(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取付部の外周側における前記肉抜凹部の開口とは反対側に燃料系車両部品および電装系車両部品の少なくとも一方が配置されている請求項2に記載のエンジンカバー。
複数の前記取付部にそれぞれ前記脆弱部が設けられていると共に、該脆弱部を備えるそれら複数の取付部において該脆弱部によって誘導される変形方向が相互に同じとされている請求項1〜3の何れか一項に記載のエンジンカバー。
複数の前記取付部にそれぞれ前記脆弱部が設けられていると共に、それら複数の取付部の少なくとも二つにおいて変形剛性が相互に異ならされている請求項4に記載のエンジンカバー。
前記取付部にはウレタン系エラストマで形成された弾性係合体が固着されており、該弾性係合体と前記エンジン側に設けられた係合部材とが相互に係合されることによって該取付部が該エンジン側に取り付けられるようにした請求項1〜5の何れか一項に記載のエンジンカバー。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば自動車において、エンジンの発する音の放射を低減するなどの目的で、エンジンカバーが採用される場合がある。エンジンカバーは、合成樹脂などで形成されており、エンジンの上方を覆うカバー本体がエンジン側に突出する取付部においてエンジンの上面に取り付けられて、エンジンルーム内でエンジンとボンネットの間に配設されている。
【0003】
ところで、ボンネットとエンジンの間に配されるエンジンカバーには、衝突時に歩行者などを保護するために、緩衝性能が求められる。即ち、特許第4062524号公報(特許文献1)では、エンジンカバーのエンジンへの取付部が衝撃荷重の入力時に破断するようになっており、カバー本体がエンジン側に沈み込むように変位することで、衝突した歩行者などに及ぼされる荷重が低減されるようになっている。
【0004】
しかし、ボンネットがカバー本体に当接して、カバー本体がエンジン側へ接近するように変形すると、カバー本体がエンジンルーム内の車両部品に接触するおそれがあり、接触を回避するために大きなクリアランスを設ける必要が生じる。特に、燃料系車両部品(燃料配管など)や電装系車両部品(ワイヤハーネスなど)がカバー本体の接触によって損傷しないように、十分な空間が求められて、省スペース化の実現が難しくなるという不具合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、衝突時の緩衝性能と車両部材への接触の回避とを、小さなスペースによって実現することができる、新規な構造のエンジンカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0008】
すなわち、本発明の第一の態様は、エンジンの上方を覆うカバー本体と、該カバー本体から該エンジン側に突出して該エンジン側に取り付けられる取付部とを、有するエンジンカバーにおいて、前記カバー本体と前記取付部が発泡ウレタンによって一体形成されていると共に、該取付部の周上には脆弱部が
偏在して設けられており、該カバー本体への荷重入力時に該取付部が該脆弱部によって
該脆弱部の偏在により予め設定された特定方向に
倒れるようにして変形せしめられるようにしたことを、特徴とする。
【0009】
このような本発明の第一の態様に従う構造とされたエンジンカバーによれば、取付部に形成された脆弱部によって、カバー本体への荷重入力に対する取付部の変形方向が特定されている。即ち、取付部は、周上で脆弱部が形成された側に倒れ乃至は屈曲変形し易くなっており、これにより、歩行者などの衝突による荷重入力に対して、取付部やカバー本体の変位がコントロールされて、エンジンカバーの車両部品への接触などを防ぐことができる。
【0010】
また、カバー本体および取付部が発泡ウレタンで形成された柔軟なものであることから、ボンネットに歩行者などが衝突して、変形乃至は変位したボンネットがカバー本体に当接しても、歩行者などに及ぼされる衝撃力がエンジンカバーの剛性によって大きくなるのを防ぐことができる。従って、ボンネットとカバー本体の距離を小さくすることも可能であり、エンジンルームに大きな配設空間を要することなくエンジンカバーを採用することができる。
【0011】
しかも、脆弱部によって取付部の変形剛性がより小さくされていることから、ボンネットに衝突した歩行者などに及ぼされる衝撃力が一層低減される。加えて、カバー本体および取付部が柔軟で弾性と優れた減衰性能を有する発泡ウレタンによって形成されていることにより、歩行者などの衝突初期の衝撃力を十分に低減しながら、衝突のエネルギーをエンジンカバーの変形に伴うエネルギー減衰作用によって吸収することができる。
【0012】
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載されたエンジンカバーにおいて、前記脆弱部が前記取付部の外周面に周上で
偏在して部分的に開口する肉抜凹部によって構成されているものである。
【0013】
第二の態様によれば、取付部の外周面に開口する肉抜凹部が形成されていることにより、取付部に突出方向の圧縮荷重が入力されると、取付部が肉抜凹部の開口側に折れるように変形することから、カバー本体および取付部を特定の方向に変形させることができる。しかも、肉抜凹部を形成して取付部の形状を周上で変化させることにより、脆弱部を簡単に設けることができる。
【0014】
本発明の第三の態様は、第二の態様に記載されたエンジンカバーにおいて、前記取付部の外周側における前記肉抜凹部の開口とは反対側に燃料系車両部品および電装系車両部品の少なくとも一方が配置されているものである。
【0015】
第三の態様によれば、肉抜凹部の開口方向とは反対側に、燃料系車両部品や電装系車両部品が配置されることによって、取付部が肉抜凹部の開口部分において折れ曲がるように変形しても、変形した取付部が燃料系車両部品や電装系車両部品に接触するのを防ぐことができる。更に、取付部が肉抜凹部の開口部分で折れ曲がるように変形することにより、カバー本体に特定方向のモーメントが作用して、取付部の周上における肉抜凹部の開口部分と反対側において、カバー本体がエンジン側から離れるように変形し易くなることから、カバー本体も燃料系車両部品や電装系車両部品に接触し難くなる。従って、燃料系車両部品や電装系車両部品がエンジンカバーとの接触によって損傷するのを防いで、燃料の漏出や漏電による危険を回避することができる。
【0016】
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか一つの態様に記載されたエンジンカバーにおいて、複数の前記取付部にそれぞれ前記脆弱部が設けられていると共に、該脆弱部を備えるそれら複数の取付部において該脆弱部によって誘導される変形方向が相互に同じとされているものである。
【0017】
第四の態様によれば、エンジン側への荷重入力による各取付部の変形によって、カバー本体が、エンジン側への変位だけでなく、荷重入力方向と直交する特定方向への変位を伴いながら、エンジン側へ変位する。従って、カバー本体がエンジン側に配された車両部品に接触し難くなって、車両部品の損傷が回避されると共に、カバー本体がエンジン側に当接し難くなることで、エンジンカバーの変形に伴う緩衝作用が大きなストロークで有効に発揮される。
【0018】
本発明の第五の態様は、第四の態様に記載されたエンジンカバーにおいて、複数の前記取付部にそれぞれ前記脆弱部が設けられていると共に、該脆弱部を設けられたそれら複数の取付部の少なくとも二つにおいて変形剛性が相互に異ならされているものである。
【0019】
第五の態様によれば、変形剛性の異なる取付部が互いに異なる変形態様で変形することにより、一層優れた緩衝作用が発揮されて、衝突した歩行者などに作用する衝撃力を緩和することができる。なお、変形剛性の異なる取付部が段階的に変形することで、衝突初期の緩衝作用の向上と、カバー本体のエンジン側への当接の防止とが、何れも有利に実現され得る。一方、想定される入力に対して変形剛性の異なる取付部が同時に変形するようにすれば、エンジンカバー全体の変形に伴う緩衝作用によって、衝突した歩行者などに作用する衝撃力が効果的に低減され得る。
【0020】
本発明の第六の態様は、第一〜第五の何れか一つの態様に記載されたエンジンカバーにおいて、前記取付部にはウレタン系エラストマで形成された弾性係合体が固着されており、該弾性係合体と前記エンジン側に設けられた係合部材とが相互に係合されることによって該取付部が該エンジン側に取り付けられるようにしたものである。
【0021】
第六の態様によれば、取付部に固着された弾性係合体をエンジン側の係合部材に係合させることにより、十分な耐久性や取付状態の安定性をもってエンジンカバーがエンジン側に取り付けられる。また、弾性係合体がウレタン系エラストマで形成されることにより、発泡ウレタンで形成された取付部に対して、弾性係合体を容易に且つ強固に固着することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、発泡ウレタンで形成された柔軟なカバー本体と取付部を採用することにより、ボンネットに衝突した歩行者などに作用する衝撃力が、カバー本体および取付部の変形に伴う減衰作用によって低減される。更に、取付部に脆弱部が設けられて、荷重の入力に対する取付部の変形方向が特定されていることにより、荷重入力時にカバー本体および取付部の車両部品への接触を回避し易くなって、車両部品の損傷などが防止される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1〜3には、本発明の一実施形態としてのエンジンカバー10が示されている。エンジンカバー10は、カバー本体12に四つの取付部14,14,14,14が一体形成された構造を有している。なお、以下の説明において、上下方向とは車両装着状態で略鉛直上下方向となる
図2中の上下方向を、前後方向とは車両装着状態で略車両前後方向となる
図3中の左右方向を、左右方向とは車両装着状態で略車両左右方向となる
図2中の左右方向を、それぞれ言う。
【0026】
より詳細には、カバー本体12は、前後および左右に広がる板状とされており、発泡ウレタンの半硬質フォームで形成されることによって、軽量であると共に、ある程度の剛性と優れた衝撃吸収力(高減衰特性)を備えている。また、カバー本体12は、独立気泡型の発泡ウレタンを採用することによって、必要とされる剛性や減衰性能を実現し易くなるが、連続気泡型でも良いし、独立気泡と連続気泡が混在していても良い。なお、本実施形態のカバー本体12は、平面視で略角丸矩形とされていると共に、外周端部には下方に向かって突出する補強リブ16が、全周に亘って連続的に一体形成されている。
【0027】
カバー本体12を形成する発泡ウレタンは、例えば、ポリウレタンの合成時に、グリコール成分とジイソシアネート成分が水により反応して発生するガスによって発泡体とすることで、得ることができる。更に、所定の発泡倍率や発泡態様を実現するために、発泡剤や発泡均一化剤などを添加しても良い。なお、カバー本体12を形成する発泡ウレタンは、ポリエーテル系とポリエステル系の何れも採用可能である。また、後述する衝突時の緩衝作用を有効に得るために、発泡ウレタンは、密度が0.08〜0.15g/cm
3 とされる。
【0028】
さらに、カバー本体12の表面(上面および外周面)には、被覆層18が形成されている。被覆層18は、ウレタン塗料によって形成された薄肉の表皮であって、カバー本体12の表面の欠肉が被覆層18によって覆い隠されている。なお、被覆層18は、非発泡乃至はカバー本体12に対して著しく小さな発泡倍率で形成されており、カバー本体12に比して滑らかな表面を得ることができる。
【0029】
また、カバー本体12の下面には、四つの取付部14,14,14,14が形成されている。取付部14は、カバー本体12と同じ発泡ウレタンによって一体形成されており、
図1〜4に示すように、逆向きの略円錐台形状を有して、カバー本体12から下方に向かって先細形状で突出している。
【0030】
さらに、取付部14には、脆弱部としての肉抜凹所20が形成されている。肉抜凹所20は、取付部14の外周面に開口する切欠き状の凹所であって、
図1に示すように、取付部14の周上で部分的に形成されている。本実施形態の肉抜凹所20の内面は、
図4に示すように、周壁内面22と上壁内面24と一対の端壁内面26,26とによって構成されており、上壁内面24が上下方向に対して直交する略水平に広がっている。
【0031】
更にまた、本実施形態では、四つの取付部14,14,14,14のそれぞれに肉抜凹所20が形成されており、何れの肉抜凹所20も車両後方側に向かって開口している。更に、後述する車両への装着状態で車両前方側に位置する二つの取付部14a,14aに形成される肉抜凹所20aの形状と、車両後方に位置する二つの取付部14b,14bに形成される肉抜凹所20bの形状とが、相互に異ならされている。具体的には、肉抜凹所20aは、取付部14の外周面に対する周壁内面22の傾斜角度と、周方向の長さとが、何れも肉抜凹所20bよりも小さくされており、肉抜凹所20bに比して、取付部14の周方向に狭幅且つ径方向に浅底とされている。これにより、肉抜凹所20aを形成された車両前方側の取付部14aと、肉抜凹所20bを形成された車両後方側の取付部14bは、変形剛性が相互に異ならされており、本実施形態では取付部14aの変形剛性が取付部14bよりも大きくされている。
【0032】
また、取付部14の突出先端部分には、弾性係合体28が取り付けられている。弾性係合体28は、ウレタン系エラストマで形成されており、
図4に示された断面形状を有する回転体とされている。より具体的には、弾性係合体28は、略円筒形状とされた外周固着部30の内周側に、逆向きの略有底円筒形状を有する中央嵌合部32が設けられており、それら外周固着部30と中央嵌合部32の下端部が、下方に向かって次第に拡径するテーパ形状の中間案内部34によって、相互に連結された一体構造を有している。なお、外周固着部30の上端部には、外周側に広がる円環板形状のフランジ部36が一体形成されている。
【0033】
そして、弾性係合体28は、取付部14の下端部に下面だけが露出した埋設状態で固着されている。また、弾性係合体28の下面が取付部14から露出していることで、中央嵌合部32の中央穴が取付部14の下面に開口している。なお、弾性係合体28は、取付部14の成形時に特別な接着工程を要することなく、取付部14に固着されるようになっている。以下に、エンジンカバー10の製造方法を説明する。
【0034】
先ず、
図5(a)に示すように、金型38を構成する上金型40のキャビティ内面41に、ウレタン塗料で被覆層18を形成することにより、被覆層18の成形工程を完了する。この被覆層18は、例えば、上金型40のキャビティ内面41にウレタン塗料をスプレー等により所定の厚さで吹き付けて硬化させることによって形成できる。
【0035】
次に、キャビティ内面41に被覆層18を形成した上金型40と、予め準備した弾性係合体28をセットした下金型42とを、上下に組み合わせて型締めし、
図5(b)に示す金型38を形成した後、例えば、金型38のキャビティ44にカバー本体12および取付部14の形成材料(液体原料)を注入して発泡させる注型発泡成形法によって、発泡ウレタン製のカバー本体12および取付部14を成形する。これにより、カバー本体12および取付部14の成形工程を完了すると同時に、被覆層18のカバー本体12への固着および弾性係合体28の取付部14への固着工程を完了して、エンジンカバー10の製造工程を完了する。
【0036】
本実施形態では、被覆層18と弾性係合体28は、何れもウレタン系の材料で形成されていることから、発泡ウレタン製のカバー本体12および取付部14に対する親和性が高く、特別な接着剤の塗布等を要することなく、カバー本体12および取付部14に強固に固着される。
【0037】
かくの如き構造とされたエンジンカバー10は、
図4に示すように、車両に装着される。即ち、エンジン46の上面に突設された係合突起48が、エンジンカバー10の取付部14に設けられた弾性係合体28に嵌め入れられて係合されることにより、取付部14がエンジン46側に取り付けられて、カバー本体12がエンジン46の上方を覆うように支持される。本実施形態では、非発泡のウレタン系エラストマで形成された弾性係合体28に、エンジン側の係合突起48が係合されることから、発泡ウレタンで形成された各取付部14に係合突起48が直接的に係合されて取り付けられるよりも、耐久性や取付状態の安定性が向上せしめられる。
【0038】
さらに、エンジンカバー10は、エンジンルーム50内に収容されており、上方をボンネット52に覆われている。ボンネット52とエンジンカバー10は、上下に所定の距離を隔てて配置されている。これにより、エンジン46から放射される音が、エンジンカバー10によって吸収されて、ボンネット52への伝達が低減される。特に、本実施形態のエンジンカバー10は、カバー本体12と取付部14の両方が発泡ウレタンで形成されていることから、音の伝達がより効果的に防止される。なお、
図4では、一つの取付部14bが拡大されて示されているが、四つの取付部14a,14a,14b,14bがそれぞれ同様にしてエンジン46に固定されており、エンジンカバー10が四箇所でエンジン46に支持されている。
【0039】
更にまた、車両後方側の取付部14bの前方には、燃料系車両部品としての燃料配管54が左右に延びて配設されている。燃料配管54は、車両後方側の取付部14bの周上における肉抜凹所20bの形成方向とは反対側に設けられていると共に、車両前方側の取付部14aよりも車両後方側の取付部14bに近い位置に配置されている。
【0040】
かかる車両への装着状態において、歩行者などがボンネット52に衝突すると、
図6に示すように、ボンネット52が沈み込むように変形して、ボンネット52がエンジンカバー10におけるカバー本体12の上面に当接することから、カバー本体12に下向きの荷重が入力される。これにより、各取付部14には、カバー本体12を介して、ボンネット52とエンジン46の間で、上下方向の圧縮力が及ぼされる。
【0041】
ここにおいて、各取付部14には車両後方側に開口する肉抜凹所20が形成されており、取付部14に軸方向の大きな圧縮力が及ぼされると、
図6に示すように、取付部14は、肉抜凹所20の開口側が谷状に折れ曲がるように変形して、肉抜凹所20よりも上方が、取付部14におけるエンジン46への取付面に対して特定方向(車両後方)に傾動せしめられる。取付部14がかくの如く変形することにより、カバー本体12は、取付部14よりも車両後方側で下方に変位する一方、取付部14よりも車両前方側では上方に変位する。その結果、取付部14に対して車両前方側に配された燃料配管54に、取付部14の上部およびカバー本体12が当接するのを防いで、燃料配管54の損傷による燃料の漏出などが回避される。なお、
図6では、カバー本体12の傾動を分かり易くするために、水平に延びる一点鎖線を図示した。
【0042】
本実施形態では、カバー本体12との接触を回避される車両部品として、燃料配管54が例示されているが、燃料配管54のような燃料が流動乃至は貯留される燃料系車両部品の他、車載バッテリーのような電源に電気的に接続されて通電されるワイヤハーネスなどの電装系車両部品も、カバー本体12との接触を回避されることが望ましい。蓋し、燃料系車両部品や電装系車両部品がカバー本体12との接触によって破損すると、燃料の漏出や漏電による出火などの危険が生じ得るからである。
【0043】
さらに、取付部14の初期変形態様が肉抜凹所20によって
図6の如く誘導されることから、入力荷重が著しく大きい場合にも、取付部14が車両後方側に倒れ変形し易くなって、カバー本体12の変位が車両後方側へのスライドを伴って斜め下向きに生じる。特に、ボンネット52に対する衝突荷重の入力方向は、通常、車両後方側に傾斜していることから、取付部14に車両後方側への倒れ変形が生じ易い。それ故、カバー本体12が燃料配管54などの車両部品に接触するまでのストロークを大きく確保することができて、カバー本体12の接触による車両部品の損傷を、省スペースで有効に防ぐことができる。
【0044】
特に本実施形態では、四つの取付部14,14,14,14にそれぞれ形成された肉抜凹所20が、何れも車両後方側に開口している。これにより、各取付部14が何れも車両後方側に変形し易くなっており、カバー本体12が車両後方側へのスライド変位を伴って下方に変位することで、カバー本体12が燃料配管54などの車両部品に接触し難くなっている。
【0045】
また、エンジンカバー10は、カバー本体12と取付部14の全体が、柔軟で衝撃吸収力に優れた発泡ウレタンで形成されている。それ故、ボンネット52とエンジンカバー10が近接して配置されて、相互に当接し易い場合にも、ボンネット52に衝突した歩行者などに作用する衝撃力が、エンジンカバー10の変形に伴うエネルギー減衰作用によって低減されて、歩行者などの安全性が向上せしめられる。
【0046】
さらに、本実施形態では、車両前方側の取付部14aに形成される肉抜凹所20aと、車両後方側の取付部14bに形成される肉抜凹所20bが、互いに異なる形状とされており、取付部14aの変形剛性が取付部14bの変形剛性よりも大きくされている。これにより、取付部14aと取付部14bの変形態様が相互に異ならされて、それら取付部14aと取付部14bが段階的に変形することから、エンジンカバー10による緩衝作用がより効果的に及ぼされて、ボンネット52に衝突した歩行者などに作用する荷重がより一層低減される。
【0047】
更にまた、本実施形態では、車両前方側に位置する取付部14aの変形剛性が、車両後方側に位置する取付部14bの変形剛性よりも大きくされていることから、歩行者などが車両前方側からボンネット52に衝突する際に、衝突初期の大荷重によるエンジンカバー10の変形量がある程度制限される。これにより、衝突による瞬間的な大荷重の入力時に、カバー本体12がエンジン46に当接するまでエンジンカバー10が変形するのを防いで、衝突した歩行者などに及ぼされる荷重を安定して低く抑えることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、脆弱部は、必ずしも肉抜凹所で構成されるものには限定されず、取付部の形成材料の材質や発泡倍率を周上で部分的に他の部分と異ならせる等して、周上で部分的に脆弱部を設けることもできる。更に、例えば、取付部の周上で部分的に補強部材を固着して、補強部材を外れた部分を脆弱部としたり、弾性係合体28の形状を周方向で変化させて取付部の周上に脆弱部を設けたりすること等も可能である。上記の如き構造の脆弱部を有する取付部では、肉抜凹部20で脆弱部を構成した前記実施形態のような屈曲変形に代えて、脆弱部側に凹となる特定方向への曲げ変形が生じ得る。なお、複数の取付部にそれぞれ脆弱部を設ける場合には、各取付部に設けられる脆弱部の構造は互いに同じである必要はなく、異なっていても良い。
【0049】
脆弱部は、必ずしも取付部の周上に一つだけが設けられるものではなく、荷重入力時に取付部の変形が特定されるように複数の脆弱部を設けることもできる。
【0050】
また、脆弱部が肉抜凹所で構成される場合には、肉抜凹所の形状や大きさ、開口方向、数などは特に限定されない。更に、複数の取付部に肉抜凹所が形成される場合には、各取付部に形成された肉抜凹所の開口方向は、互いに異なっていても良い。
【0051】
更にまた、前記実施形態では、取付部14の突出方向の中間部分に肉抜凹所20が形成されていたが、例えば、取付部14のカバー本体12側の端部に肉抜凹所を形成しても良い。この場合には、カバー本体12に入力される荷重によって取付部14が圧縮されると、取付部14がカバー本体12に対して傾斜するように特定方向に変形変位する。なお、取付部14のエンジン46側の端部に肉抜凹所を形成しても良く、その場合には、圧縮荷重の入力によって、取付部14がエンジン46に対して傾斜するように変形変位する。
【0052】
また、前記実施形態では、全ての取付部14,14,14,14に脆弱部が設けられた構造を例示したが、本発明では少なくとも一つの取付部に脆弱部が設けられていれば良く、例えば、燃料系車両部品や電装系車両部品に近い位置に設けられる取付部にだけ脆弱部を選択的に設けることもできる。
【0053】
また、取付部14の数は四つに限定されるものではない。更に、取付部14のカバー本体12に対する形成位置も特に限定されるものではなく、任意の位置で適宜に設けられ得る。
【0054】
前記実施形態におけるカバー本体12および取付部14の具体的な形状は、あくまでも例示であって、特に限定されない。例えば、複数の取付部が互いに異なる形状とされて、カバー本体12からの突出長さや径方向の寸法、軸直角方向の断面形状などが互いに異なっていても良い。