(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一磁気検知センサから前記永久磁石までの距離と、前記第二磁気検知センサから前記永久磁石までの距離とが、互いに等しいことを特徴とする、請求項3に記載の鋼球検知器。
【背景技術】
【0002】
鋼球を用いた遊戯機、例えばパチンコ台には、鋼球(パチンコ玉)が入賞口等を通過したことを検知するための鋼球検知器が複数取り付けられている。このような鋼球検知器としては、鋼球の通過を光学的に検知するもの(光学式)や、永久磁石と磁気検知センサとの組み合わせによって検知するもの(磁気式)等が知られている。
【0003】
光学式の鋼球検知器は、発光部から発せられて受光部に到達する光の強度が鋼球の通過により変化することを利用して、鋼球の通過を検知するものである。しかしながら、光学式の鋼球検知器においては、発光部に付着した汚れや発光素子の劣化等により、受光部に到達する光の強度が変化してしまうことがある。すなわち、時間の経過に伴って検知精度が低下してしまうことがある。
【0004】
磁気式の鋼球検知器は、永久磁石(バイアス磁石)によって発生した磁界が、磁性体である鋼球の通過によって変化することを、磁気検知センサによって検知するものである。このような磁気式の鋼球検知器は、光学式の場合と異なり、時間の経過に伴う検知精度の低下が比較的生じにくく、長期間に亘って安定して動作し得るものである。
【0005】
下記特許文献1には、磁気式の鋼球検知器の一例が記載されている。この鋼球検知器は、鋼球の通路である貫通孔が形成されたケースを備えており、当該貫通孔を間に挟むように、永久磁石と磁気検知センサとがケース内に配置された構成となっている。
【0006】
下記特許文献1に記載された鋼球検知器は、磁気検知センサとして磁気抵抗素子を有しており、磁気抵抗素子の中点電圧(磁気抵抗素子が検知した磁界の強さといってもよい)が所定の閾値を超えて変化したかどうかに基づいて、鋼球の通過を示す通過信号(矩形波)を出力するものである。また、下記特許文献1には、複数の鋼球が連なった状態で通過した場合においても、それぞれの鋼球が通過する度に磁気抵抗素子の中点電圧が所定の閾値を超えて変化する結果、鋼球の通過個数と同数の通過信号を出力することが示されている。尚、複数の鋼球が「連なった」状態とは、複数の鋼球が一列に並んでおり、且つ互いに接している(又は近接している)状態をいう。
【0007】
図6(A)を参照しながら、上記のような従来の鋼球検知器による通過信号の出力について説明する。すなわち、磁気検知センサが検知した磁界の強さが所定の閾値を超えて変化したかどうかに基づいて、通過信号を生成し出力する方法について説明する。
図6(A)の上段のグラフは、従来の鋼球検知器の近傍を単一の鋼球が通過した際において、鋼球検知器の磁気検知センサが検知する磁界の強さの経時変化を示している。また、
図6(A)の下段のグラフは、このときにおける鋼球検知器の出力端子間の電圧の経時変化を示している。
【0008】
尚、磁気検知センサが検知した「磁界の強さ」は、例えば磁束密度や磁場、磁気抵抗素子の抵抗値等、さまざまな指標を用いて表すことができるのであるが、
図6(A)では、磁気検知センサの位置における磁束密度の大きさを、磁気検知センサが検知した「磁界の強さ」として縦軸に示している。以降の説明においても、磁気検知センサが検知した「磁界の強さ」を示す指標の一例として、磁束密度を用いることとする。
【0009】
図6(A)に示したように、鋼球検知器の近傍(検知領域)を鋼球が通過すると、永久磁石からの磁束の一部が磁性体である鋼球に引き寄せられる結果、磁気検知センサにおける磁束密度の大きさが、当初の初期値B0から一時的に小さくなる。その後、鋼球が遠ざかると磁束密度は大きくなり、初期値B0に戻る。
【0010】
鋼球検知器には、磁束密度についての閾値として閾値Btが設定されている。鋼球検知器は、鋼球が通過することによって磁束密度が閾値Btを下回ると、鋼球検知器の出力端子間の電圧が電圧V
Lから電圧V
Hへと変化する構成となっている。換言すれば、鋼球が検知領域を通過すると、出力端子間の電圧を電圧V
Hとし外部に出力する構成となっている。すなわち、出力端子間の電圧を電圧V
Lから電圧V
Hへと変化させることにより、鋼球の通過を示す信号(通過信号)を外部に出力する構成となっている。
【0011】
具体的には、
図6(A)に示したように、鋼球が接近することにより、時刻t1において磁束密度が閾値Btを下回ると、この時点で出力端子間の電圧が電圧V
Lから電圧V
Hへと変化する。すなわち、通過信号の出力を開始する。その後、鋼球が遠ざかることにより、時刻t2において磁束密度が閾値Btを上回ると、この時点で出力端子間の電圧が電圧V
Hから電圧V
Lへと戻る。すなわち、通過信号の出力を停止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、従来の鋼球検知器においては、鋼球が通過する経路を限定するために、例えばリング状のガイド部材(上記特許文献1においては、「保持枠5」のうち「通路用筒部51」が形成された部分)を有しており、当該ガイド部材をパチンコ台の盤面よりも遊技者側に突出させる構成とするのが一般的であった。しかしながら、パチンコ台の盤面の美観を考慮すれば、鋼球検知器の一部(ガイド部材)が遊技者に視認されないことが好ましい場合もある。このため、鋼球が通過する経路を限定するためのガイド部材を有さないこととし、鋼球検知器の全体がパチンコ台の盤面の裏側に配置されるような構成とすることも考えられる。
【0014】
このような構成においては、鋼球はその通過経路がガイド部材によって限定されることがない。鋼球は、パチンコ台の盤面とガラス板とで挟まれた空間の内部を、比較的自由に通過することとなる。このため、盤面の裏側に設置された鋼球検知器の近傍を鋼球が通過する際の通過軌道は、盤面に近い軌道となる場合もあれば、盤面から遠い(ガラス板に近い)軌道となる場合もある。
【0015】
盤面から遠い軌道(鋼球検知器の永久磁石から遠い軌道ともいえる)を鋼球が通過した際には、当該鋼球に引き寄せられる磁束が少なくなるために、磁気検知センサの位置における磁束密度の減少量が少なくなる。その結果、
図6(B)の上段のグラフに示したように、時刻t1以降において減少し始めた磁束密度が、閾値Btを下回らないまま初期値B0に戻ってしまうような場合も生じ得る。この場合には、
図6(B)の下段のグラフに示したように、出力端子間の電圧は電圧V
Lのままとなり、鋼球が通過したにもかかわらず、当該通過を示す通過信号は外部に出力されない。
【0016】
また、単一の鋼球が通過するのではなく、複数の鋼球が連なった状態で通過する場合も生じ得るのであるが、この場合には、正確な通過信号を外部に出力することが更に困難となる。この点について、
図7を参照しながら説明する。
図7(A)の上段のグラフは、従来の鋼球検知器の近傍を3個の鋼球が連なった状態で通過した際において、鋼球検知器の磁気検知センサが検知する磁界の強さの経時変化を示している。また、
図7(A)の下段のグラフは、このときにおける鋼球検知器の出力端子間の電圧の経時変化を示している。
【0017】
図7(A)に示したように、連なった状態のそれぞれの鋼球が通過する際においては、それぞれの鋼球が通過する毎に、磁束密度が初期値B0に戻るような波形とはならない。鋼球の通過中における磁束密度の波形は、
図7(A)において点線DL1と点線DL2との間に示された範囲を波打つような波形となり、連なった鋼球の全てが通過し終わった後においてのみ、磁束密度は初期値B0に戻る。このため、
図7(A)の下段のグラフに示したように、3つの鋼球の通過に対応して3つの通過信号を出力するためには、閾値Btは点線DL1と点線DL2との間に設定しなければならない。すなわち、鋼球の通過中における磁束密度の波形の振幅内に含まれる値となるよう、比較的狭い範囲に閾値Btを設定しなければならない。換言すれば、それぞれの鋼球の通過に対応した磁束密度の波形全てを貫くような値として、閾値Btを設定しなければならない。
【0018】
このような狭い範囲における閾値Btの設定は、鋼球の通過経路がガイド部材によって限定されるような構成の鋼球検知器においては、(範囲が狭くてもその上下限値が常に一定であるから)比較的容易である。しかしながら、ガイド部材を有しておらず、鋼球の通過経路が限定されない構成の鋼球検知器においては、閾値Btを設定すべき範囲が狭く且つ変動するので、当該範囲内に適切な閾値Btを設定することは非常に困難(または不可能)である。例えば、盤面から遠い軌道を3つの鋼球が連なって通過した際には、閾値Btは、
図7(B)の上段のグラフにおける点線DL3と点線DL4との間に設定しなければならない。閾値Btを設定すべき範囲が、
図7(B)においては
図7(A)の場合よりも上方側にシフトしている。
【0019】
このため、
図7(A)における点線DL1と点線DL2との間に閾値Btを設定していると、磁束密度は閾値Btを下回らないまま、初期値B0に戻ってしまうこととなる。その結果、
図6(B)の下段のグラフに示した場合と同様に、出力端子間の電圧は電圧V
Lのままとなり、3つの鋼球が通過したにもかかわらず、当該通過を示す通過信号は一度も外部に出力されない。
【0020】
点線DL3と点線DL4との間の範囲は、
図7(A)に示した点線DL1と点線DL2との間の範囲とは重ならないものである。仮に重なったとしても、当該重なった範囲は非常に狭い。このことから明らかなように、複数個が連なった状態の鋼球が盤面から近い軌道を通過した場合、及び盤面から遠い軌道を通過した場合の両方において、確実に通過信号を出力し得るような閾値Btを設定することは非常に困難であるか、又は不可能である。
【0021】
更に、
図8に示したように、鋼球SBの通過軌道VWに沿って磁気検知センサ40及び永久磁石30が並ぶよう配置されている場合においては、複数の鋼球SBが連なった状態で通過軌道VWを通過すると、磁気検知センサ40における磁束密度の波形は全体が傾いたグラフとなる。
図8のように、3個の鋼球SBが磁気検知センサ40側から接近し通過する場合には、3個目の鋼球SBが通過する際の磁束密度は、1個目の鋼球SBが通過する際の磁束密度よりも低い値まで低下するため、グラフ全体は右肩下がりとなる。
【0022】
この場合には、閾値Btをどのような値として設定したとしても、鋼球SBの個数に応じた通過信号を出力することは不可能となる。換言すれば、それぞれの鋼球の通過に対応した磁束密度の波形全てを貫くような値として、閾値Btを設定することは不可能である。例えば、
図8の最下段のグラフに示したように、3個目の鋼球SBの通過に対応した磁束密度の波形(最後の波形)を貫くように閾値Btを設定した場合には、3個の鋼球SBが通過したにもかかわらず、通過信号は一度しか外部に出力されない。
【0023】
以上のように、ガイド部材を有しておらず、全体がパチンコ台の盤面の裏側に配置されるような構成の鋼球検知器においては、鋼球が通過する経路が限定されないため、通過信号を正確に出力するための閾値を適切に設定しておくことが困難であった。特に、複数個の鋼球が連なって通過する場合において、当該個数に応じた通過信号を正確に出力するための閾値を適切に設定することは、ほぼ不可能であった。
【0024】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パチンコ台の盤面の裏側にその全体を配置した場合であっても、鋼球の通過を正確に検知し、通過信号を外部に出力することのできる鋼球検知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明に係る鋼球検知器は、鋼球の通過を検知する鋼球検知器であって、磁界を発生させる永久磁石と、前記磁界を検知する磁気検知センサと、前記磁気検知センサが検知した前記磁界の変化に基づいて、前記鋼球の通過を示す通過信号を生成し、当該通過信号を外部に出力する信号処理部と、を備え、前記信号処理部は、前記磁気検知センサが検知した前記磁界の強さが減少傾向から増加傾向に転じると、前記通過信号の出力を開始し、前記磁気検知センサが検知した前記磁界の強さが増加傾向ではなくなると、前記通過信号の出力を停止することを特徴としている。
【0026】
本発明に係る鋼球検知器は、永久磁石と、磁気検知センサと、信号処理部とを備えている。永久磁石は所謂バイアス磁石であって、その周囲に磁界を発生させるものである。磁気検知センサは例えば磁気抵抗素子であり、永久磁石による磁界(例えば磁束密度)を検知してそれを電気信号に変換するためのセンサである。本発明に係る鋼球検知器は、一般的な磁気式の鋼球検知器と同様に、永久磁石によって発生した磁界(磁気検知センサの位置における磁界)が、磁性体である鋼球の通過によって変化することを、磁気検知センサによって検知する構成となっている。
【0027】
信号処理部は、磁気検知センサが検知した磁界の変化に基づいて、鋼球の通過を示す通過信号を生成し、当該通過信号を外部に出力する部分である。通過信号の態様としては特に限定されない。例えば、矩形波状の電気信号とすることが考えられる。
【0028】
信号処理部は、磁気検知センサが検知した磁界の強さが減少傾向から増加傾向に転じると、通過信号の出力を開始するように構成されている。また、磁気検知センサが検知した磁界の強さが増加傾向ではなくなると、通過信号の出力を停止するように構成されている。
【0029】
このように、本発明に係る鋼球検知器は、検知した磁界の強さと所定の閾値との比較結果に基づくのではなく、検知した磁界の強さの変化の傾向(減少傾向又は増加傾向)に基づいて、通過信号の出力の開始及び停止を行うように構成されている。このため、例えば鋼球が通過する軌道と鋼球検知器との距離が大きくなり、その影響により、検知した磁界の強さの変化量が減少した場合であっても、確実に通過信号を生成し、外部に出力することが可能となる。また、複数個の鋼球が連なって通過する場合であっても、その通過個数に応じた正確な通過信号を生成し、外部に出力することが可能となる。
【0030】
また、本発明に係る鋼球検知器では、前記鋼球が通過する方向に沿って、前記磁気検知センサと前記永久磁石とが並ぶように配置されていることも好ましい。
【0031】
この好ましい態様では、鋼球が通過する方向に沿って、磁気検知センサと永久磁石とが並ぶように配置されている。鋼球の通過軌道を磁気検知センサと永久磁石との間に挟み込む必要がないため、鋼球検知器の全体を、パチンコ台の盤面の裏側に配置することが可能となる。
【0032】
また、このような配置とした結果、盤面の表側における鋼球の通過軌道は限定されることがなく、通過軌道と鋼球検知器との距離が変動し得る状態となる。しかしながら、このような状態であっても、上記のように確実に通過信号を生成し、外部に出力することができる。
【0033】
また、本発明に係る鋼球検知器では、前記磁気検知センサは、互いに離間して配置された第一磁気検知センサと第二磁気検知センサとからなり、前記第一磁気検知センサ、前記永久磁石、及び前記第二磁気検知センサは、前記鋼球が通過する方向に沿って順に並ぶように配置されており、前記信号処理部は、第一磁気検知センサの検知に基づいた前記通過信号である第一通過信号と、第二磁気検知センサの検知に基づいた前記通過信号である第二通過信号とを、それぞれ生成し出力するように構成されていることも好ましい。
【0034】
この好ましい態様では、磁気検知センサは、互いに離間して配置された第一磁気検知センサと第二磁気検知センサとからなり、第一磁気検知センサ、永久磁石、及び第二磁気検知センサは、鋼球が通過する方向に沿って順に並ぶように配置されている。また、信号処理部は、第一磁気検知センサの検知に基づいた通過信号(第一通過信号)と、第二磁気検知センサの検知に基づいた通過信号(第二通過信号)とを、それぞれ生成し出力するように構成されている。それぞれの通過信号が電気信号である場合には、鋼球検知器は、通過信号を出力するための端子を例えば4つ備えることとなる。
【0035】
このように、鋼球が通過する方向に沿って、互いに異なる位置に二つの磁気検知センサ(第一磁気検知センサ、第二磁気検知センサ)が配置されており、それぞれの磁気検知センサの検知に基づいて二つの通過信号(第一通過信号、第二通過信号)が出力される。このため、第一通過信号と第二通過信号とのタイミングの違いに基づけば、鋼球が通過したか否かを検知するだけでなく、鋼球の通過方向をも識別することが可能となる。
【0036】
また、本発明に係る鋼球検知器では、前記第一磁気検知センサから前記永久磁石までの距離と、前記第二磁気検知センサから前記永久磁石までの距離とが、互いに等しいことも好ましい。
【0037】
この好ましい態様では、第一磁気検知センサから永久磁石までの距離と、第二磁気検知センサから永久磁石までの距離とが、互いに等しい。このような構成により、第一磁気検知センサが検知する磁界の変化量と、第二磁気検知センサが検知する磁界の変化量とが、互いに略同一になる。その結果、第一磁気検知センサの検知に基づいて第一通過信号を生成するための処理回路(ブリッジ回路やノイズ除去フィルタ等)と、第二磁気検知センサの検知に基づいて第二通過信号を生成するための処理回路とを、互いに略同一な構成の回路として設計することができ、鋼球検知器の製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、パチンコ台の盤面の裏側にその全体を配置した場合であっても、鋼球の通過を正確に検知し、通過信号を外部に出力することのできる鋼球検知器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0041】
図1は、本発明の実施形態に係る鋼球検知器の内部構造を模式的に示す図である。鋼球検知器10は、パチンコ台に取り付けられる磁気式の鋼球検知器であって、パチンコ玉(以下、「鋼球SB」と称する)が入賞口等を通過したことを検知するためのものである。鋼球検知器10は、パチンコ台のうちチューリップ等の入賞口近傍や、発射レールの途中等に取り付けられる。鋼球検知器10の近傍を鋼球SBが通過すると、鋼球検知器10がこれを検知して、後に説明する通過信号を外部(例えば、パチンコ台全体の動作を制御するための制御装置)に出力する。
【0042】
図1に示したように、鋼球検知器10は、後述の基板20等が矩形のケースCS内に収納された構成となっており、ケースCSから外側に延びる4本の端子(電源入力端子61、接地端子62、第一信号出力端子63、第二信号出力端子64)を有している。鋼球SBの通過を検知した際に出力される上記通過信号は、接地端子62、第一信号出力端子63、及び第二信号出力端子64を通じて外部に出力される。
【0043】
鋼球検知器10は、永久磁石30と、第一磁気検知センサ41と、第二磁気検知センサ42と、処理回路50とを備えており、これらが、矩形の基板20の一方の面(
図1では上面)に搭載された構成となっている。尚、これら永久磁石30等はケースCS内に収納されているため、実際には外部から視認することはできないが、説明の便宜上、
図1ではケースCSを透明なものとして点線で描くことにより、永久磁石30等を図示している。
【0044】
図1においては、基板20のうち永久磁石30等が搭載されている面の法線方向(
図1においては上向きの方向であり、ケースCSの上面の法線方向に等しい)をz方向としてz軸を設定している。また、基板20の長辺に沿って永久磁石30から端子(第一信号出力端子63等)側に向かう方向をy方向としてy軸を設定している。更に、基板20の短辺に沿って第一磁気検知センサ41から第二磁気検知センサ42に向かう方向をx方向としてx軸を設定している。以降の図面においても、同様にしてx軸、y軸、z軸を設定している。
【0045】
鋼球検知器10は、矩形のケースCSのうちz方向側の面(
図1では上面)が検知面となっており、当該検知面に沿って鋼球が通過したことを検知するものである。後に説明するように、鋼球検知器10は、パチンコ台の盤面の裏側に対して上記検知面を当接させた状態で取り付けられる。
【0046】
永久磁石30は、所謂バイアス磁石であって、その周囲に磁界(磁束)を発生させるものである。本実施形態においては、永久磁石30の着磁方向(磁化方向)はz方向となっている。すなわち、永久磁石30の上面側(z方向側)がN極となっており、下面側(−z方向側)がS極となっている。永久磁石30により生じた磁束は、永久磁石30のN極からz方向に沿ってパチンコ台の盤面の表側に向かって延び、ほぼ−z方向に沿って後述の第一磁気検知センサ41等を通った後、基板20の−z方向側から永久磁石30のS極に戻る。磁性体である鋼球SBが永久磁石30の近傍を通過すると、永久磁石30により生じた磁界、すなわち、磁束の分布が変化する。
【0047】
第一磁気検知センサ41及び第二磁気検知センサ42は、いずれも磁気抵抗素子であって、磁束密度に応じて電気抵抗の大きさを変化させる素子である。これらにより、鋼球SBの通過によって磁界(磁束密度)が変化したことを、後述の処理回路50において電気信号に変換し、第一信号出力端子63等から通過信号として出力することが可能となっている。具体的には、第一磁気検知センサ41が検知した磁束密度に基づく通過信号(以下、「第一通過信号」とも称する)を、第一信号出力端子63及び接地端子62の端子間電圧の変化として出力し、第二磁気検知センサ42が検知した磁束密度に基づく通過信号(以下、「第二通過信号」とも称する)を第二信号出力端子64及び接地端子62の端子間電圧の変化として出力する構成となっている。
【0048】
第一磁気検知センサ41、及び第二磁気検知センサ42は、いずれも、その感磁軸方向がx方向となるように配置されている。尚、本発明を実施するための態様としてはこのような態様に限定される必要はなく、それぞれの感磁軸方向が例えばz方向となるように、第一磁気検知センサ41、及び第二磁気検知センサ42を配置してもよい。
【0049】
処理回路50は、上記のような通過信号への変換を実現するための電気回路であって、ブリッジ回路の一部、又は全てに第一磁気検知センサ41等を抵抗素子として組み込んだ回路と、当該回路から出力されたアナログ信号(検知された磁束密度の大きさに基づく信号)を、後に説明する方法によって矩形波状の通過信号に変換するための回路とを組み合わせた構成となっている。処理回路50は、本発明における信号処理部に該当するものである。
【0050】
尚、第一磁気検知センサ41及び第二磁気検知センサ42としては、上記のように磁気抵抗素子を用いてもよいが、本発明の実施形態としてはこのような態様に限られない。例えば、ホール素子、磁気インピーダンス素子など、磁束密度の変化を電気信号に変換し得る素子であれば、第一磁気検知センサ41等として用いることができる。
【0051】
第一磁気検知センサ41と第二磁気検知センサ42とは、その種類、形状が互いに同一となっている。
図1に示したように、第一磁気検知センサ41、永久磁石30、第二磁気検知センサ42は、基板20上において直線状に並んでいる。具体的には、z方向に沿って見た場合において、第一磁気検知センサ41、永久磁石30、及び第二磁気検知センサ42のそれぞれの中心位置(y方向における中心位置)が、x方向に沿って直線状に並ぶように配置されている。
【0052】
鋼球検知器10は、既に述べたように、検知面に沿って鋼球SBが通過したことを検知するものであるが、矩形のケースCSのうちz方向側の面全体が検知面となっているのではなく、永久磁石30の近傍のみが検知面となっている。鋼球検知器10は、永久磁石30の直上(z方向側における近傍)を、鋼球SBがx方向又は−x方向に沿って通過したことを検知するセンサとして構成されている。すなわち、
図1に示した矢印ARに沿って(又はその逆方向に)鋼球SBが通過したことを検知するセンサとして構成されている。矢印ARは、z方向に沿って見た場合において、第一磁気検知センサ41、永久磁石30、及び第二磁気検知センサ42のそれぞれの中心位置(y方向における中心位置)を通る矢印である。
【0053】
従って、鋼球検知器10をパチンコ台に取り付ける際には、盤面の表側に沿って鋼球SBが通過する経路(通過軌道)と、
図1に示した矢印ARとが、z方向に沿って見た場合において互いに重なるように、鋼球検知器10を取り付ける。尚、鋼球検知器10は、鋼球SBの中心が
図1に示した矢印ARに(正確に)沿って通過した場合のみにおいて鋼球を検知するのではなく、矢印ARの近傍(例えば、y方向やz方向に沿ってずれた軌道)を通過した場合でも検知することが可能となっている。換言すれば、鋼球検知器10によって鋼球SBの通過を検知し得るような通過軌道の範囲は、ある程度の幅を有している。
【0054】
以上の説明で明らかなように、鋼球検知器10は、永久磁石30から第一磁気検知センサ41等に到達する磁束の磁束密度が、磁性体である鋼球SBの通過によって変化することを、第一磁気検知センサ41等によって検知する構成となっている。尚、鋼球SBが通過したか否かを判定するだけであれば、第一磁気検知センサ41又は第二磁気検知センサ42の一方のみを備えていればよい。後に説明するように、鋼球検知器10は二つの磁気検知センサ(第一磁気検知センサ41、第二磁気検知センサ42)を備えることにより、鋼球SBが通過したか否かを判定するのみならず、鋼球SBの通過方向をも判定することが可能となっている。
【0055】
図2は、鋼球検知器10がパチンコ台PCに取り付けられた状態を模式的に示す図である。パチンコ台PCは、盤面BDとガラス板GLとに挟まれた薄板状の空間内を、鋼球SBが盤面BDに略沿って移動するものである。パチンコ台PCには複数の入賞口(不図示)が形成されている。釘等に導かれて鋼球SBが当該入賞口を通過すると、賞品として追加の鋼球SBが払い出される。鋼球検知器10は、鋼球SBが入賞口を通過したことを検知するために、盤面BDの裏側においてそれぞれの入賞口に対応する位置に取り付けられる。
【0056】
具体的には、入賞口に向かって鋼球SBが通過する経路(
図2では符号VWで示した経路である。以下、通過軌道VWと表記する)と、
図1に示した矢印ARとが、z方向に沿って見た場合にほぼ重なるような状態で、鋼球検知器10が盤面BDの裏面に固定される。鋼球検知器10の検知面は、盤面BDの裏面のうち通過軌道VWに対応する部分に当接する。
【0057】
従って、鋼球SBは、第一磁気検知センサ41のz方向側、永久磁石30のz方向側、第二磁気検知センサ42のz方向側を、順に通過することとなる。
図2では、通過軌道VWを含む面であり且つ盤面BDに平行な仮想的な平面を、符号VSで示している。以下、当該平面を軌道面VSと表記する。
【0058】
尚、
図2には二つの通過軌道VW、及び、それぞれの通過軌道VWに対応した軌道面VSを示している。鋼球検知器10は、ガラス板GLに近い(
図2では上方側の)通過軌道VWに沿って鋼球SBが通過した場合においても、盤面BDに近い(
図2では下方側の)通過軌道VWに沿って鋼球SBが通過した場合においても、鋼球SBの通過を検知することができる。
【0059】
図2に示したように、第一磁気検知センサ41から永久磁石30までの距離と、永久磁石30から第二磁気検知センサ42までの距離とは、互いに等しい距離(L1)となっている。また、永久磁石30のz方向側の面から第一磁気検知センサ41のz方向側の面までの距離と、永久磁石30のz方向側の面から第二磁気検知センサ42のz方向側の面までの距離とは、互いに等しい距離(L2)となっている。
【0060】
図2に示したように、鋼球検知器10は、永久磁石30と第一磁気検知センサ41等との間に通過軌道VWを挟むような構成ではなく、永久磁石30と第一磁気検知センサ41等とが軌道面VSに沿って並ぶように配置された構成となっている。このため、鋼球検知器10の一部(例えばリング状のガイド部材)を盤面BDの表側に突出させるのではなく、鋼球検知器10の全体を盤面BDの裏側に配置した状態で、鋼球SBの通過を検知することが可能となっている。
【0061】
図3を参照しながら、鋼球検知器10が通過信号を生成し出力する動作について説明する。
図3の上段に示したグラフは、通過軌道VWを単一の鋼球SBが通過した際において、第一磁気検知センサ41が検知する磁束密度(磁界の強さ)の経時変化を示している。また、
図3の下段に示したグラフは、このときにおける第一信号出力端子63と接地端子62との間における電圧(以下、単に「第一信号出力端子63の電圧」とも表記する)の経時変化を示している。
【0062】
図3の上段のグラフに示したように、通過軌道VWを鋼球SBが通過すると、永久磁石30からの磁束の一部が磁性体である鋼球SBに引き寄せられる結果、第一磁気検知センサ41における磁束密度の大きさが、当初の初期値B0から一時的に小さくなる。その後、鋼球SBが遠ざかると磁束密度は大きくなり、初期値B0に戻る。
【0063】
尚、
図3の上段のグラフは模式的に描いたものであるため、磁束密度の変化の波形が左右対称となっているが、実際には左右非対称な波形となる。具体的には、磁束密度の減少時における傾きの方が急勾配となり、増加時における傾きの方が緩やかな勾配となる。これは、鋼球SBが第一磁気検知センサ41側から接近したのち、永久磁石30側へと遠ざかっていくことに起因する。
【0064】
鋼球SBの通過に伴い、第一磁気検知センサ41における磁束密度が
図3のように変化すると、第一磁気検知センサ41の電気抵抗値も変化する。処理回路50は、上記のような第一磁気検知センサ41の電気抵抗値の変化を、ブリッジ回路における所定箇所の電圧の変化として計測し常時サンプリングしている。
【0065】
処理回路50は、サンプリングした電圧に基づいて、第一磁気検知センサ41における磁束密度が減少傾向であるか、それとも増加傾向であるかの判定を、所定周期で繰り返し行っている。磁束密度が減少傾向から増加傾向に転じたと判定すると、その時点(
図3においては時刻t3)で、第一信号出力端子63の電圧をV
L(Low)からV
H(High)へと変化させる。つまり、第一信号出力端子63の電圧をV
Hとしたことによる信号(第一通過信号)を生成し、これを外部に出力する。
【0066】
その後、鋼球SBが遠ざかり、第一磁気検知センサ41における磁束密度が初期値B0に戻ったと判定すると、換言すれば、当該磁束密度が増加傾向ではなくなったと判定すると、その時点(
図3においては時刻t4)で、第一信号出力端子63の電圧をV
H(High)からV
L(Low)へと変化させる。すなわち、外部への第一通過信号の出力を停止する。
【0067】
このように、本実施形態に係る鋼球検知器10では、第一磁気検知センサ41における磁束密度(磁界の強さ)が所定の閾値を超えて変化したかどうかに基づくのではなく、検知した磁束密度の変化の傾向(減少傾向又は増加傾向)に基づいて、第一通過信号の出力の開始及び停止を行うように構成されている。このため、例えば鋼球SBが通過する軌道VLと鋼球検知器10との距離が大きくなり、その影響により、磁束密度の変化量が減少した場合であっても、確実に第一通過信号を生成し、外部に出力することが可能となっている。
【0068】
尚、第一磁気検知センサ41における磁束密度の変化の傾向に基づいて第一信号出力端子63の電圧を変化させる構成としては、本実施例の構成に限定されることなく、様々な態様とすることができる。例えば、処理回路50における電圧のサンプリングは、鋼球SBが通過する際の電圧波形全体をサンプリングしてもよく、直近の極めて短い時間の波形のみをサンプリングしてもよい。また、処理回路50をケースCS内に収納するのではなく、ケースCSの外部に配置された信号処理ユニットとして処理回路50を構成してもよい。
【0069】
また、処理回路50は、上記のようにブリッジ回路における所定箇所の電圧をサンプリングするのであるが、サンプリングした当該電圧の波形に各種のフィルタ処理を行うような構成としてもよい。フィルタ処理としては、例えば、移動平均処理やDC成分カット、ハイパスフィルタ等を施す処理が挙げられる。このようなフィルタ処理を行うことにより、外乱ノイズ等による誤検知、誤判断を防止することが可能となる。
【0070】
また、処理回路50による第一通過信号の生成は、サンプリングした電圧のアナログ波形をデジタル波形に変換する処理であるから、例えば微分処理とフィルタ処理等との組み合わせによって行うことができる。ただし、上記のようなV
H(High)及びV
L(Low)の切り替えを行い得るのであれば、それに必要な構成は特に限定されない。
【0071】
以上の説明においては、第一磁気検知センサ41の検知に基づいて第一通過信号を生成し、第一信号出力端子63及び接地端子62から外部に出力する方法について説明したが、第二通過信号の生成及び出力についても、これと同様の方法により行われる。
【0072】
すなわち、第二磁気検知センサ42が検知した磁束密度が減少傾向から増加傾向に転じたと判定すると、その時点で、処理回路50は、第二信号出力端子64と接地端子62との間における電圧(以下、単に「第二信号出力端子64の電圧」とも表記する)をV
L(Low)からV
H(High)へと変化させる。つまり、第二信号出力端子64の電圧V
Hとしたことによる信号(第二通過信号)を生成し、これを外部に出力する。
【0073】
その後、鋼球SBが遠ざかり、第二磁気検知センサ42における磁束密度が初期値B0に戻ったと判定すると、換言すれば、当該磁束密度が増加傾向ではなくなったと判定すると、その時点で、処理回路50は、第二信号出力端子64の電圧をV
H(High)からV
L(Low)へと変化させる。すなわち、外部への第二通過信号の出力を停止する。
【0074】
鋼球SBが、
図2に示したようにx方向に移動しながら通過する場合には、まず第一通過信号が第一信号出力端子63及び接地端子62から出力され、これに遅れて、第二通過信号が第二信号出力端子64及び接地端子62から出力される。
【0075】
続いて、単一の鋼球SBが通過するのではなく、
図4の上段に示したように、複数個の鋼球SBが連なった状態で通過する場合において、鋼球検知器10が通過信号を生成し出力する動作について説明する。
図4の中段に示したグラフは、通過軌道VWを3個の鋼球SBが連なった状態で通過した際において、第一磁気検知センサ41が検知する磁束密度(磁界の強さ)の経時変化を示している。また、
図4の下段に示したグラフは、このときにおける第一信号出力端子63の電圧の経時変化を示している。
【0076】
図4の中段のグラフに示したように、連なった状態のそれぞれの鋼球SBが通過する際においては、それぞれの鋼球SBが通過する毎に、磁束密度が初期値B0に戻るような波形とはならない。鋼球SBの通過中における磁束密度の波形は、
図4において点線DL5と点線DL7との間に示された範囲を波打つような波形となり、連なった鋼球SBの全てが通過し終わった後においてのみ、磁束密度は初期値B0に戻る。
【0077】
既に説明したように、処理回路50は、サンプリングした電圧に基づいて、第一磁気検知センサ41における磁束密度が減少傾向であるか、それとも増加傾向であるかの判定を、所定周期で繰り返し行っている。
【0078】
1個目の鋼球SBの通過に基づき、磁束密度が減少傾向から増加傾向に転じたと判定すると、処理回路50は、その時点(
図4においては時刻t10)で、第一信号出力端子63の電圧をV
L(Low)からV
H(High)へと変化させる。つまり、第一信号出力端子63の電圧をV
Hとしたことによる信号(第一通過信号)を生成し、これを外部に出力する。
【0079】
続いて、1個目の鋼球SBが遠ざかると共に2個目の鋼球SBが通過し始めることに基づき、磁束密度が増加傾向から減少傾向に転じたと判定すると、換言すれば、当該磁束密度が増加傾向ではなくなったと判定すると、処理回路50は、その時点(
図4においては時刻t11)で、第一信号出力端子63の電圧をV
H(High)からV
L(Low)へと変化させる。すなわち、外部への第一通過信号の出力を停止する。
【0080】
2個目の鋼球SBの通過に基づき、磁束密度が減少傾向から増加傾向に転じたと判定すると、処理回路50は、その時点(
図4においては時刻t12)で、第一信号出力端子63の電圧をV
L(Low)からV
H(High)へと変化させる。つまり第一信号出力端子63の電圧V
Hとしたことによる信号(第一通過信号)を生成し、これを外部に出力する。
【0081】
続いて、2個目の鋼球SBが遠ざかると共に3個目の鋼球SBが通過し始めることに基づき、磁束密度が増加傾向から減少傾向に転じたと判定すると、換言すれば、当該磁束密度が増加傾向ではなくなったと判定すると、処理回路50は、その時点(
図4においては時刻t13)で、第一信号出力端子63の電圧をV
H(High)からV
L(Low)へと変化させる。すなわち、外部への第一通過信号の出力を停止する。
【0082】
3個目の鋼球SBの通過に基づき、磁束密度が減少傾向から増加傾向に転じたと判定すると、換言すれば、当該磁束密度が増加傾向ではなくなったと判定すると、処理回路50は、その時点(
図4においては時刻t14)で、第一信号出力端子63の電圧をV
L(Low)からV
H(High)へと変化させる。つまり、第一信号出力端子63の電圧V
Hとしたことによる信号(第一通過信号)を生成し、これを外部に出力する。
【0083】
続いて、3個目の鋼球SBが遠ざかり、第一磁気検知センサ41における磁束密度が初期値B0に戻ったと判定すると、換言すれば、当該磁束密度が増加傾向ではなくなったと判定すると、処理回路50は、その時点(
図3においては時刻t4)で、第一信号出力端子63の電圧をV
H(High)からV
L(Low)へと変化させる。すなわち、外部への第一通過信号の出力を停止する。
【0084】
以上のように、複数の鋼球SBが連なった状態で通過した場合であっても、鋼球SBの個数に応じて3つの第一通過信号が第一信号出力端子63から出力される。同様に、3つの第二通過信号が第二信号出力端子64から(第一通過信号よりも遅れたタイミングで)出力される。
【0085】
通過軌道VWと鋼球検知器10との距離が変動すると、
図4の中段に示したグラフの波形の高さも変化する。つまり、点線DL5と点線DL6の間において波打つ部分の高さが変化する。しかしながら、鋼球検知器10の処理回路50は、第一磁気検知センサ41における磁束密度(磁界の強さ)が所定の閾値を超えて変化したかどうかに基づくのではなく、検知した磁束密度の変化の傾向(減少傾向又は増加傾向)に基づいて、第一通過信号の出力の開始及び停止を行うように構成されている。このため、通過軌道VWの変動に伴って
図4の中段に示したグラフの波形の高さが変化した場合であっても、確実に、鋼球SBの個数に応じた第一通過信号が生成され、外部に出力される。
【0086】
尚、
図4の中段に示したグラフにおいては、説明を簡単にするために、複数の鋼球SBの通過に伴って波打つ部分の波形(点線DL5と点線DL6の間における波形)の複数のピーク値(及びボトム値)が、全て同一であるように模式的に描いている。しかしながら、本実施形態の構成においては、実際には磁束密度はそのような波形とはならず、
図5の上段に示したように、全体が右肩下がりのグラフとなる。これは、それぞれの鋼球SBが第一磁気検知センサ41側から接近したのち、永久磁石30側へと遠ざかっていくことに起因する。
【0087】
このように、それぞれの鋼球SBが通過した際における磁束密度の変化のボトム値等が互いに異なる場合であっても、本実施形態に係る鋼球検知器10によれば、
図5の下段に示したように、鋼球SBの個数に応じた第一通過信号を外部に出力することができる。尚、
図4と
図5を対比すれば明らかなように、
図5における時刻t20、t21等は、それぞれ、
図4における時刻t10、t11等に対応するものである。
【0088】
これまでに説明したように、鋼球検知器10は二つの磁気検知センサ(第一磁気検知センサ41、第二磁気検知センサ42)を備えている。鋼球SBが通過した際には、第一磁気検知センサ41及び第二磁気検知センサ42による検知に基づいて、第一通過信号及び第二通過信号がそれぞれ異なるタイミングで出力される。鋼球検知器10によれば、その二つの出力の時間差により、鋼球SBの通過を検知するだけでなく、通過方向をも識別することが可能となる。
【0089】
例えば、パチンコ台PCの発射レールの途中に鋼球検知器10を取り付ければ、発射レールを正しい方向に通過した鋼球SBの個数のみを計測し、発射レールを逆方向に通過した鋼球SBの個数を計測しないという使い方も可能となる。
【0090】
尚、二つの磁気検知センサ(第一磁気検知センサ41、第二磁気検知センサ42)のそれぞれに対応するように、二つの永久磁石を備えるような構成も可能である。しかしながら、本実施形態のように、永久磁石30を一つだけ備える構成とすれば、構成部品を減らしてコストを低減することができる。
【0091】
本実施形態においては、第一磁気検知センサ41から永久磁石30までの距離と、永久磁石30から第二磁気検知センサ42までの距離とが、互いに等しい距離(L1)となっている。このような構成により、第一磁気検知センサ41が検知する磁束密度の変化量と、第二磁気検知センサ42が検知する磁束密度の変化量とが、互いに略同一になる。その結果。処理回路50を設計するにあたっては、第一磁気検知センサ41の検知に基づいて第一通過信号を生成するための回路(ブリッジ回路やノイズ除去フィルタ等)と、第二磁気検知センサの検知に基づいて第二通過信号を生成するための回路とが、互いに略同一な構成の回路として設計されており、その結果、鋼球検知器10の製造コストが低減されている。
【0092】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。