特許第6232362号(P6232362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232362気密検査用治具及び接続部位の気密検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232362
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】気密検査用治具及び接続部位の気密検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/02 20060101AFI20171106BHJP
   G01M 3/04 20060101ALI20171106BHJP
   G01M 3/06 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G01M3/02 C
   G01M3/04 U
   G01M3/06 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-193505(P2014-193505)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-65738(P2016-65738A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】514241548
【氏名又は名称】株式会社カヨウコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】土 田 純 作
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−029288(JP,A)
【文献】 特開平07−181098(JP,A)
【文献】 実開平02−037344(JP,U)
【文献】 特開2014−020834(JP,A)
【文献】 米国特許第5528926(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な面を有したベースと、
このベースに取り付けられた第1立設部材に取り付けられた被摺動部材と、
この被摺動部材に対して気密的に摺動する摺動部材と、
前記ベースに設けられた検査対象物が係止される被係止部と、
前記摺動部材の内部に導通する通路とを備え、
この通路は、前記被摺動部材と前記摺動部材で囲まれた室に連通するものであり、
前記検査対象物は、先端に流体導入口、中途にろう付け、溶接等による接続部位、後
端に後端開口部を有し、前記中途は、前記後端開口部から前記流体導入口に接続される検
査通路の途中であり、
前記被係止部は、前記ベースに取り付けられ、前記第1立設部材に対向する第2立設部材に設けられたものであり、
気密検査は、前記被係止部に前記検査対象物が係止した状態にあって、前記摺動部材の前記通路の開口部と前記検査対象物の前記流体導入口が対向する位置関係にあると共に、前記接続部位が前記第2立設部材の外側に位置し、
前記気密検査は、
接続部位の接続状態を水中に没した状態、又は、前記接続部位に水を塗布した状態、
又は、前記接続部位に石けん水を塗布した状態で検査する
ことを特徴とする気密検査用治具。
【請求項2】
平坦な面を有したベースと、
このベースに取り付けられた第1立設部材に取り付けられた被摺動部材と、
この被摺動部材に対して気密的に摺動する摺動部材と、
前記ベースに設けられた検査対象物が係止される被係止部と、
前記摺動部材の内部に導通する通路とを備え、
この通路は、前記被摺動部材と前記摺動部材で囲まれた室に連通するものであり、
前記検査対象物は、先端に流体導入口、中途にろう付け、溶接等による接続部位、後
端に後端開口部を有し、前記中途は、前記後端開口部から前記流体導入口に接続される検
査通路の途中であり、
前記被係止部は、前記ベースに取り付けられ、前記第1立設部材に対向する第2立設部材に設けられたものであり、
前記被係止部に前記検査対象物が係止した状態にあって、前記摺動部材の前記通路の
開口部と前記検査対象物の前記流体導入口が対向する位置関係にあると共に、前記接続部位が前記第2立設部材の外側に位置し、
前記検査対象物の前記後端開口部から流体を供給し、前記検査対象物の前記流体導入
口及び前記摺動部材の前記通路の開口部を介して前記摺動部材の通路から前記摺動部材の
内部に前記流体を供給して、前記摺動部材が前記検査対象物に向かって移動し、前記検査対象物を前記第2立設部材を押し付け、前記摺動部材の通路の先端縁部が前記検査対象物の前記流体導入口の縁部と密に接触し、この接触した状態で気密検査をするものであり、
前記気密検査は、
前記接続部位の接続状態を水中に没した状態、又は、前記接続部位に水を塗布した状態、
又は、前記接続部位に石けん水を塗布した状態で検査する
ことを特徴とする接続部位の気密検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密検査用治具及び接続部位の気密検査方法に係り、特に、検査対象物の取り付け、取り外しが容易で、しかも、検査を安全に行うことができる気密検査用治具及び接続部位の気密検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ろう付け、溶接等による接続部位の気密を検査する場合、検査対象物の通路の一端にエアーカプラを螺着して、前記通路の一端を閉塞した後、検査対象物の通路の他端から流体を供給して、接続部位の気密の検査を行うようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、検査対象物にエアーカプラを螺着して接続する取り付け作業が必要で、しかも、検査した後、検査対象物からエアーカプラを螺着とは逆方向へ回転させて取り外す作業も必要で、更に、検査対象物とエアーカプラとの螺着状態が不十分であると、検査対象物の通路内の流体圧により、エアーカプラが検査対象物から飛び出してしまい作業者等に当たって危険であるという問題点が生じた。
【0004】
本発明は、前記問題点を考慮してなされたもので、検査対象物の取り付け、取り外しが容易で、しかも、検査を安全に行うことができる気密検査用治具及び接続部位の気密検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の気密検査用治具は、平坦な面を有したベースと、このベースに取り付けられた第1立設部材に取り付けられた被摺動部材と、この被摺動部材に対して気密的に摺動する摺動部材と、前記ベースに設けられた検査対象物が係止される被係止部と、前記摺動部材の内部に導通する通路とを備え、この通路は、前記被摺動部材と前記摺動部材で囲まれた室に連通するものであり、前記検査対象物は、先端に流体導入口、中途にろう付け、溶接等による接続部位、後端に後端開口部を有し、前記中途は、前記後端開口部から前記流体導入口に接続される検査通路の途中であり、前記被係止部は、前記ベースに取り付けられ、前記第1立設部材に対向する第2立設部材に設けられたものであり、気密検査は、前記被係止部に前記検査対象物が係止した状態にあって、前記摺動部材の前記通路の開口部と前記検査対象物の前記流体導入口が対向する位置関係にあると共に、前記接続部位が前記第2立設部材の外側に位置し、前記気密検査は、接続部位の接続状態を水中に没した状態、又は、前記接続部位に水を塗布した状態、又は、前記接続部位に石けん水を塗布した状態で検査するものである
【0006】
また、請求項2記載の接続部位の気密検査方法は、平坦な面を有したベースと、このベースに取り付けられた第1立設部材に取り付けられた被摺動部材と、この被摺動部材に対して気密的に摺動する摺動部材と、前記ベースに設けられた検査対象物が係止される被係止部と、前記摺動部材の内部に導通する通路とを備え、この通路は、前記被摺動部材と前記摺動部材で囲まれた室に連通するものであり、前記検査対象物は、先端に流体導入口、中途にろう付け、溶接等による接続部位、後端に後端開口部を有し、前記中途は、前記後端開口部から前記流体導入口に接続される検査通路の途中であり、前記被係止部は、前記ベースに取り付けられ、前記第1立設部材に対向する第2立設部材に設けられたものであり、前記被係止部に前記検査対象物が係止した状態にあって、前記摺動部材の前記通路の開口部と前記検査対象物の前記流体導入口が対向する位置関係にあると共に、前記接続部位が前記第2立設部材の外側に位置し、前記検査対象物の前記後端開口部から流体を供給し、前記検査対象物の前記流体導入口及び前記摺動部材の前記通路の開口部を介して前記摺動部材の通路から前記摺動部材の内部に前記流体を供給して、前記摺動部材が前記検査対象物に向かって移動し、前記検査対象物を前記第2立設部材を押し付け、前記摺動部材の通路の先端縁部が前記検査対象物の前記流体導入口の縁部と密に接触し、この接触した状態で気密検査をするものであり、前記気密検査は、前記接続部位の接続状態を水中に没した状態、又は、前記接続部位に水を塗布した状態、又は、前記接続部位に石けん水を塗布した状態で検査するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の気密検査用治具によれば、ベースの被係止部に検査対象物が係止した状態にあって、摺動部材の通路の開口部と検査対象物の流体導入口が対向する位置関係にあるから、ベースの被係止部に検査対象物を係止し、検査対象物の検査通路に流体を満たせば、検査対象物の流体導入口、摺動部材の通路を介して、被摺動部材と摺動部材との間に形成された室に流体が流れ込んで、摺動部材が検査対象物に向かって移動し、摺動部材の通路の先端縁部が検査対象物の流体導入口の縁部と密に接触し、この接触した状態で、検査対象物の接続部位を水中に没したり、又は、接続部位に水を塗布したり、又は、接続部位に石けん水を塗布等して気密検査をすれば、検査対象物の接続部位の気密を容易に検査することができ、また、検査対象物への流体の供給を停止すれば、摺動部材の通路の先端縁部と検査対象物の流体導入口の縁部との接触状態を容易に解除することができ、
つまり、検査対象物を気密検査用治具に、従来のように螺着することなく、容易に、取り付け、取り外しができ、摺動部材と検査対象物との接触状態が不十分でも、検査通路内の流体圧により、摺動部材が離脱して気密検査用治具から飛び出すこともなく、安全に検査をおこなうことができる。
【0009】
また、請求項2記載の接続部位の気密検査方法によれば、ベースの被係止部に検査対象物が係止した状態にあって、摺動部材の通路の開口部と検査対象物の流体導入口が対向する位置関係にあるから、ベースの被係止部に検査対象物を係止し、検査対象物の検査通路に流体を満たせば、検査対象物の流体導入口、摺動部材の通路を介して、被摺動部材と摺動部材との間に形成された室に流体が流れ込んで、摺動部材が検査対象物に向かって移動し、摺動部材の通路の先端縁部が検査対象物の流体導入口の縁部と密に接触し、この状態で検査対象物の接続部位を水中に没したり、又は、接続部位に水を塗布したり、又は、接続部位に石けん水を塗布等して気密検査をすれば、検査対象物の接続部位の気密を容易に検査することができ、また、検査対象物への流体の供給を停止すれば、摺動部材の通路の先端縁部と検査対象物の開口部縁部との接触状態を容易に解除することができ、
つまり、検査対象物を気密検査用治具に、従来のように螺着することなく、容易に、取り付け、取り外しができ、摺動部材と検査対象物との接触状態が不十分でも、検査通路内の流体圧により、摺動部材が離脱して気密検査用治具から飛び出すこともなく、安全に検査をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例の検査対象物を気密検査用治具に係止し、検査対象物に流体を供給した状態の概略的斜視図である。
図2図2は、図1の気密検査用治具の一部を分解して示す概略的一部分解斜視図である。
図3図3(a)は、図1の概略的正面図であり、図3(b)は、図3(a)の概略的右側面図である。
図4図4(a)は、図1の摺動部材の通路の開口部と検査対象物の検査通路の開口部が対向する位置関係を示した概略的図であり、図4(b)は、図4(a)の検査対象物の検査通路に流体を供給した状態を示した概略的図である。
図5図5は、図1の検査対象物を気密検査用治具に係止し、検査対象物に流体を供給した状態で、水中に没して気密検査を行っている状態を示した概略的図である。
図6図6は、図1の気密検査用治具と異なる他の実施例の気密検査用治具で、該検査対象物を気密検査用治具に係止し、検査対象物に流体を供給した状態の概略的図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施例の気密検査用治具及び接続部位の気密検査方法を図面(図1乃至図 5)を参照して説明する。
【0012】
図1に示すZは、接続部位の気密検査方法に使用する気密検査用治具で、気密検査用治具Zは、ベース1と、このベース1に取り付けられた被摺動部材2と、この被摺動部材2に対して気密的に摺動する摺動部材3と、ベース1に設けられた検査対象物Kが係止される被係止部4と、摺動部材3の内部に導通する通路31とを備えている(図2乃至図 4参照)。なお、被摺動部材2と摺動部材3の気密性は、シリンダー形状の摺動部材3の内周とピストン形状の被摺動部材2の外周との間に設けたシール部材Sにより保持されている。
【0013】
ベース1は,例えば、平坦な面を有している。被摺動部材2は、例えば、ベース1に取り付けられた第1立設部材11にネジ12より取り付けられ、更に、被摺動部材2を詳述すれば、例えば、外周にシール部材Sを設けたベース1に平行な水平部材で、該水平部材の長手方向を横断する断面形状は、円となっている。
また、摺動部材3は、例えば、円筒形状で、被摺動部材2の外周を気密的に摺動するものである。
また、図4に示す31は、摺動部材3の内部に導通する通路で、この通路31は、被摺動部材2と摺動部材3で囲まれた室32に連通するものとなっている。
また、図2に示すように、被係止部4は、ベース1に取り付けられ、第1立設部材11に対向する第2立設部材12’に、例えば、略U字形状に切り欠いたものである。
【0014】
検査対象物Kは、例えば、冷凍サイクルの一部を構成するもので、図2及び図4に示すように、先端に流体導入口K1、中途にろう付け、溶接等による接続部位K2、後端に後端開口部K3を有し、前記中途は、流体導入口K1から後端開口部K3に接続される検査通路KPの途中である。
そして、被係止部4に検査対象物Kが係止した状態にあって、摺動部材3の通路31の開口部と検査対象物Kの検査通路KPの流体導入口K1が対向する位置関係にある[図4(a)参照]。なお、摺動部材3の通路31の開口部を摺動部材3の本体(例えば、金属)より柔らかい素材であるシリコン部材31Aで形成し、摺動部材3の通路31の先端縁部が検査対象物Kの開口部縁部とより密に接触することができる。
【0015】
従って、上述した気密検査用治具(接続部位の気密検査方法)Zによれば、ベース1の被係止部4に検査対象物Kが係止した状態にあって、摺動部材3の通路31の開口部と検査対象物Kの検査通路KPの流体導入口K1が対向する位置関係にある[図4(a)参照]から、ベース1の被係止部4に検査対象物Kを係止し、例えば、エアーノズルN(図5参照)により流体導入口K1を介して空気を供給して、検査対象物Kの検査通路KPに流体を満たせば、検査対象物Kの流体導入口K1、摺動部材3の通路31を介して、被摺動部材2と摺動部材3との間に形成された室32に流体が流れ込んで、摺動部材3が検査対象物Kに向かって移動し、摺動部材3の通路31の先端縁部が検査対象物Kの流体導入口K1の縁部と密に接触し、この状態で検査対象物Kの接続部位K2を図5に示す水中に没し(又は、接続部位に図示しない水を塗布したり、又は、接続部位に図示しない石けん水を塗布)等して気密検査をすれば、検査対象物Kの接続部位K2の気密を容易に検査することができ、また、検査対象物Kへの流体の供給を停止すれば、摺動部材3の通路31の先端縁部と検査対象物Kの流体導入口K1との接触状態を容易に解除することができ、
つまり、後端開口部K3から流体を供給し、流体導入口K1を介して摺動部材3の通路31から摺動部材3の内部に流体を供給して、摺動部材3が検査対象物Kに向かって移動し、摺動部材3の通路31の先端縁部が検査対象物Kの流体導入口K1と密に接触した状態で気密検査をすることができるため、
検査対象物Kを気密検査用治具Zに、従来のように螺着することなく、容易に、取り付け、取り外しができ、摺動部材3と検査対象物Kとの接触状態が不十分でも、検査通路KP内の流体圧により、摺動部材3が離脱して気密検査用治具Zから飛び出すこともなく、安全に検査をおこなうことができる。
【0016】
なお、上述した気密検査用治具(接続部位の気密検査方法)Zの実施例においては、摺動部材3をシリンダー形状としたが、本願発明にあっては、これに限らず、図6記載のように、摺動部材3をピストン形状としても良い。
また、上述した実施例においては、被摺動部材2をネジ12によりベース1に取り付けたが、本願発明にあっては、これに限らず、図6記載のように、被摺動部材2をベース1に一体的に取り付けても良い。
図6記載の実施例にあっては、摺動部材3は、被摺動部材2に対して気密的に摺動するが、被摺動部材2と摺動部材3の気密性は、シリンダー形状の被摺動部材2の内周とピストン形状の摺動部材3の外周との間に設けたシール部材Sにより保持されている。
また、図6記載の実施例にあっては、上述の図1乃至ず5記載の実施例と同一部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0017】
Z 気密検査用治具
K 検査対象物
KP 検査通路
1 ベース
2 被摺動部材
3 摺動部材
4 被係止部
31 通路
32 室
K1 流体導入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6