特許第6232274号(P6232274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232274
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】オイルストレーナ
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/02 20060101AFI20171106BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20171106BHJP
   F01M 11/03 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B01D35/02 E
   B01D29/04 510A
   B01D29/04 510C
   B01D29/04 510D
   B01D29/04 510F
   B01D29/04 530B
   F01M11/03 G
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-256317(P2013-256317)
(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公開番号】特開2015-112540(P2015-112540A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 俊哉
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−150963(JP,A)
【文献】 特開2009−008071(JP,A)
【文献】 特開平11−319436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D35/00−35/34
B01D29/00−29/96
F01M11/00−13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で所定方向に延びる多数の線状部(11e、11f)により形成されるとともにオイルを濾過するメッシュ部(11)を有するフィルタ(10)と、
上記フィルタ(10)を収容するとともに、所定方向に延びるように形成されたケーシング(20)とを備え、
上記ケーシング(20)には、オイルを上記ケーシング(20)内に流入させるオイル流入口(43b)と、上記ケーシング(20)内の濾過後のオイルを流出させるオイル流出口(33b)とが上記ケーシング(20)の長手方向に離れて形成されたオイルストレーナ(1)において、
上記メッシュ部(11)は、上記ケーシング(20)の長手方向に延びるように形成され、
上記メッシュ部(11)には、該メッシュ部(11)を形成する線状部(11e、11f)の幅が該メッシュ部(11)の他の部位を形成する線状部(11e、11f)の幅よりも細い細線部(11a)が設けられ
上記細線部(11a)を形成している隣合う線状部(11e、11f)の間隔と、他の部位を形成している隣合う線状部(11e、11f)の間隔とは略同じに設定されていることを特徴とするオイルストレーナ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルストレーナ(1)において、
上記細線部(11a)は、上記フィルタ(10)における上記ケーシング(20)内のオイル流れ方向上流側に設けられていることを特徴とするオイルストレーナ(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のオイルストレーナ(1)において、
上記メッシュ部(11)には、上記細線部(11a)を囲むように仕切部(11c)が設けられていることを特徴とするオイルストレーナ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジン等のオイルパンの内部に配設するオイルストレーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のオイルストレーナとしては、例えば特許文献1に開示されているようにフィルタと、フィルタを収容するケーシングとを備えたものが知られている。特許文献1のオイルストレーナのケーシングは、傾斜しながら所定方向に延びる細長い形状であり、上下方向に2分割されている。下側部材の長手方向一側には、オイル流入管部が形成されている。上側部材の長手方向他側には、オイル流出管部が形成されている。フィルタは、オイルを濾過するための多数の細孔が形成されたメッシュ部を有しており、上側部材と下側部材との分割面に配置されている。濾過前のオイルはオイル流入管部からケーシング内に流入してケーシングの長手方向他側へ流れながら上方へ流れてフィルタを通過して濾過された後、オイル流出管部から流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4527002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オイルストレーナを設けるとオイルの流通抵抗が増大することは避けられないのであるが、流通抵抗が大きいとオイルポンプの吸入力を高めなければならず、オイルポンプの駆動に要するエネルギ消費量が増大してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、フィルタのメッシュ部の単位面積当たりの開口面積を拡大させることによってメッシュ部を通過する際のオイルの流通抵抗を減少させることが考えられる。しかしながら、メッシュ部の単位面積当たりの開口面積を拡大させようとすると、メッシュ部を形成する線の幅を細くしなければならず、メッシュ部の強度不足を招く恐れがある。特にメッシュ部を樹脂製とする場合にはこのことが顕著なものとなる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メッシュ部の必要強度を確保しつつ、メッシュ部を通過する際のオイルの流通抵抗を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、メッシュ部を形成する線の幅が細い部分をメッシュ部の一部にのみ設けるようにした。
【0008】
第1の発明は、
平面視で所定方向に延びる多数の線状部(11e、11f)により形成されるとともにオイルを濾過するメッシュ部(11)を有するフィルタ(10)と、
上記フィルタ(10)を収容するとともに、所定方向に延びるように形成されたケーシング(20)とを備え、
上記ケーシング(20)には、オイルを上記ケーシング(20)内に流入させるオイル流入口(43b)と、上記ケーシング(20)内の濾過後のオイルを流出させるオイル流出口(33b)とが上記ケーシング(20)の長手方向に離れて形成されたオイルストレーナ(1)において、
上記メッシュ部(11)は、上記ケーシング(20)の長手方向に延びるように形成され、
上記メッシュ部(11)には、該メッシュ部(11)を形成する線状部(11e、11f)の幅が該メッシュ部(11)の他の部位を形成する線状部(11e、11f)の幅よりも細い細線部(11a)が設けられ
上記細線部(11a)を形成している隣合う線状部(11e、11f)の間隔と、他の部位を形成している隣合う線状部(11e、11f)の間隔とは略同じに設定されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、メッシュ部の細線部は線の幅が細いので、単位面積当たりの開口面積が拡大する。よって、オイルの流通抵抗が減少する。この細線部以外のメッシュ部では線の幅が細線部よりも太いのでメッシュ部の必要強度が確保される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、
上記細線部(11a)は、上記フィルタ(10)における上記ケーシング(20)内のオイル流れ方向上流側に設けられていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ケーシング内のオイル流れ方向上流側の領域でオイルがメッシュ部を通過しやすくなるので、未濾過のままでケーシング内の下流側へ流れていってメッシュ部の下流側を通過してしまうオイル量を減少させることが可能になる。よって、メッシュ部の全体を使用してオイルを濾過することが可能になる。
【0012】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記メッシュ部(11)には、上記細線部(11a)を囲むように仕切部(11c)が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、強度がメッシュ部の他の部位に比べて低い細線部を仕切部で囲むことで、細線部の強度を仕切部で補うことが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、線の幅がメッシュ部の他の部位を形成する線の幅よりも狭い細線部をメッシュ部の一部にのみ設けるようにしたので、メッシュ部の必要強度を確保しつつ、メッシュ部を通過する際のオイルの流通抵抗を減少させることができる。
【0015】
第2の発明によれば、細線部をフィルタのオイル流れ方向上流側に設けたので、未濾過のままでケーシング内の下流側へ流れていってしまうオイル量を減少させてメッシュ部の全体を使用してオイルを濾過することができる。
【0016】
第3の発明によれば、細線部の強度を仕切部で補うことができるので、メッシュ部の破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係るオイルストレーナの縦断面図である。
図2】フィルタの平面図である。
図3】オイルストレーナの平面図である。
図4】メッシュ部の部分拡大断面図である。
図5】実施形態2に係る図1相当図である。
図6】実施形態2に係る図2相当図である。
図7】実施形態3に係る図1相当図である。
図8】実施形態3に係る図2相当図である。
図9】実施形態4に係る図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係るオイルストレーナ1の縦断面図である。このオイルストレーナ1は、図示しないが例えば自動車に搭載されるエンジンのオイルパンの内部に配設され、オイルパンに貯留されているオイルを濾過してエンジンのオイルポンプに供給することができるようになっている。尚、オイルストレーナ1は、エンジン以外にも例えば自動変速機等のオイルが循環する装置に使用することができ、この場合もオイルパンの内部に配設することができる。
【0020】
オイルストレーナ1は、オイルを濾過するためのフィルタ10と、フィルタ10を収容することが可能なケーシング20とを少なくとも備えている。ケーシング20は、フィルタ10を収容する部分が傾斜しながら延びており、細長い形状となっている。ケーシング20の傾斜方向は、オイル流れ方向下流側が上流側に比べて上に位置する方向となっている。このケーシング20の内部をオイルの搬送路として利用することで、オイルの吸入部位とオイルポンプとが離れていても対応することができる。
【0021】
ケーシング20は、上下方向の中間部において上下に2分割されており、上側部材30と、下側部材40とを備えている。上側部材30及び下側部材40は樹脂材を成形してなるものである。
【0022】
上側部材30は、ケーシング20のオイル流れ方向下流側へ行くほど上に位置するように傾斜しながら延びる上壁部31と、上壁部31の周縁部から下方へ延びる周壁部32とを備えている。周壁部32の下端部も、オイル流れ方向下流側へ行くほど上に位置するように傾斜しながら延びている。
【0023】
上壁部31におけるオイル流れ方向下流側(長手方向他側、図1における左側)には、ケーシング20内部の濾過後のオイルが流出するオイル流出口33bが上壁部31を上下方向に貫通するように形成されている。このオイル流出口33bの形状は円形が好ましい。オイル流出口33bの中心線は上下方向に延びている。上壁部31におけるオイル流出口33bの周縁部には、図示しない環状シール部材が嵌入する環状溝部33aが形成されている。尚、オイル流出側に上方へ突出する管部を形成し、この管部の上端開口をオイル流出口33bとしてもよい。
【0024】
また、図3に示すように、上壁部31におけるオイル流出口33bの近傍には、締結用フランジ35が形成されている。締結用フランジ35には、オイルストレーナ1をエンジンのシリンダブロック(図示せず)に締結するためのボルト等からなる締結部材が挿通する挿通孔35aが形成されている。
【0025】
図1に示すように、上側部材30の周壁部32の下端部には、ケーシング20の外方へ延出する上側フランジ32aが形成されている。上側フランジ32aは、周壁部32の全周に連続している。上側フランジ32aの下面には、下方へ突出する上側溶着用突条部32bが周壁部32の全周に連続して形成されている。また、上側部材30の周壁部32の内面には、フィルタ10の枠部12が嵌まる上側段部32cが形成されている。
【0026】
下側部材40は、ケーシング20の長手方向に延びる下壁部41と、下壁部41の周縁部から上方へ延びる周壁部42とを備えている。下壁部41は、ケーシング20の傾斜方向と同方向に傾斜しており、上壁部31と略平行に形成されている。下壁部41におけるオイル流れ方向上流側(長手方向一側、図1における右側)には、下方へ突出するオイル流入管部43が形成されている。オイル流入管部43の下端部(上流端部)の開口がオイル流入口43bである。従って、オイル流入口43bとオイル流出口33bとはケーシング20の長手方向に離れることになる。
【0027】
オイル流入口43bの中心線Xは、上下方向に延びている。オイル流入管部43の長さは、任意の長さに設定することができる。また、オイル流入管部43を省略してオイル流入口43bを下壁部41に形成することもできる。この場合、オイル流入口43bが下壁部41を上下方向に貫通するように形成すればよい。
【0028】
下側部材40の周壁部42の上端部には、ケーシング20の外方へ延出する下側フランジ42aが形成されている。下側フランジ42aは、周壁部42の全周に連続している。下側フランジ42aの上面には、上方へ突出する下側溶着用突条部42bが周壁部42の全周に連続して形成されている。下側溶着用突条部42bは、全周が上側溶着用突条部32bに対して熱板溶着や振動溶着法を用いて溶着され、これにより、上側部材30と下側部材40との間がシールされる。
【0029】
フィルタ10は、ケーシング20の長手方向に沿って傾斜しながら延びるように形成されている。図2に示すように、フィルタ10は、メッシュ部11と、メッシュ部11を囲む枠部12とを有しており、樹脂材により一体成形されている。
【0030】
メッシュ部11には、オイルに混入している異物を捕捉することができる程度の細孔が多数形成されている。メッシュ部11の形状は、ケーシング20の長手方向に長く延びており、下側部材40の上側の開放部分全体を覆うことができるように形成されて十分な濾過面積が確保されている。尚、メッシュ部11は、樹脂製のメッシュで形成してもよいし、金属製のメッシュで形成してもよいが、この実施形態では、樹脂材を射出成形してなるものである。
【0031】
メッシュ部11は、図4に示すように、所定方向に延びる多数の第1線状部11eと、平面視で第1線状部11eと略直交する方向に延びる多数の第2線状部11fとを有している。第1線状部11eは直線状に延びており、互いに略平行である。第1線状部11eの断面は、メッシュ部11のオイル流れ方向下流側へ向けて幅が狭くなるように形成されており、全体的にオイル流れ方向下流側へ向けて突出するようになっている。第1線状部11eのオイル流れ方向上流側の面は、オイル流れ方向に対して直交する方向に延びる平坦面である。
【0032】
第2線状部11fは、第1線状部11eのオイル流れ方向上流側に配置されている。第2線状部11fは、直線状に延びており、互いに略平行である。第2線状部11fの断面は、メッシュ部11のオイル流れ方向上流側へ向けて幅が狭くなるように形成されており、全体的にオイル流れ方向上流側へ向けて突出するようになっている。このように第2線状部11fが先細となる断面を有していることにより、オイルがメッシュ部11を通過しやすくなる。第2線状部11fのオイル流れ方向下流側の面は、オイル流れ方向に対して直交する方向に延びる平坦面である。この第2線状部11fのオイル流れ方向下流側と、上記第1線状部11eのオイル流れ方向上流側とが一体化しており、オイルの流通方向から見たときに矩形の細孔が形成されることになる。
【0033】
第1線状部11eの線の幅W1及び第2線状部11fの線の幅W2は例えば0.5mmであり、第1線状部11eの線の高さH1及び第2線状部11fの線の高さH2は例えば0.8mmである。隣り合う第1線状部11e、11eの間隔S1は、例えば0.8mmに設定することができる。隣り合う第2線状部11f、11fの間隔S2も同様に設定することができる。
【0034】
図2に示すように、メッシュ部11におけるケーシング20内のオイル流れ方向上流側には、細線部11aが設けられている。細線部11aは、細線部11aを形成する線状部11e、11fの幅W1、W2が他の部位11bを形成する線状部11e、11fの幅W1、W2よりも細い部分である。具体的には、細線部11aの線状部11e、11fの幅W1、W2は、0.35mm〜0.40mmとされている。また、細線部11aの線状部11e、11fの高さH1、H2は、0.5mm〜0.6mmとされている。隣り合う第1線状部11eの間隔S1及び隣り合う第2線状部11fの間隔S2は、細線部11a以外の部位11bにおける線状部11e、11fの間隔S1、S2と略同じに設定されている。従って、細線部11aでは線状部11e、11fの幅W1、W2が狭くなった分、細線部11a以外の部位11bに比べて単位面積当たりの開口面積が拡大することになる。
【0035】
細線部11aが形成されている領域は平面視で略円形であるが、この領域の形状は円形に限られるものではなく、例えば楕円形であってもよいし、多角形形状であってもよい。メッシュ部11には、細線部11aを囲むように仕切部11cが設けられている。仕切部11cは環状に形成されており、線状部11e、11fの幅W1、W2よりも十分に広い幅(例えば0.8mm〜1.0mm)を有している。また、仕切部11cの高さは、線状部11e、11fの高さH1、H2と同程度に設定されている。従って、仕切部11cは、細線部11aよりも高強度となる。
【0036】
また、図1に示すように、細線部11aは、オイル流入口43bの中心線Xの延長線上に形成されるようになっている。この実施形態では、オイル流入口43bを下方から見たとき、オイル流入口43b内の全体に細線部11aが形成されるようになっている。尚、細線部11aの形成範囲は、上記した範囲に限られるものではなく、広くしてもよいし、狭くしてもよい。
【0037】
オイルストレーナ1内部には、オイル流入管部43のオイル流入口43bからオイル流出口33bに亘って屈曲しながら延びるオイル流路Rが形成されることになる。オイル流路Rの形状及び断面積は、オイル流入管部43の内部形状、ケーシング20内部のフィルタ10が配設された部分の形状及びによって設定されることになる。
【0038】
次に、上記のように構成されたオイルストレーナ1によってオイルを濾過する場合について説明する。オイル流入口43bからオイル流入管部43内に流入したオイルは、ケーシング20内部のフィルタ10が配設された部分に流入してオイル流出孔33b側へ向かって流れながら、フィルタ10のメッシュ部11を通過して濾過される。このとき、メッシュ部11には、単位面積当たりの開口面積が他の部位11bよりも拡大した細線部11aが設けられているので、オイルの流通抵抗が低減する。また、オイルに脈動等が生じている場合にはメッシュ部11の負担が大きくなることが考えられるが、細線部11aはメッシュ部11の全面積の半分にも満たない領域にのみ設けられているのでメッシュ部11の強度は必要十分に確保することができ、破損が抑制される。
【0039】
以上説明したように、この実施形態に係るオイルストレーナ1によれば、メッシュ部11の線状部11e、11fの幅H1、H2が他の部位11bを形成する線状部11e、11fの幅H1、H2よりも狭い細線部11aをメッシュ部11の一部にのみ設けるようにしている。これにより、メッシュ部11の必要強度を確保しつつ、メッシュ部11を通過する際のオイルの流通抵抗を減少させることができる。
【0040】
また、細線部11aをフィルタ10のオイル流れ方向上流側に設けたので、ケーシング20内のオイル流れ方向上流側の領域でオイルがメッシュ部11を通過しやすくなる。これにより、未濾過のままでケーシング20内の下流側へ流れていってしまうオイル量を減少させてメッシュ部11の全体を使用してオイルを濾過することができる。
【0041】
また、細線部11aの強度を仕切部11cで補うことができるので、メッシュ部11の破損を抑制できる。
【0042】
(実施形態2)
図5及び図6は、本発明の実施形態2に係るオイルストレーナ1を示すものである。この実施形態2のオイルストレーナ1は、メッシュ部11の細線部11aがケーシング20内のオイル流れ方向下流側に設けられている点で、実施形態1のものとは異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分について説明する。すなわち、実施形態2の細線部11aはオイル流出口33bを上方から見たとき、オイル流出口33b内の全体に形成されるようになっている。
【0043】
この実施形態2のものも、実施形態1のものと同様に、メッシュ部11の必要強度を確保しつつ、メッシュ部11を通過する際のオイルの流通抵抗を減少させることができる。
【0044】
(実施形態3)
図7及び図8は、本発明の実施形態3に係るオイルストレーナ1を示すものである。この実施形態3のオイルストレーナ1は、メッシュ部11の細線部11aがケーシング20内のオイル流れ方向上流側と下流側とにそれぞれ設けられている点で、実施形態1のものとは異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分について説明する。
【0045】
すなわち、実施形態3では、ケーシング20内のオイル流れ方向上流側の細線部11aはオイル流入口43bを下方から見たとき、オイル流入口43b内の全体に形成されるようになっている。また、オイル流れ方向下流側の細線部11aはオイル流出口33bを上方から見たとき、オイル流出口33b内の全体に形成されるようになっている。
【0046】
この実施形態3のものも、実施形態1のものと同様に、メッシュ部11の必要強度を確保しつつ、メッシュ部11を通過する際のオイルの流通抵抗を減少させることができる。
【0047】
(実施形態4)
図9は、本発明の実施形態4に係るオイルストレーナ1を示すものである。この実施形態4のオイルストレーナ1は、フィルタ10の網目部11に、オイル流入口43bの中心線Xに直交する方向に延びる流入側網目部11Aと、オイル流出口33bの中心線に直交する方向に延びる流出側網目部11Bとを形成している点で、実施形態1のものとは異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分について説明する。
【0048】
オイル流入管部43の中心線X及びオイル流出口33bの中心線Yは略鉛直に延びているので、流入側網目部11A及び流出側網目部11Bが略水平に延びることになる。網目部11における流入側網目部11Aと流出側網目部11Bとの間の部分は、オイル流出口33b側へ行くほど上に位置するように傾斜する。また、ケーシング20は、フィルタ10の形状に合わせて形状変更している。この実施形態4では、流出側網目部11Bに細線部11aを形成しているが、流入側網目部11Aに細線部11aを形成することもできる。
【0049】
実施形態4では、オイル流入口43bから流入したオイルが流入側網目部11Aに対して直線的に流入するようになるので、オイルの流通抵抗が低減する。また、流出側網目部11Bから流出したオイルが直線的に流れてオイル流出口33bに流入するので、このことによってもオイルの流通抵抗が低減する。
【0050】
この実施形態4のものも、実施形態1のものと同様に、メッシュ部11の必要強度を確保しつつ、メッシュ部11を通過する際のオイルの流通抵抗を減少させることができる。
【0051】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明に係るオイルストレーナは、例えばエンジンのオイルパンの内部に配設して使用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 オイルストレーナ
10 フィルタ
11 メッシュ部
11a 細線部
11c 仕切部
20 ケーシング
33b オイル流出口
43b オイル流入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9