特許第6232420号(P6232420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232420改良されたキャピラリー電気泳動−エレクトロスプレーイオン化−質量分析システムにおけるエラー検出のための漏れ電流検知回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232420
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】改良されたキャピラリー電気泳動−エレクトロスプレーイオン化−質量分析システムにおけるエラー検出のための漏れ電流検知回路
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/447 20060101AFI20171106BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20171106BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20171106BHJP
   H01J 49/04 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   G01N27/447 331E
   G01N27/26 391Z
   G01N27/62 F
   H01J49/04
【請求項の数】24
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-515283(P2015-515283)
(86)(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公表番号】特表2015-519574(P2015-519574A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013044093
(87)【国際公開番号】WO2013184668
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年6月2日
(31)【優先権主張番号】61/655,433
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】コトウスキー, ピーター エス.
(72)【発明者】
【氏名】デリワラ, スニル エス.
(72)【発明者】
【氏名】フライ, スティーブン エー.
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平02−503354(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/118775(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/011488(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0001181(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0305801(US,A1)
【文献】 米国特許第04842701(US,A)
【文献】 EXTENDING THE REACH OF MASS SPECTROMETRY CESI 8000 HIGH PERFORMANCE SEPARATION-ESI MODULE WITH OPTIMS TECHNOLOGY,[ONLINE],2011年 6月 2日,P1-12,URL,http://www.labplan.ie/admin/documents/CESI_8000.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
G01N 27/62−27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロスプレーイオン化質量分析システムと併用するためのキャピラリー電気泳動システムであって、
出力及び入力を有するキャピラリー電気泳動(CE)高電圧電源と、
電流検知回路の高電圧入力に接続する質量分析(MS)電源と、
MS電源端子に連結される電流検知回路であって、前記MS電源端子が、前記電流検知回路、導電性流体キャピラリー、及び対極板を介して、前記CE高電圧電源の前記入力に電気的に連結されるようにし、前記MS電源端子が、前記電流検知回路、分離キャピラリー、及び入口電極を介して、前記CE高電圧電源の前記出力に更に電気的に連結される、電流検知回路と、を備える、システム。
【請求項2】
前記電流検知回路が、絶対値増幅器に連結される、検知抵抗器と、緩衝増幅器と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電流検知回路が、前記絶対値増幅器に連結され、かつ前記緩衝及び絶対値増幅器に電力供給する、DC/DC変換器を更に備え、
前記電流検知回路の絶縁側が浮遊している、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電流検知回路のシステム接地から浮遊接地に連結される、電圧保護デバイスを更に備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記電圧保護デバイスが、ガス放電管を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記検知抵抗器からコントローラへの電流検知信号経路を更に備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、CE分析システムのマイクロプロセッサである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記電流検知信号経路が、前記緩衝増幅器、前記絶対値増幅器、絶縁通信経路、及び電流検知出力に連結される、前記検知抵抗器を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記絶縁通信経路が、アナログ信号を伝送する、DC/DC変換器を通るアナログチャネルである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記絶縁通信経路が、無線信号を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
導電性流体電流信号が、漏れ信号を作成するために、電流検知信号からオフセットされる、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記CE高電圧電源が、前記CE高電圧電源の前記入力において、CEリターン電流検出器を更に備え、前記CE入力電流検出器が、リターン電流信号を作成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記CE高電圧電源が、前記CE高電圧電源の前記出力において、CE出力電流検出器を更に備え、前記CE出力電流検出器が、送達電流信号を作成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、システムの不正確性と関連するオフセット電流信号を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラが、前記送達電流信号から、前記リターン電流信号、前記電流検知信号、及び前記オフセット電流信号を引くことによって、漏れ電流を計算する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記漏れ電流が所定の閾値を超える場合、前記コントローラが、エラー信号を作成する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記所定の閾値を超える漏れ電流測定値の数が、エラーフラグ数による測定値の数に対して、前記所定の閾値未満の漏れ電流測定値の数を超えるとき、前記コントローラが、自動システムシャットダウンを開始する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記電流検知回路が、ホール効果センサ、ロゴウスキーコイルセンサ、又はそれらの組み合わせを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
電流検知入力端子が、システム接地に直接連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記電流検知回路が、検知抵抗器からエレクトロスプレー端子又はキャピラリー接合に連結される、制限抵抗器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記制限抵抗器が、1メガオーム〜200メガオーム(境界を含む)、1メガオーム〜100メガオーム(境界を含む)、1メガオーム〜50メガオーム(境界を含む)、及び1メガオーム〜20メガオーム(境界を含む)の抵抗器値からなる群から選択される、値を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
キャピラリー電気泳動エレクトロスプレーイオン化質量分析(CE−ESI−MS)システムであって、
第1の出力、第1のリターン、及び第1の接地を有する質量分析(MS)高電圧電源と、
第2の出力、第2のリターン、及び第2の接地を有し、前記第2の接地が、前記第1の接地への接続を含む、キャピラリー電気泳動(CE)高電圧電源と、
前記第1の出力から前記第1の接地に、前記MS高電圧電源の第1のリターンを提供するMS電気経路と、
分離キャピラリーを介して、前記第2の出力から前記第2の接地に、前記CE高電圧電源の第2のリターンを提供するCE電気経路であって、前記分離キャピラリーの抵抗電気経路が、前記第1の出力に接続され、前記第1の出力が、前記分離キャピラリーを介して、前記第2のリターンに電気的に連結される、CE電気経路と、
キャピラリー接合を介して、前記第1の出力及び前記分離キャピラリーに連結される電流検知回路と、を備える、システム。
【請求項23】
キャピラリー電気泳動(CE)電源及び質量分析(MS)DC高電圧電源を有するキャピラリー電気泳動エレクトロスプレーイオン化質量分析システムを作動させる方法であって、前記方法は、
電流検知回路を使用して、前記MS DC高電圧電源の出力において、エレクトロスプレー端子から前記MS DC高電圧電源への電流を測定する工程であって、前記MS DC高電圧電源が、前記電流検知回路、導電性流体キャピラリー、及び対極板を介して、前記CE電源の入力に電気的に連結され、前記MS DC高電圧電源が、前記電流検知回路、分離キャピラリー、及び入口電極を介して、前記CE電源の出力に更に電気的に連結される、工程と、
計算された漏れ電流が閾値を超えるとき、故障エラーを作成する工程であって、前記漏れ電流は、前記CE電源の送達電流から、前記測定された電流、システムの不正確性と関連するオフセット電流、及び前記CE電源のリターン電流を引くことによって計算される、工程と、を含む、方法。
【請求項24】
漏れ電流を検出する方法であって、前記方法は、
キャピラリー電気泳動(CE)電源の出力において、送達電流を測定する工程と、前記CE電源のリターンにおいて、リターン電流を測定する工程と、システムの不正確性と関連するオフセット電流を識別する工程と、質量分析(MS)高電圧電源の出力において、電流検知回路における検知電流を測定する工程であって、前記MS高電圧電源が、前記電流検知回路、導電性流体キャピラリー、及び対極板を介して、前記CE電源の前記リターンに電気的に連結され、前記MS高電圧電源が、前記電流検知回路、分離キャピラリー、及び入口電極を介して、前記CE電源の出力に更に電気的に連結される、工程と、
前記送達電流から、前記リターン電流、前記検知電流、及び前記オフセット電流を引くことによって、前記漏れ電流を識別する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、「LEAKAGE CURRENT SENSE CIRCUIT FOR ERROR DETECTION IN AN IMPROVED CAPILLARY ELECTROPHORESIS−ELECTROSPRAY IONIZATION−MASS SPECTROMETRY SYSTEM」と題する、2012年6月4日出願の米国仮特許出願第61/655,433号の優先権を主張し、それは、あらゆる目的で、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、エレクトロスプレーイオン化質量分析と併用される、電気泳動及びキャピラリー電気泳動に関する。
【背景技術】
【0003】
電気泳動は根本的に、印加電場内の荷電粒子の動きである。キャピラリー電気泳動(CE)は、既知のプロセスである。キャピラリー電気泳動において、試料は、キャピラリーの一方の端部に注入される。検出器は、試料から離れたキャピラリーの他方の端部で、キャピラリー上に取り付けられる。電圧は、キャピラリーの長さに沿って印加される。
【0004】
電位が印加されると、2つの別々の流動効果が生じる。これらの流動効果の第1は、総試料流動効果である。試料は、キャピラリー中に質量として移動する。これらの流動効果の第2は、電気泳動流動である。これは、異なる電荷を有する試料の成分を、キャピラリー内の流体の本流に対して移動させる。異なる電荷を有する試料の部分は、それによりキャピラリー中で分離される。
【0005】
分離が生じた後、試料を分析するために、異なる検出器が使用されてもよい。キャピラリー電気泳動をエレクトロスプレーイオン化(ESI)及び質量分析(MS)と組み合わせるシステムにおいて、キャピラリーの出力は、エレクトロスプレーアセンブリに入力される。エレクトロスプレーイオン化は、質量分析計へのキャピラリー入口に対して、分離キャピラリーの出口に高電位を配置することによって達成される。分離キャピラリーはまた、その入口と出口との間に配置される高電位を必要とする。試料の分離部分は、キャピラリーを出るとき、エレクトロスプレーによって微細エアロゾル中に分散される。次いで、エアロゾルの液滴は、質量分析によって観察される。
【0006】
エレクトロスプレーイオン化及び質量分析を伴うキャピラリー電気泳動は、比較的困難な手順である。キャピラリーは、システムの残りの部分に機械的に接続され、かつ検出器に対して位置付けられなければならない。キャピラリーは小さくかつ脆弱であり、質量分析計へのエレクトロスプレーイオン化アセンブリとの整合プロセスは困難で時間がかかる可能性があり、キャピラリーを損傷する可能性がある。
【0007】
システムは、キャピラリーを冷却する必要性等の種々の要因によって、更に複雑化される。この冷却は、小型キャピラリーが、電気泳動電位電圧が印加される間に電気抵抗加熱に供されるため、必要とされる。キャピラリー中を流れる高電圧下の小電流は、熱を生成する。冷却は、キャピラリーの損傷を防止するため、及び試料の分析中の温度の変化が分析の結果に影響を及ぼすことを防止するために必要とされる。過剰な熱は、異なる速度でキャピラリーを通って移動する試料の分離部分の拡散を引き起こし得る。熱及びその結果として起こる拡散は、分離、及び電気泳動を使用する目的である以下の分類結果を低下させる。
【0008】
追加の複雑化の要因は、キャピラリー電気泳動システム及びESI−MSシステムが、CE ESI−MS測定を実施するように一緒に構成されなければならない、2つの別々のシステムとして構成されることである。異なる種類及びブランドの器具間の異なるインターフェース及び標準的接続は、接続が適切に設定されていない場合、特に、両方のシステムに高電圧が関与することを考慮すると、ユーザへの安全上の危険を生む可能性もある、相互接続問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、CEとESI−MSシステムとの間の機能性及び相互接続システムを改善する、改良されたCE ESI−MSシステムの必要性がある。2つ以上の種類のエレクトロスプレーイオン化−質量分析計と個々に連動するのに好適なエラー検出回路を備える、CEシステムの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、キャピラリー電気泳動がエレクトロスプレーイオン化質量分析と併用される、改良されたシステムに関する。具体的に、種々の実施形態は、CE ESI−MSシステムに対するエラー検出を可能にするために、電流検知回路を含む。
【0011】
1つの考えられる実施形態では、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)システムと併用するためのキャピラリー電気泳動(CE)システムは、出力及びリターンを有するキャピラリー電気泳動高電圧電源(CE HV電源)と、出力及びリターンを有する質量分析計エレクトロスプレーイオン化高電圧電源(MS HV電源)と、入力及び出力を有する電流検知回路であって、電流検知回路の入力が、MS HV電源の出力に連結され、MS HV電源が電流検知回路を介して分離キャピラリーのスプレー端部に連結されるようにする、電流検知回路とを含む。いくつかの実施形態では、そのようなシステムは、絶対値増幅器に連結される検知抵抗器と、絶対値増幅器に連結される直流/直流(DC/DC)変換器とを備える、電流検知回路を含み、DC/DC変換器は、電流測定及び絶対値回路がMS HV電源上で浮遊しているように、電流検知回路に電力供給し、絶縁する。いくつかの実施形態では、DC/DC変換器は、回路の浮遊側から接地側に電流検知信号を伝送するために内蔵された回路を備える一方で、他の実施形態では、別個の回路が信号を伝送するために使用される。
【0012】
いくつかのそのような浮遊の実施形態は、回路の機能に影響を及ぼすことなく、ESI高電圧電源(MS HV電源)上で浮遊している電流検知回路の接地を、システムシャーシ接地等のシステム接地に連結する、少なくとも1つのガス放電管等の電圧保護デバイス、又は他の同様のデバイスを含む。
【0013】
追加の代替的な実施形態は、CE HV電源において、送達及びリターン電流を測定し、測定エラー及びオフセットに関する情報を含む、システムを含む。いくつかの実施形態では、そのような情報は、CE HV電源送達電流から、リターン、検知、及びオフセット電流を引くことによって、漏れ電流を識別するために、検知回路情報と一緒に使用される。いくつかの実施形態では、漏れ電流が所定の閾値を超える場合、システムは、エラーを信号で伝える。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、漏れ電流測定値の数が所定の閾値に達するか、又はそれを超えるとき、システムは、自動シャットダウンを開始する。
【0014】
いくつかの追加の代替的な実施形態は、キャピラリー電気泳動エレクトロスプレーイオン化質量分析(CE−ESI−MS)システムであって、第1の出力、第1のリターン、及び第1の接地を有する質量分析(MS)高電圧電源と、第2の出力、第2のリターン、及び第2の接地を有するキャピラリー電気泳動(CE)高電圧電源であって、上記の第2の接地は、MS HV電源の第1の接地への接続を含む、キャピラリー電気泳動(CE)高電圧電源と、質量分析負荷を介して、第1の出力から第1の接地に質量分析HV電源の第1のリターンを提供する、接地に接続される、MS電気経路と、分離キャピラリーを介して、第2の出力から第2の接地に、CE HV電源の第2のリターンを提供するCE電気経路であって、分離キャピラリーの抵抗電気経路は、MS HV電源の第1の出力に接続され、第1の出力は、分離キャピラリーを介して、第2のリターンに電気的に連結される、CE電気経路と、キャピラリー接合を介して、質量分析電源出力及び分離キャピラリーに連結される電流検知回路と、を備える、システムを含む。
【0015】
いくつかの追加の代替的な実施形態は、熱針及び接地針型の両方の複数の異なる質量分析計に、CE高電圧電源を個々に連結するための手段、並びにCEシステムへの質量分析計高電圧電源接続の出力において、電流を検知するための手段を有する、キャピラリー電気泳動システムを含む。熱針型の質量分析計の非限定的な例としては、熱質量分析計、AB−Sciex質量分析計、及びWaters質量分析計が挙げられる。接地針型の質量分析計の非限定的な例は、Bruker質量分析計である。
【0016】
いくつかの実施形態は、質量分析(MS)DC電源の出力において、エレクトロスプレー端子から質量分析MS DC高電圧(HV)電源への電流を測定する工程、及び計算された漏れ電流が閾値を超えるとき、故障エラーを作成する工程等の方法を更に含む。いくつかの実施形態はまた、キャピラリー電気泳動(CE)電源の出力において、送達電流を測定する工程、CE電源のリターンにおいて、リターン電流を測定する工程、システムの不正確性と関連するオフセット電流を識別する工程、及びMS HV電源の出力において、電流検知回路における検知電流を測定する工程、並びに送達電流から、リターン電流、検知電流、及びオフセット電流を引くことによって、漏れ電流を識別する工程等の方法も含む。
【0017】
更なる代替的な実施形態は、実行されるとき、質量分析(MS)HV電源の出力において、CE漏れ電流を測定する方法を実施し、漏れ電流が閾値を超えるとき、故障エラーを作成する、コンピュータ可読命令で機能するプロセッサと併せて、システム、非一時的コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータメモリ、又はそれらの組み合わせを含む。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
エレクトロスプレーイオン化質量分析システムと併用するためのキャピラリー電気泳動システムであって、
出力及び入力を有するキャピラリー電気泳動(CE)高電圧電源と、
電流検知回路の高電圧入力に接続する質量分析(MS)電源と、
MS電源端子に連結される電流検知回路であって、前記MS電源端子が、前記電流検知回路、導電性流体キャピラリー、及び対極板を介して、前記CE高電圧電源の前記入力に電気的に連結されるようにし、前記MS電源端子が、前記電流検知回路、分離キャピラリー、及び入口電極を介して、前記CE高電圧電源の前記出力に更に電気的に連結される、電流検知回路と、を備える、システム。
(項目2)
前記電流検知回路が、絶対値増幅器に連結される、検知抵抗器と、緩衝増幅器と、を備える、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記電流検知回路が、前記絶対値増幅器に連結され、かつ前記緩衝及び絶対値増幅器に電力供給する、DC/DC変換器を更に備え、
前記電流検知回路の絶縁側が浮遊している、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記電流検知回路のシステム接地から浮遊接地に連結される、電圧保護デバイスを更に備える、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記電圧保護デバイスが、ガス放電管を備える、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記検知抵抗器からコントローラへの電流検知信号経路を更に備える、項目2に記載のシステム。
(項目7)
前記コントローラが、CE分析システムのマイクロプロセッサである、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記電流検知信号経路が、前記緩衝増幅器、前記絶対値増幅器、絶縁通信経路、及び電流検知出力に連結される、前記検知抵抗器を備える、項目6に記載のシステム。
(項目9)
前記絶縁通信経路が、DC/DC変換器の絶縁及び接地側に/からアナログ信号を伝送する、前記DC/DC変換器を通るアナログチャネルである、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記絶縁通信経路が、無線信号を備える、項目8に記載のシステム。
(項目11)
キャピラリー接合を介して前記電流検知回路に、及び前記対極板に連結される、導電性流体電流センサを更に備え、導電性流体電流信号が、漏れ信号を作成するために、電流検知信号からオフセットされる、項目8に記載のシステム。
(項目12)
前記CE高電圧電源が、前記CE高電圧電源の前記入力において、CEリターン電流検出器を更に備え、前記CE入力電流検出器が、リターン電流信号を作成する、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記CE高電圧電源が、前記CE高電圧電源の前記出力において、CE出力電流検出器を更に備え、前記CE出力電流検出器が、送達電流信号を作成する、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記コントローラが、システムの不正確性と関連するオフセット電流信号を含む、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記コントローラが、前記送達電流信号から、前記リターン電流信号、前記電流検知信号、及び前記オフセット電流信号を引くことによって、漏れ電流を計算する、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記漏れ電流が所定の閾値を超える場合、前記コントローラが、エラー信号を作成する、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記所定の閾値を超える漏れ電流測定値の数が、エラーフラグ数による測定値の数に対して、前記所定の閾値未満の漏れ電流測定値の数を超えるとき、前記コントローラが、自動システムシャットダウンを開始する、項目16に記載のシステム。
(項目18)
前記電流検知回路が、ホール効果センサ、ロゴウスキーコイルセンサ、又はそれらの組み合わせを備える、項目13に記載のシステム。
(項目19)
電流検知入力端子が、システム接地に直接連結される、項目1に記載のシステム。
(項目20)
前記電流検知回路が、検知抵抗器からエレクトロスプレー端子又はキャピラリー接合に連結される、制限抵抗器を更に備える、項目1に記載のシステム。
(項目21)
前記制限抵抗器が、1メガオーム〜200メガオーム(境界を含む)、1メガオーム〜100メガオーム(境界を含む)、1メガオーム〜50メガオーム(境界を含む)、及び1メガオーム〜20メガオーム(境界を含む)の抵抗器値からなる群から選択される、値を含む、項目20に記載のシステム。
(項目22)
キャピラリー電気泳動エレクトロスプレーイオン化質量分析(CE−ESI−MS)システムであって、
第1の出力、第1のリターン、及び第1の接地を有する質量分析(MS)高電圧電源と、
第2の出力、第2のリターン、及び第2の接地を有し、前記第2の接地が、前記第1の接地への接続を含む、キャピラリー電気泳動(CE)高電圧電源と、
MS負荷を介して、前記第1の出力から前記第1の接地に、前記MS高電圧電源の第1のリターンを提供するMS電気経路と、
分離キャピラリーを介して、前記第2の出力から前記第2の接地に、前記CE高電圧電源の第2のリターンを提供するCE電気経路であって、前記分離キャピラリーの抵抗電気経路が、前記第1の出力に接続され、前記第1の出力が、前記分離キャピラリーを介して、前記第2のリターンに電気的に連結される、CE電気経路と、
キャピラリー接合を介して、前記第1の出力及び前記分離キャピラリーに連結される電流検知回路と、を備える、システム。
(項目23)
キャピラリー電気泳動エレクトロスプレーイオン化質量分析システムを作動させる方法であって、
前記MS DC高電圧電源の出力において、エレクトロスプレー端子から質量分析(MS)DC高電圧電源への電流を測定する工程と、
計算された漏れ電流が閾値を超えるとき、故障エラーを作成する工程と、を含む、方法。
(項目24)
キャピラリー電気泳動(CE)電源の出力において、送達電流を測定する工程と、前記CE電源のリターンにおいて、リターン電流を測定する工程と、システムの不正確性と関連するオフセット電流を識別する工程と、MS高電圧電源の前記出力において、電流検知回路における検知電流を測定する工程と、
前記送達電流から、前記リターン電流、前記検知電流、及び前記オフセット電流を引くことによって、漏れ電流を識別する工程と、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本明細書に示される技術革新の1つの考えられる実施形態に従った、CE−ESI質量分析システムの1つの考えられる実装の電気回路図を示す。
図1B】本明細書に示される技術革新の1つの考えられる実施形態に従った、CE−ESI質量分析システムの1つの考えられる実装の図を示す。
図1C】CE−ESI質量分析システムの1つの考えられる実装と併用するための、漏れ検出検知回路の1つの考えられる実装を示す。
図2】本明細書に示される技術革新の1つの考えられる実施形態に従った、CE−ESI質量分析システムの1つの考えられる実装の電気回路図を示す。
図3】本明細書に示される技術革新と一致したCE−ESI質量分析システムの1つの考えられる実装に従った、改良されたエラー検出を含む、CE分析システムを使用する方法を示す。
図4】本明細書に示される技術革新の種々の実施形態に従った、CE−ESI質量分析システムと併用される、コンピュータシステム又はコントローラの1つの考えられる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、キャピラリー電気泳動(CE)を質量分析(MS)と統合させる、改良されたシステム及び方法に関する。いくつかの実施形態では、そのようなシステムは、全体として、CEを使用して、タンパク質複合体、タンパク質、ペプチド、グリカン、又は薬物/代謝産物等の分子を含有する試料を分離し、かつMSを使用して、分離された分子を特性化/識別するために使用される、統合構造を提供する。ある特定の実施形態における本技術革新は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を介して、質量分析計(MS)システムに連結される任意のキャピラリー電気泳動(CE)システムに適用し、他の実施形態では、複数のMSシステムと共に使用するためにインターフェースを有する、改良されたCEシステムとして構造化される。
【0020】
特に、ある特定の実施形態は、以前既知ではない方法で故障検出を提供するために、MS ESI電源の高電圧出力と連動する電流検知回路を含む、改良されたシステムを示す。
【0021】
CE ESI−MS構成回路は、2つの主要な部分:CE部分及びMS部分からなる。CE部分が分離を実施し、ESI−MSが更なるエレクトロスプレー機能を実施し、回路の各部分が、異なる機能を果たす一方で、2つの部分は、電気的には共有している。CE電源は、分離キャピラリーにわたって電圧を送達し、MS電源は、リターン経路を提供する。非限定的な例として、電極周囲の塩の蓄積等によるいかなる漏れ電流も、CE電源内の標準的な電流検出システムによって検出することができない。これは、連結された電気構造において、CE電源を出る電流が、高電圧リターン入力(124、224)を迂回し、MS ESI電源を介して、システム接地(170、270)を通って、CE電源に戻るためである。送達及びリターン電流は、CE電源に戻る電流が、電極にわたる電流と、CE高電圧電源によって送達される全電流の合計である、塩の蓄積からの漏れ電流との両方を含むため、同一である。これは、以下に更に詳述される。
【0022】
したがって、ある特定の実施形態では、質量分析計電源の高電圧出力に連結される電流検知回路は、送達電流を、MS ESI高電圧電源である、適切なリターン経路を通って流れる電流と比較しつつ、非限定的な例として、塩の蓄積又はアーク放電によって引き起こされる、任意の漏れ電流を除外することを可能にする。送達電流と、MS ESI電源のハイ側で検知される電流との間に差がある場合、いくつかの実施形態では、これは、コントローラ又はコンピュータデバイスによって、より多くの電流がある漏れ経路に送達されていると読み取られ、システムは、エラーのフラグを立てることができる。
【0023】
図1A、1B、及び1Cは、本技術革新に従った、システムの1つの考えられる実装の種々の態様を示す。図1Aは、キャピラリー電気泳動高電圧源(CE HV電源)102及び質量分析計ESI高電圧源(MS HV電源)104、入口電極141、入口バイアル132、分離(又は試料)キャピラリー142、キャピラリー接合151、導電性流体キャピラリー144、導電性流体バイアル134、対極板123、質量分析計検出器プレート152、並びに電流検知回路143を含む、CE ESI−MSシステム100の電気回路図を示す。CE HV電源102及びMS HV電源104は、MS高電圧出力126が電流検知回路143を介してキャピラリー接合151に連結されるように、電気的に連結される。したがって、CE HV電源102からの第1の電圧は、CE高電圧出力122からキャピラリー接合151へと、分離キャピラリー142にわたって配置され、MS HV電源(104)からの第2の電圧は、キャピラリー接合151からMS検出器プレート152へと間隙をわたって配置される。
【0024】
図1Bは、CE ESI−MSシステム100のシステムレベルブロック図を示す。本システムは、図1Aと全く同様に、入口バイアル132、導電性流体バイアル134、分離キャピラリー142(試料キャピラリーとも称される)、及び導電性流体キャピラリー144を示す。図1Bは更に、CE分析システム130、質量分析計150、CEコントローラ110、及びMSコントローラ160を示す。いくつかの実施形態では、CE分析システム130は、CE HV電源102を含むか、又はそれに連結され、同様に、いくつかの実施形態では、質量分析計150は、MS HV電源104を含むか、又はそれに連結される。種々の代替的な実施形態では、電流検知回路143は、CE分析システム130に、質量分析計150に、MS入口153に、又は図1A若しくは1Bの要素のいずれかに連結される別個のボックス若しくは構成要素として含まれる。
【0025】
システムの基本的機能は、試料が選択され、入口バイアル132に配置されることである。CE HV電源102は、分離キャピラリー142にわたって、いくつかの実施形態では、非限定的な例として約30kVである、高電圧を提供する。導電性流体キャピラリー144は、分離キャピラリー中で分離される材料のエレクトロスプレーイオン化を可能にするために、質量分析計入口153に取り付けられる噴霧器筐体の内側にある、キャピラリー接合151において、導電性流体を導入する。いくつかの実施形態では、次いで、質量分析計150は、MS ESI HV電源104からの電圧を使用して、分離試料を分析する。
【0026】
スタンドアローンモードで動作するCE分析システム130に対して、CE HV電源102は、入口電極141において分離キャピラリー142に送達される電流を、対極板123を通って戻る電流と比較することによって、電流漏れを検出することができる。漏れがある場合、漏れ電流は、シャーシ又はシステム接地170、270を通って電源に戻る。この「他の経路」は、高電圧電源への追加の負荷を示し、したがって、送達電流は増加する。対極板を通るリターン電流は、システム中の故障によって引き起こされる新しい負荷がリターン回路と並行であるため、同じままである。したがって、送達とリターン電流との間の差が、CE分析システム130のシステム制御における設定パラメータよりも大きい場合、いくつかの実施形態において、エラーのフラグが立てられる。
【0027】
しかしながら、図1Aに示されるようなCE ESI−MS構成において、質量分析計は、CE電流がMS HV電源104を通って流れるための別の経路を提供する。導電性流体キャピラリー144が、分離電流に対して接地への経路を提供する一方で、いくつかの実施形態では、MS HV電源104は、はるかに抵抗が小さく、そのため、リターン分離電流の大部分は、MS ESI HV電源104を通って流れ、CE分析システム130のシャーシ接地を通って戻る。したがって、CE電流は、CE電源の内側にある任意の考えられるリターン電流検出回路を迂回する。たとえリターンCE電流がMS ESI電源のハイ側で測定される場合でも、この電流は、それにより、シャーシ接地を通る任意の戻りの前に測定される。
【0028】
多くの実施形態では、正しい位置にそのような電流検知回路を含むために、内部構造が変更され得ないように、CE、ESI−MS、又は両方に対する固定システムが使用される。そのような代替的な実施形態では、電流検知回路は、別個のデバイスであるか、又はCE若しくはESI−MSシステムに統合される。1つの考えられる実施形態では、質量分析計の変化を回避するために、電流検知回路は、図1Aに示されるように、MS HV電源端子を介して接続するために、MS高電圧電源のハイ側(出力)にある。
【0029】
図1Cは、本明細書に示される技術革新の1つの考えられる実装に従った、電流検知回路の1つの考えられる実施形態を示す。図1Cは、制限抵抗器184、検知抵抗器182、増幅器192、DC/DC変換器190、増幅器194、及び電圧保護デバイス186を含む。
【0030】
DC/DC変換器190は、増幅器192に対して電圧出力を提供すると同時に、増幅器192がMS ESI HV電源104の高電圧出力上で絶縁され浮遊することを可能にするために機能する。ある特定の実施形態では、電圧保護デバイスは、ある特定の状況での損傷を防止するために、DC/DC変換器浮遊接地端子172からシステム接地270に連結される。代替的な実施形態では、DC/DC変換器190は、大きな電圧に対して定格であり、それが、DC/DC接地端子197にわたって配置されるMS HV電源104及びCE HV電源(102)からDC/DC変換器浮遊接地端子172への全電圧負荷を有することに耐えることができるようにする。
【0031】
浮遊検知回路の実施形態では、MS HV電源104のハイ側の電流検知抵抗器182の位置は、浮遊ノードからシステム接地への何らかの形態の絶縁又は接続を必要とする。いくつかの実施形態では、DC/DC変換器190は、浮遊ノードの実施形態において、電流検知回路に電力を提供し、かつそれを絶縁する。MS入力におけるエレクトロスプレー用の噴霧器先端が、それが噴霧できる表面に近くなく、かつ電力ケーブルがMS電源から抜かれている、ある特定の故障又はエラー構成において、CE電源の最大強度が、DC/DC変換器190にわたって見られる。このため、電圧保護デバイス186がある特定の実施形態に含まれる。1つの考えられる実施形態では、電圧保護デバイス186は、ガス放電管を備える。更なる実施形態では、ガス放電管は、例えば、+/−20%の許容誤差で10kVであってもよい、DC/DC変換器の定格よりも小さい値に、変換器にわたる電圧を制限するように構成される。代替的な実施形態では、他の定格及び許容誤差を有するデバイスが使用されてもよい。
【0032】
エレクトロスプレー接合又は対極板において漏れがある場合、制限抵抗器184は、検知抵抗器182及びMS電源からのケーブル中の任意の更なる抵抗器と、抵抗分割器を形成するため、MS ESI HV電源から検知回路を保護する。非限定的な例として、1つの考えられる実施形態では、制限抵抗器184は、10メガオーム抵抗器である。いくつかの実施形態では、MS電源ケーブル抵抗を有する制限抵抗器184は、MS HV電源104がオンである間に、ユーザがCE分析システム130からの接続を抜く場合、電流を制限する。10kVの最大MS HV電圧設定の1つの考えられる実施形態では、10メガオーム抵抗の制限抵抗器184は、電流を1mAに制限する。これは、質量分析計中に設計される任意の電流制限に加えられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、上記の故障又はエラー状況の対処に加えて、電流検知信号は、絶縁レベルにわたって通信されなければならず、本質的に、浮遊検知抵抗器から、信号に基づき故障又はエラーを実行するコントローラへの電流検知信号経路を作成する。他の実施形態では、電流検知信号経路は、増幅器192、増幅器194、DC/DC変換器190、及び任意の他のそのような要素等の要素を含む。ある特定の実施形態では、DC/DC変換器190は、浮遊増幅器192から、DC/DC変換器190を介した絶縁にわたって、システム接地側の増幅器194に、電流検知信号を伝送するために使用される、内蔵式絶縁アナログチャネルを含む。いくつかの実施形態では、そのようなアナログチャネルは、回路の絶縁及び接地側に/から信号を伝送するための、別々の「アナログアップ」及び「アナログダウン」チャネルを備える。1つの考えられる実施形態では、そのようなアップ及びダウンチャネルは、DCからの信号上で+/−2%の利得誤差及び+/−0.05%の直線性誤差の、0〜10Vの信号を4Hzに適応させる。他の実施形態では、無線又は光ファイバチャネル等の代替的な経路が、検知信号を通信するために使用される。
【0034】
電圧制限抵抗器184は、故障の場合、電流検知回路143(増幅器192を含む)及びMS HV電源104の両方を保護する、電流制限抵抗器としての機能を果たす。検知抵抗器182及び増幅器192によって検出可能であるそのような故障の1つの非限定的な例は、キャピラリー電気泳動動作中の塩橋の形成である。
【0035】
いくつかの実施形態では、電圧制限抵抗器184と共に、検知抵抗器182及び増幅器192は、漏れ電流を検出する電流検知回路の一部である。標準的なCE ESI−MSシステムにおいて、試料分離の目視による、若しくはデータに基づく故障、又はデータにおける何らかの他の明らかなシステム故障が、システム故障の最初の兆候であり得る一方で、電流検知回路の使用は、故障モードが検出される場合、自動的に動作をシャットダウンするために、フィードバックを提供する。上記の塩橋故障は、電流検知回路のいくつかの実施形態を使用して検出可能である故障の非限定的な例である。
【0036】
漏れが生じる場合、高い値を有する電圧制限抵抗器184にわたる電圧は、電圧の大部分がこの電圧制限抵抗器184にわたって見られるため、電流検知入力端子178に接続される増幅器192及び(非絶縁、非浮遊)質量分析計ESI HV電源104の損傷を防止する。高い値の電圧制限抵抗器184の1つの非限定的な考えられる例は、200メガオームを有する抵抗器である。DC/DC変換器190は、電流検知抵抗器182、電圧制限抵抗器184、及び(非絶縁、非浮遊)MS HV電源104と機能的に並行する。ある特定の実施形態では、DC/DC電力変換器190は、システムへの損傷を回避するために、CE分離キャピラリー及びエレクトロスプレー電圧の合計に耐えるように設計される。
【0037】
ある特定の実施形態では、分離電流は、CE−MSモードにおいて約1uAである。そのような実施形態では、リターン電流信号は、0〜10Vであってもよく、それは0〜30uAと解釈される。上限が10Vでは、33.2キロオームの検知抵抗器182は30.1uA/ボルトの分解能をもたらす。
【0038】
電源定格に関して上に記載されるように、電圧制限抵抗器184及び検知抵抗器182の抵抗器値は、例示の目的で使用される特定の値に限定されない。例えば、本技術革新のいくつかの実施形態に従った電流検知抵抗器は、電流検知機能を可能にし、上記のシステムが機能することを可能にする、任意の値を含む。一実施形態では、電流検知抵抗器は、7キロオーム〜503キロオームの定格値を有する抵抗器を備える。
【0039】
種々の代替的な実施形態では、電圧制限抵抗器184は、1〜200メガオームの範囲の抵抗を有するように選択されてもよい。種々の代替的な実施形態では、抵抗は、1〜100メガオームの範囲、1〜50メガオームの範囲、又は1〜20メガオームの範囲であってもよい。そのような制限抵抗器は、電圧制限抵抗器の電力使用及び感度を最適化するように選択されてもよく、特定のシステムにおける他の選択された値を補正するように整合されてもよい。
【0040】
追加の種々の代替的な実施形態では、検知抵抗器182は、1〜300キロオームの範囲の抵抗を有するように選択されてもよい。種々の代替的な実施形態では、抵抗は、1〜100キロオームの好ましい範囲、1〜50キロオームのより好ましい範囲、又は1〜40キロオームの更により好ましい範囲であってもよい。種々の実施形態は、電流検知回路における検知のために特定の感度を選択するように実装されてもよく、検知回路中の電流及び/又は電圧値は、検知抵抗器の選択によって調節される。
【0041】
種々の代替的な実施形態では、CE ESI−MSシステム100の一部であるケーブル内抵抗器は、1〜100メガオームの範囲の抵抗を有するように選択されてもよい。種々の代替的な実施形態では、抵抗は、1〜50メガオームの好ましい範囲、又は1〜20メガオームのより好ましい範囲であってもよい。
【0042】
追加の種々の代替的な実施形態では、電圧保護デバイス186は、10〜14kVの高電圧保護定格で、100pA未満の漏れ電流定格を有するように選択されてもよい。種々の代替的な実施形態では、定格は、10〜12kVの好ましい範囲であってもよい。
【0043】
追加の種々の代替的な実施形態では、MS HV電源104は、0〜10kVの電圧を提供してもよい。追加の種々の代替的な実施形態では、CE HV電源102は、0〜60kVの電圧を提供してもよい。種々の代替的な実施形態では、定格は、0〜40kVの範囲、0〜35kVの範囲、又は0〜30kVの範囲であってもよい。
【0044】
更に、種々の他の代替的な実施形態では、システムが本明細書に示される本技術革新に従って動作することを可能にする、任意の値が選択されてもよく、上記の種々の実施形態は、CE高電圧源及びMS高電圧源の両方にわたる特定の電圧値に対して最適化するように選択されてもよく、最適化された電流検知回路が、感度、信頼性、及び電力使用の間で、故障検出回路におけるトレードオフを実装するために、特定のシステムに設定される。したがって、第1の実施形態は、より多くの電力を使用し得、より高い感度と引き換えにより高いエラー率を有し得る一方で、他の実施形態は、本明細書に記載されるように、故障検出を有するシステムの他の特性を優先し得る。
【0045】
加えて、代替的な実施形態は、代替的な形態の電流検知回路を使用する。電流検知回路の追加の例は、ホール効果センサ及びロゴウスキーコイルセンサを含む。
【0046】
CE電流が検知抵抗器182を通って両方向に流れることができるように、CE電源がバイポーラである、いくつかの実施形態では、増幅器192は、バイポーラ動作に対応するための絶対値増幅器である。代替的な実施形態では、増幅器192は、非限定的な例として、緩衝増幅器、続いて絶対値増幅器等の複数の増幅器又は緩衝器を組み合わせて備える。
【0047】
増幅器194は、本技術革新の全部ではなく一部の実施形態に含まれる。増幅器194は、検知抵抗器182から制御システムへの検知信号の出力を補助するための緩衝増幅器である。制御システムは、CEコントローラ110、MSコントローラ160、組込型マイクロコントローラ等の制御機能、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0048】
追加の代替的な実施形態は、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器、又は光ファイバ若しくは検知信号に対する他の信号経路を使用する。1つの考えられる代替的な実施形態では、デジタルストリームへ/からの信号を変換するために、電圧/周波数及び周波数/電圧変換器が使用され、システムの絶縁側から電流検知回路の接地側へ、次いで、制御システムへと電流検知信号を伝送するために、光ファイバが使用される。
【0049】
いくつかの実施形態では、CEコントローラ110、MSコントローラ160、又は両方は、図4によって更に説明されるように、スタンドアロン型コンピュータデバイス、又は任意の他の許容可能なデバイスである。いくつかの更なる実施形態では、コントローラは、システムの任意の構成要素の動作を管理する、システムの任意の部分からのデータを受信及び分析する、かつエラーに対してシステムの構成要素を監視する働きをする。具体的に、いくつかの実施形態では、1つ以上のコントローラが、システムにおける故障を識別するために使用される電流検知センサ出力198等の電流検知出力から電流検知信号を受信するように構成される。加えて、種々の実施形態では、CEコントローラ110がCE分析システム130と統合される、MSコントローラが質量分析計150と統合される、又は両方であるように、CEコントローラ110及びMSコントローラ160は、それらの個々の分析システムと統合される。加えて、ある特定の実施形態では、上記の構成要素のいずれも、任意の他の構成要素と統合される。
【0050】
ある特定の実施形態は、オフセット及びエラーを補正するために、追加の要素を含む。これらの実施形態のいくつかは、CEコントローラ110若しくはMSコントローラ160等のコントローラでの計算を介してオフセットを実装するか、又は代替的に、ハードウェアで、若しくは組込型システムを使用してオフセットを実装する。非限定的な例として、1つの考えられる実施形態では、DC/DC変換器のアナログチャネルにおける10〜16mVのオフセットが、0.3〜0.48uAのオフセットをもたらす。いくつかの実施形態では、そのようなエラーは、コントローラ計算又は他の測定値及びエラー報告調節で、最小化されるか、又は補正される。
【0051】
更に、いくつかの実施形態では、MS入口153においてMS ESI HV電圧源104をキャピラリー接合に接続することで、電流が導電性流体キャピラリーを通って流れる。いくつかの更なる実施形態では、リターン電流信号は、システムボードへのその専用入力を有し、したがって、導電性流体キャピラリーを通る電流は、システムの他の要素及び電流とは別に測定される。この導電性流体電流の大部分は、MS高電圧電源104によって誘導されるため、それは、電流検知回路143も通過する。したがって、本技術革新のいくつかの実施形態では、この電流は、システムボードで測定され、この誘導電流の値は、正しい漏れ電流測定値を提供するために、電流検知回路の電流の値から引かれる。代替的な実施形態では、この誘導電流は、システムから対極板を取り除き、代替的な電気構造を補正することによって除去される。
【0052】
加えて、いくつかの実施形態では、制御システムは、自動的にエラーのフラグを立てるように実装される。例えば、一実施形態では、CEコントローラ110は、電流検知信号を受信するために、電流検知センサ出力198に連結される。ノイズ又は他の種々のエラーは、検知抵抗器182を通る電流の予測されるスパイクによって、電流検知センサ出力198からの個々の測定値を不正確なものにする可能性がある。1つの考えられる実施形態では、CEコントローラ110は、閾値より高い測定値を記録し、エラーメッセージを作成することなく、測定値のフラグを立てる。ある特定の実施形態では、測定値が閾値より高いときはいつでも、追加のフラグが設定され、測定値が許容可能な閾値内であるときはいつでも、フラグは、最低ゼロ個のフラグまで除去される。いくつかの実施形態では、システムが、エラーフラグ数に達するために、ある特定の数のフラグに達したとき、エラーメッセージが作成されるか、又は自動シャットダウンが実装される。したがって、そのようなシステムは、システム保護を維持しながら、検知抵抗器182又はシステムの別の部分を通るノイズによって引き起こされる、不必要な誤ったエラー又はシャットダウンを回避する。1つの考えられる実施形態では、ハードウェアの不正確性に対応するために、0.4マイクロアンペアのオフセットがシステムに統合される。更なる考えられる実施形態では、リターン、検知、及びオフセット電流を引いた送達電流は、3マイクロアンペアの閾値が与えられ、この閾値より大きい測定値はフラグを作成し、この閾値未満の測定値は、フラグを除去する。
【0053】
加えて、種々の実施形態は、シャーシ接地から絶縁されているが、電気的に絶縁された通信リンクにわたってCE分析システムへの接続を維持する、浮遊制御を使用する。種々の実施形態では、通信リンクは、無線通信リンクを含む。代替的に、いくつかの実施形態では、通信リンクは、光ファイバを介した接続等の光通信リンクを含む。光ファイバ通信リンクは、高度に抵抗性であり、したがって、HV CE電源の絶縁された実施形態が大電圧上で浮遊しているとき、絶縁にわたって機能することができるという利点を提供する。いくつかの実施形態では、十分な絶縁定格を有する光結合器デバイスが、デジタル入力及び出力を通すために直接使用される。CE電源等の電源ユニットがアナログ入力制御を頻繁に必要とするが、光結合はほとんどのそのような制御に対して直接機能的ではないため、本技術革新のいくつかの実施形態では、アナログ信号は、最初にデジタルパルスストリームに変換され、任意のデジタル信号に使用される同一の光結合器デバイスを経由され、次いで、再構成され、アナログ信号に戻る。
【0054】
図2は、本技術革新の別の代替的な実施形態に従った、CE ESI−MSシステムの代替的な構成を示す。図2は、MS HV電源204の高電圧出力がMS検出器プレート252に印加されるシステムを示す。そのような接地CE ESI−MSシステム200において、並びに電流検出回路のない実施形態において、漏れ電流が、CE高電圧電源中のリターン電流端子を迂回することによって、CE分離キャピラリーに送達される電流と共に、CE高電圧電源に戻るため、漏れ電流は、検出するのが極端に困難であり得るか、又は高い許容誤差でのみ検出可能であり得る。CE「分離キャピラリー」に送達される電流は、そのリターン端子(CE HVリターンとして示される)を通ってCE高電圧電源に戻らず、代わりにシステム接地270を通って戻る。漏れ電流は、他の回路、キャピラリー、及び電源の全てを迂回し、接地への接続を通ってCE高電圧電源に戻る。分離キャピラリー242を流れる電流を検知するために、いくつかの実施形態では、約500キロオームの値を有する電流検知抵抗器が、キャピラリー接合251とシステム接地270との間に挿入される。試料キャピラリーとも呼ばれる分離キャピラリー242は、いくつかの実施形態では、シースレスESIに使用される高感度多孔性噴霧器キャピラリー(HSPSキャピラリー)である。
【0055】
次いで、電流検知抵抗器にわたる電圧は、(非絶縁、非浮遊)MS HV電源204によって送達されるエレクトロスプレーイオン化電流、及びCE HV電源202によって送達される分離キャピラリー242を通る電流の合計を表す。増幅器はこの電圧を測定し、絶対値増幅器は、電源極性が逆である場合、信号が読み取られ得ることを確実にする。
【0056】
図1の浮遊実施形態とは対照的に、検知抵抗器又は任意の他の回路が接地に連結されるため、本技術革新のいくつかの実施形態では、絶縁を提供するために、DC/DC変換器等の絶縁要素は必要とされない。ある特定の実施形態では、CE分析システム及び電流検知回路は、上記のように絶縁に対処する要素を含み、更なる実施形態では、図2に示されるもの等の非絶縁実施形態に対する構成で更に機能する。
【0057】
したがって、ある特定の実施形態では、CE分析システム130及び電流検知回路143は、図1A〜1Bに示されるように、MS HV電源104上で浮遊している電流検知回路143を有する第1の質量分析計150に最初に連結される。次いで、システムは、第2のMS HV電源204を有する第2の質量分析計に連結される、CE分析システム130及び電流検知回路243を有するように再構成されてもよく、電流検知回路243は、非浮遊構成でMS HV電源204に連結される。したがって、システムは、Beckman PA 800 plusキャピラリー電気泳動システム等の単一CEシステムの、非浮遊電流検知構成におけるBruker型質量分析計及び浮遊電流検知構成における非Bruker型質量分析計等の異なる種類のMSシステムとの統合を可能にし得る。非Bruker型質量分析計の非限定的な例としては、Thermo MS、AB−Sciex MS、又はWaters MSが挙げられる。
【0058】
ある特定の実施形態では、CE HV電源102及びMS HV電源104からの高電圧は、有意な量の熱を生成する。種々の代替的な実施形態では、熱放散のために、分離キャピラリー142及び導電性流体キャピラリー144の両方の周囲に、クーラント管が配置される。ある特定のそのような実施形態では、管は、クーラントを噴霧器筐体に運び、キャピラリーは、管及び管によって運ばれるクーラントがキャピラリーを包囲するように、クーラント管に通される。
【0059】
図3は、本技術革新に従った、エラー検出を有する改良されたCEシステムを使用する、1つの考えられる方法を示す。S302において、CE HV電源102等のCE HV電源における出力が測定される。S304において、CE高電圧リターン入力124におけるリターン電流が測定される。S306において、電流検知回路143からの検知電流が測定される。いくつかの実施形態では、この測定は、検知抵抗器182からの電流検知信号経路から、増幅器192、DC/DC変換器190、増幅器194、電流検知センサ出力198、CEコントローラ110までであるか、又は種々の代替的な実施形態における任意の他の方法による。
【0060】
S308において、システムハードウェア又はソフトウェアの不正確性と関連する任意のオフセット又はエラーが識別される。いくつかの実施形態では、これは単純に、CEコントローラ110に記憶された記録値であるか、又は測定値である。ある特定の実施形態では、このオフセットは、上記のように、MS高電圧電源をキャピラリー接合に接続することによって引き起こされる、誘導リターン電流信号によるオフセットを含む。
【0061】
S310において、漏れ電流は、CE高電圧電源出力122の出力送達電流から、リターン、検知、及びオフセット電流を引くことによって計算される。次いで、CEコントローラ110は、計算された漏れ電流からのエラーを識別するために、種々の方法を実装する。最後に、S314において、システムは、単に前の質量分析計の代わりに新しい質量分析計を接続することによって、改良された電流又は漏れ検出の利点を維持しながら再構成される。これは、CEシステムが、電流検知回路と関連する、改良されたエラー検出機能性を維持しながら、異なる構造、入力、及びシステム値を有する複数の質量分析計と個々に連動することを可能にする。
【0062】
種々の実施形態では、オフセット値は、新しいMSシステムが接続されるとき、工程S316の一部として自動的に調節又は補正される。更に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるいずれのシステムも、CEシステムが、MS入口153及びMS電源端子における接続を通して、異なる質量分析計システムに接続することを可能にするために、エレクトロスプレーアダプターモジュール及びソフトウェア構成等の追加のインターフェース機能と統合される。
【0063】
図4は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように、改良されたCE−ESI−MSシステムの態様で使用される、及び/又は、例えば、図1のキャピラリー電気泳動コントローラ110、質量分析計コントローラ160、CE分析システム130、電源102、若しくは質量分析計150の種々の部分として機能する、コンピュータシステム400の一実施形態の概略図を提供する。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム400は、制御又は電子通信を必要とする任意の構成要素に対する考えられる実施形態で使用可能であると見なされる。図4は、種々の構成要素の一般化された図を提供するよう意図されているに過ぎず、それらのいずれか又は全部が必要に応じて利用され得ることに留意されたい。したがって、図4は、個々のシステム要素が、比較的分離した、又は比較的より統合された方法で、どのように種々の実施形態で実装されるのかを広く示す。
【0064】
ある特定の実施形態において、バス405を介して電気的に連結される(又は別様に、必要に応じて通信してもよい)ハードウェア要素を備える、コンピュータシステム400が示される。いくつかの実施形態では、ハードウェア要素は、1つ以上の汎用プロセッサ及び/又は1つ以上の専用プロセッサ(デジタル信号処理チップ、グラフィックス高速化チップ等)が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上のプロセッサ;いくつかの実施形態において、マウス、キーボード等が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の入力デバイス415;並びにいくつかの実施形態において、表示デバイス、プリンタ等が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の出力デバイス420を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステム400は、ある特定の実施形態において、ローカル及び/若しくはネットワークアクセス可能な記憶装置を備えるが、これらに限定されない、並びに/又はいくつかの更なる実施形態において、プログラム可能、フラッシュ更新可能等である、いくつかの実施形態において、ディスクドライブ、ドライブアレイ、光学式記憶装置、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)及び/若しくは読み取り専用メモリ(「ROM」)等の固体記憶装置が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の記憶装置425を更に含む(及び/又はそれらと通信している)。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム400はまた、更なる実施形態において、モデム、ネットワークカード(無線若しくは有線)、赤外線通信デバイス、無線通信デバイス、及び/又はチップセット(Bluetooth(登録商標)デバイス、802.11デバイス、WiFiデバイス、WiMaxデバイス、携帯通信施設等)等が挙げられるが、これらに限定されない、通信サブシステム430を含む。ある特定の実施形態では、通信サブシステム430は、データが、ネットワーク(1つの非限定的な例を挙げると、以下に記載されるネットワーク等)、及び/又は本明細書に記載される任意の他のデバイスと交換されることを可能にする。多くの実施形態において、コンピュータシステム400は、いくつかの実施形態において、上記のRAM又はROMデバイスを含む、作業メモリ又は追加のメモリシステムを更に備える。
【0066】
コンピュータシステム400はまた、いくつかの実施形態では、本発明のコンピュータプログラムを備える、並びに/又は本明細書に記載されるように、本発明の方法を実装する、及び/若しくは本発明のシステムを構成するように設計される、ソフトウェア要素を備える。単に非限定的な例として、ある特定の実施形態では、上記の方法(複数を含む)に関して記載される1つ以上の手順は、コンピュータ(及び/又はコンピュータ内のプロセッサ)によって実行可能なコード及び/又は命令として実装される。いくつかの実施形態では、これらの命令及び/又はコードのセットは、上記の記憶装置等の非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶される。いくつかの実施形態では、記憶媒体は、コンピュータシステム内に組み込まれる。他の実施形態では、記憶媒体がその上に記憶される命令/コードで汎用コンピュータをプログラムするために使用されるように、記憶媒体は、コンピュータシステムから分離される(すなわち、コンパクトディスク等のリムーバブル媒体等)、及び/又はインストールパッケージ中で提供される。いくつかの実施形態では、これらの命令は、コンピュータシステムによって実行可能である、並びに/又はソース及び/若しくはインストール可能なコードの形を採り、次いで、コンピュータシステム上のコンパイル及び/若しくはインストールによって(例えば、種々の一般的に利用可能なコンパイラ、インストールプログラム、圧縮/解凍ユーティリティ等のいずれかを使用して)、実行可能なコードの形を採る、実行可能なコードの形を採る。
【0067】
実質的な変更が特定の要件に従って行われ得ることが、当業者に明らかとなるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、カスタマイズされたハードウェアも使用される、及び/又は特定の要素が、ハードウェア、ソフトウェア(アプレット等の高移植性ソフトウェアを含む)、若しくは両方で実装される。更なる実施形態において、ネットワーク入力/出力デバイス等の他のコンピュータデバイスへの接続が採用される。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」は、機械に特定の方法で動作させるデータの提供に関与する、任意の媒体を指す。コンピュータシステム400を使用して実装されるいくつかの実施形態では、種々の機械可読媒体が、実行のためのプロセッサ(複数を含む)410への命令/コードの提供に関与する、並びに/又はそのような命令/コードを(例えば、信号として)記憶及び/若しくは搬送するために使用される。多くの実装において、コンピュータ可読媒体は、物理的な及び/又は実体のある記憶媒体である。そのような媒体は、非揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体が挙げられるが、これらに限定されない、多くの形を採り得る。非揮発性媒体は、非限定的な例として、記憶装置(複数を含む)425等の光又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体としては、作業メモリ等の動的メモリが挙げられるが、これらに限定されない。伝送媒体としては、バス405を備える線を含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバ、アンテナ、並びに通信サブシステム430の種々の構成要素(及び/又は通信サブシステム430が他のデバイスとの通信を提供する媒体)が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態では、伝送媒体はまた、波動の形を採る(電波及び赤外線データ通信中に生成されるもの等の電波、音波、及び/又は光波が挙げられるが、これらに限定されない)。
【0069】
ある特定の実施形態では、種々の形態の機械可読媒体が、実行のために、プロセッサ(複数を含む)410に1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを搬送することに関与する。単に非限定的な例として、いくつかの実施形態における命令は最初に、リモートコンピュータの磁気ディスク及び/又は光ディスク上で搬送される。いくつかの実施形態では、リモートコンピュータは、その動的メモリに命令をロードし、コンピュータシステム400によって受信及び/又は実行されるように、伝送媒体上でその命令を信号として送信する。いくつかの実施形態において、電磁信号、音響信号、光信号等の形を採る、これらの信号は、本発明の種々の実施形態に従った、命令がコードされる搬送波の全ての例である。
【0070】
通信サブシステム430(及び/又はその構成要素)は概して、信号を受信し、次いで、いくつかの実施形態において、バス405は、信号(及び/又は信号によって搬送されるデータ、命令等)を、命令を実行するプロセッサ(複数を含む)405に搬送する。
【0071】
本明細書に記載されるキャピラリー電気泳動は、本質的に低流量の分離技術であり、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE;自由溶液CE[FSCE]としても既知である)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、キャピラリー等電点電気泳動(CIEF)、等速電気泳動(ITP)、動電クロマトグラフィ(EKC)、ミセル動電キャピラリークロマトグラフィ(MECC OR MEKC)、マイクロエマルジョン動電クロマトグラフィ(MEEKC)、非水性キャピラリー電気泳動(NACE)、及びキャピラリーエレクトロクロマトグラフィ(CEC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書の技術革新の使用としては、治療用タンパク質を特性化すること、特定のプロテオームを構成するタンパク質を識別すること、翻訳後修飾を特性化すること、特定の条件に関連するメタボロミクスフィンガープリントを研究すること、並びに微細又は複雑な試料マトリクスにおいて薬物及びそれらの代謝産物を定量化することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本発明を例示的な実施形態に関して記載してきたが、当業者は、多くの修正が可能であることを認識するであろう。例えば、本明細書に記載される方法及びプロセスは、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はこれらの任意の組み合わせを使用して実装されてもよい。更に、説明を簡単にするために、本明細書で考察される種々の方法及びプロセスが、特定の構造的及び/又は機能的構成要素に関して記載されているが、本発明の方法は、任意の特定の構造的及び/又は機能的構成に限定されず、いくつかの実施形態では、任意の好適な構成上で実装される。同様に、種々の機能性がある特定のシステム構成要素に属するものとみなされるが、文脈において別段の指示がない限り、いくつかの実施形態では、この機能性は、本発明の異なる実施形態に従って、種々の他のシステム構成要素間で分散される。
【0074】
上記のように、考えられる使用は、CEを使用したタンパク質複合体、タンパク質、ペプチド、グリカン、又は薬物/代謝産物の分析、及びMSを使用した、分離された分子の特性化/識別を含む。加えて、いくつかの実施形態における本明細書の技術革新は、分子分析、タンパク質分析、炭水化物分析、糖タンパク質分析、小分子分析、キラル分析、イオン分析、薬物分析、及び遺伝分析で使用される。DNA塩基配列決定、遺伝子型決定、単一ヌクレオチド多型(SNP)分析、短反復配列(STR)分析、DNAフィンガープリント分析、核酸分析、遺伝子型決定分析、オリゴヌクレオチド純度分析、プラスミド分析、一本鎖配座多形(SSCP)分析、及び直接ハイブリッド形成分析による定量化。更に、当業者が、本明細書に記載される技術革新に従った種々の実施形態に対する追加の考えられる使用を認識するように、このリストは網羅的ではなく、かつ限定的ではない。
【0075】
更に、本明細書に記載される方法及びプロセスに含まれる手順が、説明を簡単にするために特定の順序で記載されているが、文脈において別段の指示がない限り、種々の手順が、本技術革新の種々の実施形態に従って、並べ替えられる、追加される、及び/又は省略されてもよい。更に、いくつかの実施形態における一方法又はプロセスに関して記載される手順は、他の記載された方法又はプロセス内に組み込まれ、同様に、特定の構造的構成に従って、及び/又はいくつかの実施形態における一システムに関して記載される、システム構成要素は、代替的な構造的構成に組織化される、及び/又は他の記載されたシステム内に組み込まれる。したがって、説明を簡単にするために、かつ例示的な特徴を示すために、ある特定の特徴を有する、又は有しない種々の実施形態が記載されているが、特定の実施形態に関して本明細書に記載される種々の構成要素及び/又は特徴は、文脈において別段の指示がない限り、ある特定の実施形態において、他の記載された実施形態間で置換、追加、及び/又は除去される。その結果として、本発明を例示的な実施形態に関して記載してきたが、本発明が、以下の「特許請求の範囲」の範囲内の全ての修正物及び同等物を含むよう意図されることが理解されるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4