特許第6232279号(P6232279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232279赤外線アブレーション層用積層体、フレキソ印刷版原版、赤外線アブレーション層用積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232279
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】赤外線アブレーション層用積層体、フレキソ印刷版原版、赤外線アブレーション層用積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20171106BHJP
   G03F 7/095 20060101ALI20171106BHJP
   G03F 7/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G03F7/004 501
   G03F7/095
   G03F7/00 502
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-265080(P2013-265080)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-121652(P2015-121652A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英幸
(72)【発明者】
【氏名】松岡 甲樹
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−286361(JP,A)
【文献】 特開平03−114053(JP,A)
【文献】 特開平08−216541(JP,A)
【文献】 特開2012−137515(JP,A)
【文献】 特開2011−070083(JP,A)
【文献】 特開2004−317964(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0180655(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00−7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル樹脂、エラストマーおよび脂肪酸アミドを含有し、フレキソ印刷版原版の赤外線アブレーション層の材料として用いられる赤外線アブレーション層用組成物により形成された赤外線アブレーション層が支持体層の上に設けられ、かつ、前記赤外線アブレーション層の表面に、前記脂肪酸アミドが析出しており、前記赤外線アブレーション層の前記脂肪酸アミドが析出している表面の水接触角が、85〜110°の範囲内であることを特徴とする赤外線アブレーション層用積層体
【請求項2】
前記エラストマーが、アクリロニトリル−ブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の赤外線アブレーション層用積層体
【請求項3】
前記脂肪酸アミドが、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸から選択される少なくとも1種のモノアミドまたはビスアミドであることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線アブレーション層用積層体
【請求項4】
前記支持体層が、極性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の赤外線アブレーション層用積層体。
【請求項5】
前記赤外線アブレーション層の前記脂肪酸アミドが析出している表面の水接触角が、その表面と反対の面の水接触角と異なることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の赤外線アブレーション層用積層体。
【請求項6】
前記支持体層の表面に凹凸が付与されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の赤外線アブレーション層用積層体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の赤外線アブレーション層用積層体の赤外線アブレーション層の脂肪酸アミドが析出している表面に感光性樹脂層が接して設けられていることを特徴とするフレキソ印刷版原版。
【請求項8】
前記感光性樹脂層が、水分散ラテックス、ゴム、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項に記載のフレキソ印刷版原版。
【請求項9】
支持体層の上に、(メタ)アクリル樹脂、エラストマー、脂肪酸アミドおよび溶剤を含有する塗工層を形成する塗工工程と、
前記塗工層から溶剤を除去する乾燥工程と、を有し、
前記乾燥工程において、前記脂肪酸アミドの融点以上の温度に前記塗工層を加熱することにより、前記脂肪酸アミドを表面に析出させることを特徴とする赤外線アブレーション層用積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキソ印刷版原版の赤外線アブレーション層の材料として好適な赤外線アブレーション層用組成物と、これを用いた赤外線アブレーション層用積層体、フレキソ印刷版原版、赤外線アブレーション層用積層体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷版を用いて、包装材やラベル、雑誌等の被刷体に、凸版印刷、凹版印刷、あるいは、平版印刷が行われている。このうち、凸版印刷は、凸版を用いて行われる。この凸版には、材質が柔らかいことから被刷体を選ばず、種々の被刷体に適用可能なフレキソ印刷版がある。
【0003】
フレキソ印刷版の原版は、ポリエステルフィルムなどからなる支持体の上に感光性の樹脂組成物からなる感光性樹脂層を備えているのが一般的である。フレキソ印刷版は、この原版の感光性樹脂層の面に所定の画像を露光したのち露光されていない部分の樹脂を除去することにより製版されている。
【0004】
いわゆるアナログ方式のフレキソ印刷版原版は、所定の画像がすでに形成されているネガフィルムが感光性樹脂層の上に載せられ、このネガフィルムを通して感光性樹脂層の面に所定の画像が露光される。これに対し、LAM(Laser ablation mask)方式のフレキソ印刷版原版は、感光性樹脂層の上に赤外線アブレーション層が予め設けられており、赤外線レーザを用いて赤外線アブレーション層にデジタル化されたネガティブ画像情報を直接描画して所望のネガパターンを作製したのち、このネガパターンを通して感光性樹脂層の面に所定の画像が露光される。LAM方式のフレキソ印刷版原版としては、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−137515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LAM方式のフレキソ印刷版原版は、例えば、支持体上に赤外線アブレーション層が形成された積層体と、感光性樹脂層を含む他の積層体とを貼り合わせることにより製造することができる。支持体上に赤外線アブレーション層が形成された積層体は、長尺の巻物とされた状態で、あるいは、任意の大きさにカットされたシート状物とされ、複数枚のシート状物が重ねられた状態で、保管される。保管時において、赤外線アブレーション層の表面は、支持体の裏面に接触する。この状態において、自重による圧力が接触面に加わる。このため、赤外線アブレーション層の表面が支持体の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が生じる(一般的にブロッキングと呼ばれる)。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、保管時などにおいて赤外線アブレーション層の表面が支持体の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられる赤外線アブレーション層用組成物と、これを用いた赤外線アブレーション層用積層体、フレキソ印刷版原版、赤外線アブレーション層用積層体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る赤外線アブレーション層用組成物は、(メタ)アクリル樹脂、エラストマーおよび脂肪酸アミドを含有し、フレキソ印刷版原版の赤外線アブレーション層の材料として用いられることを要旨とするものである。
【0009】
この場合、前記エラストマーが、アクリロニトリル−ブタジエンゴムであることが好ましい。
【0010】
また、前記脂肪酸アミドが、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸から選択される少なくとも1種のモノアミドまたはビスアミドであることが好ましい。
【0011】
そして、本発明に係る赤外線アブレーション層用積層体は、上記の赤外線アブレーション層用組成物により形成された赤外線アブレーション層が支持体層の上に設けられ、かつ、前記赤外線アブレーション層の表面に、前記脂肪酸アミドが析出していることを要旨とするものである。
【0012】
前記支持体層は、極性ポリマーを含有することが好ましい。
【0013】
この場合、前記赤外線アブレーション層の前記脂肪酸アミドが析出している表面の水接触角が、その表面と反対の面の水接触角と異なるとよい。
【0014】
また、前記赤外線アブレーション層の前記脂肪酸アミドが析出している表面の水接触角が、85〜110°の範囲内であるとよい。
【0015】
さらに、前記支持体層の表面に凹凸が付与されていてもよい。
【0016】
そして、本発明に係るフレキソ印刷版原版は、上記の赤外線アブレーション層用積層体の赤外線アブレーション層の脂肪酸アミドが析出している表面に感光性樹脂層が接して設けられていることを要旨とするものである。
【0017】
この場合、前記感光性樹脂層が、水分散ラテックス、ゴム、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を含有することが好ましい。
【0018】
そして、本発明に係る赤外線アブレーション層用積層体の製造方法は、極性ポリマーを含有する支持体層の上に、(メタ)アクリル樹脂、エラストマー、脂肪酸アミドおよび溶剤を含有する塗工層を形成する塗工工程と、前記塗工層から溶剤を除去する乾燥工程と、を有し、前記乾燥工程において、前記脂肪酸アミドを表面に析出させることを要旨とするものである。
【0019】
この場合、前記乾燥工程において、前記脂肪酸アミドの融点以上の温度に前記塗工層を加熱することにより、前記脂肪酸アミドを表面に析出させるとよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る赤外線アブレーション層用組成物によれば、これにより形成される赤外線アブレーション層用積層体の保管時などにおいて赤外線アブレーション層の表面が支持体の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられる。
【0021】
この場合、前記エラストマーがアクリロニトリル−ブタジエンゴムであると、(メタ)アクリル樹脂との混ざりがよく、配合量を多くして柔軟性を高めることができる。
【0022】
そして、本発明に係る赤外線アブレーション層用積層体によれば、脂肪酸アミドが表面に析出していることにより、保管時などにおいて赤外線アブレーション層の表面が支持体の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられる。
【0023】
この場合、前記支持体層の表面に凹凸が付与されていると、保管時などにおいて赤外線アブレーション層の表面が支持体の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられやすい。
【0024】
そして、本発明に係るフレキソ印刷版原版によれば、赤外線アブレーション層の脂肪酸アミドが析出している表面に感光性樹脂層が接して設けられているため、赤外線アブレーション層と感光性樹脂層の密着性が高い。
【0025】
そして、本発明に係る赤外線アブレーション層用積層体の製造方法によれば、保管時などにおいて赤外線アブレーション層の表面が支持体の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられる赤外線アブレーション層用積層体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る赤外線アブレーション層用積層体の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るフレキソ印刷版原版の断面図である。
図3】フレキソ印刷版原版の製造工程を示した断面図である。
図4】ブロッキング評価のための試験図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明について詳細に説明する。
【0028】
本発明に係る赤外線アブレーション層用組成物(以下、本組成物ということがある)は、(メタ)アクリル樹脂、エラストマーおよび脂肪酸アミドを含有する。
【0029】
(メタ)アクリル樹脂は、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルから選択される1種以上のモノマーの重合体あるいは共重合体からなる。(メタ)アクリル樹脂は、赤外線レーザを用いて赤外線アブレーション層に描画を行うときの描画をしやすくする(赤外線アブレーション機能)。
【0030】
(メタ)アクリル樹脂の含有量は、赤外線アブレーション層に物理的な接触が生じたときに傷付きを防止するなどの観点から、ポリマー成分中に占める割合として、20質量%以上であることが好ましい。より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。また、柔軟性を確保しやすいなどの観点から、ポリマー成分中に占める割合として、80質量%以下であることが好ましい。より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0031】
エラストマーは、熱硬化性エラストマーおよび熱可塑性エラストマーのいずれを用いることもできる。エラストマーとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン(SBBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)などが挙げられる。これらのうちの不飽和結合を有するものは、その不飽和結合が部分水添あるいは完全水添されてもよい。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされてもよい。
【0032】
エラストマーは、フレキソ印刷版に求められる柔軟性を赤外線アブレーション層に付与する。また、感光性樹脂層との密着性を向上する。しかし、柔軟成分であるため、その粘着性などにより、保管時などにおいて赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に貼り付いて剥がれる不具合を発生させる要因の1つとなる。
【0033】
これらのうちでは、(メタ)アクリル樹脂との混ざりがよく、配合量を多くして柔軟性を高めることができるなどの観点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)が好ましい。
【0034】
エラストマーの含有量は、柔軟性を高めるなどの観点から、ポリマー成分中に占める割合として、20質量%以上であることが好ましい。より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。また、強度確保などの観点から、ポリマー成分中に占める割合として、80質量%以下であることが好ましい。より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0035】
脂肪酸アミドは、脂肪酸とアンモニアあるいは1級アミン、2級アミンとが脱水縮合した構造を持ち、モノアミドやビスアミドなどの化合物がある。脂肪酸のアルキル鎖の炭素数としては、12〜18が好ましい。より好ましくは16〜18である。脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。脂肪酸アミドは、保管時などにおいて赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に貼り付いて剥がれる不具合を抑える。エラストマーを含有する場合においても、上記不具合を抑える。
【0036】
脂肪酸アミドの含有量は、保管時などにおいて赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に貼り付いて剥がれる不具合を抑える効果に優れるなどの観点から、ポリマー成分100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましい。より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、上記ポリマー成分が機能を発揮しやすいなどの観点から、ポリマー成分100質量部に対し、25質量部以下であることが好ましい。より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0037】
本組成物は、赤外線アブレーション機能を高めるため、赤外線吸収物質をさらに含有していてもよい。赤外線吸収物質としては、赤外線を吸収して熱に変換し得る物質であれば、特に限定されるものではない。赤外線吸収物質としては、具体的には、カーボンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、ローダミン色素、ナフトキノン系色素、ポリメチン染料、ジイモニウム塩、アゾイモニウム系色素、カルコゲン系色素、カーボングラファイト、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウム金属塩類、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、酸化コバルトや酸化タングステンなどの金属酸化物、これらの金属の水酸化物、硫酸塩、ビスマス,スズ,テルル,アルミニウムの金属粉などが挙げられる。このうち、紫外線吸収機能をさらに有するなどの観点から、カーボンブラック、カーボングラファイトなどが好ましい。
【0038】
赤外線吸収物質の含有量は、使用する赤外線レーザ光線で赤外線アブレーション層が除去されるような感度を有する範囲となる量であれば良い。赤外線吸収物質の含有量は、ポリマー成分100質量部に対し、5〜300質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは40〜200質量部の範囲内、さらに好ましくは80〜150質量部の範囲内である。
【0039】
本組成物は、これらの成分の他に、各種の添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、紫外線吸収物質、界面活性剤、可塑剤、染料、顔料、消泡剤、香料などが挙げられる。
【0040】
紫外線吸収物質としては、300〜400nmの領域に吸収を有する物質が好ましい。このような物質としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、カーボンブラック、上記赤外線吸収物質で示される金属あるいは金属酸化物などを挙げることができる。
【0041】
次に、本発明に係る赤外線アブレーション層用積層体(以下、本積層体ということがある)について説明する。
【0042】
本積層体10は、図1に示すように、支持体層12と、支持体層12の上に設けられた赤外線アブレーション層14と、を備える。赤外線アブレーション層14は、本組成物により形成される。
【0043】
支持体層12は、その上に形成される赤外線アブレーション層14を支持するものである。支持体層12の基材としては、取り扱い性に優れるなどから、高分子フィルムなどが挙げられる。高分子フィルムの高分子材料としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドなどの極性ポリマーやポリオレフィン、ポリスチレンなどが挙げられる。好ましくは極性ポリマーである。ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルは、寸法安定性に優れる点で好ましい。
【0044】
支持体層12は、表面に凹凸を付与することができる。支持体層12の表面に凹凸(粗さ)があると、本組成物による効果とともに、保管時などにおいて赤外線アブレーション層14の表面が支持体層12の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられやすい。凹凸を形成する方法としては、サンドマット法、ケミカルエッチング法、マット化剤(粒子)を支持体に練り込んだりする方法が挙げられる。凹凸の指標である粗さは、貼り付きの不具合を抑える観点から算術平均粗さ(Ra)が0.1〜3μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.3〜1μmの範囲内である。
【0045】
支持体層12の厚さは、赤外線アブレーション層14を支持するのに十分な強度が得られるなどの観点から、25〜250μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは50〜150μmの範囲内である。
【0046】
支持体層12の表面(赤外線アブレーション層14が形成される面)には、コストを抑える観点からいえば施されていないほうがよいが、赤外線アブレーション層14の密着を抑えて支持体層12の剥離性を高めるための離型処理が施されていてもよい。このような離型処理としては、支持体層12の表面に離型剤を塗布して離型層を形成するなどの方法が挙げられる。離型剤としては、シリコーン系離型剤、アルキル系離型剤などが挙げられる。
【0047】
一方、コストを抑える観点から、支持体層12の裏面(赤外線アブレーション層14が形成される面と反対の面)には、上記するような離型処理が施されていないことが好ましい。本発明では、本組成物が脂肪酸アミドを含有するため、支持体層12の裏面に上記するような離型処理が施されていない場合でも、保管時などにおいて赤外線アブレーション層14の表面が支持体層12の裏面に貼り付いて剥がれる不具合を抑えることができる。
【0048】
本積層体10においては、赤外線アブレーション層14の表面(露出している面、外面)に、脂肪酸アミドが析出している(ブリードアウトしている)。つまり、赤外線アブレーション層14の内部から表面に脂肪酸アミドが現れている。一方、赤外線アブレーション層14の表面とは反対の面(内面)には、脂肪酸アミドは析出していない。赤外線アブレーション層14の厚み方向で脂肪酸アミドの存在量を比較すると、赤外線アブレーション層14の内部と表面とで異なり、赤外線アブレーション層14の反対面と表面とで異なり、内部および反対面よりも表面に多くなっている。
【0049】
赤外線アブレーション層14の表面に脂肪酸アミドが析出していることにより、保管時などにおいて赤外線アブレーション層14の表面が支持体層12の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられる。
【0050】
脂肪酸アミドは、赤外線アブレーション層14の表面全体を覆う層状に析出することもあるし、赤外線アブレーション層14の表面の一部に島状に析出することもある。上記効果を奏するものであれば、そのどちらであってもよい。
【0051】
赤外線アブレーション層14の表面に脂肪酸アミドが析出していることは、表面が白く粉をふいた状態となっていることでわかるが、各種の定量分析により、脂肪酸アミドの存在量が赤外線アブレーション層14の内部と表面とで大きく異なっていることなどでもわかる。また、赤外線アブレーション層14の表面と裏面の水接触角を比較することでもわかる。
【0052】
赤外線アブレーション層14の脂肪酸アミドが析出している表面の水接触角は、反対面の水接触角と異なる。具体的には、脂肪酸アミドの存在により表面のほうがより疎水性を示すため、水接触角は、表面のほうが裏面より大きくなる。
【0053】
表面の水接触角は、保管時などにおいて赤外線アブレーション層14の表面が支持体層12の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられる効果に優れるなどの観点から、85°以上であることが好ましい。より好ましくは90°以上、さらに好ましくは100°以上である。水接触角は、試料の表面に液滴を付着させてできた液滴と試料界面との角度を測定することにより得られる。
【0054】
本積層体10は、次のようにして製造することができる。まず、本組成物を構成する各成分および溶剤を含有する塗工液を調製する。次いで、支持体層12の上に塗工液からなる塗工層を形成する(塗工工程)。ついで、塗工層から溶剤を除去する(乾燥工程)。
【0055】
溶剤としては、ポリマー成分を溶解あるいは分散でき、脂肪酸アミドを溶解できる溶剤であれば特に限定されるものではない。溶剤としては、ポリマー成分の溶解性あるいは分散性などの観点から、ケトン系溶剤を含有することが好ましい。また、脂肪酸アミドの溶解性などの観点から、芳香族系溶剤やアルコール系溶剤を含有することが好ましい。したがって、ケトン系溶剤および芳香族系溶剤あるいはアルコール系溶剤を含有する混合溶剤であることが好ましい。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレンなどが挙げられる。アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。
【0056】
溶解性、分散性に優れるなどの観点から、脂肪酸アミドは、予めトルエンに溶解させた溶液の状態で、また、ポリマー成分は、予めケトン系溶剤に溶解あるいは分散させた状態で、溶液同士あるいは溶液と分散液とを混合することにより塗工液を調製することが好ましい。脂肪酸アミドは、溶剤に溶解していることが好ましい。溶剤に溶解していることで、表面に析出しやすくなる。
【0057】
乾燥工程において、脂肪酸アミドを表面に析出させる。脂肪酸アミドは、乾燥工程において、溶剤が除去(蒸発)する際に、表面に析出する。溶剤を除去した後の固形分のみ残る状態で加熱しても、脂肪酸アミドは表面に析出しにくい。また、脂肪酸アミドを表面に析出させるには、溶剤が存在しているときに、脂肪酸アミドが流動しやすい状態にあることが必要である。つまり、脂肪酸アミドが流動しやすい温度にすることが必要である。脂肪酸アミドの融点が高いことから、比較的高い温度に加熱しないと、脂肪酸アミドは表面に析出しにくい。この観点から、加熱温度は、脂肪酸アミドの融点以上であることが好ましい。
【0058】
具体的には、加熱温度としては、120℃以上が好ましい。より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。一方、支持体層12の寸法変化を抑えるなどの観点から、加熱温度としては、250℃以下が好ましい。より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。
【0059】
本発明に係る赤外線アブレーション層用積層体の製造方法は、上述するように、本組成物を構成する各成分および溶剤を含有する塗工層を形成する塗工工程と、塗工層から溶剤を除去する乾燥工程と、を有し、乾燥工程において、脂肪酸アミドを表面に析出させることにある。そして、この場合、脂肪酸アミドの融点以上の温度に塗工層を加熱することが好ましい。
【0060】
次に、本発明に係るフレキソ印刷版原版について説明する。
【0061】
本発明に係るフレキソ印刷版原版は、本積層体の赤外線アブレーション層の脂肪酸アミドが析出している表面に感光性樹脂層が接して設けられている。
【0062】
図2は、本発明の一実施形態に係るフレキソ印刷版原版の断面図である。図2に示すように、フレキソ印刷版原版20は、支持基材22と、接着剤層24と、感光性樹脂層26と、赤外線アブレーション層28と、保護層30と、がこの順で積層されたものから構成されている。
【0063】
赤外線アブレーション層28および保護層30は、それぞれ本積層体10の赤外線アブレーション層14および支持体層12からなるものである。本積層体10の赤外線アブレーション層14の表面には脂肪酸アミドが析出していることから、フレキソ印刷版原版20において、赤外線アブレーション層28の脂肪酸アミドが析出している表面に感光性樹脂層26が接して設けられている。
【0064】
支持基材22は、その上に積層される感光性樹脂層26を支持するものである。
支持基材22の材料としては、樹脂製フィルムを挙げることができる。樹脂製フィルムとしては、寸法安定性に優れることから、PETフィルムなどのポリエステルフィルムが好ましい。支持基材22の厚さとしては、感光性樹脂層26などの積層された層を支持するのに十分な強度が得られるなどの観点から、50〜300μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは50〜250μmの範囲内である。
【0065】
接着剤層24は、支持基材22に対し感光性樹脂層26の密着性を高めるためのものである。支持基材22と感光性樹脂層26との密着性が高い場合には、接着剤層24を省略することができる。なお、接着剤層24の材料としては、ポリエステル系、ポリエステルウレタン系などが挙げられる。
【0066】
感光性樹脂層26は、バインダーポリマーと、光重合性不飽和化合物と、光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物で構成されている。光重合性不飽和化合物を含有していることから、感光性樹脂層26は光(紫外光)により硬化されるものである。感光性樹脂層26の厚さは、0.01〜10mmの範囲内であることが好ましい。感光性樹脂層26の厚さが0.01mm以上であれば、レリーフ深度を十分に確保できる。一方、感光性樹脂層26の厚さが10mm以下であれば、フレキソ印刷版原版20の重さを抑えることができ、実用上、印刷版として使用することができる。
【0067】
感光性樹脂層26のバインダーポリマーは、水現像可能にするなどの観点から、疎水性ゴムとともに親水性の水分散ラテックスを含有することが好ましい。水分散ラテックスとは、重合体粒子を分散質として水中に分散したものである。この水分散ラテックスから水を除去することにより、重合体が得られる。水分散ラテックスは、感光性樹脂層26に水現像性を付与することができる。
【0068】
水分散ラテックスの含有量としては、疎水性ゴムと水分散ラテックスの合計質量に対する割合で20〜90質量%の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは30〜80%の範囲内、さらに好ましくは50〜70%の範囲内である。水分散ラテックスが20質量%以上であると、感光性樹脂層26への水系現像液の浸透性が高くなるため、水現像速度に優れる。一方、水分散ラテックスが90質量%以下であると、画像再現性に優れる。
【0069】
水分散ラテックスとしては、具体的には、ポリブタジエンラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリイソプレンラテックス、ポリウレタンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ビニルピリジン重合体ラテックス、ブチル重合体ラテックス、チオコール重合体ラテックス、アクリレート重合体ラテックスなどの水分散ラテックス重合体やこれら重合体にアクリル酸やメタクリル酸などの他の成分を共重合して得られる重合体などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併合して用いても良い。
【0070】
このうち、硬度の点などから、分子鎖中にブタジエン骨格またはイソプレン骨格を含有する水分散ラテックス重合体が好ましい。具体的には、ポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリイソプレンラテックスが好ましい。
【0071】
疎水性ゴムは、感光性樹脂層26のゴム弾性を増加させることができる。これにより、例えば、種々の被刷体に印刷しやすくできるなどの効果が期待できる。
【0072】
疎水性ゴムとしては、具体的には、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)などを挙げることができる。また、これらのゴムのうち、不飽和結合を有するものについての部分あるいは完全水素添加物などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併合して用いても良い。このうち、水分散ラテックスと併せて用いたときに感光性樹脂層26の水現像性および乾燥性のバランスに優れるなどの観点から、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)が好ましい。
【0073】
光重合性不飽和化合物は、光(紫外光)により感光性樹脂層26を硬化できるものである。光重合性不飽和化合物の含有量としては、好ましくは10〜80質量%の範囲内、より好ましくは20〜50質量%の範囲内である。光重合性不飽和化合物の含有量が10質量%以上であれば、架橋密度の不足がなく、良好な画像再現性とインク耐性が得られる。一方、光重合性不飽和化合物の含有量が80質量%以下であれば、レリーフが脆くなく、かつ、フレキソ印刷版の特徴である柔軟性を確保することができる。
【0074】
光重合性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルオリゴマー、(メタ)アクリル変性重合体などを挙げることができる。(メタ)アクリル変性重合体としては、例えば(メタ)アクリル変性ブタジエンゴム、(メタ)アクリル変性ニトリルゴムなどを挙げることができる。
【0075】
エチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和結合を1個だけ有する化合物であっても良いし、エチレン性不飽和結合を2つ以上有する化合物であっても良い。
【0076】
エチレン性不飽和結合を1個だけ有するエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート・3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート・β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート・エチル(メタ)アクリレート・プロピル(メタ)アクリレート・ブチル(メタ)アクリレート・イソアミル(メタ)アクリレート・2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート・ラウリル(メタ)アクリレート・ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート・クロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート・エトキシエチル(メタ)アクリレート・ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート・ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート・メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート・メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート・2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート・2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート・3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0077】
エチレン性不飽和結合を2つ以上有するエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキルジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコール等のエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等の多価ビニル化合物等を挙げることができる。
【0078】
光重合開始剤は、光重合性不飽和化合物の光重合を開始させるものであれば特に限定されず、例えば、アルキルフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アントラキノン類、ベンジル類、ビアセチル類等の光重合開始剤を挙げることができる。具体的には、例えば、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、メチル−O−ベンゾイルベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
【0079】
光重合開始剤の含有量としては、好ましくは0.3〜5質量%の範囲内、より好ましくは0.5〜3質量%の範囲内である。光重合開始剤の含有量が0.3質量%以上であれば、光重合性不飽和化合物の光重合反応が十分に起こり、良好な画像が形成できる。一方、光重合開始剤の含有量が5質量%以下であれば、感度が高すぎないため、露光時間の調節が容易になる。
【0080】
感光性樹脂層26は、これらの成分の他に、各種の添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、界面活性剤、可塑剤、熱重合禁止剤(安定剤)、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、香料などを挙げることができる。
【0081】
界面活性剤は、感光性樹脂層26の水現像性を向上させることができる。界面活性剤の含有量としては、水分散ラテックスと疎水性ゴムと界面活性剤の合計質量に対する割合で、0.1〜20質量%の範囲内が好ましい。より好ましくは0.1〜15%の範囲内、さらに好ましくは0.1〜10%の範囲内である。界面活性剤の含有量が0.1%以上であると、水系現像液の感光性樹脂層26への浸透性が高くなり、水現像速度に優れる。一方、界面活性剤の含有量が20質量%以下であると、乾燥性にも優れる。
【0082】
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤のうち、アニオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0083】
アニオン性界面活性剤としては、具体的には、ラウリン酸ナトリウム・オレイン酸ナトリウム等の脂肪族カルボン酸塩、ラウリル硫酸エステルナトリウム・セチル硫酸エステルナトリウム・オレイル硫酸エステルナトリウム等の高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩・ドデシルスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩、アルキルジスルホン酸塩・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム・ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム・トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリルスルホン酸塩、ラウリルリン酸モノエステルジナトリウム・ラウリルリン酸ジエステルナトリウム等の高級アルコールリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸モノエステルジナトリウム・ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ジエステルナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併合して用いても良い。なお、具体例としてナトリウム塩を挙げたが、特にナトリウム塩に限定されるものではなく、カルシウム塩、アンモニア塩などでも同様の効果を得ることができる。このうち、より一層、感光性樹脂組成物の水現像性に優れるなどの観点から、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのスルホン酸系界面活性剤が好ましい。
【0084】
可塑剤は、感光性樹脂層26に柔軟性を付与できる。また、感光性樹脂層26に柔軟性を付与してこれを低硬度にできる結果、光重合性不飽和化合物の含有量を増やすことができるため、インク耐性も向上できる効果を奏する。可塑剤の含有量としては、0.1〜30質量%の範囲内が好ましい。より好ましくは5〜20質量%の範囲内である。可塑剤の含有量が0.1質量%以上であれば、感光性樹脂層26に柔軟性を付与する効果に優れる。これにより、感光性樹脂層26の溶剤インクに対する耐性(耐溶剤インク膨潤性)が向上する。一方、可塑剤の含有量が30質量%以下であれば、感光性樹脂層26の強度を確保できる。
【0085】
可塑剤としては、液状ゴム、オイル、ポリエステル、リン酸系化合物などを挙げることができる。特に、水分散ラテックスあるいは疎水性ゴムと相溶性が良好なものが好ましい。液状ゴムとしては、例えば液状のポリブタジエン、液状のポリイソプレン、あるいは、これらをマレイン酸やエポキシ基により変性したものなどを挙げることができる。オイルとしては、パラフィン、ナフテン、アロマなどを挙げることができる。ポリエステルとしては、アジピン酸系ポリエステルなどを挙げることができる。リン酸系化合物としては、リン酸エステルなどを挙げることができる。
【0086】
熱重合禁止剤(安定剤)は、混練時の熱安定性を高める、あるいは、貯蔵安定性を高めることができる。熱重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類のものなどを挙げることができる。熱重合禁止剤の含有量は、0.001〜5質量%の範囲内が一般的である。
【0087】
感光性樹脂層26は、より柔軟な材料で構成されることが好ましい。この観点から、水分散ラテックス、疎水性ゴム、界面活性剤、光重合性不飽和化合物、および、光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物よりなることが好ましい。また、さらに、可塑剤を含有することが好ましい。
【0088】
感光性樹脂層26を形成する感光性樹脂組成物は、各成分を混練しながら脱水することにより調製できる。あるいは、予め水分散ラテックスを脱水した後、水分散ラテックスから得られた重合体と、これ以外の成分とを混練することにより調製できる。混練時に用いる混練機としては、2軸押出機、単軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。
【0089】
赤外線アブレーション層28は、感光性樹脂層26の表面を覆うマスクとなる部分である。赤外線アブレーション層28は、赤外線レーザにより照射された部分が除去される部分であるとともに、照射されずに除去されなかった部分が紫外光を遮蔽(吸収)してその下の感光性樹脂層26に紫外光が照射されないようにマスクする部分である。赤外線アブレーション層28の厚さは、紫外光を遮蔽するなどの観点から、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましい。赤外線アブレーション層28は、感光性樹脂層26を挟んで支持基材22の反対側に、感光性樹脂層26に接して配置されており、感光性樹脂層26に密着されている。
【0090】
赤外線アブレーション層28は、本積層体10の赤外線アブレーション層14からなり、このため、感光性樹脂層26に接する面の表面には脂肪酸アミドが析出した状態にある。脂肪酸アミドは、アルキル基が疎水性であることから、疎水性ゴムとの相溶性に優れる。このため、感光性樹脂層26が疎水性ゴムを含有する場合には、赤外線アブレーション層28の表面に現れている脂肪酸アミドにより、赤外線アブレーション層28と感光性樹脂層26の密着性が高められる。つまり、この場合には、本積層体10の保管時などにおいて赤外線アブレーション層14の表面が支持体層12の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が抑えられる効果を奏するとともに、フレキソ印刷版原版20を作製したときの赤外線アブレーション層28と感光性樹脂層26の密着性を高める効果を奏する。
【0091】
赤外線アブレーション層28は、本組成物からなることから、バインダーポリマーとして(メタ)アクリル樹脂およびエラストマーを含有する。赤外線アブレーション層28と感光性樹脂層26の密着性を高める観点から、エラストマーは、感光性樹脂層26のバインダーポリマーの分子構造中における単位構造あるいは繰り返し構造と同じ単位構造あるいは同じ繰り返し構造を有するものが好ましい。
【0092】
例えば、NBR、SBR、BR、SBSなどは、同じ単位構造としてブタジエンに由来する構造を有している。また、NBR、SBR、SBSがブロック共重合体であれば、同じ繰り返し構造としてポリブタジエンに由来する構造を有している。したがって、感光性樹脂層26がバインダーポリマーとしてNBR、SBR、BR、SBSのいずれかを含有する場合には、密着性の観点から、赤外線アブレーション層28は、バインダーポリマーとして、単位構造としてブタジエンに由来する構造を有するものか、繰り返し構造としてポリブタジエンに由来する構造を有しているものを含有することが好ましい。このようなポリマーとしては、NBR、SBR、BR、SBSなどを挙げることができる。
【0093】
また、NBRは、ブタジエンに由来する構造に加えてアクリロニトリルに由来する構造を有している。NBRがブロック共重合体であれば、ポリアクリロニトリルに由来する構造を有している。したがって、感光性樹脂層26がバインダーポリマーとしてNBRを含有する場合には、密着性の観点から、赤外線アブレーション層28は、バインダーポリマーとして、単位構造としてアクリロニトリルに由来する構造を有するものか、繰り返し構造としてポリアクリロニトリルに由来する構造を有するものを含有することが好ましい。このようなポリマーとしては、NBR、アクリロニトリル−イソプレン共重合体などを挙げることができる。
【0094】
また、SBR、SBSは、ブタジエンに由来する構造に加えてスチレンに由来する構造を有している。さらに、SBR、SBSがブロック共重合体であれば、ポリスチレンに由来する構造を有している。したがって、感光性樹脂層26がバインダーポリマーとしてSBRあるいはSBSを含有する場合には、密着性の観点から、赤外線アブレーション層28は、バインダーポリマーとして、単位構造としてスチレンに由来する構造を有するものか、繰り返し構造としてポリスチレンに由来する構造を有するものを含有することが好ましい。このようなポリマーとしては、SBR、SBS、SISなどを挙げることができる。
【0095】
赤外線アブレーション層28のバインダーポリマーは、さらに、感光性樹脂層26に含まれている低分子量成分と相溶するものであることが好ましい。感光性樹脂層26に含まれている低分子量成分としては、必須成分としての光重合性不飽和化合物や、任意成分としての可塑剤、界面活性剤を挙げることができる。赤外線アブレーション層28のバインダーポリマーは、低分子量成分の全てと相溶するものであっても良いし、低分子量成分の一部と相溶するものであっても良い。
【0096】
赤外線アブレーション層28のバインダーポリマーと感光性樹脂層26に含まれている低分子量成分とが相溶するには、バインダーポリマーの分子構造中に低分子量成分の構造と同一の構造を有するか、あるいは、近い構造を有する場合を挙げることができる。また、バインダーポリマーの分子構造中に低分子量成分の極性に近い極性を持つ構造を有する場合を挙げることができる。また、バインダーポリマーの分子構造中に低分子量成分に対して親和性が高い構造を有する場合を挙げることができる。
【0097】
例えば、感光性樹脂層26の光重合性不飽和化合物が(メタ)アクリルモノマーを含む場合には、赤外線アブレーション層28のバインダーポリマーとして(メタ)アクリル樹脂を含むので、赤外線アブレーション層28のバインダーポリマーと感光性樹脂層26に含まれている低分子量成分は相溶することができる。
【0098】
また、感光性樹脂層26の低分子量成分として、液状BR、液状NBR、液状SBRなどが含まれる場合には、赤外線アブレーション層28のバインダーポリマーがBR、NBR、SBRなどのブタジエン系重合体あるいはブタジエン系共重合体であれば、これらは同じ構造を有するため、相溶することができる。
【0099】
また、赤外線アブレーション層28のバインダーポリマーがBR、NBR、SBRなどのブタジエン系重合体あるいはブタジエン系共重合体の場合には、これらに共通したブタジエン構造に対して極性の似ている脂肪族炭化水素系の可塑剤は、相溶することができる。このような可塑剤としては、パラフィンやナフテンオイルなどを挙げることができる。
【0100】
フレキソ印刷版原版20は、図3(a)に示すように、感光性樹脂層26を、支持基材22および接着剤層24からなる積層体の接着剤層24と、本積層体10の赤外線アブレーション層14と、の間に挟み、感光性樹脂層26の厚さが所定の厚さになるように所定の温度でプレスすることにより、製造できる。所定の温度としては、感光性樹脂層26と赤外線アブレーション層14の接着性を確保するなどの観点から、70〜120℃の範囲内が好ましい。
【実施例】
【0101】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0102】
(実施例1)
<赤外線アブレーション層用積層体の作製>
アクリル樹脂(根上工業製「ハイパールM5000」)50質量部と、エラストマー1(NBR、日本ゼオン製「ニポールDN101」)50質量部と、カーボンブラック(三菱化学製「MA8」)100質量部と、にメチルイソブチルケトン600質量部を加え、羽攪拌にて混合し、得られた混合液を三本ロールミルで分散することにより、ポリマー/カーボン分散液を得た。
また、脂肪酸アミド1(日本化成製「スリパックスO」、化合物名:エチレンビスオレイン酸アミド、融点119℃)1質量部にトルエン32質量部を加え、50℃で溶解させて、脂肪酸アミド溶液を得た。
次いで、ポリマー/カーボン分散液に、加温した状態の脂肪酸アミド溶液とメチルイソブチルケトンを加え、固形分濃度が15質量%となるよう濃度調整することにより、赤外線アブレーション層用塗工液を得た。
次いで、厚さ75μmのシリカ含有PETフィルム(帝人デュポンフィルム製「テトロンフィルムU4」、Ra;0.38μm)の片面に、乾燥後の厚さが1.0μmとなるように、バーコーターで赤外線アブレーション層用塗工液を塗工した後、140℃に設定したオーブンで1分乾燥させることにより、赤外線アブレーション層/支持体層よりなる赤外線アブレーション層用積層体を作製した。
【0103】
<フレキソ印刷版原版の作製>
水分散ラテックス45.5質量部(固形分としての重合体は25質量部)と、アクリル変性液状BR15質量部と、アクリルモノマー5質量部とを混合し、120℃に加熱した乾燥機で2時間水分を蒸発させて、水分散ラテックスから得られた重合体と光重合性不飽和化合物との混合物を得た。この混合物と、BR30質量部と、界面活性剤4質量部(固形分としての重合体は2質量部)と、可塑剤15質量部とをニーダー中で45分間混練した。その後、ニーダー中に、熱重合禁止剤0.2質量部と、光重合開始剤を1質量部と、紫外線吸収剤0.03質量部とを投入し、5分間混練して、感光性樹脂組成物を調製した。
次いで、厚さ125μmのPETフィルム(東レ製「ルミラーS10」)の片面に接着剤を塗布して、接着剤層/支持基材からなる支持基材用積層体を作製した。
次いで、赤外線アブレーション層用積層体の赤外線アブレーション層と、支持基材用積層体の接着剤層と、の間に、感光性樹脂層組成物を挟み、感光性樹脂層組成物の厚さが1.5mmになるように80℃に加熱したプレス機で2分間プレスすることにより、フレキソ印刷版原版を作製した。
【0104】
(実施例2〜3)
赤外線アブレーション層において、脂肪酸アミド1の配合割合を変更した以外は実施例1と同様にして、赤外線アブレーション層用積層体を作製した。また、実施例1と同様にして、フレキソ印刷版原版を作製した。
【0105】
(実施例4)
赤外線アブレーション層において、脂肪酸アミド1に代えて脂肪酸アミド2(日本化成製「ダイヤミドKP」、化合物名:パルミチン酸アミド(融点100℃)とステアリン酸アミド(融点101℃)の混合物)を用い、脂肪酸アミドの配合量を実施例2と同じ(10質量部)にした以外は実施例1と同様にして、赤外線アブレーション層用積層体を作製した。また、実施例1と同様にして、フレキソ印刷版原版を作製した。
【0106】
(実施例5〜6)
赤外線アブレーション層において、エラストマーを変更した以外は実施例1と同様にして、赤外線アブレーション層用積層体を作製した。また、実施例1と同様にして、フレキソ印刷版原版を作製した。
エラストマー2(SBR、旭化成製「タフデン2100R」)
エラストマー3(SBS、クレイトン製「D1116」)
【0107】
(比較例)
赤外線アブレーション層において、脂肪酸アミドを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、赤外線アブレーション層用積層体を作製した。また、実施例1と同様にして、フレキソ印刷版原版を作製した。
【0108】
(参考例)
赤外線アブレーション層において、塗工液の乾燥温度を140℃から60℃に変更し、脂肪酸アミドの配合量を実施例2と同じ(10質量部)にした以外は実施例1と同様にして、赤外線アブレーション層用積層体を作製した。赤外線アブレーション層用積層体から溶剤臭はなく、溶剤が残っていないことを確認した。また、実施例1と同様にして、フレキソ印刷版原版を作製した。
【0109】
以下に、感光性樹脂層組成物の成分を具体的に示す。
・水分散ラテックス:[(日本ゼオン株式会社製「ニポールLX111NF」)から得られた重合体]
・BR:[日本ゼオン株式会社製、ニポールBR1220]
・NBR:[日本ゼオン株式会社製、ニポール1042]
・アクリル変性液状BR:[大阪有機化学株式会社製、BAC−45]
・アクリルモノマー:[日油株式会社製、1,9−ノナンジオールジメタクリレート]
・界面活性剤:[日油社製、ニューレックスR]
・熱重合禁止剤:[精工化学株式会社製、MEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)]
・光重合開始剤:[チバ・ジャパン株式会社製、イルガキュア651]
・紫外線吸収剤:[チバ・ジャパン株式会社製、チヌビン326]
・可塑剤:[エッソ石油株式会社製、クリストール70]
【0110】
作製した赤外線アブレーション層用積層体について、赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が生じるか評価した(ブロッキング評価)。また、作製した赤外線アブレーション層用積層体について、赤外線アブレーション層の表面および裏面の水接触角を測定した。また、作製したフレキソ印刷版原版について、赤外線アブレーション層と感光性樹脂層の密着性、画像再現性を評価した。赤外線アブレーション層の材料構成(質量部)および評価結果を表1に示す。
【0111】
(ブロッキング評価)
作製した赤外線アブレーション層用積層体から3cm角の試験片を2枚切り出し、図4に示すように、赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に接するように2枚の試験片1,1を重ね、幅10cm長さ25cmの鉄板2枚(2,2)の間に配置した。鉄板2,2には長さ方向の両端それぞれにボルト3,3が通っており、トルクレンチにより200kgf・cmで締め、常温で24時間放置した。24時間経過後、2枚の試験片1,1を取り出し、赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に貼り付いて剥がれているか確認した。赤外線アブレーション層の表面が剥がれているものを不良「×」、剥がれていないものを良好「○」とした。
【0112】
(水接触角)
JIS K6768に準拠し、自動接触角測定装置(協和界面科学社製、DropMaster DM500)を用い、針先端より2.0μLの水滴を作り、その水滴を試料に接触させた後素早く針を上げることで水滴を試料に移し、水滴が移った直後から1秒後の接触角を測定した。脂肪酸アミド析出面反対側の測定はセロハンテープを赤外線アブレーション層に貼り、セロハンテープとともに赤外線アブレーション層を支持体から剥離し、赤外線アブレーション層の支持体との剥離面を測定した。
【0113】
(密着性)
作製したフレキソ印刷版原版から保護層(支持体層)を剥がし、現れた赤外線アブレーション層の面にセロハンテープを貼り、そのセロハンテープを剥がしたときにセロハンテープに付着する部分を観察した。赤外線アブレーション層と感光性樹脂層の界面で剥がれている場合を不良「×」、赤外線アブレーション層に感光性樹脂層の一部が付着しており、感光性樹脂層の破壊が見られる場合を良好「○」とした。
【0114】
(画像再現性)
ESKO社製「CDI Spark2120」を用いて赤外線アブレーション層に175lpi2%の網点ネガパターンを形成した。次いで、支持基材側から、80Wのケミカル灯を15本並べた露光装置で15cmの距離から10秒間露光(裏露光)した。その後、赤外線アブレーション層側から、上記露光装置で15cmの距離から6分間露光(主露光)した。次いで、界面活性剤の入った水系現像液中で50℃で5分間洗い出しを行った後、60℃の熱風で5分間乾燥させた。フレキソ印刷版の網点部分を顕微鏡(キーエンス社製「VH8000」)で観察し、175lpi2%の網点ネガパターンが再現されているものを「○」、再現されていないものを「×」とした。
【0115】
【表1】
【0116】
比較例および実施例から、赤外線アブレーション層に脂肪酸アミドを含有していないと、赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が生じることがわかる。また、参考例および実施例から、赤外線アブレーション層の表面に脂肪酸アミドが析出していないと、赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が生じることがわかる。
【0117】
そして、実施例によれば、赤外線アブレーション層の表面が支持体層の裏面に貼り付いて剥がれる不具合が生じていない。また、赤外線アブレーション層と感光性樹脂層の密着性にも優れている。さらに、画像再現性に優れることも確認できた。
【0118】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0119】
10 赤外線アブレーション層用積層体
12 支持体層
14 赤外線アブレーション層
20 フレキソ印刷版原版
22 支持基材
24 接着剤層
26 感光性樹脂層
28 赤外線アブレーション層
30 保護層
図1
図2
図3
図4