(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の充填パックにおいて、前記縦面部を前記加圧方向へ連続する筒状に形成し、前記縦面部の内面に沿って前記複数の横面部をそれぞれ接触しつつ前記加圧方向へ移動自在に配置することを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料の製造装置。
筒状の焼結用治具に充填された熱電変換材料の原料粉末に対し、一対のパンチで所定の圧力を加えるとともに、一対の電極から前記パンチを介してパルス通電し、前記原料粉末の粒子間にプラズマ放電させて焼結する熱電変換材料の製造方法であって、
前記パンチの間で且つ前記焼結用治具で囲まれる空間に、前記原料粉末を収納する個別の容器として充填パックが複数それぞれ前記パンチによる前記原料粉末の加圧方向へ並べられ、前記複数の充填パックにおいてそれぞれの内部に収納される前記原料粉末及び前記焼結用治具の間に設けられる縦面部と、前記加圧方向へ隣り合う前記複数の原料粉末の間及び前記パンチの先端部との間にそれぞれ形成される複数の横面部とで、前記複数の原料粉末をそれぞれ包み込む配置工程と、
この包み込み状態において、前記パンチで前記複数の充填パック内の前記複数の原料粉末に所定の圧力を加えるとともに、前記電極から前記パンチを介してパルス電流を流す加圧通電工程と、を含み、
前記加圧通電工程は、前記複数の充填パック内の前記複数の原料粉末の粒子間に前記プラズマ放電をそれぞれ同時に生起することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、放電プラズマ焼結法は、原理的にパルス電流が流れ易いところに集中的に流れる特性がある。
また、熱電変換材料の原料粉末は、パルス電流の通電と熱と圧力が加えられることにより、自己発熱して熱膨張する。
しかし乍ら、従来の熱電変換材料の製造装置及び製造方法では、中心側の原料粉末に流れる電流値よりも外周側の焼結用治具に流れる電流値が大きくなるため、原料粉末において外周部位が中央部位よりも大きく熱膨張する。
それにより、原料粉末の焼結密度や電気抵抗にバラツキが生じて、品質が不均一になるとともに、生産性に劣るという問題があった。
さらに、焼結された半導体層(素材薄板)は冷えると、部分的に大きく熱膨張した外周部位が大きく収縮して、安定性に劣るというという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料を量産可能な製造装置及び製造方法を提供すること、などを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明に係る熱電変換材料の製造装置は、熱電変換材料の原料粉末に所定の圧力を加えるとともにパルス通電し、前記原料粉末の粒子間にプラズマ放電させて焼結する熱電変換材料の製造装置であって、前記熱電変換材料の前記原料粉末を収納する容器として前記原料粉末の加圧方向へ複数設けられ、それぞれが前記加圧方向へ互いに接触して圧縮変形可能に配置される複数の充填パックと、前記加圧方向と交差する方向へ前記複数の充填パックを囲むように設けられる筒状の焼結用治具と、前記複数の充填パックに
それぞれ収納される前記原料粉末を前記加圧方向へ挟み込むように設けられる一対のパンチと、前記パンチの外側に設けられる一対の電極と、を備え、前記複数の充填パックは
、前記
複数の原料粉末及び前記焼結用治具の間に形成される縦面部と
、前記加圧方向へ隣り合う前記複数の
原料粉末の間及び前記パンチの先端部との間にそれぞれ形成される複数の横面部と、を有し、前記縦面部及び前記複数の横面部が、前記
複数の原料粉末よりも電気抵抗値が小さい導電材料で前記
複数の原料粉末をそれぞれ包み込むように配置され、前記電極からの前記パンチを介した加圧状態の前記パルス通電により、前記
複数の原料粉末の粒子間に前記プラズマ放電がそれぞれ同時に生起される個別の容器からなることを特徴とする。
また本発明に係る熱電変換材料の製造方法は、筒状の焼結用治具に充填された熱電変換材料の原料粉末に対し、一対のパンチで所定の圧力を加えるとともに、一対の電極から前記パンチを介してパルス通電し、前記原料粉末の粒子間にプラズマ放電させて焼結する熱電変換材料の製造方法であって、前記パンチの間で且つ前記焼結用治具で囲まれる空間に、前記原料粉末を収納する個別の容器として充填パックが複数それぞれ前記パンチによる前記原料粉末の加圧方向へ並べられ、前記複数の充填パックにおいてそ
れぞれの内部に収納される前記原料粉末及び前記焼結用治具の間に設けられる縦面部と
、前記加圧方向へ隣り合う前記複数の
原料粉末の間及び前記パンチの先端部との間にそれぞれ形成される複数の横面部とで、前記
複数の原料粉末をそれぞれ包み込む配置工程と、この包み込み状態において、前記パンチで前記複数の充填パック内の前記
複数の原料粉末に所定の圧力を加えるとともに、前記電極から前記パンチを介してパルス電流を流す加圧通電工程と、を含み、前記加圧通電工程は、前記複数の充填パック内の前記
複数の原料粉末の粒子間に前記プラズマ放電をそれぞれ同時に生起することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
前述した特徴を有する本発明による熱電変換材料の製造装置及び製造方法は、一対のパンチの間で且つ筒状の焼結用治具で囲まれる空間に、原料粉末の充填パックが複数それぞれ加圧方向へ並べられ、これら充填パックにおいて原料粉末と焼結用治具の間に配置される縦面部と、パンチの先端部又は隣り合う充填パックとの間に配置さ横面部とで、それぞれの原料粉末が加圧方向及び交差方向へ包み込まれる。この包み込み状態において、パンチで各充填パック内の原料粉末に所定の圧力を加えるとともに、電極からパンチを介してパルス電流を流すことにより、各充填パックの縦面部及び横面部にパルス電流がそれぞれ集中的に流れて、原料粉末の粒子間にプラズマ放電が生起される。このため、各充填パック内において原料粉末の熱膨張が全体的に均一となり、焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料となる。
したがって、焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料を量産することができる。
その結果、中心側の原料粉末に流れる電流値よりも外周側の焼結用治具に流れる電流値が大きくなることで原料粉末の外周部位が中央部位よりも大きく熱膨張する従来のものに比べ、各充填パック内において原料粉末が全体的に均一に熱膨張するため、冷えても収縮が少なく、それによりセルの製造効率がアップして、品質の均一化と生産性の向上が図れる。
さらに、従来のもののように、原料粉末の外周部位が中央部位よりも大きく熱膨張しないので、この熱膨張を抑制するために、その外壁となる筒状の焼結用治具を高剛性の材料で作成する必要がなく、その分だけ構造を簡素化できて、コストの低減化が図れる。
また、充填パック毎に原料粉末の組成やサイズなどが異なるものを同時に製造することもできる。焼結後の熱電変換材料は、充填パックと共に取り出せるため、筒状の焼結用治具から熱電変換材料を離型することが容易で作業性及び生産性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造装置Aは、
図1に示すように、放電プラズマ焼結法(Spark Plasma Sintering:以下SPS法という)を用いて、熱電変換材料の原料粉末Bに所定の圧力をZ方向へ加えるとともにパルス電流を流し、原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電を生起させて粒子間で焼結を行うものである。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造装置Aは、原料粉末Bの加圧方向(以下Z方向という)へ複数設けられてそれぞれがZ方向へ変形可能な原料粉末Bの充填パック1と、Z方向と交差する方向(以下XY方向という)へ充填パック1を囲むように設けられる筒状の焼結用治具2と、Z方向へ原料粉末Bを挟み込むように設けられる一対のパンチ3,4と、パンチ3,4の外側に設けられる一対の電極5,6と、を主要な構成要素として備えている。
【0010】
充填パック1は、その内部に例えばシリサイド系などからなる熱電変換材料の原料粉末Bが収納されるZ方向へ圧縮変形可能な容器であり、Z方向へ複数それぞれが互いに接触するように配置されている。
さらに、充填パック1は、内側の原料粉末Bと外側の後述する焼結用治具2との間に形成される筒状の縦面部1aと、Z方向へ後述するパンチ3,4の先端部3a,4aか又は隣り合う充填パック1との間に形成される薄板状の横面部1bと、を有している。
充填パック1の縦面部1a及び横面部1bは、原料粉末Bよりも電気抵抗値が小さい導電材料で形成され、原料粉末BをZ方向及びXY方向へ包み込むように配置するように構成されている。
【0011】
複数の充填パック1において縦面部1aは、Z方向へ連続する筒状に形成され、この筒状の縦面部1aの内面に沿って複数の横面部1bを、それぞれ縦面部1aの内面と接触しつつZ方向へ移動自在に配置することが好ましい。
充填パック1の具体例としては、図示される例のように、各充填パック1の形状が円柱状に形成されている。複数の充填パック1の縦面部1aは、黒鉛などからなるシートで円筒状に形成され、黒鉛などからなるシートで円板状に形成された複数の横面部1bを、それぞれの外周縁が円筒状の縦面部1aの内面と摺接しながらZ方向へ移動する摺動自在に配置している。
また、その他の例として図示しないが、各充填パック1の形状を角柱状に変更したり、複数の充填パック1の縦面部1aを各充填パック1毎に分断し、これら縦面部1a同士がZ方向へ隙間なく相互に当接して複数並べられるように配置したり変更することも可能である。縦面部1a及び横面部1bとして、黒鉛シート以外の導電材料を用いることも可能である。
【0012】
焼結用治具2は、充填パック1の縦面部1a及び後述するパンチ3,4の先端部3a,4aを中心として、それらの周囲をXY方向へ囲む筒状に形成されている。
焼結用治具2の具体例として、図示される例の場合には、黒鉛などからなる筒体2aの外面を、黒鉛フェルトなどからなる被覆材2bで覆った円筒状に形成されている。
また、その他の例として図示しないが、焼結用治具2を黒鉛以外の材料で形成したり、焼結用治具2を角筒状に変更したりすることも可能である。
【0013】
パンチ3,4は、後述する電極5,6を介して加圧機構7と連係し、その先端部3a,4aを複数の充填パック1においてZ方向の両端に配置される横面部1bとそれぞれ当接させることで、複数の充填パック1をZ方向へ挟み込むように配置されている。
加圧機構7は、コントローラー(図示しない)と電気的に接続し、このコントローラーに予め設定されたプログラムに従って作動制御され、パンチ3,4の先端部3a,4aでZ方向の両側から複数の充填パック1に所定の圧力を加えるように構成されている。
パンチ3,4の具体例として、図示される例の場合には、それぞれの先端部3a,4aが、黒鉛などで充填パック1の横断面形状と同径の円柱状に形成されている。さらに、パンチ3,4の先端部3a,4aと後述する電極5,6との間には、黒鉛などの導電材料からなるスペーサ3b,4bが配設されて、加圧機構7による加圧量を調整可能にしている。
また、その他の例として図示しないが、パンチ3,4の先端部3a,4aを充填パック1の横断面形状と同じ角柱状に変更することも可能である。
【0014】
電極5,6は、焼結用電源8と電気的に連通している。
焼結用電源8は、コントローラー(図示しない)と電気的に接続し、このコントローラーに予め設定されたプログラムに従って作動制御され、パンチ3,4を介して複数の充填パック1にパルス電流を流し、各充填パック1に収納される原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電させ、粒子間で焼結を行うように構成されている。
【0015】
そして、プログラムの制御回路に設定されたプログラムを、本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造方法として説明する。
本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造方法は、SPS法により、筒状の焼結用治具2に充填された熱電変換材料の原料粉末Bに対し、一対のパンチ3,4で所定の圧力をZ方向へ加えるとともに、一対の電極5,6からパンチ3,4を介してパルス電流を流し、原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電を生起させて粒子間で焼結を行う方法である。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造方法は、Z方向へ並べられた複数の充填パック1の縦面部1aと横面部1bとで原料粉末BをZ方向及びXY方向へ包み込む配置工程と、この包み込み状態においてパンチ3,4で充填パック1内の原料粉末Bに所定の圧力を加えるとともに、電極5,6からパンチ3,4を介してパルス電流を流す加圧通電工程と、を主要な工程として含んでいる。
配置工程では、パンチ3,4の間で且つ焼結用治具2で囲まれる空間に、原料粉末Bの充填パック1が複数それぞれZ方向へ並べられ、充填パック1においてその内部に収納される原料粉末B及び焼結用治具2の間に設けられる縦面部1aと、充填パック1内の原料粉末B及びパンチ3,4の先端部3a,4a又は隣り合う充填パック1との間にそれぞれ設けられる横面部1bとで、原料粉末BをZ方向及びXY方向へ包み込むように配置している。
加圧通電工程では、パンチ3,4の先端部3a,4aでZ方向の両側から複数の充填パック1に所定の圧力を加えると同時に、電極5,6からパンチ3,4を介して複数の充填パック1にパルス電流を流し、各充填パック1に収納される原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電させ、粒子間で焼結を行っている。
【0016】
このような本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造装置A及び製造方法によると、一対のパンチ3,4の間で且つ筒状の焼結用治具2で囲まれる空間に、原料粉末Bの充填パック1が複数それぞれ加圧方向(Z方向)へ並べられる。これら複数の充填パック1において、充填パック1内の原料粉末Bと焼結用治具2の間に配置される縦面部1aと、パンチ3,4の先端部3a,4a又は隣り合う充填パック1との間に配置される横面部1bとで、それぞれの原料粉末Bが加圧方向(Z方向)及び交差方向(XY方向)へ包み込まれる。
この包み込み状態において、パンチ3,4で各充填パック1内の原料粉末Bに所定の圧力を加えるとともに、電極5,6からパンチ3,4を介してパルス電流を流すことにより、各充填パック1の縦面部1a及び横面部1bにパルス電流がそれぞれ集中的に流れて、原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電が生起される。
このため、各充填パック1内において原料粉末Bの熱膨張が全体的に均一となり、焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料となる。
したがって、焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料を量産することができる。
その結果、各充填パック1内において原料粉末Bが全体的に均一に熱膨張するため、冷えても収縮が少なく、それによりセルの製造効率がアップして、品質の均一化と生産性の向上が図れる。
さらに、原料粉末Bの外周部位が中央部位よりも大きく熱膨張しないので、この熱膨張を抑制するために、その外壁となる筒状の焼結用治具2を高剛性の材料で作成する必要がなく、その分だけ構造を簡素化できて、コストの低減化が図れる。
また、充填パック1毎に原料粉末Bの組成やサイズなどが異なるものを同時に製造することもできる。焼結後の熱電変換材料は、充填パック1と共に取り出せるため、筒状の焼結用治具2から熱電変換材料を離型することが容易で作業性及び生産性に優れる。
【0017】
特に、複数の充填パック1において、縦面部1aをZ方向へ連続する筒状に形成し、縦面部1aの内面に沿って複数の横面部1bをそれぞれ接触しつつZ方向へ移動自在に配置する場合には、一対のパンチ3,4の先端部3a,4aで複数の充填パック1をZ方向へ加圧することにより、筒状の縦面部1aの内面に沿って複数の横面部1bがそれぞれZ方向へ摺動し、パンチ3,4の加圧に伴って縦面部1aに皺が発生せず、縦面部1aと横面部1bの通電状態がそれぞれ維持される。そのため、各充填パック1内の原料粉末Bの包み込み状態を保ちながら、所定の圧力を加えて各充填パック1内の原料粉末Bがそれぞれ圧縮変形される。
したがって、縦面部1aと対向する原料粉末Bの側面に凹凸が発生することなく焼成することができる。
その結果、平滑な熱電変換材料を作製できて品質の向上が図れる。
【実施例】
【0018】
次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例は、
図1に示すように、充填パック1の縦面部1aの内面に沿って、パンチ3,4の先端部3a,4aをそれぞれ嵌入させて配置するものである。
図示される例では、複数の充填パック1の縦面部1aが、複数の充填パック1におけるZ方向の全長よりも長く連続するように形成されている。最上位の充填パック1から上方へ突出する延長部位1a1に対し、上部のパンチ3の先端部3aを嵌入し、最下位の充填パック1から下方へ突出する延長部位1a2に対し、下部のパンチ4の先端部4aを嵌入している。すなわち、複数の充填パック1の縦面部1aは、パンチ3,4の先端部3a,4aがZ方向へ摺動可能に接触する焼結用治具2の筒体2aの内面に対し、縦面部1aの厚み分だけ食い込むように配置されている。
さらに、図示される例では、充填パック1の数よりも一枚多い横面部1bを所定間隔毎に配置して、最上位の充填パック1及び最下位の充填パック1を除いた中間位の充填パック1が、それぞれの天井面となる横面部1bと底面となる横面部1bを兼用している。つまり、焼結用治具2の内部空間に、複数枚の横面部1bと適宜量の原料粉末Bを交互に収納することで、焼結用治具2内に複数(6個)の充填パック1がセッティングされている。
また、その他の例として図示しないが、複数の充填パック1の縦面部1aを各充填パック1毎に分断し、これら縦面部1a同士がZ方向へ隙間なく相互に当接して複数並べられるように配置したり、充填パック1の数(6個)や横面部1bの数(7枚)を増減させたり変更することも可能である。
【0019】
このような本発明の実施例に係る熱電変換材料の製造装置A及び製造方法によると、一対のパンチ3,4の先端部3a,4aで複数の充填パック1をZ方向へ加圧しても、充填パック1の縦面部1aの内面に沿ってパンチ3,4の先端部3a,4aがそれぞれ嵌入されるため、パンチ3,4の先端部3a,4aの外面が縦面部1aの内面に沿って摺動する。これにより、縦面部1aにZ方向へ負荷がかかることなく、各充填パック1内の原料粉末Bがそれぞれ圧縮変形される。
したがって、縦面部1aを伸縮変形不能な材料で形成してもそれに影響されることなく原料粉末Bを確実に加圧して焼成することができる。
その結果、簡単な構造で焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料を確実に量産できて、更なる品質の均一化と生産性の向上が図れるという利点がある。
【0020】
焼結用治具2内に6個の充填パック1がセッティングされた図示例と、焼結用治具2内に筒状の縦面部1aのみで覆われた原料粉末Bがセッティングされた比較例を用いて、SPS法によりほぼ同じ条件で燃焼実験を行った。
この燃焼実験の結果は、前記図示例により得られた熱電変換材料の焼結密度が、前記比較例により得られた熱電変換材料の焼結密度よりも約11%向上し、前記図示例により得られた熱電変換材料の電気伝導率が、前記比較例により得られた熱電変換材料の電気伝導率よりも約100倍向上することが判った。
したがって、焼結密度及び電気伝導率に優れた熱電変換材料を確実に量産できることが実証できた。
【0021】
なお、図示される例では、最上位の充填パック1及び最下位の充填パック1を除いた中間位の充填パック1において、それぞれの天井面となる縦面部1aと底面となる縦面部1aを兼用しているが、これに限定されず、複数の充填パック1を、Z方向へ複数に分断されて伸縮変形可能な筒状の縦面部1aと、これら縦面部1aのZ方向端部をそれぞれ覆う複数組の横面部1bとで構成し、各充填パック1の横面部1b同士がそれぞれZ方向へ隙間なく相互に当接して複数並べられるように配置しても良い。
この場合には、焼結用治具2の内部空間とは別な場所で、原料粉末Bを収納した充填パック1が作製可能となるため、複数の充填パック1を焼結用治具2の内部空間に対し分離して個別に着脱することができて、各充填パック1のセッティング作業と、焼結後の熱電変換材料の取り出し作業を各充填パック1毎に行えて、更に作業性及び生産性に優れるという利点がある。