特許第6232350号(P6232350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイホン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6232350-アタッチメント 図000002
  • 特許6232350-アタッチメント 図000003
  • 特許6232350-アタッチメント 図000004
  • 特許6232350-アタッチメント 図000005
  • 特許6232350-アタッチメント 図000006
  • 特許6232350-アタッチメント 図000007
  • 特許6232350-アタッチメント 図000008
  • 特許6232350-アタッチメント 図000009
  • 特許6232350-アタッチメント 図000010
  • 特許6232350-アタッチメント 図000011
  • 特許6232350-アタッチメント 図000012
  • 特許6232350-アタッチメント 図000013
  • 特許6232350-アタッチメント 図000014
  • 特許6232350-アタッチメント 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232350
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-158755(P2014-158755)
(22)【出願日】2014年8月4日
(65)【公開番号】特開2016-34421(P2016-34421A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2016年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 泰三
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽二朗
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−117259(JP,A)
【文献】 特開2005−80687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で握るための握り部を有する装置に装着されるとともに、第1カバーと第2カバーとで構成されるアタッチメントであって、
前記第1カバーは、
第1係合部と、
前記握り部の一部を収容可能な第1収容部と、
を有し、
前記第2カバーは、
前記第1係合部と係合する第2係合部と、
前記握り部の他の一部を収容可能な第2収容部と、
を有し、
前記第1カバーと前記第2カバーとが前記装置に装着された状態において、
前記第1収容部の内壁面および前記第2収容部の内壁面が前記握り部の外周面に接触し、
前記第1係合部の側面と前記握り部の外周面とで凹部が形成され、前記凹部に前記第2係合部が嵌合されるとともに前記第1係合部と前記第2係合部が係合することによって前記第1カバー、前記第2カバーおよび前記装置が互いに位置決めされる位置決め構造が構成される、アタッチメント。
【請求項2】
前記第1カバーと前記第2カバーとが前記装置に装着された状態において、前記第1係合部が突出する方向を第1方向とし、前記第1方向と垂直に交差するとともに前記第1係合部の前記側面が前記握り部の外周面と対向する向きを第2方向とした場合、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合することによって、前記第1カバーと前記第2カバーとが互いに前記第1方向に沿って移動することが規制され、
前記第1収容部の内壁面および前記第2収容部の内壁面が前記握り部の外周面に接触することによって、前記第1カバーと前記第2カバーとが互いに前記第2方向に沿って移動することが規制される、請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記第1カバーと前記第2カバーとが、同一形状である、請求項1または請求項2に記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記装置は、ナースコール装置に接続される握り押ボタン式子機であって、前記握り部の長手方向の一端に形成される呼出押ボタンと、前記握り部の側面に形成される呼出握りボタンとを有しており、
前記第1カバーと前記第2カバーとが前記握り押ボタン式子機に装着された状態において、
前記呼出押ボタンは外部に露出しており、前記呼出握りボタンは前記第1カバーおよび前記第2カバーによって覆われている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、握り部を有する装置に装着されるアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナースコール装置に接続される握り押ボタン式子機に装着される握り押ボタン用のアタッチメントがある。下記の特許文献1に記載のアタッチメントは、把持部とレバー部を有している。レバー部は、メス型嵌合部を有する第1のアームと、オス型嵌合部を有する第2のアームとで構成されている。アタッチメントが装着された状態において、握り押ボタン式子機は、把持部とレバー部との間で支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療従事者や患者等が、アタッチメントが装着された状態の握り押ボタン式子機を手から滑らせて、床に落下させてしまう場合がある。特許文献1に記載のアタッチメントは、落下時の衝撃で握り押ボタン式子機から外れ易く、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、衝撃を受けても装置から外れにくい耐衝撃性に優れたアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるアタッチメントは、
手で握るための握り部を有する装置に装着されるとともに、第1カバーと第2カバーとで構成されるアタッチメントであって、
前記第1カバーは、
第1係合部と、
前記握り部の一部を収容可能な第1収容部と、
を有し、
前記第2カバーは、
前記第1係合部と係合する第2係合部と、
前記握り部の他の一部を収容可能な第2収容部と、
を有し、
前記第1カバーと前記第2カバーとが前記装置に装着された状態において、
前記第1収容部の内壁面および前記第2収容部の内壁面が前記握り部の外周面に接触し、
前記第1係合部の側面と前記握り部の外周面とで凹部が形成され、前記凹部に前記第2係合部が嵌合されるとともに前記第1係合部と前記第2係合部が係合することによって前記第1カバー、前記第2カバーおよび前記装置が互いに位置決めされる位置決め構造が構成される。
【0007】
この態様によれば、握り押ボタン式子機の握り部と、第1カバーと、第2カバーとの3つの部材によって、これらの3つの部材の位置が互いに位置決めされる位置決め構造が成立している。そして、アタッチメントを装着した状態において、第1カバーと第2カバーとの係合部分の周囲では、装着される握り押ボタン式子機の握り部の外周面が第1カバーの第1収容部の内壁面および第2カバーの第2収容部の内壁面に密着している。このため、アタッチメントが装着された状態の握り押ボタン式子機を手から滑らせて、床に落下させてしまった場合であっても、握り押ボタン式子機とアタッチメントとの位置関係が大きくずれることはなく、落下時にアタッチメントは外れにくい。
【0008】
また、本発明のアタッチメントにおいて、前記第1カバーと前記第2カバーとが前記装置に装着された状態において、前記第1係合部が突出する方向を第1方向とし、前記第1方向と垂直に交差するとともに前記第1係合部の前記側面が前記握り部の外周面と対向する向きを第2方向とした場合、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合することによって、前記第1カバーと前記第2カバーとが互いに前記第1方向に沿って移動することが規制され、
前記第1収容部の内壁面および前記第2収容部の内壁面が前記握り部の外周面に接触することによって、前記第1カバーと前記第2カバーとが互いに前記第2方向に沿って移動することが規制されるものでも良い。
【0009】
この態様によれば、握り押ボタン式子機のアタッチメントに対する移動を規制する箇所が分散しているので、落下による衝撃力を分散して受け止めることができる。このため、握り押ボタン式子機が床に落下した場合であっても、一か所の係合部分に衝撃力が集中することがなく、外れにくい。しかも、アタッチメントを装着する際には、装着するための力も分散される。このため、握り押ボタン式子機へ容易に装着することができる。
【0010】
また、本発明のアタッチメントにおいて、前記第1カバーと前記第2カバーとが、同一形状であっても良い。
【0011】
この態様によれば、第1カバーおよび第2カバーを同じ金型で製造でき、製造コストを抑えることができる。
【0012】
また、本発明のアタッチメントにおいて、前記装置は、ナースコール装置に接続される握り押ボタン式子機であって、前記握り部の長手方向の一端に形成される呼出押ボタンと、前記握り部の側面に形成される呼出握りボタンとを有しており、
前記第1カバーと前記第2カバーとが前記握り押ボタン式子機に装着された状態において、
前記呼出押ボタンは外部に露出しており、前記呼出握りボタンは前記第1カバーおよび前記第2カバーによって覆われているものでも良い。
【0013】
この態様によれば、床に落下させてしまった場合であっても、握り押ボタン式子機とアタッチメントとの位置関係が大きくずれることはなく、落下時の衝撃力によって呼出握りボタンが押下されることによる誤呼び出しを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、衝撃を受けても装置から外れにくい耐衝撃性に優れたアタッチメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係るアタッチメントが装着された握り押ボタン式子機の斜視図である。
図2】本実施形態に係るアタッチメントおよび握り押ボタン式子機の斜視図である。
図3】本実施形態に係るアタッチメントが装着された握り押ボタン式子機の平面図である。
図4】アタッチメントが取り外された握り押ボタン式子機の平面図である。
図5】本実施形態に係るアタッチメントを構成する第1カバーを説明する図であって、(a)は第1カバーの外面側から視た斜視図、(b)は第1カバーの内面側から視た斜視図である。
図6】本実施形態に係るアタッチメントを構成する第1カバーを説明する図であって、(a)は第1カバーの平面図、(b)は第1カバーの側面図、(c)は第1カバーの裏面図、(d)は第1カバーの(b)と反対側の側面図である。
図7図6(c)におけるA−A断面図である。
図8図6(c)におけるB−B断面図である。
図9図3におけるC−C断面図である。
図10図3におけるD−D断面図である。
図11図3における握り押ボタン式子機を外した状態のE−E断面図である。
図12図3におけるF−F断面図である。
図13】握り押ボタン式子機へアタッチメントを装着する際の状態を説明する図であって、(a)から(c)は、図3のC−C線の位置における、それぞれ第1カバーおよび第2カバーの係合部分の断面図である。
図14】握り押ボタン式子機へアタッチメントを装着する際の状態を説明する図であって、(a)から(c)は、図3のD−D線の位置における、それぞれ第1カバーおよび第2カバーの係合部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るアタッチメントの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1から図3に示すように、本実施形態に係るアタッチメント10は、握り押ボタン式子機1に装着される。握り押ボタン式子機1は、ケーブル2を介してナースコール装置(図示略)に接続される。アタッチメント10は、第1カバー11と第2カバー12とから構成された半割り構造とされている。第1カバー11および第2カバー12は、握り押ボタン式子機1を挟んで互いに突き合わされることで、握り押ボタン式子機1に装着される。これにより、握り押ボタン式子機1は、第1カバー11と第2カバー12とからなるアタッチメント10で覆われる。
【0017】
握り押ボタン式子機1の呼出押ボタン3は、アタッチメント10を装着した状態で、アタッチメント10から露出されている。また、第1カバー11および第2カバー12を装着した状態で、握り押ボタン式子機1の機能ボタン5は、アタッチメント10を構成する第1カバー11または第2カバー12の窓部22で露出されている。
【0018】
図4は、アタッチメント10が取り外された握り押ボタン式子機1の平面図である。
図4に示すように、握り押ボタン式子機1は、細長形状に形成された握り部1aを有している。この握り押ボタン式子機1には、その一端部に、呼出押ボタン3を有しており、この呼出押ボタン3と反対側の他端からケーブル2が引き出されている。また、握り押ボタン式子機1は、握り部1aの側面に、2つの呼出握りボタン4を有している。これらの呼出握りボタン4は、握り部1aにおける互いに反対側に設けられている。呼出押ボタン3および呼出握りボタン4は、医者や看護師等の医療従事者を呼び出す際に押下される。
【0019】
握り押ボタン式子機1の端部に設けられた呼出押ボタン3は、円形状とされており、例えば、握り部1aを握りながら親指で押下される。握り押ボタン式子機1の両側部に設けられた呼出握りボタン4は、握り押ボタン式子機1の握り部1aの長手方向(図中のZ方向)に沿う長尺状とされており、握り部1aを握ることで押下される。また、握り押ボタン式子機1には、握り部1aの正面に、2つの機能ボタン5が設けられている。これらの機能ボタン5は、例えば、点滴の終了などを知らせる際に押下される。
【0020】
アタッチメント10を構成する第1カバー11および第2カバー12は、握り押ボタン式子機1の表裏から装着される。第1カバー11および第2カバー12は、プラスチック等の合成樹脂から成形されたもので、金型へ溶融樹脂を射出して成形する射出成形によって得られる。
【0021】
次に、図5から図8を参照して第1カバー11および第2カバー12の構成について説明する。
図5図8に示すように、第1カバー11は、短手方向(各図のX方向)における断面視で円弧状に形成されている。これにより、第1カバー11は、内面側が凹む凹状に形成されており、この凹状の部分が握り部収容部(第1収容部の一例)21とされている。この握り部収容部21は、握り押ボタン式子機1の外形と略同一の内形を有しており、この握り部収容部21には、握り押ボタン式子機1の握り部1a(図4参照)の略半分が収容可能とされている。握り部収容部21を形成する第1カバー11の内壁面21aは、握り部収容部21に収容される握り押ボタン式子機1の握り部1aの外周面に接触される。第1カバー11は、その中央部分に窓部22を有しており、握り押ボタン式子機1の握り部1aを収容した際に、機能ボタン5およびその周辺部分が窓部22において露出される。
【0022】
第1カバー11は、長手方向(各図中のZ方向)の両端の近傍部分に、係合機能部30を有している。両端のうち一方の係合機能部30は、装着される握り押ボタン式子機1の呼出押ボタン側(図6(c)のA−A線の付近)に設けられている。この係合機能部30は、短手方向(各図中のX方向)において第1カバー11の握り部収容部21の一方の縁部に形成された外側係合部(第1係合部の一例)31Aと他方の縁部に形成された内側係合部32Aとから構成されている。図7に示すように、外側係合部31Aは、第1カバー11の縁部において、第1カバー11の外面に沿って突出されている。外側係合部31Aは、握り部収容部21側である内面側に、内方へ膨出する外側係合膨出部31aを有している。内側係合部32Aは、第1カバー11の縁部にける厚さ方向の中央部分から突出されている。内側係合部32Aは、握り部収容部21と反対側である外面側に、外方へ膨出する内側係合膨出部32aを有している。
【0023】
両端のうち他方の係合機能部30は、装着される握り押ボタン式子機1のケーブル側(図6(c)のB−B線の付近)に設けられている。この係合機能部30は、短手方向(各図中のX方向)において第1カバー11の握り部収容部21の一方の縁部に形成された外側係合部(第1係合部の一例)31Bと他方の縁部に形成された内側係合部32Bとから構成されている。図8に示すように、外側係合部31Bは、第1カバー11の縁部において、第1カバー11の外面に沿って突出されている。外側係合部31Bは、握り部収容部21側である内面側に、内方へ膨出する外側係合膨出部31bを有している。内側係合部32Bは、第1カバー11の内壁面21aに沿って突出されている。内側係合部32Bは、握り部収容部21と反対側である外面側に、外方へ膨出する内側係合膨出部32bを有している。
【0024】
また、第1カバー11は、図5〜6に示すように、長手方向の中央部分に、嵌合機能部40を有している。嵌合機能部40は、第1カバー11の一方の縁部に形成された突出嵌合部41と他方の縁部に形成された凹状嵌合部42とから構成されている。
【0025】
第1カバー11には、短手方向(各図中のX方向)における両縁部の内壁面21aに、逃げ凹部45が形成されている。これらの逃げ凹部45には、握り部収容部21に握り押ボタン式子機1の一部を収容させた際に、握り押ボタン式子機1の呼出握りボタン4が収容される。逃げ凹部45は、その深さ寸法が、呼出握りボタン4の突出寸法よりも僅かに大きくされている。
【0026】
第1カバー11は、第2カバー12と組み合わせるときに第2カバー12と付き合わされる縁部において、係合機能部30および嵌合機能部40以外の部分が突き合わせ部48とされている。
【0027】
第2カバー12は、これまで図5図8を参照して説明した第1カバー11と同一形状とされている。第2カバー12は、第1カバー11の握り部収容部21に半分が収容された握り押ボタン式子機1の残りの半分を収容可能な握り部収容部(第2収容部の一例)21を有しており、中央部分に窓部22を有している。第2カバー12も、外側係合部31A,31Bと内側係合部(第2係合部の一例)32A,32Bを有する係合機能部30、突出嵌合部41と凹状嵌合部42とからなる嵌合機能部40、および握り押ボタン式子機1の呼出握りボタン4が収容される逃げ凹部45が設けられている。また、第2カバー12も、その縁部における係合機能部30および嵌合機能部40以外の部分が突き合わせ部48とされている。
【0028】
次に、図9図11を参照して、アタッチメント10が装着された握り押ボタン式子機1の断面形状を説明する。
図9に示すように、図3におけるC−C線の位置において(図6(c)におけるA−A線の位置に相当)、第1カバー11および第2カバー12が握り押ボタン式子機1の握り部1aに組み付けられた状態で、第2カバー12の内側係合部32Aは、第1カバー11の外側係合部31Aの側面S1と握り部1aの外周面O1とで形成された凹部50に嵌合されている。同様に、第1カバー11の内側係合部32Aは、第2カバー12の外側係合部31Aの側面S2と握り部1aの外周面O2とで形成された凹部50に嵌合されている。
【0029】
また、図10に示すように、図3におけるD−D線の位置において(図6(c)におけるB−B線の位置に相当)、第1カバー11および第2カバー12が握り押ボタン式子機1の握り部1aに組み付けられた状態で、第2カバー12の内側係合部32Bは、第1カバー11の外側係合部31Bの側面S3と握り部1aの外周面O3とで形成された凹部50に嵌合されている。同様に、第1カバー11の内側係合部32Bは、第2カバー12の外側係合部31Bの側面S4と握り部1aの外周面O4とで形成された凹部50に嵌合されている。
【0030】
また、図11に示すように、第1カバー11と第2カバー12との突き合わせ箇所では、突出嵌合部41と凹状嵌合部42とが互いに嵌合され、係合機能部30および嵌合機能部40以外の部分の突き合わせ部48同士が互いにほぼ隙間なく突き合わされている。
【0031】
また、図12に示すように、第1カバー11と第2カバー12とが突き合わされることで、それぞれの逃げ凹部45が組み合わされ、これらの組み合わされた逃げ凹部45内に、握り押ボタン式子機1の呼出握りボタン4が収容されている。
【0032】
次に、アタッチメント10を握り押ボタン式子機1に装着する場合の係合機能部30の動作について説明する。図13の(a)から(c)は、図3のC−C線の位置における、それぞれ第1カバー11および第2カバー12の係合部分の動作を示している。
【0033】
装着の際、例えば最初に、握り部収容部21を上方へ向けた第1カバー11に対して、握り押ボタン式子機1の握り部1aを嵌め込む。
【0034】
このようにすると、図13(a)に示すように、第1カバー11の握り部収容部21内に、握り押ボタン式子機1の握り部1aの一部である下半分が収容され、握り部1aの外周面が第1カバー11の握り部収容部21の内壁面21aに接触する。この状態で、第1カバー11の外側係合部31Aの側面S1と握り部1aの外周面O1とで凹部50が形成される。
【0035】
次に、握り押ボタン式子機1の上方側から、握り部収容部21を下方へ向けた第2カバー12を握り押ボタン式子機1に被せるように、第1カバー11へ近接させる。このようにすると、第1カバー11の外側係合部31Aに対して第2カバー12の内側係合部32Aが近接される。
【0036】
さらに、第1カバー11に対して第2カバー12を近接させると、図13(b)に示すように、第1カバー11の外側係合部31Aに第2カバー12の内側係合部32Aが接触し、第1カバー11の外側係合部31Aの外側係合膨出部31aと第2カバー12の内側係合部32Aの内側係合膨出部32aとが摺動する。これにより、第1カバー11の外側係合部31Aが僅かに外側へ弾性変形されるとともに、第2カバー12の内側係合部32Aが僅かに内側へ弾性変形される。
【0037】
その後、図13(c)に示すように、第1カバー11の外側係合部31Aの側面S1と握り部1aの外周面O1とで形成された凹部50内に、第2カバー12の内側係合部32Aが嵌合される。この状態で、弾性変形されていた第1カバー11の外側係合部31Aおよび第2カバー12の内側係合部32Aが復元する。したがって、第1カバー11の外側係合部31Aと第2カバー12の内側係合部32Aとが係合する。また、図示せぬ反対側では、同様に、第1カバー11の内側係合部32Aと第2カバー12の外側係合部31Aとが係合する(図9参照)。
【0038】
また、図3のD−D線の位置における、それぞれ第1カバー11および第2カバー12の係合部分も図14に示すように同様に動作する。
【0039】
このようにして、第1カバー11と第2カバー12とが握り押ボタン式子機1とともに互いに係合することで、握り押ボタン式子機1に第1カバー11と第2カバー12とからなるアタッチメント10が装着される。この状態で、第2カバー12の握り部収容部21内に握り押ボタン式子機1の握り部1aの一部である上半分が収容され、握り部1aの外周面が第2カバー12の握り部収容部21の内壁面21aと接触される。そして、握り押ボタン式子機1にアタッチメント10が装着された状態で、第1カバー11、第2カバー12および握り押ボタン式子機1が互いに位置決めされる。
【0040】
ここで、第1カバー11と第2カバー12とが握り押ボタン式子機1に装着された状態において、外側係合部31A,31Bが突出する方向を第1方向(各図中の±Y方向)とし、この第1方向と垂直に交差するとともに外側係合部31A,31Bの内側の側面が握り部1aの外周面と対向する向きを第2方向(各図中の±X方向)とする。すると、第1カバー11と第2カバー12とを握り押ボタン式子機1に装着した状態において、外側係合部31A(31B)と内側係合部32A(32B)とが係合することによって、第1カバー11と第2カバー12とが互いに第1方向に沿って移動することが規制される。また、第1カバー11の握り部収容部21の内壁面21aおよび第2カバー12の握り部収容部21の内壁面21aが握り部1aの外周面に接触することによって、第1カバー11と第2カバー12とが互いに第2方向に沿って移動することが規制される。
【0041】
また、握り押ボタン式子機1にアタッチメント10を装着すると、第1カバー11および第2カバー12のそれぞれの嵌合機能部40において、突出嵌合部41が凹状嵌合部42に嵌合される。これによって、第1カバー11と第2カバー12とがさらに位置決めされ、長手方向(図中の±Z方向)への移動が規制される(図11等参照)。
【0042】
また、握り押ボタン式子機1にアタッチメント10を装着した状態で、第1カバー11および第2カバー12の逃げ凹部45に握り押ボタン式子機1の呼出握りボタン4が、僅かに隙間をあけた状態で収容される。これにより、呼出握りボタン4は、第1カバー11および第2カバー12によって、その外方が覆われる。
【0043】
また、アタッチメント10は、第1カバー11および第2カバー12の突き合わせ部48において、互いの縁部が突き合わされる。
【0044】
ところで、特許文献1に記載のアタッチメントは、レバー部が、メス型嵌合部を有する第1のアームと、オス型嵌合部を有する第2のアームとで構成されている。これらのメス型嵌合部とオス型嵌合部とが嵌合された部分の周囲において、レバー部(各アーム)と握り押ボタン式子機の外周面との間に隙間が形成されている。このため、医療従事者や患者等が、アタッチメントが装着された状態の握り押ボタン式子機を手から滑らせて、床に落下させてしまった場合、隙間の分だけ握り押ボタン式子機とレバー部との位置関係がずれて、レバー部のメス型嵌合部とオス型嵌合部とが嵌合する部分に落下による衝撃力が集中して、アタッチメントが握り押ボタン式子機から外れてしまう場合がある。
【0045】
これに対し、本実施形態の構成では、握り押ボタン式子機1の握り部1aと、第1カバー11と、第2カバー12との3つの部材によって、3つの部材の位置が互いに位置決めされる位置決め構造が成立している。さらに、アタッチメント10を装着した状態において、第1カバー11と第2カバー12との係合部分の周囲では、装着される握り押ボタン式子機1の握り部1aの外周面が第1カバー11および第2カバー12の握り部収容部21の内壁面21aに密着している。これにより、アタッチメント10が装着された状態の握り押ボタン式子機1を手から滑らせて、床に落下させてしまった場合であっても、握り押ボタン式子機1とアタッチメント10との位置関係が大きくずれることはない。したがって、アタッチメントが装着された状態の握り押ボタン式子機を手から滑らせて、床に落下させてしまった場合であっても、アタッチメント10は外れにくい。
【0046】
また、特許文献1に記載のアタッチメントは、レバー部が、メス型嵌合部を有する第1のアームと、オス型嵌合部を有する第2のアームとで構成されている。この構成では、握り押ボタン式子機が床に落下した場合に、レバー部のメス型嵌合部とオス型嵌合部とが嵌合する部分において、衝撃力の三方向の成分の全てを受けとめることになり、嵌合部分への負荷が大きくなり、アタッチメントが外れ易い。
【0047】
これに対し、本実施形態の構成では、握り押ボタン式子機1のアタッチメント10に対する移動を規制する箇所が分散している。
【0048】
具体的には、第1カバー11の外側係合部31Aと第2カバー12の内側係合部32Aとが係合し、第1カバー11の内側係合部32Aと第2カバー12の外側係合部31Aとが係合することで、第1カバー11と第2カバー12とが対向する方向(各図中の±Y方向)に沿って移動することが規制されている。
【0049】
また、第1カバー11の外側係合部31Bと第2カバー12の内側係合部32Bとが係合し、第1カバー11の内側係合部32Bと第2カバー12の外側係合部31Bとが係合することで、第1カバー11と第2カバー12とが上述の第1方向(各図中の±Y方向)に沿って移動することが規制されている。
【0050】
また、第1カバー11の握り部収容部21の内壁面21aおよび第2カバー12の握り部収容部21の内壁面21aが握り部1aの外周面に接触することによって、第1カバー11と第2カバー12とが互いに上述の第2方向(各図中の±X方向)に沿って移動することが規制されている。
【0051】
また、第1カバー11および第2カバー12のそれぞれの嵌合機能部40において、突出嵌合部41が凹状嵌合部42に嵌合されることによって、第1カバー11と第2カバー12とが長手方向(図中の±Z方向)へ移動することが規制されている。
【0052】
このように、一か所ではなく、握り押ボタン式子機1の長手方向に沿って異なる場所で、衝撃力の上下左右前後の三方向(±X,±Y,±Zの3方向)の成分をそれぞれ分散させて受け止めている。このため、握り押ボタン式子機1が床に落下した場合であっても、一か所の係合部分に衝撃力の三方向の成分が集中することがなく、外れにくい。しかも、アタッチメント10を装着する際には、アタッチメント10を装着するための力も分散される。このため、握り押ボタン式子機1へアタッチメント10を容易に装着することができる。
【0053】
また、アタッチメント10を構成する第1カバー11と第2カバー12とが同一形状とされている。したがって、これらの第1カバー11および第2カバー12を同じ金型で製造でき、製造コストを抑えることができる。
【0054】
ところで、ナースコール装置の握り押ボタン式子機1では、握り部1aの端面の呼出押ボタン3だけでなく、本実施形態で示したように、握り面である側面にも呼び出しのための呼出握りボタン4が設けられている。これは、手の力が弱い人のために設けたものであるが、患者によっては、この握り部1aの側面の呼出握りボタン4を誤って触って、誤呼び出ししてしまう場合がある。そこで、握り押ボタン式子機1には、その付属品として、アタッチメント10がある。
【0055】
しかしながら、特許文献1のアタッチメントのように、レバー部と握り押ボタン式子機との間に隙間があると、前述したように、医療従事者や患者等が、アタッチメントが装着された状態の握り押ボタン式子機を手から滑らせて、床に落下させてしまった場合、隙間の分だけ握り押ボタン式子機とレバー部との位置関係がずれて、握り面のスイッチが押下されて、誤呼び出ししてしまう場合がある。
【0056】
これに対し、本実施形態では、床に落下させてしまった場合であっても、握り押ボタン式子機1とアタッチメント10との位置関係が大きくずれることはなく、落下時の衝撃力によって呼出握りボタン4が押下されて誤呼び出ししてしまうことを抑制できる。
【0057】
なお、本発明は、ナースコール装置の握り押ボタン式子機1に装着するアタッチメント10を例示して説明したが、アタッチメント10の装着対象の装置は、ナースコール装置の握り押ボタン式子機1に限らない。本発明は、押ボタンが握り部に設けられる握り押ボタン式子機であれば、例えば、インターホンの子機などに装着されるアタッチメントにも応用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:握り押ボタン式子機、1a:握り部、3:呼出押ボタン、4:呼出握りボタン、10:アタッチメント、11:第1カバー、12:第2カバー、21:握り部収容部(第1収容部の一例,第2収容部の一例)、31A,31B:外側係合部(第1係合部の一例)、32A,32B:内側係合部(第2係合部の一例)、21a:内壁面、50:凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14