【実施例】
【0076】
提供する実施例は、本発明のさらなる理解を助けることを目的とする。使用される個々の材料、種および条件は、本発明をさらに説明するためであって、その合理的な範囲を限定するためではない。カチオン性脂質の合成に使用される試薬は、市販されているかまたは当業者によって容易に調製されるかのいずれかである。
【0077】
新規なカチオン性脂質の合成は、脂質アルデヒド(i)から出発するリニアプロセスである。脂質ベースのグリニャール試薬を添加することにより、第二級アルコール(ii)を生成することができる。このアルコールは、そのシリルエーテル(iii)として保護され、オレフィンは四酸化オスミウムでジヒドロキシ化されてジオール(iv)を生じる。ジオールは、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化的に開裂されてアルデヒド(v)を提供する。アルデヒドは、ウィッティヒオレフィン化によってオレフィンを含むカルボン酸(vi)に変換される。酸は、インサイチュでエステル(vii)に変換され、続いてシリルエーテル脱保護によりアルコール(viii)を生じる。次いで、アルコールをカップリングして最終化合物ixを生じる。次いで、シクロプロパン化してさらなる脂質xを提供する。
【0078】
一般的図式1
【化3】
脂質を含有するエステル(xiii)の合成は、アルデヒドvのカルボン酸xiへの酸化、続くエステル形成によって達成される。xiiiへの変換は、一般的図式1に記述されているものと類似した方法で完了する。
【0079】
一般的図式2
【化4】
脂質を含むエステルxxiの合成は、カルボン酸xivで始まるリニアシーケンスである。酸はワインレブアミド(Weinreb amide)xvに変換され、続くグリニャール添加によりケトンxviを生じる。アルコールを脱保護し、酸化およびエステル化してエステルxixを生じる。ケトンxixは、還元およびエステルカップリングによって最終化合物xxiに転換される。
【0080】
一般的図式3
【化5】
ジエステルアミン類の合成は、一般的図式4に略述されている通りに遂行される。アルケンxxiiはジヒドロキシル化され、酸化開裂してアルデヒドxxivを生じる。アルデヒドは、ウィッティヒオレフィン化によってアルケンを含むカルボン酸に転換される。結果として生じる酸xxvは、インサイチュで、その対応するエステルに転換される。シリルエーテルは脱保護され、アルコール酸化されてカルボン酸xxviiを生じる。これは、エステル化されてケトン中間体xxviiiを生じる。このケトンは、上記一般的図式1および3に略述されている通り、最終化合物xxixまで続行される。
【0081】
一般的図式4
【化6】
ビス・エステル化合物(xxxii)の合成は、アルデヒド(xxiv)の酸化に続くエステル化によりエステルxxxiを生じることによって達成される。最終化合物への転換は、一般的図式1〜4に記述されているものと類似した方法で達成される。
【0082】
一般的図式5
【化7】
【0083】
メチル(9Z)−19−{[4−(ジメチルアミノ)ブタノイル]オキシ}オクタコス−9−エノアート(化合物1)
【化8】
THF中のオレイルアルデヒド(a)を0℃に冷却し、ノニルマグネシウムブロミドで処理する。反応混合物を室温まで温め、完了次第、重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗アルコール(b)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0084】
【化9】
アルコール(b)をジクロロメタンに溶解し、トリエチルアミンおよびDMAPで処理する。この溶液に、周囲温度で、TBDPSClを一度に加える。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗シリルエーテル(c)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0085】
【化10】
シリルエーテル(c)を、tert−ブタノール、THFおよび水の混合物に溶解し、四酸化オスミウムおよびNMOで処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗ジオール(d)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0086】
【化11】
ジオール(d)を、THF、ジクロロメタン、メタノールおよび水の混合物に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウムで処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗アルデヒド(e)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0087】
【化12】
イリド前駆体トリフェニルホスフィニウムブロミドをTHFに溶解し、HMPAおよびリチウムヘキサメチルジシラジドで処理して、イリドを生成する。この溶液にアルデヒド(e)を加える。反応が完了したら、この溶液を炭酸水素ナトリウムおよびジメチル硫酸で処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗エステル(f)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0088】
【化13】
エステル(f)をTHFに溶解し、TBAFで処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗アルコール(g)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0089】
【化14】
アルコール(g)および4−(ジメチルアミノ)ブタン酸を、周囲温度でジクロロメタンに溶解し、EDC、DMAPおよびDIEAで処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗化合物1を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0090】
メチル8−[2−(9−{[4−(ジメチルアミノ)ブタノイル]オキシ}オクタデシル)シクロプロピル]オクタノアート(化合物2)
【化15】
ジクロロメタンに溶解したジエチル亜鉛の溶液を−1℃に冷却し、TFAで滴状処理する。30分後、ジヨードメタンを加え、結果として生じた溶液を、氷浴中で30分間ねかす。この溶液にオレフィン化合物1を加え、結果として生じた溶液を周囲温度まで徐々に温める。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗シクロプロパン化合物2を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0091】
化合物3〜22は、新規なカチオン性脂質であり、上記一般的図式1に従って調製される。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
(2Z)−ノナ−2−エン−1−イル 10−{[4−(ジメチルアミノ)ブタノイル]オキシ}ノナデカノアート(化合物23)
【化16】
DMFに溶解したアルデヒド(e)の溶液を、周囲温度にて、オキソンで処理する。反応を塩化アンモニウム溶液でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗酸(h)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0096】
【化17】
DMFに溶解した酸(h)とC9−アルコールの溶液を、EDCIおよびジイソプロピルエチルアミンで処理する。反応を塩化アンモニウム溶液でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗酸(i)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0097】
【化18】
シリルエーテル(i)の化合物23への転換は、上記化合物1について記述されているものと類似した方法で実施される。
【0098】
(2−ヘキシルシクロプロピル)メチル 10−{[4−(ジメチルアミノ)ブタノイル]オキシ}ノナデカノアート(化合物24)
【化19】
化合物24は、上記化合物2について記述されているシクロプロパン化化学を使用して、化合物23について上述されているものと類似した方法で調製される。
【0099】
化合物25〜28は、新規なカチオン性脂質であり、上記一般的図式1〜2に従って調製される。
【0100】
【表4】
【0101】
メチル(19Z,22Z)−9−{[4−(ジメチルアミノ)ブタノイル]オキシ}オクタコサ−19,22−ジエノアート(化合物29)
【化20】
11,14−エイコサジエン酸、(11Z,14Z)−(50g、162mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(31.6g、324mmol)、HOAt(44.1g、324mmol)、Et
3N(45.2mL、324mmol)、およびEDC(62.1g、324mmol)をDCM(810mL)中で混合し、周囲温度で一晩撹拌した。次に反応を、5×700mLの水で、次いで1×600mLの1M NaOHで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、セライトで濾過し、蒸発させて53.06g(93%)の11,14−エイコサジエンアミド、N−メトキシ−N−メチル−、(11Z,14Z)を清澄な金色の油として得た。
1H NMR(400 MHz,CDCl
3)δ 5.35(m,4H)、3.68(s,3H)、3.18(s,3H)、2.77(m,2H)、2.41(t,J=7Hz,2H)、2.05(m,4H)、1.63(m,2H)、1.40〜1.26(m,18H)、0.89(t,J=7Hz,3H)。
【0102】
【化21】
THFに溶解した臭化アルキルの溶液を、マグネシウム削り状で処理して、グリニャール試薬を生成する。別の、THFに溶解したワインレブアミド(l)の溶液を、この結果として得られたグリニャール溶液で、周囲温度にて処理する。反応を塩化アンモニウム溶液でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗ケトン(m)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0103】
【化22】
THFに溶解したシリルエーテル(m)の溶液をTBAFで処理する。反応を塩化アンモニウム溶液でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗アルコール(n)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0104】
【化23】
DMFに溶解したアルコール(n)の溶液を、0℃で、ピリジニウムジクロマートで処理する。溶液を周囲温度まで温める。反応を水でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗酸(o)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0105】
【化24】
THFに溶解した酸(o)の溶液を、炭酸水素ナトリウムおよびジメチル硫酸で処理する。溶液を周囲温度まで温める。反応を炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗ケトエステル(p)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0106】
【化25】
ケトン(p)をメタノールに溶解し、水素化ホウ素ナトリウムで処理する。反応を炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、水/ヘキサン間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗アルコール(q)を生じさせる。これをフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0107】
【化26】
アルコール(q)および4−(ジメチルアミノ)ブタン酸をジクロロメタンに溶解し、周囲温度にて、EDC、DMAPおよびDIEAで処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗脂質化合物29を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0108】
化合物30〜32は新規なカチオン性脂質であり、上記一般的図式1〜3に従って調製される。
【0109】
【表5】
【0110】
ジメチル (9Z)−19−{[4−(ジメチルアミノ)ブタノイル]オキシ}ヘプタコス−9−エンジオアート(化合物33)
【化27】
THFに溶解した臭化アルキルの溶液をマグネシウム削り状で処理してねかせ、グリニャール試薬を生成する。別の、ワインレブアミドの溶液をグリニャール試薬で処理する。反応を炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗ケトン(r)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0111】
【化28】
THF、tert−ブタノールおよび水に溶解したケトンの溶液を、四酸化オスミウムおよびNMOで処理する。反応を炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗ジオール(s)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0112】
【化29】
ジオール(s)の溶液を、THF、ジクロロメタン、メタノールおよび水に溶解し、過ヨウ素酸ナトリウムで処理する。反応を炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、完了次第、ヘキサンと水の間で分配する。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗アルデヒド(t)を生じさせる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0113】
【化30】
イリド前駆体トリフェニルホスフィニウムブロミドをTHFに溶解し、HMPAおよびリチウムヘキサメチルジシラジドで処理して、イリドを生成する。この溶液にアルデヒド(t)を加える。反応が完了次第、この溶液を炭酸水素ナトリウムおよびジメチル硫酸で処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗エステル(u)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0114】
【化31】
THFに溶解したシリルエーテル(u)の溶液を、TBAFで処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗アルコールを生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
DMFに溶解したアルコールの溶液をピリジニウムジクロマートで処理する。完了次第、反応を水でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗酸(v)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0115】
【化32】
THFに溶解した酸(v)の溶液を、炭酸水素ナトリウムおよびジメチル硫酸で処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗ジエステル(w)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0116】
【化33】
ケトン(w)を、化合物29について記述されているものと類似した方法でアミン化合物33に転換する。
【0117】
構造への変更、すなわち、脂質鎖長、メチルエステルおよびエチルエステル、シルコプロパンの包含、不飽和またはシクロプロパン組み入れの位置変更、および上記の全ての可能な組合せの変更が上表に略述されているものに似た、化合物33に類似したジエステル類が調製される。
【0118】
1−メチル 18−[(2Z)−ノナ−2−エン−1−イル] 9−{[4−(ジメチルアミノ)ブタノイル]オキシ}オクタデカンジオアート(化合物34)
【化34】
DMFに溶解したアルデヒド(t)の溶液をピリジニウムジクロマートで処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗酸(x)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0119】
【化35】
ジクロロメタンに溶解した酸(x)の溶液を、C9アルコールおよびEDCIおよびジイソプロピルエチルアミンで処理する。完了次第、反応を重炭酸水溶液でクエンチする。反応混合物を、水とヘキサンの間で分配し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空で蒸発させ、粗ケトエステル(y)を生じさせる。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0120】
【化36】
ケトン(y)は、上記化合物33について記述されているものと類似した方法でアミン化合物34に転換される。
【0121】
構造への変更、すなわち、脂質鎖長、メチルエステルおよびエチルエステル、シルコプロパンの包含、不飽和またはシクロプロパン組み入れの位置変更、および上記の全ての可能な組合せの変更が、上表に略述されているものに似た、化合物34に類似したジエステル類が調製される。
【0122】
LNP組成物
下記の本発明の脂質ナノ粒子組成物(LNP)は、オリゴヌクレオチド、特にsiRNAおよびmiRNAの送達に有用である:
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG 56.6/38/5.4;
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG 60/38/2;
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG 67.3/29/3.7;
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG 49.3/47/3.7;
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG 50.3/44.3/5.4;
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−C−DMA/DSPC 40/48/2/10;
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG/DSPC 40/48/2/10;および
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG/DSPC 58/30/2/10。
【0123】
LNPプロセス説明:
脂質ナノ粒子(LNP)は、衝突ジェットプロセスで調製される。粒子は、アルコールに溶解した脂質を、クエン酸バッファに溶解したsiRNAと混合することによって形成される。脂質のsiRNAに対する混合比は、脂質45〜55%とsiRNA65〜45%を目標とする。脂質溶液は、本発明の新規なカチオン性脂質、ヘルパー脂質(コレステロール)、PEG(たとえばPEG−C−DMA、PEG−DMG)脂質、およびDSPCを、アルコール(たとえばエタノール)中に、9〜12mg/mLを目途に5〜15mg/mLの濃度で含むことができる。脂質の比率は、カチオン性脂質については35〜65を目途に25〜98モルパーセントの範囲を有することができ、ヘルパー脂質は30〜50を目途に0〜75モルパーセントの範囲を有することができ、PEG脂質は1〜6を目途に1〜15モルパーセントの範囲を有することができ、DSPCは0〜12を目途に0〜15モルパーセントの範囲を有することができる。siRNA溶液は、3.5〜5の範囲のpHを有するクエン酸ナトリウム緩衝塩溶液中に、0.3〜0.9mg/mLを目途に0.3〜1.0mg/mLの濃度範囲で、1つまたは複数のsiRNA配列を含むことができる。これらの2つの液体を、15〜40℃(目標30〜40℃)の範囲の温度まで加温し、次いで、衝突ジェットミキサー内で混合して直ちにLNPを形成する。ティー内径(teeID)は、0.25〜1.0mmの範囲および10〜600mL/分の全流量を有することができる。流量と管内径組合せは、LNPの粒径を30〜200nmに制御する効果がある。次いで、溶液を、より高いpHの緩衝化溶液と、1:1〜1:3容量:容量(1:2容量:容量を目途)の範囲の混合比で混合することができる。この緩衝化溶液は、15〜40℃の範囲(30〜40℃を目途)の温度である。混合されたLNPを、陰イオン交換濾過ステップの前に、30分〜2時間保持する。インキュベーション中の温度は、15〜40℃の範囲(目標30〜40℃)である。インキュベーション後、溶液を、陰イオン交換分離ステップを含む、0.8μmフィルターを通して濾過する。このプロセスは、1mm ID〜5mm IDの範囲の管内径および10〜2000mL/分の流量を使用することができる。LNPを濃縮し、限外濾過法(アルコールが除去され、クエン酸バッファが、たとえばリン酸緩衝食塩水等の、最終バッファ溶液に交換される)によって血液透析濾過する。限外濾過法は、タンジェント流濾過方式(TFF)を使用することができる。このプロセスは、30〜500KDの範囲の膜公称分画分子量を使用することができる。膜方式は、中空糸かまたはフラトシートカセットである。適切な分画分子量を用いたTFFプロセスは、LNPをリテンテート(retentate)中に保持することができ、濾液または透過水はアルコール;クエン酸バッファ;最終バッファ廃棄物を含む。TFFプロセスは、siRNA濃縮までの初期濃度が1〜3mg/mLの多段プロセスである。濃縮後、アルコールを除去し、バッファ交換を実施するために、LNP溶液を、10〜20容量の最終バッファに対して血液透析濾過する。材料を、さらに1〜3倍濃縮することができる。LNPプロセスの最終ステップは、濃縮LNP溶液を除菌濾過して生成物を瓶に入れることである。
【0124】
分析手順:
1)siRNA濃度
siRNA二本鎖濃度は、2996PDA検出器を具備するWaters 2695 Alliance system(Water Corporation,Milford MA)を使用して、強陰イオン交換高速液体クロマトグラフィ(SAX−HPLC)により測定する。LNP(別名RNAi送達媒体(RDV)と呼ばれる)を、0.5%Triton X−100で処理し、全siRNAを遊離させ、Dionex BioLC DNAPac PA200(4×250mm)カラムを使用し、254nmでUV検出して、SAX分離により分析する。移動相は、A:25mM NaClO
4、10mM Tris、20%EtOH、pH7.0およびB:250mM NaClO
4、10mM Tris、20%EtOH、pH7.0で構成され、0〜15分の線形勾配および流量1ml/分である。siRNA量は、siRNA標準曲線と比較することにより決定される。
【0125】
2)封入率
蛍光試薬SYBR GoldをRNA定量化に使用して、RDVの封入率をモニターする。Triton X−100を含む、または含まない、RDVを使用して、遊離siRNA量および全siRNA量を決定する。このアッセイは、Molecular Devices(Sunnyvale,CA)製のSpectraMax M5eマイクロプレート分光光度計を使用して実施される。試料を485nmで励起し、蛍光発光を530nmで測定する。siRNA量は、siRNA標準曲線と比較することにより決定される。
封入率=(1−遊離siRNA/全siRNA)×100%
【0126】
3)粒径および多分散性
1μgのsiRNAを含有するRDVを、1×PBSで希釈して最終体積3mlにする。試料の粒径および多分散性は、ZetaPALS計器(Brookhaven Instruments Corporation,Holtsville,NY)を使用して、動的光散乱法により測定する。散乱強度は、25℃、散乱角90°で、He−Neレーザを用いて測定する。
【0127】
4)ゼータ電位分析
1μgのsiRNAを含むRDVを、1mM Trisバッファ(pH7.4)で希釈して最終体積2mlにする。試料の電気泳動移動度は、電極および光源としてHe−Neレーザを具備するZetaPALS計器(Brookhaven Instruments Corporation,Holtsville,NY)を使用して決定する。スモルフスキー極限は、ゼータ電位の計算において仮定される。
【0128】
5)脂質分析
個々の脂質濃度は、コロナ荷電化粒子検出器(CAD)(ESA Biosciences,Inc,Chelmsford,MA)を具備するWaters 2695 Alliance system(Water Corporation,Milford MA)を使用して、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)で決定される。RDV中の個々の脂質は、60℃で、CADを具備するAgilent Zorbax SB−C18(50×4.6mm,粒径1.8μm)カラムを使用して分析する。移動相は、A:H
2O中0.1%TFAおよびB:IPA中0.1%TFAで構成される。勾配は、流量1ml/分で、0時における移動相A60%および移動相B40%から1.00分における移動相A40%および移動相B60%に;1.00〜5.00分における移動相A40%および移動相B60%;5.00分における移動相A40%および移動相B60%から10.00分における移動相A25%および移動相B75%に;10.00分における移動相A25%および移動相B75%から15.00分における移動相A5%および移動相B95%に;そして15.00における移動相A5%および移動相B95%から20.00分における移動相A60%および移動相B40%に、変えることができる。個々の脂質濃度は、二次曲線当てはめにより、RDV中の全脂質成分を含む標準曲線と比較することによって決定される。各脂質のモルパーセンテージは、その分子量に基づいて計算される。
【0129】
上述のLNPプロセスを用いて、下記の比率を有する具体的なLNPが同定される。
【0130】
組成式:
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG 60/38/2
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG/DSPC 58/30/2/10
【0131】
Luc siRNA
【化37】
【0132】
組成式
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG 60/38/2
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG/DSPC 40/48/2/10
カチオン性脂質/コレステロール/PEG−DMG/DSPC 58/30/2/10
【0133】
ApoB siRNA
【化38】
【0134】
β−カテニンsiRNA
【化39】
【0135】
オリゴヌクレオチド合成は当該技術分野で周知である。(米国特許出願第2006/0083780号明細書、米国特許出願第2006/0240554号明細書、米国特許出願第2008/0020058号明細書、米国特許出願第2009/0263407号明細書および米国特許出願第2009/0285881号明細書ならびにPCT特許出願:国際公開第2009/086558号パンフレット、国際公開第2009/127060号パンフレット、国際公開第2009/132131号パンフレット、国際公開第2010/042877号パンフレット、国際公開第2010/054384号パンフレット、国際公開第2010/054401号パンフレット、国際公開第2010/054405号パンフレットおよび国際公開第2010/054406号パンフレット参照)。開示され、実施例で使用さているsiRNAは、標準固相手順で合成される。
【0136】
実施例1
有効性のマウス・インビボ評価
すぐ上に記述した組成式において、化合物1〜34を使用したLNPを、インビボ有効性について評価する。siRNAは、ホタル(フォチナス・ピラリス(Photinus pyralis))ルシフェラーゼ遺伝子(寄託番号M15077)のmRNA転写物をターゲットすることができる。ルシフェラーゼsiRNAの一次配列および化学修飾パターンは上に表示されている。インビボ ルシフェラーゼモデルは、ホタル ルシフェラーゼコード配列が全細胞に存在するトランスジェニックマウスを使用する。Dana Farber Cancer Instituteからライセンスを受けたROSA26−LoxP−Stop−LoxP−Luc(LSL−Luc)トランスジェニックマウスを、先ず組み換えAd−Creウイルス(VectorBiolabs)を用いてLSL配列を除去することにより、ルシフェラーゼ遺伝子を発現するように誘導する。ウイルスの向臓器性のため、尾静脈注射により送達されるとき、発現は肝臓に限定される。肝臓におけるルシフェラーゼ発現レベルは、ルシフェリン基質(Caliper Life Sciences)の投与後に、IVISイメージャ(Xenogen)を使用して光出力を測定することにより定量化する。投与前発光レベルは、RDVの投与前に測定する。PBS中のルシフェリン(15mg/mL)を、150μLの量で腹腔内(IP)注射する。4分間インキュベートした後、マウスをイソフルランで麻酔し、IVISイメージャに入れる。PBS媒体中のRDV(siRNAを含有)を、0.2mLの量で尾静脈注射する。最終投与レベルは、0.1〜0.5mg/kg siRNAであり得る。コントロールとして、PBS媒体のみを投与する。投与後48時間に、上述の方法を使用してマウスを撮像する。ルシフェリン光出力の変化は、ルシフェラーゼmRNAレベルと直接的に相関があり、ルシフェラーゼsiRNA活性の間接的尺度を表す。インビボ有効性の結果は、投与前発光レベルと比較した、発光の%阻害として表される。
【0137】
実施例2
インビトロApoE結合アッセイ
LNPを、90%アカゲザル血清中、最終LNP濃度4μg/mLで、37℃でインキュベートする。インキュベーションは、軌道回転で、20分間である。インキュベーション後、試料をPBSで1:20希釈し、各希釈試料100μLを、抗−PEG抗体被覆96−ウェルプレート(Life Diagnosticsカタログ番号P−0001PL)のウェルに分取する。室温で1時間インキュベートした後、プレートをPBS 300μLで5回洗浄する。洗浄後、0.2%Triton X−100 50μLを各ウェルに加え、プレートを37℃で10分間インキュベートし、続いて、750rpmのプレートシェーカー上で1分間振盪する。試料のApoE ELISAおよびステム・ループPCR分析を実施する前に、試料を凍結する。
【0138】
アカゲザル血清中でインキュベートした後、LNPに結合したApoEを定量化するために、ApoE ELISAアッセイを実施する。抗−ApoE抗体(Milipore、カタログ番号AB947)をPBSで1:1000希釈し、希釈抗体100μLを、ポリスチレン高結合プレートの各ウェルに加える。抗体が入っているプレートを4℃で一晩インキュベートし、その後プレートをPBS 200μLで2回洗浄する。次に、PBS中に1%BSAおよび0.05%Tween−20を含有するバッファ(インキュベーションバッファ)200μLを各ウェルに加え、続いて室温で1時間インキュベートする。プレートを、0.05%Tween−20を含有するPBSで5回洗浄する。凍結したトリトン溶解検査試料を解凍して、インキュベーションバッファで1:6希釈し、検査試料100μLをApoE抗体プレートのウェルに分取する。インキュベーションは室温で1時間であり、続いて0.05%Tween−20を含有するPBSで5回洗浄する。洗浄後、インキュベーションバッファで1:500希釈した、ビオチン化抗ApoE抗体(Mabtech、カタログA番号E887−ビオチン)100μLを、各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートし、続いてPBS中の0.05%Tween−20で5回洗浄する。次いで、ウェル当たり100μLのストレプトアビジンーHPR(Streptavidin−HPR)(Thermo、カタログ番号TS−125−HR)を加え、室温で1時間インキュベートする。PBS中の0.05%Tween−20で5回洗浄した後、100μLのTMB基質(TMB Substrate)(Thermo、カタログ番号34028)を各ウェルに加え、続いて暗所にて室温で20分間インキュベートする。比色反応を、100μLのTMB停止液(TMB Stop Solution)(KPL、カタログ番号50−85−04)で停止し、450nmで吸光度を測定する。0.03%Triton X−100を含むインキュベーションバッファでアカゲザル組み換えApoEを希釈して、100ng/mL〜0.78ng/mLの範囲の濃度で、ApoE標準曲線を作成する。ApoE標準を、検査試料と並行して、ELISAで評価する。アカゲザル血清のみ(無LNP)コントロールを使用して、ELISAにおける無LNP依存的ApoEシグナルのバックグラウンド除去を得る。
【0139】
ステム・ループRT−PCRプロトコール
抗−PEG抗体プレートに結合したLNPの量に結合したApoEに正規化するために、抗−PEG抗体ウェルに保持されているsiRNAの量を、ステム・ループPCRで定量し、LNP当たりの封入されたsiRNA数と関連させ、結合した全LNP粒子のウェル当たりの近似測定値を与える。
【0140】
標準添加曲線試料の調製:
コピー数を計算するために、siRNAの分子量(ApoB 17063では13693g/mol)を使用して、標準曲線を作成する。高標準は、3μl当たり10
11コピーを含まなくてはならない。最低標準が3μl当たり10
2コピーを含むまで、アッセイプレートの一列全体に、10倍段階希釈を実施する。0.2%Triton X−100を水で1:80希釈し、希釈したTriton X−100 20μLを、96ウェルプレートの10ウェルにピペットで移す。30μLの段階希釈標準曲線およびミックスをプレートの各ウェルに加える。10μLの標準添加曲線を、逆転写反応で使用する。
【0141】
ステム・ループRT−PCR−検査試料および標準曲線:
PEG抗体プレート捕獲からのトリトン溶解物を無ヌクレアーゼ水で1:2000希釈する。10μLの「RT−Primer Mix」(Applied BiosystemのTaqMan MicroRNA Reverse Transcription Kitカタログ番号4366596)を96−ウェルMicro−AmpQPCRプレート(ABIカタログ番号N801−0560)の各ウェルに加える。
【0142】
【表6】
【0143】
【化40】
【0144】
10μLの各検査試料(1:2000希釈)または標準添加曲線(上記)を96−ウェルプレートに分取する。プレートをマット(ABIカタログ番号N801−0550)で覆い、蒸発を最小限に抑える。プレートを、800rpmで1分間、手短に遠心分離する。次に、下記のサイクリングパラメータを使用して、サーモサイクラでプレートを管理する。
【0145】
【表7】
【0146】
次に、10μLの「RT Mix」を各ウェル(Applied BiosystemのTaqMan MicroRNA Reverse Transcription Kitカタログ番号4366596)に加える。
【0147】
【表8】
【0148】
RTサイクリング反応は、検査試料10μL、RTプライマーミックス10μLおよびRT Mix成分10μL、総体積30μLで構成される。全RTミックス計30μL中のRT−プライマーの最終濃度は200nMである。次に、プレートを同じプレートマットで密封し、800rpmで1分間、手短に遠心分離し、次いで下記のサイクリングパラメータを使用して、サーモサイクラでプレートを管理する。
【0149】
【表9】
【0150】
次に、15μLのFast Enzyme/プライマー−プローブミックスを新しいFast96−ウェルプレートの各ウェルに加える(Applied BiosystemのTaqMan Fast Universal PCR Master Mix、カタログ番号4352042)。
【0151】
【表10】
【0152】
ApoBプライマーおよびプローブ配列:
17063DC F3 GGCGCGAAATTTCAGGAATTGT(配列番号:12)
17063DC Pr2 CACTGGATACGACCTTTAACA(配列番号:13)
Universal R2 AGTGCAGGGTCCGAG(配列番号:14)
【0153】
5μLの各RT反応を、Fast Enzyme Mixプレートに加える。プレートを1000rpmで1分間遠心分離し、Fast Blockを具備するABI7900でQPCR分析を実施する。サイクリングパラメータは以下の通りである:1サイクル−95℃で20秒間、続いて40サイクル−95℃で1秒間、60℃で20秒間。
【0154】
QPCR結果を使用して、PEG抗体捕獲板トリトン溶解物中のsiRNA濃度を計算する。LNP粒子当たり500siRNAという推定に基づいて、抗−PEG抗体プレートの各ウェルに保持されるLNP数を計算することができる。ApoE ELISAおよびウェル当たりのLNP粒子数によって決定される、ウェル当たりのApoE濃度を使用して、LNP粒子当たりの結合したおおよそのApoE分子を計算することができる。
【0155】
実施例3
ヘパリンセファロースHI−TRAP(商標)結合アッセイ
中立表面電荷をもつ脂質ナノ粒子(LNP)は、泳動バッファとしての1X ダルベッコ(Dulbecco)リン酸緩衝食塩水(DPBS)と共にヘパリンセファロースに注入された後、保持されないが、カラム空隙容積中に溶離する。血清アポリポ蛋白質E(ApoE)はヘパリン硫酸と高親和性結合を示し、また精製されたおよび/または組み換え型のヒトApoEまたは血清試料とのインキュベーション後、LNPは、ApoEを結合するそれらの固有の能力に応じて(脂質ナノ粒子組成とApoE濃度の両方によって)ある程度、ヘパリンセファロースに結合することを示すことができる。高い親和性でヘパリンセファロースに結合する表面結合したApoEが付いた脂質ナノ粒子は、高塩(1M NaCl)でのみ溶離され得る。
【0156】
ヘパリンセファロースに対してApoE−LNP複合体が示す高親和性相互作用に基づいて脂質ナノ粒子への血清ApoEの結合を評価するための、ヘパリンセファロース結合アッセイが開発されている。
【0157】
インキュベーション
最終siRNA濃度50μg/mL、37℃で20分間、脂質ナノ粒子を、1Xダルベッコのリン酸緩衝食塩水(DPBS)中の様々な濃度の精製されたまたは組み換え型のヒトアポリポ蛋白質Eかまたは0.1〜50%のラット/マウス/アカゲザル/ヒト血清のいずれかと共にインキュベートする。ApoEまたは血清LNPとインキュベートした後、試料を、1X DPBSを使用して10倍希釈し、ヘパリンセファロースクロマトグラフィーで分析する。ApoE/血清とのインキュベーション後に高親和性ヘパリン相互作用にシフトするLNPのパーセンテージを決定するために、保持されたLNPのピーク面積(適切なブランクシグナルの減算後)を、ApoEおよび/または血清インキュベーションのないLNPコントロールの全ピーク面積と比較する。
【0158】
ヘパリンセファロースHI−TRAP(商標)クロマトグラフ条件
ヘパリンセファロースHI−TRAP(商標)クロマトグラフィーカラム(GE Healthcare;1mLカラム床体積)を、1Xまたは2X ダルベッコのPBSのいずれかと平衡化させる;より高い2X塩濃度が、ヘパリンセファロースでの固有保持がより高いLNPに使用される(多分、より高い表面正電荷による)。
移動相A:1Xまたは2X DPBS
移動相B:10mMリン酸ナトリウムバッファ、pH7.0中、1M NaCl
100%Aが均一濃度で10分間送達され、続いて100%Bまで段階的勾配;さらに10分間保持;100%Aに戻るまで段階的勾配および次の試料を注入する前にさらに10分間再平衡化
流量:1mL/分
試料注入量:50μL
検出:UV@260nm
【0159】
実施例4
有効性および毒性のラットインビボ評価
上述の組成式の化合物を使用したLNPを、インビボ有効性およびアラニンアミノトランスフェラーゼおよびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加について、Sprague−Dawley(Crl:CD(SD)メスラット(Charles River Labs)で評価する。siRNAは、ApoB遺伝子(寄託番号NM019287)のmRNA転写物をターゲットする。ApoB siRNAの一次配列および化学修飾パターンは上に表示されている。PBS媒体中のRDV(siRNAを含有)を、1〜1.5mLの量で尾静脈注射する。注入速度はおよそ3ml/分である。各投与群でラット5匹を使用した。LNP投与後、ラットを標準的な食餌および水のあるケージに入れる。投与後6時間に、飼料をケージから除去する。LNP投与の24時間後に動物の剖検を実施する。ラットをイソフルラン下で5分間麻酔し、次いで瀉血が完了するまで、イソフルランの送達を継続しながらラットをノーズコーンに入れることによって麻酔下で維持する。23ゲージ蝶形静脈穿刺セットを使用して血液を大静脈から採取し、血清化学分析のために、血清分離器バキュテナーに分取する。切除した肝葉のパンチを採取し、mRNA分析のためにRNALater(Ambion)に入れる。保存された肝組織をホモジナイズし、製造業者の取扱説明書に従って、QiagenビーズミルおよびQiagen miRNA−Easy RNA単離キットを使用して、総RNAを単離する。肝ApoB mRNAレベルを、定量的RT−PCRで測定する。ラットApoB市販プローブセット(Applied Biosystemsカタログ番号RN01499054_m1)を使用して、精製RNAからメッセージを増幅する。PCR反応は、96−ウェルFast Blockを具備するABI 7500計器で実施する。ApoB mRNAレベルを、ハウスキーピングPPIB(NM 011149)mRNAに正規化する。PPIB mRNAレベルは、市販のプローブセット(Applied Biosytemsカタログ番号Mm00478295_m1)を使用してRT−PCRで決定する。結果は、ApoB mRNA/PPIB mRNAの比率として表示される。全てのmRNAデータは、PBSコントロール用量と比較して表示される。血清ALTおよびAST分析は、Siemensアラニンアミノトランスフェラーゼ(カタログ番号03039631)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(カタログ番号03039631)試薬を使用して、Siemens Advia 1800 Clinical Chemistry Analyzerで実施する。
【0160】
実施例5
ラット/サル肝臓におけるカチオン性脂質の測定
肝組織を20mlバイアル内に秤量し、9v/wの水中で、GenoGrinder 2000(OPS Diagnostics、1600ストローク/分、5分)を使用してホモジナイズする。各組織ホモジネートのアリコート50μLを抽出/蛋白質沈降溶媒(500nM内部標準を含有する50/50アセトニトリル/メタノール)300μLと混合し、プレートを遠心分離して、沈降した蛋白質を沈殿させる。次いで、各上澄200μLを、96−ウェルプレートの別のウェルに移し、試料10μLをLC/MS−MSで直接分析する。
【0161】
化合物のメタノール貯蔵液の既知量を、未処理のラット肝ホモジネート(9容量の水/肝重量)に添加することによって、標準を調製する。各標準/肝ホモジネートのアリコート(50μL)を、抽出/蛋白質沈降溶媒(500nM内部標準を含有する50/50アセトニトリル/メタノール)300μLと混合し、プレートを遠心分離して、沈降した蛋白質を沈殿させる。各上澄200μLを、96−ウェルプレートの別のウェルに移し、各標準10μLをLC/MS−MSで直接分析する。
【0162】
絶対定量対肝ホモジネートから調製され抽出された標準は、API 4000三重四極質量分析計(Applied Biosystems)に連結されたAria LX−2 HPLCシステム(Thermo Scientific)を使用して実施される。各泳動のために、計10μLの試料が、周囲温度にて、BDS Hypersil C8 HPLCカラム(Thermo、50×2mm、3μm)に注入される。
【0163】
移動相A:95%H
2O/5%メタノール/10mMギ酸アンモニウム/0.1%ギ酸 移動相B:40%メタノール/60%n−プロパノール/10mMギ酸アンモニウム/0.1%ギ酸 流量は0.5mL/分であり、勾配溶離プロフィールは以下の通りである:80%Aで0.25分間保持、1.6分にわたって100%Bまで直線ランプ、100%Bで2.5分間保持、次いで戻って80%Aで1.75分間保持。全泳動時間は5.8分である。API 4000ソースパラメータは、CAD:4、CUR:15、GS1:65、GS2:35、IS:4000、TEM:550、CXP:15、DP:60、EP:10である。
【0164】
実施例6
ApoB有効性のアカゲザルインビボ評価
上述の組成式の化合物を使用したLNPを、オスまたはメスのマカカ・ムラタ(Macaca mulatta)(アカゲザル)でインビボ有効性について評価する。siRNAは、ApoB遺伝子(寄託番号XM 001097404)のmRNA転写物をターゲットする。ApoB siRNAの一次配列および化学修飾パターンは上に表示されている。PBS媒体中のRDV(siRNAを含有)は、注入速度20mL/分、投与レベル0.25mg/kg siRNAで、伏在静脈における静脈注射により投与される。注入量は、1.9〜2.1mL/kgであり、サルは体重2.5〜4.5kgの範囲であってもよい。RDVまたはPBSコントロールを、サル3匹に投与する。投与後複数日に、血清化学分析用に血液試料1mLを大腿動脈から採取する。サルを、採血前に一晩絶食させる。有効性の尺度として、ApoB mRNA減少の下流代理マーカーとしてのLDL−Cをモニターする。
【0165】
実施例7
β−カテニン有効性のアカゲザルインビボ評価
試験−7日目に、腹腔鏡下外科的切除術(サル1匹について、ランダムに選択された1肝葉の外縁から、1生検試料の切除)によって、投与前肝生検試料(約0.5〜1g/試料)をオス・アカゲザルから採取する。各投与前生検から3つの隣接していない約50mg試料をサンプリングするために、5mm組織パンチを使用する。後のCTNNB1 mRNA分析のために、試料をRNAlater(商標)(Ambion)中で保存する。
【0166】
試験0日目に、リン酸緩衝食塩水中の脂質ナノ粒子(LNP)被験物質の懸濁液(0.05〜0.1mg siRNA/mL)を、目標用量0.67、1.34または3.34mg siRNA/m
2で、単回投与静脈内ボーラス注入により、サルに投与する。投薬のために、体表面積(m
2)を、以下に示す(1)確立した非比例的スケーリング関係に従って体重から推定する:
BSA(m
2)=0.11*体重(kgで)
0.65
試験2日目および7日目に、LNP投与後48時間および168時間に、肝生検試料(約0.5〜1g/試料)を、腹腔鏡下外科的切除術によりサルから採取する(サル1匹につき2つの別々の、ランダムに選択された肝葉が切除される)。48時間および168時間外科的生検試料のそれぞれについて、3つの隣接していない約50mg試料をサンプリングするために、5mm組織パンチを使用する。後のCTNNB1 mRNA分析のために、試料をRNAlater(商標)(Ambion)中で保存する。
【0167】
CTNNB1mRNAレベルは、CTNNB1のために確立されたプライマー/プローブセットを使用して相対的定量的RT−PCRで測定され、ペプチジルプロリルイソメラーゼB(PPIBまたはシクロフィリンBとしても知られる)のmRNAレベルおよび18SリボソームRNA(18S rRNA)のRNAレベルに対して正規化される。CTNNB1 mRNA肝発現の変化は、投与後試料と各対応するサルの投与前肝試料との間のPCR閾値サイクル数(ΔΔCt)の差として測定される。
【0168】
CTNNB1 mRNAノックダウンの計算(前処置レベルに関して)は、以下の関係を使用してΔΔCtから計算される。
mRNA(%ノックダウン)=100−(100/2
−ΔΔCt)
【0169】
(1)FDA指針書:「企業用指針:健常な成人ボランティアにおける治療のための初回臨床治験で安全な最大開始用量を推定する」2005年7月、米国保健社会福祉省、品医薬品局−医薬品評価センター(CDER)
【0170】
実施例8
ALT上昇のアカゲザルインビボ評価
遠心分離後、凝固したサル全血から採取される血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)を測定する。Roche Modular System自動化学アナライザーは、国際臨床化学連合(International Federation of Clinical Chemistry)標準手順および試薬を使用することにより、血清中のALTの酵素活性を測定する。アナライザーのコンピュータは、標準曲線と比較して試料中のALT活性を計算するために、吸光度測定値を使用する。ALT活性は、リットル当たりの国際単位(IU/L)で報告される。