(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車室前部に配設されて車体後方側に膨出した形状で車幅方向に延び、上面部のうち車体前方側で車幅方向における中央部分にデフロスタ用の吹出口(13)がフロントウインドガラス(101)に向けて形成されたインストルメントパネルであって、
前記デフロスタ用の吹出口(13)の車体後方側付近には、ディスプレイ装置(21)が上端部を前記フロントウインドガラス(101)に近接させた状態に立設され、
前記デフロスタ用の吹出口(13)と前記ディスプレイ装置(21)との間には、当該吹出口(13)から吹き出された風を当該ディスプレイ装置(21)の上側に導くガイド面(27)を有する導風部(25)が設けられ、
前記デフロスタ用の吹出口(13)の内部には、当該吹出口(13)から吹き出される風を車幅方向における両側に拡散させるように整流する複数の整流板(19)が設けられ、
前記フロントウインドガラス(101)は、車幅方向において車体前方側に向けて凸状をなすように湾曲しており、
前記導風部(25)のガイド面(27)は、前記フロントウインドガラス(101)に沿って車幅方向に湾曲している
ことを特徴とするインストルメントパネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、インストルメントパネル101におけるデフロスタ用の吹出口103及びその周辺構造を模式的に示す断面図である。なお、この
図7中の矢印は、デフロスタ用の吹出口103から吹き出される風の流れを示す。デフロスタ用の吹出口103は、
図7に示すように、インストルメントパネル101の内部に配設されたエアコンユニット(不図示)からデフノズル105を介して送られた防曇用の風を吹き出すようになっている。
【0006】
ディスプレイ装置107は、運転者の車両走行中における視点移動の距離を極力少なくすべく、デフロスタ用の吹出口103の後方付近でフロントウインドガラス109寄りの位置に、インストルメントパネル101の上面部101aの一般面から突出させて設置することが考えられる。
【0007】
しかし、このような構成を採用する場合には、ディスプレイ装置107の上端部がフロントウインドガラス109に近接し、両者の間の隙間gが比較的狭くなるため、デフロスタ用の吹出口103から吹き出された風が、当該隙間gから上方に抜け難く、デフロスタ用の吹出口103とディスプレイ装置107との間の空間sに滞留し易い。そうなると、ディスプレイ装置107の上方では、デフロスタ用の吹出口103からフロントウインドガラス109伝いに流れる風量が低減する結果、フロントウインドガラス109の曇りを速やかに除去することができず、デフロスタ用の吹出口103から吹き出される風による同ガラス109の曇り除去性能が損なわれてしまう。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転者によるディスプレイ装置の視認性を向上させ、且つデフロスタ用の吹出口からの風によるフロントウインドガラスの曇り除去性能が損なわれるのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、ディスプレイ装置をフロントウインドガラスに寄せて設置し、且つデフロスタ用の吹出口から吹き出されてディスプレイ装置の上方でフロントウインドガラス伝いに流れる風量の低減を抑制可能なようにインストルメントパネルの構成を工夫した。
【0010】
具体的には、第1の発明は、車室前部に配設されて車体後方側に膨出した形状で車幅方向に延び、上面部のうち車体前方側で車幅方向における中央部分にデフロスタ用の吹出口がフロントウインドガラスに向けて形成されたインストルメントパネルを対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、第1の発明は、デフロスタ用の吹出口の車体後方側に、ディスプレイ装置が上端部をフロントウインドガラスに近接させた状態に立設される構成を有する。ここでいう「ディスプレイ装置が上端部をフロントウインドガラスに近接させた状態に立設される」とは、ディスプレイ装置が、固定式で設置される場合や着脱可能に設置される場合は勿論、当該ディスプレイ装置の表示面を有するパネルを、当該パネルの下端部を中心として前方に回転させたり上下方向にスライドさせたりすることで、不使用時にインストルメントパネルに仕舞える可動式に設置される場合も含み、可動式に設置される場合には、ディスプレイ装置の使用状態で同装置の上端部がフロントウインドガラスに近接した状態になればよい。
【0012】
そして、第1の発明は、デフロスタ用の吹出口とディスプレイ装置との間には、当該吹出口から吹き出された風を当該ディスプレイ装置の上側に導くガイド面を有する導風部が設けられ
、デフロスタ用の吹出口の内部には、当該吹出口から吹き出される風を車幅方向における両側に拡散させるように整流する複数の整流板が設けられ、フロントウインドガラスは、車幅方向において車体前方側に向けて凸状をなすように湾曲しており、導風部のガイド面は、フロントウインドガラスに沿って車幅方向に湾曲していることを特徴とする。
【0013】
第2の発明
も、第1の発明と同様に、デフロスタ用の吹出口の車体後方側に、ディスプレイ装置が上端部をフロントウインドガラスに近接させた状態に立設される構成を有する。そして、第2の発明は、デフロスタ用の吹出口の車体後方側付近には、ディスプレイ装置が上端部をフロントウインドガラスに近接させた状態に立設され、デフロスタ用の吹出口とディスプレイ装置との間には、当該吹出口から吹き出された風を当該ディスプレイ装置の上側に導くガイド面を有する導風部が設けられ、導風部のガイド面には、デフロスタ用の吹出口から吹き出された風を車幅方向における両側に拡散させる複数のガイドフィンが設けられていることを特徴とする。
【0014】
第3の発明
も、第1の発明と同様に、デフロスタ用の吹出口の車体後方側に、ディスプレイ装置が上端部をフロントウインドガラスに近接させた状態に立設される構成を有する。そして、第3の発明は、デフロスタ用の吹出口とディスプレイ装置との間には、当該吹出口から吹き出された風を当該ディスプレイ装置の上側に導くガイド面を有する導風部が設けられ、デフロスタ用の吹出口の内部には、当該吹出口から吹き出される風を車幅方向における両側に拡散させるように整流する複数の整流板が設けられ、フロントウインドガラスは、車幅方向において車体前方側に向けて凸状をなすように湾曲しており、導風部のガイド面は、フロントウインドガラスに沿って車幅方向に湾曲しており、導風部のガイド面には、デフロスタ用の吹出口から吹き出された風を車幅方向における両側に拡散させる複数のガイドフィンが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、ディスプレイ装置をその上端部がフロントウインドガラスに近接する位置にまで同ガラスに寄せて設置するようにしたので、ディスプレイ装置の視認性を向上させることができると共に、運転者の車両走行中における視点移動の距離を短くすることができる。これによって、運転者がディスプレイ装置の表示を確認しながら運転する際の疲労を軽減することができる。
【0016】
さらに、第1の発明によれば、デフロスタ用の吹出口とディスプレイ装置との間に設けた導風部のガイド面でデフロスタ用の吹出口から吹き出された風をディスプレイ装置の上側に導くようにしたから、ディスプレイ装置の上端部とフロントウインドガラスとの間の隙間が比較的狭くても、デフロスタ用の吹出口から吹き出された風を、当該吹出口とディスプレイ装置との間で滞留させることなく、この隙間を通してフロントウインドガラス伝いにスムーズに流すことができる。これによって、ディスプレイ装置の上方でフロントウインドガラス伝いに流れる風量の低減を抑制することができ、デフロスタ用の吹出口からの風によるフロントウインドガラスの曇り除去性能が損なわれることを防止できる。
【0017】
そして、第
1の発明によれば、デフロスタ用の吹出口から吹き出される風を当該吹出口の内部に設けた複数の整流板で車幅方向における両側に拡散させるようにしたから、デフロスタ用の吹出口からの風を、フロントウインドガラスに対して当該吹出口の上方に対応する範囲よりも広い範囲に亘って吹き付けることができ、その分だけ当該吹出口を車幅方向に短くすることができる。これによって、インストルメントパネルの内部において、デフロスタ用の吹出口に風を送るデフノズルの設置スペースを小さくすることができ、インストルメントパネル及び同パネルに組み込まれる周辺機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0018】
しかも、第
1の発明によれば、導風部のガイド面を、車幅方向において車体前方側に向けて凸状に湾曲したフロントウインドガラスに沿う湾曲形状としたので、ディスプレイ装置の背面側でデフロスタ用の吹出口から吹き出された風を、フロントウインドガラスと導風部との間の空間を通して車幅方向における両側にスムーズに流すことができ、当該吹出口からの風の車幅方向への拡散を妨げることがない。
【0019】
第2の発明によれば、
第1の発明と共通の構成により、運転者がディスプレイ装置の表示を確認しながら運転する際の疲労を軽減することができ、且つ、デフロスタ用の吹出口からの風によるフロントウインドガラスの曇り除去性能が損なわれることを防止できる。さらに、第2の発明によれば、デフロスタ用の吹出口から吹き出された風を導風部のガイド面に設けた複数のガイドフィンで車幅方向における両側に拡散させるようにしたから、上記第2の発明と同様な作用が奏されて、デフロスタ用の吹出口を車幅方向に短くすることができ、インストルメントパネル及び同パネルに組み込まれる周辺機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0020】
第3の発明によれば、
第1の発明及び第2の発明のそれぞれと共通の構成を採用しているので、上述した第1の発明の効果と第2の発明の効果との両方を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。なお、以下の各実施形態では、説明の便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。
【0023】
《発明の実施形態1》
図1は、この実施形態1に係るインストルメントパネル1の正面図である。
図2は、このインストルメントパネル1の平面図である。
図3は、
図2のIII−III線における構造を模式的に示す断面図である。
図4は、
図3のIV−IV線における構造を模式的に示す断面図である。なお、
図3中の矢印は、デフロスタ用の吹出口103から吹き出される風の流れを示す。本実施形態で例示するインストルメントパネル1は、運転席が車体左側に位置する左ハンドル仕様車用のパネルである。
【0024】
図1及び
図2に示すインストルメントパネル1は、速度計やエンジン回転計などの各種計器類を搭載する樹脂製の計器板であって、車室前部に配設されている。具体的には、インストルメントパネル1は、車幅方向に延びるインパネレインフォースメント(不図示)に支持されて車体に取り付けられることで、エンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルの後方側(車室側)に装備されている。
【0025】
インストルメントパネル1の上方には、
図3に示すように、フロントウインドガラス2が車両後方に向かって上側に傾斜した姿勢で設けられている。このフロントウインドガラス2は、
図4に示すように、車幅方向において車体前方に向けて凸状をなすように緩やかに湾曲しており、図示しないが、周辺部分を車体のルーフ前縁部やフロントピラーなどのフロントウインドガラス用開口の周縁部に接着することで、車体に固定されている。
【0026】
インストルメントパネル1は、
図1〜
図3に示すように、車体後方に膨出した形状で車幅方向に延びていて、フロントウインドガラス2の下端部近傍から車室内方(後方)へ延びる上面部1aと、この上面部1aの後端縁から湾曲しつつ下方へ延びる後面部1bとを有する。このインストルメントパネル1は、金型を用いた樹脂材料の射出成形により製造される。
【0027】
インストルメントパネル1のうち運転席に対応する左側部分には、ステアリングホイールと共に運転者の前方に位置する計器類が装着されるメーターフード3が設けられている。このメーターフード3には、走行速度などを表示するヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)装置5が設けられている。また、インストルメントパネル1のうち助手席側に対応する右側部分には、エアバック装置(不図示)が収容されている。
【0028】
また、インストルメントパネル1の後面部1bのうち車幅方向における中央部分には、同パネル1内に設置されるエアコンユニット(不図示)の操作スイッチやオーディオ機器などの車載機器が取り付けられるセンターパネル部7が設けられている。このセンターパネル部7には、エアコンユニットからの温風や冷風などの空調風を車室内に吹き出すセンターエア吹出口9が左右一対に並べて形成されている。
【0029】
また、インストルメントパネル1のうち車幅方向における左右両端側の部分には、センターエア吹出口9に対応する高さ位置に、空調風を車室内に吹き出すサイドエア吹出口11がそれぞれ形成されている。これらセンターエア吹出口9及びサイドエア吹出口11は、車室内の空気温度を調節するための車室内空調用の吹出口である。
【0030】
インストルメントパネル1には、これら車室内空調用の吹出口9,11に加え、ウインドガラスの結露による曇りを除去するための温風を吹き出すデフロスタ用の吹出口13,15が形成されている。このデフロスタ用の吹出口13,15は、フロントウインドガラス2越しの車両前方の視認性を確保するためのフロントウインドガラス防曇用の吹出口(以下、フロントデフ吹出口と称する)13と、図示しないフロントサイドウインドガラス越しのサイドミラー等の車両側方の視認性を確保するためのフロントサイドウインドガラス防曇用の一対の吹出口(以下、サイドデフ吹出口と称する)15とである。
【0031】
各サイドデフ吹出口15は、車室内空調用のサイドエア吹出口11の前方上側に設けられている。他方、フロントデフ吹出口13は、インストルメントパネル1の上面部1aの前縁側部分のうち中央部分にフロントウインドガラス2に向けて1つだけ形成され、同ガラス2に沿って車幅方向に延びている。このフロントデフ吹出口13には、
図3に示すように、エアコンユニットから空調風を送るデフノズル17が接続されており、このデフノズル17から送られた空調風をフロントウインドガラス2に向けて吹き出すようになっている。
【0032】
図5は、インストルメントパネル1の要部、つまりフロントデフ吹出口13とディスプレイ装置21と後述する導風部材25とを車体前側から示す斜視図である。フロントデフ吹出口13の内部には、
図5に示すように、当該吹出口13から吹き出される風を車幅方向における両側に拡散させるように整流する複数の整流板19が設けられている。これら複数の整流板19は、各々前後方向に延びる小片板状に形成され、車幅方向において互いに所定の間隔をあけて配置されている。
【0033】
これら複数の整流板19の姿勢は、車幅方向における中央部に配置されているものほど垂直に近く、車幅方向における両端側に配置されているものほど車幅方向外側に向けて寝かせられている。そのことで、複数の整流板19は、フロントデフ吹出口13から吹き出される風を上方に向けて放射状に拡散させるようになっている。これら複数の整流板13は、インストルメントパネル1の本体と一体に形成されていてもよいし、インストルメントパネル1の本体とは別部材の吹出グリルとして設けられて同パネル1に取り付けられていてもよい。
【0034】
さらに、インストルメントパネル1の上面部1aのうちセンターコンソール部7の上部前方に位置する部分には、
図1〜
図3に示すように、ナビゲーション情報や車両情報、テレビビジョン放送などを表示するディスプレイ装置21が収容される収容凹部23が設けられている。収容凹部23は、車両前後方向においてフロントデフ吹出口13の後方側付近にまで延びていて、車両前方に向かうに連れて深さが深くなるように形成されている。
【0035】
ディスプレイ装置21は、この収容凹部23の前端部に、上側部分が下側部分よりも前方に位置するように傾倒させてその表示面21aを後側斜め上方に向けた姿勢で設置され、上端部をインストルメントパネル1の上面部1aの一般面から突出させてフロントウインドガラス2に近接させた状態になっている。ディスプレイ装置21の上端部とフロントウインドガラス2との間の隙間gは、例えば1.5cm〜3.0cm程度である。
【0036】
このように、ディスプレイ装置21は、フロントデフ吹出口13の車体後方側付近でフロントウインドガラス2に寄った位置に立設される。これによって、ディスプレイ装置21の視認性を向上させることができると共に、運転者の車両走行中における視点移動の距離を短くすることができる。
【0037】
そして、このディスプレイ装置21とフロントデフ吹出口13との間には、樹脂製の導風部材25が導風部として設けられている。この導風部材25は、インストルメントパネル1の上面部1aに取り付けられてディスプレイ装置21の背面を覆っており、フロントデフ吹出口13から吹き出された風をディスプレイ装置21の上側に導くガイド面27を有している。これによって、フロントデフ吹出口13からの風によるフロントウインドガラス2の曇り除去性能が損なわれることを防止できる。
【0038】
つまり、フロントデフ吹出口13から吹き出された防曇用の風は、導風部材25のガイド面27によってディスプレイ装置21の上側にまで案内されるので、ディスプレイ装置21の上端部とフロントウインドガラス2との間の隙間gが比較的狭くても、フロントデフ吹出口13とディスプレイ装置21との間で滞留することがなく、この隙間gを通ってフロントウインドガラス2伝いにスムーズに流れることとなる。したがって、ディスプレイ装置21の上方でフロントウインドガラス2伝いに流れる風量の低減を抑制することができ、その結果として上記の効果を得ることができる。
【0039】
この導風部材25のガイド面27は、フロントデフ吹出口13の後縁部分からディスプレイ装置21の上端に対応する位置にまで延びている。そして、ガイド面27は、
図4に
示すように、フロントウインドガラス2に沿って車幅方向になだらかに湾曲していて、車幅方向における中央部と両端部とでフロントウインドガラス2との距離a,bが同程度になっている。これによって、フロントデフ吹出口13からの風の車幅方向への拡散を妨げないようになっている。
【0040】
仮に、導風部材25のガイド面が真っ直ぐな平面である場合には、当該ガイド面の両端部とフロントウインドガラス2との距離が当該ガイド面の中央部と同ガラス2との距離よりも短くなるため、フロントデフ吹出口13から吹き出された風が車幅方向における両側に抜け難く、フロントデフ吹出口13からの風の車幅方向への拡散が妨げられるおそれがある。
【0041】
これに対し、上記の如くフロントウインドガラス2と導風部材25のガイド面27とが車幅方向に互いに平行に延びるように湾曲していると、ディスプレイ装置21の背面側でフロントデフ吹出口13から吹き出された風は、フロントウインドガラス2と導風部材25との間の空間を通って車幅方向における両側にスムーズに流れるので、フロントデフ吹出口13からの風の車幅方向への拡散を妨げることがない。
【0042】
−実施形態1の効果−
この実施形態1によると、ディスプレイ装置21をその上端部がフロントウインドガラス2に近接する位置にまで同ガラス2に寄せて設置するようにしたので、運転者によるディスプレイ装置21の視認性向上と視点移動の短距離化を実現でき、運転者がディスプレイ装置21の表示を確認しながら運転する際の疲労を軽減することができる。
【0043】
さらに、ディスプレイ装置21とフロントデフ吹出口13との間に設けた導風部材25のガイド面27でフロントデフ吹出口13から吹き出された風をディスプレイ装置21の上側に導くようにしたから、フロントデフ吹出口13からの風によるフロントウインドガラス2の曇り除去性能が損なわれるのを防止することができる。
【0044】
また、この実施形態1によると、フロントデフ吹出口13から吹き出される風を複数の整流板19で車幅方向における両側に拡散させるようにしたので、フロントウインドガラス2に対して当該吹出口13の上方に対応する範囲よりも広い範囲に亘って吹き付けることができ、その分だけ当該吹出口13を車幅方向に短くすることができる。これによって、インストルメントパネル1の内部において、フロントデフ吹出口13に防曇用の風を送るデフノズル17の設置スペースを小さくすることができる。その結果、インストルメントパネル1及び同パネル1に組み込まれるHUD装置5などの周辺機器のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0045】
《発明の実施形態2》
この実施形態2に係るインストルメントパネル1は、導風部材25の構成が上記実施形態1と異なる。なお、この実施形態2では、導風部材25の構成が上記実施形態1と異なる他はインストルメントパネル1について上記実施形態1と同様に構成されているので、構成の異なる導風部材25についてのみ説明し、同一の構成箇所は
図1〜
図5に基づく上記実施形態1の説明に譲ることにして、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図6は、この実施形態2に係るインストルメントパネル1の要部、具体的にはフロントデフ吹出口13、ディスプレイ装置21及び導風部材25を車体前側から示す斜視図である。本実施形態の導風部材25のガイド面27には、
図6に示すように、フロントデフ吹出口13から吹き出された風を車幅方向における両側に拡散させる複数のガイドフィン31が設けられている。複数のガイドフィン31は、フロントデフ吹出口13の後縁部分から上方に延びており、フロントデフ吹出口13内の整流板19の後方に対応する位置に当該整流板19と連続するように形成されている。
【0047】
これら複数のガイドフィン31のうちガイド面27の左側半分に設けられたガイドフィン31は、下端から上端に向かうに連れて車幅方向における外側、つまり左側に湾曲している。他方、複数のガイドフィン31のうちガイド面27の右側半分に設けられたガイドフィン31は、下端から上端に向かうに連れて車幅方向における外側、つまり右側に湾曲している。このように、導風部材25は、フロントデフ吹出口13から吹き出された風を積極的に車幅方向における両側に拡散させるようになっている。
【0048】
−実施形態2の効果−
この実施形態2によると、フロントデフ吹出口13から吹き出された風をよりいっそう確実に車幅方向における両側に拡散させることができ、フロントデフ吹出口13を車幅方向に短くしてもフロントウインドガラス2の曇り除去性能が損なわれるのを防止することができる。
【0049】
なお、上記実施形態1及び2では、導風部材25がインストルメントパネル1の本体と別部材で設けられる形態を例に挙げて説明したが、これに限らず、ガイド面27を有する導風部がインストルメントパネル1の本体と一体に設けられていても構わない。
【0050】
また、上記実施形態1及び2では、導風部材25のガイド面27が、ディスプレイ装置21の上端に対応する位置にまで延びている形態を例に挙げて説明したが、これに限らず、ガイド面27は、ディスプレイ装置21の上端から若干下方に離れた位置までしか延びていなくてもよく、ディスプレイ装置21の上端部の背面が部分的に前方に露出していても構わない。