特許第6232428号(P6232428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンブリアン イノベーション インク.の特許一覧

特許6232428選択的透過バリアを利用する生物処理システム
<>
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000002
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000003
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000004
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000005
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000006
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000007
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000008
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000009
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000010
  • 特許6232428-選択的透過バリアを利用する生物処理システム 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232428
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】選択的透過バリアを利用する生物処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/28 20060101AFI20171106BHJP
   C02F 3/34 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   C02F3/28 B
   C02F3/34 101D
   C02F3/34 Z
   C02F3/34 101C
【請求項の数】22
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-526710(P2015-526710)
(86)(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公表番号】特表2015-524353(P2015-524353A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】US2013054163
(87)【国際公開番号】WO2014026015
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年8月4日
(31)【優先権主張番号】61/680,827
(32)【優先日】2012年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515035401
【氏名又は名称】カンブリアン イノベーション インク.
【氏名又は名称原語表記】CAMBRIAN INNOVATION INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルバー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】バック,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】カイリー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ゲルダット,トッド
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/012647(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/054629(WO,A1)
【文献】 特開2002−086189(JP,A)
【文献】 特開2003−181456(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0152835(US,A1)
【文献】 特表2004−517437(JP,A)
【文献】 特開2011−049068(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0236724(US,A1)
【文献】 特開2007−090232(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/009797(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00−3/34
C02F 1/46−1/48
H01M 8/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動媒体から第1の標的汚染物及び第2の標的汚染物を除去するためのシステムであって、
少なくとも1つの半透過バリア及び該少なくとも1つの半透過バリアを保持するように構成されている外側タンクを含み、
前記少なくとも1つの半透過バリアは、該バリアの第2の側に面した第2の領域から分離された、該バリアの第1の側に面した第1の領域を形成し、且つ前記第2の側に面した前記第1の標的汚染物に対して透過性はあるが、前記第1の側に面した前記第2の標的汚染物及び培養微生物に対して実質的に非透過性であり、
該培養微生物は、代謝過程において第1の標的汚染物を使用できる少なくとも一種の微生物と、代謝過程において第2の標的汚染物を使用できる少なくとも一種類の微生物と、を含む、システム。
【請求項2】
前記第1の標的汚染物を使用できる前記少なくとも一種の微生物及び前記第2の標的汚染物を使用できる前記少なくとも一種の微生物は、同じ微生物である、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの半透過バリアにより形成された前記第1の領域内に配置され、培養微生物の増殖を促進させるように構築された支持構造体を更に含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記支持構造体は電極を含む、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
更に、前記第1の標的汚染物又は前記第2の標的汚染物の濃度をモニターするために利用される本システムの電気活性を測定するように構築された生物電気化学システムを含む、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記生物電気化学システムは更に、前記第1の標的汚染物又は前記第2の標的汚染物の濃度を、モニターされた電気活性の変化に対応して調節するように設計されている、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の標的汚染物を使用できる前記少なくとも一種類の微生物又は前記第2の標的汚染物を使用できる前記少なくとも一種類の微生物は、エキソエレクトロゲン微生物である、請求項4記載のシステム。
【請求項8】
前記電極は、前記第1の領域の電位が前記第2の領域の電位よりも高くなるようにバイアスされる、請求項4記載のシステム。
【請求項9】
前記電極は、前記第1の領域の電位が前記第2の領域の電位よりも低くなるようにバイアスされる、請求項4記載のシステム。
【請求項10】
前記バリアはイオン交換膜を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記バリアはフィルターを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の標的汚染物は、硝酸塩、亜硝酸塩、又はアンモニアを含む、請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の標的汚染物は炭素を含む、請求項1〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記半透過バリアは流動媒体を実質的に透過させない、請求項12または13記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の領域から分離されたそれぞれの第1の領域を形成する複数の半透過バリアを更に含む、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の領域から分離された第3の領域を形成する追加的な半透過バリアを更に含み、前記追加的な半透過バリアは、前記第1の標的汚染物に対して透過性はあるが、前記第2の標的汚染物及び前記培養微生物に対して実質的に非透過性である、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記第2の領域を形成するよう構築された内側タンクを更に含む、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
前記外側タンクは、前記第1の領域内の化学的酸素要求量を有する流動媒体及び前記第2の領域内の高濃度の硝酸塩を含む流動媒体を受領するように設計されている、請求項1記載のシステム。
【請求項19】
前記外側タンクは、前記第1の領域内の動物性廃棄物又は都市下水を受領するように設計されている、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記外側タンクは、前記第2の領域内の農業廃水又は養殖処理水を受領するように設計されている、請求項18記載のシステム。
【請求項21】
前記流動媒体は水を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記微生物は、ジオバクター属、クロストリジウム属、ロデフェラクス属、及び大腸菌から成る群から選択される、請求項1〜21のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年8月8日提出の、米国仮特許願第61/680,827号の優先権を主張し、その内容全体をここに援用する。
【0002】
本発明は、汚染物を代謝できる微生物を利用することにより、水等の媒体から汚染物を除去するためのシステムに関する。特に、この微生物は、媒体から微生物への汚染物の流れを調節する半透過バリアを有する反応器内で培養される。
【背景技術】
【0003】
多様な形態(例:亜硝酸塩、硝酸塩、アンモニウム、アンモニア)の窒素の除去は、廃水処理において重要性が増加している目的である。環境に放出された場合、窒素は海洋で藻の繁殖を引き起こし、湖や河川を汚染し、飲料水用井戸や貯水池を汚染する。
【0004】
窒素除去は、都市水処理設備によって享受されるスケールメリットを達成する処理施設の建設が不可能な小さな点源にて対処することが特に困難である。そのような点施設は、嫌気性分解処理施設、養殖用加工水、及び養漁場(養殖)を含む。
【0005】
例えば、再循環式養殖システム(RAS)は、閉鎖ループシステムとしても知られており、大規模で、持続可能な魚類生産の可能性を提供する。しかし、経済的で効率的な廃水処理は、RAS及び半RAS産業の持続可能な成長にとって決定的な障壁である。特に、RAS及びその他のそのような閉鎖ループシステムは、高濃度の溶解窒素廃水成分を産出し、有機化合物を減少させ、システム内の化学的酸素要求量(COD)と生物学的酸素要求量(BOD)に否定的な影響を与える。廃棄物類が除去されない場合、水産資源は絶滅するであろう。更に、窒素廃棄物と減少した有機化合物は、RASを越えて地域環境に不利な影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
現存する脱窒技術は、持続可能な養殖の需要を満たすには充分ではない。硝酸塩は水の交換によって除去できるが、一日につきシステム容積の10%から20%に相当する交換でなければならないことが多く、これは大量の水である。更に、規制が厳しくなってきているため、エンドオブパイプ(EOP)での硝酸塩の放出は、交換システムで更に大量の水の使用を必要とさせる、増々厳しい厳格性で処理されることになるだろう。交換の代わりに、シュードモナス等の従層栄養菌を利用して、嫌気性脱窒処理によって硝酸塩を除去できる。しかしながら、養殖廃液中の低い炭素と窒素の比(C/N)は、嫌気性脱窒を効果的にするため、追加の炭素(例:メタノール)を必要とする。メタノールを利用するコストとリスクに対抗するため、必要な炭素含有量を達成する目的で、当該施設からの有機物(例:スラッジ)をアップフロー嫌気性スラッジブランケット反応器(UASB)内で利用することができる。しかしながら、このスラッジは微粒子形態であることが多く、菌との混合状態を維持することを困難にさせている。よって、スラッジを、有機物の脱窒処理によって更に容易に消化される揮発性脂肪酸及びその他の分子に変換するため、加水分解と発酵を利用しなければならず、作業に複雑性とコストを追加させる。更に重要なことは、培養タンク水と病原性スラッジとの混合は、コストのかかる事前及び事後の殺菌処理を必要とし、施設内の生物汚染の深刻なリスクを高める。更に、養殖生産者は、脱窒処理のためにCOD源としてスラッジを利用するとき、生産物の強い異臭を経験している。
【0007】
更に、生産物を健全に保つようにRASシステムから窒素を除去するため、環境に排出する前に、処理水を浄化することも重要である。このエンドオブパイプ(EOP)処理として知られる使用後処理は、RAS及び半RASに共通な特に重要な別種類の処理である。養殖において、殆どのEOP流動物は、ドラムフィルター、ベルトフィルター、生物フィルター、又は沈殿タンクなどの主な処理技術からの排出物である。ドラムフィルター排出が、例えば高レベルのCOD(1000mg/L)、硝酸塩(100mg/L)及び総懸濁固形物(2000mg/L)を示すことは珍しいことではない。この流動物の組成は魚種や施設の形式で変化するが、EPA規則のアウトプット要求は殆どの養殖場と同じである。
【0008】
養殖におけるEOP浄化に対処するためのいくつか技術が存在したが、それぞれは限界を有している。処理システムにおける現在の進歩は、経済的に処理されなければならない濃縮流動物を発生させ続けているため、EOP処理は、養殖の将来にとって特に重要である。EOP流の処理に推薦される技術の一つはエアレーションである。しかしながら、エアレーションは魚養殖の規模では不経済であることが多く、非常にエネルギー集約的である。処理されなければならない、それに伴う固体廃棄物にも対処しない。その他の技術は、EOP流動物を浄化するため、イオン交換膜又はイオンポリマー沈殿物を利用する。しかしながら、これらの技術は大規模では法外に高価であり、固体廃棄物の廃棄問題を提起する。
【0009】
今日まで、溶解した酸素の調節と毒性アンモニアの除去(脱窒処理の形態)はRAS廃水処理システムの主な目的であった。しかし、産業が成熟するにつれ、培養水中のエンドオブパイプでの生物学的酸素要求量(BOD)と上昇した硝酸塩レベルが、増加する水の再利用とさらに高い魚生産量にとって新たな障害になることが益々明白になってきている。よって、硝酸塩と化学的酸素要求量(COD)を廃水流から経済的に除去し、pHを管理する改良技術の必要性が大きくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、改善を必要とする多様な汚染物質が存在する場所での、頑強で安価な廃棄物管理のための産業の必要性に応える。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、例えば水系媒体(媒液)等の媒体(媒液)から汚染物を除去するためのシステムを含んでいる。典型的にはこのシステムは、少なくとも二つの領域である(1)汚染物を、直接的又は間接的に代謝する微生物を含む第1の領域(「処理領域」)及び(2)処理される媒体が流入する第2の領域(「媒体領域」)を含んでいる。この二つの領域は、汚染物を通過させるが、微生物の通過を阻止する(又は実質的に阻害する)半透過バリアによって隔離されており、汚染物は媒体領域から処理領域に拡散し、微生物によって代謝され、媒体が含む物質の量を低下させる。実施態様によっては、処理領域及び/又は媒体領域は、そこで微生物のバイオフィルムが増殖できる支持構造体を含んでいる。以下で解説するように、本発明のシステムは養殖以外でも利用できる。
【0012】
実施態様によっては、本発明は生物−電子化学システム(BES)でもあり、即ち、電極にバイアスをかけるために使用できる電気ポテンシャル源と共に、処理領域に配置されたアノード(陽極)と媒体領域に配置されたカソード(陰極)とを含んでいる。典型的には、システムがBESであるとき、処理領域は電気的に活性な微生物(即ち、エキソエレクトロゲン)を含むであろう。実施態様によっては、処理領域及び/又は媒体領域は、そこで微生物のバイオフィルムが増殖できる支持構造体を含むであろう。支持構造体を含むBESでは、支持構造体はバリアの反対側であるそれぞれの電極の側部に配置されているか、又は電極に組み込まれている。
【0013】
媒液の予備処理やその他の浄化/廃棄物処理技術との共同処理などの追加的な変形例も開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】半透過バリアによって分離された処理領域と媒体領域とを含んだ、本発明のシステムの概略図である。
図2】高窒素含有量の廃棄物を脱窒及び浄化するための使用に適した本発明の1実施例を示している。
図3】高窒素含有量の廃棄物を脱窒及び浄化するための使用に適した本発明の別実施例を示している。
図4】汚染物を代謝する微生物を増殖する支持構造体を含んだ媒体から標的汚染物を除去するためのシステムの1実施例を示している。
図5】媒体から標的汚染物を除去するためのシステムの別実施例を示している。このシステムは、生物電子化学システム(BES)であり、電位の存在下で汚染物を代謝するエキソエレクトロジェニック微生物を増殖する支持構造体を含んでいる。
図6】媒体から標的汚染物を除去するためのシステムの別実施例を示しており、浄化される媒液の量を決定するタンク内部に複数の処理ユニットを含んでいる。
図7】媒体から標的汚染物を除去するためのシステムの別実施例を示しており、浄化される媒体の量を決定するタンク内部に複数の処理ユニットを含んでいる。図7の実施例は、浄化の進行状況や、微生物培養物の健康状態を監視するために使用できるBESシステムも含んでいる。
図8】媒体から標的汚染物を除去するためのシステムの別実施例を示しており、媒体チャンバ(2)を包囲する内側処理チャンバ(1)及び外側処理チャンバ(3)を含んでいる。
図9】微生物を複数の半透過バリア間で循環させる接続配管を備えた複数の相互連絡された半透過バリアを含む処理領域の1実施例を示している。
図10】処理領域として接続配管を備えた複数の相互接続された半透過バリアを用いた本発明のシステムを示しており、浄化される媒体は、それら複数の相互連絡された半透過バリアを包囲するタンク内に単純に保管されている。別な実施例では、それら複数の相互連絡された半透過バリアは、タンクよりも高い電位でバイアスでき、処理領域はエキソエレクトロゲンを含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本発明は、典型的には水系媒体である流動媒体から汚染物を除去するために使用できる多様なシステムを含んでいる。1実施態様では、このシステムは、媒体からの汚染物を代謝する培養微生物を分離するために構築された半透過バリアを含む処理領域を含む。半透過バリアは、汚染物質を媒体と培養微生物との間で交換させるが、培養微生物は媒体から隔離されている。時間と共に、微生物は汚染物質を消化し、媒体は浄化される。実施態様によっては、このシステムは電極を追加的に含んでおり、汚染物を除去するためにエキソエレクトロジェニック微生物を利用する。
【0016】
単純な1実施態様では、本発明のそれら二つの領域は、処理されている媒体を透過させない閉鎖容器(即ち、タンク)に収容されている。例えば、媒体が水系であるとき、閉鎖容器は水密性であろう。一つの領域である「処理領域」は、汚染物を直接的又は間接的に代謝する微生物を収容する。第2の領域である「媒体領域」は、浄化される媒体を含んでいる。しかしながら、処理の相当部分は媒体領域内で行なわれるので、処理は処理領域だけで実行される必要はない。例えば、複数の分離された微生物培養物を各領域で少なくとも一つ使用することができる。図1に示すように、本発明は、半透過バリアによって二つの領域に分離される一つの閉鎖容器とすることができるほど単純にできる。その他の実施態様では、本発明は、内部に複数の小型の閉鎖容器が配置されている閉鎖容器でもよく、それらの境界は少なくとも部分的にバリアを含んでいる。これらの形態は、複数の特徴的処理領域を一つの媒体領域に、又はその逆に関連させる。追加的に、正の圧力を発生させて維持する装置を、半透過バリアが破壊された場合に、媒体領域内の媒体の汚染を防止又は軽減するために使用できる。即ち、正の圧力は、媒体領域へではなく、媒体領域の内容物を処理領域へと流す。そのような設計は、処理領域内の微生物又はその他の栄養物(例:固形廃棄物)での媒液の汚染を回避させるであろう。
【0017】
本発明は、特に水系媒体である、流動性媒体の処理のために主として使用されるであろう。更に特定すると、本発明は廃水の脱窒処理に使用される。それでも、当業者であれば、開示された原理を、気体媒体、又はスラリー等の固形物と液体との混合物、液体と固体の混合物、若しくは固形物、液体及び気体の混合物等を含む媒体から汚染物を除去するためのシステムを構築するために利用できることを理解するであろう。
【0018】
微生物
培養及び維持することができ、その微生物が(直接的に又は間接的に)標的汚染物を代謝するなら、菌類、古細菌、真菌類、原性生物、及び藻類を含む多様な微生物を本発明のシステムで利用できる。微生物群生体は、単種の微生物又は複数の微生物で構成できる。この群生体に含まれる少なくとも一種が、その代謝プロセスにおいてそれぞれの標的の物質を利用できるであろう。一つの物質が媒体からの除去の標的となっているとき、群生体の微生物の1種類以上がその物質を利用できるであろう。除去のために複数の物質が標的となっているとき、少なくとも一種類の微生物がそれぞれの物質を利用できるであろう。単種の微生物は、その代謝プロセスにおいて複数の標的の物質を利用できる。実施態様によっては、微生物はジオバクター属、クロストリジウム属、ロデフェラクス属、又は大腸菌由来のものでよい。
【0019】
実施例によっては、微生物は標的の物質を栄養源又は直接の電子受容体若しくは電子供与体(例えば、電気的に活性な微生物による)として利用するであろう。あるいは、その代謝プロセスは標的の物質と反応する化学物質を発生させる(又はその発生を触媒作用させる)ことができる。結果として、その微生物群生体は、標的の物質を直接的に除去しないが、その除去を実行させるか、又は微生物群生体の全体的な健康と安定性に貢献する微生物を含むことができる。例えば、その物質が複数の生成物に分解される複合物である場合、それらは、そのために除去が望ましい物質であり、これらの相補的有機物は、更なる改善を提供するよう、それらの代謝プロセスにおいて残余生成物を利用できる。別なモデルは、相補的有機物、即ち、栄養として除去有機物によって利用される化学物質を発生させる(若しくはその発生を触媒する)か、その消化プロセスのためにそのシステム環境の安定性を一般的に改善させるか、又は維持(例:有利なpHレベルを維持する)。
【0020】
実施態様によっては、微生物又は微生物の混合物は栄養物として存在する別な廃液流を利用するであろう。例えば、ある微生物は、その代謝プロセスにおいて、標的の汚染物に加えてエンドオブパイプ(EOP)流の液体部分と固体部分を利用することができる。そのような場合、廃水の活性と相対存在量は、微生物の要求に適応されるであろう。例えば固体廃棄物は、更に容易な消費をさせるように微細化及び希釈することができる。
【0021】
運用モード
一般的には水又は廃水である処理対象の媒体は、媒体領域に進入するであろう。媒体は汲み上げられるか、又は重力などによって充填される。媒体内の汚染物質は半透過バリアを通って処理領域に入り、そこで微生物が汚染物質を代謝する。実施態様によっては、第2の物質流を、微生物のための栄養物及び/又は処理対象の二次汚染物を含む処理領域に追加できる。このシステムは典型的には、最良の機能を確実に提供するため、汚染物又は栄養物の流れを調節する能力も含んでいるであろう。バリアは、微生物及び二次汚染物が処理領域から媒体領域へ通過することを防止するか、又は別々なチャンバ内の微生物集団が互いに汚染し合うことを防止する。
【0022】
本発明のシステムの一つの好適な利用目的は、水の脱窒処理である。システムが、半透過バリアとして、例えば、イオン交換膜(例:アニオン交換膜又はカチオン交換膜)を含むことによって脱窒に利用されると、硝酸塩イオンが媒体領域から処理領域に入るであろう。バリアは浄化後に河川、湖等へと流入する水に微生物が進入しないことを追加的に確実にする。
【0023】
実施態様によっては、高い化学酸素要求量(COD)の水等の有機廃棄物源は、処理領域に直接的に導入されるであろう。有機廃棄物は、硝酸塩を代謝する際に微生物によって利用される炭素源を提供し、同時に廃水のCODを減少させる。この構成は、廃水の第2流であるストックの排出物の同時処理が可能であるため、養殖水に特に有用に利用できる。この実施態様では、廃水は養殖水から(例えば、濾過によって)除去され、その後、COD及び微生物の栄養要求を満たすため、処理領域に導入される。実施態様によっては、バリアは廃水の第2流が媒液に戻るのを追加的に防止するように設計されるであろう。これは、浄化された養殖水の汚染リスクを最小限化させながら、窒素廃棄物とCODの処理を可能にするであろう。このシステムは、微生物と半透過バリアが正確に組み合わせられるなら、幅広い種類の汚染物質を除去するように設計することができるので、本発明は脱窒処理に限定されない。特に本発明は、水からイオン汚染物質を除去するために幅広く利用できる。
【0024】
再循環養殖システムは本質的には、生物フィルターでの硝化を促進するよう、培養システムにおいて生物学的に利用可能な有機炭素の量を制限するように設計されている。その結果、培養システムにおける有機炭素の量を減少させるためのキープロセスは、固形廃棄物の機械的捕捉と除去である。よって機械的プロセスは総COD(tCOD)が高いが可能性としては可溶COD(sCOD)が低い濃縮された固体廃液流(EOP)を創出する。固形廃棄物が多くsCODが低い廃液流は、有機炭素の大半が廃液流の微粒子部分に滞留するので、有機炭素の生物学的利用性の減少を示唆する。固形廃棄物の生物学的利用性を向上させるため、加水分解によって揮発性脂肪酸(VFA)を抽出及び可溶化するために嫌気性消化プロセスを利用でき、このようにしてsCODを増加させることができよう。よってVFAの抽出は、有機炭素の利用性を向上させ(sCODを増加させ)、最終的に脱窒処理を可能にさせるように利用できるであろう。
【0025】
本発明の同じ原理を、養殖とは別に嫌気性消化(AD)システムに組み込むこともできる。例えば、都市下水での使用のためにADシステムに統合するか、例えば酪農場からの動物性廃棄物などを減少させるためにASシステムに統合できる。図2に概略的に示すように、廃水は(1)グリットフィルターによって処理され、(2)次いで、第1の浄化器に入れられ、(3)その後、本発明の処理領域に入れられ、(4)次いで、硝化ユニットに入れられ、(5)その後、第2の浄化器に入れられ、(6)次いで、固形物は嫌気性消化装置に入れられ、一方、第2流は更なる脱窒処理のために媒体領域に入れられる。あるいは、図3に示すように、処理領域ステップは硝化ステップの後に来ることもできる。
【0026】
バリア
処理されている媒体への非制御分散を防止するよう、バリアは微生物を収容するように機能する。追加的にバリアは、異なる微生物集団がシステムの異なる領域で利用されるときの交差汚染を防止する。バリアは、標的の物質をシステムに進入及びそこから外出させるために十分大きいが、有機物を通過させないように十分小さい孔サイズを備えたフィルターなどの機械的なものでよい。バリアは、イオンを通過させるが、微生物を排除するイオン透過膜などの電子化学原理も利用できる。バリアは、紫外線光バリアなどの殺菌又は滅菌特性も利用できる。
【0027】
半透過バリアは、汚染物を通過させるが、微生物の通過を妨害するように設計された任意の適切な半透過バリアでよい。例えば、半透過バリアは、ポリマーマトリックス、複合マトリックス、ファブリック、薄フィルム、セラミック、又は合成ナノ孔構造物を含むことができる。バリアは、交換機能のために利用できる表面積を最大化させるよう、管体、平行シート、螺旋形状、インターリーフ構造又はその他の適切な形態に形成されることができる。構造的頑強性を提供するよう、及び/又は適用される圧力に耐えるよう、バリアを構造的要素で補強できる。多種の半透過バリアが、アプライドメンブレン社(カリフォルニア州、ビスタ)などの製造業者から商業的に入手可能である。
【0028】
支持構造体
実施態様によっては、システムは、微生物のバイオフィルムの増殖を促進するため、及び/又は領域内での混合を補助するため、及び/又は領域間の分散を補助するための支持構造体を含んでいる。支持構造体は、その上でバイオフィルムが増殖できる構造を提供する任意の形状又は材質でよく、栄養物(標的汚染物を含む)を構造体内に進入させて通過させる。例えばメッシュ、交差流媒体、又は顆粒を利用できる。メッシュ形態では、支持構造体は一般的には、図4に示すように、好適にはバリアと支持構造体との間に空間が存在しないように、バリア付近に配置されるであろう。他の実施態様では、支持構造体は、バイオフィルムを処理領域全体に分散させる浮動性(又は中密度)の大表面積ポリマー構造であろう。追加的に、本発明がBES成分(以降で解説)を組み込んでいる場合には、支持構造体は、好適にはそれらの間に空間がないように電極付近に配置されるか、又は電極は支持構造体内に組み込まれるであろう。
【0029】
生物電子化学システム
処理領域と半透過バリアの組み合わせに加えて、本発明の実施態様のいくつかは、生物電気化学システム(BES)を追加的に組み込んでおり、即ち、電位及び/又は電流源、並びにそれらの代謝プロセス(エキソエレクトロゲン)において電気エネルギーを利用するか、又は電気エネルギーを創出する微生物を含んでいる。図5を参照のこと。BESは脱窒プロセスのいくつかの重要な増強を提供している。先ずBESは、COD利用性が非常に低いとき、カソードコンパートメント(処理領域)での脱窒を可能にする電位を提供する。さらに、生体電極、生物的に活性なアノード及びカソード電極はエキソエレクトロゲンのバイオフィルムの利用を促進するために使用できる。
【0030】
本発明のBESの1実施態様では、COD消化微生物によってバイオアノードで発生された電流はバイオカソードに移される。電子流は、従来の脱窒処理が培養システム水内の有機炭素制限によって発生しない場合に、バイオカソードでの脱窒処理を可能にする。次に、BESによって発生した電流は、アノード又はカソードコンパートメント内の水質に関する情報を推測させる、本質的なフィードバック機構を提供する。図7を参照のこと。電気回路内でのフィードバックは、システムの設計及び運用に応じて、BOD及び硝酸の塩利用性のいずれか/両方に基づいている。この情報は制御及びオートメーションのため、即ち、硝酸塩及び/又はBODの追加を電流表示に結合させることによって利用できる。実施態様によっては、システムは、BESではない1以上の処理領域を含むシステム及びBESである1以上の処理領域を含んでいる。
【0031】
システムが1以上のBESを含んでいるとき、BESは、汚染除去プロセスの進行状況を決定し、微生物の健全状態や機能に関する識見を得るためにモニターできる。即ち、電極間の電位又は電極間で生成/消化される電流量の変化は、BOD及び/又は窒素の消化を含む、システムの生物学的活性の指標である。例えば、微生物による電子受容体としてのカソードの利用における増加は、硝酸塩レベルの減少を示し、減少はBODレベルの減少を示すであろう。この原理は、電気活性が電極受容体又は供与体としての電極の利用に依存しているため、BOD又は硝酸塩以外の物質の処理における本発明の利用にも活用できることは理解されるべきである。
【0032】
必要であれば、BESを、外部電気エネルギーシンク若しくは電源、又はバイアス電位の存在に応じていくつかの形態にアレンジできる。従って、BESシステムは微生物燃料セル(MFC)、微生物電解セル(MEC)、又は例えば、硝酸塩の還元電位にて均衡された均衡カソード電位を備えたシステムの形態をとることができる。MFCとMEC運用シナリオ間の違いの簡単な説明として、MFCは、生物電極上の微生物によって決定されるアノードとカソードとの間の自己調節電圧電位を示唆し、MECは、電極に電流が適用されており、電極間の電位が固定されていることを示唆する。カソード電位の均衡はポテンシオスタットと基準電極を用いて可能である。典型的にはカソードのみが均衡され、アノード電位は“浮動”状態にされる。実施態様によっては、この構成は、脱窒処理が停止したときに電位が均衡を失い、媒液の汚染除去の進行状況をモニターさせるので、修正作用を行うための信号として利用できる。例えば、この信号は投入量の追加、即ち、COD又は硝酸塩の追加を促すであろう。
【0033】
予備処理及び相補的微生物
その他の実施態様では、本発明は予備処理ステップも含んでいる。例えば、本発明が脱窒処理に利用されるとき、脱窒ステップが含まれる。追加的に、酸素除去も予備処理としてシステムに含まれることができる。この構成は、固形物の嫌気性消化で生成されるアンモニアとアンモニウムイオンを更に容易に処理させる。
【0034】
その他の実施態様では、これらの領域は、それぞれが相補的な生成物を代謝することができる微生物の相補的な集団を含むことができる。例えば、一つの標的の汚染物質の一つの微生物代謝の生成物は、半透過性バリア(イオン交換その他)を交差することができ、その生成物は他の領域において異なる微生物の代謝プロセスへの投入物として、エネルギー源又は末端電子受容体として消化される。例えば、嫌気性消火剤からのフィルター(バイオフィルターなど)は、捕捉されたアンモニアを処理対象の媒液に方向付けることができるが、消火剤からの固形物部分は、前述したように、微生物にエネルギー補給するために処理領域に追加される。
【0035】
1実施態様では、イオン交換膜(例:アニオン交換膜)に沿って並べられた容器内に収容された硝化バイオフィルター(例:移動床バイオリアクター−MBBR)を、浄化槽又は沈殿地のような消化チャンバ又はコンパートメント内に配置できる。例えば消化コンパートメントからなどの液体部分は、消化プロセスで生成されたアンモニアを硝酸塩へ変換させるため、嫌気性MBBRに送られることができる。硝酸塩はその後、処理水と共に最終脱窒処理のために、バリアを通って消化コンパートメントに拡散されるであろう。一方、MBBR内の水は、浄化されたEOP放出物として作用し、硝化バイオフィルターからの残余バイオマスを捕捉するため、第2の膜フィルターを用いてさらに精製できる。
【0036】
あるいは、このプロセスはある程度逆にすることができ、その結果、消化コンパートメントは「予備処理タンク」として効率的に利用され、ポンプシステムが、イオン交換バリアで構成される一連の管体を通して上澄み液を再循環させ、消化コンパートメントに戻す。管体はその後、硝酸塩濃度が高い別流からの水槽内に沈められ、硝酸塩を管体へ移動し、最終脱窒処理のため最終的には消化コンパートメントへ移動させることができる。図10を参照のこと。上述の実施態様のように、硝酸塩濃度が高い水槽もまた、MBBR嫌気脱窒バイオフィルター又は類似の構造物とすることができる。
【実施例】
【0037】
実施例1:1好適実施例では、硝酸塩の除去での使用に適したこのシステムは、処理される水源に接続されたタンクを含んでいる。図6に示すように、複数の小型処理ユニットがタンク内に配置されるであろう。それぞれの小型ユニットは、その中で壁部がイオン交換膜式バリアで構成された、実質的に水密シリンダである。あるいは、このシステムは1以上のBESを含むことができ、即ち、外部にカソード電極(陰極)及び内部にアノード電極(陽極)を含んでおり、これはそれら電極に電圧を適用する手段を含んでいる。それら電極は、電極とバリアとの間に実質的に空間が存在しないように配置されるであろう。同様に、バイオフィルムの形成のための基材として利用するため、充填材料で構築された支持構造体がアノード電極に対抗して配置されるであろう。支持構造体はカソードに対抗して配置することができるが、カソード側での微生物の増殖を最小限化するよう排除することができる。本質的にタンクは、媒体領域として一つの大型カソードチャンバとして機能し、それぞれの小型処理ユニットは処理領域としてのアノードチャンバとなるであろう。図4図5を参照のこと。あるいは、カソードは処理ユニットの内部に、アノードは外部に含まれることができ、この場合にはタンクはカソードチャンバを構成し、一方、処理ユニットはアノードチャンバを構成するであろう。
【0038】
高濃度の硝酸塩の廃水で成る媒液は媒体領域(即ち、カソードチャンバ)に導入され、一方、化学酸素要求量(COD)源は処理領域(即ち、アノードチャンバ)に導入されるであろう。媒液は上方流又は側方流形態のいずれかでユニットに進入できる。イオン交換膜バリアは硝酸塩を閉鎖容器に進入させるが、処理領域の微生物やCODが、閉鎖容器を出て主水源を汚染するのを防止する。処理ユニットとタンクとの間の圧力差は、バリアが破壊した場合に、流動物が処理領域から出るのを防止するために利用できる。この圧力差はポンプ又はその他の機構の利用によって創出できる。あるいは、媒体領域に対する処理領域の水レベルを変化させることで達成できる。一般的に、その圧力はアノードチャンバからの流動物をカソードチャンバに進入させない圧力であろう。
【0039】
この実施例では、それぞれの処理ユニットは、個別に取り替えできるように、独立して機能することができることが想定されている。処理ユニットが配置されるタンクは、それ自体で又はその他の類似のシステムと並行して機能するようにも設計されている。これは、増加する処理の必要性が、システムを単純に追加することで満たされるように、システムのモジュール式利用を可能にするであろう。
【0040】
実施例2:第2の実施例では、システムは、電極が存在しないこと以外は、第1の実施例と同一の状態に設計されている。支持構造体はバリアに対抗して直接的に配置される。
【0041】
実施例3:第3の実施例では、本発明は、バリアに並行に配置された、バイオフィルムの増殖のための平坦な支持構造体(プラスチックメッシュなど)を備えた実質的に平坦なバリア(例:アニオン交換膜又はカチオン交換膜)で構成されている。好適には、支持構造体はバリアに接触しているであろう。そのような閉鎖容器の一つは、一つのバリア及び一つの支持構造体を有するであろう。別な閉鎖容器は、各バリア上又はその付近に支持構造体を備えた閉鎖容器の境界を画定している両側にバリアを有するであろう。これらの閉鎖容器は、複数のチャンバが存在し、それぞれのチャンバはバリアと隣接するチャンバとバリアを共有するよう、連続的に配置することができる。第1のチャンバは処理領域として機能し、片側は壁部で境界され、他方側はバリアと支持構造体で境界されるであろう。第2のチャンバは媒体領域として機能し、片側は第1のチャンバ及び第2の支持構造体と共有されるバリアで境界されるであろう。第2のチャンバ/媒体領域は、第3の支持構造体及び第2のバリアによって反対側で境界されるであろう。第3のチャンバは第2のバリア付近に第4の支持構造体を有しているであろう。窒素廃棄物(即ち、他の標的の化合物)は第2のチャンバに流入し、第1と第3のチャンバへと拡散し、そこで微生物によって処理されるであろう。高濃度のCOD(即ち、他の二次汚染物質)を有する廃棄物は、第1と第3のチャンバに進入して有機体によって利用されるであろう。このパターンは、任意の数の閉鎖容器が存在できるよう、複数回繰り返すことができる。この実施例は養殖水処理にも適している。
【0042】
実施例4:第4の実施例では、システムは、平坦支持構造体として、又は支持構造体とバリアとの間で利用される電極を組み込んでいる以外は、第3の実施例と同一に設計されている。媒体領域電極はカソードとして機能し、処理領域電極はアノードとして機能するであろう。
【0043】
実施例5:第5の実施例では、システムは、図8に示すように、チャンバが並行平坦形状ではなく、同心円筒(シリンダ)である以外は、第3の実施例の類似パターンである。第1のシリンダの壁部は、内側で支持構造体(プラスチックメッシュなど)間に配置されたバリアで構成されているであろう。第1のシリンダは第2のシリンダ内に配置され、その壁部はバリアの内面側の支持構造体で構成されているであろう。第2のシリンダは第3のシリンダ内に配置されており、その壁部はバリアの内面側の支持構造体で構成されているであろう。窒素廃棄物(即ち、他の標的の化合物)は第2のチャンバに流入し、第1と第3のチャンバに拡散し、そこで微接物によって処理されるであろう。高濃度のCOD(即ち、他の二次汚染物質)は、有機体によって利用されるために第1と第3のチャンバに進入するであろう。この実施例は、養殖水処理にも適している。
【0044】
実施例7:この実施例は、バリアが閉鎖容器と媒液との間に配置されるよう、媒体タンクに接続された、実質的に立方体の閉鎖容器内に配置された微生物で構成されている。バリアは標的の化合物を通過させるが、微生物の通過を抑制するイオン交換膜又はフィルターでよい。第2流は閉鎖容器に導入される。好適には、微生物は硝酸塩及び/又は亜硝酸塩を利用することで、硝化及び/又は脱窒処理を提供する。第2流は好適には高濃度のCODの廃水であろう。
【0045】
実施例8:商業的な利用では、微生物の長期間の健全状態のために適したコンテナを提供しながら、半透過バリアの表面積を最大化させることが重要であろう。そのような状況は、半透過バリアを含んだ複数の管体がその中の微生物のための流路を提供するように相互連結されている、図9のものと類似する設計で達成できるであろう。図10に示すように、浄化される媒液は複数の相互連結された半透過バリアを包囲するタンク内に単純に保管されている。別な実施例では、複数の相互連結された半透過バリアは、タンクよりも高い電位でバイアスされ、処理領域はエキソエレクトロゲンを含んでいる。あるいは、処理領域は保持タンクであり、相互連結された半透過バリアは浄化される媒液のための経路を提供する。
【0046】
参考文献
特許、特許出願、特許刊行物、学術雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文献の援用及び引用は、本明細書中でなされている。それら全ての文献はその内容全体を全ての目的のためにここで援用している。
【0047】
均等発明
本発明を、その精神又は重要な特徴から逸脱せずに、その他特定の形態で具現化できる。従って、上述の実施例は、ここで解説の発明を限定するものではなく、全ての点において例示であると理解されるべきである。よって本発明の範囲は、上述の解説によってではなく、添付の「請求の範囲」によって示され、請求項に記載の発明と均等な範囲内の全ての変更は、そこに含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10