特許第6232382号(P6232382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232382構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232382
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20171106BHJP
   B21J 5/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G06F17/50 612H
   B21J5/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-542916(P2014-542916)
(86)(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公表番号】特表2015-501036(P2015-501036A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】FR2012052682
(87)【国際公開番号】WO2013076421
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年10月26日
(31)【優先権主張番号】1160699
(32)【優先日】2011年11月23日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン,ジョナタン
【審査官】 松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0073401(US,A1)
【文献】 特開2000−197942(JP,A)
【文献】 特開2002−079340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
B21J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクの鍛造作業後に得られた構成要素に認められる不具合(33)の場所を動的に特定するシステムであって、
前記鍛造作業中の構成要素(1)の動作を鍛造パラメータの関数としてモデル化する方程式を数値的に解くことにより、前記鍛造作業をモデル化するように適合された処理手段(15)であって、前記解法は反復して実現され、前記鍛造作業中の前記構成要素(1)を形成する1組の時間的な連続モデル(21a〜21f)につながり、前記1組は、前記ブランク(1a)に対応する初期モデル(21a)と、中間鍛造ステップに対応する中間モデル(21b〜21e)と、前記鍛造された構成要素(1)に対応する最終モデル(21f)とを備える処理手段(15)と、
前記構成要素(1)で認められる不具合(33)に関連するデータを前記処理手段(15)に提供する入力手段であって、不具合を有する構成要素が、欠陥のある構成要素(1t)と呼ばれる入力手段と、
前記欠陥のある構成要素(1t)内の不具合の領域に対応するゾーン内で、前記1組のモデル(21a〜21f)に属する第1のモデルに不具合プロッタ(43)を追加して、不具合の検出時点の、欠陥のある構成要素(1t)を表す第1のプロットされたモデル(21t)を得るように適合された処理手段(15)と、
前記不具合(33)の動態を診断するために、処理手段(15)に連結され、前記第1のプロットされたモデル(21t)から開始して、前記モデル化の間にわたり、前記不具合プロッタ(43)を経時的に、遡及的に追跡するように適合された目視手段(20)と
を備え、遡及的に追跡することにおいて、前記第1のモデルが、前記最終モデル(21f)に対応し、第1のプロットされたモデル(21t)が、最終のプロットされたモデル(21tf)に対応すること、および処理手段(15)が、前記最終のプロットされたモデル(21tf)から開始して、前記モデル化の順序を逆にすることにより、前記不具合プロッタ(43)を時間的に追跡するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
第1のプロットされたモデル(21t)で前記不具合プロッタ(43)に関連づけられたゾーンの寸法および位置決めが、欠陥のある構成要素(1t)内の不具合(33)の領域の寸法および位置決めに実質的に類似することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記鍛造作業のモデル化が、動的モデル化であり、各反復で多角形メッシュ(23)を形成する有限要素が、対応する鍛造ステップで構成要素を表すことを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
処理手段(15)が、各反復で、前記不具合プロッタ(43)の寸法および位置を、前記時間のステップで前記多角形メッシュ(23)の基本要素の関数として規定するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
処理手段(15)が、初期モデル(21a)で前記不具合プロッタ(43)の場所を特定して、鍛造前の構成要素の中に不具合が存在した領域を識別するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
処理手段(15)が、特定の構成を備える中間モデルで、前記不具合プロッタ(43)の場所を特定して、前記特定の構成が前記不具合を引き起こす可能性が高いかどうかを検証するように構成されることを特徴とする、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記不具合プロッタ(43)が、前記多角形メッシュ(23)に関連づけられた対照要素であることを特徴とする、請求項3からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
コンピュータが、ブランクの鍛造作業後に得られた構成要素に認められる不具合(33)の場所を動的に特定する方法であって、
前記コンピュータが、
前記鍛造作業中の構成要素(1)の動作を鍛造パラメータの関数としてモデル化する方程式を数値的に解くことにより前記鍛造作業をモデル化するステップであって、前記解法は反復して実現され、鍛造作業中の前記構成要素(1)を形成する1組の時間的な連続モデル(21a〜21f)につながり、前記1組は、前記ブランク(1a)に対応する初期モデル(21a)と、中間鍛造ステップに対応する中間モデル(21b〜21e)と、前記鍛造された構成要素(1)に対応する最終モデル(21f)とを備えるステップと、
前記構成要素(1)で認められる不具合(33)に関連するデータを得るステップであって、不具合を有する構成要素が、欠陥のある構成要素(1t)と呼ばれるステップと、
前記欠陥のある構成要素内の不具合の領域に対応するゾーン内で、前記1組のモデルに属する第1のモデルに不具合プロッタ(43)を追加して、不具合の検出時点の、欠陥のある構成要素(1t)を表す第1のプロットされたモデル(1t)を得るステップと、
前記不具合の動態を診断するために、前記第1のプロットされたモデルから開始して、前記モデル化の間にわたり、前記不具合プロッタ(43)を経時的に、遡及的に追跡するステップと
を備え、遡及的に追跡するステップにおいて、前記第1のモデルが、前記最終モデル(21f)に対応し、第1のプロットされたモデル(21t)が、最終のプロットされたモデル(21tf)に対応すること、および前記最終のプロットされたモデル(21tf)から開始して、前記モデル化の順序を逆にすることにより、前記不具合プロッタ(43)が時間的に追跡されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造の一般的分野に関し、鍛造作業に起因する、欠陥のある構成要素で見つけられた不具合の場所を動的に特定することに関する。本発明は、すべての産業分野に、詳細には、鍛造される構成要素が品質および安全性という最大の制約条件を受ける航空学の分野に応用される。
【背景技術】
【0002】
鍛造された構成要素を成形するとき、製造する際の変動が、これらの構成要素を潜在的に拒絶させる欠陥の形成につながる場合がある。鍛造された構成要素内での欠陥の検出は、超音波の、磁気検出の、または視覚によるタイプの検査手段を使用して実現されることができる。
【0003】
欠陥の原因が、鍛造パラメータに、または成形工具の不完全な構成に関連する場合がある。したがって、欠陥の起源を識別または特定して、鍛造作業またはツーリングを改善することが重要である。
【0004】
現時点では、鍛造された構成要素の欠陥の起源を識別するために、欠陥が、鍛造前の元の部品と近似的に関係づけられる。欠陥のこの関連づけは不正確であり、表面上に、または視覚的に容易に識別できる領域に存在する欠陥に対してだけ実現される。
【0005】
さらに、このタイプの比較では、中間鍛造ステップの間に発生した欠陥の場所を特定することができず、欠陥をうまく診断するのに好ましくない、欠陥の拡大を解析することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、欠陥のある構成要素で認められる欠陥または不具合の場所を動的に特定するシステムおよび方法を提案することであり、これにより、前述の欠点が克服され、欠陥の拡大についての、先を見越した、または遡及的な知識が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鍛造作業に関連する、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定するシステムであって、
前記構成要素の1組の連続モデルを使用して、鍛造による構成要素成形作業をモデル化するための処理手段と、
前記欠陥のある構成要素の不具合の領域に対応するゾーン内で、前記1組のモデルのうち第1のモデルに不具合プロッタを追加して、第1のプロットされたモデルを得るための処理手段と、
前記第1のプロットされたモデルから、前記モデル化の間にわたり、前記不具合プロッタを経時的に追跡して、前記不具合の起源を特定するための処理手段と
を備えるシステムにより規定される。
【0008】
したがって、構成要素の媒体中での不具合の拡大を、先を見越して、または遡及的に診断することが可能である。
【0009】
有利には、第1のモデルで前記不具合プロッタに関連づけられたゾーンの寸法および位置が、欠陥のある構成要素内の不具合領域の寸法および位置に実質的に類似する。
【0010】
本発明の特定の一実施形態によれば、成形作業のモデル化は、対応する鍛造ステップで構成要素を表す多角形メッシュを各モデル化時間ステップで形成する有限要素を使用する動的モデル化である。
【0011】
有利には、処理手段は、各モデル化時間ステップで、前記不具合プロッタの寸法および位置を、前記時間のステップで前記メッシュの基本要素の関数として規定するように構成される。
【0012】
本発明の第1の実施形態によれば、前記1組の連続モデルは、鍛造前の構成要素に対応する初期モデルと、中間鍛造ステップに対応する中間モデルと、鍛造された構成要素に対応する最終モデルとを備え、前記第1のモデルは、前記最終モデルに対応し、前記第1のプロットされたモデルは、最終のプロットされたモデルに対応し、処理手段は、前記最終のプロットされたモデルから開始して、前記モデル化の順序を逆にすることにより、前記不具合プロッタを時間的に追跡するように構成される。
【0013】
処理手段は、初期モデルで前記不具合プロッタの場所を特定して、鍛造前の構成要素の中に不具合が存在した領域を識別するように構成される。
【0014】
有利には、処理手段は、特定の構成を備える中間モデルで、前記不具合プロッタの場所を特定して、前記特定の構成が前記不具合を誘発する可能性が高いかどうかを検証するように構成される。
【0015】
本発明の第2の実施形態によれば、前記1組の連続モデルは、鍛造前の構成要素に対応する初期モデルと、鍛造された構成要素に対応する最終モデルとを備え、前記第1のモデルは、前記初期モデルに対応し、前記第1のプロットされたモデルは、初期のプロットされたモデルに対応し、処理手段は、前記最終モデルで前記不具合プロッタの場所を特定して、鍛造された構成要素内の不具合が、前記鍛造された構成要素の機械加工領域の外側にあるかどうかを検証するように構成される。
【0016】
有利には、前記不具合プロッタは、前記多角形メッシュに関連づけられた対照要素である。
【0017】
本発明はまた、鍛造動作に関連する、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法であって、
構成要素を前記構成要素の1組の連続モデルに従って鍛造することにより、成形する作業をモデル化するステップと、
第1のプロットされたモデルを得るために、前記欠陥のある構成要素の不具合の領域に対応するゾーン内で、前記1組のモデルのうち第1のモデルに不具合プロッタを追加するステップと、
前記第1のプロットされたモデルから開始して、前記モデル化の間にわたり、前記不具合プロッタを経時的に追跡して、前記不具合の起源を特定するステップと
を備える方法に関する。
【0018】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態の限定しない例についての説明が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】鍛造工程を概略的に示す。
図2】本発明による、欠陥のある構成要素1で認められる不具合の場所を動的に特定するシステム12を概略的に示す。
図3】本発明による、構成要素を成形する1組の連続モデルを概略的に示す。
図4】本発明の好ましい一実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
図4A】本発明の好ましい一実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
図4B】本発明の好ましい一実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
図4C】本発明の好ましい一実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
図4D】本発明の好ましい一実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
図5A】ツーリングからオフセットされたブランクの鍛造のモデル化を示す。
図5B】ツーリングからオフセットされたブランクの鍛造のモデル化を示す。
図5C】ツーリングからオフセットされたブランクの鍛造のモデル化を示す。
図5D】ツーリングからオフセットされたブランクの鍛造のモデル化を示す。
図5E】ツーリングからオフセットされたブランクの鍛造のモデル化を示す。
図6】本発明の別の実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
図6A】本発明の別の実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
図6B】本発明の別の実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
図6C】本発明の別の実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の根底にある概念は、構成要素成形のモデル化を使用して、不具合の拡大を追跡することである。
【0021】
図1は、鍛造工程を概略的に示す。
【0022】
インゴットまたはブランク1aと呼ばれる、一般に円筒形状の、鍛造される構成要素が、打ち延ばし、または鍛造プレスを使用する圧力により、2つの金型の間、または鍛造工具3の間で熱間加工され、または冷間加工され、鍛造された構成要素を形成する。最終構成要素1fは、しばしば特定の幾何形状の大きなディスクまたはディッシュに類似する。
【0023】
熱間加工では、構成要素1は、平坦化ステップの前に炉7の中に置かれ、場合によっては、鍛造および平坦化のステップが、最終構成要素1fを得る前に数回繰り返される。
【0024】
鍛造が完了したとき、鍛造された構成要素1fが、この構成要素1fに対してたとえば機械加工作業を開始する前に、不具合をまったく含まないことを検証するために、超音波、磁気検出、または視覚的手段9を使用して、検査が行われる。
【0025】
本発明は、不具合の場所を動的に特定して、不具合の起源を識別するステップを提案する。これにより、たとえば、不具合が一連の構成要素で分離され、または再現できるかどうかを判定することが可能になり、この場合、この不具合の再現を避けるために、修正処置が実現されることができる。
【0026】
図2は、本発明による、欠陥のある構成要素1で認められる不具合の場所を動的に特定するシステム12を概略的に示す。
【0027】
不具合の場所を動的に特定するということは、構成要素1により占有される空間に関して、構成要素1を成形する連続的な時間で、不具合を時間−空間識別することを意味する。換言すれば、不具合の場所を動的に特定することは、構成要素1を変形する瞬間ごとに、構成要素1内の不具合の場所を空間的に特定することである。
【0028】
場所を特定するシステム12は、データ入力手段13と、処理手段15と、記憶手段17と、目視手段20を備える出力手段19とを備える。処理手段15は、記憶手段17に記憶され、かつ不具合の場所を動的に特定する方法を実装するように設計されたプログラムコード命令を備える1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行できるようにする。
【0029】
より詳細には、処理手段15は、構成要素の1組の連続モデルに従って鍛造することにより、構成要素1の成形作業をモデル化するように構成される。
【0030】
図3は、ブランク1a(すなわち、鍛造前の構成要素)を表す初期モデル21aと、中間の鍛造された構成要素1b、1cを表す中間モデル21b、21cと、鍛造された構成要素1f(すなわち、鍛造後の最終構成要素)とを表す最終モデル21fを備える、構成要素1を成形する1組の連続モデル21a〜21tを概略的に示す。
【0031】
モデル化は、3次元(3D)で、または軸対称な構成要素については任意選択で、2次元(2D)で行われることができることに留意されたい。
【0032】
したがって、処理手段15は、たとえば、構成要素1およびツーリング3の温度範囲、圧力範囲、熱伝達係数、構成要素1の密度、動作速度の範囲などを備える鍛造パラメータに関して、鍛造工具3の作用の下で構成要素1の動作をモデル化する方程式を数値的に解くために使用される。これらのパラメータにより、数値モデル化が、作業場内での実際の鍛造作業を最もよく表すことができるようになる。たとえば、熱伝達係数により、鍛造作業の間に、放射および/または対流のために、詳細には、構成要素1の温度が高い(たとえば、1,000℃のオーダ)ときに、構成要素1により周囲の媒体の中に放散される熱が考慮されることができるようになる。
【0033】
数値解法は反復して行われ、たとえば、メッシュ23を使用して、構成要素の連続する幾何学的ドメインを離散化し、頂点またはノード25、およびエッジ27により記述される有限要素を使用する。したがって、有限要素による動的モデル化は、時間的な各反復またはモデル化ステップで、対応する鍛造ステップで構成要素1を表す多角形メッシュ23(たとえば、三角形)を形成する。
【0034】
欠陥のある構成要素1tに不具合33が認められたとき、不具合33に関連するデータ(たとえば、構成要素1t内の不具合の寸法および位置)が記録され、これらのデータは、場所を動的に特定するシステム12の中にインポートされる。
【0035】
場所を動的に特定するシステム12の入力手段13は、不具合33に関連するデータを入力し、かつ処理手段15が、欠陥のある構成要素1tに対応するモデル21tの中に不具合33と同等のものを挿入することを可能にするために使用される。
【0036】
より具体的には、処理手段15は、鍛造作業の1組のモデル21a〜21tに属する第1のモデル21tに対して、欠陥のある構成要素1t内の不具合の領域に対応するゾーン内で不具合プロッタ43を追加して、第1のプロットされたモデル21tを得るように構成される。換言すれば、第1のプロットされたモデル21tは、不具合が検出された時点での、欠陥のある構成要素1tを表す。
【0037】
有利には、第1のモデル21tで不具合プロッタ43に関連づけられたゾーンは、欠陥のある構成要素1t内の不具合領域33の寸法および位置に実質的に類似する寸法および位置決めを有する。
【0038】
次いで、処理手段15は、目視手段20と共に、第1のプロットされたモデル21tから開始して、モデル化の間に、不具合プロッタ43を時間的に追跡することにより、不具合33の動態を診断することが可能になるようにする。この手法では、構成要素1内での不具合33の拡大が、第1のプロットされたモデル21tから開始して、先を見越して(すなわち、時間的に前進する)、または遡及的に(すなわち、時間的に戻る)追跡されることができる。
【0039】
詳細には、各モデル化時間ステップで、不具合プロッタ43の寸法および位置が、現在の時間ステップでのメッシュ23の基本要素(すなわち、ノード25および/またはエッジ27)の関数として規定されることができる。
【0040】
たとえば、不具合プロッタ43は、寸法および位置に関して不具合33を表し、かつCADタイプの公知の技法を使用してモデル21の、対応する多角形メッシュ23の中に統合されることができる対照要素である。たとえば、不具合プロッタ43は、メッシュ23と対照をなし、実際の不具合33の表面に実質的に等しい表面を取り囲み、不具合の近傍のノード25に対して規定される、彩色された輪郭により表されることができる。不具合33のタイプまたは正確な形状に関する知識を有する必要がないことに留意されたい。
【0041】
図4、および図4A図4Dは、本発明の好ましい一実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
【0042】
この実施形態によれば、不具合プロッタが付加される第1のモデルは、鍛造された構成要素1fを表す最終モデル21fに対応し、その結果、第1のプロットされたモデル21tは、欠陥のある、鍛造された構成要素1tfを表す最終のプロットされたモデル21tfに対応する。
【0043】
ステップE1で、処理手段15は、鍛造前の構成要素(ブランク)1aに対応する初期モデル21aと、鍛造された構成要素1fに対応する最終モデル21fとを備える連続モデル21a〜21fに従って、鍛造による構成要素1の成形作業をモデル化する。
【0044】
ステップE2で、欠陥のある、鍛造された構成要素(図4A参照)内に不具合が発見された後、処理手段15は、欠陥のある、鍛造された構成要素1fの不具合領域に対応するゾーン内で不具合プロッタ43を最終モデル21fに追加して、最終のプロットされたモデル21tf(図4B参照)を得る。
【0045】
図4Aは、構成要素1の顕微鏡による横断面に見られる鍛造ラップ傷33(たとえば、小さな亀裂)を有する、欠陥のある、鍛造された構成要素1tfの一部、またはより具体的には半分を示す一例である。さらに、図4Bは、図4Aの欠陥のある、鍛造された構成要素1tfの不具合領域34に対応するゾーン44内に不具合プロッタ43を統合する、最終のプロットされたモデル21tfの対応する部分の2D図を示す。
【0046】
ステップE3で、処理手段15は、目視手段20と共に、最終のプロットされたモデル21tfから開始して動態を逆にすることによって(すなわち、モデル化の順序を逆にすることによって)、不具合プロッタ43を時間的に追跡することにより、欠陥のある、鍛造された構成要素1tf(図4Cおよび図4D参照)内の不具合の起源を識別することができるようにする。したがって、欠陥をこうむった領域の履歴を追跡することが可能である。
【0047】
鍛造作業をモデル化するとき、構成要素1を表すモデル21の多角形メッシュ23が、経時的に変形されるようになる。換言すれば、ノード25の相対的位置が、変形の間に、互いに対して修正される。これにより、各モデル化ステップで座標が既知である、隣接ノード25に対して規定される、不具合プロッタ43の広がりおよび場所の変動が発生する。したがって、時間的に戻ることにより、構成要素1の平坦化前の、不具合33の形態、幾何形状、および位置を識別することが可能である。
【0048】
不具合33は、ブランク1aの材料内の当初の傷に、または鍛造パラメータ(動作速度、温度など)に関連する欠陥に、または構成要素1の幾何形状の欠陥および/もしくは成形工具3に起因する場合があることに留意されたい。
【0049】
図4Cは、初期モデル21aでの、不具合プロッタ43の場所の特定を示す。これにより、不具合がブランク1aの中に含まれていた場合に、不具合が存在した領域44aを識別することができるようになる。
【0050】
不具合の他の発生源を識別するために、場所を動的に特定するシステム12は、中間モデルで、不具合を導入する可能性の高い、不具合プロッタ43の場所を特定するために使用される。
【0051】
たとえば、図4Dは、特定の構成を有する中間モデル21bでの、不具合プロッタ43の場所の特定を示す。
【0052】
この中間モデル21bは、不具合プロッタ43が、鍛造される構成要素1の材料の中にツーリング3が侵入することにより通常発生させられる凹状のエリア44bの近傍に位置決めされることを示す。
【0053】
したがって、このゾーン44bで異常に際だった凹状または屈曲が、欠陥のある構成要素1tf内のラップ傷または不具合33の原因となる場合がある。目立った凹状が、たとえば、金型間または鍛造工具3間の類似欠陥から、および/またはツーリング3の中心に対するブランク1aの中心合わせが不十分であることから生じる場合があることに留意されたい。
【0054】
したがって、目立った凹状を発生させる、異なるシナリオをモデル化して、目立った凹状が、実際にこの不具合33につながる凹状であるかどうかを診断または検証することが目的である。
【0055】
たとえば、図5A図5Eは、ツーリング3から故意にずらされたブランク21aを使用する鍛造のモデル化を示す。
【0056】
図5Aは、中心軸A1がツーリング3の対称軸A2から数ミリメートルだけずらされたブランク21aを示す。
【0057】
図5Bは、近傍に不具合の場所が特定された最初の凹状のゾーン44b内で、凹状が増大することをはっきりと示す。これは、図5C図5Eに示されるように、凹状ゾーン内にラップ傷が形成されるリスクが高いことをはっきりと立証する。詳細には、図5Eは、鍛造された構成要素の最終モデル21fが非常に非対称であることを示す。
【0058】
したがって、2つの工具コア3が構成要素1の中に侵入することにより、どんな凹状ももはや発生しないように、または凹状が低減または除去されるような異なる手法で材料の流れが生じるように、鍛造工具3の構成または幾何形状を修正することが可能である。
【0059】
一般に、本発明に従って不具合33の起源を特定することにより、不具合の原因につながる場合がある異なる効果またはシナリオのモデル化が可能になり、その結果、不具合は改善されることができる。
【0060】
図6、および図6A図6Cは、本発明の別の実施形態による、欠陥のある構成要素で認められる不具合の場所を動的に特定する方法を示す。
【0061】
この実施形態によれば、不具合プロッタ44が付加される第1のモデルは、鍛造前の構成要素(ブランク)1aを表す初期モデル21aに対応し、その結果、第1のプロットされたモデルは、欠陥のあるブランク1taを表す初期のプロットされたモデル21taに対応する。
【0062】
ステップE11で、処理手段15は、鍛造前の構成要素1aに対応する初期モデル21aと、鍛造された構成要素1fに対応する最終モデル21fとを備える連続モデルに従って、鍛造による構成要素の成形作業をモデル化する。
【0063】
ステップE12で、欠陥のあるブランク1ta(図6A参照)内に不具合33が検出された後、処理手段15は、欠陥のあるブランク1ta内の不具合33の領域に対応するゾーン内で、不具合プロッタ44を初期モデル21aに追加して、初期のプロットされたモデル21ta(図6B参照)を得る。
【0064】
図6Aは、その表面上に小さな不具合33を有する、欠陥のあるブランク1taを示す一例であり、図6Bは、図6Aの欠陥のあるブランク1ta内の不具合33の領域に対応するゾーン内で不具合プロッタ44を統合する、初期のプロットされたモデル21taの2D図を示す。
【0065】
ステップE13で、処理手段15は、目視手段20と共に、最終モデル21f内の不具合プロッタ44の場所を特定することにより、鍛造された構成要素内の不具合が、この鍛造された構成要素の機械加工エリア46の外側にあるかどうかを検証することができるようにする。これにより、機械加工後に鍛造される構成要素が、鍛造前の構成要素1taの初期不具合33により影響を受けるかどうかを確認することにより、構成要素の効率的な使用が可能になる。
【0066】
図6Cは、最終モデルでの、不具合プロッタ44の場所の特定、および機械加工の輪郭46を示す。この例は、不具合が、機械加工後に完成した構成要素に影響を及ぼさず、したがって、開始のブランクが使用されることができることを示す。
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図6A
図6B
図6C