特許第6232454号(P6232454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6232454シリコーン剥離剤用帯電防止剤及び帯電防止性シリコーン剥離フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232454
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】シリコーン剥離剤用帯電防止剤及び帯電防止性シリコーン剥離フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/16 20060101AFI20171106BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20171106BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20171106BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20171106BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   C09K3/16 104E
   C09J7/02 Z
   C08J7/04 DCER
   C08J7/04CEZ
   B32B27/00 101
   C09K3/00 R
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-12479(P2016-12479)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2016-148030(P2016-148030A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年11月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-21694(P2015-21694)
(32)【優先日】2015年2月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】近藤 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】島田 哲也
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−094984(JP,A)
【文献】 特開平05−320625(JP,A)
【文献】 特開2012−157978(JP,A)
【文献】 特開平07−070555(JP,A)
【文献】 特開2009−144164(JP,A)
【文献】 特開平09−031200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/16
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00− 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4級アンモニウム塩(A)及び2個以上のエチレン性不飽和結合を有するポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)を含有するシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物。
【請求項2】
前記第4級アンモニウム塩(A)が、一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A1)である請求項1に記載の帯電防止剤組成物。
【化1】
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基を表し、R3は炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル基又は炭素数7〜22のアリールアルケニル基を表し、R4は炭素数8〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基を表し、X-は−11.93未満のHammett酸度関数(H0)を有する超強酸の共役塩基であるアニオンを表す。]
【請求項3】
さらに有機金属化合物(C)を含有してなる請求項1又は2に記載の帯電防止剤組成物。
【請求項4】
さらに不飽和結合を有する脂肪族化合物(D)を含有してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物及びシリコーン剥離剤を含有する帯電防止性シリコーン剥離剤組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の帯電防止性シリコーン剥離剤組成物の層を、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に有する帯電防止性剥離フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコーン剥離剤用帯電防止剤、該シリコーン剥離剤用帯電防止剤を含有する帯電防止性シリコーン剥離剤、該帯電防止性シリコーンを塗布してなる剥離フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン剥離フィルムとは、基材上にシリコーン剥離剤を塗布したものであり、例えば接着フィルムあるいは粘着フィルム等の接合フィルムの貼付面から剥離されるフィルムであって剥離フィルム自体は接着性あるいは粘着性を示さないもの、例えば剥離フィルム及び剥離シート等が包含される。その具体例としては、基材の片面に剥離剤層を有する片面剥離フィルム、基材の両面に剥離剤層を有する両面剥離フィルムが挙げられる。
【0003】
基材としては、各種プラスチック[ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、レーヨン及びポリアミド等]のフィルム、シート、フォーム及びフラットヤーン並びに紙(和紙及びクレープ紙等)、金属板、金属箔、織布、不織布及び木材等が挙げられる。
【0004】
剥離フィルム使用時、粘着フィルム等から剥離させた際に剥離帯電が発生する場合があり、粘着フィルム及び剥離フィルムにちりやほこり等の異物の付着あるいは巻き込が発生する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、陰イオン界面活性剤が経時でブリードアウトしてくるため、粘着剤を汚染し、剥離力が変化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−233845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は帯電防止剤を添加した際、経時での剥離力変化が少なく、かつ帯電防止性能に優れるシリコーン剥離剤用帯電防止剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。即ち本発明は、
第4級アンモニウム塩(A)及びポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)を含有するシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物;前記シリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物を含有する帯電防止性シリコーン剥離剤組成物;前記帯電防止性シリコーン剥離剤組成物の層を、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に有する帯電防止性剥離フィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物を使用した帯電防止性剥離フィルムは、経時での剥離力変化が少なく、かつ帯電防止性能に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物は、第4級アンモニウム塩(A)、ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)を含有する。好ましくは塗膜密着性の理由からさらに有機金属化合物(C)を含有してもよい。また、好ましくは塗膜密着性の理由からさらに不飽和結合を有する脂肪族化合物(D)を含有してもよい。
【0011】
本発明における第4級アンモニウム塩(A)としては、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A1);並びに環状アミン(ピリジン及びモルホリン等)の第4級アンモニウム塩(A2)が挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】
一般式(1)におけるR及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基及びアルケニル基)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたアルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記)及びオレイル基等が挙げられ、分岐の炭化水素基としては、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。これらの内、シリコーンとの相溶性の観点から、好ましいのは炭素数1〜14の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、更に好ましいのは炭素数1〜8の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、特に好ましいのは炭素数1又は2の脂肪族炭化水素基、最も好ましいのはメチル基である。また、RとRは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0014】
は炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル、炭素数7〜22のアリールアルケニル基、又はアルキル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基及び/又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す。
炭素数1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基としては、R及びRとして例示したものと同様のものが挙げられ、炭素数7〜22のアリールアルキル基としてはベンジル基及びフェネチル基等が挙げられ、炭素数7〜22のアリールアルケニル基としてはスチリル基及びシンナミル基等が挙げられる。
【0015】
の内、剥離力の観点から好ましいのは炭素数1〜18の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜15のアリールアルキル基及びアリールアルケニル基、更に好ましいのは炭素数6〜14の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0016】
は炭素数8〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基等)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基及びオレイル基等が挙げられ、分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0017】
の内、剥離力の観点から好ましいのは炭素数8〜18の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、更に好ましいのは炭素数10〜16の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0018】
(A1)を構成する第4級アンモニウム基の具体例としては、Rが脂肪族炭化水素基の場合は、例えば、1つの長鎖アルキル基を有するもの(トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルドデシルアンモニウム、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウム、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウム、ジメチルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、メチルジエチルテトラデシルアンモニウム、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルオクタデシルアンモニウム、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウム及びメチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、)、2つの長鎖アルキル基(炭素数6〜22)を有するもの(ジメチルジヘキシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム及びジメチルジドデシルアンモニウム)、1つの長鎖アルケニル基(炭素数8〜22)を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、ジメチルエチルオレイルアンモニウム及びメチルジエチルオレイルアンモニウム)が挙げられる。
また、Rがアリールアルキル基の場合は、例えば、ジメチルデシルベンジルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウム及びジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムが挙げられる。
また、Rがアルキル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基及び/又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基の場合は、例えば、オレアミドエチルジエチルメチルアンモニウム、ステアラミドエチルジエチルベンジルアンモニウム及びステアラミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基等が挙げられる。
【0019】
これらの内、剥離力の観点から好ましいのは、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム及びジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムである。
【0020】
一般式(1)におけるXは、特に限定されるものではないが、例えばハロゲンイオン(F-、Cl-、Br-及びI-等)、カルボキシラートアニオン{炭素数1〜7のモノ又はジカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及びコハク酸等のイオン(−COO-)}、スルホン酸イオン{炭素数1〜20のスルホン酸(メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸等のイオン(−SO3-)}、リン酸イオン{リン酸又は炭素数1〜10のリン酸基含有化合物のイオン(−OPO32-)}、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸イオン及び硝酸イオン、無機酸類等が挙げられる。
【0021】
特に好ましいのは、一般式(1)におけるXは、−11.93未満のHammett酸度関数(H)を有する超強酸の共役塩基である。
【0022】
の共役酸である超強酸は、100%硫酸より強い酸強度を有する酸(「超強酸・超強塩基」田部浩三、野依良治著、講談社サイエンティフィック刊、p1参照)であり、Hammettの酸度関数(H)が100%硫酸の−11.93未満のものであり、プロトン酸及びプロトン酸とルイス酸の組み合わせからなる酸が挙げられる。
【0023】
プロトン酸の超強酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(H=−14.10)、ペンタフルオロエタンスルホン酸(H=−14.00)等が挙げられる。
【0024】
プロトン酸とルイス酸の組み合わせに用いられるプロトン酸としては、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素)が挙げられ、ルイス酸としては三フッ化硼素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化砒素及び五フッ化タウリン等が挙げられる。
プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られる超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸及び六フッ化タウリン等が挙げられる。
【0025】
として、一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A1)の帯電防止性能の観点から好ましいのは、Hammettの酸度関数(H)が−12.00以下の超強酸の共役塩基、更に好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、四フッ化硼素酸、六フッ化リン、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン、六フッ化砒素又は六フッ化タウリンの共役塩基、特に好ましいのは、トリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸又は六フッ化リン酸の共役塩基、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、最も好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸の共役塩基、及びビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドである。
【0026】
(A2)を構成する第4級アンモニウム基をしては、アルキロキシ(炭素数8〜24)メチルピリジニウム基(例えばステアリロキシメチルピリジニウム基)、アルキル(炭素数8〜24)オキシメチルピリジニウム基(例えば、ヘキサデシルオキシメチルピリジニウム基)及びアルキル(炭素数10〜24)ピリジニウム基(例えば、テトラデシルピリジニウム基)等が挙げられる。
【0027】
(A2)を構成するアニオンとしては、前記(A1)におけるXとして例示した超強酸の共役塩基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0028】
第4級アンモニウム塩(A)として、帯電防止性能及び剥離力の観点から好ましいのは(A1)であり、更に好ましいのはジメチルジデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、トリメチルヘキサデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム四フッ化硼素酸塩及びジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸である。
【0029】
第4級アンモニウム塩(A)の製造方法としては特に限定はなく、公知の方法、例えば下記の[I]及び[II]の方法等が挙げられ、好ましいのは[II]の方法である。
【0030】
[I] 第4級アンモニウム塩(例えば、クロルアニオンからなる塩)の水溶液(20〜70重量%)に前記超強酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩又はカリウム塩等)を加え(第4級アンモニウム塩/超強酸塩の当量比は通常1/1〜1/1.5、好ましくは1/1.05〜1/1.3)、室温で約2時間撹拌混合して、70〜80℃で約1時間撹拌後、静置して分液した下層(水層)を除去し、上層中の水分を減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
【0031】
[II] 第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)を、例えば第3級アミンの重量に基づいて10〜1,000重量%の量の有機溶媒(例えば、メタノール)の存在下又は非存在下に、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を形成し、更に前記超強酸を添加(第4級アンモニウムの当量に基づいて1.0〜1.2当量)し、10〜50℃で1時間撹拌して塩交換する。有機溶媒を80〜120℃で減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
【0032】
本発明において、ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)としては、エチレン性不飽和結合とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B1)及びポリシロキサン構造とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B2)等が挙げられる。
【0033】
エチレン性不飽和結合とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物等及び前記付加物の末端ヒドロキシル基を塩化(メタ)アクリル又は塩化(メタ)アリルで封鎖した2官能物等が挙げられる。
【0034】
ポリシロキサン構造とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B2)としては、例えば、アミノ変性シリコーンとポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)とをポリイソシアネートを用いて反応させたウレタンウレア化物、エポキシ変性シリコーンとPEGをジカルボン酸を用いて反応させたエステル化物、カルビノール変性シリコーンとPEGとをポリイソシアネートを用いて反応させたウレタン化物、ポリエーテル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーンとPEGとをポリイソシアネートを用いて反応させたチオウレタン化物、カルボキシル変性シリコーン又はカルボン酸無水物変性シリコーンとPEGとのエステル化物及びメチルハイドロジェンシリコーンと末端又は側鎖にエチレン性不飽和結合を有するPEGとを付加反応させた化合物等が挙げられる。
【0035】
(B2)に用いられるポリイソシアネートとしては、炭素数4〜22の鎖状脂肪族ポリイソシアネート(エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びシクロヘキシレンジイソシアネート等)、炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート及び4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等)及び炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(m−又はp−キシリレンジイソシアネート等)等が挙げられる。
【0036】
ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)として、剥離力の観点からシリコーン骨格に結合することが好ましいため、エチレン性不飽和結合とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B1)が好ましく、さらに第4級アンモニウム塩(A)のブリードアウトを抑え、剥離力変化を小さくするために2個以上のエチレン性不飽和結合を有するポリオキシエチレン鎖を有する化合物が好ましく、2個以上のエチレン性不飽和結合が末端にある化合物が最も好ましい。
【0037】
ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)におけるポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン基の繰り返し単位数は、帯電防止性能の観点から、2〜100であることが好ましく、更に好ましくは5〜50である。
【0038】
本発明における有機金属化合物(C)は有機鉄化合物(C1)、有機アルミニウム化合物(C2)、または有機チタン化合物(C3)が好ましい。これらの有機金属化合物は、1種類のみを用いても良く、適宜、2種類以上混合して用いても良い。
【0039】
本発明において有機鉄化合物(C1)としては、特に限定されないが、具体的には、オクチル酸第二鉄、酢酸第二鉄、プロピオン酸第二鉄、ナフテン酸第二鉄、鉄アセチルアセトナートが挙げられる。
【0040】
有機アルミニウム化合物(C2)としては、特に限定されないが、具体的には、アルミニウム(III)アセチルアセトナート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート等が挙げられる。
【0041】
有機チタン化合物(C3)としては、特に限定されないが、具体例には、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類等が挙げられる。
【0042】
有機金属化合物(C)において、さらに好ましくはキレート構造を有する有機金属化合物が好ましい。なお、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助 編者(株)大成社 平成2年版)にも具体的に記載されている。
【0043】
本発明における不飽和結合を有する脂肪族化合物(D)はアクリル化合物、メタクリル化合物、オレフィン化合物等が挙げられるが、塗膜密着性の観点からα−オレフィン化合物が好ましい。
【0044】
α−オレフィンとは炭素炭素二重結合がα位にある、つまり末端にあるアルケンである。直鎖又は分岐を持つα−オレフィンで、塗膜密着性の観点から炭素数が3〜25のものが好ましい。
【0045】
シリコーン剥離フィルム用帯電防止剤組成物において、第4級アンモニウム塩(A)とポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)の合計重量に対して、第4級アンモニウム塩(A)は0.1%以上重量30%以下、好ましくは1%以上重量25%以下含有され、ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)は70%以上重量99.9%以下、好ましくは75%以上重量99%以下含有される。
有機金属化合物(C)の含有量は(A)と(B)の合計重量に対して、10重量%以上100重量%以下、不飽和結合を有する脂肪族化合物(D)の含有量は(A)と(B)の合計重量に対して、10重量%以上100重量%以下であることが好ましい。
【0046】
本発明のシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物は、(A)、(B)、(C)、及び(D)、及び必要によりその他の成分を通常の混合装置(撹拌機を備えた混合槽及びスタティックミキサー等)で均一に混合することにより製造できる。
【0047】
本発明における帯電防止性剥離フィルムは、本発明の帯電防止性シリコーン剥離剤組成物を、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布して形成される帯電防止性シリコーン剥離剤組成物の層を有する。
基材としては、各種プラスチック[ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、レーヨン及びポリアミド等]のフィルム、シート、フォーム及びフラットヤーン並びに紙(和紙及びクレープ紙等)、金属板、金属箔、織布、不織布及び木材等が挙げられる。本発明の帯電防止性シリコーン剥離剤組成物は、本発明のシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物及びシリコーン剥離剤を含有する。
【0048】
本発明の帯電防止性シリコーン剥離剤組成物は、本発明のシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物とシリコーン剥離剤を含有する。
【0049】
シリコーン剥離剤としては一般的にシリコーン剥離剤として使用されているシリコーン系化合物が挙げられ、これが帯電防止性シリコーン剥離剤の主成分となる。前記シリコーン系化合物としては、例えばSiO単位と(CHSiO0.5単位の共重合体及びシラノール基含有ポリジメチルシロキサンとの混合物又は反応物を主成分とするものが使用され、必要によりこれらのシロキサン単位の置換基がメチル基以外のもの、例えばフェニル基又はビニル基等で置換されたものが使用される。
【0050】
シリコーン剥離剤は、基材等に塗布することにより使用でき、有機溶媒を使用している場合は更に有機溶媒を揮発させることにより使用できるが、塗布されたシリコーン剥離剤の凝集力を高め、良好な剥離性が得られることから、架橋させて使用することが好ましい。架橋方法としては付加反応、UV等を用いたものなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0051】
本発明においては、ポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)は、シリコーン骨格に結合することが好ましいため、付加反応型シリコーン剥離剤を用いるのが好ましい。
【0052】
付加反応型シリコーン剥離剤は、一般にRSiO0.5単位と(式中、Rは1価炭化水素基)とSiO単位からなる有機溶媒可溶性の共重合体及び末端シラノールのアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンとの縮合反応物あるいは混合物を、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと付加反応させるものである。白金付加硬化型のシリコーン剥離剤としては、市販の「KS−774」[信越化学工業社製]及び「KS−3703T」[信越化学工業社製]等が挙げられる。
【0053】
本発明に用いられるシリコーン剥離剤としては、比較的低温で硬化できる白金付加硬化型であることが好ましい。
【0054】
本発明の帯電防止性シリコーン剥離剤組成物における本発明のシリコーン剥離剤用帯電防止剤組成物の含有量は、剥離力及び帯電防止性能の観点から、剥離剤組成物中の帯電防止剤組成物の合計重量が、好ましくは0.01〜30重量%、更に好ましくは0.05〜20重量%となる量である。
【0055】
帯電防止性剥離フィルムは基材の上に少なくとも片面の少なくとも一部に剥離層を設けてなる。
剥離層とは本発明の帯電防止組成物を含んだシリコーン剥離剤を塗布してなる。剥離層と基材との塗膜密着性を良好とするために塗布層を設けても良い。塗布層に関しては、塗布延伸法(インラインコーティング)を用いてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、何れの手法を採用してもよい。
【0056】
塗布層としてはポリオルガノシロキサンが使用できる。オルガノポリシロキサンは、1分子中に珪素原子に結合する加水分解性基を少なくとも3個、好ましくは3〜1000個有するものである。加水分解性基としては、珪素原子に直接結合したメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、イソプロペノキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基が挙げられるがこれに限定されない。
【0057】
本発明において、塗布層中には加水分解・縮合反応促進を目的として、触媒を併用するのが好ましい。触媒の具体例としては、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸などの有機酸類、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸などの無機酸類、トリエチルアミンなどの塩基性化合物類、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジオレート、ジフェニル錫ジアセテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ジブチル錫ベンジルマレート等などの有機金属塩類などを挙げることができる。上記触媒は単独で使用しても良くあるいは2種類以上を併用しても良い。
【0058】
さらに塗布層の密着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
【0059】
また、本発明のシリコーン剥離フィルム用帯電防止剤組成物は必要に応じて、架橋剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
【0060】
本発明の帯電防止性剥離フィルムは、本発明の帯電防止性シリコーン剥離剤組成物を種々の塗工装置を用いて基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布し、加熱して有機溶媒あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、硬化させる方法等により製造することができる。
【0061】
本発明の帯電防止性剥離フィルムは、本発明の帯電防止性シリコーン剥離剤を種々の塗工装置を用いてPETフィルム等の基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布し、加熱して有機溶媒あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、硬化させる方法等により製造することができる。
【0062】
前記塗工装置としては、グラビアコータ、ロールコータ、リバースコータ、ドクターブレード、バーコータ、コンマコータ、ファウンテンダイコータ、リップコータ及びナイフコータ等が挙げられる。
【0063】
本発明の剥離テープ、剥離シート及び剥離フィルムのそれぞれの剥離層の厚さは、通常0.01〜10μm、剥離剤の剥離力の観点から好ましくは0.1〜1μmである。
【実施例】
【0064】
以下実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以
下において部は重量部を示す。なお、以下において、実施例5は、参考例1とする。
【0065】
製造例1
加熱冷却装置、攪拌機及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、メチルジn−デシルアミン163部(0.88モル部)及び炭酸ジメチルエステル144部(1.6モル部)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)を得た。得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)に、室温でトリフルオロメタンスルホン酸79.5部(0.53モル部)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、更に水を9部(0.50モル部)加え、減圧ストリッピング(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(A1−1)250部を得た。
【0066】
製造例2
加熱冷却装置、攪拌機及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、メチルジn−デシルアミン163部(0.88モル部)及び炭酸ジメチルエステル144部(1.6モル部)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)を得た。得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)に、室温でビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド149部(0.53モル部)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、更に水を9部(0.50モル部)加え、減圧ストリッピング(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で液体のジメチルジn−デシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド塩(A1−2)250部を得た。
【0067】
製造例3
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG600」)300部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG600のジアリルエーテル化合物(B1−1)340部を得た。
【0068】
製造例4
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG1000」)500部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG1000のジアリルエーテル化合物(B1−2)510部を得た。
【0069】
実施例1
シリコーン剥離剤(「KS−3703T」、信越化学社製)100部に、ジメチルジn−デシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(A1−1)2部、PEG600のジアリルエーテル化合物(B1−1)10部、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(東京化成社製)(C1−1)2部、1−デセン(関東化学株式会社製)(D1−1)2部、白金触媒(「CAT−PL−50T」、信越化学社製)1部、トルエン460部、及びMEK(メチルエチルケトン)460部を混合し、塗工量が0.1mとなるようにPETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗布し、120℃で30秒間乾燥・硬化させ、剥離フィルムを作製した。
【0070】
実施例2〜9及び比較例1〜4
表1に記載の配合処方(単位は「部」)で各成分を混合後、実施例1と同様の手順で剥離フィルムを作製した。また、表1に得られた剥離フィルムを用いて以下の試験方法により表面固有抵抗値、剥離力、経時での剥離力変化率、及び塗膜密着性を測定、評価した結果を示す。
【0071】
【表1】
【0072】
・アリルアルコールEO12モル付加品(B1−3)(三洋化成工業社製 SANYCOL H−1200)
【0073】
[性能試験方法]
(1)帯電防止性(表面固有抵抗)
試料フィルムを23℃×65%RHの条件で12時間静置した後に、JIS−K6911に記載の方法で表面固有抵抗値を測定した。
【0074】
(2)剥離フィルムの剥離力(α)
試料フィルムの剥離層表面に片面粘着テープ(ニットー31Bテープ(25mm幅、25μm厚))を2kgのローラーを1往復させて、貼り合わせた後、室温にて1時間放置後の剥離力(N/25mm)を測定した。剥離力は、引張試験機を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行い、剥離力(α)とした。
【0075】
(3)経時での剥離力変化率
試料フィルムの剥離層表面に片面粘着テープ(ニットー31Bテープ(25mm幅、25μm厚))を2kgのローラーを1往復させて、貼り合わせた後、高温高湿機にて60℃、90RH%、1週間放置後、室温で1時間放置後の剥離力(N/25mm)を測定した。剥離力は、引張試験機を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行い、経時変化後の剥離力(β)とした。
経時での剥離力変化率(%)=[{(β)−(α)}/(α)]×100 とした。経時変化での剥離力変化率は100%未満が好ましい。
【0076】
(4)塗膜密着性
試料フィルムを高温高湿槽中、60℃、90%RH雰囲気下、4週間静置した後に試料フィルムを取り出した。常温で5時間乾燥させた後、試料フィルムの剥離面を指により5回擦り、剥離層の状態を目視にて観察した。
<判定基準>
○:塗膜の脱落が見られない
△:塗膜が曇るが脱落しない
×:塗膜の脱落が確認される
【0077】
表1の評価結果より、第4級アンモニウム塩(A)及びポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)を含有する帯電防止剤組成物を用いた帯電防止性剥離フィルムでは、経時での剥離力変化が少なく、帯電防止性能に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の帯電防止性剥離フィルムは、粘着シート用の剥離フィルム(キャリアフィルムおよびセパレーター)として極めて好適に用いることができ、極めて有用である。