(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
アセタール構造(結合)を繰り返し単位として有する多量体化合物は、種々の用途に利用でき、例えば、酸により容易に分解可能であるため、レジスト材料や仮止め用接着剤などにも利用できる。
【0003】
特開2012−126887号公報(特許文献1)には、下記式(A)で表される繰り返し単位を有する多量体化合物が開示されている。
【0004】
【化1】
【0005】
(式中、R
11はカルボニル化合物の残基、R
12aおよびR
12bは同一又は異なって水素原子又は置換基、R
13〜R
15は同一又は異なって水素原子又は置換基、R
16は置換基を示し、R
13又はR
14とR
16とは互いに結合して環を形成していてもよい)。
【0006】
この文献には、前記化合物が、下記式(B)で表される化合物と、下記式(C)で表される化合物とを、エーテル系溶媒中、アルミニウム系触媒及び/又はスズ系触媒の存在下、−30℃〜50℃の温度で反応させて得られることが記載されている。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R
11、R
12a、R
12b及びR
13〜R
16は、前記に同じ)。
【0009】
しかし、この多量体化合物は、カチオン重合で製造されるため、厳密な水分管理が必要である上に、高価な金属触媒を用いて低温で反応させる必要があり、分子量を向上させるのが困難であった。さらに、製造が困難であるため、生産性も低かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、主鎖に含酸素飽和ヘテロ環及びアセタール結合を有する新規な重合体及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、主鎖に含酸素飽和ヘテロ環及びアセタール結合を有し、かつ簡便に製造できる新規な重合体及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、接着性を有し、かつ酸により容易に分解する新規な重合体及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、ガラスやシリコンウエハなどの無機材料に対する密着性に優れる新規な重合体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、含酸素飽和ヘテロ環骨格を有するジビニルエーテルと含酸素飽和ヘテロ環骨格を有するジオールとを重合させることにより、簡便な方法で、主鎖に含酸素飽和ヘテロ環及びアセタール結合を有する新規な重合体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明の重合体は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、環Zは、置換基を有していてもよく、かつヘテロ原子として酸素原子を含む飽和ヘテロ環を示し、かつ環Zは、同一の前記飽和へテロ環であってもよく、異なる前記飽和ヘテロ環の組み合わせであってもよい)。
【0019】
前記繰り返し単位(1)は、下記式(1a)で表される繰り返し単位であってもよい。
【0020】
【化4】
【0021】
(式中、R
1〜R
8は、水素原子又は置換基を示す)。
【0022】
前記式(1a)において、R
1〜R
8は水素原子であってもよい。本発明の重合体は、重量平均分子量が1000以上であってもよい。
【0023】
本発明には、下記式(2)で表されるジビニルエーテルと下記式(3)で表されるジオールとを反応させる反応工程を含む前記重合体の製造方法も含まれる。
【0024】
【化5】
【0025】
(式中、環Zは、置換基を有していてもよく、かつヘテロ原子として酸素原子を含む飽和ヘテロ環を示し、かつ環Zは、同一の前記飽和ヘテロ環であってもよく、異なる前記飽和ヘテロ環の組み合わせであってもよい)。
【0026】
前記ジビニルエーテル(2)は、下記式(2a)で表されるジビニルエーテルであってもよく、前記ジオール(3)は、下記式(3a)で表されるジオールであってもよい。
【0027】
【化6】
【0028】
(式中、R
1〜R
8は、水素原子又は置換基を示す)
前記反応工程では、酸触媒(特に弱酸)の存在下で反応させてもよく、0〜50℃の温度で反応させてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、簡便な方法により、主鎖に含酸素飽和ヘテロ環及びアセタール結合を有する新規な重合体が得られる。この重合体は、接着性を有し、かつ酸により容易に分解する。特に、含酸素飽和ヘテロ環及びアセタール結合で形成され、酸素原子を含む極性構造を有するため、ガラスやシリコンウエハなどの無機材料に対する密着性も高い。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[含酸素飽和ヘテロ環を有する重合体]
本発明の重合体は、前記式(1)で表される繰り返し単位を有する。式(1)において、環Zは、ヘテロ原子として酸素原子を含む飽和ヘテロ環であればよい。本発明では、飽和ヘテロ環が酸素原子を含む極性構造を有するため、ガラスやシリコンウエハなどの無機材料の密着性にも優れている。
【0032】
飽和ヘテロ環は飽和単環式ヘテロ環(ヘテロ単環)であってもよく、飽和縮合ヘテロ環であってもよい。
【0033】
飽和ヘテロ単環としては、例えば、オキサシクロブタン、テトラヒドロフラン(オキサシクロペンタン)、テトラヒドロピラン(オキサシクロヘキサン)、オキサシクロヘプタン、オキサシクロオクタンなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン(特に、テトラヒドロフラン)が好ましい。
【0034】
飽和縮合ヘテロ環の縮合数(縮合している環の数)は、2環式以上であればよく、3環式以上(例えば、3〜4環式)であってもよいが、通常、2環式である。飽和縮合ヘテロ環の員数(縮合環全体の員数)は、例えば、6〜20員環、好ましくは7〜15員環、さらに好ましくは8〜12員環(特に8〜10員環)程度である。飽和縮合ヘテロ環に含まれる酸素原子の数は、2個以上であればよく、例えば、2〜6個、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3程度である。2個以上の酸素原子は、同一の環に含まれていてもよいが、通常、各環に1個以上含まれている。
【0035】
飽和縮合ヘテロ環の基本骨格(縮合環を構成する各環の構造)は、例えば、前記飽和ヘテロ単環などが挙げられる。前記飽和ヘテロ単環のうち、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン(特に、テトラヒドロフラン)が好ましい。縮合環は、これらの環の組み合わせで構成され、同一の環の組み合わせであってもよく、異なる環の組み合わせであってもよい。
【0036】
これらの飽和ヘテロ環のうち、密着性などの点から、環Zとしては、飽和縮合ヘテロ環が好ましい。
【0037】
環Zに含まれる置換基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのC
1−10アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC
5−8シクロアルキル基など)、アラルキル基(ベンジル基などのC
6−10アリール−C
1−4アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基などのC
6−10アリール基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC
1−10アルコキシ基など)、カルボキシル基、アシル基(ホルミル基、アセチル基などのC
1−4アシル基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC
1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、(置換)アミノ基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子など)などが挙げられる。
【0038】
このような繰り返し単位(1)は、前記式(1a)で表される繰り返し単位であってもよい。前記式(1a)において、R
1〜R
8は、これらの置換基及び水素原子から選択された単一の基であってもよく、二種以上を組み合わせた基であってもよい。R
1〜R
8としては、製造のし易さや原料の入手のしやすさなどの点から、水素原子、メチル基などのC
1−4アルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0039】
本発明の重合体は、含酸素飽和ヘテロ環骨格を有するジビニルエーテルと含酸素飽和ヘテロ環骨格を有するジオールとの反応により得られる。本発明の重合体は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。共重合体は、式(1)で表される繰り返し単位において、環Zが、異なる飽和ヘテロ環の組み合わせ、例えば、異なる飽和ヘテロ単環同士の組み合わせ、異なる飽和縮合ヘテロ環同士の組み合わせ、飽和ヘテロ単環と飽和縮合ヘテロ環との組み合わせなどの共重合体であってもよい。すなわち、式(1)において、環Zは、同一の前記飽和ヘテロ環であってもよく、異なる前記飽和ヘテロ環の組み合わせであってもよい。さらに、共重合体は、式(1)で表される繰り返し単位と、他の共重合性単量体(他のジビニルエーテル及び/又は他のジオール)で形成された単位との共重合体であってもよい。
【0040】
本発明の重合体において、式(1)で表される繰り返し単位の割合は50モル%以上であってもよく、例えば、80モル%以上(例えば、80〜100モル%)、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上(特に99モル%以上)であってもよい。
【0041】
本発明の重合体の末端基は、ビニルエーテル基、ヒドロキシル基のいずれかであり、いずれか単独であってもよく、両基の組み合わせであってもよい。このように、本発明の重合体は、末端にヒドロキシル基及び/又はビニル基を有するため、ヒドロキシル基によりガラスやシリコンウエハなどの無機材料に対する密着性を付与したり、ビニル基により他の重合性基と重合させて酸分解性の架橋構造を有する樹脂を得ることもできる。
【0042】
本発明の重合体の重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したとき、ポリスチレン換算で、1000以上であってもよく、例えば、1000〜100000、好ましくは2000〜50000、さらに好ましくは3000〜30000(特に4000〜10000)程度であってもよい。本発明では、含酸素飽和ヘテロ環を有しているにも拘わらず、高分子量の重合体が得られる。
【0043】
本発明の重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、1〜5、好ましくは1.1〜3、さらに好ましくは1.2〜2.8(特に1.5〜2.5)程度であってもよい。
【0044】
本発明の重合体は、常温(例えば、15〜25℃)で固体であり、かつ所定の温度で粘稠性を発現するホットメルト接着性を有していてもよい。重合体の接着温度(ホットメルト接着が可能な温度)は、例えば、50〜200℃、好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは100〜150℃程度である。
【0045】
本発明の重合体は、溶剤溶解性に優れるため、コーティングが容易であり、取り扱い性に優れる。重合体を溶解可能な溶媒としては、例えば、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートなどの酢酸エステル類)、ケトン系溶媒(例えば、アセトンなどの鎖状ケトン類;シクロヘキサノンなどの環状ケトン類)、エーテル系溶媒(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、芳香族系溶媒(例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン系溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロアルカン類)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルカノール類)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、ニトロ系溶媒(例えば、ニトロベンゼンなど)などが挙げられる。
【0046】
本発明の重合体は、主鎖にアセタール結合を有するため、酸により容易に分解される特性を有しており、例えば、塩酸や硫酸などの強酸を添加して加熱することにより分解できる。加熱温度は、例えば、35〜100℃、好ましくは40〜80℃、さらに好ましくは45〜60℃程度であってもよい。そのため、レジスト材料や仮止め用接着剤として好適である。
【0047】
[含酸素飽和ヘテロ環を有する重合体の製造方法]
本発明の重合体は、前記式(2)で表されるジビニルエーテルと前記式(3)で表されるジオールとを反応させる反応工程を含む製造方法により得られる重合体である。
【0048】
反応工程において、ジビニルエーテル(2)としては、前記繰り返し単位(1)で例示された環Zを基本骨格とするジビニルエーテルであればよく、前記式(2a)で表されるジビニルエーテル(特に前記繰り返し単位(1a)で例示された置換基を有するジビニルエーテル)が好ましい。ジオール(3)としても、前記繰り返し単位(1)で例示された環Zを基本骨格とするジオールであればよく、前記式(3a)で表されるジオール(特に前記繰り返し単位(1a)で例示された置換基を有するジオール)が好ましい。
【0049】
反応工程では、ジビニルエーテル(2)及びジオール(3)に加えて、共重合性単量体を加えてもよい。共重合性単量体としては、他のジビニルエーテル(例えば、ブチレンジビニルエーテル、シクロヘキサンジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、2,2−ノルボルナンジメタノールジビニルエーテルなど)、他のジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなど)、ヒドロキシアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0050】
これらのうち、ジビニルエーテル(2)とジオール(3)との交互重合体が好ましい。
【0051】
ジビニルエーテル(2)とジオール(3)との割合(モル比)は、前者/後者=10/1〜1/10程度の範囲から選択できるが、重合性の点から、例えば、2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2(特に1.1/1〜1/1.1)程度であってもよく、通常、略等モルである。
【0052】
反応は触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、慣用の触媒を利用できるが、反応促進性が高い点から、酸触媒が好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸などの強酸であってもよいが、生成する重合体の安定性も保持できる点から、酢酸、リン酸、アレーンスルホン酸(例えば、トルエンスルホン酸など)と塩基(例えば、ピリジンなどの弱塩基など)との塩などの弱酸が好ましく、重合体の安定性と反応性とのバランスに優れる点から、パラトルエンスルホン酸ピリジニウムなどのトルエンスルホン酸塩が好ましい。
【0053】
触媒の割合は、重合成分の総モル数(例えば、ジビニルエーテル(2)及びジオール(3)の総モル数)100モルに対して、例えば、0.1〜20モル、好ましくは0.3〜15モル、さらに好ましくは0.5〜10モル(特に1〜5モル)程度である。触媒の割合が少なすぎると、反応性が低下し、多すぎると、重合体の物性に悪影響を及ぼす虞がある。
【0054】
反応は、溶媒中で行ってもよく、溶媒としては、前記ジビニルエーテル及びジオールに対して非反応性の溶媒であれば特に限定されず、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテートなどのC
1−4アルキルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノC
1−4アルキルエーテルアセテートなど)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、セロソルブアセテート類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノC
1−4アルキルエーテルアセテートなど)が汎用される。
【0055】
溶媒の使用量は、重合成分の総量(例えば、ジビニルエーテル(2)及びジオール(3)の総量)100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部、さらに好ましくは100〜300重量部(特に150〜200重量部)程度であってもよい。
【0056】
反応は、慣用の添加剤、例えば、重合促進剤、重合禁止剤などを添加して行ってもよい。さらに、反応系に水分が含まれていてもよく、原料などに由来して不可避に含有する水分存在下で反応を行ってもよい。
【0057】
反応工程では、過度の加熱や冷却をすることなく、反応を進行させることができ、反応温度は、例えば、0〜60℃、好ましくは10〜50℃、さらに好ましくは20〜45℃(特に30〜40℃)程度であってもよい。
【0058】
反応時間は、例えば、30分〜48時間、通常、1〜36時間、好ましくは2〜24時間程度であってもよい。なお、反応は、不活性雰囲気(窒素、ヘリウム、アルゴンなどの雰囲気)下で行ってもよい。
【0059】
反応工程を経て得られた重合体は、さらに分離精製工程に供してもよい。分離精製工程では、慣用の分離精製処理、例えば、濾過、濃縮、再沈殿、抽出、晶析(再結晶など)などの手段より分離精製してもよい。さらに、酸触媒を用いた場合は、慣用の方法でアルカリで中和してもよい。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、得られた重合体の特性は以下の方法で測定した。
【0061】
[重量平均分子量]
実施例で得られた重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で、高速GPC装置(東ソー(株)製「HLC−8220GPC」)を用い、移動相はテトラヒドロフランを流速0.6mL/分で、カラム(東ソー(株)製「TSKgel−superHZM−M」)を3本連結して測定した。
【0062】
[NMR測定]
1H−NMRは、核磁気共鳴装置(日本電子(株)製「JNM−ECA500」)を用いて、500MHzで測定した。
【0063】
実施例1
イソソルバイド(東京化成工業(株)製)5g及びピリジニウムパラトルエンスルホナート(東京化成工業(株)製)0.43gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート((株)ダイセル製)20gに加え、30℃以下でイソソルバイドジビニルエーテル((株)ダイセル製)6.78gを滴下した。滴下後40℃で4時間攪拌した。反応開始時はイソソルバイドの未溶解分が存在していたが、反応終了時にはイソソルバイドの未溶解分は消失していた。反応終了後、5重量%炭酸水素ナトリム水溶液及び水で洗浄し、有機層を減圧濃縮することで重合体7gを得た。この重合体の重量平均分子量Mwは5200であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。得られた重合体のNMRデータを以下に示し、NMRチャートを
図1に示す。
【0064】
(NMRデータ)
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm)1.334−1.344(d)、1.386−1.397(d)、3.858−4.006(m)4.029−4.063(m)、4.232−4.352(m)、4.410−4.419(m)、4.526−4.567(m)、5.045−5.091(m)、6.352−6.487(m)。
【0065】
さらに、得られた重合体10mgをテトラヒドロフラン4.5gに溶解した後、1N塩酸0.5gを加えて50℃で30分間加温した。塩酸処理物の重量平均分子量Mwを測定したところ、重量体のピークが消失していた。一方、得られた重合体10mgをテトラヒドロフラン5gに溶解し50℃で30分間加温して重量平均分子量Mwを測定したところ、重量体のピークに変化は確認されなかった。