特許第6232356号(P6232356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232356船体の吸音構造、船舶及び吸音構造の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232356
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】船体の吸音構造、船舶及び吸音構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   B63G 8/00 20060101AFI20171106BHJP
   B63H 21/30 20060101ALI20171106BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20171106BHJP
   G10K 11/162 20060101ALI20171106BHJP
   G10K 11/172 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B63G8/00 F
   B63H21/30 Z
   G10K11/16 110
   G10K11/16 130
   G10K11/162
   G10K11/172
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-171774(P2014-171774)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-180559(P2015-180559A)
(43)【公開日】2015年10月15日
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-43186(P2014-43186)
(32)【優先日】2014年3月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】大和 禎
(72)【発明者】
【氏名】松山 敬介
(72)【発明者】
【氏名】市川 卓示
(72)【発明者】
【氏名】甲田 貫也
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−067994(JP,A)
【文献】 特開2005−163787(JP,A)
【文献】 実開昭58−050499(JP,U)
【文献】 特開2007−283842(JP,A)
【文献】 実開平07−035916(JP,U)
【文献】 特開2006−256398(JP,A)
【文献】 特開2004−124601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 5/14,11/08,21/30,25/42
B63G 8/00
G10K 11/16−11/178
F02C 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外板と、前記外板の内側に設けられる補強リブとを含んで構成される船殻構造となる船体の吸音構造であって、
前記補強リブを挟んで、前記外板の内側に設けられる多孔板と、
前記外板、前記補強リブ及び前記多孔板によって区画される空間となるバックキャビティと、を備え
前記バックキャビティは、隣接して複数設けられ、
隣接する一方の前記バックキャビティは、前記外板、前記補強リブ及び前記多孔板によって区画される一方で、
隣接する他方の前記バックキャビティは、前記外板、前記補強リブ及び前記補強リブを挟んで、前記外板の内側に設けられる閉塞板によって区画され、
隣接する前記バックキャビティの間に設けられる前記補強リブには、貫通孔が形成されていることを特徴とする船体の吸音構造。
【請求項2】
前記バックキャビティに設けられる吸音材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の船体の吸音構造。
【請求項3】
前記バックキャビティは、前記多孔板と前記外板との間の高さが異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の船体の吸音構造。
【請求項4】
前記多孔板は、前記補強リブに対し、溶接により接合されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の船体の吸音構造。
【請求項5】
前記多孔板は、前記補強リブに対し、締結部材を用いて締結され、
前記多孔板と前記補強リブとの間には、シール部材が設けられることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の船体の吸音構造。
【請求項6】
前記多孔板と前記補強リブとの間に設けられる防振部材を、さらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の船体の吸音構造。
【請求項7】
前記補強リブに取り付けられ、前記防振部材を収容する防振部材収容空間を形成すると共に、形成した前記防振部材収容空間に収容される前記防振部材の位置を規制する位置規制部材を、さらに備えることを特徴とする請求項に記載の船体の吸音構造。
【請求項8】
前記多孔板に被覆して設けられる制振部材を、さらに備えることを特徴とする請求項またはに記載の船体の吸音構造。
【請求項9】
前記多孔板と前記防振部材との間には、シール部材が設けられることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の船体の吸音構造。
【請求項10】
外板と、前記外板の内側に設けられる補強リブとを含んで構成される船殻構造となる船体と、
前記船体に設けられる、請求項1からのいずれか1項に記載の吸音構造と、を備えることを特徴とする船舶。
【請求項11】
外板と、前記外板の内側に設けられる補強リブとを含んで構成される船殻構造となる船体の吸音構造を施工する吸音構造の施工方法であって、
前記補強リブは、前記外板の内側に沿って、格子状に四辺設けられ、
前記吸音構造は、
前記補強リブを挟んで前記外板の内側に設けられ、前記補強リブに沿う四辺を有する方形状の多孔板と、
前記外板、前記補強リブ及び前記多孔板によって区画される空間となるバックキャビティと、
前記多孔板と前記補強リブとの間に設けられる防振部材と、
前記補強リブに取り付けられ、前記防振部材を収容する防振部材収容空間を形成すると共に、形成した前記防振部材収容空間に収容される前記防振部材の位置を規制する位置規制部材と、を備え、
前記補強リブの三辺に対し、前記位置規制部材を取り付けて、前記防振部材収容空間を形成する第1位置規制部材取付工程と、
前記補強リブの三辺に沿って形成される前記防振部材収容空間に、前記防振部材を収容する第1防振部材取付工程と、
前記補強リブの三辺に沿って配置される前記防振部材に対し、前記補強リブの残りの一辺側から前記多孔板を挿入して、前記多孔板の三辺に前記防振部材を取り付ける多孔板取付工程と、
前記多孔板の残りの一辺に対して、前記防振部材を取り付けて、前記多孔板の四辺を前記防振部材で囲む第2防振部材取付工程と、
前記補強リブの残りの一辺に対して、前記位置規制部材を取り付けて、前記多孔板の周囲に設けられる前記防振部材の位置を規制する第2位置規制部材取付工程と、を備えることを特徴とする吸音構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船殻構造となる船体の吸音構造、船舶及び吸音構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶のウォータージェット推進器の後方側に設けられる推進切換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この推進切換装置は、ウォータージェット推進器のポンプケーシングの吐出口に設けられる操舵ケーシングと、操舵ケーシングの内部に設けられる切換弁とを備えている。この操舵ケーシングには、後部に放出口が形成されると共に、底面部に噴射口が形成されている。切換弁は、噴射口を開閉可能に配設され、回動角度が調整自在となっている。また、ウォータージェット推進器は、ポンプケーシングの内部に設けられるインペラを備え、このインペラに接続されるエンジンによって、インペラが回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−11986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、船舶としては、その船体が船殻構造となっているものがある。船殻構造は、外板と、外板の内側に設けられる縦横の補強リブとを用いて構成されている。ここで、特許文献1のように、船舶の内部には、雑音の発生源としてのエンジンが設置される。この場合、エンジンから発生した雑音は、船体を伝搬した後、船体の外部へ伝搬してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、船体の船殻構造を活用して、船体の内部で発生する雑音を低減することができる船体の吸音構造、船舶及び吸音構造の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の船体の吸音構造は、外板と、前記外板の内側に設けられる補強リブとを含んで構成される船殻構造となる船体の吸音構造であって、前記補強リブを挟んで、前記外板の内側に設けられる多孔板と、前記外板、前記補強リブ及び前記多孔板によって区画される空間となるバックキャビティと、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、船体の内部で生じる雑音は、多孔板を通ってバックキャビティに伝搬する。このとき、雑音は、多孔板を通過することによってエネルギーが減衰することから、雑音を減音することができる。また、バックキャビティに伝搬した雑音は、バックキャビティにおける所定の共鳴周波数で共鳴することから、所定の共鳴周波数を含む雑音を減音することができる。このとき、多孔板の開口率等を調整することで、吸音構造における吸音特性(例えば、吸音する周波数の帯域)を変化させることができるため、吸音特性の調整の自由度を高めることができる。以上のように、船体の船殻構造を活用して、船体の内部で発生する雑音を低減することができ、また、吸音特性の調整を多孔板により行うことが可能となる。
【0008】
また、前記バックキャビティに設けられる吸音材をさらに備えることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、バックキャビティに吸音材を配置することで、バックキャビティに伝搬した雑音を吸音することができるため、減音効果をさらに高めることができる。また、吸音特性の調整を吸音材により行うことが可能となる。
【0010】
また、前記バックキャビティは、前記多孔板と前記外板との間の高さが異なっていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、バックキャビティの高さが同一の高さとなる場合に比べて、バックキャビティの高さを異ならせることで、吸音する周波数の帯域を広範囲なものとすることができる。このため、広い周波数帯域において雑音を低減することができるため、減音効果をさらに高めることができる。
【0012】
また、前記バックキャビティは、隣接して複数設けられ、隣接する一方の前記バックキャビティは、前記外板、前記補強リブ及び前記多孔板によって区画される一方で、隣接する他方の前記バックキャビティは、前記外板、前記補強リブ及び前記補強リブを挟んで、前記外板の内側に設けられる閉塞板によって区画され、隣接する前記バックキャビティの間に設けられる前記補強リブには、貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、船体の内部で生じる雑音は、多孔板を通って一方のバックキャビティに伝搬する。また、一方のバックキャビティに伝搬した雑音は、貫通孔を通って他方のバックキャビティに伝搬する。他方のバックキャビティに伝搬した雑音は、一方及び他方のバックキャビティにおける所定の共鳴周波数で共鳴することから、単体のバックキャビティの共鳴周波数よりも低い共鳴周波数を含む雑音を減音することができる。このため、より低い周波数を含む雑音を低減することができるため、雑音の減音効果をさらに高めることができる。
【0014】
また、前記多孔板は、前記補強リブに対し、溶接により接合されることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、多孔板を補強リブに溶接により接合することで、多孔板と補強リブとの間を密着させることができるため、バックキャビティ内の音の伝搬媒質が外部へリークして、雑音が音漏れすることを抑制することができる。
【0016】
また、前記多孔板は、前記補強リブに対し、締結部材を用いて締結され、前記多孔板と前記補強リブとの間には、シール部材が設けられることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、締結部材を用いて、シール部材を介して多孔板を補強リブに締結することで、多孔板と補強リブとの間を密着させることができるため、バックキャビティ内の音の伝搬媒質が外部へリークして、雑音が音漏れすることを抑制することができる。
【0018】
また、前記多孔板と前記補強リブとの間に設けられる防振部材を、さらに備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、防振部材によって、船体の内部で生じる振動が多孔板に伝達することを抑制することができる。このため、船体の内部で生じる振動により多孔板が振動することで、補強リブ及び外板を介して船体外部へ向けて雑音が生じることを抑制することができる。なお、防振部材としては、多孔板の自重を受け止めることが可能なゴム材を用いることが好ましい。
【0020】
また、前記補強リブに取り付けられ、前記防振部材を収容する防振部材収容空間を形成すると共に、形成した前記防振部材収容空間に収容される前記防振部材の位置を規制する位置規制部材を、さらに備えることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、位置規制部材により防振部材の位置を規制することにより、補強リブと多孔板との間に防振部材を適切に位置させることができる。
【0022】
また、前記多孔板に被覆して設けられる制振部材を、さらに備えることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、制振部材により多孔板の質量を増大させることができるため、多孔板の振動を抑制することができる。なお、制振部材としては、例えば、鉛またはゴム等の材料を含んで構成された制振シートである。
【0024】
また、前記多孔板と前記防振部材との間には、シール部材が設けられることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、シール部材により多孔板と防振部材との間を密着させることができるため、バックキャビティ内の音の伝搬媒質が外部へリークして、雑音が音漏れすることを抑制することができる。
【0026】
本発明の船舶は、外板と、前記外板の内側に設けられる補強リブとを含んで構成される船殻構造となる船体と、前記船体に設けられる上記の吸音構造と、を備えることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、船体の内部で発生する雑音を、吸音構造で減音することができるため、船体の外部に雑音が伝搬することを抑制することができる。
【0028】
また、前記吸音構造は、予め要求される吸音力に基づいて導出される施工範囲に沿って設けられ、前記施工範囲は、分割して前記船体に設定可能となっていることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、要求される吸音力によっては、吸音構造を船体の全域に亘って配置する必要がなく、施工範囲を抑制できることから、設置コストの抑制を図ることができる。また、吸音構造の施工範囲を分割できることから、吸音構造を柔軟に配置することができる。
【0030】
本発明の吸音構造の施工方法は、外板と、前記外板の内側に設けられる補強リブとを含んで構成される船殻構造となる船体の吸音構造を施工する吸音構造の施工方法であって、前記補強リブは、前記外板の内側に沿って、格子状に四辺設けられ、前記吸音構造は、前記補強リブを挟んで前記外板の内側に設けられ、前記補強リブに沿う四辺を有する方形状の多孔板と、前記外板、前記補強リブ及び前記多孔板によって区画される空間となるバックキャビティと、前記多孔板と前記補強リブとの間に設けられる防振部材と、前記補強リブに取り付けられ、前記防振部材を収容する防振部材収容空間を形成すると共に、形成した前記防振部材収容空間に収容される前記防振部材の位置を規制する位置規制部材と、を備え、前記補強リブの三辺に対し、前記位置規制部材を取り付けて、前記防振部材収容空間を形成する第1位置規制部材取付工程と、前記補強リブの三辺に沿って形成される前記防振部材収容空間に、前記防振部材を収容する第1防振部材取付工程と、前記補強リブの三辺に沿って配置される前記防振部材に対し、前記補強リブの残りの一辺側から前記多孔板を挿入して、前記多孔板の三辺に前記防振部材を取り付ける多孔板取付工程と、前記多孔板の残りの一辺に対して、前記防振部材を取り付けて、前記多孔板の四辺を前記防振部材で囲む第2防振部材取付工程と、前記補強リブの残りの一辺に対して、前記位置規制部材を取り付けて、前記多孔板の周囲に設けられる前記防振部材の位置を規制する第2位置規制部材取付工程と、を備えることを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、防振部材、位置規制部材及び多孔板を効率良く適切に配置することができるため、吸音構造の設置作業に係る負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施例1に係る船舶の吸音構造を模式的に表した断面図である。
図2図2は、実施例2に係る船舶の吸音構造を模式的に表した断面図である。
図3図3は、実施例3に係る船舶の吸音構造を模式的に表した断面図である。
図4図4は、実施例4に係る船舶の吸音構造を模式的に表した断面図である。
図5図5は、実施例5に係る船舶の吸音構造の一部を拡大して模式的に表した部分断面図である。
図6図6は、実施例6に係る船舶の吸音構造の一部を拡大して模式的に表した部分断面図である。
図7図7は、実施例6に係る船舶の吸音構造の施工方法を示す説明図である。
図8図8は、実施例7に係る船舶の吸音構造の一部を拡大して模式的に表した部分断面図である。
図9図9は、実施例8に係る船舶の吸音構造の施工範囲に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせることも可能である。
【実施例1】
【0034】
図1は、実施例1に係る船舶の吸音構造を模式的に表した断面図である。実施例1の船舶1は、例えば、水上または水中を航行する船舶1であり、船体5と、船体5の内部に設けられるエンジン等の音源6と、船体5に設けられる吸音構造10とを備える。
【0035】
船体5は、外板15と、外板15に設けられる複数の補強リブ16とを有する船殻構造20となっており、船殻構造20は、所定の船体強度を有する構造となっている。外板15は、鋼板で構成されており、船外と船内とを区画している。この外板15は、後述する吸音構造10のバックキャビティ32を区画する部材の一つとなっている。
【0036】
補強リブ16は、外板15の内側(船内側)に沿って設けられており、溶接により外板15に接合されている。この補強リブ16は、外板15と平行となるフランジ部16aと、フランジ部16aと外板15との間に設けられるリブ部16bとにより、断面T字状となるT形鋼となっている。そして、補強リブ16は、リブ部16bの船外側の端部が、外板15の内側に、溶接により接合される。
【0037】
また、補強リブ16は、船体5の幅方向に亘って設けられる複数の横リブ17と、船体5の長さ方向に亘って設けられる複数の縦リブ18とを有している。複数の横リブ17と複数の縦リブ18とは、格子状に配設されている。この補強リブ16は、外板15と同様に、後述する吸音構造10のバックキャビティ32を区画する部材の一つとなっている。
【0038】
このように構成される船体5の内部には、エンジン等の雑音を発生させる音源6が配置されている。音源6は、エンジンに限らず、雑音を発生させるものであれば、いずれであってもよい。この音源6から発生する雑音を減音すべく、船体5には、吸音構造10が設けられている。この吸音構造10は、船体5の船殻構造20を活用した構造となっている。
【0039】
吸音構造10は、補強リブ16を挟んで外板15の反対側に設けられる多孔板31と、外板15、補強リブ16及び多孔板31によって区画されるバックキャビティ32とを有する。
【0040】
多孔板31は、例えば、多孔穴31aが貫通形成された鋼板を用いて構成されている。この多孔板31は、補強リブ16のフランジ部16aの船内側(リブ部16bとは反対側)の面に、溶接により接合されている。このため、多孔板31と補強リブ16との間は、溶接によって気密に封止されている。
【0041】
バックキャビティ32は、外板15、複数の横リブ17、複数の縦リブ18及び多孔板31によって囲まれた空間となっており、多孔穴31aを介して、船体5の内部と連通している。このため、船体5の内部において音源6から発せられた騒音は、多孔穴31aを介して、バックキャビティ32に伝搬する。また、バックキャビティ32は、複数の横リブ17及び複数の縦リブ18によって区画されていることから、外板15に沿って、格子状に複数形成される。
【0042】
このバックキャビティ32は、その空間が所定の共鳴周波数で共鳴する共鳴空間となっており、バックキャビティ32における共鳴周波数は、外板15と多孔板31との間における高さlが、パラメータの一つとなっている。つまり、バックキャビティ32の高さが高ければ高いほど、バックキャビティ32の共鳴周波数は低くなる。このとき、バックキャビティ32は、その高さlが、延在する方向に亘って同じ高さとなっている。
【0043】
従って、船体5の内部の音源6から雑音が発生すると、雑音は、多孔板31の多孔穴31aを介してバックキャビティ32に伝搬する。このとき、雑音が多孔穴31aを通過することで、雑音のエネルギーが減衰する。バックキャビティ32に伝搬した雑音は、バックキャビティ32における所定の共鳴周波数で共鳴することから、所定の共鳴周波数における雑音が減音される。
【0044】
以上のように、実施例1によれば、吸音構造10は、船体5の内部で生じる雑音が多孔板31を通ることで減音することができる。吸音構造10は、バックキャビティ32における所定の共鳴周波数で雑音が共鳴することから、所定の共鳴周波数において雑音を減音することができる。このとき、多孔板31の開口率等を調整することで、吸音構造10における吸音特性(例えば、共鳴周波数の帯域)を変化させることができるため、吸音特性の調整の自由度を高めることができる。以上のように、実施例1の吸音構造10では、船体5の船殻構造20を活用して、船体5の内部で発生する雑音を低減することができ、また、吸音特性の調整を多孔板31により行うことが可能となる。
【実施例2】
【0045】
次に、図2を参照して、実施例2に係る吸音構造50について説明する。図2は、実施例2に係る船舶の吸音構造を模式的に表した断面図である。なお、実施例2では、重複した記載を避けるべく、実施例1と異なる部分について説明し、実施例1と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0046】
図2に示すように、実施例2の吸音構造50は、実施例1のバックキャビティ32に設けられる吸音材51をさらに有している。吸音材51は、雑音によって変形可能な多泡性の樹脂材を用いて構成されており、雑音により変形することで、雑音のエネルギーを減衰可能となっている。この吸音材51は、バックキャビティ32の空間を埋めるように設けられており、形状または材料を変化させることで、吸音構造10における吸音特性を調整することができる。
【0047】
以上のように、実施例2によれば、バックキャビティ32に吸音材51を配置することで、バックキャビティ32に伝搬した雑音を吸音することができるため、減音効果をさらに高めることができる。また、吸音構造10における吸音特性の調整を吸音材51により行うことが可能となる。
【実施例3】
【0048】
次に、図3を参照して、実施例3に係る吸音構造60について説明する。図3は、実施例3に係る船舶の吸音構造を模式的に表した断面図である。なお、実施例3でも、重複した記載を避けるべく、実施例1及び2と異なる部分について説明し、実施例1及び2と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0049】
図3に示すように、実施例3の吸音構造60は、実施例1のバックキャビティ32の高さが、バックキャビティ32が延在する方向(船の幅方向及び長さ方向を含む)において異なっている。具体的に、バックキャビティ32を区画する両側の補強リブ16の高さは、一方(図示左側)の補強リブ16の高さlが、他方(図示右側)の補強リブ16の高さlに比して低くなっている。そして、バックキャビティ32は、その高さlが、一方(図示左側)の補強リブ16から他方(図示右側)の補強リブ16に向かうにつれて高くなっている。
【0050】
以上のように、実施例3によれば、実施例1のようにバックキャビティ32の高さが同一の高さとなる場合に比べて、バックキャビティ32の高さを異ならせることで、バックキャビティ32における共鳴周波数の帯域を広範囲なものとすることができる。このため、広い周波数帯域において雑音を低減することができるため、減音効果をさらに高めることができる。
【0051】
なお、実施例3において、バックキャビティ32の高さは、上記のように補強リブ16の高さが異なることで、異なる高さとなっていたが、この構成に限定されない。例えば、同一の高さとなるバックキャビティ32に対して、バックキャビティ32の高さを異ならせる別体の部材を外板15側に配置することで、バックキャビティ32の高さを異なる高さとしてもよい。また、実施例3の吸音構造60に、実施例2の吸音材51を配置してもよい。
【実施例4】
【0052】
次に、図4を参照して、実施例4に係る吸音構造70について説明する。図4は、実施例4に係る船舶の吸音構造を模式的に表した断面図である。なお、実施例4でも、重複した記載を避けるべく、実施例1から3と異なる部分について説明し、実施例1から3と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0053】
図4に示すように、実施例4の吸音構造70は、隣接するバックキャビティ32のうち、一方(図示右側)のバックキャビティ32が外板15、補強リブ16及び多孔板31によって区画される一方で、他方(図示左側)のバックキャビティ32が外板15、補強リブ16及び閉塞板71によって区画されている。また、吸音構造70は、隣接するバックキャビティ32の間に設けられる補強リブ16に、貫通孔72が形成されている。
【0054】
閉塞板71は、例えば、鋼板を用いて構成されており、補強リブ16のフランジ部16aの船内側(リブ部16bとは反対側)の面に、溶接により接合されている。このため、閉塞板71は、多孔板31と同様に、閉塞板71と補強リブ16との間が溶接によって気密に封止されている。
【0055】
貫通孔72は、隣接するバックキャビティ32同士を連通するために形成されている。このため、隣接するバックキャビティ32は、貫通孔72が設けられることで、単一の大きなバックキャビティ32として取り扱うことが可能となる。つまり、連通するバックキャビティ32は、連通する空間が所定の共鳴周波数で共鳴する共鳴空間となっており、バックキャビティ32における共鳴周波数は、貫通孔72が形成される補強リブ16を挟んで両側にある一対の補強リブ16同士の間の長さLが、パラメータの一つとなる。つまり、長さLが長ければ長いほど、連通するバックキャビティ32の共鳴周波数は低くなる。そして、長さLは、バックキャビティ32の(図1に示す)高さlよりも長くなることから、単体のバックキャビティ32における共鳴周波数よりも低い共鳴周波数を吸音することが可能となる。
【0056】
従って、船体5の内部の音源6から雑音が発生すると、雑音は、多孔板31の多孔穴31aを介してバックキャビティ32に伝搬する。このとき、雑音が多孔穴31aを通過することで、雑音のエネルギーが減衰する。また、バックキャビティ32に伝搬した雑音は、補強リブ16の貫通孔72を介して、隣接する他のバックキャビティ32に伝搬する。隣接する他のバックキャビティ32に伝搬した雑音は、連通するバックキャビティ32(つまり、2つのバックキャビティ32)における所定の共鳴周波数で共鳴することから、所定の共鳴周波数における雑音が減音される。
【0057】
以上のように、実施例4によれば、吸音構造70は、連通するバックキャビティ32における所定の共鳴周波数で雑音が共鳴することから、単体のバックキャビティ32の共鳴周波数よりも低い共鳴周波数を含む雑音を減音することができる。このため、より低い周波数を含む雑音を低減することができるため、雑音の減音効果をさらに高めることができる。
【0058】
なお、連通するバックキャビティ32の数は、2つ以上であればよく、吸音する周波数に応じた共鳴周波数となるように、複数のバックキャビティ32を適宜連通することが好ましい。
【0059】
また、実施例4の吸音構造70と、実施例1の吸音構造10とを組み合わせて設けてもよい。この構成によれば、異なる周波数を吸音することができるため、雑音の減音効果をさらに高めることができる。また、実施例4の吸音構造70に、実施例2の吸音材51を配置してもよい。
【実施例5】
【0060】
次に、図5を参照して、実施例5に係る吸音構造80について説明する。図5は、実施例5に係る船舶の吸音構造の一部を拡大して模式的に表した部分断面図である。なお、実施例5でも、重複した記載を避けるべく、実施例1から4と異なる部分について説明し、実施例1から4と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0061】
図5に示すように、実施例5の吸音構造80は、補強リブ16と多孔板31との間にシール部材81を設け、締結部材82を用いて補強リブ16と多孔板31とを締結固定している。シール部材81は、補強リブ16と多孔板31との間を気密に封止する部材となっており、例えば、ゴム等の樹脂材を用いて構成されている。
【0062】
締結部材82は、ボルト82a及びナット82bを含んで構成されている。ナット82bは、補強リブ16のフランジ部16aの船外側に、溶接により接合される。ボルト82aは、多孔板31の船内側から補強リブ16側に挿通される。このとき、フランジ部16a及びシール部材81は、ボルト82aが挿通可能なように、挿通穴が形成されている。そして、ボルト82aは、シール部材81及びフランジ部16aを通過して、ナット82bに締結される。これにより、多孔板31は、補強リブ16との間を気密に封止した状態で、補強リブ16に締結固定される。
【0063】
以上のように、実施例5によれば、締結部材82を用いて、シール部材81を介して多孔板31を補強リブ16に締結することで、多孔板31と補強リブ16との間を密着させることができるため、バックキャビティ32内の音の伝搬媒質が外部へリークして、雑音が音漏れすることを抑制することができる。このとき、補強リブ16に対する多孔板31の着脱は、締結部材82を用いて簡単に行うことができる。このため、バックキャビティ32内に、実施例2の吸音材51を設ける場合には、吸音材51の交換を簡単に行うことが可能となる。
【実施例6】
【0064】
次に、図6及び図7を参照して、実施例6に係る吸音構造90について説明する。図6は、実施例6に係る船舶の吸音構造の一部を拡大して模式的に表した部分断面図である。図7は、実施例6に係る船舶の吸音構造の施工方法を示す説明図である。なお、実施例6でも、重複した記載を避けるべく、実施例1から5と異なる部分について説明し、実施例1から5と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0065】
図6に示すように、実施例6の吸音構造90は、補強リブ16と多孔板31との間に防振部材91を設け、補強リブ16と多孔板31とを非接触状態としている。具体的に、吸音構造90は、多孔板31と、バックキャビティ32と、吸音材51と、防振部材91と、位置規制部材92と、シール部材93とを有する。なお、補強リブ16、多孔板31、バックキャビティ32及び吸音材51は、他の実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
位置規制部材92は、補強リブ16のフランジ部16aの船内側に、溶接により接合される。この位置規制部材92は、補強リブ16に沿った方向が長手方向となっており、長手方向に沿って長く形成されている。位置規制部材92は、例えば、長手方向に直交する面で切った断面がL字状となるように、板材を直角に折り曲げることで形成されている。位置規制部材92は、直角に折り曲げた屈曲部92aを挟んだ一方側がフランジ部16aの幅中央に取り付けられ、屈曲部92aを挟んだ他方側がフランジ部16aと平行に配置される。このように位置規制部材92を取り付けることで、吸音構造90には、防振部材91を収容する断面方形状(長方体形状)の防振部材収容空間95が形成される。つまり、防振部材収容空間95は、位置規制部材92の長手方向に長い空間となっており、また、補強リブ16のフランジ部16aと位置規制部材92とによって、三方が囲まれると共に一方が開口となる空間に形成される。この位置規制部材92は、防振部材収容空間95に収容される防振部材91の位置を規制する。
【0067】
防振部材91は、防振部材収容空間95に収容される長方体形状の部材であり、例えば、ゴム等の樹脂材を用いた制振用ゴム材により構成されている。この防振部材91は、多孔板31の自重を受け止めることが可能な弾性力を有している。防振部材91には、多孔板31の縁部が挿入されるスリット96が形成されている。スリット96は、防振部材91の一面に長手方向に延びて形成される。この防振部材91は、スリット96側が防振部材収容空間95の開口側となるように、防振部材収容空間95に収容される。
【0068】
シール部材93は、防振部材91のスリット96に挿入される多孔板31と、防振部材91との間を気密に封止する部材となっており、例えば、ゴム等の樹脂材を用いて構成されている。このシール部材93は、船内側における多孔板31と防振部材91との接触部分に設けられ、例えば、シール部材93としてのシールテープを貼着したり、シーリング材を塗布したりする。
【0069】
次に、図7を参照して、吸音構造90の施工方法について説明する。実施例1に記載したように、補強リブ16は、横リブ17及び縦リブ18により格子状となっている(ステップS1)。なお、図7には、2本の縦リブ18と、縦リブ18の下方側に設けられる1本の横リブ17とを図示しているが、縦リブ18の上方側には、1本の横リブ17が設けられてもよい。また、補強リブ16は、図示しない外板15の内側に接合されている。
【0070】
先ず、格子状となる補強リブ16の三辺(三方)に対し、3本の位置規制部材92を溶接等によって取り付ける(ステップS2:第1位置規制部材取付工程)。ステップS2において、3本の位置規制部材92は、その2本が2本の縦リブ18に取り付けられ、その1本が下方側の1本の横リブ17に取り付けられる。このとき、位置規制部材92は、補強リブ16のフランジ部16aと平行となる部位が、バックキャビティ32側(内側)を向くように取り付けられる。このように、3本の位置規制部材92を取り付けることで、三辺の補強リブ16に沿って、3つの防振部材収容空間95を形成する。
【0071】
続いて、3本の位置規制部材92により形成される3つの防振部材収容空間95に、3本の防振部材91を収容する(ステップS3:第1防振部材取付工程)。ステップS3において、各防振部材91は、そのスリット96がバックキャビティ32側(内側)を向くように収容される。
【0072】
この後、格子状となる補強リブ16の残りの一辺(上方)側から下方側に向けて、3本の防振部材91の各スリット96へ多孔板31を挿入することで、多孔板31の三辺が3本の防振部材91に取り付けられる(ステップS4:多孔板取付工程)。これにより、多孔板31は、補強リブ16との間に各防振部材91が挟まれた状態となり、補強リブ16と多孔板31とは非接触状態となる。このとき、多孔板31は、外板15と対向して設けられる。
【0073】
次に、1本の防振部材91を、多孔板31の残りの一辺となる上方側の縁部に取り付ける(ステップS5:第2防振部材取付工程)。これにより、多孔板31の四辺に4本の防振部材91が取り付けられることから、多孔板31の周囲が防振部材91によって取り囲まれる。
【0074】
そして、図示しない補強リブ16の残りの一辺に対し、1本の位置規制部材92を補強リブ16に取り付ける(ステップS5:第2位置規制部材取付工程)。これにより、多孔板31を取り囲む4本の防振部材91を、4本の位置規制部材92で取り囲むことで、各位置規制部材92により各防振部材91の位置を規制する。
【0075】
このように、多孔板31を外板15と対向して配置し、また、多孔板31の周囲に4本の防振部材91及び4本の位置規制部材92を取り付けることで、外板15、補強リブ16及び多孔板31によりバックキャビティ32が区画される(ステップS6)。この後、防振部材91と多孔板31との間にシール部材93を配置することで、防振部材91と多孔板31との間を密閉し、図6に示す吸音構造90が形成される。
【0076】
以上のように、実施例6によれば、防振部材91によって、船体5の内部で生じる振動が多孔板31に伝達することを抑制することができる。このため、船体5の内部で生じる振動により多孔板31が共振することで、補強リブ16及び外板15を介して船体5外部へ向けて雑音が発生することを抑制することができる。なお、防振部材91として、多孔板31の自重を受け止めることが可能な制振用ゴム材を用いることで、防振部材91に多孔板31の自重が加わったとしても、防振部材91は、多孔板31への振動の伝達を適切に抑制することができる。
【0077】
また、実施例6によれば、位置規制部材92により、防振部材91の位置を規制することができるため、補強リブ16と多孔板31との間に防振部材91を適切に位置させることができる。
【0078】
また、実施例6によれば、ステップS1からステップS6までの各工程を行うことで、防振部材91、位置規制部材92、シール部材93及び多孔板31を効率良く適切に配置することができるため、吸音構造90の設置作業に係る負荷を軽減することができる。
【実施例7】
【0079】
次に、図8を参照して、実施例7に係る吸音構造100について説明する。図8は、実施例7に係る船舶の吸音構造の一部を拡大して模式的に表した部分断面図である。なお、実施例7でも、重複した記載を避けるべく、実施例1から6と異なる部分について説明し、実施例1から6と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0080】
図8に示すように、実施例7の吸音構造100は、実施例6の吸音構造90の多孔板31に、制振部材101を取り付けている。この制振部材101は、シート状に構成され、多孔板31のバックキャビティ32側を被覆するように設けられている。制振部材101は、例えば、鉛またはゴム等の材料を含んで構成されており、多孔板31の振動を抑制する。また、制振部材101には、多孔板31に形成される多孔穴31aと同じ位置に、多孔穴31aと同じ形状の貫通孔101aが形成される。
【0081】
以上のように、実施例7によれば、制振部材101により多孔板31の質量を増大させることができるため、多孔板31の振動を抑制することができる。このため、多孔板31が振動することで、船体5外部へ向けて雑音が発生することを抑制することができる。
【実施例8】
【0082】
次に、図9を参照して、実施例1から7の吸音構造10,50,60,70,80,90,100が設けられる実施例8に係る船舶1について説明する。図9は、実施例8に係る船舶の吸音構造の施工範囲に関する説明図である。なお、実施例8でも、重複した記載を避けるべく、実施例1から7と異なる部分について説明し、実施例1から7と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0083】
図9に示すように、船舶1の船体5は、例えば、円筒形状となっており、その内周側が船殻構造20を利用した吸音構造10,50,60,70,80,90,100となっている。なお、実施例8では、円筒形状の船体5に適用して説明するが、船体5は、円筒形状に限らず、船首と船尾とを結ぶ長さ方向に直交する面で切った断面がV字形状となるような形状であってもよく、特に限定されない。
【0084】
船体5の内周側に設けられる吸音構造10,50,60,70,80,90,100は、船舶1に予め要求される吸音力Aに基づいて、その施工範囲(施工面積)Sが設定される。ここで、吸音力Aは、単位面積当たりの吸音率αと、施工面積Sとを掛け合わせたものであり、「A=α×S」で表される。このため、施工範囲Sは、予め要求される吸音力Aを、吸音構造10,50,60,70,80,90,100の吸音率αで除算することで導出される。このようにして導出された施工範囲Sは、船体5の内周面に対し、全周に亘って設定する必要はなく、所定の範囲に設定可能である。また、この施工範囲Sは、船体5の内周面に対して、周方向に分割して設定してもよい。
【0085】
以上のように、実施例8によれば、要求される吸音力Aによっては、吸音構造10,50,60,70,80,90,100を船体5の全域に亘って配置する必要がなく、施工範囲Sを抑制できることから、設置コストの抑制を図ることができる。また、吸音構造10,50,60,70,80,90,100の施工範囲Sを分割できることから、吸音構造10,50,60,70,80,90,100を、柔軟に配置することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 船舶
5 船体
6 音源
10 吸音構造
15 外板
16 補強リブ
16a フランジ部
16b リブ部
17 横リブ
18 縦リブ
20 船殻構造
31 多孔板
31a 多孔穴
32 バックキャビティ
50 吸音構造(実施例2)
51 吸音材
60 吸音構造(実施例3)
70 吸音構造(実施例4)
71 閉塞板
72 貫通孔
80 吸音構造(実施例5)
81 シール部材
82 締結部材
82a ボルト
82b ナット
90 吸音構造(実施例6)
91 防振部材
92 位置規制部材
92a 屈曲部
93 シール部材
95 防振部材収容空間
96 スリット
100 吸音構造(実施例7)
101 制振部材
101a 貫通孔
S 施工範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9