特許第6232433号(P6232433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232433
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】ウォータースポーツ膨張ベスト
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/012 20060101AFI20171106BHJP
   B63C 9/15 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   A41D13/012 105
   B63C9/15 100
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-529801(P2015-529801)
(86)(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公表番号】特表2015-531832(P2015-531832A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】US2013045678
(87)【国際公開番号】WO2014035527
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年4月3日
(31)【優先権主張番号】13/598,441
(32)【優先日】2012年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502233724
【氏名又は名称】パタゴニア・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】315012220
【氏名又は名称】シュイナード,フレッチャー
(73)【特許権者】
【識別番号】315012231
【氏名又は名称】ショー,ケーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】シュイナード,フレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ショー,ケーシー
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/095203(WO,A1)
【文献】 特表2002−538405(JP,A)
【文献】 特開平08−244683(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/099771(WO,A1)
【文献】 特開昭61−024694(JP,A)
【文献】 特開2007−070782(JP,A)
【文献】 特開2007−321305(JP,A)
【文献】 実開平05−027451(JP,U)
【文献】 特開2004−162224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00−13/12
B63C 9/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能であり、着用可能な装置であって、
着用者の胸郭を覆う叉骨形状(wishbone shape)を有する膨張可能な空気袋と、
前記膨張可能な空気袋に連結される二つ以上の圧力ガス源と、
前記圧力ガス源に操作可能に連結される膨張トリガーと、
前記膨張可能な空気袋に操作可能に連結される収縮トリガーと、
前記膨張可能な空気袋に連結され、前記膨張可能な装置を前記着用者の体に固定するように形成される体嵌め込み部(body engaging portion)と、を有し、
前記膨張トリガーは、第一の方向に引かれたとき及び前記第一の方向とは異なる第二の方向に引かれたときに、前記膨張トリガーを作動するリップコードを有し、
前記リップコードを前記第一の方向に引くことで、第一の前記圧力ガス源は、前記第一の圧力ガス源の中のガスの少なくとも一部を前記膨張可能な空気袋の中に供給し、
前記リップコードを前記第二の方向に引くことで、第二の前記圧力ガス源は、前記第二の圧力ガス源の中のガスの少なくとも一部を前記膨張可能な空気袋の中に供給し、
前記収縮トリガーを操作することで、前記ガスの少なくとも一部が前記膨張可能な空気袋から排出されることを許容する、膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項2】
前記空気袋の中の圧力が所定の閾値に達した場合に、前記膨張可能な空気袋から空気を開放する前記膨張可能な空気袋上の相殺バルブ(compensating valve)をさらに有する請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項3】
前記体嵌め込み部(body engaging portion)はベスト(vest)を有する請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項4】
前記第一の圧力ガス源は1つ以上のガスカートリッジを有する請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項5】
記リップコードを前記第一の方向に引くことで、前記第一の圧力ガス源は、第一の量のガスを前記膨張可能な空気袋の中に供給し、
前記リップコードを前記第二の方向に引くことで、前記第二の圧力ガス源は、第二の量のガスを前記膨張可能な空気袋の中に供給する請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項6】
記リップコードは前記リップコードの遠位末端(distal end)で取っ手(handle)としてつなぎ合わされる第一のケーブル及び第二のケーブルを有し、
前記第一のケーブル及び前記第二のケーブルは前記膨張可能な装置の第一及び第二の開口部からそれぞれ延び、
前記膨張可能な装置の前記第一及び第二の開口部は、お互いに間隔をあけて離れている請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項7】
前記リップコードは第一の長さを備える第一のケーブルと、前記第一の長さと異なる第二の長さを備える第二のケーブルと、を備え、
前記リップコードを前記第一の方向に引くことで、前記第一の圧力ガス源は、第一の量のガスを前記膨張可能な空気袋の中に供給し、
前記リップコードを前記第二の方向に引くことで、前記第二の圧力ガス源は、第二の量のガスを前記膨張可能な空気袋の中に供給する請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項8】
前記膨張トリガーは少なくとも第一及び第二の方法で操作されるように形成されており、
前記膨張トリガーを前記第一の方法で操作することで、前記第一の圧力ガス源は、前記第一の圧力ガス源の中の圧力の全てではなく、いくらかを前記膨張可能な空気袋の中に通し、
前記膨張トリガーを前記第二の方法で操作することで、前記第一の圧力ガス源は、前記第一の圧力ガス源の中の前記圧力の全てではなく、いくらかを前記膨張可能な空気袋の中に通し、
さらに、前記膨張トリガーを前記第一の方法で操作し、次に前記第二の方法で操作することで、前記第一の圧力ガス源の中と前記空気袋の中の圧力が等しくなる請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項9】
前記膨張可能な装置を他の衣類に固定するための留め手段(attachment means)をさらに有する請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【請求項10】
前記第一の圧力ガス源は手動ポンプを使用して加圧されるように形成されている請求項1に記載の膨張可能であり、着用可能な装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、選択的に膨張及び収縮することができるウォータースポーツで使用されるベストに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォータースポーツは、常に存在する溺死を理由に本質的に危険である。大波乗りなどのあるスポーツは、巨大な波と岩礁とともにこの危険が悪化する。サーファーがサーフボードから40フィートの波に落ちた時、彼らは、水面に再び到達する前に、水の中で数分間過ごすことが時々ある。サーファーは、高い頻度で、次の波が襲う前に浮上することができない。波の動作は、サーファーを海底に押え込み、水面まで泳ぐことを非常に困難にさせる。急流下りなどの他のウォータースポーツは、同様に困難で潜在的に危険な状況を作り出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の救命胴衣は、着用者を水上に保持するために何年も使われ続けている。しかしながら、多くのスポーツの運用のために、救命胴衣を着用することは実行し難い。具体的には、それらは慣習的にサーファーとボードの間でサーファーの胸及び腹の部位に位置するため、救命胴衣はサーファーのパドリング動作を妨げる。動力付きの水上バイク(powered watercraft)の補助なしに大波を捕らえるためには、サーファーは妨げられずにパドルできなければいけない。
【0004】
リップコード(ripcord)によって展開されることができる圧力空気キャニスターを含む選択的に膨張可能なベストへのいくらかの試みがある。しかしながら、それらのモデルは、陸に戻りカートリッジを交換することなしに、簡単に収縮され、膨張されることができない。そのため、打ち寄せる波や他の潜在的に危険な状況などの深い水の中で展開するために、ベストなどの選択的に膨張及び収縮できる衣類のための技術的要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、概して、膨張可能であり、着用可能な装置を対象とする。装置は、膨張可能な空気袋と空気袋に連結される圧力ガスチャンバーとを含む。装置は、また、圧力ガスチャンバーに操作可能に連結される膨張トリガー(inflate trigger)を有する。膨張トリガーを操作することで、圧力ガスチャンバーに、圧力ガスチャンバーの中のガスの少なくとも一部を膨張可能な空気袋の中に供給させる。装置は、また、膨張可能な空気袋に操作可能に連結される収縮トリガー(deflate trigger)を含み、収縮トリガーを操作することで、少なくともガスの一部が、膨張可能な空気袋から排出されることを許容する。装置は、さらに、膨張可能な空気袋に連結され、着用者の体に膨張可能な装置を固定するように形成されているベストなどの着用可能部(wearable portion)を有する。
【0006】
他の実施形態では、本開示は、ベスト、ガス圧力源(gas pressure source)及び空気袋を有する膨張可能な装置を対象とする。ガス圧力源は、ガスを選択的に空気袋に供給し、空気袋を加圧し膨張させるために、空気袋に連結される。ベストは、着用者の胸に対応する位置に空気袋を保持するために、空気袋に連結される。空気袋は、頂部(apex)及び頂部から延びるアームを有する逆V字形状を有し、逆V字の頂部は、着用者の胸骨上の中間点(intermediate point)に位置し、着用者の胸骨の下部に延びる。逆V字形状のアームは、着用者の胸郭の輪郭に実質的に沿うために、逆V字形状の頂部から下側(downwardly)及び外側(outwardly)に延びる。胸骨の下の使用者の腹の領域は、膨張可能部によって実質的に覆われていない。このように、空気袋は、顔上げ浮揚(face-up floatation)に偏より、一方でボードのパドリングを妨げない。
【0007】
本開示は、また、着用可能な衣類の状態の膨張可能な装置を膨張及び収縮する方法を対象とする。方法は、第一の膨張トリガーを作動することに応答し、着用可能な衣類に固定される空気袋の中に、圧力ガスの別々(discrete)の量を供給することを含む。衣類は、着用者の体に対応する位置に空気袋を保持する。方法は、第二の膨張トリガーを作動した後、空気袋中に、圧力ガスの別々の量を供給することを含む。開放トリガーを作動した後、圧力ガスの別々の量が空気袋から開放される。第二の膨張トリガーが作動される前又は後に、前記第一の膨張トリガーは、作動されることができる。第一の膨張トリガーが作動された後、第二の作動トリガーが作動された後、又は第一及び第二の両方の膨張トリガーが作動された後に、開放バルブは、作動されることができる。
【0008】
本発明の好ましい及び代替の実施例は次の図面への言及とともに以下詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1A及び図1Bは、それぞれ、本開示の実施形態に関する膨張可能であり、着用可能な装置の前景及び背景である。
図1B図1A及び図1Bは、それぞれ、本開示の実施形態に関する膨張可能であり、着用可能な装置の前景及び背景である。
図2A図2A及び図2Bは、それぞれ、本開示の実施形態に関する装置の前景及び背景である。
図2B図2A及び図2Bは、それぞれ、本開示の実施形態に関する装置の前景及び背景である。
図3A図3Aは、本開示に関する図1A図2Bの膨張可能な装置の空気袋を説明する。
図3B図3Bは、本開示に関するキャニスターストラップを通して入力バルブ及び空気袋に取り付けられるキャニスターを備える空気袋を示す。
図4図4は、本開示の実施形態に関するサーフボードをパドリングする間の装置を使用する着用者を示す。
図5図5は、本開示の実施形態に関する空気袋及び調節板(baffle)の断面図を示す。
図6図6は、本開示の実施形態に関する膨張可能な装置のための他の調節板の構造を説明する。
図7図7は、本開示の装置のための展開構造の概要(schematic deployment configuration)を説明する。
図8図8は、本開示の装置のための二つの可能な展開状況を示す、時間に対する圧力のグラフである。
図9図9は、従来のウェットスーツオーバートップ(wetsuit over top)を着用した、本開示の装置を使用する着用者を説明する。
図10図10は、本開示の実施形態に関する装置の背景である。
図11A図11A及び図11Bは、それぞれ、本開示のさらなる実施形態に関する装置100の前景及び背景である。
図11B図11A及び図11Bは、それぞれ、本開示のさらなる実施形態に関する装置100の前景及び背景である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の理解を容易にするために、用語の多くは以下に定義される。本発明に関する分野における当業者によって共通に理解されるように、ここで定義される用語は、意義(meanings)を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単なる独立した存在について言及することを意図するものではなく、説明のために使用される具体的実施例のうち一般的な分類を含む。ここでの専門用語は、発明の具体的実施例を記載するために使用されるが、それら使用は、特許請求の範囲で述べられることを除き、発明の範囲を定めるものでない。
【0011】
図1A及び1Bは、それぞれ、本開示の実施形態に関する膨張可能であり、着用可能な装置100の前景及び背景である。装置100は、外層102と、外層102の中に保持され、着用者の体に対して固定される空気袋104とを含む。図2A及び図2Bは、それぞれ、外層102を視界から取り除いた装置100の前景及び背景である。装置100は、また、着用者に空気袋104を固定するために、小穴(eyelet)126a、126b及び126cを通る引き紐(drawstring)124を含む。引き紐は、ショックコード(shock cord)や他の適切な材料などの柔軟性を有する素材で作られることができる。ある実施形態では、外層102は、取り除かれることができ、空気袋104及び他の構成要素は、内層103に取り付けられることができる。装置100は、また、空気層104の下(underneath)の内層103(図2A及び2Bにおいてより大きい利点が示される)を含む。小穴126cは、外層102又は内層103に接続されるツメ(tab)で形成されることができ、又は小穴126Cは、外層102又は内層103の中に直接形成されることもできる。装置100のサイズを調整し、着用者が最適な密着を見つけることができるように、小穴126cは、装置100の引き紐を送る。
【0012】
装置100は、また、キャニスター114などの、着用者又はライフガードや救命専門家などの他の人などの命令で、空気袋の中に圧力ガスをすぐに供給することができる空気袋104に連結される圧力ガスのもとを含む。装置100は、また、キャニスター114を空気袋104に連結するトリガー機構120を含む。トリガー機構120は、リップコード(ripcord)を有し、引かれた時に、装置100を水に浮かせるために、キャニスター114の1つ以上から空気袋104の中に圧力を開放する。つまり、キャニスターの圧力は、実質的に空気袋の中の圧力と等しくなることができ、又はキャニスターの中の圧力が空気袋の中のそれよりも高いまま維持されるように、キャニスターの中の圧力の一部が開放されることができる。圧力が完全に等しくなった場合、キャニスターは実質的に空である。ある実施形態によれば、装置100は、顔上げ浮揚(face-up flotation)の機会を与え、無意識の人を水の中で顔上げ(face-up)に回転させる。装置100は、また、着用者にアクティビティーを再開させることを許容し、二回、三回、又は圧力源が許す回数、空気袋104を膨張させる機能を維持するために、空気袋104から圧力を開放するために作動されることができる開放ケーブル112に連結される開放バルブ118を含む。開放バルブ118は、また、空気袋104の過充填を予防するために自己制御圧力開放バルブ(self-regulating pressure release valve)を含む。このバルブが備えられることで、キャニスターは、一つを超える空気袋をチャージした状態に維持することができ、しかも、バルブは、ガスのある量だけをキャニスターから空気袋の中に入ることを許容し、後に空気袋を補充(又は、少なくとも部分的に補充)するのに十分保持する。
【0013】
装置100は、サーフィン又はラフティング等のウォータースポーツ、又は使用者が水面まで浮かぶ必要のある他の適切なスポーツにおいて、使用されることができる。膨張されていない状態では、装置100は、比較的に薄く、それ故、従来の救命胴衣では妨げたであろう動きを妨げない。サーファーは、例えば、サーフボードから高い波の中に落ちることがあり、補助なしには水面に到達できないことがある。彼は、トリガー機構120を作動させ、空気袋104を膨張させるために、リップコード110を引くことができる。以下により具体的に説明するように、装置100は、複数のキャニスター114、及び複数の作動トリガー(actuation trigger)、及び/又は着用者が空気袋中の圧力の異なるレベルに到達することができ、又はキャニスター114の再充填又は交換をすること無く装置100を複数回作動させるための作動モード(actuation mode)を含むことができる。着用者は、また、どんな時も事前にリップコード110を引くことで簡単に、空気袋を膨張させることを望むかもしれない。
【0014】
ある実施形態では、外層102は、フロント小穴106及びリア小穴108などのリップコード110が通る小穴を含む。小穴は、リップコード110をトリガー120に対応するある方向に案内し、これらはマルチモード操作を容易にするために接続される。例えば、リップコード110が異なる方向に引かれた時、異なるケーブルに張力がかかり、それにより異なるキャニスター114がトリガーされるように、リップコード110は、複数の異なる長さの複数のケーブルを含むことができる。小穴106,108は、この操作を容易にする。装置100は、また、右のリップコードと左のリップコードを含むことができ、ここに記載されるように、それぞれキャニスター又は他の圧力源に連結される。
【0015】
図3Aは、本開示に関する図1A図2Bの膨張可能な装置100の空気袋104を説明する。空気袋104は、フロント部140及び着用者の首を取り囲むU型のリア部141を含む。フロント部140は、フロント部140を結び付けて着用者の胸に密着させるためのフロント引き紐用小穴(front drawstring eyelets)126aを含むことができる。空気袋104は、また、さらに締め付け、着用者に密着するように順応させることができるリア引き紐用小穴(rear drawstring eyelets)126bを含む。空気袋104は、入力バルブ142及び入力バルブ142の近くのキャニスターストラップ144を含む。図3Bは、キャニスターストラップ144(リアキャニスターは描写されていない)を通して、入力バルブ142及び空気袋104に取り付けられるキャニスター114を備える空気袋104を示す。キャニスター114は、リップコードが取り付けられる外れ止め(latch)120又はレバーを有する連結器122を備える入力バルブ142に連結されている。ある実施形態によれば、キャニスター114は、在庫があってすぐに入手可能な(off- the-shelf)自転車タイヤのCOの膨張キャニスター、又は他の容易に入手可能な圧力源とすることができる。外れ止め120は、キャニスター114を刺し、空気袋104の中に圧力ガスを開放するために、内部カム及びカムよってキャニスターに押し込まれるニードルを有することができる。キャニスター114は、連結器122にねじ込まれることができ、展開されるまで準備位置(ready position)で保持される。この構成の一つの利点は、この明細書を書いた時点では、本開示の膨張可能な装置100などの装置に連結されていれば、キャニスター114は民間航空機で海外に持っていかれることが許容されることである。一方で、取り外されたキャニスターは、一般的に許容されない。キャニスター114は、着用者が水の中にいる時であっても、新たなキャニスターに簡単に早く交換されることができる。
【0016】
図4は、本開示の実施形態に関し、サーフボード154でパドリングしている間の装置100を使用する着用者を示す。空気袋104の外形が示され、説明の容易さのため、この図では、外層102の部分及び内層103は省略されている。また、図2A及び4に利点が示される。空気袋104は、着用者の腹152を覆うことなく着用者の胸郭150を覆う形状に成形され、着用者がパドリングのために、サーフボード等の表面に平らの状態で横たわることを許容する。また、環境が要求すれば、例えば、大しけの状況で、水上バイク(例えば、ジェットスキー(登録商標))又は同様の乗り物を使用するレスキューチームによって、水から引き上げられる時、空気袋104の形状は、腹の柔らかい組織に過度な圧力をかけることなく、着用者を平らな状態で安定して保つことに役立つ。ある実施形態によれば、空気袋104は、頂部(apex)及び着用者の胸郭に沿って下側(downwardly)及び外側(outwardly)に延びるアームを有する逆V字形状を有する。空気袋104の中心の最下点は、おおよそ着用者の胸骨の基部(base)に位置されることができ、上中央部(upper middle portion)は、鎖骨の内部端(interior ends of the clavicle)及び胸骨の胸骨柄(manubrium of sternum)までで、それらを含む、胸骨に沿った適切な任意の(any)中間点とすることができる。空気袋104は、着用者の腕の下及び着用者の背部に渡って、心地よく形成することができる。
【0017】
簡潔に戻って図3Aを参照すると、空気袋104は、また、空気袋104の内及び外壁の一部に取り付けられることができる調節板(baffle)146を含む。図5は、本開示の実施例に関する調節板146及び空気袋104の断面図を示す。調節板146は、単独の丸い体積になりやすくなることに代わり、使用者の胸に沿って、より平らで均等に広がるように、空気袋104の形状を制約する。調節板146は、空気袋104を下側チャンバー147と上側チャンバー148に分離する。それらのチャンバーは、必ずしも分割されておらず、空気袋104の中の空気は、調節板146の端部周辺を自由に進むが、空気袋104の内及び外壁に対する留め具(attachment)のおかげで、調節板146は、好ましい形状の制約に至る。他の実施形態では、空気袋104は、1つを超える調節板を有することができ、そのため2つを超えるチャンバーとなる。例えば、大きな人に着用される空気袋104は、形状の抑制に至るために、1つを超える調節板を有することが好ましい。ある実施形態では、調節板146はそれ自体固く、他の実施形態では、調節板146は空気が通過することを許容する、帯紐(webbing)又は一組の柱(pillars)などである。実質的には、どのような調節板の構造も可能である。
【0018】
図6は、本開示の実施形態に関する膨張可能な装置のための他の調節板(baffle)の構造を説明する。調節板146は、この実施形態では、キャニスター114近くの上部(upper portion)が広く、下端(lower end)が狭いくさび形状(wedge-shape)を有する。これは、調節板146が上部で厚くなることを許容し、下端を薄い形状に制約する。これにより、着用者の腕の動きのより高い自由度を許容することができる。
【0019】
図7は、本開示の装置のための展開構造概要(schematic deployment configuration)を説明する。上述の通り、本開示の実施形態に関する装置は、膨張のために別々(discrete)の又は連続的な空気の量を空気袋に供給して、何回も展開されることができる。ある実施形態では、展開構造は、第一ケーブル110a及び第二ケーブル110bを有するリップコードである。第一のケーブル110aは、第一の小穴108を通り、第二のケーブル110bは、第一の小穴108から間隔があけられている第二の小穴108を通る。ケーブル110a、110bは、異なる長さを有する。第一及び第二ケーブル110a、110bは、遠位末端(distal end)で単一の取っ手(handle)としてつながっている。矢印Aによって示されるように、リップコードを前方に引くことで、第一のケーブル110aに張力がかかり、一方で、第二のケーブル110bは緩んだ状態に保たれる。これは、第一のケーブル110aに取り付けられるキャニスターに展開をさせ、他のキャニスターは展開されず保持される。矢印Bによって示されるように、リップコードを上方に引くことで、第二ケーブルに張力がかかり、関連するキャニスターに展開をさせる。この方法では、好ましいレベルの膨張を達成、又は異なる複数回の膨張を達成するために、着用者は、異なる別々のガスキャニスターを空気袋に選択的に展開させることができる。例えば、サーファーが高い波に落ち、膨張のためにガスキャニスターの一つを展開する場合、水面に到達した後、サーファーは、空気袋から空気を放出し、サーフィンを続けることができる。また、彼が他の落下をした場合、第二のキャニスターを展開するためにリップコードを異なる方向に引くことにより、第二のキャニスターを展開することができる。
【0020】
装置のための展開構造は、代替的に、スイッチ、ノブ、ボタン、又は回転(左/右)、押し/引き、ツイスト、又は他の適切な構造などの複数の展開モードを有する作動装置又は複数の展開のモードを有する電子構造展開モード(electromechanical deployment mode)とすることができる。モードは、段階により区別されることができる。例えば、第一のモードは、ボタンを押すこと又はノブをある距離回転させることにより展開され、第二のモードは、ボタンを押すこと又はノブを同様の方向だがより多い距離回転させることで展開されることができる。
【0021】
膨張及び開放スイッチは、独立して操作され、実質的に任意の順序で、圧力が増加又は減少されることを許容する。図8は、本開示の装置のための二つの可能な展開状況を示す時間に対する圧力のグラフである。展開前は、空気袋の圧力は実際的にゼロである。第一の展開状況Aでは、着用者が171でキャニスターの一つを展開した時、圧力は、ある別々(discrete)の量だけ増加する。空気袋が加圧されている間に、着用者は、圧力を増加させるために、172で第二のキャニスターを展開できる。着用者は、空気袋の圧力をまたさらに増加させるために、173で第3のキャニスターを展開できる。(任意の好ましい数のキャニスターが配置されることができる。説明する目的のため、このグラフは、3つのキャニスターを備える実施形態を示す。)。着用者は、174で全ての圧力を空気袋から開放することができる。この状況は、一つ又は二つのキャニスターからの圧力では不十分な浮力であり、深い水の中で自分自身がわかる状況において役立つことができる。
【0022】
状況Bでは、177で圧力を開放する前に、着用者は、まず、175及び176で、第一及び第二のキャニスターを展開する。その後、展開のために準備されている第三のキャニスターをまだ有しているため、着用者は、178で第三のキャニスターを展開でき、179でそれを開放することができる。従来の救命胴衣は、状況Bでは、アクティビティーを続ける前に、着用者が水からでて、圧力源を再充填又はもっと言えば新たな装置を入手することを要求する。本開示の独立した複数の展開構造は、彼のデバイスが運んでいる数と同数のキャニスターの展開の間、着用者を水に滞在させることができる。これら二つの状況は、制限されるものではなく、むしろ、これらは、キャニスターの放出と開放との間の自由さの実例である。他の状況では、異なるキャニスターは、ガスの異なる量を有し、機会の要求に従い、大、中、又は小のキャニスターを展開することを着用者に許容する。可能な展開状況の数は、キャニスターの数や展開するキャニスターの配列のみによって限定される。
【0023】
他の実施形態では、圧力源は、別々でなく、むしろ、リップコードをある距離又はある継続時間の間引くことで、好ましい容量まで開放されることができる。さらなる実施形態では、装置は、空気袋が膨張のある容量に達した時、つまり、浮力を有する時を検出する圧力センサーや変位センサー(displacement sensor)を含むことができる。例えば、装置が十分な圧力未満の場合、空気袋は、ガスのキャニスターを展開した後であっても、感知できるほどに膨張せず、従って浮力をもたらさない。空気袋の中の圧力を上昇することは、最終的には、空気袋の容量を十分に拡張し、着用者に十分な浮力を提供する。センサーは、空気袋の容量が好ましい容量に達した時を検出することができ、好ましい容量に達した時に供給を停止することができ、次の放出事象のために残存する圧力を保持することができる。この実施形態では、装置が自動で所定の浮力閾値(flotation threshold)まで満たし、それを超えないので、展開構造は、一つとすることができる。放出後にどの位の圧力が残存しているかを着用者に知らせるために、装置は、測定機器(gauge)を含むことができる。
【0024】
図9は、従来のウェットスーツオーバートップ(wetsuit over top)を着用した、本開示の装置を使用する着用者を説明する。リップコード110a、110b及び開放ケーブル112は、ウェットスーツの首を通されることができ、装置100は、ここに記載されるように操作されることができる。ウェットスーツの柔軟な性質は、一般的に、好ましい浮力に達するために空気袋の拡張に適応する
【0025】
図10は、本開示の実施形態に関する装置の背景である。装置100は、内層103、装置100の背部(back)のキャニスターストラップ144、及び内層103上の引き紐用小穴126を含む。引き紐用小穴は、小穴126を通して引き紐が引かれることを許容し、装置100を着用者の体に対してきつく締めるために、内層103から飛び出すツメ(tab)に形成されることができる。ある実施形態では、キャニスターは、図10に示すように、内層103に取り付けられることができる。他の実施形態では、キャニスターストラップ144は、空気袋104(図1A〜2B)に取り付けられ、さらに他の実施形態では、キャニスターストラップ144は、外層102(図1A及び1B)の内表面に取り付けられている。
【0026】
図11A及び図11Bは、それぞれ、さらなる本開示の実施形態に関する装置100の前景及び背景であり、空気袋104は、異なる構造を有する。装置100は、空気袋104、内層103、キャニスターストラップ144、キャニスター114、キャニスター114と空気袋104の間の連結器122、及び外れ止め構造(latch mechanism)120を介して連結器122を作動させることができる、連結器122に取り付けられるリップコード110を含む。空気袋104は、着用者の首の基部(base)の大きなチャンバーを有するリア部141を含む。装置100は、また、着用者の肩の上に位置し、空気袋104の一方側に離れている開放バルブ118を含む。この実施形態では、装置100の背側にはキャニスターはない。着用者が仰向けで時間を過ごす予定がある場合、非常に心地を悪くするキャニスターがないため、これは好ましいかもしれない。他の実施形態では、キャニスター114は、別々に位置されることができ、これらをベスト(vest)の背部に加えることを含む。一般的に、キャニスター114は、着用者の計画するアクティビティーに基づいて、心地よさを最大化するために、配置されることができる。
【0027】
ここで開示され請求される全ての実施形態及び方法は、本開示を踏まえると、過度の実験なしに作られ、実行されることができる。例えば、着用可能な装置は、胴(torso)、足(legs)、ウエスト、腕(arms)、足(legs)、手(hands)、脚(feet)、首、又は頭、その他等の体の任意の部分で着用される形状に成形されてもよい。この発明の構成及び方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、発明のコンセプト、精神、範囲から逸脱することなく、構成及び/又は方法、及び工程、又はここに記載される方法の工程の順序に変化が適用される可能性があることは、当業者にとって明らかであろう。当業者に明らかな同様の代用及び改良などの全ては、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、発明のコンセプト、範囲及び精神の中にあると考えられる。
【0028】
上述の通り、発明の好ましい実施形態は、説明され、記載されたが、多くの変化は、発明の範囲、精神から逸脱することなく作られることができる。その結果、発明の範囲は好ましい実施形態の開示に限定されない。代わりに、発明は、続く特許請求の範囲の言及によって、完全に決定されるべきである。
【0029】
排他的財産(exclusive property)又は特権(privilege)が主張される発明の実施形態は、次のように定義される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B