(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、オイルストレーナの使用時には、脈動するオイルが通過することやエンジン等の振動が伝わることでフィルタ部材に外部から力が加わる。このとき、フィルタ部材は一般的に肉厚が薄い部材からなるので、変形してしまうことがある。特許文献1では、フィルタ部材を上側分割体と下側分割体とで上下方向に挟んでいるだけなので、フィルタ部材が変形した際、上側分割体と下側分割体との間から脱落してしまうことが考えられる。
【0007】
また、上側分割体と下側分割体とを溶着する際に振動溶着法を用いることが考えられるが、この場合、各部が振動することになるので、特許文献1のような構造であるとフィルタ部材が振動によって位置ずれを起こして上側分割体と下側分割体との間から脱落してしまうことが考えられる。また、振動溶着法を用いた場合、上側溶着用突条部と下側溶着用突条部との合わせ部に繊維状のバリが発生する。発生したバリが例えばケース内のオイル流れ方向下流側の空間に達すると、オイルポンプに吸入されて不具合の発生原因となる恐れがある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ケースを構成する複数の部材を振動溶着して一体化する場合に、内部に収容されたフィルタ部材の脱落を未然に防止するとともに、振動溶着時に発生したバリがオイル流れ方向の下流側へ流れてしまうのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、
オイルを濾過するフィルタ部材(10)と、
上記フィルタ部材(10)を収容するケース(20)とを備え、
上記ケース(20)に形成されたオイル流入口(43a)から流入したオイルを上記フィルタ部材(10)により濾過して上記ケース(20)に形成されたオイル流出口(33a)から流出させるように構成されたオイルストレーナ(1)において、
上記ケース(20)は、第1分割体(40)と第2分割体(30)とを組み合わせて構成され、
上記第1分割体(40)の周縁部には、第1フランジ部(46)が形成され、
上記第1フランジ部(46)における内周側には、上記フィルタ部材(10)が嵌合するケース側嵌合部(46c)が形成され、
上記第1フランジ部(46)におけるケース側嵌合部(46c)から外周側に離れた部位には、第1溶着用突条部(46a)が全周に亘って形成され、
上記第2分割体(30)の周縁部には、上記第1フランジ部(46)と対向するように第2フランジ部(36)が形成され、
上記第2フランジ部(36)における上記第1溶着用突条部(46a)に対応する部位には、上記第1溶着用突条部(46a)に振動溶着される第2溶着用突条部(36a)が形成され、
上記フィルタ部材(10)は、オイルが通過するメッシュ部(11)と、該メッシュ部(11)を囲むように設けられる枠部(12)とを有し、該枠部(12)には、
上記第1分割体(40)側へ突出し、上記ケース側嵌合部(46c)に嵌合するフィルタ側嵌合部(12a)
と、上記メッシュ部(11)よりも上記第2分割体(30)側へ突出して該メッシュ部(11)の全周に亘って延びる突条部(12b)とが形成され、
該突条部(12b)の突出方向先端部は、上記第1溶着用突条部(46a)の突出方向先端部よりも上記第2分割体(30)側へ突出しており、
上記第1溶着用突条部(46a)及び上記第2溶着用突条部(36a)における上記ケース(20)内側の側面と、上記枠部(12)
の突条部(12b)との間には、上記第1溶着用突条部(46a)及び上記第2溶着用突条部(36a)を振動溶着する際に発生するバリを収容するバリ収容部(S2)が全周に亘って形成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1分割体と第2分割体とを振動溶着する際、フィルタ部材の枠部のフィルタ側嵌合部が第1分割体のケース側嵌合部に嵌合しているので、フィルタ部材が第1分割体から脱落することはない。また、使用時においてもフィルタ部材がケースから脱落することはない。
【0011】
そして、第1溶着用突条部及び第2溶着用突条部よりもケース内側には、これら溶着用突条部とフィルタ部材の枠部との間にバリ収容部が形成されているので、振動溶着時に発生したバリはバリ収容部に収容される。これにより、バリがケース内へ侵入しなくなる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
上記フィルタ部材(10)の枠部(12)は、上記第1フランジ部(46)と上記第2フランジ部(36)とで挟持され、
上記枠部(12)には、上記第1フランジ部(46)及び上記第2フランジ部(36)の少なくとも一方に接触して該両フランジ部(46,36)の挟持力によって変形する変形部(12e,12g)が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第1分割体と第2分割体とを振動溶着すると、フィルタ部材の枠部が第1フランジ部と第2フランジ部とで挟持され、そのときの挟持力によって枠部の変形部が変形するとともに、少なくとも一方のフランジ部に接触する。これにより、変形部が第1フランジ部や第2フランジ部に確実に密着することになり、フィルタ部材のガタツキが抑制される。
【0014】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記バリ収容部(S2)は、上記第2フランジ部(36)側が上記第1フランジ部(46)側に比べて狭くなっていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、発生したバリがバリ収容部の第2フランジ部側に移動しにくくなる。これにより、バリが第2フランジ部とフィルタ部材の枠部との間からケース内へ漏れにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、ケースを構成する第1分割体のケース側嵌合部に、フィルタ部材の枠部に形成したフィルタ側嵌合部を嵌合させた状態で、第1分割体の第1溶着用突条部及び第2分割体の第2溶着用突条部と、フィルタ部材の枠部との間にバリ収容部を形成できる。これにより、第1分割体と第2分割体とを振動溶着する際に、フィルタ部材の脱落を防止できるとともに、溶着時に発生したバリがオイル流れ方向の下流側へ流れるのを防止できる。
【0017】
第2の発明によれば、フィルタ部材の枠部に、第1フランジ部と第2フランジ部との挟持力によって変形する変形部を設けたので、第1分割体と第2分割体とを溶着した状態でフィルタ部材のガタツキを抑制できる。
【0018】
第3の発明によれば、バリ収容部の第2フランジ部側を狭くしたので、バリが第2フランジ部とフィルタ部材の枠部との間からケース内へ漏れるのを確実に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るオイルストレーナ1を示す斜視図である。オイルストレーナ1は、図示しないが、例えば自動車等に搭載されるエンジンの下部に設けられたオイルパンの内部に配設され、オイルパンの内部に貯留されているオイルを濾過してオイルポンプに供給するためのものである。尚、オイルストレーナ1は、例えば自動車以外のエンジンや、自動変速機等に使用することもできる。
【0022】
オイルストレーナ1は、オイルを濾過するフィルタ部材10(
図2に示す)と、フィルタ部材10を収容するケース20とを備えている。ケース20は、水平方向に長い形状とされており、その上下方向中間部において上側分割体30と下側分割体40とに分割され、上側分割体30及び下側分割体40が一体化されてなるものである。下側分割体40が本発明の第1分割体に相当し、上側分割体30が本発明の第2分割体に相当する。
【0023】
尚、オイルストレーナ1は、水平に配設されてもよいし、傾斜するように配置されてもよい。また、オイルストレーナ1は屈曲していてもよい。
【0024】
図2に示すように、上側分割体30は、上壁部31と、上壁部31の周縁部から下方へ延びる周壁部32とを有しており、樹脂材からなる一体成形品である。
図1に示すように、上壁部31の長手方向一端部(
図1の右上側)近傍には、ケース20内のフィルタ部材10よりも上側の空間R1(
図2に示す)に連通するオイル流出管部33が上方へ突出するように設けられている。オイル流出管部33の上端部には、取り付け板部34が設けられている。取り付け板部34には、取り付け板部34をエンジンに締結するための締結部材(図示せず)が挿通する挿通孔34a、34aが形成されている。また、取り付け板部34の上面には、オイル流出管部33の下流端開口であるオイル流出口33aが開口している。また、取り付け板部34の上面には、オイル流出口33aを囲むように環状溝34bが形成されている。この環状溝34bには、図示しないシール材が嵌まるようになっている。
【0025】
図2に示すように、上側分割体30の周壁部32の下端部には、ケース20外へ延出する上側フランジ部(第2フランジ部)36が全周に亘って形成されている。上側フランジ部36の下面におけるケース20の内外方向の中間部には、下方へ突出する上側溶着用突条部(第2溶着用突条部)36aが全周に亘って形成されている。上側溶着用突条部36aは、縦方向の断面が略矩形となっている。
【0026】
下側分割体40は、下壁部41と、下壁部41の周縁部から上方へ延びる周壁部42とを有しており、樹脂材からなる一体成形品である。下壁部41の長手方向他端部(
図1の左下側)近傍には、ケース20内のフィルタ部材10よりも下側の空間R2に連通するオイル流入管部43が下方へ突出するように設けられている。オイル流入管部43の下端部には、オイル流入口43aが開口している。オイル流入口43aは、オイルパンの底壁部近傍に位置づけられる。
【0027】
下側分割体40の周壁部42の上端部には、ケース20外へ延出する下側フランジ部(第1フランジ部)46が上側フランジ部36と対向するように形成されている。下側フランジ部46の上面におけるケース20の内外方向の中間部には、上記上側溶着用突条部36aに対応する部位に、上方へ突出する下側溶着用突条部(第1溶着用突条部)46aが全周に亘って形成されている。下側溶着用突条部46aは、縦方向の断面が略矩形となっている。
【0028】
下側フランジ部46の上面における下側溶着用突条部46aよりもケース20外側には、上方へ突出する外側突条部46bが全周に亘って形成されている。外側突条部46bと下側溶着用突条部46aとの間には、所定の隙間が形成されている。また、外側突条部46bの幅は、下側溶着用突条部46aの幅よりも狭く設定されている。外側突条部46bの上端部は、下側溶着用突条部46aの上端部よりも上方に位置しており、上側溶着用突条部36aと下側溶着用突条部46aとを振動溶着した状態で、上側フランジ部36の下面におけるケース20外側部位に当接するようになっている。
【0029】
上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aのケース20外側に位置する外側面と、外側突条部46bの内側面との間には、上側溶着用突条部36aと下側溶着用突条部46aとを振動溶着する際に発生する繊維状のバリを収容するための外側バリ収容部S1が形成されている。
【0030】
下側フランジ部46の上面における内周側、即ち、下側溶着用突条部46aよりもケース20内側には、フィルタ部材10が嵌合するケース側嵌合部46cが形成されている。ケース側嵌合部46cは、下側フランジ部46の全周に亘って環状に延びる溝状に形成されており、その底壁46dは、下側溶着用突条部46aよりも下に位置している。ケース側嵌合部46cにおけるケース20内側の側壁46eの上端部は、下側溶着用突条部46aの溶着部位(上端部)よりも下に位置している。この側壁46eの上端部と、上側分割体30の上側フランジ部36の下面におけるケース20内側部分とは上下方向に対向する位置関係となる。
【0031】
フィルタ部材10は、オイルが通過するメッシュ部11と、該メッシュ部11を囲むように設けられる枠部12とを有しており、樹脂材からなる一体成形品である。メッシュ部11には、細かな穴が密に形成されており、オイルはこれら穴を通過する際に濾過される。この実施形態ではメッシュ部11は、上壁部31や下壁部41と略平行に延びる平板状に形成されているが、湾曲させることもできる。また、メッシュ部11は、ケース20の上下方向中央部よりも上寄りに配置されている。これにより、オイルの流入側の空間R2がオイルの流出側の空間R1よりも広くなるので、オイルがケース20に流入しやすくなる。尚、メッシュ部11は、ケース20の上下方向中央部に配置してもよいし、下寄りに配置してもよい。
【0032】
枠部12は、フィルタ側嵌合部12aと、上側突条部12bとを有している。フィルタ側嵌合部12aは、メッシュ部11よりも下方へ突出して全周に亘って延びる突条部で構成されている。フィルタ側嵌合部12aは、ケース側嵌合部46cに挿入された状態で全周に亘って嵌合する。フィルタ側嵌合部12aの下端部は、ケース側嵌合部46cの底壁46dに当接するようになっている。
【0033】
上側突条部12bは、メッシュ部11よりも上方へ突出して全周に亘って延びている。上側突条部12bは、フィルタ側嵌合部12aよりもケース20内側に位置している。上側突条部12bの上端部は、上側フランジ部36の下面における上側溶着用突条部36aよりもケース20内側の部位に当接するようになっている。
【0034】
上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aにおけるケース20内側の側面と、枠部12との間には、上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aを振動溶着する際に発生するバリを収容する内側バリ収容部S2が全周に亘って形成されている。内側バリ収容部S2と、外側バリ収容部S1とは、同じ容積であってもよいし、異なる容積であってもよい。
【0035】
次に、上記のように構成されたオイルストレーナ1を製造する場合について説明する。樹脂材を射出成形してフィルタ部材10、上側分割体30及び下側分割体40を得る。フィルタ部材10のフィルタ側嵌合部12aを下側分割体40のケース側嵌合部46cに挿入して嵌合する。これにより、フィルタ部材10の枠部12が下側分割体40の下側フランジ部46と一体化する。
【0036】
その後、周知の振動溶着機に上側分割体30及び下側分割体40をセットし、上側分割体30を下側分割体40に合わせて上側溶着用突条部36aの下端面と下側溶着用突条部46aの上端面とを接触させる。図示しないが、溶着前は、
図2に示す状態よりも上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aの上下寸法が長いので、下側分割体40の外側突条部46bの上端部と上側フランジ部36との間には隙間が形成されており、また、フィルタ部材10の枠部12の上側突条部12bと、上側フランジ部36との間にも隙間が形成されている。
【0037】
上側溶着用突条部36aと下側溶着用突条部46aとを接触させた状態で両突条部36a、46aが圧接するように上下方向に力を加える。このとき、上側分割体30の上側フランジ部36には上側溶着用突条部36aが形成されているだけであり、下側フランジ部46のように複数の突条部46a、46bが形成されていないので、上側分割体30は、下側分割体40に比べて低剛性となっている。仮に、成形誤差等に起因して上側溶着用突条部36aと下側溶着用突条部46aとの間に若干の隙間ができる状態であっても、上側溶着用突条部36aと下側溶着用突条部46aとが圧接するように力を加えることで、低剛性な上側分割体30の上側フランジ部36を、上側溶着用突条部36aが下側溶着用突条部46aに密着するように変形させることができる。
【0038】
そして、振動溶着機による振動溶着を開始する。振動溶着を開始すると、上側溶着用突条部36aの下端部及び下側溶着用突条部46aの上端部が溶けていき、上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aの上下寸法が短くなる。これにより、下側分割体40の外側突条部46bの上端部と上側フランジ部36とが接触するとともに、フィルタ部材10の枠部12の上側突条部12bと上側フランジ部36とが接触する。従って、上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aのケース20外側に位置する外側面と、外側突条部46bの内側面との間に外側バリ収容部S1が形成され、また、上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aにおけるケース20内側の側面と、枠部12との間に内側バリ収容部S2が形成される。上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aの溶融部分に発生するバリは、外側バリ収容部S1及び内側バリ収容部S2に収容されるので、ケース20内部に侵入することはなく、また、外部に出てくることもない。
【0039】
振動溶着時には、フィルタ部材10に加振力が作用する。このとき、フィルタ部材10のフィルタ側嵌合部12aが下側分割体40のケース側嵌合部46cに嵌合しているので、フィルタ部材10が下側分割体40から脱落するのを未然に防止できる。
【0040】
上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aの溶融後、振動を停止して冷却させることで溶融部分が固化して上側分割体30と下側分割体40が一体化する。フィルタ部材10の枠部12は、フィルタ側嵌合部12aよりもケース20内側において、ケース側嵌合部46cの側壁46eの上端部と、上側分割体30の上側フランジ部36の下面におけるケース20内側部分とで上下方向に挟持される。
【0041】
次に、上記のようにして得られたオイルストレーナ1を使用する場合について説明する。図示しないが、オイルストレーナ1は例えばオイルパンの内部に配設された状態で、オイル流入口43aがオイルパンの内部に貯留されているオイル内に位置する。オイル流入口43aから吸入されたオイルは、オイル流入管部43を通ってケース20内の下側の空間R2に流入する。下側の空間R2に流入したオイルは、ケース20の長手方向一端側へ向けて流れながら、フィルタ部材10のメッシュ部11を下から上へ通過して濾過される。メッシュ部11で濾過されたオイルは、ケース20内の上側の空間R1に流入してオイル流出管部33を通り、オイル流出口33aから外部に流出する。
【0042】
オイルを濾過する際、オイルの脈動やエンジンの振動等によってフィルタ部材10に外部から力が作用することがある。このとき、フィルタ部材10のフィルタ側嵌合部12aが下側分割体40のケース側嵌合部46cに嵌合しているので、フィルタ部材10がケース20から脱落するのを未然に防止できる。また、フィルタ部材10の枠部12が、ケース側嵌合部46cの側壁46eと、上側分割体30の上側フランジ部36とで挟持されていることによっても、フィルタ部材10の脱落を防止できる。
【0043】
さらに、振動溶着時に発生したバリは内側バリ収容部S2に収容されているので、バリがケース20内に侵入することはなく、下流側のオイルポンプにバリの混入による不具合が発生することはない。
【0044】
以上説明したように、この実施形態1に係るオイルストレーナ1によれば、ケース20を構成する下側分割体40のケース側嵌合部46cに、フィルタ部材10の枠部12に形成したフィルタ側嵌合部12aを嵌合させた状態で、上側溶着用突条部36a及び下側溶着用突条部46aと、フィルタ部材10の枠部12との間に内側バリ収容部S2を形成できる。これにより、上側分割体30と下側分割体40とを振動溶着する際に、フィルタ部材10の脱落を防止できるとともに、溶着時に発生したバリがオイル流れ方向の下流側へ流れるのを防止できる。
【0045】
図3に示す実施形態1の変形例のように、上側フランジ部36の下面に突出部36bを形成してもよい。この突出部36bは、上側溶着用突条部36aのケース20内側の側面に連なっており、これにより、内側バリ収容部S2は、上側フランジ部36側が下側フランジ部46側に比べて狭くなる。また、突出部36bは、上側フランジ部36の全周に設けられている。従って、振動溶着時に発生するバリは、上側フランジ部36側へ移動しにくくなるので、バリが上側フランジ部36とフィルタ部材10の枠部12との間からケース20の内部に漏れにくくなる。
【0046】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2にかかるオイルストレーナ1を示すものである。実施形態2では、フィルタ部材10の構造が実施形態1のものとは異なっており、他の部分が実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0047】
フィルタ部材10の枠部12は、メッシュ部11との接続部分に、メッシュ部11から上方へ向かい、かつ、メッシュ部11の全周に亘って延びる環状壁部12cを有している。環状壁部12cは、下側分割体40の周壁部42の内面に沿うように形成されている。
【0048】
環状壁部12cの形成により、メッシュ部11がケース20の上下方向中央部よりも下に位置づけられる。これにより、オイル流れ方向下流側の空間R1の容積が大きくなるので、オイルの流出がスムーズに行われるようになる。
【0049】
また、フィルタ部材10が環状壁部12cを有しているので、フィルタ部材10の剛性が全体的に向上する。
【0050】
実施形態2に係るオイルストレーナ1も、上側分割体30と下側分割体40とを振動溶着する際に、フィルタ部材10の脱落を防止できるとともに、溶着時に発生したバリがオイル流れ方向の下流側へ流れるのを防止できる。
【0051】
図5に示す実施形態2の変形例1のように、フィルタ部材10の上側突条部12bを省略してもよい。この変形例1では、上側突条部12bを省略した分、ケース側嵌合部46cの側壁46eの上下寸法を長くし、この側壁46eと上側フランジ部36とで枠部12を挟持するようにしている。また、変形例1では、枠部12の外周面に、枠部12の外方へ突出する突出部12dが形成されている。突出部12dは、枠部12の全周に亘って形成されている。突出部12dは、上側フランジ部36の下面に接触するように配置されており、これにより、内側バリ収容部S2は、上側フランジ部36側が下側フランジ部46側に比べて狭くなる。従って、振動溶着時に発生するバリは、上側フランジ部36側へ移動しにくくなるので、バリが上側フランジ部36とフィルタ部材10の枠部12との間からケース20の内部に漏れにくくなる。
【0052】
図6に示す変形例2では、変形例1のものに対してフィルタ部材10の突出部12dが形成されていない代わりに、上側溶着用突条部36aの幅が下側溶着用突条部46aの幅よりもケース20の内外方向両側に広くなっている。これにより、外側バリ収容部S1及び内側バリ収容部S2は、それらの上側フランジ部36側が下側フランジ部46側に比べて狭くなる。従って、振動溶着時に発生するバリは、上側フランジ部36側へ移動しにくくなるので、バリが上側フランジ部36とフィルタ部材10の枠部12との間からケース20の内部に漏れにくくなるとともに、上側フランジ部36と外側突条部46bとの間からも漏れにくくなる。
【0053】
また、変形例2では、フィルタ部材10の枠部12の一部を構成しているフィルタ側嵌合部12aは、上側フランジ部36と下側フランジ部46とで挟持されている。このフィルタ側嵌合部12aの下端部には、下側フランジ部46の上面に接触して上側フランジ部36及び下側フランジ部46による挟持力によって変形する変形部12eが設けられている。変形部12eは、フィルタ側嵌合部12aの下端部から下方へ突出している。変形部12eは、フィルタ側嵌合部12aの全周に亘って連続して設けてもよいし、断続的に設けてもよい。変形部12eは、下側へ向かって尖った形状をしている。このため、上記挟持力が作用した際に変形部12eの下側を確実に変形させることが可能になる。溶着後には、変形部12eが下側フランジ部46に確実に密着するので、フィルタ部材10のガタツキを抑制できる。
【0054】
溶着を開始して上側溶着用突条部36aと下側溶着用突条部46aが溶着していくと上側フランジ部36が枠部12の上面に当接する。更に溶着が進むと、変形部12eが上側フランジ部36と下側フランジ部46とで挟まれて変形していく。変形部12eが変形するまでは、上側フランジ部36の外側部分と外側突条部46bとの間は開いた状態となっているが、変形部12eが変形することにより上側フランジ部36の外側部分と外側突条部46bとの間は閉じられる。
【0055】
図7に示す変形例3では、変形例2のものにおいて、フィルタ部材10のフィルタ側嵌合部12aにおけるケース20外側の側面が、上に行くほどケース20外に位置するように傾斜している。これにより、内側バリ収容部S2は、上側フランジ部36側が下側フランジ部46側に比べて狭くなる。従って、振動溶着時に発生するバリは、上側フランジ部36側へ移動しにくくなるので、バリが上側フランジ部36とフィルタ部材10の枠部12との間からケース20の内部に漏れにくくなる。
【0056】
図8に示す変形例4では、変形例2のものにおいて、フィルタ部材10のフィルタ側嵌合部12aにおけるケース20外側の側面に突出部12fが形成されている。これにより、内側バリ収容部S2は、上側フランジ部36側が下側フランジ部46側に比べて狭くなる。従って、振動溶着時に発生するバリは、上側フランジ部36側へ移動しにくくなるので、バリが上側フランジ部36とフィルタ部材10の枠部12との間からケース20の内部に漏れにくくなる。
【0057】
図9に示す変形例5では、変形例2のものにおいて、フィルタ部材10のフィルタ側嵌合部12aの上端部に変形部12gが設けられている。フィルタ側嵌合部12aに挟持力が作用した際に変形部12gが挟持力によって変形する。溶着後には、変形部12gが上側フランジ部36に確実に密着するので、フィルタ部材10のガタツキを抑制できる。
【0058】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。