(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232235
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】変換器
(51)【国際特許分類】
H01P 5/107 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
H01P5/107 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-188153(P2013-188153)
(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-56722(P2015-56722A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】恩塚 辰典
【審査官】
米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−100907(JP,A)
【文献】
特開2006−013868(JP,A)
【文献】
特開平08−162810(JP,A)
【文献】
特開2011−055377(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/071877(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面線路が形成された誘電体基板を、導波管と短絡導波管とで挟んで保持し、前記平面線路と前記導波管とを接続する変換器であって、
前記短絡導波管が、前記平面線路の信号伝送方向に直交する方向を長辺とする矩形形状で、前記誘電体基板に対向する上面部と、前記上面部の一方の長辺に接続し前記平面線路が導入される挿入口を有する第1の長辺側フランジ部と、前記上面部の他方の長辺に接続する第2の長辺側フランジ部とを備えた略U字溝形状に形成されていることを特徴とする変換器。
【請求項2】
第1の長辺側フランジ部は、平面線路の信号伝送方向に平行に形成された複数のスリットを備え、前記複数のスリットによって複数のブロックに分割されていることを特徴とする請求項1記載の変換器。
【請求項3】
第2の長辺側フランジ部は、平面線路の信号伝送方向に平行に形成された複数のスリットを備え、前記複数のスリットによって複数のブロックに分割されていることを特徴とする請求項1記載の変換器。
【請求項4】
スリットの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/8以下であることを特徴とする請求項2又は3記載の変換器。
【請求項5】
ブロックの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/4以下であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記載の変換器。
【請求項6】
第1の長辺側フランジ部及び第2の長辺側フランジ部は、それぞれ平面線路の信号伝送方向に平行に形成された複数のスリットを備え、前記複数のスリットによって複数のブロックに分割されており、
前記各スリットの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/8以下であり、
前記各ブロックの幅は、前記導波管の伝送信号の波長の1/4以下であることを特徴とする請求項1記載の変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管回路と誘電体基板に形成された平面回路との間で高周波信号の伝送形態を変換する変換器に係り、特にスプリアスを抑制して、使用帯域を広帯域化することができ、更に設計及び製造コストを低減できる変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明:
図9]
従来の変換器について
図9を用いて説明する。
図9は、従来の変換器の構成図であり、(a)は斜視図、(b)はz軸方向から見た図、(c)はx軸方向から見た図、(d)はy軸方向から見た図である。
図9(a)に示すように、従来の変換器は、矩形の導波管51と、矩形の短絡導波管52と、誘電体基板53とを備え、導波管51と短絡導波管52とで誘電体基板53を挟むように配置されている。
【0003】
誘電体基板53の表面(短絡導波管52が形成されている面)側には、平面回路であるマイクロストリップ線路54及びプローブ55が形成されている。プローブ55の先端は、短絡導波管52の伝送空間に突出する位置に配置されている。
また、図では省略しているが、誘電体基板53の表面側には、短絡導波管52の開口部端面に接続する接地導体パターンが形成されている。
誘電体基板53の裏面側(導波管51側)には、導波管51の伝送面を除いて全体に接地パターンが形成されており、接地パターンは導波管51の開口部端面に接続している。
【0004】
そして、短絡導波管52は、導波管51の信号の伝送方向に垂直な断面における管内寸法が、導波管51の管内寸法と同一の寸法となっており、短絡導波管52の、伝送方向に垂直な壁面が短絡面となっている。
これにより、導波管51と短絡導波管52とが一体の導波管として機能し、高周波の漏洩を防止するようになっている。
【0005】
[従来の変換器の短絡導波管の構成:
図10]
従来の変換器における短絡導波管52の構成について
図10を用いて説明する。
図10は、従来の変換器における短絡導波管52の鳥瞰図であり、(a)は誘電体基板53の表面側から見た図、(b)は誘電体基板53の裏面側から見た図である。
図10(a)(b)に示すように、従来の短絡導波管52は、誘電体基板53に対向する上面部521と、上面部521の周囲を取り囲む側面部(フランジ部)とを備え、略箱型の形状となっている。
側面部は、長辺側に形成された長辺側フランジ部522,523と、短辺側に形成された短辺側フランジ部524,525とを備えている。
【0006】
そして、従来の短絡導波管52は、一方の長辺側フランジ部(ここでは長辺側フランジ部522)の中央部分に、マイクロストリップ線路54を通す挿入口526が形成されている。
また、長辺側フランジ部522,523の内壁面は、導波管伝送路の短絡面となっている。
そして、短絡導波管52は、箱型を伏せた状態で、開口部端面が誘電体基板53の表面側に接するように搭載される。
【0007】
[従来の変換器の特性:
図11]
次に、
図9に示した従来の変換器の変換特性についてシミュレーションを行った結果について
図11を用いて説明する。
図11は、従来の変換器の変換特性を示す特性図であり、(a)は変換特性、(b)は通過特性を詳細に示したものである。尚、
図11では、実線は通過特性、破線はリターンロスを示している。
【0008】
シミュレーションの条件について説明する。
図9の変換器において、誘電体基板53として、比誘電率(er)が8.6、厚さ0.1mmの誘電体基板を用い、マイクロストリップ線路14は、50Ω(オーム)、導波管11の寸法は、1.55mm×3.1mmとしている。使用帯域は、60GHz〜90GHzとした。
短絡導波管52のフランジ寸法(フランジ部の厚さ)は0.5mm、内壁高さ(フランジ部の内側の高さ)は0.5mmとしている。
【0009】
図11(a)(b)に示すように、従来の変換器では、スプリアスが生じているものの、60GHz及び70〜75GHz付近においてマイクロストリップ−導波管変換器として使用できる特性が得られた。
しかし、
図11に示すように、不要な共振が使用帯域のすぐ近くにあり、通過損失を著しく悪化させている。
【0010】
そのため、広帯域の変調波を扱う場合には、不要共振によって特性が劣化してしまうことになる。そこで、スプリアスを避けるために、使用する帯域が決まると、その都度寸法を変更して設計を行い、特性を確認してから製造を行うようにしていた。
【0011】
[関連技術]
尚、変換器の従来技術としては、特開2002−100907号公報「高周波線路の変換器」(新日本無線株式会社、特許文献1)、特開2006−013868号公報「導波管−平面伝送線路変換器の製造方法」(新日本無線株式会社、特許文献2)がある。
【0012】
特許文献1には、変換器において、誘電体基板13中の高周波の実効波長がλの場合に、表面側の接地導体パターンの幅を、n・λ/4(n:奇数)近傍の幅とし、短絡導波管12の壁の厚さを接地導体の幅より小さくするように形成し、誘電体基板の両面に形成された接地パターンを導通するスルーホールを不要とすることが記載されている。
【0013】
また、特許文献2には、短絡導波管終端を形成する基材上に、凹部を形成する開口パターニングを備えたマスク材を形成し、マスク材の開口内に露出する基材表面に、微細砥粒を噴霧させて凹部を形成し、当該凹部の底面を短絡面とする短絡導波管終端を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−100907号公報
【特許文献2】特開2006−013868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来の変換器では、スプリアスが発生するため使用可能な帯域が狭く、製品の適用範囲が限定され、更に設計に要する時間とコストも増大するという問題点があった。
また、従来の変換器では、短絡導波管の形状が複雑で且つ微細であるため、製造が困難で、切削加工の加工費用が高くなって製造コストが増大するという問題点があった。
【0016】
尚、特許文献1及び特許文献2には、短絡導波管において短辺側のフランジ(側面)を設けずに、短絡導波管をU字溝形状に形成することは記載されていない。
【0017】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、スプリアスを抑制して、広い帯域で使用することができると共に、製造及び設計に要するコストを低減できる変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、平面線路が形成された誘電体基板を、導波管と短絡導波管とで挟んで保持し、平面線路と導波管とを接続する変換器であって、短絡導波管が、平面線路の信号伝送方向に直交する方向を長辺とする矩形形状で、前記誘電体基板に対向する上面部と、前記上面部の一方の長辺に接続し前記平面線路が導入される挿入口を有する第1の長辺側フランジ部と、前記上面部の他方の長辺に接続する第2の長辺側フランジ部とを備えた略U字溝形状に形成されていることを特徴としている。
【0019】
また、本発明は、上記変換器において第1の長辺側フランジ部は、平面線路の信号伝送方向に平行に形成された複数のスリットを備え、前記複数のスリットによって複数のブロックに分割されていることを特徴としている。
【0020】
また、本発明は、上記変換器において、第2の長辺側フランジ部は、平面線路の信号伝送方向に平行に形成された複数のスリットを備え、複数のスリットによって複数のブロックに分割されていることを特徴としている。
【0021】
また、本発明は、上記変換器において、スリットの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/8以下であることを特徴としている。
【0022】
また、本発明は、上記変換器において、ブロックの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/4以下であることを特徴としている。
【0023】
また、本発明は、上記変換器において、第1の長辺側フランジ部及び第2の長辺側フランジ部は、それぞれ平面線路の信号伝送方向に平行に形成された複数のスリットを備え、複数のスリットによって複数のブロックに分割されており、各スリットの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/8以下であり、各ブロックの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/4以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の変換器によれば、平面線路が形成された誘電体基板を、導波管と短絡導波管とで挟んで保持し、平面線路と導波管とを接続する変換器であって、短絡導波管が、平面線路の信号伝送方向に直交する方向を長辺とする矩形形状で、前記誘電体基板に対向する上面部と、前記上面部の一方の長辺に接続し前記平面線路が導入される挿入口を有する第1の長辺側フランジ部と、前記上面部の他方の長辺に接続する第2の長辺側フランジ部とを備えた略U字溝形状に形成されている変換器としているので、従来の箱型に比べて構成を簡略化し、設計及び製造のコストを低減でき、更にスプリアスを抑制し、使用帯域を広帯域化することができる効果がある。
【0025】
また、本発明によれば、第1の長辺側フランジ部及び第2の長辺側フランジ部は、それぞれ平面線路の信号伝送方向に平行に形成された複数のスリットを備え、複数のスリットによって複数のブロックに分割されており、各スリットの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/8以下であり、各ブロックの幅は、導波管の伝送信号の波長の1/4以下である上記変換器としているので、スプリアスを更に低減して、一層の広帯域化を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る変換器の構成図である。
【
図2】第1の変換器の短絡導波管12の構成を示す鳥瞰図である。
【
図3】第1の変換器の変換特性を示す特性図である。
【
図4】第1の変換器と従来の変換器の通過特性を比較した特性図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る変換器の構成図である。
【
図6】第2の変換器における短絡導波管22の構成を示す鳥瞰図である。
【
図7】第2の変換器の変換特性を示す特性図である。
【
図8】第2の変換器と従来の変換器の通過特性を比較した特性図である。
【
図10】従来の変換器における短絡導波管52の鳥瞰図である。
【
図11】従来の変換器の変換特性を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る変換器は、平面線路が形成された誘電体基板を、導波管と短絡導波管とで挟んで保持し、平面伝送路と導波管伝送路とを接続する変換器であって、短絡導波管が、誘電体基板に対向し、平面線路の信号伝送方向に直交する方向を長辺とする矩形の上面部と、上面部の一方の長辺に接続し、平面線路が導入される挿入口を有する第1の長辺側フランジ部と、上面部の他方の長辺に接続する第2の長辺側フランジ部とを備えた略U字溝形状としているものであり、短絡導波管の短辺側のフランジ部をなくして、箱型に比べて構成を簡略化して製造コスト及び設計コストを低減すると共に、スプリアスを抑制し、広帯域での使用を可能とすることができるものである。
【0028】
また、本発明の実施の形態に係る変換器は、上記U字溝形状の短絡導波管の長辺側フランジ部に複数のスリットを備え、スリットによって長辺側フランジ部を複数のブロックに分割し、導波管の伝送信号の波長をλとすると、スリットの幅をλ/8以下とし、各ブロックの幅をλ/4以下としたものであり、スプリアスを更に抑制して、一層広帯域で用いることができ、特性を向上させることができるものである。
【0029】
[第1の実施の形態:
図1]
本発明の第1の実施の形態に係る変換器について
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る変換器の構成図であり、(a)は斜視図、(b)はz軸方向から見た図、(c)はx軸方向から見た図、(d)はy軸方向から見た図である。
図1(a)〜(d)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る変換器(第1の変換器)は、
図9に示した従来の変換器と同様に、矩形の導波管11と、短絡導波管12と、誘電体基板13とを備え、導波管11と短絡導波管12とで誘電体基板13を挟むように配置されている。
【0030】
誘電体基板13の表面側(短絡導波管12側)には、マイクロストリップ線路14及びプローブ15が形成されている。プローブ15は、短絡導波管12の伝送空間に突出している。また、誘電体基板13には、従来と同様に、接地導体及び接地パターンが形成されている。
第1の変換器では、導波管11及び誘電体基板13の構成は従来と同様であるが、短絡導波管12の構成が従来と異なっている。
【0031】
[第1の変換器における短絡導波管12の構成:
図2]
第1の変換器における短絡導波管12の構成について
図2を用いて具体的に説明する。
図2は、第1の変換器の短絡導波管12の構成を示す鳥瞰図であり、(a)は誘電体基板13の表面側から見た図、(b)は誘電体基板13の裏面側から見た図である。
図2(a)(b)に示すように、第1の変換器の短絡導波管12(第1の短絡導波管12)は、第1の変換器の特徴部分であり、2つの長辺及び2つの短辺から成る矩形の上面部121と、上面部121の一方の長辺に接続する長辺側フランジ部122と、他方の長辺に接続する長辺側フランジ部123とを備えている。
【0032】
上面部121の長辺は、信号の伝送方向に直交する方向に一致している。
そして、一方の長辺側フランジ部(ここでは長辺側フランジ部122)の中央部には、マイクロストリップ線路を導入する挿入口124が設けられている。
長辺側フランジ部122は、請求項に記載した第1の長辺側フランジ部に相当し、長辺側面部123は、第2の長辺側フランジ部に相当している。
【0033】
第1の変換器は、基本モード(TE01)の変換器であるため、短絡導波管の短辺側の内壁は、本来不要である。
そこで、第1の変換器では、短絡導波管12を、上面部121、長辺側フランジ部122、長辺側フランジ部123のみで構成し、上面部121の短辺側に接続するフランジ部を備えないものとしている。
これにより、第1の短絡導波管12は、短辺側が開口した略U字溝形状に形成されている。
略U字溝形状とすることにより、第1の導波管では、従来の箱型の短絡導波管に比べて製造及び設計を容易にして製造コストを低減することができるものである。
【0034】
[第1の変換器の変換特性:
図3]
第1の変換器について変換特性のシミュレーションを行った結果を示す。
シミュレーションの条件は従来と同様であり、誘電体基板13は比誘電率(er)が8.6、厚さ0.1mmとし、マイクロストリップ線路14は、50Ω(オーム)、導波管11の寸法は、1.55mm×3.1mmとしている。使用帯域は、60GHz〜90GHzとした。
短絡導波管12の長辺側面部122,123の厚さは0.5mm、内壁高さ(側面部の内側の高さ)は0.5mmとしている。
【0035】
第1の変換器の変換特性について
図3を用いて説明する。
図3は、第1の変換器の変換特性を示す特性図であり、(a)は変換特性、(b)は通過特性を詳細に示したものである。尚、
図3では、実線は通過特性、破線はリターンロスを示す。
図3に示すように、第1の変換器の変換特性は、
図11に示した従来の変換器の変換特性と遜色なく、輻射の少ない電磁波の閉じ込めができており、良好な特性が得られている。
また、長辺の長さにて起こる不要な共振も無くなっている。
【0036】
[通過特性の比較(1):
図4]
図3(b)に示した第1の変換器の通過特性と、
図11に示した従来の変換器の通過特性とを
図4を用いて比較する。
図4は、第1の変換器と従来の変換器の通過特性を比較した特性図である。
図4では、第1の変換器の通過特性を実線で示し、従来の変換器の通過特性を破線で示している。
図4に示すように、第1の変換器の通過特性では、60〜75GHzの帯域全体での使用が可能となり、従来よりも広帯域に対応できるものとなっている。
【0037】
[第1の実施の形態の効果]
本発明の第1の実施の形態に係る変換器によれば、導波管11と短絡導波管12とでマイクロストリップ線路14及びプローブ15が形成された誘電体基板13を挟んで保持し、平面伝送路と導波管伝送路とを接続する変換器であって、短絡導波管12が、平面線路の信号の伝送方向に直交する方向を長辺とする矩形の上面部121と、上面部121の一方の長辺に接続し、マイクロストリップ線路14が挿入される挿入口124を備えた長辺側フランジ部122と、上面部121の他方の長辺に接続する長辺側フランジ部123を備えた略U字溝形状として構成されているので、従来の箱型に比べて短絡導波管12の構成を簡略化し、製造及び設計に要するコストを低減することができ、更に、スプリアスを抑制し、使用帯域を広帯域化できるという効果がある。
【0038】
[第2の実施の形態:
図5]
本発明の第2の実施の形態に係る変換器について
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る変換器の構成図であり、(a)は斜視図、(b)はz軸方向から見た図、(c)はx軸方向から見た図、(d)はy軸方向から見た図である。
図5(a)〜(d)に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る変換器(第2の変換器)は、第1の変換器と同様に、導波管21と、短絡導波管22と、誘電体基板23とを備えた構成である。
第2の変換器では、短絡導波管22の構成が第1の変換器とは異なっており、第2の変換器の特徴部分となっている。
【0039】
[第2の変換器における短絡導波管22の構成:
図6]
第2の変換器における短絡導波管22の構成について
図6を用いて具体的に説明する。
図6は、第2の変換器における短絡導波管22の構成を示す鳥瞰図であり、(a)は誘電体基板23の表面側から見た図、(b)は誘電体基板23の裏面側から見た図である。
図6(a)(b)に示すように、第2の変換器の短絡導波管22は、基本的な構成部分としては、信号の伝送方向に直交する2つの長辺と、長辺に直交する2つの短辺を備えた矩形の上面部221と、上面部221の一方の長辺に接続する長辺側フランジ部222と、他方の長辺に接続する長辺側フランジ部223とを備え、第1の短絡導波管と同様に、これらの3つの部分のみから構成されている。
【0040】
長辺側フランジ部222には、マイクロストリップライン14が挿入される挿入口224が設けられている。
そして、第2の短絡導波管22の特徴として、長辺側フランジ部222及び長辺側フランジ部223には、平面線路の信号の伝送方向と平行なスリット225が複数形成されており、それによって長辺側フランジ部222,223は複数のブロック225に分割されている。
このような形状とすることによって、スプリアスの低減を図るものである。
【0041】
特に、第2の短絡導波管22では、任意のスリット225の幅(d1)を導波管の伝送信号の波長(λ)の1/8以下(d1≦λ/8)とし、任意のブロック226の幅(d2)を波長の1/4以下(d2≦λ/4)としている。ここで「幅」とは、上面部221の長辺方向の長さとする。
図6の例では、ブロック226の幅は、場所によってそれぞれ異なっているが、いずれも波長の1/4以下に形成されている。
スリット225の寸法及びブロック226の寸法を限定することにより、スプリアスを効果的に低減できるものである。
【0042】
また、スリット225及びブロック226の数は、それぞれの幅が上述した範囲内となり、最適な特性が得られるように決定される。
尚、ここでは長辺側フランジ部222,223の両方にスリット225及びブロック226を形成した構成を示したが、長辺側フランジ部222,223のいずれか一方のみにスリット225及びブロック226を形成してもよい。
【0043】
[第2の変換器の変換特性:
図7]
第2の変換器について変換特性のシミュレーション結果を
図7に示す。
図7は、第2の変換器の変換特性を示す特性図であり、(a)は変換特性、(b)は通過特性を詳細に示したものである。
図7では、実線は通過特性、破線はリターンロスを示す。
また、シミュレーションの条件は、
図3,4に示した第1の変換器のシミュレーションと同じとしている。
図7(a)(b)に示すように、第2の変換器の変換特性は良好であり、特に(b)ではスプリアスが無いことがわかる。
【0044】
[通過特性の比較(2):
図8]
図7(b)に示した第2の変換器の通過特性と、
図11に示した従来の変換器の通過特性とを
図8を用いて比較する。
図8は、第2の変換器と従来の変換器の通過特性を比較した特性図である。
図8では、第2の変換器の通過特性を実線で示し、従来の変換器の通過特性を破線で示している。
図8に示すように、第2の変換器の通過特性は、従来の通過特性と比較して、スプリアスが無く、広帯域に利用可能な特性が得られている。
更に、
図3(b)及び
図4に示した第1の変換器の通過特性と比べても、第2の変換器スプリアスが抑圧され、一層良好な特性となっていることがわかる。
【0045】
[第2の実施の形態の効果]
本発明の第2の実施の形態に係る変換器によれば、短絡導波管22が、平面線路の信号の伝送方向に直交する方向を長辺とする矩形の上面部221と、上面部221の一方の長辺に接続し、マイクロストリップ線路14が挿入される挿入口224を備えた長辺側フランジ部222と、上面部221の他方の長辺に接続する第2の長辺側フランジ部223のみから構成され、更に長辺側フランジ部222及び223は、複数のスリット225によって、複数のブロック226に分割されて形成されているので、スプリアスを抑制して、使用帯域を広帯域化することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、スプリアスを抑制して使用帯域を広帯域化することができ、更に設計及び製造コストを低減できる変換器に適している。
【符号の説明】
【0047】
11,21,51...導波管、 12,22,52...短絡導波管、 13,23,53...誘電体基板、 14,54...マイクロストリップ線路、 15,55...プローブ、 121,221,521...上面部、 122,123,222,223,522,523...長辺側フランジ部、 124,224...挿入口、 225...スリット、 226...ブロック、 524,525...短辺側フランジ部