特許第6232370号(P6232370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232370
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20171106BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20171106BHJP
   E02F 9/18 20060101ALI20171106BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20171106BHJP
   B01D 53/34 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   E02F9/00 P
   F01N3/08 B
   E02F9/18
   B60K11/06
   B01D53/34
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-260477(P2014-260477)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-121444(P2016-121444A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】509241041
【氏名又は名称】株式会社KCM
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 恭央
(72)【発明者】
【氏名】竹山 剛史
(72)【発明者】
【氏名】菊池 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】下平 陽
(72)【発明者】
【氏名】小林 桂輔
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−008827(JP,A)
【文献】 特開2009−138526(JP,A)
【文献】 特開2013−249663(JP,A)
【文献】 特開2014−214719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B01D 53/34
B60K 11/06
E02F 9/18
F01N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに搭載されるエンジンと、
前記エンジンよりも前記車体フレームの後方に搭載されるラジエータと、
前記エンジンと前記ラジエータとを隔離する隔壁と、
前記エンジンおよび前記ラジエータを覆うカバーと、
前記車体フレームの後方に設けられ前記カバーの内部空間から前記車体フレームの後方に排気するラジエータファンと、
前記エンジンの排出ガスに還元剤を噴射する噴射装置と、
前記車体フレームの側方に設けられ、外気を導入する導入部を備え、前記噴射装置が噴射する還元剤を貯蔵するタンクを収納するタンク収納部と、
前記カバーおよび前記車体フレームのいずれか一方、および前記タンク収納部に設けられ、前記タンク収納部の内部空間および前記カバーの内部空間を接続し、前記ラジエータファンの吸込み圧により前記導入部から導入された外気、および還元剤を前記噴射装置に供給する配管が通過する接続部と、を備える建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記カバーおよび前記車体フレームのいずれか一方に設けられる前記接続部は、前記隔壁よりも前記ラジエータの近くに設けられる建設機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建設機械において、
前記タンク収納部は、前記車体フレームの側方であって前記隔壁よりも前記ラジエータの近くに設けられる建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記導入部は、前記タンク収納部の開閉部に設けられた隙間、前記タンク収納部のスリット、および前記タンク収納部の水抜き穴、の少なくとも一つである建設機械。
【請求項5】
請求項1に記載の建設機械において、
前記車体フレームの後方にカウンタウェイトをさらに備え、
前記カウンタウェイトは、メインウェイト部と、前記タンク収納部よりも前記車体フレームの幅方向に突出している側面保護部と、前記タンク収納部よりも前記車体フレームの下方向に突出している底面保護部とを備える建設機械。
【請求項6】
請求項1に記載の建設機械において、
前記車体フレームの側面に設置され、前記タンクへ還元剤を導く還元剤供給口と、
前記車体フレームの後方でなおかつ前記車体フレームの中心線よりも前記タンク収納部に近い位置に設置され、前記エンジンで使用される燃料が注がれる燃料供給口とをさらに備える建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両の排気ガス処理に用いられる尿素水は、アンモニアが発生する温度以下であっても高温になると品質が劣化することが知られている。特許文献1には、外部から取り込んだ空気が通過するラジエータ空間と隣接し、隔壁により区切られた空間に尿素水タンクを設置する発明が開示されている。尿素水タンクが熱交換を行う対象は空間内に滞留する空気であり、外部から取り込んだ空気を低温熱源として活用できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/117753号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている発明では、新鮮な外気を還元剤タンク周辺に導入できないので、還元剤タンクを効率よく冷却できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる建設機械は、車体フレームと、車体フレームに搭載されるエンジンと、エンジンよりも車体フレームの後方に搭載されるラジエータと、エンジンとラジエータとを隔離する隔壁と、エンジンおよびラジエータを覆うカバーと、車体フレームの後方に設けられカバー内部から車体フレームの後方に排気するラジエータファンと、エンジンの排出ガスに還元剤を噴射する噴射装置と、車体フレームの側方に設けられ、外気を導入する導入部を備え、噴射装置が噴射する還元剤を貯蔵するタンクを収納するタンク収納部と、カバーおよび車体フレームのいずれか一方、およびタンク収納部に設けられ、タンク収納部の内部空間およびカバーの内部空間を接続し、ラジエータファンの吸込み圧により導入部から導入された外気、および還元剤を噴射装置に供給する配管が通過する接続部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、還元剤タンクを効率よく冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ホイールローダの側面図
図2】ホイールローダの車体後部の平面図の模式図
図3】ホイールローダの左後方からの斜視図
図4】ホイールローダの左後方の平面図
図5】ホイールローダの左後方の側面図
図6】ホイールローダの左後方からの斜視図においてリアグリルおよび開閉蓋を開けた状態の図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態)
以下、図1〜6を参照して、本発明をホイールローダに適用した一実施形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係る作業車両の一例であるホイールローダの側面図である。ホイールローダ100は、車体前部を構成するフロントフレーム2と、車体後部を構成するリアフレーム3とがセンタピン101により互いに回動自在に連結される構造を備える。車体前部には、アーム111と、バケット112と、タイヤ5とが設けられている。バケット112は、リフトアームシリンダ114により昇降され、バケットシリンダ115により回動される。車体後部には、運転室121と、エンジン室122と、ラジエータ室123と、タンク収納箱31と、カウンタウェイト40と、タイヤ6とが設けられている。リアフレーム3の上には、運転室121と、エンジン室122と、ラジエータ室123とが設けられ、リアフレーム3の後部にはタンク収納箱31と、リアグリル28と、カウンタウェイト40とが設けられている。エンジン室122とラジエータ室123は、側面下部をリアフレーム3で、側面上部と上面とを後述するカバー20で覆われている。車体後部120を詳しく説明する。
【0009】
図2は、運転室121およびタイヤ6を除く車体後部120の平面図の模式図である。図2では、上面を覆うカバー20を省略している。エンジン21により高温となるエンジン室122とラジエータファン25により強制空冷されているラジエータ室123は、リアフレーム3およびカバー20により側面を囲まれている。エンジン室122とラジエータ室123は隔壁23により隔離されており、エンジン室122で生じた熱がラジエータ室123に伝達しにくくなっている。エンジン室122には、エンジン21と、エンジン21から排出される排気ガスを処理する排ガス処理装置22と、排ガス処理装置22の内部に還元剤を噴射する還元剤噴射装置22aとが備えられる。還元剤噴射装置22aが噴射する還元剤は、車体の左後方にある還元剤タンク30から還元剤供給配管32を用いて供給される。エンジン21が使用する燃料が外部から供給される燃料供給口29は、車体の後部であって後述する車体フレーム3の中心線CLよりも還元剤タンク30に近い位置に設けられる。燃料供給口29の位置は、後に図6を用いて再度説明する。
【0010】
ラジエータ室123には、エンジン21により加熱されたエンジン冷却水を冷却するラジエータ24と、ラジエータ24を冷却するラジエータファン25とが備えられる。ラジエータ室123の側面上部および上部を覆うカバー20は、不図示のカバースリット27を備え、カバースリット27からラジエータ室123の内部空間に外気が取り込まれる。ラジエータ室123の側面下部を覆うリアフレーム3は、フレーム穴3aを備え、後述するようにラジエータ室123の内部空間および還元剤タンク30の内部空間を接続する。
【0011】
ラジエータファン25は、ラジエータ室123の内部の空気を車体後方、すなわち図2の下方向に排気する。ラジエータファン25が動作することによりラジエータ室123の内部の圧力がホイールローダ100周辺の大気圧よりも低くなるになるため、ラジエータ室123には、カバースリット27およびフレーム穴3aから外気が取り込まれる。換言すると、ラジエータファン25はラジエータ室123に大気圧よりも低い圧力、すなわち吸込み圧を発生させ、カバースリット27およびフレーム穴3aから外気を取り込む。ラジエータ24は、エンジン21を冷却して高温となったエンジン冷却水を冷却する。
【0012】
タンク収納箱31は、還元剤タンク30を収納する箱であり、収納箱穴33、開閉蓋34、水抜き穴35、還元剤供給口36、および収納箱スリット37を備える。タンク収納箱31は、リアフレーム3に設けられたフレーム穴3aと収納箱穴33が一致するように、車体の後方左側面に位置するリアフレーム3に固定される。すなわち、フレーム穴3aと収納箱穴33により還元剤タンク30の内部空間およびラジエータ室123の内部空間が接続される。
【0013】
還元剤タンク30は、エンジン21が排出する燃焼ガスを処理する還元剤、たとえば還元剤であるアンモニアを水に溶解させた尿素水を収納するタンクである。還元剤タンク30に収納される還元剤は、還元剤供給配管32を通じて還元剤噴射装置22aに供給される。還元剤タンク30に接続される還元剤供給配管32の他端は、フレーム穴3aと収納箱穴33を通ってラジエータ室123に到達し、さらに隔壁23を通過してエンジン室122の還元剤噴射装置22aに接続される。エンジン室122の内部は高温なので、温度上昇による還元剤の劣化を防止するために還元剤供給配管32のエンジン室122の内部の長さが短くなるように還元剤供給配管32がレイアウトされる。
【0014】
開閉蓋34は、外部からオペレータが容易に還元剤供給口36にアクセスが可能なように設けられた蓋である。開閉蓋34が閉じられた状態であってもわずかな隙間、すなわち開閉蓋の隙間34aがあり、ラジエータファン25の吸込み圧により外部から空気が取り込まれる。水抜き穴35は、タンク収納箱31の中に溢れた還元剤や侵入した雨水などを排出する穴である。ラジエータファン25の吸込み圧により、水抜き穴35からもタンク収納箱31の内部空間へ外部から空気が取り込まれる。収納箱スリット37は、タンク収納箱31の内部空間に外気を導入する隙間である。
【0015】
開閉蓋の隙間34a、水抜き穴35、および収納箱スリット37を通じて外部から取り込まれた空気、すなわち外気は、還元剤タンク30の内部空間から収納箱穴33とフレーム穴3aを経てラジエータ室123の内部空間に移動し、ラジエータファン25により外部に排出される。この外部から取り込まれた空気は、還元剤タンク30、還元剤供給配管32、およびラジエータ24を冷却する。
カウンタウェイト40は、リアフレーム3の後部に設けられる。カウンタウェイト40はホイールローダ100の車幅方向に長く、車体の側面に設置されたタンク収納箱31よりもホイールローダ100の外側に突出している。また、後述するようにタンク収納箱31よりもホイールローダ100の下方向に突出している。そのため、ホイールローダ100の旋回時や登坂時にカウンタウェイト40がタンク収納箱31を保護する。
【0016】
(ラジエータ室とタンク収納箱の接続部)
図3を用いてラジエータ室123とタンク収納箱31の接続部、すなわちフレーム穴3aと収納箱穴33の構成を説明する。図3は、ホイールローダ100を左後方から見た斜視図である。図3では、タンク収納箱31の開閉蓋34が開いており、タンク収納箱31に収納されている還元剤タンク30等が露出している。なお、図3では水抜き穴35、および収納箱スリット37を省略している。
【0017】
タンク収納箱31がリアフレーム3と接する面には収納箱穴33が設けられており、リアフレーム3のフレーム穴3aと密着している。図3のA部詳細に示すように、収納箱穴33およびフレーム穴3aには、還元剤タンク30と還元剤噴射装置22aを接続する還元剤供給配管32が通されている。還元剤供給配管32の断面積よりも収納箱穴33およびフレーム穴3aの断面積のほうが大きいため、ラジエータファン25の吸込み圧により開閉蓋の隙間34a、水抜き穴35、および収納箱スリット37から導入された外気も通過できる。
【0018】
(カウンタウェイトの形状)
図3〜5を用いてカウンタウェイト40の形状を説明する。図3は、ホイールローダ100を左後方から見た斜視図、図4は、ホイールローダ100の左後方の平面図、図5は、ホイールローダ100の左後方下部の側面図である。カウンタウェイト40は、図3に示すように、ホイールローダ100の車幅方向に長く、左の端部はタンク収納箱31を側面および底面から覆う形状を有する。カウンタウェイト40は、メインウェイト部40aと、側面保護部40bと、底面保護部40cとを備える。側面保護部40bは、図4に示すように、タンク収納箱31よりもホイールローダ100の車幅方向に突出しており、タンク収納箱31の左側面の一部を覆う。底面保護部40cは、図5に示すように、タンク収納箱31よりもリアフレーム3の下方向に突出しており、タンク収納箱31の底面の一部を覆う。メインウェイト部40aは、カウンタウェイト40から側面保護部40bと、底面保護部40cとを除いた部分である。
【0019】
(燃料供給口と還元剤供給口の位置関係)
図6を用いて燃料供給口29と還元剤供給口36の位置関係を説明する。図6は、ラジエータファン25を覆うリアグリル28および開閉蓋34を開けた状態における、ホイールローダ100を左後方から見た斜視図である。
燃料供給口29は、車体の後方でなおかつ車体フレーム3の中心線CLよりもタンク収納箱31に近い位置、すなわち車体後方の左側にあり、ラジエータファン25に隣接するように設置される。ラジエータファン25および燃料供給口29はリアグリル28で覆われており、オペレータはリアグリル28を開けて燃料供給口29にアクセスする。
【0020】
還元剤供給口36は、車体後方の左側面に設置されたタンク収納箱31の中にある。前述のとおり、タンク収納箱31は下部後方からカウンタウェイト40により覆われているので、タンク収納箱31の開閉蓋34は左前方に設けられる。オペレータは開閉蓋34を開けて還元剤供給口36にアクセスする。
以上説明したように、燃料供給口29と還元剤供給口36はいずれもホイールローダ100の左後方にあり、オペレータは移動することなく両者にアクセスできる。しかし、燃料供給口29と還元剤供給口36にアクセスするためには、それぞれリアグリル28と開閉蓋34を開ける必要があるため、オペレータが両者を混同して燃料と還元剤を入れ間違える恐れがない。
【0021】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)ホイールローダ100は、リアフレーム3と、リアフレーム3に搭載されるエンジン21と、エンジン21よりもリアフレーム3の後方に搭載されるラジエータ24と、エンジン21とラジエータ24とを隔離する隔壁23と、エンジン21およびラジエータ24を覆うカバー20と、リアフレーム3の後方に設けられカバー20の内部、すなわちラジエータ室123からリアフレーム3の後方に排気するラジエータファン25と、エンジン21の排出ガスに還元剤を噴射する還元剤噴射装置22aを備える。ホイールローダ100は、リアフレーム3の側方に設けられ、外気を導入する導入部、すなわち開閉蓋の隙間34a、水抜き穴35、および収納箱スリット37を備え、還元剤噴射装置22aが噴射する還元剤を貯蔵する還元剤タンク30を収納するタンク収納箱31と、カバー20またはリアフレーム3、およびタンク収納箱31に設けられ、タンク収納箱31の内部空間およびカバー20の内部空間、すなわちラジエータ室123を接続し、ラジエータファン25の吸込み圧により導入部から導入された外気、および還元剤を噴射装置に供給する還元剤供給配管32が通過する接続部、すなわち収納箱穴33およびフレーム穴3aと、をさらに備える。
このようなホイールローダ100によれば、ラジエータファン25の吸込み圧により開閉蓋の隙間34a、水抜き穴35、および収納箱スリット37から新鮮な外気がタンク収納箱31へ取り込まれる。そのため、タンク収納箱31に納められた還元剤タンク30は、取り込まれた新鮮な外気と直接に熱交換を行うので、外気を還元剤タンク30を冷却する低温熱源として活用できる。すなわち、装置を追加することなく新鮮な外気を還元剤タンク周辺に導入するので、還元剤タンク30を効率よく冷却できる。
【0022】
(2)リアフレーム3に設けられるフレーム穴3aは、隔壁23よりもラジエータ24の近く、すなわちラジエータ室123に設けられる。
そのため、還元剤供給配管32がラジエータ室123に導かれ、高温であるエンジン室122の内部を通過する距離を短くすることができる。
【0023】
(3)タンク収納箱31は、リアフレーム3の側方であって隔壁23よりもラジエータ24の近く、すなわちラジエータ室123の側方に設けられる。
そのため、タンク収納箱31の収納箱穴33をリアフレーム3のフレーム穴3aと直接接続することができる。収納箱穴33とフレーム穴3aとの間に管路が存在しないため、外部からタンク収納箱31に取り込んだ空気のラジエータ室123への移動が妨げられにくい。すなわち、多くの空気がタンク収納箱31に取り込まれ、還元剤タンク30の外気による冷却の効果が高まる。
【0024】
(4)ホイールローダ100は、リアフレーム3の後方にカウンタウェイト40を備える。カウンタウェイト40は、メインウェイト部40aと、タンク収納箱31よりもリアフレーム3の幅方向に突出している側面保護部40bと、タンク収納箱31よりもリアフレーム3の下方向に突出している底面保護部40cとを備える。
そのため、タンク収納箱31をカウンタウェイト40により保護することができる。
【0025】
(5)ホイールローダ100は、リアフレーム3の側面に設置され、還元剤タンク30へ還元剤を導く還元剤供給口36と、リアフレーム3の後方でなおかつリアフレーム3の中心線CLよりもタンク収納箱31に近い位置に設置され、エンジン21で使用される燃料が注がれる燃料供給口29とを備える。
そのため、燃料供給口29と還元剤供給口36はホイールローダ100の後部と側面にあり、設置される面が異なることからオペレータが両者を混同することがない。また、燃料供給口29と還元剤供給口36は近い位置にあるため、オペレータは移動することなく両者にアクセスできる。さらに、還元剤供給口36は熱風が排出されるラジエータファン25からは離れた位置にあるため、還元剤の温度が上昇して品質が劣化する恐れがない。言い換えると、燃料供給口29と還元剤供給口36の位置を入れ替えると、ラジエータファン25が排出する熱せられた空気が還元剤供給口36の近くを通過し、還元剤供給口36および還元剤も加熱され、還元剤が劣化するため好ましくない。
【0026】
(変形例)
以上説明した実施の形態を以下のように変形して実施することができる。
(1)上述した実施の形態では、リアフレーム3に設けたフレーム穴3aとタンク収納箱31に設けた収納箱穴33とを密着させることにより両者を接続したが、接続方法はこれに限定されない。たとえば、フレーム穴3aと収納箱穴33とを配管やチューブなどで接続してもよい。
(2)上述した実施の形態では、タンク収納箱31はリアフレーム3に固定されたが、タンク収納箱31の固定対象はリアフレーム3に限定されない。タンク収納箱31は、カバー20に固定してもよいし、カウンタウェイト40に固定してもよい。
【0027】
(3)上述した実施の形態では、ラジエータ室123の内部空間とタンク収納箱31の内部空間を接続するために、リアフレーム3にフレーム穴3aを設けたが、ラジエータ室123の開口部はこれに限定されない。ラジエータ室123を覆うカバー20に穴を設けて、この穴と収納箱穴33とを接続することにより、ラジエータ室123の内部空間とタンク収納箱31の内部空間を接続してもよい。
【0028】
(4)上述した実施の形態では、タンク収納箱31はラジエータ室123に設けられたフレーム穴3aに隣接する位置に設置されたが、タンク収納箱31の設置位置はこれに限定されない。タンク収納箱31をラジエータ室123に隣接しない位置、たとえばエンジン室122に隣接して設けてもよい。この場合には、フレーム穴3aと収納箱穴33とを配管やチューブなどで接続する。
この変形例4によれば、ラジエータ室123に設ける穴の位置やタンク収納箱31の設置位置の自由度が高まり、多様な設計が可能となる。
【0029】
(5)上述した実施の形態では、タンク収納箱31はホイールローダ100の左側面に設けられたが、ホイールローダ100の右側面に設けてもよい。この場合には、フレーム穴3aや燃料供給口29の位置も、タンク収納箱31にあわせて上述した実施の形態とは左右対称に設けてもよい。
【0030】
(6)上述した実施の形態では、ホイールローダ100のタンク収納箱31は、開閉蓋の隙間34aと、水抜き穴35と、収納箱スリット37とを備える。しかし、これらのうち少なくとも1つを備える構成でもよい。
【0031】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
3 … リアフレーム(車体フレーム)
3a … フレーム穴(接続部)
20 … カバー
21 … エンジン
22a … 還元剤噴射装置(噴射装置)
23 … 隔壁
24 … ラジエータ
25 … ラジエータファン
29 … 燃料供給口
30 … 還元剤タンク(タンク)
31 … タンク収納箱(タンク収納部)
32 … 還元剤供給配管
33 … 収納箱穴(接続部)
34a… 開閉蓋の隙間(導入部)
35 … 水抜き穴(導入部)
36 … 還元剤供給口
37 … 収納箱スリット(導入部)
40 … カウンタウェイト
40a… メインウェイト部
40b… 側面保護部
40c… 底面保護部
100… ホイールローダ(建設機械)
123… ラジエータ室(カバーの内部空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6