにつながる循環配管11bと、その循環配管11bから混合部13に硫酸を供給する第1の供給配管11cと、混合部13に硫酸を圧送する第1の圧送部11dと、循環配管11bを流れる硫酸を加熱する加熱部11eとを具備している。
【0017】
循環配管11bは、第1の貯留部11a内の硫酸が循環配管11bを流れて再び第1の貯留部11a内に戻ってくるように接続されている。この循環配管11bの途中には、循環配管11bを流れる硫酸の流量を調整する流量調整弁V1が設けられている。この流量調整弁V1は制御部4に電気的に接続されており、その制御部4による制御に応じて循環配管11bを流れる硫酸の流量を調整する。例えば、循環配管11bを流れる硫酸の流量は流量調整弁V1により一定になるように調整される。
【0018】
第1の供給配管11cは、循環配管11bと混合部13とを接続する配管である。この第1の供給配管11cには、硫酸が流れる方向を一方向にして逆流を防止する逆止弁V2と、第1の供給配管11cを開閉する開閉弁V3とが設けられている。この開閉弁V3は制御部4に電気的に接続されており、その制御部4による制御に応じて第1の供給配管11cを開閉し、混合部13に対する硫酸の供給を制御する。
【0019】
第1の圧送部11dは制御部4に電気的に接続されており、その制御部4による制御に応じて硫酸を加圧することにより硫酸を循環配管11bに循環させ、また、混合部13に第1の供給配管11cを介して硫酸を圧送する。この第1の圧送部11dとしては、例えば、ポンプを用いることが可能である。
【0020】
加熱部11eは、循環配管11bの途中にその循環配管11bを流れる硫酸を加熱可能に設けられている。この加熱部11eは制御部4に電気的に接続されており、その制御部4による制御に応じて循環配管11bを流れる硫酸を加熱する。この加熱部11eとしては、例えば、ヒータを用いることが可能である。ヒータ温度は、60℃〜160℃の範囲内(60℃以上160℃以下の範囲内)で、例えば120℃に設定されており、硫酸高温循環温度は120℃とされている。この温度であれば、高温加熱された硫酸と常温の過酸化水素水を混合した際の反応熱のみで洗浄プロセスに使用することができ(洗浄プロセスにおいての好適な液温は、例えば140℃〜180℃である)、基板Wに損傷を与えることもなく処理を効率的に行うことができる。
【0021】
第2の供給部12は、過酸化水素水を貯留するバッファタンクなどの第2の貯留部12aと、その第2の貯留部12aから混合部13に過酸化水素水を供給する第2の供給配管12bと、混合部13に過酸化水素水を圧送する第2の圧送部12cとを具備している。
【0022】
第2の供給配管12bは、第2の貯留部12aと混合部13とを接続する配管である。この第2の供給配管12bには、過酸化水素水が流れる方向を一方向にして逆流を防止する逆止弁V4と、第2の供給配管12bを開閉する開閉弁V5とが設けられている。この開閉弁V5は制御部4に電気的に接続されており、その制御部4による制御に応じて第2の供給配管12bを開閉し、混合部13に対する過酸化水素水の供給を制御する。
【0023】
第2の圧送部12cは制御部4に電気的に接続されており、その制御部4による制御に応じて加圧により混合部13に第2の供給配管12bを介して過酸化水素水を圧送する。この第2の圧送部12cとしては、例えば、ポンプを用いることが可能である。
【0024】
混合部13は密閉構造とされ、第1の供給配管11cから供給された高温(例えば、120℃)の硫酸と第2の供給配管12bから供給された常温の過酸化水素水を混合して混合液(SPM:硫酸過酸化水素水)を生成する。さらに混合部13は、その生成した混合液の圧力を過酸化水素水が分解して生じた酸素ガス又は反応熱により発生した蒸気により高める装置である。
【0025】
この混合部13は、混合液の温度が高くなるため、例えば、フッ素樹脂などの高温対応樹脂、あるいは、SiCやSiなどのセラミック材料により形成されている。混合部13がセラミック材料により形成されている場合には、セラミック材料が耐熱性に優れているため、例えば120〜160℃などの高温に容易に耐えることができる。
【0026】
このような混合部13は、図2に示すように、第1の供給配管11cから供給された高温の硫酸と第2の供給配管12bから供給された常温の過酸化水素水とを混合する混合配管13aと、その混合配管13a内で硫酸及び過酸化水素水を攪拌する攪拌構造13bとを有している。
【0027】
混合配管13aは、圧送された高温の硫酸と圧送された常温の過酸化水素水とを混合する配管である。この混合配管13aは、混合部13の容量が大きくなるように、すなわち混合配管13aの内径(太さ)が第1の供給配管11cの内径及び第2の供給配管12bの内径よりも大きくなるように形成されている。これにより、混合配管13aの内径が第1の供給配管11c及び第2の供給配管12bそれぞれの内径以下である場合に比べ、混合配管13aの内部を流れる混合液の流速を遅くすることが可能となる。流速が遅くなると、硫酸と過酸化水素水が反応するために使われる時間が長くなるため、短い配管長においても十分に反応させることができる。ただし、混合配管13aの配管径を太くすることは必須ではなく、硫酸と過酸化水素水が十分に反応する時間を取れれば、混合配管13aの配管径を太くしなくても良い。例えば、混合配管13aの配管径を第1の供給配管11c及び第2の供給配管12bと同一とし、混合配管13aの配管長を長くするようにしても良い。
【0028】
攪拌構造13bは、混合配管13aの内部に硫酸及び過酸化水素水を攪拌可能に設けられており、攪拌によって高温の硫酸と常温の過酸化水素水との混合を促進する。この攪拌構造13bとしては、例えば、混合部13の内壁に流路が螺旋状となるような複数枚の羽根を設けた攪拌構造を用いることが可能である。なお、混合配管13aのみで硫酸と過酸化水素水との混合が十分となる場合には、攪拌構造13bを設けなくても良い。
【0029】
また、前述の混合部13には、その内部の混合液の温度及び圧力の両方を検出する検出部13cが設けられている。この検出部13cは制御部4に電気的に接続されており、検出した温度及び圧力を制御部4に出力する。なお、検出部13cとしては、混合液の温度及び圧力の両方を検出する検出部以外にも、混合液の温度及び圧力のどちらか一方を検出する検出部を用いるようにしても良い。このような検出部13cの検出結果に基づいて、制御部4は、加熱部11eの温度設定を制御することができ、さらに、第1の圧送部11dや第2の圧送部12cの圧力を制御することができる。
【0030】
気泡発生部14は、図2に示すように、混合液が通過する貫通孔H1が形成されたオリフィス部材14aと、その貫通孔H1の開口度を調整する調整機構14bとを備えている。
【0031】
貫通孔H1は、混合部13の配管13aの内径及び吐出配管15の内径より非常に細く、すなわち微小気泡を発生可能な内径サイズに形成されている。また、調整機構14bは制御部4に電気的に接続されており、その制御部4による制御に応じて貫通孔H1の開口度を調整する。なお、調整機構14bとしては、例えば、貫通孔H1を塞ぐ部材を移動させて貫通孔H1の開口度を変更する調整機構を用いることが可能である。
【0032】
このとき、制御部4は、検出部13cにより検出された温度及び圧力を用いて、希望する所定数の微小気泡を安定して発生させるように調整機構14bにより貫通孔H1の開口度を制御する。例えば、検出部13cによって検出された温度や圧力が、予め実験によって求められた希望する所望数の微小気泡を得るために必要な温度や圧力と比べて低い場合には、貫通孔H1の開口度は狭く制御する。これにより、所望数の微小気泡を含む混合液を安定して得ることが可能となる。
【0033】
この気泡発生部14は、混合部13の流出口側に接続されており、混合部13内の混合液を貫通孔H1に通してその圧力を開放し、混合液中に多数の微小気泡を発生させる。混合部13において、混合液(溶液)の温度は反応熱(中和熱)により供給前の硫酸の温度以上となり、過酸化水素水は分解して水と酸素ガスとが発生する。また、混合液の温度が100℃を超える温度となるため、水の一部が水蒸気となる。このため、気泡発生部14の直前では、貫通孔H1を通過する混合液中に発生しているガス(酸素ガス及び蒸気)により、内部圧が高くなって混合液の沸点上昇が起こる。さらに、ガスを含む混合液が細孔である貫通孔H1を通過する際、その混合液中のガスが分断されて微小(微細)な気泡となる。
【0034】
なお、気泡発生部14としては、オリフィス部材14a以外にも、例えば、ベンチュリ管などを用いることが可能であるが、前述の混合液中に微小気泡を発生させることが可能な構造であれば良く、その構造は特に限定されるものではない。
【0035】
ここで、微小気泡は、マイクロバブル(MB)やマイクロナノバブル(MNB)、ナノバブル(NB)などの概念を含む気泡である。例えば、マイクロバブルは10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは数百nm以下の直径を有する気泡である。
【0036】
図1に戻り、吐出配管15は、気泡発生部14により発生した複数の微小気泡を含む混合液を吐出する配管であり、その吐出側の先端部が基板Wの表面に向けた状態で洗浄部3に設けられている。微小気泡を含む液体は、基板Wの洗浄効率を向上させる特徴がある。微小気泡は液中での浮上速度が遅く、液中に長く留まり、基板W上に存在するパーティクルなどの異物と接触することで、異物を吸着、除去する性質を有している。
【0037】
吐出配管15は、その内径(太さ)が第1の供給配管11cの内径及び第2の供給配管12bの内径より大きくなるように形成されている。これにより、吐出配管15の内径が第1の供給配管11c及び第2の供給配管12bそれぞれの内径以下である場合に比べ、吐出配管15を流れる混合液の流速を下げることが可能となるので、吐出配管15から吐出された混合液が基板Wの表面に与えるダメージを軽減することができる。
【0038】
また、吐出配管15は、その一箇所に90度の屈曲部15aを有している。すなわち、吐出配管15は、屈曲部15aとして45度以上の屈曲部を少なくとも一個有している。これにより、吐出配管15がストレートである場合に比べ、吐出配管15を流れる混合液の流速を下げることが可能となるので、吐出配管15から吐出された混合液が基板Wの表面に与えるダメージを減らすことができる。さらに、混合液中の微小気泡を吐出配管15の内壁へ衝突させることが可能となるので、微小気泡をさらに分断して細分化することができる。
【0039】
また、吐出配管15は、複数の微小気泡を含む混合液の流速を落とすとともに微小気泡を細分化する網部材15bを有している。この網部材15bはメッシュ状に形成されており、吐出配管15の内部に設けられている。これにより、吐出配管15を流れる混合液の流速を遅くすることが可能となるので、吐出配管15から吐出された混合液が基板Wの表面に与えるダメージをさらに減らすことができる。加えて、混合液中の微小気泡を分断することも可能となるので、微小気泡をより細分化することができる。
【0040】
なお、前述の吐出配管15としては、内径(太さ)が一定である配管を用いているが、これに限るものではなく、例えば、ロケットノズル形状(テーパー形状)の配管を用いるようにしても良い。
【0041】
洗浄部3は、多数の微小気泡を含む混合液を用いて基板Wの表面からレジスト膜を除去する洗浄装置である。この洗浄部3は、基板Wを回転させる回転機構3aと、その回転機構3aにより回転する基板W上に前述の混合液を供給するノズル3bとを備えている。このノズル3bは吐出配管15の一端部であり、そのノズル3bから前述の混合液が洗浄液として吐出されることになる。すなわち、洗浄部3は、ノズル3bから洗浄液としての多数の微小気泡を含む混合液を、回転する基板Wの表面に向けて供給することによって、基板Wの表面からレジスト膜を除去する。基板W上から洗浄部3の底面に流れた洗浄液は、その底面に接続された排液管(図示せず)を流れて排液される。
【0042】
ここで、前述の洗浄部3としては、基板Wの表面からレジスト膜を除去する洗浄部を用いているが、これに限るものではなく、例えば、基板Wの表面から金属を除去する洗浄部やパーティクルを除去する洗浄部を用いるようにしても良い。この場合には、酸性の液体として、レジスト膜除去用の硫酸(HSO)以外に、金属除去用の塩酸(HCl)を用いることが可能であり、また、アルカリ性の液体として、パーティクル除去用の水酸化アンモニウム(NHOH)を用いることが可能である。なお、塩酸を用いた場合には、塩酸と過酸化水素水との混合液はHPM(塩酸過酸化水素水)となる。また、水酸化アンモニウムを用いた場合には、水酸化アンモニウムと過酸化水素水との混合液はAPM(アンモニア過酸化水素水)となる。さらに、洗浄部3としては、基板Wを回転させながら処理する洗浄部に限らず、基板Wをローラ搬送するような洗浄部を用いることも可能である。
【0043】
制御部4は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータ、さらに、洗浄液生成及び基板洗浄に関する処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部を備えている。この制御部4は、処理情報や各種プログラムに基づいて、洗浄液生成装置2により洗浄液として前述の多数の微小気泡を含む混合液(SPM:硫酸過酸化水素水)を生成し、その生成した混合液を用いて洗浄部3により基板Wを洗浄する制御を行う。
【0044】
次に、前述の基板洗浄装置1が行う基板洗浄工程(洗浄液を生成する洗浄液生成工程も含む)について図3を参照して説明する。
【0045】
図3に示すように、実施形態に係る基板洗浄工程は、硫酸を加熱する工程(ステップS1)、加熱後の硫酸及び常温の過酸化水素水を混合する工程(ステップS2)、混合液中に多数の微小気泡を発生させる工程(ステップS3)、混合液により基板を洗浄する工程(ステップS4)、最後に、基板を水洗して乾燥する工程(ステップS5)を有している。
【0046】
詳述すると、まず、第1の圧送部11dにより循環配管11bを循環している硫酸が、加熱部11eにより加熱されて所定温度(例えば、120℃)に加温される(ステップS1)。この加温により、循環配管11bを循環している硫酸の温度は所定温度で一定に維持されている。
【0047】
その後、第1の供給配管11c中の開閉弁V3及び第2の供給配管12b中の開閉弁V5が制御部4により開状態とされると、高温の硫酸及び常温の過酸化水素水が圧送により混合部13に供給される。供給された高温の硫酸及び常温の過酸化水素水が混合部13により混合されて混合液が生成され、さらに、その生成された混合液の圧力が高められる(ステップS2)。
【0048】
このとき、混合部13では、混合液(溶液)の温度は反応熱(中和熱)により、供給された硫酸の温度以上となり、過酸化水素水は分解して水と酸素ガスとが発生する。さらに、混合液の温度が100℃を超える温度となるため、水の一部が水蒸気となる。過酸化水素水が分解することで発生した酸素ガス又は沸騰して発生した蒸気により混合液の圧力が高められる。なお、混合部13の攪拌構造13bにより高温の硫酸と過酸化水素水とが攪拌され、それらの混合も促進されている。
【0049】
次いで、圧力が上昇した混合液は気泡発生部14の貫通孔H1を通過すると、その混合液中には圧力開放により複数の微小気泡が発生する(ステップS3)。このとき、気泡発生部14において、混合液中に酸素ガス及び蒸気が発生しているため、内部圧が高くなって混合液の沸点上昇が起こる。さらに、酸素ガス及び蒸気を含む混合液が細孔の貫通孔H1を通過する際、その混合液中の酸素ガス及び蒸気が分断されて微小な気泡となる。なお、貫通孔H1が混合部13の配管13aの内径より非常に細くなっているので、この貫通孔H1は混合液の圧力上昇に寄与する。
【0050】
その後、多数の微小気泡を含む混合液が吐出配管15を流れ、その吐出配管15の先端部であるノズル3bから基板Wの表面に向けて吐出され、混合液により基板Wの表面からレジスト膜が除去されて基板Wの表面が洗浄される(ステップS4)。この洗浄時、基板Wは回転機構3aにより平面内で回転している。
【0051】
この混合液を用いた洗浄後、基板Wは水洗され、その水洗後に乾燥されて(ステップS5)、次の製造工程に運ばれる。なお、乾燥では、洗浄部3の回転機構3aにより基板Wを回転させてその遠心力により基板W上の水を振り切る乾燥方法や、速乾性を有する有機溶剤(例えば、IPA:イソプロピルアルコール)を塗布してから前述と同様に基板W上の有機溶剤を振り切る乾燥方法などを用いることが可能である。
【0052】
このような基板洗浄工程によれば、高温に温められた硫酸と常温の過酸化水素水との混合による反応熱(中和熱)により混合液の温度が上昇するため、高温及び高酸化力で有機レジストの除去を行うことができる。加えて、過酸化水素水が分解することで発生した酸素ガス又は沸騰して発生した蒸気により混合液の圧力を高め、沸点上昇を利用して混合液の温度をさらに上昇させることが可能となり、レジスト除去性能をより高めることができる。また、過酸化水素水が分解することで発生した酸素ガス又は沸騰して発生した蒸気により圧力を高められた混合液は、その後、貫通孔H1を通過することで圧力開放されて、混合液中に複数の微小気泡が発生し、この微小気泡を含む混合液により基板W上で炭化したレジストなどの残渣を気泡とともに容易に取り除くことが可能となるので、洗浄性能を向上させることができる。また、過酸化水素水が分解することで発生した酸素ガス又は沸騰して発生した蒸気を混合液と一緒に細い貫通孔H1に通すことで、その混合液中の酸素ガス及び蒸気を分断して微小な気泡とすることもできる。なお、硫酸は高温においても安定するが、過酸化水素水は分解反応が促進するため、混合の前に過酸化水素水を高温にすることは行われない。
【0053】
また、混合部13では、混合配管13aの内径が第1の供給配管11cの内径及び第2の供給配管12bの内径より大きいため、混合液の流速が落ちることになる。加えて、吐出配管15でも、その吐出配管15の内径が第1の供給配管11cの内径及び第2の供給配管12bの内径より大きいため、やはり混合液の流速が落ちることになり、さらに、吐出配管15の屈曲部15aや網部材15bによっても混合液の流速が落ちることになる。これらのことから、吐出配管15を流れる混合液の流速を遅くし、吐出配管15から吐出された混合液が基板Wの表面に与えるダメージを軽減することができる。
【0054】
また、気泡発生部14では、調整機構14bが制御部4により制御され、貫通孔H1の開口度が調整される。すなわち、制御部4は、検出部13cにより検出された温度及び圧力を用い、貫通孔H1の開口度が所望数の微小気泡を安定して発生させる開口度となるように調整機構14bを制御する。これにより、所望数の微小気泡を含む混合液を安定して得ることができる。
【0055】
また、吐出配管15では、混合液中の多数の微小気泡がその吐出配管15の屈曲部15aによって吐出配管15の内壁に衝突する。このため、微小気泡を分断して細分化することができる。加えて、多数の微小気泡を含む混合液が網部材15bを通過するため、微小気泡をさらに分断することが可能となるので、微小気泡をより細分化することができる。このようにして多数の微小気泡を含む混合液を安定して確実に得ることができる。
【0056】
以上説明したように、実施形態によれば、硫酸に過酸化水素水を混合して混合液を生成し、その生成した混合液の圧力を過酸化水素水が分解して生じた酸素ガス又は反応熱により発生した蒸気により高め、その高めた混合液の圧力を開放して混合液中に複数の微小気泡を発生させる。これにより、過酸化水素水が分解することで発生した酸素ガス又は沸騰して発生した蒸気により混合液の圧力を高め、沸点上昇を利用して混合液の温度を上昇させることが可能となり、基板Wの表面からレジスト膜を除去する洗浄性能を向上させることができる。さらに、過酸化水素水が分解することで発生した酸素ガス又は沸騰して発生した蒸気を含む混合液の圧力が開放され、混合液中に複数の微小気泡が発生し、この微小気泡を含む混合液により基板W上のレジストなどの残渣を容易に取り除くことが可能となるので、洗浄性能を向上させることができる。
【0057】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 基板洗浄装置
2 洗浄液生成装置
3 洗浄部
4 制御部
11c 第1の供給配管
11d 第1の圧送部
11e 加熱部
12b 第2の供給配管
12c 第2の圧送部
13 混合部
13a 混合配管
13b 攪拌構造
13c 検出部
14 気泡発生部
14a オリフィス部材
14b 調整機構
15 吐出配管
15a 屈曲部
15b 網部材
図1
図2
図3