特許第6232449号(P6232449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232449
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20171106BHJP
   H02K 3/18 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H02K3/52 E
   H02K3/18 J
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-553425(P2015-553425)
(86)(22)【出願日】2014年11月10日
(86)【国際出願番号】JP2014079663
(87)【国際公開番号】WO2015093182
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年4月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-261247(P2013-261247)
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 雄一郎
【審査官】 津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−068313(JP,A)
【文献】 特開2005−130665(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/101616(WO,A1)
【文献】 特開2012−070582(JP,A)
【文献】 特開2012−029448(JP,A)
【文献】 特開2009−261082(JP,A)
【文献】 特開平11−074132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/00− 3/28
H02K 3/30− 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のティース部を有する円筒状のステータコアと、
前記ティース部の周りに巻回されるステータコイルと、
軸方向に延在する端子部を有する円筒状の導電性部材と、を備え、
前記ステータコイルの端部は、前記端子部と交差するように接する回転電機であって、
前記端子部及び前記円筒状の導電性部材は、
円筒面を共有し、
前記ステータコイルの端部は、
前記ステータコアの径方向に沿って外側へ伸び
前記端子部の周方向の端面と接する
ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記端子部は、
前記ステータコイルの端部に固定する溶融部を有する
ことを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項1に記載の回転電機であって、
すべての前記端子部に対して、ステータコイル端部は、
径方向の同じ向きに揃っている
ことを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記端子部は、
前記ステータコイルの端部が嵌合し、周方向に開口する凹部を有する
ことを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項4に記載の回転電機であって、
前記端子部は複数あり、
すべての前記凹部は、開口方向が同じである
ことを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機であって、
すべての前記凹部は、前記ステータコアの軸方向の位置が同じである
ことを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記ティース部に装着され、前記ステータコイルを巻回するボビンをさらに備え、
前記ボビンは、
前記ステータコイルの端部を前記導電性部材の端子部へ誘導する凹部を有する
ことを特徴とする回転電機。
【請求項8】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記ステータコイルの端部は、
前記ステータコイルのスプリングバック力によって前記端子部に押し付けられる
ことを特徴とする回転電機。
【請求項9】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記ステータコイルのコイルエンド部は、
前記導電性部材の軸方向において、前記端子部の先端と根本の間に位置する
ことを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、バスバー一体型のインシュレータの成形時にも、特殊な金型等を用いることなく、低コストで製造することのできる電動機のステータが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、「結線部材の電源側端部が、電源接続用端子台から径方向に突出するピン形状に形成されていることを特徴とする電動機のステータ」が記載されている。
【0003】
また、モータの径方向への拡大を抑制して車両への搭載性を改善することのできる集中巻モータ用の集中配電部材が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、「コイル接続部は、バスバーのバスバー本体の一部からモータの回転軸の軸方向と平行且つ同一方向に延在する部位を持つコイル接続端子と、巻き線と接続される部位をU字形状とし、そのU字形状をなす開口を回転軸に向けるようにしてコイル接続端子の先端に一体的に設けられたフックと、からなる」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−341640号公報
【特許文献2】特許第4924595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるような技術では、結線部材の電源接続用端子台から径方向に突出するピン形状を形成する。そのため、複雑な成形加工が必要になる可能性があり、結線部材のコストアップが懸念される。また、ステータコイルをピン形状部分に挿入する必要があるため、結線部分の構成が複雑で作業性に懸念がある。
【0006】
一方、特許文献2に開示されるような技術では、U字形状をなす開口をコイル接続端子の先端に一体的に設ける。そのため、複雑な成形加工な必要になる可能性があり、バスバーのコストアップが懸念される。また、コイル端子部は、バスバー本体の上端から真っ直ぐ上方に延びる起立部と、この起立部の先端から直角に折れ曲がって円環状をなすバスバーの中心へと水平に延びる水平部と、その水平部の先端から直角に折れ曲がって立ち上がる垂直部を有している。この垂直部にU字形状の接続部を配置しているが、この垂直部はステータコイルと向きを合わせるように軸方向に延在された部位である。そのため、モータの軸方向長さが拡大し、車両への搭載性の悪化が懸念される。
【0007】
本発明の目的は、ステータコイルと接続する導電性部材(バスバー、結線部材)の端子部の構造が簡易で、かつ、回転電機のステータASSYの軸方向長さを抑えることができる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のティース部を有する円筒状のステータコアと、前記ティース部の周りに巻回されるステータコイルと、軸方向に延在する端子部を有する円筒状の導電性部材と、を備え、前記ステータコイルの端部は、前記端子部と交差するように接する回転電機であって、前記端子部及び前記円筒状の導電性部材は、円筒面を共有し、前記ステータコイルの端部は、前記ステータコアの径方向に沿って外側へ伸び、前記端子部の周方向の端面と接するようにしたものである。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ステータコイルと接続する導電性部材の端子部の構造が簡易で、かつ、回転電機のステータASSYの軸方向長さを抑えることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSYの構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSYの一部を切断した断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSYに形成される三相交流回路を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSYに用いる導電性部材の共通の形状を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSYに用いるステータコイルと導電性部材の接続部の構成を示す図である
図6図5に示す接続部の拡大図である。
図7A】本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSYに用いるステータコイルと導電性部材の端子部とを接続するアーク溶接を説明するための図である。
図7B図7Aに示す状態でアーク溶接を行った後のステータコイルの端部と導電性部材の端子部の接続形状を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSYに用いる導電性部材の端子部の構成を示す斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSYに用いるステータコイルと導電性部材の端子部とを接続するアーク溶接を説明するための図である。
図10】本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSYの全体鳥瞰図である。
図11】本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSYに用いる導電性部材の端子部を正面から見た図である。
図12】本発明の第3の実施形態による回転電機のステータASSYに用いる導電性部材の端子部の構成を示す斜視図である。
図13】本発明の実施形態の変形例による回転電機のステータASSYの一部を切断した断面図である。
図14図13に示す変形例による回転電機のステータASSYに形成される三相交流回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明の第1〜第3の実施形態による回転電機の構成及び作用を説明する。なお、各図において、同一部分には同一符号を付すものとする。
【0012】
(第1の実施形態)
最初に、図1図2を用いて、回転電機のステータASSY1の構成を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSY1の構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSY1の一部(1a)を切断した断面図である。
【0013】
ステータASSY1は、ステータコア10と、ボビン3と、導電性部材(集配電部材)41、42、43、44と、コネクションリング5などから構成されている。
【0014】
ステータコア10は、回転電機の磁気回路を構成する。ボビン3には、ステータコイル2が集中巻で巻装される。導電性部材(集配電部材)41、42、43、44には、ステータコイル2が接続され電気回路が構成される。コネクションリング5は、絶縁材で環状に構成され、導電性部材41〜44が配置される。ステータコア10は、円環状に打ち抜き加工またはエッチング加工により成形された、厚さ0.05〜1.0mm程度の電磁鋼板を複数枚積層して構成される。これにより、ステータコア10の形状は、円筒状となる。
【0015】
図2に示すように、ステータコア10は、微小な空隙を介して対面するロータ(不図示)と磁気回路を構成するヨーク部11と、複数のティース部12から成り、ティース部12とティース部12の間にはステータコイル2が配置されるスロット部13が存在する。
【0016】
ティース部12には、ボビン3が装着され、ボビン3の周囲にはステータコイル2が集中巻で巻装される。ボビン3は、絶縁部材にて構成されており、ステータコイル2とステータコア10間の絶縁、及び、ステータコイル2の熱をティース部12に伝熱する効果を果たしている。なお、ステータコイル2は、ボビン3を介して、ティース部12の周りに巻回される。
【0017】
集中巻きされたステータコイル2のスロットからスロットにまたがる部分は、コイルエンド部14である。銅の使用量低減のため、コイルエンド部は短く、高さが低いことが望まれる。
【0018】
ステータコイル2の端部15は、巻始め、巻終りともにコイルエンド部14から回転電機の径方向外側へ延伸している。
【0019】
ステータコア10の軸方向側面部で、ステータコイル2のコイルエンド部14に隣接する部分には、三相交流のU相を構成する導電性部材41と、V相を構成する導電性部材42と、W相を構成する導電性部材43と、三相Y結線を構成するための中性線導電性部材44と、これらが収められたコネクションリング5が配置されている。図2に示すように、コネクションリング5は、櫛歯形状をしており、U相導電性部材41、V相導電性部材42、W相導電性部材43、中性線導電性部材44を絶縁している。
【0020】
図1に示すように、U相導電性部材41、V相導電性部材42、W相導電性部材43は、外部電源(不図示)と接続する端子部45を有している。端子部45は、電力変換装置に接続される。本ステータASSY1を組み込んだ回転電機が電動機として動作する場合には外部から端子部45を介して回転電機の導電性部材41〜44に電力が供給される。一方、発電機として動作する場合には端子部45を介して回転電機の導電性部材41〜44から外部に電力が供給される。
【0021】
次に、図3を用いて、回転電機のステータASSY1に形成される三相交流回路について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSYに形成される三相交流回路を示す図である。
【0022】
図3に示すように、U相導電性部材41、V相導電性部材42、W相導電性部材43、中性線導電性部材44と各ティース部12に巻回されたステータコイル2によって、三相交流回路が形成される。
【0023】
次に、図4を用いて、導電性部材41〜44の構成を説明する。図4は、本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSY1に用いる導電性部材41、42、43、44の共通の形状を示す図である。
【0024】
U相導電性部材41、V相導電性部材42、W相導電性部材43、中性線導電性部材44は、それぞれステータコイル2と接続する端子部46を有している。導電性部材の端子部46は、略円筒状の導電性部材の一部がステータASSY1の軸方向に延伸される形状で構成される。導電性部材41〜44は、例えば、長方形の金属板を打ち抜いた後、円環状に曲げて形成される。
【0025】
次に、図5図6を用いて、ステータコイル2と導電性部材41〜44の接続部の構成を説明する。図5は、本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSY1に用いるステータコイル2と導電性部材41〜44の接続部の構成を示す図である。図6は、図5に示す接続部の拡大図である。
【0026】
2つのステータコイル2の端部15は、隣接する導電性部材41〜44の端子部46とステータASSY1の半径方向(9b)の位置をそれぞれ合わせる。ステータコイル2は、曲げ加工や型成形によって、コイルエンド部14からステータASSY1の半径方向(9b)に配置される。
【0027】
ステータASSY1の半径方向(図5中の破線軸9b)に配置されたステータコイル2の端部15は、導電性部材41〜44のステータASSY1の軸方向上において、ステータASSY1の軸方向(図5中の破線軸9a)に延長(延在)された導電性部材の端子部46と略交差状に接する。
【0028】
ステータコイル2がu相ステータコイルであれば、ステータコイル2の端部15のうちの1つがU相導電性部材41の端子部46と、他方の端部が中性線導電性部材44の端子部46と、略交差状に接する。
【0029】
ステータコイル2がv相ステータコイルであれば、ステータコイル2の端部15のうちの1つがV相導電性部材42の端子部46と、他方の端部が中性線導電性部材44の端子部46と、略交差状に接する。
【0030】
ステータコイル2がw相ステータコイルであれば、ステータコイル2の端部15のうちの1つがW相導電性部材43の端子部46と、他方の端部が中性線導電性部材44の端子部46と、略交差状に接する。
【0031】
詳細には、図6に示すように、ステータコイル2の端部15は、端子部46の周方向の端面46Wと接する。ステータコイル2の端部15は導電性部材41〜44の径方向(ステータコア10の径方向)に沿って伸びている。
【0032】
導電性部材41〜44の端子部46と略交差状に接するステータコイル2の端部は、接合においてより信頼性の高い母材どうしが結合することを目的として、ステータコイル2の表面の絶縁体であるエナメル皮膜がはく離されている(15b)。
【0033】
ここで、エナメル皮膜がはく離された部分15bと導電性部材41〜44の端子部46の体積差は所定の域値以下であることが望ましい。所定の閾値は、剥離された部分15と端子部46とが溶接時にバランスよく溶融するように定められる。
【0034】
ステータコイル2の端部15と導電性部材41〜44の端子部46は、略交差状に接している部位にて、例えば、溶接などの工法で接続される。本実施形態では、ステータコイル2と導電性部材41〜44の接続部をコイルエンド部14上ではなく、導電性部材41〜44上に配置しているので、接続の際に、コイルエンド部14に火花等が飛散してステータコイル2の絶縁被膜を損傷する懸念がない。
【0035】
なお、ステータコイル2の端部15は、ステータコイル2のスプリングバック力によって端子部46に押し付けられるようにしてもよい。
【0036】
次に、図7を用いて、ステータコイル2と導電性部材41〜44の端子部46とを接続するアーク溶接を説明する。図7Aは、本発明の第1の実施形態による回転電機のステータASSY1に用いるステータコイル2と導電性部材41〜44の端子部46とを接続するアーク溶接を説明するための図である。図7Bは、図7Aに示す状態でアーク溶接を行った後のステータコイル2の端部15と導電性部材41〜44の端子部46の接続形状を示す図である。
【0037】
図7Aに示すように、チャック81、82がステータコイル2の端部15と導電性部材41〜44の端子部46をはさみ込み、両部材を密着させる。アーク電源(不図示)は、電極80とチャック81に接続されている。
【0038】
ステータコイル2の端部15と導電性部材41〜44の端子部46の接続は、ガスノズル83から不活性ガスが排出され、アーク電源に接続された電極80から導電性部材41〜44の端子部46に向けてアークが飛び、導電性部材41〜44の端子部46とステータコイル2の端部15が溶融することで達成される。換言すれば、端子部46は、ステータコイル2の端部15に固定する溶融部46aを有する。
【0039】
アーク溶接の事例では、図7Bに示すように、導電性部材41〜44が溶融(46a)することで、ステータコイル2と導電性部材41〜44が接続されるだけでなく、溶融によって導電性部材41〜44の端子部46の高さが低くなりステータASSY1の軸方向長さが短くなる効果がある。なお、接続方法は、アーク溶接以外にも、抵抗溶接やろう付けなどの方法を用いても構わない。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、ステータコイル2と接続する導電性部材41〜44の端子部46の構造が簡易で、かつ、回転電機のステータASSY1の軸方向長さを抑えることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、図8図9を用いて、本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSY1の構成を説明する。図8は、本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSY1に用いる導電性部材41〜44の端子部46の構成を示す斜視図である。また、図9は、本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSY1に用いるステータコイル2と導電性部材41〜44の端子部46とを接続するアーク溶接を説明するための図である。
【0042】
本実施形態では、図8に示すように、導電性部材41〜44の端子部46は、凹部47を有する。これにより、図9に示すように、ステータコイル2の端部15と導電性部材41〜44の端子部46をクランプする際に、導電性部材41〜44とチャック81でステータコイル2が包み込まれる。換言すれば、ステータコイル2の端部15は凹部47に嵌合する。凹部47は、周方向に開口している。
【0043】
そのため、導電性部材41〜44に対するステータコイル2の位置が安定する。すなわち、ステータコイル2の端部15の位置決めが容易である。したがって、接続の作業性が向上するとともに、接続の信頼性も高まる。
【0044】
ここで、ステータコイル2の端部15と導電性部材41〜44の端子部46をチャック81、82でクランプする際に、導電性部材41〜44の端子部46の凹部47がステータコイル2の幅よりも深いと、チャックがステータコイル2を保持できなくなりステータコイル2の位置は不安定になる。そのため、導電性部材41〜44の端子部46の凹部47はステータコイル2の幅よりも浅い必要がある。
【0045】
次に、図10図11を用いて、本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSY1に用いる導電性部材41〜44の端子部46の作用効果について説明する。図10は、本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSY1の全体鳥瞰図である。図11は、本発明の第2の実施形態による回転電機のステータASSY1に用いる導電性部材41〜44の端子部46を正面から見た図である。
【0046】
図11に示すように、ステータASSY1の上の全てのステータコイル2の端部15と導電性部材41〜44の端子部46が略交差状に接している部位において、導電性部材41〜44の端子部46に対するステータコイル2の端部15の位置が同じ向きに揃っている。
【0047】
詳細には、ステータコイル2の端部15は、ティース部12が延伸する方向と逆方向(図11の紙面奥から手前に向かう方向)に向きが揃っている。また、ステータコイル2の端部15は、ステータASSY1(ステータコア10)の軸方向の位置PAが同じである。
【0048】
なお、ステータコイル2のコイルエンド部14は、導電性部材41〜44の軸方向において、端子部46の先端と根本の間に位置する。
【0049】
本実施形態の例では、図10及び図11に示すように、ステータコイル2の端部15が導電性部材41〜44の端子部46に対して反時計回り方向ARに位置している。すなわち、図11に示すように、すべての前記凹部は、開口方向が同じである。
【0050】
接続対象物であるステーコイル2の端部15と導電性部材41〜44の端子部46の位置関係がステータASSY1上で全て同一にすることで、接続作業中に接続条件を変えたり、チャックに接続された電極の位置を変えたりする必要がなくなる。そのため、接続の作業性が良い。
【0051】
図11に示すように、ステータコイル2の2つの端部15のステータASSY1の軸方向高さをほぼ同一に揃え、導電性部材41〜44の端子部46の高さを揃えると、略交差状となる部位の高さが揃う。それにより、接続作業中に接続条件を変えたり、電極の位置を変えたりする必要がなくなる。そのため、接続の作業性が良い。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、ステータコイル2と接続する導電性部材41〜44の端子部46の構造が簡易で、かつ、回転電機のステータASSY1の軸方向長さを抑えることができる。また、ステータコイル2の端部15と端子部46との接続の作業性が良くなる。
【0053】
(第3の実施形態)
次に、図12を用いて、導電性部材41〜44の端子部46の構成を説明する。図12は、本発明の第3の実施形態による回転電機のステータASSY1に用いる導電性部材41〜44の端子部46の構成を示す斜視図である。
【0054】
本実施形態では、図12に示すように、コイルエンド部14とコネクションリング5の間に位置するボビン3の一部に、凹部(3a)が設けられている。すなわち、ボビン3は、ステータコイル2の端部15を導電性部材41〜44の端子部46へ誘導する凹部3aを有する。なお、ボビン3の一部にステータコイル2が係合する突起を設けてもよい。
【0055】
ボビン3の凹部(3a)は導電性部材41〜44に対するステータコイル2の位置決めガイドとなり、ステータコイル2と導電性部材41〜44を略交差状に接する作業性が良くなる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、ステータコイル2と接続する導電性部材41〜44の端子部46の構造が簡易で、かつ、回転電機のステータASSY1の軸方向長さを抑えることができる。ステータコイル2の端部15と端子部46との接続の作業性が良くなる。
【0057】
(変形例)
次に、図13図14を用いて、本発明の実施形態の変形例による回転電機のステータASSY1の構成を説明する。図13は、本発明の実施形態の変形例による回転電機のステータASSY1の一部(1b)を切断した断面図である。図14は、図13に示す変形例による回転電機のステータASSY1に形成される三相交流回路を示す図である。
【0058】
第1〜第3の実施形態では、三相Y結線の回転電機のステータの構造を例としたが、導電性部材の数は結線方法や交流の相数に応じて変化するので、三相Y結線に限定するものではない。
【0059】
本変形例では、三相Y結線の代わりに三相Δ結線としている。図13に示すように、円筒状の導電性部材は、U相導電性部材41、V相導電性部材42、W相導電性部材43で構成される。
【0060】
u相ステータコイルの端部15uのうちの1つがU相導電性部材41の端子部46と、他方の端部がV相導電性部材42の端子部46と、略交差状に接する。v相ステータコイルの端部15vのうちの1つがV相導電性部材41の端子部46と、他方の端部がW相導電性部材42の端子部46と、略交差状に接する。w相テータコイルの端部15wのうちの1つがW相導電性部材41の端子部46と、他方の端部がU相導電性部材42の端子部46と、略交差状に接する。導電性部材の端子部と各ステータコイルの端部を接続すると、図14に示す三相交流回路が形成される。
【0061】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0062】
上記実施例では、ステータコイルに偏平コイルを例示したが、偏平コイルに限定されず、例えば丸線コイルを用いても構わない。
【0063】
上記実施例では、ステータASSYの外径側からU相導電性部材、V相導電性部材、W相導電性部材、中性線導電性部材が配置したが、これは一例であり、導電性部材の配置は本実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1…ステータASSY
1a…ステータASSYの断面
2…ステータコイル
3…ボビン
3a…ボビンに設けられたステータコイルのガイド
5…コネクションリング
10…ステータコア
11…ステータコアのヨーク部
12…ステータコアのティース部
13…スロット(空間)
14…コイルエンド部
15…ステータコイルの端部
15b…ステータコイルの端部のエナメル皮膜をはく離した部位
15u…u相ステータコイルの端部
15v…v相ステータコイルの端部
15w…w相ステータコイルの端部
41…U相導電性部材
42…V相導電性部材
43…W相導電性部材
44…中性線導電性部材(中性線)
45…外部電源との接続端子
46…導電性部材の端子部(ステータコイルとの接続端子部)
46a…導電性部材の端子部の溶融部
47…導電性部材の端子部の凹部
80…アーク溶接の電極
81…アーク溶接の電極が接続されたチャック
82…チャック
83…不活性ガスノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
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図14