(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)の重量に対して、第4級アンモニウム塩(A1)及びポリオキシエチレン鎖を有する化合物(A2)を合計50重量%以上99.9重量%以下、有機鉄化合物(B1)及び有機アルミニウム化合物(B2)を合計0.1重量%以上50重量%以下、含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)。
シリコーン粘着剤(D)の重量に対して、シリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)を0.01〜20重量%含有する請求項5に記載の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(E)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)は、第4級アンモニウム塩(A1)及び/又はポリオキシエチレン鎖を有する化合物(A2)、並びに有機鉄化合物(B1)及び/又は有機アルミニウム化合物(B2)を含有する。
【0014】
本発明における第4級アンモニウム塩(A1)としては、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A11);並びに環状アミン(ピリジン及びモルホリン等)の第4級アンモニウム塩(A12)が挙げられる。
【0016】
一般式(1)におけるR
1及びR
2はそれぞれ独立に炭素数1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基及びアルケニル基)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたアルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記)及びオレイル基等が挙げられ、分岐の炭化水素基としては、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。これらの内、シリコーンとの相溶性の観点から、好ましいのは炭素数1〜14の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、更に好ましいのは炭素数1〜8の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、特に好ましいのは炭素数1又は2の脂肪族炭化水素基、最も好ましいのはメチル基である。また、R
1とR
2は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0017】
R
3は炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル、炭素数7〜22のアリールアルケニル基、又はアルキル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基及び/又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。
炭素数1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基としては、R
1及びR
2として例示したものと同様のものが挙げられ、炭素数7〜22のアリールアルキル基としてはベンジル基及びフェネチル基等が挙げられ、炭素数7〜22のアリールアルケニル基としてはスチリル基及びシンナミル基等が挙げられる。
【0018】
R
3の内、耐汚染性の観点から好ましいのは炭素数1〜18の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜15のアリールアルキル基及びアリールアルケニル基、更に好ましいのは炭素数6〜14の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0019】
R
4は炭素数8〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基等)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基及びオレイル基等が挙げられ、分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0020】
R
4の内、耐汚染性の観点から好ましいのは炭素数8〜18の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、更に好ましいのは炭素数10〜16の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0021】
(A1)を構成する第4級アンモニウム基の具体例としては、R
3が脂肪族炭化水素基の場合は、例えば、1つの長鎖アルキル基を有するもの(トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルドデシルアンモニウム、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウム、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウム、ジメチルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、メチルジエチルテトラデシルアンモニウム、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルオクタデシルアンモニウム、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウム及びメチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、)、2つの長鎖アルキル基(炭素数6〜22)を有するもの(ジメチルジヘキシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム及びジメチルジドデシルアンモニウム)、1つの長鎖アルケニル基(炭素数8〜22)を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、ジメチルエチルオレイルアンモニウム及びメチルジエチルオレイルアンモニウム)が挙げられる。
また、R
3がアリールアルキル基の場合は、例えば、ジメチルデシルベンジルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウム及びジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムが挙げられる。
また、R
3がアルキル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基及び/又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基の場合は、例えば、オレアミドエチルジエチルメチルアンモニウム、ステアラミドエチルジエチルベンジルアンモニウム及びステアラミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基等が挙げられる。
【0022】
これらの内、耐汚染性の観点から好ましいのは、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム及びジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムである。
【0023】
一般式(1)におけるX
−は、特に限定されるものではないが、例えばハロゲンイオン(F
-、Cl
-、Br
-及びI
-等)、カルボキシラートアニオン{炭素数1〜7のモノ又はジカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及びコハク酸等のイオン(−COO
-)}、スルホン酸イオン{炭素数1〜20のスルホン酸(メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸等のイオン(−SO
3-)}、リン酸イオン{リン酸又は炭素数1〜10のリン酸基含有化合物のイオン(−OPO
32-)}、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸イオン及び硝酸イオン、無機酸類等が挙げられる。
【0024】
特に好ましいのは、一般式(1)におけるX
−は、−11.93未満のHammett酸度関数(H
0)を有する超強酸の共役塩基である。
【0025】
X
−の共役酸である超強酸は、100%硫酸より強い酸強度を有する酸(「超強酸・超強塩基」田部浩三、野依良治著、講談社サイエンティフィック刊、p1参照)であり、Hammettの酸度関数(H
0)が100%硫酸の−11.93未満のものであり、プロトン酸及びプロトン酸とルイス酸の組み合わせからなる酸が挙げられる。
【0026】
プロトン酸の超強酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(H
0=−14.10)、ペンタフルオロエタンスルホン酸(H
0=−14.00)等が挙げられる。
【0027】
プロトン酸とルイス酸の組み合わせに用いられるプロトン酸としては、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素)が挙げられ、ルイス酸としては三フッ化硼素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化砒素及び五フッ化タウリン等が挙げられる。
プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られる超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸及び六フッ化タウリン等が挙げられる。
【0028】
X
−として、一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A11)の帯電防止性能の観点から好ましいのは、Hammettの酸度関数(H
0)が−12.00以下の超強酸の共役塩基、更に好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、四フッ化硼素酸、六フッ化リン、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン、六フッ化砒素又は六フッ化タウリンの共役塩基、特に好ましいのは、トリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸又は六フッ化リン酸の共役塩基、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、最も好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸の共役塩基又は、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドである。
【0029】
(A12)を構成する第4級アンモニウム基をしては、アルキロキシ(炭素数8〜24)メチルピリジニウム基(例えばステアリロキシメチルピリジニウム基)、アルキル(炭素数8〜24)オキシメチルピリジニウム基(例えば、ヘキサデシルオキシメチルピリジニウム基)及びアルキル(炭素数10〜24)ピリジニウム基(例えば、テトラデシルピリジニウム基)等が挙げられる。
【0030】
(A12)を構成するアニオンとしては、前記(A11)におけるX
−として例示した超強酸の共役塩基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0031】
第4級アンモニウム塩(A1)として、帯電防止性能及び耐汚染性の観点から好ましいのは(A11)であり、更に好ましいのはジメチルジデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、トリメチルヘキサデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム四フッ化硼素酸塩及びジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸である。
【0032】
(A1)の製造方法としては特に限定はなく、公知の方法、例えば下記の[I]及び[II]の方法等が挙げられ、好ましいのは[II]の方法である。
【0033】
[I] 第4級アンモニウム塩(例えば、クロルアニオンからなる塩)の水溶液(20〜70重量%)に前記超強酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩又はカリウム塩等)を加え(第4級アンモニウム塩/超強酸塩の当量比は通常1/1〜1/1.5、好ましくは1/1.05〜1/1.3)、室温で約2時間撹拌混合して、70〜80℃で約1時間撹拌後、静置して分液した下層(水層)を除去し、上層中の水分を減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
【0034】
[II] 第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)を、例えば第3級アミンの重量に基づいて10〜1,000重量%の量の有機溶媒(例えば、メタノール)の存在下又は非存在下に、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を形成し、更に前記超強酸を添加(第4級アンモニウムの当量に基づいて1.0〜1.2当量)し、10〜50℃で1時間撹拌して塩交換する。有機溶媒を80〜120℃で減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
【0035】
本発明において、ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(A2)としては、エチレン性不飽和結合とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(A21)及びポリシロキサン構造とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(A22)等が挙げられる。
【0036】
エチレン性不飽和結合とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(A21)としては、例えば、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物等及び前記付加物の末端ヒドロキシル基を塩化(メタ)アクリル又は塩化(メタ)アリルで封鎖した2官能物等が挙げられる。
【0037】
ポリシロキサン構造とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(A22)としては、例えば、アミノ変性シリコーンとポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)とをポリイソシアネートを用いて反応させたウレタンウレア化物、エポキシ変性シリコーンとPEGをジカルボン酸を用いて反応させたエステル化物、カルビノール変性シリコーンとPEGとをポリイソシアネートを用いて反応させたウレタン化物、ポリエーテル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーンとPEGとをポリイソシアネートを用いて反応させたチオウレタン化物、カルボキシル変性シリコーン又はカルボン酸無水物変性シリコーンとPEGとのエステル化物及びメチルハイドロジェンシリコーンと末端又は側鎖にエチレン性不飽和結合を有するPEGとを付加反応させた化合物等が挙げられる。
【0038】
(A22)に用いられるポリイソシアネートとしては、炭素数4〜22の鎖状脂肪族ポリイソシアネート(エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びシクロヘキシレンジイソシアネート等)、炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート及び4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等)及び炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(m−又はp−キシリレンジイソシアネート等)等が挙げられる。
【0039】
ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(A2)におけるポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン基の繰り返し単位数は、帯電防止性能の観点から、2〜100であることが好ましく、更に好ましくは5〜50である。
【0040】
本発明において有機鉄化合物(B1)としては、特に限定されないが、具体的には、オクチル酸第二鉄、酢酸第二鉄、プロピオン酸第二鉄、ナフテン酸第二鉄、鉄(III)アセチルアセトナート等が挙げられる。
【0041】
有機アルミニウム化合物(B2)としては、特に限定されないが、具体的には、アルミニウム(III)アセチルアセトナート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート等が挙げられる。
【0042】
その中でも、鉄、アルミニウム1種または2種以上の金属元素を含む有機化合物を用いるのが好ましく、さらに好ましくはキレート構造を有する有機化合物が好ましい。なお、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助 編者(株)大成社 平成2年版)にも具体的に記載されている。
【0043】
シリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)における、(A1)、(A2)の合計重量は、透明性及び帯電防止性能の観点から好ましくは50重量%以上99.9重量%以下、更に好ましくは65重量%以上99.0%以下であることが好ましい。
【0044】
シリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)における、(B1)、(B2)の合計質量は、透明性及び帯電防止性能の観点から好ましくは0.1重量%以上50重量%以下、更に好ましくは1重量%以上35%以下であることが好ましい。
【0045】
本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて有機溶媒、粘着性付与樹脂、可塑剤、充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤及びシランカップリング剤等を更に含有することができる。
【0046】
有機溶媒としては、炭素数2〜8のエステル(例えばギ酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチル)、炭素数1〜8のアルコール(例えばイソプロパノール)、炭素数4〜8の炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレン)、炭素数3〜9のケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン)等が挙げられる。
【0047】
有機溶媒の使用量は、帯電防止剤の取り扱い易さの観点から、帯電防止剤の有機溶媒を除く構成成分の全重量に基づいて好ましくは5〜900重量%、更に好ましくは10〜400重量%である。
粘着性付与樹脂としては、例えばテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、合成石油樹脂(脂肪族、芳香族又は脂環式合成石油樹脂等)、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びこれらの中で水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物が挙げられる。粘着性付与樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
粘着性付与樹脂の使用量は、(A1)と(A2)の合計重量に基づいて、通常100重量%以下、粘着剤の粘着力観点から好ましくは0〜50重量%である。
【0048】
可塑剤としては、例えば炭化水素系可塑剤[プロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、流動パラフィン、パラフィンワックス、エチレンとα−オレフィン(炭素数3〜20)の共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mw5,000〜100,000)及びプロピレンと、エチレンを除くα−オレフィン(炭素数4〜20)の共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mw5,000〜100,000)等];塩素化パラフィン;エステル系可塑剤、例えばフタル酸エステル(ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジステアリルフタレート及びジイソノニルフタレート等)、アジピン酸エステル(ジオクチルアジペート等)、セバチン酸エステル(ジオクチルセバケート等)及び動植物油脂(例えばリノール酸及びリノレン酸);並びにこれらの中で水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物が挙げられる。可塑剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
可塑剤の使用量は、(A1)と(A2)の合計重量に基づいて、通常50重量%以下、粘着剤の粘着力と凝集力の観点から好ましくは0〜30重量%である。
【0049】
充填剤としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、けい酸アルミニウム、けい酸カルシウム、珪藻土、珪石粉、タルク、シリカ及びゼオライト等が挙げられる。
充填剤は、体積平均粒子径が好ましくは0.01〜5μm程度の微粒子であり、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
充填剤の使用量は、(A1)と(A2)の合計重量に基づいて、通常50重量%以下、粘着剤の粘着力と凝集力の観点から好ましくは0〜30重量%である。
【0050】
顔料としては、無機顔料(アルミナホワイト、グラファイト、酸化チタン(超微粒子酸化チタン等)、亜鉛華、黒色酸化鉄、雲母状酸化鉄、鉛白、ホワイトカーボン、モリブデンホワイト、カーボンブラック、リサージ、リトポン、バライト、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、ベンガラ、モリブデン赤、鉛丹、黄鉛、カドミウム黄、バリウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、チタンブラック、酸化クロム緑、酸化コバルト、コバルト緑、コバルト・クロム緑、群青、紺青、コバルト青、セルリアン青、マンガン紫及びコバルト紫等)及び有機顔料(シェラック、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニンブルー及び染色レーキ等)が挙げられる。
顔料は、体積平均粒子径が好ましくは0.01〜5μm程度の微粒子であり、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
顔料の使用量は、(A1)と(A2)の合計重量に基づいて、通常20重量%以下、粘着剤の粘着力と凝集力の観点から好ましくは0〜10重量%である。
【0051】
紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体(サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル及びサリチル酸−p−tert−ブチルフェニル等)、ベンゾフェノン化合物[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン及びビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等]、ベンゾトリアゾール化合物{2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ―ル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール及び2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等}、シアノアクリレート化合物(2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート及びエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等)等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤の使用量は、(A1)と(A2)の合計重量に基づいて、通常5重量%以下、粘着剤の粘着力の観点から好ましくは0〜1重量%である。
【0052】
酸化防止剤としては、フェノール系(ヒンダードフェノール)、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p −クレゾール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t −ブチルフェノール)及びトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];硫黄系、例えばジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)及びジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP);リン系(ハロゲンを有していてもよい有機ホスファイト)、例えばトリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト及びそれらのハロ置換体;アミン系(ヒンダード芳香族アミン)、例えばオクチルジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール及びN,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の使用量は、(A1)と(A2)の合計重量に基づいて、通常5重量%以下、粘着剤の粘着力及び耐汚染性の観点から好ましくは0〜1重量%である。
【0053】
シランカップリング剤としては、ビニル基含有アルコキシシラン化合物[ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びp−スチリルトリメトキシシラン等]、(メタ)アクリロイルオキシ基含有アルコキシシラン化合物(3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物[3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等]、イソシアネート基含有アルコキシシラン化合物(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、アミノ基含有アルコキシシラン化合物[3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等]、ウレイド基含有アルコキシシラン化合物(3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等)、メルカプト基含有アルコキシシラン化合物(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等)、スルフィド基含有アルコキシシラン化合物[ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等]等が挙げられる。これらの内、粘着剤の硬化性の観点から好ましいのは、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物である。シランカップリング剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0054】
シランカップリング剤の使用量は、(A1)と(A2)の合計重量に基づいて、通常5重量%以下、粘着剤の粘着力及び耐汚染性の観点から好ましくは0〜1重量%である。
【0055】
(A1)と(A2)の合計重量に基づく各種添加剤の合計含量は、通常230重量%以下、粘着剤の粘着力の観点から好ましくは150重量%以下、更に好ましくは0〜120重量%である。
【0056】
本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)は、(A1)及び/又は(A2)、並びに(B1)及び/又は(B2)、及び必要によりその他の成分を通常の混合装置(撹拌機を備えた混合槽及びスタティックミキサー等)で均一に混合することにより製造できる。
【0057】
本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(E)は、本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)とシリコーン粘着剤(D)を含有する。
【0058】
シリコーン粘着剤(D)としては一般的にシリコーン粘着剤として使用されているシリコーン系化合物が挙げられ、これが帯電防止性シリコーン粘着剤の主成分となる。前記シリコーン系化合物としては、例えばSiO
2単位と(CH
3)
3SiO
0.5単位の共重合体及びシラノール基含有ポリジメチルシロキサンとの混合物又は反応物を主成分とするものが使用され、必要によりこれらのシロキサン単位の置換基がメチル基以外のもの、例えばフェニル基又はビニル基等で置換されたものが使用される。
【0059】
シリコーン粘着剤(D)は、基材等に塗布することにより使用でき、有機溶媒を使用している場合は更に有機溶媒を揮発させることにより使用できるが、塗布されたシリコーン粘着剤の凝集力を高め、良好な粘着性が得られることから、架橋させて使用することが好ましい。シリコーン粘着剤はこの架橋の方法により、付加反応型と過酸化物硬化化型に分けられる。
【0060】
過酸化物硬化型シリコーン粘着剤は、R
3SiO
0.5単位(式中、Rは1価の炭化水素基)とSi O
2単位からなる有機溶媒可溶性の共重合体及び末端シラノールのポリオルガノシロキサンとの縮合反応物又は混合物を、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物で架橋させるものである。
【0061】
付加反応型シリコーン粘着剤は、一般にR
3SiO
0.5単位と(式中、Rは1価炭化水素基)とSiO
2単位からなる有機溶媒可溶性の共重合体及び末端シラノールのアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンとの縮合反応物あるいは混合物を、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと付加反応させるものである。白金付加硬化型のシリコーン粘着剤としては、市販の「KR−3700」[信越化学工業社製]及び「KR−3704」[信越化学工業社製]等が挙げられる。
【0062】
本発明に用いられるシリコーン粘着剤(D)としては、比較的低温で硬化できる白金付加硬化型であることが好ましい。
【0063】
本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(E)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤の説明で例示したものと同様の有機溶媒、粘着性付与樹脂、可塑剤、充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤及びシランカップリング剤等を更に含有することができる。
【0064】
本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(E)における本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤組成物(C)の含有量は、透明性及び帯電防止性能の観点から、粘着剤組成物(E)中の帯電防止剤組成物(C)の合計重量が、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜6重量%となる量である。
【0065】
本発明の粘着フィルムは、本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(E)を種々の塗工装置を用いて基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布し、加熱して有機溶媒あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、硬化させる方法、又は離型フィルム等に粘着剤を同様に塗布した後、乾燥し、硬化させて得られた粘着剤を、基材の少なくとも片面に転写する方法等により製造することができる。
【0066】
基材としては、各種プラスチック[ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、レーヨン及びポリアミド等]のフィルム、シート、フォーム及びフラットヤーン並びに紙(和紙及びクレープ紙等)、金属板、金属箔、織布、不織布及び木材等が挙げられる。
これらの基材の内、帯電しやすいものについては、種々の帯電防止剤を添加又は塗布することにより帯電防止性を付与したものであることが望ましい。
【0067】
なお、本明細書において、粘着フィルムとは、幅による区別を特に必要とするものではなく、粘着テープ及び粘着シートをいずれも包含する。その具体例としては、基材の片面に粘着剤層を有する片面粘着テープ(または片面粘着シート)、基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープ(または両面粘着シート)、及び、基材を有しないで粘着剤層がフィルム状に形成されたトランスファーテープ(転写テープ)が挙げられる。粘着シートは、その幅が広いまま使用しても良いし、テープ状に細く切断して粘着テープとして使用しても良い。
【0068】
本発明の粘着フィルムは、本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤を種々の塗工装置を用いて離型フィルム等の離型性を有する基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布し、加熱して有機溶媒あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、硬化させる方法等により製造することができる。
【0069】
前記塗工装置としては、グラビアコータ、ロールコータ、リバースコータ、ドクターブレード、バーコータ、コンマコータ、ファウンテンダイコータ、リップコータ及びナイフコータ等が挙げられる。
【0070】
本発明の粘着テープ、粘着シート及び粘着フィルムのそれぞれの粘着層の厚さは、通常1〜250μm、粘着剤の接着力、乾燥及び硬化性の観点から好ましくは10〜100μmである。
【0071】
本発明の光学用の粘着フィルムとは、反射防止フィルム、保護フィルム、偏光子フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、プリズムシート、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルムなどがあげられるが、特に制限はない。
【実施例】
【0072】
以下実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下において部は重量部を示す。
なお、以下において、実施例1、2、4、5、12、15をそれぞれ、参考例1〜6とする。
【0073】
製造例1
加熱冷却装置、攪拌機及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、メチルジn−デシルアミン163部(0.88モル部)及び炭酸ジメチルエステル144部(1.6モル部)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)を得た。得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)に、室温でトリフルオロメタンスルホン酸79.5部(0.53モル部)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、更に水を9部(0.50モル部)加え、減圧ストリッピング(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(A1−1)250部を得た。
【0074】
製造例2
加熱冷却装置、攪拌機及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、メチルジn−デシルアミン163部(0.88モル部)及び炭酸ジメチルエステル144部(1.6モル部)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)を得た。得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)に、室温でビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド149部(0.53モル部)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、更に水を9部(0.50モル部)加え、減圧ストリッピング(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で液体のジメチルジn−デシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド塩(A1−2)250部を得た。
【0075】
製造例3
加熱冷却装置、攪拌機及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、ジアザビシクロノネン109部(0.88モル部)及び炭酸ジメチルエステル144部(1.6モル部)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してメチルジアザビシクロノネンメチルカーボネートの83%メタノール溶液168部(0.52モル部)を得た。得られたメチルジアザビシクロノネンメチルカーボネートの83%メタノール溶液168部(0.52モル部)に、室温でビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド149部(0.53モル部)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、更に水を9部(0.50モル部)加え、減圧ストリッピング(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で液体のメチルジアザビシクロノネンビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド塩(A1−3)200部を得た。
【0076】
製造例4
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG600」)300部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG600のジアリルエーテル化合物(A21−1)310部を得た。
【0077】
製造例5
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG1000」)500部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG1000のジアリルエーテル化合物(A21−2)510部を得た。
【0078】
製造例6
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG300」)150部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG300のジアリルエーテル化合物(A21−3)160部を得た。
【0079】
製造例7
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が200のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG200」)100部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG200のジアリルエーテル化合物(A21−4)110部を得た。
【0080】
製造例8
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG2000」)1000部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG2000のジアリルエーテル化合物(A21−5)1010部を得た。
【0081】
実施例1
シリコーン粘着剤(D)(「KF−3704」、信越化学社製)100部に、ジメチルジn−デシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(A1−1)1部、鉄(III)アセチルアセトナート(B1−1)0.5部、白金触媒(「CAT−PL−50T」、信越化学社製)0.5部、及びトルエン110部を混合し、乾燥後の膜厚が30μmとなるようにポリイミドフィルム(25μm)またはPETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗布し、130℃で3分間乾燥・硬化させ、粘着フィルムを作製した。
【0082】
実施例2〜15及び比較例1〜5
表1及び表2に記載の配合処方(単位は「部」)で各成分を混合後、実施例1と同様の手順で粘着フィルムを作製した。また、表1及び表2に得られた粘着フィルムを用いて以下の試験方法により表面固有抵抗値、透明性、粘着力硬化性及び被着体表面への汚染性を測定又は評価した結果を示す。
尚、表1及び表2中の各成分の組成・商品名は以下の通りである。
・第4級アンモニウム塩(A’1−1):ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(三洋化成工業社製)
・アリルアルコールのEO22モル付加物(A21−6):「サニコール H−2300」(三洋化成工業社製)
・ポリエチレングリコール600ジアクリレート(A21−7):「NKエステル A−600」(新中村化学工業株式会社製)
・PEG変性シリコーン(A22−1):「KF−6017」(信越化学社製)
・有機アルミニウム化合物(B2−1):アルミニウム(III)アセチルアセトナート(東京化成社製)
・シリコーン粘着剤(D−1):「KF−3704」(信越化学社製)
・白金触媒(F−1):「CAT−PL−50T」(信越化学社製)
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
[性能試験方法]
(1)帯電防止性(表面固有抵抗)
粘着剤フィルム試験片を23℃×65%RHの条件で12時間静置した後に、JIS−K6911に記載の方法で表面固有抵抗値を測定した。
【0086】
(2)透明性
透明性はPETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗工した粘着剤フィルム試験片をスライドグラス プレクリン水切放t1.3(松浪硝子工業株式会社製)に貼り付け、色彩濁度同時測定器 NIPPON DENSHOKU COH400(日本電色工業株式会社製)にてヘイズを測定した。上記の方法で作成したサンプルのヘイズ値からPETフィルムとスライドグラスのヘイズ値を差し引いたものを測定値とした。ヘイズは値が小さいほど透明性が良いことを示す。
【0087】
(3)粘着力
粘着力はPETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗工した粘着剤フィルム試験片を25mm幅に切り取ったテープをステンレス板に貼りつけ、重さ2kgのゴム層で被覆されたローラーを2往復させることにより圧着した。室温で約20時間放置した後、引っ張り試験機を用いて300mm/分の速度で180゜の角度でテープをステンレス板から引き剥がすのに要する力(N/25mm)を測定した。
【0088】
(4)硬化性
硬化性の判定は、130℃の熱風循環式乾燥炉中で3分間処理した後、23℃で1時間静置して得た粘着剤フィルム試験片の塗工面を指でこすった後、粘着剤表面を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。
○ :塗工面が良好なもの
△ :曇りが見られるもの
× :脱落があるもの