(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232376
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】電圧上昇装置を備えた自動車のスタータ回路およびそれに設けられたスタータ
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20171106BHJP
F02N 11/08 20060101ALI20171106BHJP
H02M 3/24 20060101ALI20171106BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
B60R16/02 645Z
F02N11/08 L
F02N11/08 Y
H02M3/24 Y
H01F27/28 J
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-522133(P2014-522133)
(86)(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公表番号】特表2014-522780(P2014-522780A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】FR2012051610
(87)【国際公開番号】WO2013014356
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】1156922
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ、ラベ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−クロード、マット
【審査官】
佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−138381(JP,U)
【文献】
特開2003−314416(JP,A)
【文献】
特開2004−225649(JP,A)
【文献】
特開2006−114662(JP,A)
【文献】
特開2007−173699(JP,A)
【文献】
特開2011−103455(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/055963(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
F02N 11/08
H01F 27/28
H02M 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のスタータ電子回路におけるスタータ(DCM、EC)とバッテリ電圧を上昇させる装置(LPF)のコンビネーション(1)であって、
前記スタータ(DCM、EC)は、電気モータ(DCM)と、電磁接触器(EC)と、前記電気モータ(DCM)と前記電磁接触器(EC)とを接続する電力回路と、を有し、
前記バッテリ電圧上昇装置(LPF)は、電流が前記スタータ(DCM、EC)に印加される時に、前記電力回路に生じる電流スパイクの後に起きるバッテリ電圧(Vbat)の降下を防止するように設計されており、
前記バッテリ電圧上昇装置(LPF)は、前記電力回路において前記電気モータ(DCM)と直列に取り付けられた誘導式のフィルタリング装置(LPF)から構成されており、
前記フィルタリング装置は、逆予分極を有する磁気回路(YO、C)と、円筒形状のヨーク(YO)とその回りに前記電力回路に直列に取り付けられるように設計された第1巻線回路(W1)および短絡回路である第2巻線回路(W2)が配置された軸心(C)とを有する磁性材料から作られたフレーム(YO、C)と、を有する
ことを特徴とするコンビネーション。
【請求項2】
前記フィルタリング装置(LPF)は、前記自動車のバッテリの正端子(B+)と前記電磁接触器(EC)の電力接点(CP)との間において、前記電力回路に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のコンビネーション。
【請求項3】
前記フィルタリング装置(LPF)は、前記電磁接触器(EC)の電力接点(CP)と前記電気モータ(DCM)との間において、前記電力回路に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のコンビネーション。
【請求項4】
前記フィルタリング装置(LPF)は、そのN極およびS極が前記逆予分極を導入するように向けられている少なくとも1つの分極磁石(PM)を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンビネーション。
【請求項5】
前記フィルタリング装置(LPF)は、前記軸心(C)と前記分極磁石(PM)との間に配置された極性部品(PP)を更に有する
ことを特徴とする請求項4に記載のコンビネーション。
【請求項6】
前記極性部品(PP)と前記ヨーク(YO)との間にエアギャップ(AG)がある
ことを特徴とする請求項5に記載のコンビネーション。
【請求項7】
前記フィルタリング装置(LPF)は、少なくとも1つの分極巻線回路(PW)を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンビネーション。
【請求項8】
前記分極巻線回路(PW)は、前記軸心(C)の回りに配置されており、
前記分極巻線回路(PW)は、前記第1巻線回路(W1)の逆向きに巻かれている
ことを特徴とする請求項7に記載のコンビネーション。
【請求項9】
前記分極巻線回路(PW)は、バッテリの負端子(B−)と前記自動車の起動接点(CS)との間に接続されるように設計されている
ことを特徴とする請求項8に記載のコンビネーション。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のコンビネーション(1)であって、スタータ(DCM、EC)とフィルタリング装置(LPF)とが一体化されているコンビネーション(1)、におけるスタータ(DCM、EC)であって、
前記フィルタリング装置(LPF)が当該スタータ(DCM、EC)の外側ケーシング上に固定されている
ことを特徴とするスタータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、本発明は、自動車における燃焼機関のためのスタータの分野に関連する。特に、本発明は、スタータと当該スタータのスイッチが入れられる時に車のバッテリの端子における電圧が上昇されることを可能にする装置とのコンビネーションに関連する。
【背景技術】
【0002】
車のエンジンを起動させるためにスタータのスイッチが入れられる時に、スタータの短絡回路の電流レベルに近い実質的な電流スパイクが生じ、それは1000アンペアのオーダーの電流である。スタータのスイッチが入れられる時のこの電流サージは、その後に、機械の回転子に対応するスタータの電機子の速度が増加するにつれて、強度が減少する。
【0003】
この初期電流スパイクは、バッテリの端子における電圧の著しい降下に関連付けられる。他のそれほど実質的ではない電圧の降下が、その後に、起動段階中に生じ、エンジンの連続的な上死点の通過に対応する。
【0004】
エンジンの自動的な停止/起動システム(いわゆる「ストップ/スタート(Stop/Start)」または「ストップ・アンド・ゴー(Stop and Go)」システム)のために設計された、いわゆる「強化」スタータの開発は、現在、スタータのスイッチが入れられる時における電流サージ中のバッテリの最小電圧閾値の順守に関連する新たな規制を自動車の製造業者に課している。従って、それらの仕様書において、自動車の製造業者は、通例7乃至9ボルトの間に含まれる第1電圧閾値を規定しており、それ以下にバッテリ電圧が降下してはいけない。エンジンの上死点に対応するその後に起きる電圧降下に対して、バッテリ電圧は、通例8乃至9ボルトの間に含まれる第2電圧閾値の上に留まらなければいけない。エンジンの起動中に、車の搭載回路網の電圧は、したがって、車の装備の期待される機能を保証するのに十分な値に留まる。
【0005】
強化スタータは、概して、ユーザの増大される快適性のために迅速な起動を得るために、従来のスタータよりも高い電力レベルを有する。これは、増大される要求を考慮して、結果的に、電圧が適用される時におけるより高い突入電流と、したがって、通例の値を超えるバッテリ電圧の第1降下と、をもたらす。これは、バッテリ電圧に関して上に留まるために、スタータが非常に大きな内部電圧降下を有する必要があることで、低温において十分な速度でエンジンを駆動するのに必要な電力をもはや有しない、という現実の困難性を設計者に課す。
【0006】
従来技術では、上記に説明された問題に対処するためにいくつかの解決策が提案されている。発明者に知られている第1の解決策は、搭載回路網における低すぎる電圧レベルを防止するために電圧を上昇させる電子変換器の使用に依存する。これらの変換器の主な欠点は、それらの使用に伴われる実質的なコストにある。
【0007】
別の知られた解決策は、2つの継電器、タイマー、および電流制限レジスタによりスタータを制御することを提案している。その継続時間がタイマーによって決定される第1動作段階では、追加のレジスタがスタータ回路に直列に挿入され、初期電流スパイクを制限する。第2動作段階では、スタータの電機子における十分な電流の通過を可能にして当該電機子の速度が増加することを可能にするために、追加のレジスタがスタータ回路から取り出される。
【0008】
文献EP2080897A2およびEP2128426A2は、上記タイプのスタータを記載している。追加の制御継電器、タイマー、および電流制限レジスタにより伴われる追加コストの欠点の他に、磨耗にさらされる機械的部分の移動を含む追加の継電器の導入は、スタータが問題なく耐えることができなければいけない起動サイクルの回数に関するスタータの性能にマイナスの影響を有する。起動サイクルの回数に関するスタータの性能は、停止/起動システムのために意図されたスタータに対する特に厳しい制約である。したがって、そのようなスタータは、従来のスタータに要求されるおよそ30,000サイクルの10倍である約300,000起動サイクルに耐えることが要求されている。
【0009】
上記に説明された欠点の他に、従来技術の第2の解決策の使用は、時間に関する制約を示す電圧パターンの遵守が自動車の製造業者により要請される時に、不適切であると分かる。そのようなパターンは、概して、上記に示された第1電圧閾値に対応する低電圧レベルと、第2電圧閾値に対応する高電圧レベルと、を有する。上昇ランプ電圧が、また、低レベルと高レベルとの間において当該パターンに設けられている。
【0010】
電圧パターンの低レベルおよびランプ・スロープの継続時間に関して製造業者により使用される通例の値を用いて発明者によって実行されたテストは、当該パターン内に留まる際における従来技術のこの第2の解決策によって課される困難性を示している。具体的に、スタータの電機子を通過する電流が次にスタータ回路からの電流制限レジスタの除去により実質的に増加する状態で、バッテリ電圧が、一度初期電流スパイクが吸収されて回復した後、時間遅延の最後に再び降下する時に、ランプ電圧のレベルにおいてパターンを横切るリスクがあることが分かった。この横切りの後、バッテリ電圧は、ある時間、パターンの下に留まって、上昇ランプ電圧の最後の後にのみ当該パターンの上に戻り得るのに対して、電圧高レベルの開始時間は、すでに到達されている。
【0011】
上記に説明された欠点を克服する目的で、発明者は、特に自動車におけるエンジンの自動的な停止/再起動機能に適用するために、従来技術の既存のスタータの改善を既に提案している。
【0012】
これらの改善は、概して、電気モータのスイッチを入れることにより生み出される電流スパイクからもたらされるバッテリ電圧の降下を防止するために、誘導式フィルタリング装置をスタータの電力回路において電気モータと直列に取り付けることから構成されている。
【0013】
発明者によって行われた新たな研究は、これらの改善の実施の形態を最適化することを可能にする。
【発明の概要】
【0014】
第1の態様によれば、本発明は、自動車のスタータの電子回路におけるスタータとバッテリ電圧を上昇させる装置のコンビネーションに関連し、スタータは、電気モータと電磁接触器とを有し、バッテリ電圧を上昇する装置は、スタータの電力回路に電圧を印加することによって生み出される電流スパイクからもたらされるバッテリ電圧の降下を防止するように設計されている。
【0015】
本発明によれば、バッテリ電圧を上昇させる装置は、電力回路において電気モータと直列に取り付けられる誘導式のフィルタリング装置から構成されており、フィルリング装置は、逆予分極(reverse pre−polarisation)を有する磁気回路と、円筒状のヨークとその回りに電力回路に直列に取り付けられる第1巻線および短絡回路である第2巻線回路が配置される軸心とを有する磁性材料から作られたフレームと、を有する。
【0016】
特定の実施の形態によれば、フィルタリング装置は、スタータの電力回路においてバッテリの正端子と電磁接触器の電力接点との間に取り付けられる。
【0017】
別の特定の実施の形態によれば、フィルタリング装置は、電磁接触器の電力接点と電気モータとの間においてスタータの電力回路に取り付けられる。
【0018】
特定の特徴によれば、フィルタリング装置は、そのN極およびS極が逆予分極を導入するように向けられている少なくとも1つの分極磁石を有する。好ましくは、フィルタリング装置は、軸心と分極磁石との間に配置された極性部品を更に有し、エアギャップが極性部品とヨークとの間に設けられ得る。
【0019】
別の特定の特徴によれば、フィルタリング装置は、少なくとも1つの分極巻線回路を有する。好ましくは、分極巻線回路は、軸心の回りに配置されており、分極巻線回路は、第1巻線回路の逆向きに巻かれている。分極巻線回路は、バッテリの負端子と車の起動接点との間に接続されるように意図されている。
【0020】
別の態様では、本発明は、上記に簡潔に説明されたようなコンビネーションに一体化されるように設計されたスタータに関連する。
【0021】
これらの少数の本質的な仕様は、誘導式フィルタリング装置の出願人の企業による最適化のおかげで得られる追加の利点を当業者に対して明らかにするであろう。
【0022】
本発明の詳細な仕様は、添付された図面を参照して以下の説明において与えられる。これらの図面は、説明の文章を図示する以外の目的を有しておらず、本発明の範囲を制限するものでは全く無い、ということに注意されよう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、スタータと出願人の企業によって以前に開発された種類の誘導式フィルタリング装置のコンビネーションを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたようなコンビネーションを有するスタータ電子回路の概略図である。
【
図3】
図3a、
図3b、および
図3cは、それぞれ、逆予分極のための永久磁石を有するタイプの本発明によるフィルタリング装置の場合(三角形)および従来のフィルタリング装置の場合(ひし形)における、スタータの電力回路を循環する電流に対する磁束および磁気エネルギーの変化、ならびに、時間に対する電流の変化を示している。
【
図4】
図4は、本発明によるフィルタリング装置の第1の好ましい実施の形態の軸方向断面図である。
【
図5】
図5は、本発明によるフィルタリング装置の第2の好ましい実施の形態の軸方向断面図である。
【
図6】
図6は、スタータと
図5に示される第2の実施の形態によるフィルタリング装置のコンビネーションを有するスタータ電子回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、直流電気モータDCMおよび電磁接触器ECを有するスタータと、出願人の企業の最適化努力の目的であった誘導式のフィルタリング装置LPFと、のコンビネーション1を示している。
【0025】
本実施の形態では、フィルタリング装置LPFは、接触器ECの近くにおいて、スタータの外側ハウジングに機械的に固定されている。
【0026】
フィルタリング装置LPFと接触器ECと電気モータDCMとの間の電気的接続は、
図2に示されている。
【0027】
フィルタリング装置LPFは、接触器ECの電力接点CPとモータDCMとの間に直列に電気的に取り付けられている。
【0028】
別の実施の形態(不図示)では、フィルタリング装置LPFは、スタータEC、DCMに一体化されておらず、バッテリの正端子B+と電力接点CPとの間において電力回路に挿入されている。
【0029】
この例では、接触器ECは、単純な電力接点CPを有する従来のスタータ接触器であり、引込みコイルおよび保持コイルから形成されたソレノイドを有している。
【0030】
車の起動接点CSの閉鎖は、引込みコイルおよび保持コイルの励起と、当業者によく知られた順序によるとともにここに詳細には説明されないスタータの活性化と、を制御する。
【0031】
モータDCMに十分な電力が供給される時、前記に言及された強い初期電流スパイクが電力接点CPの閉鎖において生じる。電力接点CPの閉鎖は、また、モータDCMに供給する電流を、フィルタリング装置LPFを流れさせる。
【0032】
図2の電気回路図に示されるように、この例におけるフィルタリング装置LPFは、磁気結合巻線を有する二重ケーシング形の変圧器の形状をここではとる誘導式装置である。応用によっては、単純なインダクタンスが、最適化作業の目的であったローパスフィルタリング装置を形成するために使用され得る、ということに注意されよう。しかしながら、変圧器を有する実施の形態は、応用によっては、装置LPFの周波数応答を調整するためにより多くのパラメータを得ることを可能にする。したがって、第1および第2回路W1、W2のインダクタンスとこれらの回路の間の結合により導入される相互インダクタンスとを制御することにより、この応答を最適化することが可能である。
【0033】
第1巻線回路W1は、スタータの電力回路に挿入されるものである。第2巻線回路W2は、短絡されている。
【0034】
典型的に、誘導フィルタリング装置LPFの等価インダクタンスは、300〜1000Aの大きさのオーダーを有する電流に対して約0.1〜10mHの間に含まれる。
【0035】
バッテリ電圧を上昇させることの得られる効果は、モータDCMのスイッチが入れられる時に、短絡された第2回路W2における強い誘導電流の生成により初期電流スパイクが遮断され(約半分に弱められ)、それは、当該誘導電流を生成する磁束における突然の変化に対抗する、という事実に由来する。
【0036】
図3a、
図3b、および
図3cは、例えば逆予分極のための永久磁石を有するタイプの本発明によるフィルタリング装置に対して、本発明によるフィルタリング装置の場合(三角形)および従来のフィルタリング装置の場合(ひし形)における、スタータの電力回路を流れる電流に依存するフィルタリング装置における磁束および磁気エネルギーの変化、ならびに時間に対する電流の変化をそれぞれ示している。
【0037】
図3aは、最適化されていないフィルタリング装置LPFの磁気回路(ひし形の曲線2)および本発明による最適化されたフィルタリング装置LPFの磁気回路(三角形の曲線3)における磁束Φの変化を示している。
【0038】
最適化されていないフィルタリング装置LPFの場合、磁束Φは、電流が最大値に安定化する前の状態において、非常に迅速に増加する。
【0039】
図3bは、この飽和値が磁気エネルギーEm(ひし形の曲線4)の少量の蓄積に対応することを示している。
【0040】
その後に、電流スパイクは弱められるものの、
図3cに明らかに示されるように(ひし形の曲線5)、最適化されていないフィルタリング装置LPFの磁気回路の飽和に達する時、電流Iは非常に迅速に増加する。
【0041】
飽和現象の開始を遅らせるために、本発明による最適化されたフィルタリング装置LPFは、逆予分極、すなわち第1巻線回路W1の磁気効果とは反対の磁気効果を有する予分極、を有する磁気回路を有している。
【0042】
図3aは、磁束Φが約300A未満の電流にとってマイナスであることを明らかに示している(三角形の曲線3)。磁束Φの増加は、飽和現象が現れることなく、800Aまでの電流Iの変化の範囲にわたって実質的に直線状である。
【0043】
この場合、蓄えられる磁気エネルギーEmは、最適化されていないフィルタリング装置LPFに対応する値(ひし形の曲線4)よりも高い値(
図3bにおける三角形の曲線6)に達する。
【0044】
この逆予分極を実装することの結果は、電圧が
図3c(三角形の曲線7)に示されるようにモータDCMに適用される時の電流におけるより遅い変化である。
【0045】
図4は、本発明による最適化されたフィルタリング装置LPFの第1の好ましい実施の形態を示している。
【0046】
この第1の好ましい実施の形態では、最適化された装置LPFは、最適化されていないフィルタリング装置LPFと同じ本質的要素、すなわち、鉄のような磁性材料から作られたフレームC、YOと、銅から作られた第1巻線回路W1および第2巻線回路W2と、を有している。
【0047】
フレームは、円筒形状のヨークYOと、その周りに巻線回路W1、W2が配置された軸心Cと、を有している。
【0048】
第1巻線回路W1は、電力回路に直列に取り付けられるように意図されており、第2巻線回路W2は、短絡されている。
【0049】
磁気回路C、YOの逆予分極は、N極およびS極が適切に、すなわち第1巻線回路W1の磁気効果と反対の磁気効果を有するように方向付けられている分極磁石PM、好ましくはフェライトまたはネオジム・鉄・ボロン磁石により得られる。
【0050】
極性部品PPが、分極磁石PMの磁束を集中させるとともに消磁に対して分極磁石PMを保護するために、軸心Cと分極磁石PMとの間に配置されている。
【0051】
磁性部品PPとヨークYOとの間における調整可能な厚みeのエアギャップAGは、消磁に対する分極磁石PMの保護を調整することを可能にする。
【0052】
図5は、本発明による最適化されたフィルタリング装置LPFの第2の好ましい実施の形態を示している。
【0053】
この第2の好ましい実施の形態では、最適化された装置LPFは、また、最適化されていないフィルタリング装置LPFと同じ本質的要素、すなわち鉄のような磁性材料から作られたフレームC、YOと、銅から作られた第1巻線回路W1および第2巻線回路W2と、を有している。
【0054】
分極磁石PMの代わりに、分極巻線回路PWが、第1および第2巻線W1、W2の第1端部において軸心Cの回りに、第1巻線回路W1の向きとは反対の向きで巻かれている。変形例によれば、分極巻線回路PWは、第1および第2巻線の第1端部および第2反対端部においてそれぞれ軸心Cの回りに巻かれた2つの部分から作り上げられている。
【0055】
この第2の好ましい実施の形態における最適化されたフィルタリング装置LPFと、接触器ECと、電機モータDCMとの間の電気的接続は、
図6に示されている。
【0056】
分極巻線回路PWは、バッテリの負端子B−と車の起動接点CSとの間に接続されている。
【0057】
この巻線配置は、電磁接触器ECの引込みコイルおよび保持コイルの励起と同時に、すなわち電力接触器CPによる電力回路の閉鎖の約25ms前に、分極巻線回路PWにおいて定常状態の状況にある電流を確立することを可能にする。
【0058】
電流Iが遷移状態において確立される前の磁気回路YO、Cの予分極は、飽和を遅れさせることを可能にするより大きな誘導変化の利益を提供する(例えば、磁束Φの変化の強度が飽和値の2倍に到達し得る)。電気モータDCMは、したがって、より高い回転速度に到達し、これにより、飽和の瞬間に、電流Iを制限する向きに寄与するより高い逆起電力を生成する。
【0059】
この第2の実施の形態は、高効率の最適化されたフィルタリング装置LPFを提供することを可能にする。エアギャップAGがこの例では消磁に対して永久磁石PMを保護するために必要ではない、ということに注意されよう。
【0060】
本発明が上記に説明された好ましい実施の形態のみに制限されないことは、言うまでもない。
【0061】
特に、分極磁石PMは、変形例では、
図4に示される点以外の磁気回路YO、Cにおける一点に配置される。他の可能な変形例が、分極磁石PMのいくつかの例を有する。
【0062】
第1および第2巻線回路W1、W2と1つまたは複数の分極巻線回路PWとの相対配置は、別例として、
図5に図示された相対配置とは異なる。
【0063】
図6に図示された分極巻線回路PWの電気的接続は、また、当業者が要求に応じて容易に変更するであろう一例でしかない。
【0064】
ある実施の形態では、第2巻線回路W2が、有利には、第1巻線回路W1と同心状の(例えば銅またはアルミニウムから作られた)導電性チューブから構成されて、第1巻線回路W1の外側または内側に配置され得る。
【0065】
本発明は、したがって、下記の特許請求の範囲の請求項の目的の範囲内で多くの可能な別の実施の形態を包含する。