(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
累進焦点眼鏡用レンズは、医学的処方と関連があり、着用者の好みに応じて選ばれるフレームに収容される。
【0003】
このタイプのレンズには、レンズの上部に位置付けられる遠用部領域と、レンズの下部に位置付けられる近用部領域と、が設けられている。それらの視力ゾーンは、異なる光学特性を有する。このため、このタイプの眼科用レンズには特有の特性があり、そのレンズは、一方領域から他方領域まで延びる累進焦点通路(progression corridor)を有し、光学特性は、連続的な方法で変化する。したがって、遠用部領域から近用部領域にかけて、遠視力ゾーンの光学特性は、次第に近視力ゾーンの光学特性に変化する。これは、着用者が不自由なく快適に一方の領域から他方の領域に移ることを可能にする。
【0004】
しかしながら、この累進焦点通路、特にその長さは、一方のフレームから他方のフレームで変化する。
累進帯長(progression length)が、眼、結果としては、選択されたフレームに対して、眼科用レンズの位置の関数として変化することは、実際に知られている。
【0005】
このため、着用者に対して快適な最善のレベルに達するまで累進焦点眼鏡用レンズを最適化することを目的として、フレームのサイズ及び形状を考慮することが考えられる。フランス国特許文献2898193には、着用者と選択されたフレームに適した累進焦点眼鏡用レンズを決定する方法が記載されている。
【0006】
その方法は、所定の対象のサンプルで算出される平均値に基づいて得られる代表的なパラメータを求める。この予防措置にもかかわらず、特定の人が、それらの累進焦点眼鏡用レンズが合わないという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上述の問題を解決し、さらに快適な視覚を提供するために、着用者と選択されたフレームの特徴に応じて、累進焦点眼鏡用レンズを選択する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、本発明は、所定のフレームと所定の着用者に対して累進焦点眼鏡用レンズを選択する方法を提供する。累進焦点眼鏡用レンズは、
累進帯長分間隔を置いて配置される遠用部領域及び近用部領域を有する。所定のフレームは、累進焦点眼鏡用レンズを収容することが可能な2つの凹部を有し、その2つの凹部は、凹部中央平面を定義する。本発明の方法は、a)前記着用者に前記フレームを装着するステップと、b)遠見姿勢で前記着用者の視線の第1方向と前記凹部中央平面との第1交点の位置を、前記フレームに対して決定するステップと、c)近見姿勢で前記着用者の視線の第2方向と前記凹部中央平面との第2交点の位置を、前記フレームに対して決定するステップと、d)前記第1交点と前記第2交点との距離を求めるステップと、e)前記第1、第2交点間で求められた距離に相当する
累進帯長の累進焦点眼鏡用レンズを選択するステップと、を有する。
【0010】
ゆえに、本発明の特徴は、遠見姿勢および近見姿勢で着用者の視線の各方向における凹部中央平面の交点の相対位置のカスタマイズされた測定、および、対応する累進焦点眼鏡用レンズを選択するために交点と交点の距離の算出、に存在する。特に、例えば、フレームの下縁部に対して各交点にタグを付けて、垂直にそこからそれらの距離を測定することが可能である。それらの交点間の距離は、かなりの割合で着用者やフレームによって異なる。累進焦点眼鏡用レンズは、所定のフレームを取り付けた所定の着用者に対して、すべての状況で必ずしも適したとはいえない標準的な
累進帯長で提供されている。本発明の方法によって、フレームを選択した所定の着用者に対して、
累進帯長が、上述した交点間の距離と一致する累進焦点眼鏡用レンズを選択することが可能である。また、累進焦点眼鏡用レンズがこの距離に対応しない場合には、フレームの選択は、適切なフレームを識別するために、再評価することができる。
【0011】
遠見姿勢において着用者の視線の方向は、着用者が立っていて、水平に見ている時の視線の方向に一致する。近見姿勢では、着用者の視線の方向は、着用者が自然の位置、例えば、手で本を持って読んでいる時の視線になる。
【0012】
本発明の実施形態における1つの特に有利な方法によれば、フレームは、目盛り付き器具を備えている。その目盛り付き器具は、決定された距離それぞれ間隔を置いて配置される3つのタグポイントを有する。以下に詳細に説明されているように、目盛り付き器具は、着用者の特定の他の人体測定学上の特徴に関して、フレームの特定の特徴の距離を測定することが可能である。また、三角測量によるこれらの距離の特定の計算は、以下に説明される。目盛り付き器具が、フレーム自体に適所にタグを設けることを避けることを可能とさせることが分かるだろう。また、特定のそれらの距離、および、フレームの高さの値、を測定するために、目盛り付き器具を用いることが可能である。例えば、ある距離を測定するために目盛り付き器具を用いることができる。目盛り付き器具は、フレームの上部に設置することが望ましい。目盛り付き器具は、フレームのアームに隣接し、ブリッジによって連結されている2つの側部タグポイントを有することが好ましい。また、目盛り付き器具は、2つの側部タグポイント間に、ブリッジに対して垂直に取り付けられているロッドの端部で中央タグポイントを有することが好ましい。
【0013】
特に有利な特徴によれば、上述のステップb)において、目盛り付き器具を備えたフレームおよび着用者の眼の瞳孔の第1画像は、フレームに対して第1交点の位置を決定するために、視線の第1方向に隣接する方向に沿って記録される。以下に説明するように、第1画像により、他の実施形態において、フレームの下縁部と着用者の角膜反射とを隔てる距離が、上述の3つのタグポイントの相対距離のように、垂直平面に対して凹部中央平面の角度を決定するために、測定される。垂直平面に対して中央平面の角度は、広角度(pantoscopic angle)として呼ばれている。それらの構成要素によって、凹部中央平面と累進焦点眼鏡用レンズとの間の第1交点の位置は、フレームの下縁部に対して、決定される。
【0014】
有利には、第1カメラが、提供される。その第1カメラは、第1画像を記録するために、目盛り付き器具を備えたフレームを装着した着用者から離れて、視線の第1方向に隣接する方向に沿って、調整される。第1カメラは、例えば、立った状態で、眼の高さで着用者から約2mに調整される。このような方法で、第1カメラから得られた画像は、上述の値を得るために、自動にまたは半自動に処理されて分析されることができる。
【0015】
また、ステップc)において、フレームに対して、第2交点の位置を決定するために、目盛り付き器具を備えたフレームおよび着用者の眼の瞳孔の第2画像が、視線の第2方向に隣接する方向に沿って、記録される。上述のステップb)と同等の測定および算出は、第2交点の位置、例えば、フレームの下縁部に対して決定するために、実行されることができる。
【0016】
このため、それを行うため、文字を有する移動式支持部と、移動式支持部に固定される第2カメラが、提供される。目盛り付き器具を備えたフレームを装着した着用者は、第2画像を記録するために、移動式支持部を自然に読む距離に調整することが可能である。したがって、文字を有する支持部に配置されている第2カメラによって、支持部から着用者の視線の第2方向に隣接する方向に沿って、目盛り付き器具を備えたフレームおよび着用者の眼の瞳孔の画像を得ることが可能である。同様に、第1カメラに関して、取得した画像は、フレームの下縁部に関して第2交点の位置を得るために、処理されて分析されることができる。
【0017】
カメラの光軸が、着用者の視線の方向と一致する場合、それらの測定および算出は、単純化される。これが遠見の第1姿勢で視線の第1方向の場合であること考慮すると、近見姿勢で視線の第2方向の場合において同じようには保持されない。
【0018】
他の主題によれば、本発明は、所定の着用者に装着される所定のフレームに対して累進焦点眼鏡用レンズを選択することが可能な自動処理アセンブリに関する。累進焦点眼鏡用レンズは、
累進帯長分間隔を置いて配置される遠用部領域と、近用部領域と、を有する。所定のフレームは、累進焦点眼鏡用レンズを収容することが可能な2つの凹部を有する。その2つの凹部は、凹部中央平面を定義する。自動処理アセンブリは、遠見姿勢で前記着用者の視線の第1方向と前記凹部中央平面との第1交点の位置を、前記フレームに対して決定する第1決定手段と、近見姿勢で前記着用者の視線の第2方向と前記凹部中央平面との第2交点の位置を、前記フレームに対して決定する第2決定手段と、前記第1交点と前記第2交点との距離を求める算出手段と、前記第1、第2交点間で求められた距離に相当する
累進帯長の累進焦点眼鏡用レンズを選択する選択手段と、を有する。
【0019】
また、第1及び第2決定手段が、フレームに取り付けることを目的とした目盛り付き器具を有することが有利である。また、目盛り付き器具が、決定された距離それぞれ間隔をおいて配置される3つのタグポイントを有することが望ましい。この目盛り付き器具は、以下に詳細に説明されるように、特に、フレームの方向付けだけでなく着用者の眼の高さで距離も三角測量で決定することを可能にする。
【0020】
また、本発明の特に有利な実施形態によれば、第2決定手段は、携帯型ディスプレイ画面と、携帯型ディスプレイ画面に取り付けられるカメラと、を有する。携帯型ディスプレイ画面は、例えば、内蔵カメラが搭載された「タブレットPC」などがある。したがって、以下に詳細に説明されるように、着用者は、自分自身でディスプレイ画面を自然な近見距離に調整することができ、また、カメラの光軸を正しい位置に置くことができる。
【0021】
また、第2決定手段は、カメラによって提供される画像を記録する記録手段と、近見姿勢で着用者の視線の第2方向と凹部中央平面との第2交点の位置を計算する計算手段と、を有することが好ましい。
【0022】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の特定の実施形態で以下に示す説明で明らかになるだろう。なお、本発明は、その実施形態に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、着用者の顔12に取り付けられたフレーム10を示す。フレーム10は、2つのアーム14、16と、2つの凹部18、20と、を有する。2つの凹部18、20は、実質的に卵形の閉構造で範囲が定められており、累進焦点眼鏡用レンズを収容するために着用者の眼22、24の前でそれぞれ広がっている。また、フレーム10は、目盛り付き器具26を備えている。目盛り付き器具26は、ブリッジ28と、2つの対向端部30、32と、を有する。2つの対向端部30、32は、それぞれ、固定ブラケット34、36を備えている。このため、固定ブラケット34、36は、着用者の視覚空間を自由にする後ろの2つの各アーム14、16の近くで、フレーム10に重なる。目盛り付き器具26は、全体的に、フレーム10に固定され、2つの対向タグ38、40を備えている。2つの対向タグ38、40は、それぞれ、2つの対向端部30、32に取り付けられている。それら2つの対向タグ38、40は、それぞれ、ディスクの形でホワイト色のマークで示され、その中心は、ブラックポイント42、44を有する。2つのブラックポイント42、44は、既知の距離で間隔を置いて離れて配置されており、例えば、正確に110mmに等しい距離で配置される。
【0025】
図1に示すように、着用者の眼22、24の瞳孔46、48は、それらの中心で、角膜の頂点の反射に対応するホワイトマークで示されている。このため、目盛り付き器具26、および、決定された距離で離れて配置される2つのブラックポイント42、44、が一体となって正面に現れると同時に、着用者の眼22、24の瞳孔46、48が、かなり隣接した垂直平面に現れる。
【0026】
また、フレーム10は、実質的に瞳孔46、48をカットする垂直平面に応じて、閉構造の最大高さに相当する高さACを有する。ポイントAおよびCは、それぞれ、フレームの上縁部および下縁部に相当し、その距離は、完全に決定される。
【0027】
本発明の方法を実施するために、第1設備50が設けられている。第1設備50は、
図2に示されているように、記録装置52を有する。記録装置は、2mに相当する距離Dで、着用者の顔12に向かって方向付けられるCCDタイプのデジタルカメラ54を少なくとも1つ備えている。また、第1設備は、処理手段を有するが、ここでは示されていない。その処理手段は、画像処理モジュールを有する。画像処理モジュールは、カメラ54によって提供されて記録された画像、特に、フレームの下縁部および上縁部の相対位置、瞳孔46、48の角膜反射の相対位置に基づいて評価することを可能にする。また、その処理手段は、算出モジュールを有する。算出モジュールは、垂直線に対して中央平面の傾きを評価することを可能にする。また、非常に鮮明な角膜反射を得るために、カメラの位置で照明器具が取り付けられていることが好ましい。
【0028】
着用者は、目盛り付き器具26を備えたフレーム10を装着する。ここで、着用者の姿勢は、遠見姿勢となる。
【0029】
この位置では、着用者の顔12の画像が、デジタルカメラ54を用いて記録される。
図3に注目すると、画像平面Pl1で再現されるさまざまなパラメータが示されている。このため、デジタルカメラ54の光軸A1は、2つの瞳孔46、48の角膜反射を結合する部分(segment)を実質的にカットする。ゆえに、デジタルカメラ54の光軸A1は、画像平面Pl1に対して垂直である。この画像平面Pl1で分かるのは、フレーム10の上縁部Aと、下縁部Cの投影Eと、着用者の視線の第1方向X1とフレーム10の凹部18、20によって定義される凹部中央平面PL1との第1交点Jの投影Mと、である。着用者の視線の第1方向X1は、デジタルカメラ54の光軸A1と一致することが分かるだろう。
【0030】
この位置で、第1交点Jとフレームの下縁部Cとの間の距離を確かめることが望ましい。
【0031】
角度βは、最初に決定される。投影ポイントMからデジタルカメラ54までの距離TMは、分かっている。この投影ポイントMは、画像平面Pl1の上縁部及び下縁部から等距離に位置付けられている。一方では、ポイントMとポイントEとを隔てる画素、および、他方では、目盛り付き器具26の2つのブラックポイント42、44間の画素、を画像平面上に数え上げる。それら2つのブラックポイント42、44間の実際の距離は既知であるので、実際の距離MEは、ルール・オブ・スリー(rule of three)を適用することにより、そこから推測される。したがって、角度βは、tan(π−β)=TM/MEなので、三角形AECから得られる。
【0032】
三角形AECにおいて、α=π−β−arcsin[(AE sinβ)/AC]なので、そこから画像平面Pl1と凹部中央平面との間の広角度αが推定される。前の計算を考慮すると、α=arctan[TM/ME]−arcsin[(AEsinβ)/AC]となる。また、長さAEは、ポイントMと画像平面Pl1のポイントEとの間の画素を数え上げて、ルール・オブ・スリーを適用することによって、上述のように決定される。
【0033】
したがって、交点Jの位置は、距離AMを算出することによって、決定される。画像平面Pl1に含まれる距離AMは、ポイントAとポイントMとの間の画素を数え上げて、ルール・オブ・スリーを適用することにより得られる。そして、その距離AMをcosαで割ることによって、距離AJが得られる。その後、距離AJをフレーム10の2つの上縁部と下縁部との間に延びる既知の距離CAから引くことによって、距離CJの値が得られる。
【0034】
また、
図2に示されているような遠見姿勢では、2つの瞳孔46、48の角膜反射の間の長さが、実際の距離を測定するために上述に示されているように、画像平面Pl1で投影される2つの反射間に広がる画素を数え上げて、ルール・オブ・スリーを適用することにより、測定される。
【0035】
図4および
図5には、近見姿勢で、着用者の視線の方向と凹部中央平面との交点の位置決定モードが、示されている。
【0036】
図4では、目盛り付き器具付きのフレーム10を装着した着用者が示されている。本発明の方法によれば、第2設備56がさらに設けられている。第2設備56は、CCDタイプの移動式デジタルカメラ60を備えた第2記録装置58を有する。この移動式デジタルカメラ60は、文字が記載された支持部62を介して取り付けられている。このため、フレーム10を装着した着用者は、支持部の文字を読む自然の位置で自分自身を配置することを要求される。支持部と着用者の顔12との相対位置は、近見姿勢に相当する。その後、カメラの光軸は、計測可能な距離で、かつ、着用者の視線の方向と必ずしも一致しない方向に沿って、着用者の顔12に向かって方向付けられる。
【0037】
第2設備56は、図示されていない処理手段を有する。その処理手段は、上述した類似の画像処理モジュールを含む。画像処理モジュールは、移動式デジタルカメラ60によって提供されて記録された画像と、フレームに対して後ろの距離と、フレームの下縁部と上縁部との相対位置と、瞳孔46、48の角膜反射の相対位置と、に基づいて、評価することが可能である。上述の処理手段と同様に、第2設備56の処理手段は、算出モジュールを含む。算出モジュールは、垂直線に対して凹部18、20の中央平面の傾斜を評価することが可能である。
【0038】
この近見姿勢では、着用者の顔12の画像が、移動式デジタルカメラ60を用いて記録される。
図5には、画像平面Pl2で再現されたさまざまなパラメータが示されている。
【0039】
移動式デジタルカメラ60の光軸A2は、2つの瞳孔46、48の角膜反射を結合する部分(segment)をカットしないが、それはその部分とフレームの凹部の2つの上縁部Aによって形成される部分(segment)との間で延びている。
【0040】
一方、移動式デジタルカメラ60の光軸A2は、画像平面Pl2に対して常に垂直である。画像平面Pl2は、
図5に示されているように、フレームの凹部の上縁部Aに接している。
【0041】
このため、この画像平面Pl2で分かるのは、フレーム10の上縁部Aと、下縁部Cの投影Bと、光軸A2と画像平面Pl2との交点Mと、着用者の視線の第2方向X2とフレーム10の凹部18、20によって定義される第2凹部中央平面PL2との交点Oの投影Iと、である。
【0042】
この位置では、遠見姿勢の場合のように、第2交点Oとフレームの下縁部Cとの間の距離を確認することが望ましい。
【0043】
そのためには、移動式デジタルカメラ60とポイントMとの間の距離MVが、最初に測定される。この距離は、目盛り付き器具26の2つのブラックポイント42、44の間の画素数に対応するので、簡単に決定される。
【0044】
その後、角度βは、決定される。ポイントMから移動式デジタルカメラ60までの距離MVが、分かる。一方では、ポイントMとポイントBと間の画素、及び、他方では、目盛り付き器具26の2つのブラックポイント42、44間の画素が、画像平面Pl2に数え上げられる。実際の距離MBは、ルール・オブ・スリーを適用することによって、そこから推定される。したがって、tanβ=MV/MBなので、三角形ABCの角度βが、推定される。
【0045】
三角形ABCにおいて、α= π−β − arcsin[(ABsinβ)/AC]なので、画像平面Pl2と凹部中央平面PL2との間の角度αが、推定される。また、長さAIは、上述したように、画像平面Pl2におけるポイントMとポイントIとの間の画素を数え上げ、ルール・オブ・スリーを適用することによって、決定される。また、角度γ=arctan [MV/MI]は、距離AO = Al[sinβ/sin(α + γ)]を得るために、算出される。
【0046】
したがって、距離COは、フレーム10の上縁部と下縁部との間に延びる既知の距離ACから距離AOを引くことによって、決定される。
【0047】
画像平面Pl2と凹部中央平面PL2との間の角度αが、目盛り付き器具26によって公知の方法、三角測量、ブリッジ28の中央に位置付けられている第3のタグにより、得ることができるということがわかるだろう。
【0048】
また、
図5に示されているような近見姿勢では、2つの瞳孔46、48の角膜反射間で延びる長さも、実際の距離を決定するために上述に示したように、画像平面Pl2に投影される2つの反射間に広がる画素を数え上げて、ルール・オブ・スリーを適用することによって、測定される。
【0049】
そして、遠見姿勢における交点Jと近見姿勢における交点Oとの間に延びる距離は、遠見姿勢で得られた値CJから近見姿勢で得られた値COを引くことにより、求められる。
【0050】
最終的に、交点O及び交点Jの間で求めた距離に相当する
累進帯長の累進焦点眼鏡用レンズを選択することが可能である。
【0051】
本発明における実施形態の1つの特に有利な方法が、
図6に示されている。
図5に示されている実施形態と同じ構成要素およびポイントは、同一の参照番号を付する。同じ役割を果たす類似の構成要素は、その参照番号に「′」が付されている。支持部は、携帯型ディスプレイ画面62′で構成されている。CCDデジタルカメラ60′は、その携帯型ディスプレイ画面62′にしっかりと取り付けられている。以下に説明されるように、取り付けられた携帯型ディスプレイ画面62′は、2倍の利点を提供する。それは、同時にカメラ60′の光軸を眼Lの中心に向かって方向付けることを可能にさせる。このため、測定の精度を向上させることができ、また、着用者に対して近見読み込み支持部(near vision reading support)を設けることができる。しかしながら、携帯型ディスプレイ画面62′に関してカメラ60′の位置を考慮すると、補正が必要とされる。特に、カメラの光軸が、ディスプレイ画面62′に関して傾けられたときに、補正が必要とされる。
【0052】
図5において、支持部62とディスプレイ画面62′との相対位置は、厳密には同一である。一方、
図6において、デジタルカメラ60′は、眼の光軸上に位置していないが、カメラ60′の光軸は、その中央Lで実質的にカットする。また、視線X2′の第2方向は、ディスプレイ画面62′の水平な中央線66に向けられており、実質的に垂直にカットする。水平な中央線66は、ここでは、図の平面に対して垂直である。
【0053】
この配置の幾何学的結果を記載して、その主な有効なパラメータを決定する前に、同じ結果を達成することが可能である有効な状態を説明する。
【0054】
最初に、実施形態の上述の方法における支持部62に対して、携帯型ディスプレイ画面62′は、近見読み込み距離でそれを保持する着用者によって各側部で握られている。眼Lの中央とそのディスプレイ画面との距離は、約40cmである。このため、携帯型ディスプレイ画面62′に対してカメラ60′の方向付けは、カメラ60′の光軸A2′が、上述の中央線をカットし、かつ、ここでは、画面62′から約40cmで視線X2′の第2方向に一致する画面62′に対して正常に交差するように、前もって調整される。
【0055】
そして、画像表面Pl2′に対応するカメラ60′によって得られる画像は、リアルタイムに携帯型ディスプレイ画像62′に再送される。また、画面を2つの等しい上部、下部に隔てる水平な中央線66は、携帯型ディスプレイ画面62′上に表示される。
【0056】
ゆえに、目盛り付き器具26付のフレームを装着した着用者は、近見読み込みの標準位置で、携帯型ディスプレイ画面62′を調整するだけでなく、着用者の眼が横方向で中心に集まり、中央線が角膜反射68の位置でそれらをカットするように、携帯型ディスプレイ画面62′を方向付けすることが必要とされる。一旦この位置になれば、画像は、記録される。実際、この位置では、カメラ60′の光軸A2′が、眼Lの中央をカットする。したがって、
図6は、概略的に側面を示している。
【0057】
光軸A2′が、第2ポイントO′で凹部中央平面をカットし、その一方で、視線X2′の第2方向の第2交点が、ポイントKで凹部中央平面をカットすることがわかる。
【0058】
ここでは、それは、求められるべき距離CKの値であることが明らかである。
【0059】
三角形ABCにおける画像平面Pl2′と凹部中央平面PL2′との間の角度αが、すでに分かっており、画像平面Pl2′における距離AM′が、画素数を算出して、ルール・オブ・スリーを適用することによって決定されるので、距離AO′の値は、最初に決定される。光軸A2′は、定義により画像平面Pl2′を垂直にカットするので、距離AO′は、AM/cosαと等しい。
【0060】
ポイントKからポイントO′までの距離を決定することが、現在適切である。
【0061】
最初に、凹部中央平面PL2′のポイントO′でカメラ60′のポイントV′を隔てる距離は、目盛り付き器具26における画素数を求めて、ルール・オブ・スリーを行うことによって確認される。また、光軸A2′のこの距離に沿って、角膜反射68の位置で眼の角膜から凹部中央平面PL2′を隔てる距離は、すでに算出されており、それは、約1.3cmに等しい。また、眼の平均半径Rは、約0.8cmとわかっており、すなわち、総距離LO′がわかる。このため、眼の中央Lからカメラ60′の光心までの距離は、自然にそこから導き出される。また、水平な中央線66からカメラ60′までの距離hは、分かっている。このため、眼の中央L、カメラ60′の光心、および、中央線66を備えた視線X2′の第2方向の交点は、直角三角形を形成する。視線X2′の第2方向と光軸A2′との間の角度θの値、すなわち、sinθは、分かっており、h/LV′に等しい。
【0062】
現在、三角形LO′Kの位置で、距離LO′、および、セグメント(segment)LKとLO′との間の角度Sinθが、分かっている。その後、セグメントO′Kを求めることができるように、セグメントLO′とO′Kとの間の角度Ωを決定しなければならない。
【0063】
角度Ωは、πと、セグメントO′AとセグメントO′M′との間の角度δと、の差異に相当する。また、角度δは、π/2−αに相当し、結果として、角度Ωは、α+ π/2に相当する。
【0064】
このため、その角度の2つに共通する三角形の側面の長さを知ることにより、そこから他の側面の長さを導き出せる。また、この距離では、O′Kは、O′Lとsinθとの積と、sin(θ +α+ π/2)と、の比率に相当する。既知のすべてのそれら値から、O′Kの値が、そこから自然と導き出せ、そして、セグメントAKの値、さらに、フレームの下縁部Bとフレームにおける近見Kの中央との間のCKの値が、導き出せる。
【0065】
光軸A2′が携帯型ディスプレイ画面62′に対して垂直となるとき、カメラが画像平面Pl2′と平行になるように、カメラ62′が方向付けされる際、距離O′Kの算出は、実質的に異なることが明らかである。このため、角度θの正弦(サイン)ではなく、正接(タンジェント)h/V′Lとなる。