特許第6232354号(P6232354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232354
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】入退出管理システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20171106BHJP
   G07C 9/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   E05B49/00 Z
   G07C9/00
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-167042(P2014-167042)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-44402(P2016-44402A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】高塚 理
(72)【発明者】
【氏名】柏木 亨
(72)【発明者】
【氏名】砂畑 和人
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】窪田 大輔
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3122710(JP,U)
【文献】 特開2013−185346(JP,A)
【文献】 特開2006−125054(JP,A)
【文献】 特開2006−336255(JP,A)
【文献】 特開2009−075944(JP,A)
【文献】 米国特許第04079605(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の出入口に設けた扉の電気錠を制御する入退出制御装置と、
前記施設の出入口又はその近傍に設置され、前記施設を特定する所定の施設識別情報を提供可能な標識装置と、
前記施設の入退出情報を管理する上位装置と、
前記施設を利用する利用者が携帯し、前記上位装置及び前記入退出制御装置と通信接続可能な利用者端末と、
を備え、
前記上位装置の制御部は、前記施設を特定する施設識別情報を含む所定のキーワードを生成して前記利用者端末に送信し、
前記利用者端末の制御部は、前記上位装置から送信された前記キーワードを受信して保存し、前記標識装置から前記施設識別情報を取得した場合に前記キーワードに含まれる施設識別情報と照合し、両者の照合一致を検出した場合に、前記入退出制御装置に解錠制御信号を送信して前記電気錠を解錠させることを特徴とする入退出管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の入退出管理システムに於いて、
前記標識装置は、前記施設識別情報を含む所定のバーコード、二次元コード、又はステガノグラフィ画像であり、
前記利用者端末は、前記バーコード、二次元コード、又はステガノグラフィ画像の読取りにより前記施設識別情報を取得し、前記キーワードに含まれる施設識別情報との照合一致を検出した場合に、前記入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解錠させることを特徴とする入退出管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の入退出管理システムに於いて、
前記標識装置は、所定の読出要求信号を受信した場合に前記施設識別情報を含む読出応答信号を送信する非接触ICタグを含む通信タグであり、
前記利用者端末は、前記通信タグに通信接続して前記施設識別情報を取得し、前記キーワードに含まれる施設識別情報との照合一致を検出した場合に、前記入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解錠させることを特徴とする入退出管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の入退出管理システムに於いて、
前記標識装置は、前記施設識別情報を含む標識信号を繰り返し送信するビーコン装置であり、
前記利用者端末は、前記ビーコン装置の標識信号を受信して前記施設識別情報を取得し、前記キーワードに含まれる施設識別番号との照合一致を検出した場合に、前記入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解錠させることを特徴とする入退出管理システム。
【請求項5】
請求項1記載の入退出管理システムに於いて、
前記上位装置は、前記キーワードを所定の暗号化規則に従って暗号化して送信し、
前記利用者端末は、前記上位装置から受信した暗号化キーワードを前記暗号化規則に従って復号した前記キーワードから前記施設識別情報を取り出して保存することを特徴とする入退出管理システム。
【請求項6】
請求項1記載の入退出管理システムに於いて、
前記利用者端末は、前記入退出制御装置に解錠制御信号を送信した履歴情報を前記上位装置に送信し、
前記上位装置は、前記利用者端末から送信された履歴情報を受信して管理することを特徴とする入退出管理システム。
【請求項7】
請求項1記載の入退出管理システムに於いて、
前記上位装置は、
前記施設識別情報を含む前記キーワードを生成すると共にキーワード取得指示を埋め込んだ案内メールを前記利用者端末に送信し、
前記利用者端末からキーワード取得要求を受信した場合に前記キーワードを送信し、
前記利用者端末は、
前記上位装置から受信した前記案内メールを開いて前記キーワード取得指示を操作した場合に前記上位装置にキーワード取得要求を送信し、
前記上位装置から前記キーワードを受信した場合に前記施設識別情報を取出して保存する、
ことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項8】
請求項7記載の入退出管理システムに於いて、
前記上位装置は、前記キーワードを生成してから所定の有効期間が切れる毎に、前記施設識別情報を含む新たなキーワードを生成して更新すると共にキーワード取得指示を埋め込んだ更新案内メールを前記利用者端末に送信して前記更新したキーワードを取得させることを特徴とする入退出管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設への入退出を許可された利用者によるアクセスを認識して電気錠を制御する入退出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルなどの施設にあっては、扉外側に設置したカードリーダ等の読取端末で、利用者が保有するカードから読み取った利用者ID情報を入退出制御盤で受信し、予め登録した利用者識別情報(以下(利用者ID)という)との一致を判別した場合に、扉の電気錠を解錠する入退出管理システムを設置して関係者以外の第三者が施設内に入らないように管理している。
【0003】
読取端末と電気錠を信号線により接続した複数の入退出制御盤に対しては管理装置を設けており、入退出を許可する多数の利用者の利用者IDを管理装置で事前登録して一元的に管理しており、入退出制御盤毎に分けて管理装置から利用者IDをダウンロードして登録することで、施設に入ることを許可された利用者をそのカード読取により認識可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−133182号公報
【特許文献2】特開2013−091964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の入退出管理システムにあっては、電気錠を設けた施設の扉毎に利用者のガードを読み取る読取端末を設ける必要があることから、オフィスビル等の規模の大きな施設にあっては、多数の読取端末を設置する必要があり、システムコストが高くなると共に読取端末の維持管理にも手間と時間がかかる問題がある。
【0006】
また、読取端末と扉の電気錠を接続した入退出制御盤に、管理装置から入室を許可する利用者の利用者IDを事前にダウンロードして登録しておく必要があり、施設を利用する利用者に変動があった場合には、管理装置において、新たな利用者IDの追加登録、許可を取り消す利用者IDの消去、若しくは配置転換等により利用可能とする施設に対する利用者IDの変更等といった管理業務を日常的に行っている。
【0007】
このような管理装置における利用者IDの登録、消去、変更といった管理業務は、利用者変動が予定される日の前日までに担当者が行わなければならない業務であり、会社組織等で人事異動が予定される期日前等には、多数の利用者IDの変動が発生し、迅速且つ適切な業務処理が必要とされ、入退出システムを運用管理する部門において大きな作業負担を招いているという運用上の問題がある。
【0008】
本発明は、利用者が保有するカードと施設出入口に設置する利用者カードの読取端末を不要として設備コストを大幅に低減可能とする入退出管理システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、利用者カードとその読取端末の廃止に伴い、管理等の上位装置における利用者IDの登録、変更、消去等の管理業務を不要にして運用管理の業務負担を低減可能とする入退出管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(入退出管理システム)
本発明は、入退出管理システムに於いて、
施設の出入口に設けた扉の電気錠を制御する入退出制御装置と、
施設の出入口又はその近傍に設置され、施設を特定する所定の施設識別情報を提供可能な標識装置と、
施設の入退出情報を管理する上位装置と、
施設を利用する利用者が携帯し、上位装置及び入退出制御装置と通信接続可能な利用者端末と、
を備え、
上位装置の制御部は、施設を特定する施設識別情報を含む所定のキーワードを生成して利用者端末に送信し、
利用者端末の制御部は、上位装置から送信されたキーワードを受信して保存し、標識装置から施設識別情報を取得した場合にキーワードに含まれる施設識別情報と照合し、両者の照合一致を検出した場合に、入退出制御装置に解錠制御信号を送信して電気錠を解錠させることを特徴とする。
【0011】
(バーコード等)
標識装置は、記施設識別情報を含む所定のバーコード、二次元コード、又はステガノグラフィ画像であり、
利用者端末は、バーコード又はステガノグラフィ画像の読取りにより施設識別情報を取得し、キーワードに含まれる施設識別情報との照合一致を検出した場合に、入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解錠させる。
【0012】
(通信タグ)
標識装置は、所定の読出要求信号を受信した場合に施設識別情報を含む読出応答信号を送信する非接触ICタグを含む通信タグであり、
利用者端末は、通信タグに通信接続して施設識別情報を取得し、キーワードに含まれる施設識別情報との照合一致を検出した場合に、入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解除させる。
【0013】
(ビーコン装置)
標識装置は、施設識別情報を含む標識信号を繰り返し送信するビーコン装置であり、
利用者端末は、ビーコン装置の標識信号を受信して施設識別情報を取得し、キーワードに含まれる施設識別情報との照合一致を検出した場合に、入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解錠させる。
【0014】
(キーワードの暗号化通信)
上位装置は、キーワードを所定の暗号化規則に従って暗号化して送信し、
利用者端末は、上位装置から受信した暗号化キーワードを暗号化規則に従って復号したキーワードから施設識別情報を取り出して保存する。
【0015】
(履歴情報の管理)
利用者端末は、入退出制御装置に解錠制御信号を送信した履歴情報を前記上位装置に送信し、上位装置は、利用者端末から送信された履歴情報を受信して管理する。
【0016】
(キーワードの取得)
上位装置は、
施設識別情報を含むキーワードを生成すると共にキーワード取得指示を埋め込んだ案内メールを利用者端末に送信し、
利用者端末からキーワード取得要求を受信した場合にキーワードを送信し、
利用者端末は、
上位装置から受信した案内メールを開いてキーワード取得指示を操作した場合に上位装置にキーワード取得要求を送信し、
上位装置からキーワードを受信した場合に施設識別情報を取出して保存する。
【0017】
(キーワードの更新)
上位装置は、キーワードを生成してから所定の有効期間が切れる毎に、施設識別情報を含む新たなキーワードを生成して更新すると共にキーワード取得指示を埋め込んだ更新案内メールを利用者端末に送信して更新したキーワードを取得させる。
【発明の効果】
【0018】
(基本的な効果)
本発明は、入退出管理システムとして、施設の出入口に設けた扉の電気錠を制御する入退出制御装置と、施設の出入口又はその近傍に設置され、施設を特定する所定の施設識別情報を提供可能な標識装置と、施設の入退出情報を管理する上位装置と、施設を利用する利用者が携帯し、上位装置及び入退出制御装置と通信接続可能な利用者端末とを備え、上位装置の制御部は、施設を特定する施設識別情報を含む所定のキーワードを生成して利用者端末に送信し、利用者端末の制御部は、上位装置から送信されたキーワードを受信して保存し、標識装置から施設識別情報を取得した場合にキーワードに含まれる施設識別情報と照合し、両者の照合一致を検出した場合に、入退出制御装置に解錠制御信号を送信して電気錠を解錠させるようにしたため、利用者は自分の保有するスマートフォン等の携帯電話端末を利用者端末として使用し、入退出に先立ち上位装置として機能する例えば管理装置から施設識別情報を含むキーワードを取得して保存しておき、施設に入る場合には、扉の近傍に設置している標識装置からその施設を示す施設識別情報を読み取ってキーワードの施設識別情報と一致すると解錠制御信号を送信して電気錠を解錠することができ、従来システムで利用者が保有するカードと施設の出入口に設置してカードを読み取る読取端末を廃止したことで、システム構成を簡単にし、また、多数の読取端末の維持管理の手間が不要となり、設備コスト及び設備の運用コストを大幅に低減可能とする。
【0019】
また、利用者端末として利用者が所有している携帯電話端末を利用し、そこに上位装置から入退出制御に必要なアプリケーションプログラムをダウンロードして、キーワードの取得と取得したキーワードの施設識別情報と施設出入口の標識から取得した施設識別情報の照合一致という簡単な処理で扉の電気錠を解錠することができ、システム構成機器としては、扉の電気錠を制御する入退出制御盤、扉外側に配置する標識装置、利用者端末にキーワードを送って管理する管理装置等の上位装置だけあればよく、更に、利用者端末は上位装置及び入退出制御装置に無線により通信接続可能とすることで、システム構成機器の間の有線接続を基本的に不要とし、設備構成の簡略化とコスト低減を可能とする。
【0020】
また、上位装置にあっては、施設の利用を許可する利用者端末として携帯電話端末を利用する場合には、利用者毎に利用者端末として使用する携帯電話端末に通信接続可能な電話番号やメールアドレスを登録して管理し、電気錠の解錠制御に使用するキーワードは同じで、その中に含まれる施設識別情報を各施設に固有な値としておけばよく、利用者単位の識別情報ではなく、施設単位の識別情報だけで済み、膨大な数の利用者識別情報に対し、施設単位の識別情報はその数が大幅に低減し、利用者の追加、消去、変更等に対し、上位装置で対応を簡単且つ容易にすることを可能とする。
【0021】
(バーコードを標識装置とする効果)
標識装置は、施設識別情報を含む所定のバーコード、二次元コード又はステガノグラフィ画像であり、利用者端末は、バーコード、二次元コード又はステガノグラフィ画像の読取りにより施設識別情報を取得し、キーワードに含まれる施設識別情報との照合一致を検出した場合に、入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解錠させるようにしたため、標識装置としてバーコード、二次元コード又はステガノグラフィ画像を印刷したシートを貼ったり又はプレートを貼り付けて置くだけで済み、設置も容易でコスト的な負担も極めて少なくできる。
【0022】
また、バーコードやステガノクラフィ画像は利用者端末のカメラ機能により撮像して処理することで電気錠の解錠制御が簡単にできる。
(通信タグを標識装置とする効果)
また、標識装置は、所定の読出要求信号を受信した場合に施設識別情報を含む読出応答信号を送信する非接触ICタグを含む通信タグであり、利用者端末は、通信タグに通信接続して施設識別情報を取得し、キーワードに含まれる施設識別情報との照合一致を検出した場合に、入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解除させるようにしたため、1〜2メートル程度の近距離通信を可能とするICタグなどの通信タグを標識装置として設置しておくことで、施設の扉に近づいた場合に通信タグに利用者端末が通信接続して施設識別情報を取得することで、電気錠の解錠制御が簡単にできる。
【0023】
(ビーコン装置を標識装置とする効果)
また、標識装置は、施設識別情報を含む標識信号を繰り返し送信するビーコン装置であり、利用者端末は、ビーコン装置の標識信号を受信して施設識別情報を取得し、キーワードに含まれる施設識別情報との照合一致を検出した場合に、入退出制御装置に解錠制御信号を送信して解錠させるようにしたため、1〜2メートル程度の近距離通信を可能とするICタグなどのビーコン装置を標識装置として設置しておくことで、施設の扉に近づいた場合にビーコン装置からのビーコン信号を受信して施設識別情報を取得することで、電気錠の解錠制御が簡単にできる。
【0024】
(キーワードの暗号化通信による効果)
上位装置は、キーワードを所定の暗号化規則に従って暗号化して送信し、利用者端末は、上位装置から受信した暗号化キーワードを暗号化規則に従って復号したキーワードから施設識別情報を取り出して保存するようにしたため、システムに固有な暗号化アプリケーションプログラムを準備しておくことで、第三者によるキーワードの取得による不正利用を抑止して高いセキュリティを確保可能とする。
【0025】
(履歴情報の管理)
また、利用者端末は、入退出制御装置に解錠制御信号を送信した履歴情報を上位装置に送信し、上位装置は、利用者端末から送信された履歴情報を受信して管理するようにしたため、上位装置からのアクセスを必要とすることなく、利用者端末からの入退出種の履歴情報を受信して活用可能とする。
【0026】
(キーワードの取得による効果)
上位装置は、施設識別情報を含むキーワードを生成すると共にキーワード取得指示を埋め込んだ案内メールを利用者端末に送信し、利用者端末からキーワード取得要求を受信した場合にキーワードを送信し、利用者端末は、上位装置から受信した案内メールを開いてキーワード取得指示を操作した場合に上位装置にキーワード取得要求を送信し、上位装置からキーワードを受信した場合に施設識別情報を取出して保存するようにしたため、利用者端末は、利用開始時には、上位装置からの案内メールを開いて指定されたキーワード取得操作を行うことで、施設識別情報を含むキーワードを取得して、利用者に許可された施設電気錠の解錠制御が簡単にできる。
【0027】
また、利用者端末におけるキーワードの取得は、上位装置から送られた案内メールを開いて取得操作を行うことで、簡単且つ容易に取得可能とする。
【0028】
(キーワードの更新による効果)
また、キーワードを生成してから所定の有効期間が切れる毎に、施設識別情報を含む新たなキーワードを生成して更新すると共にキーワード取得指示を埋め込んだ更新案内メールを利用者端末に送信して更新したキーワードを取得させるようにしたため、キーワードの有効期限を例えば24時間に設定して1日1回更新することで(施設の重要度に応じて、6時間や12時間あるは1週間なども可能)、第三者によるキーワードの不正取得による利用を確実に防止して高いセキュリティを確保可能とする。
【0029】
また、利用者端末におけるキーワードの更新は、上位装置から送られた更新案内メールを開いて更新操作を行うことで、簡単且つ容易に更新可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】入退出管理システムの概略を示した説明図
図2】入退出管理システムの機能構成を示したブロック図
図3】管理装置に設けた利用者管理ファイルを示した説明図
図4】管理装置により送信するキーワード取得指示を含む案内メールと更新案内メールを示した説明図
図5】管理装置によるキーワードの変更を示した説明図
図6図1及び図2の入退出システムの動作を示したタイムチャート
図7図6に続いてキーワード更新を行う入退出システムの動作を示したタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0031】
[入退出管理システムの概要]
図1は入退出管理システムの概略を示した説明図である。図1に示すように、本実施形態の入退出管理システムは、オフィスビル等の施設を対象に設置されており、一例としてオフィスビルの中にある階に設けた二つの部屋A1,A2を例にとって示している。
【0032】
入退出管理システムは、上位装置として機能する管理装置10、利用者が携帯して保持するスマートフォン等の携帯電話端末を利用した利用者端末12、部屋A1,A2の出入口に設けたドア14の電気錠16を制御する入退出制御装置として機能する入退出制御盤18、及び部屋A1,A2の出入口又はその近傍に設置されて施設を特定する所定の施設識別情報(以下「施設ID」という)を提供可能な標識装置20で構成している。
【0033】
部屋A1,A2のドア14が設置された電気錠16は近傍に設置した入退出制御盤18に信号線接続しており、入退出制御盤18からの制御信号により解錠と施錠が制御される。
【0034】
部屋A1,A2に対応して設置した標識装置20は、部屋A1,A2を特定する所定の施設IDを提供する。標識装置20としては、例えば部屋A1,A2の識別IDを示すバーコード(1次元バーコード又は2次元バーコード等)を印刷したシール又はプレートであり、扉14の外側扉面や扉近傍の壁面等の利用者端末12を使用して読み取り容易な高さに設置している。
【0035】
管理装置10はインターネット22、携帯電話網24及び基地局26を経由して利用者端末12と通信接続可能であり、システムの利用に先立ち、入退出種管理制御に必要なアプリケーションプログラムを利用者端末12にダウンロードしている。
【0036】
また、管理装置10は、部屋A1,A2を特定する施設ID1,ID2を含む所定のキーワード、例えばレコード形式のキーワードを生成し、部屋A1,A2の入室が許可された利用者の保有する利用者端末12にキーワードを暗号化して送信する。
【0037】
管理装置10が生成したキーワードには所定の有効期限があり、例えば24時間の有効期限を設定することで、1日1回のキーワードの更新を行って第三者の不正使用に対するセキュリティを確保している。
【0038】
利用者端末12は管理装置10と通信接続が可能であり、また、近距離無線通信機能を利用して入退出制御盤18とも通信接続を可能としている。また、システムの利用に先立ち管理装置10からダウンロードした入退出制御機能を実現するアプリケーションプログラムをインストールして実行可能としている。
【0039】
また、利用者端末12は所定の操作に基づき、入室か許可された部屋の施設IDを含むキーワードを管理装置10から受信し、キーワードから施設IDを取り出して保存する。例えば部屋A1への入出が許可された利用者の利用者端末12は、所定のキーワード取得操作に基づき、管理装置10から送信されたキーワードを受信し、受信したキーワードに含まれる施設ID1を取出して保存している。
【0040】
本実施形態にあっては、利用者端末12によるキーワードの取得及び更新を容易するため、管理装置10はキーワード操作指示をメール文に埋め込んだ案内メールを送信する。このため利用者端末12は、管理装置10から受信した案内メールを開いてキーワード取得指示を操作することで、キーワードを取得し、その中から施設IDを取り出して保存可能としている。
【0041】
利用者が部屋A1に入る場合には、利用者端末12のカメラ機能を使用して部屋A1の外側に配置している標識装置20のバーコードを読み取る。利用者端末12は、標識装置20のバーコード読み取りにより部屋A1の施設IDxを取得し、管理装置10から受信したキーワードから取り出して保存している施設ID1と照合し、両者の照合一致を検出した場合に、入退出制御盤18に解錠制御信号を送信して電気錠16を解錠させる。
【0042】
このため本実施形態の入退出管理システムは、従来システムで利用者が保有していたカードと施設の出入口に設置してカードを読み取る読取端末が不要となり、設備コスト及び設備の運用コストを大幅に低減可能とする。
【0043】
また、利用者端末12は管理装置10から取得したキーワードの中の施設IDを保存し、部屋のドア外側に設置した標識装置20から取得した施設IDxの照合一致という簡単な処理で扉14の電気錠16を解錠することができ、システム構成機器としては、扉14の電気錠16を制御する入退出制御盤18、扉外側に配置する標識装置20、利用者端末にキーワードを送って管理する管理装置10だけあればよく、利用者端末12は利用者の保有する携帯電話端末などで済み、更に、利用者端末12は管理装置10及び入退出制御盤18に無線により通信接続可能とすることで、システム構成機器の間の有線接続を基本的に不要とし、設備構成の簡略化とコスト低減を可能とする。
【0044】
また、管理装置10にあっては、施設の利用を許可する利用者端末12として携帯電話端末を利用する場合には、利用者毎に利用者端末12として使用する携帯電話端末に通信接続可能な電話番号やメールアドレスを登録して管理し、電気錠16の解錠制御に使用するキーワードは同じで、その中に含まれる施設IDを各部屋に固有な値としておけばよく、利用者単位のIDではなく、部屋単位のIDだけで済み、膨大な数の利用者IDに対し、施設単位のIDはその数が大幅に低減し、利用者の追加、消去、変更等に対し、管理装置10で対応を簡単且つ容易にすることを可能とする。
【0045】
[入退出管理システムの機能構成]
図2は入退出管理システムの機能構成を示したブロック図、図3は管理装置に設けた利用者管理ファイルを示した説明図、図4は管理装置により生成するキーワードを示した説明図、図5は管理装置により送信するキーワード取得指示を含む案内メールと更新案内メールを示した説明図である。
【0046】
(管理装置の機能)
上位装置として機能する管理装置10は、制御部28、通信部30、操作部32、表示部34及び利用者管理ファイル36を備える。制御部28はプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路を使用する。
【0047】
通信部30はインターネット通信プロトコルに従い、インターネット22及び携帯電話通信網24を経由して携帯電話端末を利用した利用者端末12と通信接続し、入退出アプリケーションプログラム、キーワード、メール、履歴情報等の入退出管理に必要な各種の情報を送受信する。
【0048】
操作部32はキーボード、マウス等の入力操作機器を含む、表示部34は液晶からディスプレイである。
【0049】
利用者管理ファイル36には、利用者単位に入退出管理に必要情報を登録して管理している。図3は利用者管理ファイル36の一例であり、オフィスビルに入っている会社組織を例にとっており、社員コード、施設ID、氏名、メールアドレス等を利用者単位に格納している。この内、施設IDは利用者が入室を許可された部屋を示しており、同じ部屋を利用する複数の利用者に共通した値であり、各利用者の利用者端末12に送信するキーワードに、対応する施設IDを含めて送信する。
【0050】
制御部28は、利用者端末12で使用する入退出制御用のアプリケーションプログラムを保存しており、通信部30を介して利用者端末12からダウンロード要求を受信した場合に、アプリケーションプログラムを読み出してダウンロードする制御を行う。
【0051】
また、制御部28は、利用者端末12によるシステム利用開始に伴い図4(A)に示す案内メール62を送信する制御を行う。
【0052】
図4(A)の案内メールは、利用者にキーワードの取得を求める案内メールであり、例えば「施設A1の入場を許可するキーワードを取得してください」とするメール文に続いて「キーワードを取得する」と表記した操作釦としてキーワード取得指示64を配置とている。キーワード取得指示64管理装置10のキーワード取得ページにリンクするURLを埋め込んでいる。
【0053】
このため利用者は利用者端末12で案内メール62を受信した場合、案内メール62を開いてキーワード取得指示64をクリックすると、管理装置10のURLを指定したキーワード取得要求信号が管理装置10へ送信される。
【0054】
管理装置10の制御部28は利用者端末12からのキーワード取得要求信号を受信した場合、図3の利用者管理ファイル36から要求元となった利用者の施設IDを認識し、認識した施設IDを含む既に生成して保持しているキーワードを読出し、通信部30に指示してキーワードを暗号化して利用者端末12に送信する制御を行う。
【0055】
この場合の暗号化としては、例えばSLL(Secure Sockets Later)とする。SLLは、インターネットなどのネットワークでデータを暗号化して送受信するプロトコル(通信手順)であり、データを送受信する一対の機器間で通信を暗号化し、ネットワーク上の他の機器による成りすましやデータの盗み見、改竄などを防ぐことができる。
【0056】
また案内メール62には、利用者が取得するキーワードの有効期限を示しており、管理装置10の制御部28は、生成したキーワードに有効期限を設定して管理している。
【0057】
管理装置10の制御部28は、キーワードの有効期限が切れた場合、新たなキーワードを生成すると共に、図4(B)に示す更新案内メール66を全ての利用者端末12に送信してキーワードの更新を促すように制御する。
【0058】
図4(B)に示す更新案内メール66は、「施設A1の入場を許可するキーワードの有効期限が切れました。新たなキーワードを取得してください」とするメール文に続いて「キーワードを取得する」と表記した操作釦としてキーワード取得指示68を配置し、ここに管理装置10のキーワード取得ページにリンクするURLを埋め込んでいる。
【0059】
このため利用者は利用者端末12で更新案内メール66を受信した場合、更新案内メール68を開いてキーワード取得指示68をクリックすると、管理装置10のURLを指定したキーワード取得要求信号が管理装置10へ送信され、更新されたキーワードを取得できる。
【0060】
管理装置10の制御部28により生成するキーワードは図5に示すようになる。図5(A)は管理装置10で最初に生成したキーワード70であり、キーワード70はヘッダ部70aとデータ部70bを備えたレコード形式のキーワードとしている。
【0061】
ヘッダ部70aには施設IDのデータ長72とデータ部70bにおける格納開始位置を示すオフセット(ビット数)を設けている。データ部70bには、オフセット74で指定した先頭位置からデータ長72で指定したビット長の施設ID76を配置しており、それ以外の空きエリアには任意のダミーデータ78を配置している。
【0062】
図5(A)のキーワード70は例えば24時間の有効期限があり、有効期限が切れる毎に、図5(B)〜(E)に示す新たなキーワード70の生成を順次繰り返す。なお、有効期限は、施設の重要度に応じて、6時間や12時間あるは1週間なども設定可能である。
【0063】
図5(A)〜(E)のキーワード70は、オフセット74の値を変更してデータ部70bにおける施設ID76の先頭位置を順次ずらすラウンドロビンにより更新している。
【0064】
ここで図5(E)のキーワード70は、オフセット74の値が大きくなることで、施設ID76の開始位置が後方にずれ、データ部70bの終端で折り返し、データ部70aの先頭に続くように分離して配置している。
【0065】
また、オフセットの値をランダムに発生又は選択することで、キーワード70を更新しても良い。なお、キーワードの形式は図5に限定されず、施設IDを含む適宜の形式とすることを妨げない。
【0066】
また、管理装置10の制御部28は、利用者端末から定期的に送信される解錠制御を行った年月日時分を示す履歴情報を受信した場合、図示しない履歴管理ファイルに利用者に関連付けて履歴情報を保存し、必要に応じて参照可能とする制御を行う。
【0067】
(利用者端末の機能)
本実施形態の利用者端末12は、個人用の携帯コンピュータの機能を併せもつ携帯電話端末として知られたスマートフォンを例にとっている。
【0068】
図2に示すように、携帯電話端末を使用した利用者端末12は、制御部38、アンテナ42を接続した携帯電話通信部40、アンテナ46を接続した近距離通信部44、カメラ部48、ディスプレイ50、タッチパネル52、マイクとスピーカを設けた通話入出力部54を備える。
【0069】
制御部38は、プロセッサを構成するCPU、メモリ、各種入出力インタフェースを備えたLSIで実現され、インストールされたプログラムを実行する。
【0070】
携帯電話通信部40は、第3世代移動通信システム(3G)として知られたW−CDMAにより携帯電話通信を行う。
【0071】
近距離通信部44は、イーサネット(登録商標)による無線ネットワークをベースにしたIEEE802.11に準拠した無線通信を行い、入退出制御盤18との間に無線LAN回線を確立してデータ伝送を行う。このため近距離通信部44は、無線LANのアクセスポイントとして機能する無線LAN通信機能、例えばデザリング機能を備えている。
【0072】
カメラ部48は、CMOS撮像素子を使用して画像の撮像を行い、静止画及び動画を取得する。
【0073】
ディスプレイ50は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを使用し、パネル表面にはタッチパネル52を配置している。通話入出力部54は、マイク、スピーカ、及びオーディオコーデック(Audio CODEC)を備えて音声入出力を行う。
【0074】
これ以外に制御部38に対しては、IEEE802.16eに準拠したモバイルWiMAX(R)によるモバイル高速移動通信を行う高速移動通信部、米国が運用する周回衛星を使用した全地球測位システム(Global Positioning System)を利用して、現在位置の経度と緯度を取得するための通信を行うGPS通信部、携帯電話番号を識別するための番号であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号を格納し、差し替えにより複数の携帯電話端末で同じ携帯電話番号を利用可能とするSIMカード等を設けているが、図示は省略している。
【0075】
利用者段末12の制御部38は、管理装置10からダウンロードしてインストールした入退出アプリケーションプログラムの実行によりに次の入退出管理制御を行う。
【0076】
制御部38は、管理装置10から受信した図4(A)の案内メール又は図4(B)の更新案内メールを開いてキーワード取得指示64又は68の操作を検出した場合、携帯電話通信部40に指示し、キーワード取得要求信号を管理装置10に送信する制御を行う。
【0077】
また、制御部38は、携帯電話通信部40を介して管理装置10から暗号化キーワードを受信した場合、所定の暗号化規則に従って元のキーワードを復元し、復元したキーワードに含まれる施設IDを取り出して保存する制御を行う。
【0078】
また、制御部38は、カメラ部48によりドアの外側に配置した標識装置20のバーコードを撮像して施設IDを読み取り、キーワードの取得により保存登録している施設IDと照合して照合一致を検出した場合、近距離通信部44に指示して解錠制御信号を入退出制御盤18に送信する制御を行い、これを受信した入退出制御盤18に電気錠16の解錠を行わせる。
【0079】
また、制御部38は、入退出制御盤18に解錠制御信号を送信して電気錠16を解錠させた場合に、解錠の年月日時分を示す履歴情報を生成して保存し、所定のタイミング、例えば24時間で1回行われる管理装置10からの案内メールの受信に連動して、携帯電話通信部40に指示して履歴情報を管理装置10に送信する制御を行う。
【0080】
(入退出制御盤の機能)
入退出制御盤18は、制御部56、アンテナ57を接続した近距離通信部58、及び駆動部60を備え、制御部56は管理装置側から利用者IDを所得して記憶する必要がないことから、少なくとも解錠制御信号の受信検出して解錠駆動信号を出力させる機能を備えた制御回路とする。
【0081】
近距離通信部44は、イーサネット(登録商標)による無線ネットワークをベースにしたIEEE802.11に準拠した無線通信を行い、利用者端末12のアクセスポイントとして機能する近距離通信部44に対しステーションとして機能することにより無線LAN回線を確立してデータ伝送を行う。
【0082】
駆動部60は複数の扉に設けた電気錠16を信号線接続しており、電気錠16に施錠駆動信号又は解錠駆動信号を出力して施錠と解錠を行う。
【0083】
制御部56は、近距離通信部58を介して施錠制御信号を受信した場合、駆動部60に指示して解錠駆動信号を出力する制御を行い、これにより電気錠16を解錠させる。
【0084】
[入退出管理システムの動作]
図6図1及び図2の入退出システムの動作を示したタイムチャート、図7図6に続いてキーワード更新を行う入退出システムの動作を示したタイムチャートである。
【0085】
図6に示すように、利用者端末12はシステム利用に先立ち,ステップS1(以下「ステップ」は省略)で管理装置10に対しダウンロード要求を行い、これを受けて管理装置10はS2で入退出管理アプリケーションプログラムを利用者端末12にダウンロードし、利用者端末12でインストールすることで実行可能とする。
【0086】
管理装置10はS3で全ての施設IDを各々含むキーワードを複数生成して保持し、続いてS4で全ての利用者について、それぞれのメールアドレスを設定した図4(A)に示した案内メール62を生成して送信する。
【0087】
利用者端末12はS5で管理装置10から受信した案内メールを開いてキーワード取得指示の操作を検出すると、S6でキーワード取得要求を管理装置10に送信し、これを受信した管理装置10はS3で施設IDを含むキーワードを暗号化して利用者端末12に送信する。
【0088】
利用者端末12はS8で管理装置10から受信した暗号化キーワードを復号してその中から施設IDを取り出して保存する。これにより利用者端末12を使用した入室が可能となる。
【0089】
利用者が部屋に入る場合には、部屋の外に配置している標識装置20のバーコード等をカメラにより撮像してS9で施設IDxを読み取り、取得したキーワードから取り出して保存している登録施設IDと照合してS10で照合一致を検出すると、S11で解錠制御信号を近距離無線通信により入退出制御盤18に送信し、S12で電気錠16を解錠させる。
【0090】
続いて図7に進み、管理装置10がS13でキーワードの有効期限切れを検出するとS14に進み、施設IDを含む新たなキーワードを生成して更新し、S15で図4(B)に示した更新案内メール66を利用者端末12に送信する。
【0091】
利用者端末12はS16で管理装置10から受信した更新案内メールを開いてキーワード取得指示の操作を検出すると、S18でキーワード取得要求を管理装置10に送信し、これを受信した管理装置10はS17で案内メールのキーワード取得指示の操作を検出すると、S19で施設IDを含む更新済みのキーワードを暗号化して利用者端末12に送信する。
【0092】
利用者端末12はS20で管理装置10から受信した暗号化キーワードを復号してその中から施設IDを取り出して保存する。これにより更新したキーワードに基づく利用者端末12を使用した入室が可能となる。
【0093】
利用者が部屋に入る場合には、部屋の外に配置している標識装置20のバーコード等をカメラによる撮影してS21で施設IDxを読み取り、取得したキーワードから取り出して保存している登録施設IDと照合してS22で照合一致を検出すると、S23で解錠制御信号を近距離無線通信により入退出制御盤18に送信し、S24で入退出制御盤18が電気錠16を解錠させる。
【0094】
[標識装置の他の例]
(ステガノグラフィ画像による標識装置)
図1及び図2に示した標識装置20として、施設識別情報を含む所定のステガノグラフィ画像を印刷したシート又はプレートを配置しても良い。この場合、利用者端末12は、標識装置20として設けたステガノグラフィ画像のカメラ部で撮像して読取って施設IDを取得し、キーワードに含まれる施設IDとの照合一致を検出した場合に、入退出制御盤18に解錠制御信号を送信して電気錠16を解錠させる。
【0095】
この場合にも、標識装置20としてステガノグラフィ画像を印刷したシートを張ったり又はプレートを張り付けて置くだけで済み、設置も容易でコスト的な負担も極めて少なくできる。
【0096】
(非接触ICタグ)
また、図1及び図2に示した標識装置20として、利用者端末12から所定の読出要求信号を受信した場合に施設IDを含む読出応答信号を送信する非接触ICタグ(RFID)を内蔵したシールやネームプレートを配置しても良い。非接触ICは読取信号から電源を得て動作するパッシブ方式のものを使用する。
【0097】
この場合、利用者端末12は非接触ICタグ取機能を備えており、利用者は施設の出入口に設置したシール又はネームプレートに利用者端末12を近づけるか接触させると、非接触ICチップに通信接続して施設IDを取得し、キーワードに含まれる施設IDとの照合一致を検出した場合に、入退出制御盤18に解錠制御信号を送信して電気錠16を解除させる。
【0098】
この場合にも、非接触ICチップを内蔵したシールやネームプレートを張り付けて置くだけで済み、設置も容易でコスト的な負担も極めて少なくできる。
【0099】
(通信タグ)
また、図1及び図2に示した標識装置20として、利用者端末12から所定の読出要求信号を受信した場合に施設IDを含む読出応答信号を送信する近距離通信機能を備えた通信タグを配置しても良い。この場合、通信タグと利用者端末12が通信可能な領域は、通信タグから1〜2メートル程度の範囲内となるように、通信タグの送信電力を設定する。この通信タグには、電源を備えたアクティブ方式の非接触ICタグも含む。
【0100】
利用者端末12は、標識装置12として配置した通信タグとの通信可能距離に近づくと、
通信タグに通信接続して施設IDを取得し、キーワードに含まれる施設IDとの照合一致を検出した場合に、入退出制御盤18に解錠制御信号を送信して電気錠16を解除させる。
【0101】
このため、扉に近づいた場合に通信タグに利用者端末12が通信接続して施設IDを取得することで、電気錠16の解錠制御が簡単にできる。
【0102】
(ビーコン装置)
また、図1及び図2に示した標識装置20として、施設IDを含むビーコン信号を繰り返し送信するビーコン装置を配置しても良い。この場合、ビーコン装置のビーコン信号を利用者端末12が受信可能な領域は、ビーコン装置から1〜2メートル程度の範囲内となるように、ビーコン装置の送信電力を設定する。
【0103】
利用者端末12は、標識装置12として配置したビーコン装置とのビーコン受信可能距離に近づくと、ビーコン信号を受信して施設IDを取得し、キーワードに含まれる施設IDとの照合一致を検出した場合に、入退出制御盤18に解錠制御信号を送信して電気錠16を解除させる。
【0104】
このため、扉に近づいた場合にビーコン装置からのビーコン信号を利用者端末12で受信して施設IDを取得することで、電気錠16の解錠制御が簡単にできる。
【0105】
(室内GPS)
また、標識装置20を設けず、利用者端末12に室内GPS機能を設け、入場が許可された扉を検出した場合に、解錠制御信号を入退出制御盤18に送信して電気錠16を解錠するようにしても良い。
【0106】
[本発明の変形例]
(近距離通信)
上記の実施形態は、利用者端末と入退出制御盤との間の近距離通信として、無線LAN通信を例にとるものであったが、これ以外に、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信等の適宜の近距離通信を使用しても良い。
【0107】
(利用者端末)
上記の実施形態は、利用者端末としてスマートフォン等の携帯電話端末を例にとっているが、これ以外に、広域通信網を経由して管理装置と通信接続可能なタブレット等の音声通話機能を持たない適宜の携帯端末を利用者端末として利用してもよい。
【0108】
(標識装置の施設ID更新)
上記の実施形態にあっては、固定した施設IDを含むキーワードに有効期限を設けて更新しているが、更に、管理装置と通信可能な標識装置の場合、標識装置が提供する施設IDにもキーワードと同じ有効期限を設けて更新し、更新した施設IDを含むキーワードの更新を行うようにしても良い。このような標識装置が提供する施設IDを更新することで、第三者の不正利用に対するセキュリティを更に向上可能とする。
【0109】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0110】
10:管理装置
12:利用者端末
14:ドア
16:電気錠
18:入退出制御盤
20:標識装置
22:インターネット
24:携帯電話網
26:基地局
28,38,56:制御部
36:利用者管理ファイル
40:携帯電話通信部
44,58:近距離通信部
48:カメラ
62:案内メール
64,68:キーワード取得指示
66:更新案内メール
70:キーワード
76:施設ID
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7