特許第6232260号(P6232260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232260フレキシブルコンテナ用解砕機及び解砕方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232260
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナ用解砕機及び解砕方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 1/00 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   B02C1/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-233218(P2013-233218)
(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-93228(P2015-93228A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】516008361
【氏名又は名称】大有株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】直井 周二
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06186360(US,B1)
【文献】 特開2000−196818(JP,A)
【文献】 特開昭61−011331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C
B65B
B65D
B65G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナを載置台に載置可能に設けられた基台部と、
該フレキシブルコンテナ内の被解砕物を解砕するための解砕手段と、
該フレキシブルコンテナの圧縮を検知する圧縮検知手段と、を備え、
該解砕手段は、少なくとも1対の回動可能な腕部と該腕部より内方へと延びる解砕部とを有し、
該基台部は、該載置台を昇降するための昇降手段を有しており
昇降手段は、該圧縮検知手段に連動して該載置台を昇降可能となっていると共に該圧縮検知手段の検知に基づき該載置台を降下し、該被破砕物の逃げ代を形成することを特徴とするフレキシブルコンテナ用解砕機。
【請求項2】
フレキシブルコンテナを載置台に載置可能に設けられた基台部と、
該フレキシブルコンテナ内の被解砕物を解砕するための解砕手段と、
該フレキシブルコンテナの圧縮を検知する圧縮検知手段と、を備え、
該解砕手段は、少なくとも1対の腕部と該腕部より内方へと延びる解砕部とを有し、
該基台部は、該載置台を昇降するための昇降手段を有しており、
該解砕部は、水平方向に対して上方に傾斜して設けられると共に該傾斜方向に移動可能に設けられ
昇降手段は、該圧縮検知手段に連動して該載置台を昇降可能となっていると共に該圧縮検知手段の検知に基づき該載置台を降下し、該被破砕物の逃げ代を形成することを特徴とするフレキシブルコンテナ用解砕機。
【請求項3】
前記圧縮検知手段は、圧力検知手段又は重量検知手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ用解砕機。
【請求項4】
前記圧力検知手段は、油圧シリンダであることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルコンテナ用解砕機。
【請求項5】
前記重量検知手段は、ロードセルであることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルコンテナ用解砕機。
【請求項6】
前記解砕手段は、L字状の腕部と、円弧状の解砕部とを有していることを特徴とする請求項1又は3乃至5の何れかに記載のフレキシブルコンテナ用解砕機。
【請求項7】
前記基台部は、旋回手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のフレキシブルコンテナ用解砕機。
【請求項8】
フレキシブルコンテナ内の被解砕物を解砕するための解砕方法であって、
該フレキシブルコンテナを載置台に載置する工程と、
少なくとも1対の解砕手段によって、該フレキシブルコンテナに上斜め方向の圧縮力を与えて、該被解砕物を解砕する工程と、
該載置台に掛る荷重を検知する工程と、
該荷重に基づき該載置台を降下させ、該被破砕物の逃げ代を形成する工程と、を含むことを特徴とする解砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナ用解砕機及び解砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体等を収容し運搬するために可撓性の袋体であるフレキシブルコンテナが用いられている(例えば、特許文献1を参照)。これらフレキシブルコンテナは、多量の粉粒体を収容する可能であると共に非使用時にはコンパクトに折畳んでおくことが可能であり便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4959850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に内容物が粉体である場合は、空気中の水分等によって、フレキシブルコンテナ内で当該粉体が固着し、当該コンテナから粉体を取り出すことが困難となる場合ある。この様な場合、当該コンテナの外部より衝撃等を与え内容物を解砕する必要がある。
【0005】
従来、固化した内容物(以下、被解砕物という)の解砕は、作業員122が解砕具123を用いてフレキシブルコンテナCを外部から叩くことによって行うか、フォークリフト(図示せず)に水平直線圧縮装置124を取り付け、水平直線圧縮装置124によって、前後左右から水平方向にフレキシブルコンテナCを挟持することで行っていた(図7A及び図7Bを参照)。
【0006】
前者の場合は、人力であるため非常に時間と労力とを必要とし、後者の場合は、フレキシブルコンテナCが水平直線圧縮装置124によって破れる可能性あり、熟練のいる作業であった。これは、内容物が充填されたフレキシブルコンテナCは、かなりの重量物であるため、何かに載置された状態で被解砕物Pの解砕を行うため、当該解砕によって容積を増した被解砕物P(内容物)が逃げ場を失ったため、フレキシブルコンテナCが伸びきってしまい起こる現象である。又、フォークリフトを移動させるスペースも必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、被解砕物を解砕する際に、フレキシブルコンテナが破損することを防止できると共により簡便に被解砕物の解砕を行うことができるフレキシブルコンテナ用解砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フレキシブルコンテナを載置台に載置可能に設けられた基台部と、該フレキシブルコンテナ内の被解砕物を解砕するための解砕手段と、該フレキシブルコンテナの圧縮を検知する圧縮検知手段と、を備え、該解砕手段は、少なくとも1対の回動可能な腕部と該腕部より内方へと延びる解砕部とを有し、該基台部は、該載置部を昇降するための昇降手段を有しており昇降手段は、該圧縮検知手段に連動して該載置台を昇降可能となっていると共に該圧縮検知手段の検知に基づき該載置台を降下し、該被破砕物の逃げ代を形成することを特徴とするフレキシブルコンテナ用解砕機である。
【0009】
又、本発明は、フレキシブルコンテナを載置台に載置可能に設けられた基台部と、該フレキシブルコンテナ内の被解砕物を解砕するための解砕手段と、該フレキシブルコンテナの圧縮を検知する圧縮検知手段と、を備え、該解砕手段は、少なくとも1対の腕部と該腕部より内方へと延びる解砕部とを有し、該基台部は、該載置台を昇降するための昇降手段を有しており、該解砕部は、水平方向に対して上方に傾斜して設けられると共に該傾斜方向に移動可能に設けられ昇降手段は、該圧縮検知手段に連動して該載置台を昇降可能となっていると共に該圧縮検知手段の検知に基づき該載置台を降下し、該被破砕物の逃げ代を形成することを特徴とするフレキシブルコンテナ用解砕機である。
【0010】
又、本発明は、フレキシブルコンテナ内の被解砕物を解砕するための解砕方法であって、該フレキシブルコンテナを載置台に載置する工程と、少なくとも1対の解砕手段によって、該フレキシブルコンテナに上斜め方向の圧縮力を与えて、該被解砕物を解砕する工程と、該載置台に掛る荷重を検知する工程と、該荷重に基づき該載置台を降下させ、該被破砕物の逃げ代を形成する工程と、を含むことを特徴とする解砕方法である。
【0011】
本発明は、前記圧縮検知手段を圧力検知手段又は重量検知手段とすることができる。又、本発明は、前記圧力検知手段を、油圧シリンダとすることができる。又、本発明は、前記重量検知手段を、ロードセルとすることができる。又、本発明は、前記解砕手段を、L字状の腕部と、円弧状の解砕部とを有するものとすることができる。又、本発明は、前記基台部が、旋回手段を更に有するものとすることができる
【発明の効果】
【0012】
本発明は、フレキシブルコンテナ用解砕機又は解砕方法を、前述の様に構成したので、解砕によって容積を増した被解砕物の逃げ場を確保しつつ被解砕物の解砕を行うことが可能であるため、フレキシブルコンテナが破損することを防止できると共により簡便に被解砕物の解砕を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態を示す正面図である。
図2】本発明の第1実施形態を示す側面図である。
図3】本発明の第1及び第2実施形態を示す図であり、主要部を示す略図である。
図4A】本発明の第1実施形態の圧縮検知手段を示す図である。
図4B】本発明の第2実施形態の圧縮検知手段を示す図である。
図5】本発明の第1及び第2実施形態の解砕時の様子を示す略図である。
図6】本発明の第3実施形態を示す略図である。
図7A】従来の解砕時の様子を示す略図であり、人力で行う場合の様子を示す図である。
図7B】従来の解砕時の様子を示す略図であり、フォークリフトにより行う場合の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1実施形態を図1乃至図3図4A及び図5に基づき説明する。先ず、本実施形態の構成について説明する。フレキシブルコンテナ用解砕機1(以下、解砕機1ともいう)は、基台部2、解砕手段3及び圧縮検知手段4を備える。
【0015】
基台部2は、フレキシブルコンテナCを載置するための載置台5と、昇降手段6と、旋回手段7とを有する。
【0016】
旋回手段7は、載置台5を旋回させるための手段であり、旋回モータ8、旋回モータ8に軸9を介して軸支させた旋回板10及び軸受11を有している。又、軸受11は、昇降手段6の昇降部13に貫設されている。旋回板10は、載置台5が載せられており、旋回モータ8の動作と連動して旋回可能となっている。
【0017】
昇降手段6は、載置台5を昇降するための手段であり、圧縮検知手段4と連動可能となっている。昇降手段6は、昇降ガイドローラー12、昇降部13及びその駆動手段である油圧シリンダ4Aを有している。昇降部13は、油圧シリンダ4Aによって昇降ガイドローラー12に沿って昇降可能となっている。昇降部13が昇降すると、それに連動して昇降部13に軸受11を介して連結された旋回板10に載せられた載置台5が昇降する様になっている。
【0018】
解砕手段3は、フレキシブルコンテナC内で固化した被解砕物Pを解砕するための手段である。解砕手段3は、少なくとも1対の腕部14及び解砕部15を有している。腕部14は、一端が回動可能に解砕機1に軸支されおり、他端は、解砕部15と連続している。解砕部15は、腕部14の他端より内方へと延びる様に設けられる。又、腕部14は、その駆動手段として設けられた圧縮シリンダ16に接続されている。本実施形態においては、腕部14は、略L字状であり、解砕部15は、略円弧状に設けられる。つまり、本実施形態の解砕手段3は、略コ字状をしていることとなる。
【0019】
圧縮検知手段4は、解砕手段3の解砕部15によって、フレキシブルコンテナCがある規定以上に圧縮された際に、その圧縮を検知する手段である。フレキシブルCの圧縮は、例えば、載置台5に掛る荷重等を検知することによって行われる。本実施形態において、圧縮検知手段4には、圧力検知手段が採用されている。
【0020】
本実施形態において、当該圧力検知手段は、油圧シリンダ4Aがその役割を兼ねている。油圧シリンダ4Aは、載置台5にそれを押し下げ様とする力が働くと、その力、即ち、載置台5に掛る荷重が昇降部13を介して伝達され、その伝達によって油圧シリンダ4A内の内圧が高まる様に構成されている。又、油圧シリンダ4Aは、回路17(図4A(ii)を参照)の一部を構成しており、その内圧は、回路17内のリリースバルブ18へと伝達される様になっている。リリースバルブ18は、ある閾値以上の圧力を検知すると、回路17を開き、リフトバルブ19に接続された昇降部13を降下させる様になっている。尚、回路17は、その端がタンク20に接続されており、ストップ弁21を有している。
【0021】
次に、本実施形態の解砕動作について説明する。フレキシブルコンテナCが載置台5に載置され(図5(i)を参照)、解砕機1を動作させると、圧縮シリンダ19は解砕手段5を内方へと回動させる。解砕手段5の解砕部15がフレキシブルコンテナCに押し当てられると、フレキシブルコンテナC内の被解砕物Pの解砕が始まる(図5(ii)を参照)。その際、フレキシブルコンテナCの上部より解砕を開始することが望ましい。フレキシブルコンテナCの下部より始めると、解砕された被解砕物Pの逃げ場がなくなりフレキシブルコンテナCが破損する可能性はあるからである。
【0022】
そして、フレキシブルコンテナCの上部より下部に向かって順次、被解砕物Pを解砕していく(図5(iii)及び(iv)を参照)。その際、解砕部15からのフレキシブルコンテナCへ圧縮力F1は、解砕部15の軌跡が弧状であるため上斜め方向に働く。そして、その分圧である押下げ力F2が載置台5を押し下げ様とする。押下げ力F2は、昇降部13を介して圧力検知手段たる油圧シリンダ4Aへと伝達される。
【0023】
押下げ力F2、即ち、油圧シリンダ4Aの内圧がある一定以上となると、リリースバルブ18が開放され、昇降手段6は載置台5を降下させる。載置台5の降下によって、フレキシブルコンテナCが下方へと変形することが可能となり、そこに被解砕物Pの逃げ代が形成される(図5(v)を参照)。その後、リリースバルブ18よる圧力のパージにより、油圧シリンダ4Aの内圧が一定以下となるとリリースバルブ18は閉鎖され、その位置で昇降部13が保持される。そして、解砕機1が解砕物Pを解砕している間、この工程が繰り返される。従って、フレキシブルコンテナCが破損されることが防止することが可能となる。
【0024】
本発明の第2実施形態を図3図4B及び図5に基づき説明する。第1実施形態との相違は、圧縮検知手段4として、重量検知手段を採用したことである。他の構成については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0025】
本実施形態では、重量検知手段として、例えば、ロードセル4Bが採用される。ロードセル4Bは、昇降手段6の昇降部13に接続されており、昇降部13を介して載置台5に掛る荷重を検知可能となっている。
【0026】
そして、ロードセル4Bが、閾値以上の荷重を検知すると昇降部13の駆動手段(図示せず)を動作させ、検知される重量が閾値以下となるまで昇降部13が降下する様になっている。尚、当該駆動手段としては、例えば、第1実施形態の様な油圧シリンダを用いることも可能であるが、その他、適宜選択することが可能である。
【0027】
本発明の第3実施形態を図6に基づき説明する。第1及び第2実施形態との相違は、略コ字状の解砕手段3の替りに略直線状の解砕部3Aを設けたことである。他の構成については、第1及び第2実施形態と同様であるので説明を省略する。尚、圧縮検知手段4は、圧力検知手段及び重量検知手段の何れも適用可能である。
【0028】
本実施形態において、解砕手段3Aは、略直線状の腕部14Aを有しており、腕部14Aには、摺動可能に同じく略直線上の解砕部15Aが取付けられている。又、腕部14Aには、解砕部15Aの摺動手段として圧縮シリンダ16Aが固定されている。解砕手段3Aは、解砕部15Aが内方に向くように且つ水平方向より上斜め方向に傾いた状態、即ち、上方に傾斜した状態で解砕機1に取付けられる。
【0029】
被解砕物Pを解砕する際には、解砕部15Aは上斜め方向へと摺動し、解砕部15AがフレキシブルコンテナCに下方より斜め方向に圧接可能となっている。そのため、第1及び第2実施形態と同様に、その際の圧縮力F1は上斜め方向にフレキシブルコンテナCへと働き、その分力である押下げ力F1が載置台5を押し下げる方向に働くこととなる。従って、第1及び第2実施形態と同様にフレキシブルコンテナCが破損されることが防止することが可能となる。
【0030】
本発明を上記実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。例えば、解砕手段3に圧縮検知手段4を設け、解砕手段3によりフレキシブルコンテナCの圧縮を検知する様にしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 フレキシブルコンテナ用解砕機 2 基台部
3 解砕手段 4 圧縮検知手段
4A 油圧シリンダ 4B ロードセル
5 載置台 6 昇降手段
7 旋回手段 8 旋回モータ
9 軸 10 旋回板
11 軸受 12 昇降ガイドローラー
13 昇降部 14 腕部
15 解砕部 16 圧縮シリンダ
17 回路 18 リリースバルブ
19 リフトバルブ 20 タンク
21 ストップ弁 122 作業員
123 解砕具 124 水平直線圧縮装置
C フレキシブルコンテナ F1 圧縮力
F2 押下げ力 P 被解砕物
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B