(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記持ち上げ部において、前記可動脚より短く、前記可動脚に対して前記操作部と反対側に設けられた固定脚をさらに備えている、請求項1又は2に記載の持ち上げ装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.第1実施形態
(1)持ち上げ装置
図1〜
図3を用いて、本発明の第1実施形態としての持ち上げ装置1の概略構成を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る持ち上げ装置1の斜視図である。
図2は、荷物Wの斜視図である。
図3は、荷物W及び引っ掛け金具21の断面図である。なお、以下の説明では、
図1の左右方向を前後方向といい、
図1の奥行き方向を左右方向という。特に、
図1の右側を前側といい、
図1の左側を後側という。
持ち上げ装置1は、てこの原理を用いることで、荷物Wを所定の高さまで持ち上げることができる装置である。
【0017】
(2)荷物
図1及び
図2に示すように、持ち上げ対象としての荷物Wは、箱形の筐体である。荷物Wは、作業者が一人で直接持ち上げるのは難しい重量又は寸法を有している、及び/又は、持ち上げた状態を維持して部品の取り付け等の作業が行われるものである。なお、荷物Wの形状は本実施形態に限定されない。
【0018】
荷物Wに取付けられる引っ掛け金具21を説明する。引っ掛け金具21は、持ち上げ装置1によって荷物Wを持ち上げるときに荷物Wに装着される部材であり、持ち上げ装置1によって支持される部分を構成する。
図2に示すように、荷物Wの筐体の左右方向両側面の下方には、スリット31が形成されている。この実施形態では、スリット31の数は各側面2つであり、前後方向に並んでいる。スリット31は、前後方向に長く延びる長方形である。
【0019】
引っ掛け金具21は、特別な部材を用いることなく、スリット31に着脱自在になっている。以下具体的に説明すれば、引っ掛け金具21は、第1部分21a(装着部)と、第2部分21b(荷物Wの荷重を受ける部分)と、第3部分21cと、第4部分21dと、第5部分21e(持ち上げ装置1からの持ち上げ力が作用する部分)とを有している。第1部分21aは、磁石27が接着されており、それにより荷物Wの筐体に固定可能になっている。第2部分21bは、第1部分21aの一端から直角に折り曲げられている。第3部分21cは、第2部分21bの一端から直角に折り曲げられており、その結果第1部分21aと平行に延びている。第4部分21dは、第3部分21cの一端から直角に折り曲げられており、その結果第2部分21bと平行に延びている。第5部分21eは、第1部分21aの一端から湾曲するように折り曲げられ第1部分21aと平行に延びるようになっている。
【0020】
引っ掛け金具21は、
図2に示すように、第4部分21d側をスリット31に挿入し、第3部分21cがスリット31内に入った状態で第1部分21aを起こすように回転させることで、磁石27を荷物Wのスリット31の上側部分に固定する。このようにして、引っ掛け金具21は、荷物Wの側面から突出する取っ手になる。また、この状態では、
図3に示すように、第4部分21dの先端が荷物Wの筐体の内面に押し付けられているので、引っ掛け金具21と筐体との間に滑りや抜けが生じにくい。
なお、引っ掛け金具の形状、個数、取付位置、取付方法は上述の実施形態に限定されない。例えば、引っかけ金具は、左右側方に1つだけ取り付けられてもよいし、3つ以上取り付けられてもよい。例えば、引っ掛け金具の持ち上げ装置1からの持ち上げ力が作用する部分は、第1部分から直角に曲げられた平坦部であってもよい。
さらに、引っ掛け金具は省略されて、荷物の一部が側方に突出して取っ手としての機能を実現する構成であってもよい。また、荷物に持ち上げ装置からの持ち上げ力が作用する構成があればよいので、取っ手自体を省略してもよい。
【0021】
(3)持ち上げ装置の構成
図1に示すように、持ち上げ装置1は、複数の枠体によって構成された装置で作業者がそれを操作することで荷物Wを所定の高さまで持ち上げるための装置である。なお、
図1は、荷物Wは持ち上げ装置1によって持ち上げられた状態を示している。
持ち上げ装置1は、主に、一対のレバー部材3と、各レバー部材3に設けられた一対の前側可動脚5A及び後側可動脚5Bとを有している。
【0022】
一対のレバー部材3は、細長く伸びる棒状の部材であり、レバー部材3が延びる前後方向と交差する左右方向に離れており、荷物Wの左右方向両側に配置されている。レバー部材3は、操作部3aと、持ち上げ部3bとを有している。持ち上げ部3bは、荷物Wに対応する位置に設けられており、操作部3aは持ち上げ部3bから前後方向前側に延びている。
図1の状態では、レバー部材3は、床面FLに対して水平に延びる姿勢を取っている。
レバー部材3は、
図3に示すように、引っ掛け金具21を持ち上げることができるように、引っ掛け金具21に係合している。具体的には、レバー部材3は、引っ掛け金具21の第5部分21eが上から挿入される溝3cを有している。これにより、レバー部材3は、引っ掛け金具21を引き上げることができる。なお、第5部分21eは、溝3cに対して上下方向に離脱可能である。
【0023】
レバー部材3と引っ掛け金具21の係合構造は、引っ掛け金具21がレバー部材3に対して上下方向に離脱可能に下方から支持されていればよいので、前記実施形態に限定されない。例えば、金具の第5部分21eが平坦部である場合には、当該平坦部がレバー部材3の上面に当接するように係合していてもよい。
また、前記実施形態ではレバー部材3は直接荷物Wの一部に係合しているが、レバー部材3は他の部材を介して荷物Wの一部に係合してもよい。
さらに、前記実施形態ではレバー部材3は1本の棒状部材であるが、レバー部材3は、操作部3aと持ち上げ部3bによって荷物Wの上げ下げが可能な構造であればよいので、複数の部材の組み合わせによって構成されていてもよいし、形状も棒状に限定されない。
【0024】
一対の前側可動脚5A及び、後側可動脚5Bは、レバー部材3に作用する荷重を支持するための部材である。前側可動脚5A及び後側可動脚5Bは、持ち上げ部3bに回動可能に設けられている。より具体的には、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bは、レバー部材3の前後方向に離れて並んで配置されている。前側可動脚5A及び後側可動脚5Bは、収納位置(閉脚状態)と、収納位置より下方に延びるとともに回動が停止させられるストッパ位置(
図1の状態であり、開脚状態)との間で回動可能である。
図1では、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bが、ストッパ位置まで回動することで、荷物Wを最初の位置(例えば、床面FL)より高い位置で支持している。
前側可動脚5A及び後側可動脚5Bは、ストッパ位置において、床面FLに対して、レバー部材3が延びる前後方向に斜め下方に延びている。具体的には、前側可動脚5Aは前側に斜めに延びており、後側可動脚5Bは後側に斜めに延びている。このため、荷物Wを持ち上げた後に、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bが収納位置側に回動することが生じにくく、つまりレバー部材3及び荷物Wの姿勢が安定している。なお、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bは、ストッパ位置において、床面FLに対して、ほぼ垂直に延びていてもよい。
【0025】
この実施形態では、荷物Wを持ち上げた状態でレバー部材3が床面FLに対して水平になるように前側可動脚5A及び後側可動脚5Bの長さ及びストッパ位置での傾斜角度を同じにしている。ただし、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bでは、長さ及び/ストッパ位置での傾斜角度を異ならせてもよい。
図4を用いて、前側可動脚5Aの回動構造を具体的に説明する。前側可動脚5Aの上端は、レバー部材3の両側面に設けられた一対の支持板9A及びそこに固定された回動中心部材11Aによって、回動可能に固定されている。
図4において、前側可動脚5Aは、上側の位置が収納位置であり、下側の位置がストッパ位置である。一対の支持板9Aの前側部分の間には、ストッパ部材12が固定されている。前側可動脚5Aは、ストッパ位置では、上側部分がストッパ部材12に当接してそれ以上回動ができないようになっている。後側可動脚5Bの回動構造も前側可動脚5Aと前後対称で同じである。
上述のストッパ機構は、構成する部材の種類、位置等は特に限定されない。また、
図4は模式的記載であって、各部材の寸法及び位置関係はこれに限定されない。
【0026】
前側可動脚5A及び後側可動脚5Bの長さによって、レバー部材3の持ち上げ高さが決定される。したがって、目的の作業に応じて前側可動脚5A及び後側可動脚5Bは取り替えられる。また、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bに長さ調整構造を設けていてもよい。
持ち上げ部3bには、後側固定脚15が設けられている。後側固定脚15は、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bに対して操作部3aと反対側に設けられている。後側固定脚15は、レバー部材3の操作部3aと反対側の支点として機能する。このように、後側固定脚15によって、
図5に示すように、初期状態においてレバー部材3を床面FLより高い位置に維持できる。具体的には、後側固定脚15は、荷物Wのさらに後側において、レバー部材3から直角に下方に延びている。
【0027】
さらに、持ち上げ部3bには、前側固定脚13が設けられている。前側固定脚13は、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bに対して、操作部3a側に設けられている。具体的には、前側固定脚13は、荷物Wのさらに前側において、レバー部材3から直角に下方に延びている。なお、
図1の状態では、前側固定脚13及び後側固定脚15の下面は、床面FLより高い位置にある。
前側固定脚13及び後側固定脚15は、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bよりも短い。前側固定脚13及び後側固定脚15の位置、形状は特に限定されない。
前側可動脚5A及び後側可動脚5Bの下端は、収納位置にあっては、前側固定脚13及び後側固定脚15の下端よりレバー部材3に近く又は同等であり(
図5を参照)、ストッパ位置にあって、前側固定脚13及び後側固定脚15の下端よりレバー部材3から離れている(
図8を参照)。
【0028】
操作部3aの前側端同士は、
図1に示すように、前側連結部材23によって連結されている。前側連結部材23は細長い棒状の部材である。前側連結部材23によって、持ち上げ装置1全体の剛性が向上し、また作業者による操作部3aの操作が容易になる。前側連結部材23は操作部3aの一部と考えてもよい。なお、操作部3aの前側端の位置は、レバー部材3を交換することで調整可能である。また、操作部3aに長さ調整機構を設けてもよい。これにより、荷物Wの重量に対応して、適切な持ち上げ力を発生可能になる。
作業者は、前側連結部材23のさらに前側に立って、荷物W側を向いて前側連結部材23を持つことで、持ち上げ装置1の操作を行う。
【0029】
持ち上げ部3bの後側端同士は、
図1に示すように、後側連結部材25によって連結されている。後側連結部材25は細長い棒状の部材である。後側連結部材25によって、持ち上げ装置1全体の剛性が向上する。
前側連結部材23及び後側連結部材25は、左右のレバー部材3から容易に取り外し可能である。これにより、使用時以外は左右の組立部材(レバー部材3、前側可動脚5A、後側可動脚5B、前側固定脚13、後側固定脚15)と、前側連結部材23及び後側連結部材25とをばらしてその後で一纏めにした状態で管理・運搬ができる。
【0030】
持ち上げ装置1は、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bをそれぞれストッパ位置側又は収納位置側に付勢する前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bをさらに備えている。ストッパ位置側に付勢する付勢部材である場合は、前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bによって、荷物Wの持ち上げ動作の途中で、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bがそれぞれ収納位置側からストッパ位置側に速やかにかつ確実に回動する。収納位置側に付勢する付勢部材である場合は、前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bによって、荷物Wの下ろし動作の途中で、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bがそれぞれストッパ位置側から収納位置側に速やかにかつ確実に回動する。
図1に示す前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bは、引っ張りコイルスプリングである。前側付勢部材17Aは、荷物Wの持ち上げ動作時には、一端が前側固定脚13に、他端が前側可動脚5Aに係止されている。後側付勢部材17Bは、荷物Wの持ち上げ動作時には、一端が後側固定脚15に、他端が後側可動脚5Bに係止されている。前側付勢部材17Aは、荷物Wの下ろし動作時には、一端が持ち上げ部3b、他端が前側可動脚5Aに係止されている。後側付勢部材17Bは、荷物Wの下ろし動作時には、一端が持ち上げ部3bに、他端が後側可動脚5Bに係止されている。前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bは少なくとも一端が取り外し自在に相手方部材に固定されている。
付勢部材は、上述の付勢力を前側可動脚5A、後側可動脚5Bに付与することができればよいので、種類、個数、係止位置、係止手段は前記実施形態に限定されない。例えば、付勢部材は、他の種類のバネ、ゴム等の弾性部材であってもよい。また、係止手段はフックと係合部の組み合わせといった公知の技術を用いることができる。
【0031】
(4)持ち上げ動作
図5〜
図9を用いて、荷物の持ち上げ動作を説明する。
図5〜
図9は、持ち上げ動作を説明するための持ち上げ装置1の概略側面図である。なお、各図では、荷物は省略されている。
最初に、
図5に示すように、持ち上げ作業時にレバー部材3の持ち上げ部3bが荷物(図示せず)の荷重を支持できるように、各部材が配置される。このとき、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bは収納位置にある。そして、レバー部材3は、前側固定脚13と後側固定脚15とによって床面FLに支持されている。なお、荷物(図示せず)は床面FLに支持されているので、荷物(図示せず)の荷重はレバー部材にはほとんど又は全く作用していない。
【0032】
また、前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bは、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bに対して、収納位置からストッパ位置に回動するような付勢力が作用するように装着される。具体的には、前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bの一端がそれぞれ前側固定脚13及び後側固定脚15に係止される。
続いて、
図6に示すように、作業者がレバー部材3の操作部3aを持ち上げていくと、レバー部材3の後側固定脚15が支点となって持ち上げ部3bが上昇する。
そのため、
図7に示すように、前側可動脚5Aが収納位置側からストッパ位置側に回動する。ここでは、荷物(図示せず)を持ち上げる動作中に、前側付勢部材17Aによって、前側可動脚5Aが収納位置側からストッパ位置側に速やかにかつ確実に回動する。この状態で、作業者が操作部3aから手を緩める又は離すことで、レバー部材3を下ろす。この結果、後側固定脚15と前側可動脚5Aとによって、レバー部材3の姿勢が保たれる。
【0033】
次に、作業者が操作部3aを押し下げると、レバー部材3の前側可動脚5Aが支点となって持ち上げ部3bが上昇する。そのため、後側可動脚5Bが収納位置側からストッパ位置側に回動する。ここでは、荷物(図示せず)を持ち上げる動作中に、後側付勢部材17Bによって、後側可動脚5Bが収納位置側からストッパ位置側に速やかにかつ確実に回動する。その結果、
図8に示すように、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bによってレバー部材3の持ち上げ部3bが持ち上げられ、その位置でレバー部材3が水平に姿勢を維持される。この状態で、作業者が操作部3aから手を離しても、後側可動脚5Bと前側可動脚5Aがレバー部材3の延びる方向に離れて並んでレバー部材3を支持するので、レバー部材3の姿勢が保たれており、作業者がレバー部材3を支持する必要がない。
以上のようにして、レバー部材3及び荷物(図示せず)が持ち上げられる。
以上の動作は、荷物(図示せず)の左右両側つまり一対のレバー部材3で同じように行われる。
【0034】
この持ち上げ動作によって荷物(図示せず)と床面FLとの間にできた隙間を利用して、フォークの爪が挿入されたり、キャスターが荷物(図示せず)の下面に取り付けられたりする。他には、オプション架台が挿入されて固定されたり、又はキャスター付き台車が挿入配置されたりする。
【0035】
(5)下ろし動作
図9〜
図13を用いて、荷物の下ろし動作を説明する。
図9〜
図13は、下ろし動作を説明するための持ち上げ装置1の概略側面図である。なお、各図では、荷物は省略されている。
【0036】
最初に、
図9に示すように、前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bを付け替えて、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bに対して、ストッパ位置から収納位置に回動するような付勢力が作用するようにする。具体的には、前側付勢部材17A及び後側付勢部材17Bの一端が、持ち上げ部3bの中間付近に係止される。
続いて、
図9に示すように、作業者がレバー部材3の操作部3aを押し下げると、レバー部材3の前側可動脚5Aが支点となって持ち上げ部3bが上昇する。
そのため、
図10に示すように、後側可動脚5Bがストッパ位置側から収納位置側に回動する。ここでは、持ち上げ部3bの後側を上げる動作中に、後側付勢部材17Bによって、後側可動脚5Bがストッパ位置側から収納位置側に速やかにかつ確実に回動する。
【0037】
次に、
図11に示すように、作業者が操作部3aから手を離す又は手を緩めると、前側可動脚5Aの下端を支点として持ち上げ部3bの後部が下方に移動する。
次に、作業者が操作部3aを持ち上げると、後側固定脚15の下端を支点として持ち上げ部3bが上昇する。その結果、
図12に示すように、前側可動脚5Aがストッパ位置側から収納位置側に回動する。ここでは、持ち上げ部3bの前側を上げる動作中に、前側付勢部材17Aによって、前側可動脚5Aがストッパ位置側から収納位置側に速やかにかつ確実に回動する。
【0038】
最後に、作業者が操作部3aから手を離す又は手を緩めると、
図13に示すように、レバー部材3の前側部分も下方に移動して、前側固定脚13及び後側固定脚15によって、レバー部材3が水平状態になる。
なお、例えば持ち上げられた際に荷物(図示せず)の下面に架台(図示せず)が装着された場合は、上記の荷物(図示せず)を下ろす動作の途中で、架台(図示せず)が床面FLに当接し、その後にレバー部材3が引っ掛け金具21から下方に外れる。このようにして、架台(図示せず)が装着された荷物(図示せず)が、床面FLに載置される。
以上の動作は、荷物(図示せず)の左右両側でつまり一対のレバー部材3で同じように行われる。
【0039】
(6)実施形態の効果
以下、前記第1実施形態の効果を説明する。なお、以下の効果はあくまでも実施形態の複数の技術に基づく効果であって、本発明の効果とは同一ではない。また、下記の効果は全てが同時に達成される必要はない。
(a)荷物Wを十分な高さまで持ち上げることができる。例えば、50mm以上持ち上げることが可能である。これにより、ハンドリフトやハンドパレットの爪で荷物をすくって運ぶことが可能になっている。
(b)作業者が操作部3aを上げ下げする動作を繰り返すだけで、荷物Wを所定の高さに持ち上げることができる。
【0040】
(c)持ち上げ装置に動力源、駆動機構等が不要であり、軽量化及び小型化が実現可能である。
(d)持ち上げ作業時に荷物Wの周辺で必要とされるスペースは、荷物Wの前側(操作部3a、前側連結部材23、作業者の作業スペース)だけであるので、荷物Wの左右両側及び又は後側にスペースなく荷物Wが置かれている状況であっても、荷物Wの持ち上げ作業が可能である。
(e)てこの原理を用いることで、比較的力の弱い作業者が重量物を持ち上げることができる。
【0041】
2.第2実施形態
前記第1実施形態では、持ち上げ動作と下ろし動作時に可動脚を回動させるために、付勢部材を用いていた。しかし可動脚は収納位置側とストッパ位置側とで適切に回動さえすればよいので、付勢部材は省略可能である。
そのような実施形態を
図14に示す。
図14は、持ち上げ動作を説明するための持ち上げ装置の概略側面図である。
この場合、前側可動脚5A及び後側可動脚5Bは、例えば、自らの重力によって収納位置側からストッパ位置側に回動し、床面FLからの反力によってストッパ位置側から収納位置側に回動する。
【0042】
3.第3実施形態
前記第1及び第2実施形態では、荷物の両側に一対のレバー部材が配置されていたが、荷物の種類や形状によっては、レバー部材は1本であってもよい。その場合も、第1実施形態及び第2実施形態と同じ機能及び効果が得られる。
【0043】
4.第4実施形態
前記第1、第2及び第3実施形態では、1本のレバー部材に2本の可動脚が設けられていたが、1本のレバー部材に対して可動脚は1本でもよい。
(1)持ち上げ装置の構成
そのような実施形態を、
図15〜
図21を用いて説明する。
図15〜
図17は、持ち上げ動作を説明するための持ち上げ装置101の概略側面図である。
図18〜
図21は、下ろし動作を説明するための持ち上げ装置101の概略側面図である。
図15に示すように、持ち上げ装置101は、主に、レバー部材3と、レバー部材3に設けられた可動脚5Cとを有している。
【0044】
レバー部材3は、細長く伸びる棒状の部材である。レバー部材3は、操作部3aと、持ち上げ部3bとを有している。持ち上げ部3bは、荷物(図示せず)に対応する位置に設けられており、操作部3aは持ち上げ部3bから前後方向前側に延びている。
図15の状態では、レバー部材3は床面FLに対して水平に延びる姿勢を取っている。
可動脚5Cは、レバー部材3に作用する荷重を支持するための部材である。可動脚5Cは、持ち上げ部3bに回動可能に設けられている。可動脚5Cは、収納位置(
図15の状態)と、収納位置より下方に延びるとともに回動が停止させられるストッパ位置との間で回動可能である。
図15では、可動脚5Cが、収納位置まで回動している。
【0045】
持ち上げ部3bには、後側固定脚15が設けられている。後側固定脚15は、可動脚5Cに対して操作部3aと反対側に設けられている。後側固定脚15は、レバー部材3の操作部3aと反対側の支点として機能する。このように、後側固定脚15によって、初期位置において、レバー部材3を床面FLより高い位置に配置できる。具体的には、後側固定脚15は、荷物(図示せず)のさらに後側において、レバー部材3から直角に下方に延びている。
なお、この実施形態では、前側固定脚は設けられていないが、前側固定脚が設けられていてもよい。
後側固定脚15は、可動脚5Cよりも短い。後側固定脚15の位置、形状は特に限定されない。
【0046】
可動脚5Cの下端は、収納位置にあっては、後側固定脚15の下端よりレバー部材3に近く又は同等であり、ストッパ位置にあっては、後側固定脚15の下端よりレバー部材3から離れている。
持ち上げ装置101は、可動脚5Cをストッパ位置側又は収納位置側に付勢する付勢部材17Cをさらに備えている(
図15を参照)。付勢部材が可動脚5Cをストッパ位置側に付勢するものである場合は、荷物(図示せず)を持ち上げる動作中に、付勢部材17Cによって、可動脚5Cが収納位置側からストッパ位置側まで速やかにかつ確実に回動する。付勢部材が可動脚5Cを収納位置側に付勢するものである場合は、荷物(図示せず)を下ろす動作中に、付勢部材17Cによって、可動脚5Cがストッパ位置側から収納位置側へ速やかにかつ確実に回動する。
【0047】
(2)持ち上げ動作
図15〜
図17を用いて、荷物の持ち上げ動作を説明する。なお、各図では、荷物は省略されている。
【0048】
最初に、
図15に示すように、レバー部材3の持ち上げ部3bが荷物(図示せず)の荷重を支持するように、各部材が配置される。このとき、可動脚5Cは収納位置にある。そして、レバー部材3は、後側固定脚15によって床面FLに支持されている。
最初に、
図15に示すように、付勢部材17Cを付け替えて、可動脚5Cに対して、収納位置側からストッパ位置側に回動するような付勢力が作用するようにする。具体的には、付勢部材17Cの一端が持ち上げ部3bの前側部分に係止される。
【0049】
続いて、
図15に示すように、作業者がレバー部材3の操作部3aを持ち上げていくと、レバー部材3の後側固定脚15が支点となって持ち上げ部3bが上昇する。
そのため、
図16に示すように、可動脚5Cが収納位置側からストッパ位置側に回動する。ここでは、荷物(図示せず)を持ち上げる動作中に、付勢部材17Cによって、可動脚5Cが、収納位置側からストッパ位置側に速やかにかつ確実に回動する。
【0050】
次に、作業者が操作部3aを押し下げると、レバー部材3の可動脚5Cが支点となって持ち上げ部3bが上昇する。その結果、
図17に示すように、持ち上げ部3bを水平な姿勢にして、その位置で維持することが可能となる。以上のようにして、レバー部材3及び荷物(図示せず)が持ち上げられる。
以上の動作は、第1実施形態のように荷物(図示せず)の左右両側つまり一対のレバー部材3で同じように行われる。
【0051】
可動脚5Cは、
図17に示すように、ストッパ位置において、床面FLに対して、レバー部材3が延びる前後方向に斜め下方に延びている。具体的には、可動脚5Cは前側に斜めに延びている。このため、荷物(図示せず)を持ち上げた後に、可動脚5Cが収納位置側に回動することが生じにくく、つまりレバー部材3及び荷物(図示せず)の姿勢が安定している。なお、可動脚5Cは、ストッパ位置において、床面FLに対して、ほぼ垂直に延びていてもよい。
【0052】
(3)下ろし動作
図18〜
図21を用いて、荷物の下ろし動作を説明する。なお、各図では、荷物は省略されている。
【0053】
最初に、
図18に示すように、付勢部材17Cを付け替えて、可動脚5Cに対して、ストッパ位置側から収納位置側に回動するような付勢力が作用するようにする。具体的には、付勢部材17Cの一端が持ち上げ部3bの後側部分に係止される。
続いて、
図19に示すように、作業者がレバー部材3の操作部3aを持ち上げると、レバー部材3の後側固定脚15が支点となって持ち上げ部3bが上昇する。
そのため、
図20に示すように、可動脚5Cがストッパ位置側から収納位置側に回動する。ここでは、持ち上げ部3bの前側を上げる動作中に、付勢部材17Cによって、可動脚5Cがストッパ位置側から収納位置側に速やかにかつ確実に回動する。
【0054】
最後に、作業者が操作部3aから手を緩める又は手を離すと、
図21に示すように、後側固定脚15によって、レバー部材3が水平状態になる。
なお、例えば持ち上げられた際に荷物(図示せず)の下面に架台が装着された場合(図示せず)は、上記の荷物(図示せず)を下ろす動作の途中で架台が床面FLに当接し、その後にレバー部材3が引っ掛け金具21から下方に外れる。このようにして、架台(図示せず)が装着された荷物(図示せず)が、床面FLに載置される。
以上の動作は、荷物(図示せず)の左右両側つまり一対のレバー部材3で同じように行われる。
【0055】
5.第5実施形態
前記第4実施形態では、持ち上げ動作と下ろし動作時に可動脚を回動させるために付勢部材を用いていた。しかし可動脚は収納位置側とストッパ位置側との間で適切に回動さえすればよいので、付勢部材は省略可能である。
そのような実施形態を
図22に示す。
図22は、持ち上げ動作を説明するための持ち上げ装置の概略側面図である。
この場合、可動脚5Cは、例えば、荷物を持ち上げるときに自らの重力によって収納位置側からストッパ位置側に回動し、荷物を下ろすときに床面FLからの反力によってストッパ位置側から収納位置側に回動する。
【0056】
6.第6実施形態
前記第4及び第5実施形態では、荷物の両側に一対のレバー部材が配置されていたが、荷物の種類や形状によっては、レバー部材は1本であってもよい。その場合も、第4実施形態及び第5実施形態と同じ機能及び効果が得られる。
【0057】
7.第7実施形態
前記第1〜第6実施形態では、レバー部材に後側固定脚15が設けられていたが、後側固定脚15は省略されてもよい。
(1)持ち上げ装置
そのような実施形態を、
図23〜
図25を用いて説明する。
図23〜
図25は、持ち上げ動作を説明するための持ち上げ装置201の概略側面図である。
図23に示すように、持ち上げ装置201は、主に、レバー部材3と、レバー部材3に設けられた可動脚5Cとを有している。
【0058】
レバー部材3は、細長く伸びる棒状の部材である。レバー部材3は、操作部3aと、持ち上げ部3bとを有している。持ち上げ部3bは、荷物(図示せず)に対応する位置に設けられており、操作部3aは持ち上げ部3bから前後方向前側に延びている。
図23の状態では、レバー部材3は床面FLに対して水平に延びる姿勢を取っている。
【0059】
可動脚5Cは、レバー部材3に作用する荷重を支持するための部材である。可動脚5Cは、持ち上げ部3bに回動可能に設けられている。具体的には、可動脚5Cは、収納位置(
図23の状態)と、収納位置より下方に延びるとともに回動が停止させられるストッパ位置との間で回動可能である。
図23では、可動脚5Cが、収納位置まで回動している。
持ち上げ部3bには、後側固定脚が設けられていない。したがって、レバー部材3は床面FLに近接して配置されている。
【0060】
(2)持ち上げ動作
図23〜
図25を用いて、荷物の持ち上げ動作を説明する。
最初に、
図23に示すように、レバー部材3の持ち上げ部3bが荷物(図示せず)の荷重を支持するように、各部材が配置される。このとき、可動脚5Cは収納位置にある。
続いて、作業者がレバー部材3の操作部3aを持ち上げていくと、
図24に示すように、レバー部材3の後側先端3dが支点となって持ち上げ部3bが上昇する。
そのため、
図24に示すように、可動脚5Cが収納位置側からストッパ位置側に回動する。
【0061】
次に、作業者が操作部3aを押し下げると、レバー部材3の可動脚5Cが支点となって持ち上げ部3bが上昇する。その結果、
図25に示すように、持ち上げ部3bを水平な姿勢にして、その位置で維持することが可能となる。以上のようにして、レバー部材3及び荷物(図示せず)が持ち上げられる。
以上の動作は、第1実施形態のように荷物(図示せず)の左右両側つまり一対のレバー部材3で同じように行われる。
【0062】
可動脚5Cは、ストッパ位置において、床面FLに対して、レバー部材3が延びる前後方向に斜め下方に延びている。具体的には、可動脚5Cは前側に斜めに延びている。このため、荷物(図示せず)を持ち上げた後に、可動脚5Cが収納位置側に回動することが生じにくく、つまりレバー部材3及び荷物(図示せず)の姿勢が安定している。なお、可動脚5Cは、ストッパ位置において、床面FLに対して、ほぼ垂直に延びていてもよい。
【0063】
(3)下ろし動作
下ろし動作は前述の持ち上げ動作と反対の動作を行えばよいので、説明を省略する。
【0064】
8.第8実施形態
前記第7実施形態では、持ち上げ動作と下ろし動作時に可動脚を回動させるために付勢部材を用いていなかったが、可動脚は収納位置側とストッパ位置側との間で適切に回動さえすればよいので、付勢部材を設けてもよい。
【0065】
9.第9実施形態
前記第7及び第8実施形態では、荷物の両側に一対のレバー部材が配置されていたが、荷物の種類や形状によっては、レバー部材は1本であってもよい。その場合も、第7実施形態及び第8実施形態と同じ機能及び効果が得られる。
【0066】
10.実施形態の共通事項
上記第1〜第9実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
持ち上げ装置(例えば、持ち上げ装置1、101、201)は、レバー部材(例えば、レバー部材3)と、可動脚(例えば、前側可動脚5A,後側可動脚5B、可動脚5C)とを備えている。レバー部材は、操作部(例えば、操作部3a)と持ち上げ部(例えば、持ち上げ部3b)とを有する。可動脚は、持ち上げ部に回動可能に設けられている。可動脚は、収納位置(例えば、
図5、
図13、
図14、
図15、
図21、
図22、
図23を参照)と、収納位置より下方に延びるとともに回動が停止させられるストッパ位置(例えば、
図1、
図8、
図9、
図17、
図18、
図25を参照)との間で回動可能である。
【0067】
この装置では、最初に、持ち上げ作業時に、レバー部材の持ち上げ部が荷物の荷重を支持できるように、各部材が配置される(例えば、
図5、
図14、
図15、
図21、
図22、
図23を参照)。このとき、可動脚は収納位置にある。続いて、例えば、作業者がレバー部材の操作部を持ち上げると、レバー部材の操作部とは反対側にある反対側端(例えば、後側固定脚15、後側先端3d)が支点となって持ち上げ部が上昇する。そのため、可動脚が収納位置からストッパ位置まで回動する(例えば、
図7、
図16,
図24を参照)。そして、その状態で作業者が操作部を押し下げると、可動脚の先端を支点として、レバー部材の持ち上げ部が持ち上がって所定の高さになる(例えば、
図8、
図17、
図25を参照)。このようにして、可動脚が、ストッパ位置まで回動することで、荷物を最初の位置より高い位置で支持するようになる(例えば、
図1、
図8、
図17、
図25参照を参照)。
【0068】
11.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
例えば前記第1、第4、第8実施形態では、付勢部材は、可動脚を収納位置側に回動させるときとストッパ一位置側に回動させるときとで、作業者によって取付位置を変更された。しかし、付勢部材は、可動脚を回動方向に付勢する機能を有していればよいので、付勢方向の変更手段及び方法は前記実施形態に限定されない。例えば、自転車のサイドスタンドの付勢機構と同等の構造を本実施形態の可動脚に適用することで、付勢方向をレバーで切り換えるようにしてもよい。