【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の第1の態様は、光ファイバプリフォームの製造用に中空ガラス基材チューブの内面を活性化する方法に関する。前記方法は、
i)PCVDプロセスによって前記中空基材チューブの前記内面上に多数の活性化ガラス層を蒸着するステップであって、活性化ガラス層の厚さが最小で10マイクロメートル且つ最大で250マイクロメートルであるステップと、
ii)エッチングプロセスによってステップi)で蒸着された前記活性化ガラス層を少なくとも部分的に取り除くステップであって、ステップi)で蒸着された活性化ガラス層が少なくとも30%の範囲まで取り除かれるステップと、
を備える。
【0029】
本方法のある実施形態では、エッチングプロセスはエッチングガスを用いたプラズマエッチングである。
【0030】
本方法の別の実施形態では、前記エッチングガスは、フッ素含有のエッチングガスである。
【0031】
本方法のさらに別の実施形態では、前記エッチングガスは、水素を含まないフッ素化物とキャリアガスを備える。
【0032】
本方法のさらに別の実施形態では、前記エッチングガスは、CCl
2F
2,CF
4,C
2F
6,SF
6,F
2およびSO
2F
2,またはそれらの組み合わせで構成されるグループから選択される。
【0033】
本方法のさらに別の実施形態では、前記キャリアガスは、酸素(O
2),窒素(N
2),またはアルゴン(Ar)で構成されるグループから選択される。
【0034】
本方法のさらに別の実施形態では、前記フッ素含有のエッチングガスは、少なくともO
2およびC
2F
6及び/又はSF
6の混合物である。
【0035】
本方法のさらに別の実施形態では、非ドープガラスフォーミングガスがステップi)のPCVDプロセスで用いられる。
【0036】
本方法のさらに別の実施形態では、前記非ドープガラスフォーミングガスとして少なくともO
2およびSiCl
4の混合物が用いられる。
【0037】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップi)で蒸着された活性化ガラス層の厚さは、少なくとも25マイクロメートルである。
【0038】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップi)で蒸着された活性化ガラス層の厚さは、少なくとも50マイクロメートルである。
【0039】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップi)で蒸着された活性化ガラス層は、最大で125マイクロメートルである。
【0040】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップi)で蒸着された活性化ガラス層は、最大で75マイクロメートルである。
【0041】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップii)の間にステップi)で蒸着された活性化ガラス層が少なくとも40%の範囲まで取り除かれる。
【0042】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップii)の間にステップi)で蒸着された活性化ガラス層が少なくとも50%の範囲まで取り除かれる。
【0043】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップii)の間にステップi)で蒸着された活性化ガラス層が最大で100%の範囲まで取り除かれる。
【0044】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップii)の間にステップi)で蒸着された活性化ガラス層が最大で90%の範囲まで、または随意に95%又はさらに99%の範囲まで取り除かれる。
【0045】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップii)の間にステップi)で蒸着された活性化ガラス層が最大で80%の範囲まで取り除かれる。
【0046】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップi)の間のガラス蒸着は、中空基材チューブの長さに沿って行われる。
【0047】
本方法のさらに別の実施形態では、ステップi)の間のガラス蒸着は、中空基材チューブの長さの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%に沿って行われる。
【0048】
本発明者は、本発明の目的の一つ以上が本方法によって達成されることを見いだした。
【0049】
(本明細書で使用される際の定義)
本明細書および特許請求の範囲では、本願の発明の内容を規定するために以下の定義が用いられる。下記で言及されていない他の用語は、当技術分野で一般に認められている意味を有することを意図されている。
・「活性化」は、本明細書で中空基材チューブと組み合わせて用いられるとき、蒸着プロセス開始前、通常、中空基材チューブ内での従来のCVD(chemical vapor deposition)プロセス開始前の中空基材チューブの前処理を意味する。活性化は、基材チューブの初期の(initial)又は元の(original)又は最初の(virgin)表面上で起こる。注目すべきは、本発明に係る活性化の間に複数の活性化層が蒸着されることである。最初の層のみが、初期の又は元の又は最初の基材チューブ表面と直接接触する。しかしながら、複数の活性化層の蒸着の全部のプロセスが「活性化」と見なされる。
・「内面」は、本明細書で用いられるとき、中空基材チューブの内部表面または内側表面を意味する。
・「中空基材チューブ」は、本明細書で用いられるとき、内部にキャビティ(空洞)を有する細長いチューブを意味する。通常、前記チューブの内側には、プリフォームの製造の間に複数のガラス層が設けられる(またはコーティングされる)。
・「中空基材チューブの長さ」は、本明細書で用いられるとき、全中空基材チューブの実効長を意味する。これは、プラズマが発生し且つガラスの蒸着が起こる基材チューブの長さである。
・「キャビティ」は、基材チューブの壁によって囲まれた空間を意味する。
・「ガラス」または「ガラス物質」は、本明細書で用いられるとき、蒸着プロセスによって蒸着される結晶質またはガラス質(ガラス状)の酸化物材料−例えばシリカ(SiO
2)またはさらに石英−を意味する。
・「シリカ」は、本明細書で用いられるとき、化学量論を問わず、そして結晶質または非結晶質を問わず、SiOxの形をとる任意の物質を意味する。
・「活性化ガラス層」は、本明細書で用いられるとき、中空基材チューブの内面を活性化させるために用いられるガラス物質の層を意味する。複数の活性化層が蒸着される。最初の層のみが、初期の又は元の又は最初の基材チューブ表面と直接接触する。しかしながら、ステップi)の間に蒸着される全ての層が活性化層と見なされる。「エッチングプロセス」は、本明細書で用いられるとき、化学作用を通じてガラス物質を取り除くプロセスを意味する。
・「エッチングガス」は、本明細書で用いられるとき、エッチングプロセスの間に用いられるガス状のエッチング化合物を意味する。エッチングガスは、適切な条件(例えば温度および濃度)の下で化学作用を通じてガラス物質を取り除くことができるガスである。
・「プラズマエッチング」は、本明細書で用いられるとき、エッチングガスに必要なエッチング条件がプラズマ中で生成または改善されるエッチングプロセスを意味する。
・「フッ素含有エッチングガス」は、本明細書で用いられるとき、フッ素及び/又は一つ以上のフッ素化物を含有するエッチングガスを意味する。
・「フッ素化物」は、本明細書で用いられるとき、少なくとも一つの結合されたフッ素原子を含む化合物、例えばフッ素化炭化水素を意味する。
・「水素を含まないフッ素化物」は、本明細書で用いられるとき、ペルフルオロ化合物、水素原子が存在しないフッ素化物、例えば全ての水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素化炭化水素、を意味する。
・「キャリアガス」は、本明細書で用いられるとき、エッチングガスと直接反応せずにエッチングガスの濃度を希釈するガスを意味する。
・「ガラスフォーミングガス」は、本明細書で用いられるとき、蒸着プロセスの間にガラス層を形成するために用いられる反応ガスを意味する。
・「非ドープガラスフォーミングガス」は、本明細書で用いられるとき、基本的に純粋な石英ガラスに反応可能な意図的にドーパントが付加されていないガスを意味する。
・「活性化ガラス層の除去の範囲」は、本明細書で用いられるとき、取り除かれる活性化ガラス層のパーセンテージを意味する。これは、例えば、除去前後の活性化ガラス層の厚さの差分によって計算可能である。または、蒸着されたガラスと除去されたガラスの重さにより計算可能である。