【文献】
泉谷 達庸,採点ルール学習とその説明機能をもつ小論文の採点支援システム,情報処理学会研究報告,2010年 3月 6日,Vol.2010-CE-103 No.3,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態である採点処理システムの構成を示す図である。採点処理システムは、採点管理システム100、採点支援装置101、及びネットワーク102を含んで構成されている。
【0012】
採点管理システム100は、学校や塾等で実施された試験の受験者の答案に対する採点を管理する情報処理システムであり、答案画像記憶部110、答案画像送信部111、採点基準記憶部112、採点基準送信部113、採点結果受信部114、及び採点結果記憶部115を含んで構成される。
【0013】
答案画像記憶部110には、受験者の答案が記入された答案用紙をスキャンすることにより生成された答案画像を含むデータ(答案データ)が記憶される。
図2は、答案画像記憶部110に記憶される答案データの一例を示す図である。
図2に示すように、答案データには、識別番号、採点者ID、及び答案画像が含まれる。ここで、識別番号とは、個々の答案用紙を識別するための番号であり、例えば答案用紙にバーコードで印刷されているものとすることができる。また、採点者IDは、各答案を採点する採点者を識別するための識別子である。そして、答案画像は、スキャンされた答案画像である。
【0014】
なお、本実施形態では、採点対象の答案を、正答が一意に定まらない記述式試験の答案(例えば論説文等)として説明するが、採点対象の答案には、正答が一意に定まる答案が含まれていてもよい。
【0015】
図1に戻り、答案画像送信部111は、採点支援装置101からの要求に応じて、採点支援装置101のユーザ(採点者)が採点対象とする答案データを答案画像記憶部110から抽出し、採点支援装置101に送信する。
【0016】
採点基準記憶部112には、正答が一意に定まらない記述式試験の答案に対する採点基準を示すデータ(採点基準データ)が記憶される。
図3は、採点基準記憶部112に記憶される採点基準データの一例を示す図である。
図3に示すように、採点基準データには、採点基準ID、減点項目、及び減点が含まれる。ここで、採点基準IDとは、各採点基準を識別するための識別子である。また、減点項目は、答案を採点する際の基準となる項目である。減点項目の具体例としては、「表現不備」として、「文の組み立て方の不備」や「文脈不適切」、「表記不備」として、「誤字(表記の誤り)」などが含まれる。また、減点は、答案が各減点項目に該当すると判断された場合に減点される点数である。なお、
図3に示した減点項目は一例にすぎず、種々の減点項目を採用することができる。また、採点基準は減点項目に限られず、加点項目が含まれていてもよい。また、問題(試験や小問)ごとに採点基準が設けられていることとしてもよい。問題ごとに採点基準を設ける場合、問題を識別する問題識別子を採点基準データに含めることができる。
【0017】
図1に戻り、採点基準送信部113は、採点支援装置101からの要求に応じて、採点者が答案を採点する際に必要となる採点基準データを採点支援装置101に送信する。なお、問題ごとに採点基準が設けられている場合、採点基準送信部113は、採点基準記憶部112に記憶されている採点基準データの中から、採点対象の答案の採点に必要な採点基準データを抽出して採点支援装置101に送信することができる。また、採点基準送信部113は、問題を識別する問題識別子を含む採点基準データを採点支援装置101に送信することもできる。
【0018】
採点結果受信部114は、採点支援装置101において採点された結果を示す採点結果データを採点支援装置101から受信し、採点結果記憶部115に格納する。
図4は、採点結果記憶部115に記憶される採点結果データの一例を示す図である。
図4に示すように、採点結果データには、識別番号、減点項目、得点、及び採点画像が含まれる。採点結果データに含まれる減点項目には、答案に対して採点者が選択した減点項目の採点基準IDが含まれる。得点には、減点項目による減点を考慮した得点が設定される。採点画像は、採点者による採点入力の結果を示す画像である。例えば、採点画像には、答案画像上で減点対象として選択された箇所や、当該箇所における減点の点数、答案に対する採点者の添削内容等が含まれる。
【0019】
図1に戻り、採点支援装置101は、各採点者が自身に割り振られた答案を採点するために使用する情報処理装置であり、例えば、タッチ操作が可能なタブレット型コンピュータである。なお、採点支援装置101は、タブレット型コンピュータに限られず、パーソナルコンピュータ等の任意の情報処理装置とすることができる。採点支援装置101は、例えば、インターネットやLAN等のネットワーク102を介して採点管理システム100と通信可能に接続される。
図1においては、採点支援装置101は1つしか図示されていないが、採点管理システム100には、複数の採点者が使用する複数の採点支援装置101が同時にアクセス可能である。
【0020】
採点支援装置101は、答案画像取得部120、答案画像記憶部121、採点基準取得部122、採点基準記憶部123、画像表示部124、入力受付部125、採点結果記憶部126、及び採点結果送信部127を含んで構成される。
【0021】
答案画像取得部120は、採点者が採点対象とする答案の答案データを採点管理システム100から取得し、答案画像記憶部121に格納する。例えば、答案画像取得部120は、採点者IDを含む答案画像要求データを採点管理システム100に送信することにより、答案データを採点管理システム100から取得することができる。なお、答案画像記憶部121に記憶される答案データは、例えば、
図2に示した構成とすることができる。
【0022】
採点基準取得部122は、採点基準データを採点管理システム100から取得し、採点基準記憶部123に格納する。なお、採点基準取得部122は、採点者が採点する答案とは関係なく全ての採点基準データを採点管理システム100から取得してもよいし、採点対象の答案に関する採点基準データのみを採点管理システム100から取得してもよい。また、採点基準取得部122は、任意のタイミングで採点基準データを取得することができる。例えば、採点基準取得部122は、採点処理を開始する際(例えば、採点支援プログラムを起動した際)に採点基準データを取得してもよいし、答案の採点中に採点基準データが必要となったタイミングで採点基準データを取得してもよい。
【0023】
画像表示部124は、答案画像や採点結果等の各種画像を表示装置(ディスプレイ)に表示するための画像データを生成する。
【0024】
入力受付部125は、採点を行うための各種ユーザ操作を受け付ける。例えば、入力受付部125は、タッチパネルを介して入力されるユーザ操作を受け付け、該ユーザ操作を他の各部に伝達することができる。
【0025】
採点結果記憶部126には、採点支援装置101において採点された結果を示す採点結果データが記憶される。採点結果記憶部126に記憶される採点結果データは、例えば、
図4に示した構成とすることができる。
【0026】
採点結果送信部127は、採点結果記憶部126に記憶されている採点結果データを採点管理システム100に送信する。なお、採点結果送信部127は、任意のタイミングで採点結果データを採点管理システム100に送信することができる。例えば、採点結果送信部127は、採点者の指示に応じて採点結果データを送信することとしてもよいし、所定のタイミング(例えば採点支援プログラムの終了時等)に採点結果データを送信することとしてもよい。
【0027】
図5は、採点支援装置101のハードウェア構成の一例を示す図である。採点支援装置101は、メモリ500、プロセッサ501、通信インタフェース(I/F)502、表示装置503、及び入力装置504を含んで構成される。
【0028】
メモリ500は、各種データやプログラムを記憶するための記憶領域である。プロセッサ501は、メモリ500に記憶されているプログラム(採点支援プログラム)を実行することにより、採点支援装置101における各種機能を実現することができる。通信I/F502は、採点管理支援システム100等の外部の情報処理装置とデータの送受信を行うためのインタフェースである。表示装置503は、各種画像を表示するためのデバイスである。入力装置504は、ユーザ操作を入力するためのデバイスである。本実施形態では、表示装置503及び入力装置504がタッチパネルによって実現されていることとして説明する。なお、表示装置503及び入力装置504はタッチパネルに限られず、任意のデバイスを用いることが可能である。また、表示装置503及び入力装置504は、採点支援装置101の外部に設けられていることとしてもよい。
【0029】
次に、採点支援装置101における採点操作の一例について説明する。なお、以下に示す例では、入力受付部125が各種ユーザ操作を受け付け、該ユーザ操作に基づいて、画像表示部124が各種画像の表示を行う。
【0030】
図6は、採点支援プログラムの起動時の画面の一例を示す図である。
図6に示すように、画面600には、採点を行う際に使用する操作ボタンとともに、各操作ボタンの説明(ヘルプ)が表示されている。具体的には、画面600には、ボタン610〜617が設けられている。ボタン610は、未採点の答案の一覧(未採点一覧)を表示する画面への遷移を指示するためのものである。ボタン611は、答案の一覧(答案一覧)を表示する画面への遷移を指示するためのものである。ボタン612は、1つ前の答案を表示する画面への遷移を指示するためのものである。ボタン613は、1つ後の答案を表示する画面への遷移を指示するためのものである。ボタン614は、添削用メニューの表示を指示するためのものである。ボタン615は、得点の入力を行うための採点基準(採点基準画像)の表示を指示するためのものである。ボタン617は、画面600の表示を指示するためのものである。
【0031】
図7は、未採点一覧が表示された画面の一例を示す図である。画面700には、未採点の答案の画像(答案画像)710が表示されている。未採点の答案が複数存在する場合、画面700には、複数の答案画像710が所定の順序に従って表示される。所定の順序は、例えば、識別番号順であってもよいし、採点者によって指定される順序であってもよい。また、画面700では、ボタン612,613を操作することにより、画面700に表示される答案画像710を変更することができる。画面700では、例えば指711で答案画像710を選択する(例えばダブルタップする)ことにより、採点対象の答案を指定することができる。なお、本実施形態では、指によってユーザ操作を行う例を説明するが、ユーザ操作は指によるものに限られない。
【0032】
図8は、採点対象の答案の答案画像が表示された画面の一例を示す図である。画面800には、採点対象の答案の答案画像810が表示されている。採点対象の答案は、例えば、
図7に示した未採点一覧の画面700において選択することができる。採点者は、
図8に示した答案画像810を確認し、答案に対する採点を行うことができる。
【0033】
具体的には、例えば、採点者は、
図9に示すように、答案画像810上において、採点入力を行う箇所を選択することができる。
図9においては、指900によって、採点箇所が選択されている。採点箇所が選択されると、
図10に示すように、採点対象の答案に対する採点基準の画像(採点基準画像)1000が表示される。採点基準画像1000は、例えば、画面800の右側から滑り込む(スライドインする)ように、答案画像810に重畳して表示される。なお、採点基準画像1000は、答案画像810が表示された画面800において、ボタン615を入力することによって表示することもできる。
【0034】
採点者は、
図11に示すように、採点基準画像1000に表示された採点基準に基づいて、採点箇所に対して採点を行うことができる。具体的には、例えば、採点箇所に誤字がある場合であれば、採点者は、採点基準画像1000における「表記不備」の中から、指1100によって、「誤字(表記の誤り)」を選択することができる。
【0035】
採点基準画像1000において、採点箇所に対する採点入力が行われると、
図12に示すように、採点基準画像1000が消去されるとともに、採点箇所に、採点結果を示す画像(採点画像)1200,1201が表示される。この採点画像は、答案画像とは別に、識別番号、減点項目、及び得点と対応付けられて、採点結果記憶部126に記憶される。採点基準画像1000は、例えば、画面800の右側に滑り出す(スライドアウトする)するように、画面800から消去することができる。なお、採点基準画像1000の消去のタイミングは、ユーザ操作によって指定されることとしてもよい。例えば、採点内容の確定を指示するためのボタンや、採点基準画像1000の消去を指示するためのボタンが押下されることにより、採点基準画像1000が消去されることとしてもよい。また例えば、画面800上において採点基準画像1000が表示されていない領域が選択されることにより、採点基準画像1000が消去されることとしてもよい。
【0036】
また、採点者は、
図12に示す画面800において、ボタン614を押下することにより、答案に対する添削を行うことができる。ボタン614が押下されると、
図13に示すように、添削を行うための添削メニューの画像1300が表示される。採点者は、添削メニューから選択することにより、例えば、答案画像に対してテキストを入力したり、線を引いたりすることができる。このように入力された添削結果の画像も、採点画像として、採点結果記憶部126に記憶される。
【0037】
図14は、答案一覧が表示された画面の一例を示す図である。
図14に示す画面1400は、例えば、ボタン611を押下することにより表示することができる。画面1400には、複数の答案画像1410が表示されている。画面1400に表示される答案画像1410には、識別番号に加えて、採点済みの得点が含まれている。画面1400では、ボタン612,613を押下することにより、画面1400に表示される答案画像1410を切り替えることができる。なお、画面1400において答案画像1410が選択されると、選択された答案画像1410が
図12に示したように表示される。
【0038】
採点者は、ボタン616を押下することにより、画面1400に表示される答案画像1410の表示順序を変更することができる。ボタン616が押下されると、
図15に示すように、表示順序の条件を指定する順序指定画像1500が表示される。順序指定画像1500は、例えば、画面1400の左側から滑り込む(スライドインする)ように表示される。順序指定画像1500において表示順序(並び替え)の条件が指定されると、順序指定画像1500は消去され、画面1400において、指定された表示順序で答案画像1410が表示される。順序指定画像1500は、例えば、画面1400の左側に滑り出す(スライドアウトする)ように消去される。なお、表示順序の条件には、例えば、得点順や識別番号順が含まれる。また、表示順序の条件には、例えば、採点基準ごとの減点有無の指定が含まれる。また、表示順序の条件は、複数種類を同時に指定可能としてもよい。
【0039】
以上、本実施形態について説明した。本実施形態によれば、
図10に示すように、答案画像810に対するユーザ操作に応じて、答案に対する採点基準の画像である採点基準画像1000を表示し、採点基準画像1000が表示された状態で、答案に対する採点入力を受け付けることができる。そして、採点入力後に、採点基準画像1000を消去することができる。このように、採点基準画像1000が必要な時のみ表示されるため、
図9や
図12に示すように、答案画像810が表示される領域を大きくすることができる。これにより、採点基準に基づいて答案の採点を行う際の作業効率を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、
図11に示したように、採点基準画像1000上において、採点入力を受け付けることができる。これにより、採点入力を容易に行うことが可能となる。
【0041】
また、本実施形態によれば、
図9に示したように、答案画像810上で採点箇所が指定されたことに応じて、採点基準画像1000を表示することができる。これにより、採点基準の表示が必要な際に採点基準画像1000が自動的に表示されることとなり、作業効率を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、
図12に示したように、答案画像810上の採点箇所に、採点入力の結果を示す採点画像を表示することができる。これにより、答案画像810上において採点結果を確認することができるため、作業効率を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、
図15に示したように、採点入力の結果に応じた表示順序の条件を指定することにより、該条件に応じた順序で、複数の答案画像を表示することができる。さらに、本実施形態によれば、表示順序の条件として、採点基準における採点入力の結果(例えば採点項目ごとの減点有無)を指定することができる。
【0044】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。