(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1の車両用表示装置において、複数の発光体に替えて表示源と同様のディスプレイを設ければ、画像を立体的に表示することができる。即ち、
図8に示すように、主画像P101を形成するための主表示器101と、副画像P102、P103を形成するための左右一対の副表示器102、103と、反射部材104と、を備え、ウインドシールドWの前方に、主画像P101及び副画像P102、P103で構成された虚像を形成する車両用表示装置100とする。このような車両用表示装置100では、主画像P101が搭乗者に対向し、副画像P102、P103の一端が主画像P101に隣接するとともに他端が手前に位置することで、搭乗者から見て主画像P101が副画像P102、P103よりも奥側に位置し、これらの画像が立体的に視認される。
【0005】
このような車両用表示装置100では、副画像P102、P103が平面で表示されるため、主画像P101と副画像P102、P103との間に角部が形成されてしまい、主画像P101と副画像P102、P103とに一体感がなく搭乗者に違和感を与えてしまう可能性がある。このように副画像P102、P103が平面で構成されていると、主画像P101との組み合わせによって表現することができる立体感に限界があり、より一層立体感を向上させることができる車両用表示装置が望まれる。しかしながら、副表示器の表示面を非平面に形成することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、立体感を向上させることができる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、車両のインストルメントパネル内に配置されてウインドシールドの前方に虚像を形成する車両用表示装置であって、前記虚像は、搭乗者に対向して表示される主画像と、一端側が前記主画像に隣接するとともに他端側が該一端側よりも手前に位置する副画像と、を含み、前記主画像を形成するための
表示面を有する表示器と、前記副画像を形成するための投影器及び非平面形状のスクリーンと、を備え
、前記主画像が前記表示面の虚像であり、前記副画像が前記スクリーンの虚像であることを特徴とする車両用表示装置である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記スクリーンが、反射型のスクリーンであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記スクリーンが、透過型のスクリーンであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記スクリーンが、曲面部を有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記スクリーンが、前記投影器との距離の異なる複数の面を有していることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記スクリーンが、筒状に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、副画像の一端側が主画像に隣接するとともに他端側が手前に位置することから、主画像が副画像よりも奥側に位置し、主画像と副画像とが組み合わされて立体的に表示される。さらに、副画像が投影器と非平面形状のスクリーンとによって形成されることから副画像を非平面形状にすることができ、このような副画像を主画像に組み合わせることにより、平面の副画像を組み合わせる構成と比較して、立体感を向上させることができる。このとき、スクリーンは、表示器と比較して容易に非平面形状にすることができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、スクリーンの構成を簡単化することができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、スクリーンを挟んでウインドシールド(又は反射部材)の反対側に投影器を配置することができ、表示器の周辺におけるウインドシールド(又は反射部材)側の構成を簡単化することができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、副画像の一端側が主画像から見て凹の曲面となるようにスクリーンに曲面部を形成することにより、主画像と副画像とが滑らかに接続され、立体感を向上させることができるとともに、一体感のある画像を表示することができる。
【0017】
請求項5に記載された発明によれば、スクリーンが複数の面を有する、即ち、スクリーンが階段状に形成されていることから、副画像が複数の表示面を有して表示される。このような複数の表示面が車両の前後方向に並設されるとともに、一端側の表示面ほど前後方向との交差方向において主画像の近くに位置するようにスクリーンの複数の面を設定することにより、奥側に向かうにしたがって副画像が交差方向において主画像に近づくように視認され、立体感を向上させることができる。
【0018】
請求項6に記載された発明によれば、筒状のスクリーンによって形成された副画像は主画像を囲むように表示され、主画像を強調して立体感を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第2〜5実施形態においては、第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材及び同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態と同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0021】
[第1実施形態]
本実施形態の車両用表示装置1Aは、
図1に示すように、表示器2と、投影器3と、スクリーン4Aと、反射部材5と、を備え、車両のインストルメントパネル内に配置され、ウインドシールドWの前方に道路状況や車両の状態等を示す虚像を形成するものである。この虚像は、後述する主画像P1と副画像P2とで構成される。
【0022】
表示器2は、例えばTFTLCD(TFT液晶表示装置)であって、反射部材5の後方側に設けられる。表示器2は、前方側に向けられた表示面21において画像を表示することによって、車両の前後方向に略直交する平面に沿った(即ち、搭乗者に対向した)主画像P1を形成するように構成されている。
【0023】
投影器3は、例えば液晶プロジェクタであって、反射部材5の後方側且つ表示器2の下方に設けられ、斜め上方(前方且つ上方)に向けられた投射面31からスクリーン4Aに光を投射するように構成されている。
【0024】
スクリーン4Aは、反射型のスクリーンであって、前面41を下方に向けて投影器3と対向し、上方に凸(即ち、投影器3から見て凹)の曲面部42を有して全体が曲面状に形成されている。投影器3が投射した光によってスクリーン4Aの前面41に画像が形成され、この画像によって副画像P2が形成される。副画像P2は、一端P21が主画像P1の下端に隣接するとともに他端P22が一端P21よりも後方側(手前)に位置するとともに、スクリーン4Aが曲面部42を有していることにより、下方に凸(即ち、主画像P1から見て凹)の曲面となる。
【0025】
反射部材5は、例えば全体が前方に向かって凸の非球面ミラーであって、後方から照射された光を斜め上方(上方且つ後方)のウインドシールドWに向けて反射するように構成されている。
【0026】
以上のような表示器2によって形成される主画像P1、及び、投影器3とスクリーン4Aとによって形成される副画像P2の表示情報の一例について説明する。
【0027】
主画像P1及び副画像P2は、カーナビゲーションシステムに連動して表示され、
図2に示すように、主画像P1が、道路の形状や周辺の建物等を示す道路表示部P11と、車両の進行方向を案内する矢印である案内表示部P12と、を有し、副画像P2が案内表示部P23を有する。搭乗者から見た案内表示部P23は、他端P22から前方の一端P21に向かって延びるにしたがって、上下方向においても主画像P1に近づいていき、隙間を開けて案内表示部P12に接続される。従って、副画像P2の奥側に表示された主画像P1は、下方を手前側とするとともに上方を奥側として認識され、主画像P1と副画像P2とが組み合わされて立体的に表示される。このとき、副画像P2が下方に凸の曲面となっていることから、案内表示部P23が案内表示部P12に滑らかに接続される。
【0028】
図2に示すように案内表示部P12、P23が交差点Cにおいて右折を指示する場合、車両が交差点Cに近づいていくと、副画像P2の案内表示部P23が他端P22側から徐々に表示されなくなって前後方向に短くなっていくとともに、道路表示部P11全体が下方に移動していくことにより、車両の交差点Cへの接近を体感しやすいようになっている。
【0029】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、副画像P2が曲面部42を有するスクリーン4Aによって形成され、案内表示部P23が案内表示部P12に滑らかに接続されることから、主画像P1と副画像P2との一体感を演出するとともに、立体感を向上させることができる。
【0030】
さらに、従来のように表示器によって副画像を形成する場合、表示器にヒートシンク等の放熱部材を設ける必要があるのに対し、スクリーン4Aは放熱部材を必要としないことから、スクリーン4Aの設置スペースが小さく、車両用表示装置全体を小型化することができる。
【0031】
[第2実施形態]
本実施形態の車両用表示装置1Bは、
図3に示すように、表示器2と、投影器3と、スクリーン4Bと、反射部材5と、を備える。
【0032】
スクリーン4Bは、反射型のスクリーンであって、第1実施形態と同様に配置され、投影器3との距離の異なる3つの反射面43a〜43cを有して階段状に形成されている。これらの反射面43a〜43cは、最も後方側の反射面43aから最も前方側の反射面43cに向かうにしたがって、投影器3との距離が大きくなるように配置されている。
【0033】
このようなスクリーン4Bによって中継された副画像P3は、次のような形状を有する。即ち、副画像P3は、前後方向に配置された3つの表示面P3a〜P3cを有し、一端P31側の表示面ほど上下方向において主画像P1に近い位置に配置される。副画像P3は、例えば第1実施形態と同様の案内表示部を有するものであって、1つの表示面を所定の距離(例えば100m)に対応させ、車両が目的地点に近づく際、後方側の表示面から順に消灯していくように構成されている。
【0034】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、副画像P3が3つの反射面43a〜43cを有するスクリーン4Bによって形成されて主画像P1と組み合わされることから、副画像P3の表示面のうち奥側のものほど上下方向において主画像P1に近い位置に形成され、副画像P3と主画像P1との連続性を演出し、立体感を向上させることができる。
【0035】
[第3実施形態]
本実施形態の車両用表示装置1Cは、
図4に示すように、表示器2と、4つの投影器3a〜3dと、スクリーン4Cと、反射部材5と、を備える。
【0036】
4つの投影器3a〜3dは、表示器2の上方に配置された上面用投影器3aと、表示器2の下方に配置された下面用投影器3bと、表示器2の右方に配置された左面用投影器3cと、表示器2の左方に配置された右面用投影器3dと、で構成される。
【0037】
スクリーン4Cは、投影器3a〜3d側よりも反射部材5側において大きな開口を有した筒状に形成され、その外周面が円錐の頂点付近を除去した形状とされるとともに、筒の内側を反射面とした反射型のスクリーンである。
【0038】
次に、投影器3a〜3dとスクリーン4Cとによって形成される副画像P5について説明する。上面用投影器3aによって主画像P4の上方に副画像上面P51が形成され、下面用投影器3bによって主画像P4の下方に副画像下面P52が形成され、左面用投影器3cによって主画像P4の左方に副画像左面P53が形成され、右面用投影器3dによって主画像P4の右方に副画像右面P54が形成され、これらの面P51〜54によって副画像P5が構成される。即ち、副画像P5は、主画像P4を囲むように表示される。
【0039】
次に、主画像P4及び副画像P5の表示情報の一例について説明する。主画像P4及び副画像P5は、
図5に示すように、前方の車両との接近状況を表示するものであって、主画像P4は、自車両の現在速度を表示する速度表示部P41と、前方側の車両の存在を表示する他車両表示部P42と、を有する。
【0040】
副画像P5は、
図5(A)〜(C)に示すように、自車両と前方側の車両との接近度合いに応じて表示位置を変更する。即ち、前方側の車両と比較的離れている場合には、
図5(A)のように主画像P4から遠い部分において表示する副画像P5とし、前方側の車両と接近した場合には、
図5(C)のように主画像P4に近い部分において表示する副画像P5とする。
【0041】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、筒状のスクリーン4Cによって形成された副画像P5が主画像P4を囲むことにより、主画像P4を強調するとともに立体感を向上させることができる。
【0042】
さらに、副画像P5において前方側の車両との接近度合いに応じて表示位置を変更することにより、前方側の車両と接近したことを搭乗者が直感的に理解しやすくなり、減速を促して車間距離を適切に保つようにすることができる。
【0043】
[第4実施形態]
本実施形態の車両用表示装置1Dは、
図6に示すように、表示器2と、2つの投影器3e、3fと、2つのスクリーン4Da、4Dbと、反射部材5と、を備える。
【0044】
2つの投影器3e、3fは、左面用投影器3eと右面用投影器3fとで構成され、それぞれスクリーン4Da、4Dbの背面側(反射部材5の反対側)に配置される。
【0045】
2つのスクリーン4Da、4Dbは、左面用スクリーン4Daと右面用スクリーン4Dbとで構成されている。スクリーン4Da、4Dbは、リアプロジェクション用の透過型スクリーンであって、全体が背面側に向かって凸の曲面状に形成されている。
【0046】
左面用投影器3eと左面用スクリーン4Daとによって主画像(不図示)の左側に副画像(不図示)が形成され、右面用投影器3fと右面用スクリーン4Dbとによって主画像の右側に副画像(不図示)が形成され、これらの副画像は、第1実施形態の副画像P2と同様に曲面となっている。
【0047】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、投影器3e、3fがそれぞれスクリーン4Da、4Dbの背面側に配置されることから、表示器2の周辺における反射部材5側の構成を簡単化することができる。
【0048】
[第5実施形態]
本実施形態の車両用表示装置1Eは、
図7に示すように、表示器2と、2つの投影器3e、3fと、2つのスクリーン4Da、4Dbと、反射部材5と、2つの第2反射部材6と、を備える。
【0049】
2つの第2反射部材6は、例えば平面ミラーであって、それぞれスクリーン4Da、4Dbの背面側に配置され、その反射面61をスクリーン4Da、4Dbの背面に向けることにより、投影器3e、3fによって投射された光をスクリーン4Da、4Dbの背面に向けて反射するように構成されている。
【0050】
投影器3e、3fは、表示器2に近接して配置されるとともに、第2反射部材6に向けて光を投射するように構成されている。
【0051】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、投影器3e、3fによって投射された光をスクリーン4Da、4Dbに向けて反射する第2反射部材6が設けられていることで、投影器3e、3fの配置の自由度を向上させることができ、投影器3e、3fを表示器2に近接して配置して車両用表示装置1E全体を小型化することができる。
【0052】
なお、本発明は、前記第1〜5実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0053】
例えば、前記第1実施形態のスクリーン4Aが曲面部42を有し、前記第2実施形態のスクリーン4Bが複数の反射面43a〜43cを有し、前記第3実施形態のスクリーン4Cが筒状に形成されるものとしたが、これらの構成は適宜に組み合わされていてもよい。即ち、例えば曲面部及び段部を有するスクリーンとしてもよいし、筒状のスクリーンに段部や曲面部が形成されていてもよい。また、透過型のスクリーンが曲面部や段部等を有して適宜な形状に形成されていてもよい。
【0054】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。