特許第6232465号(P6232465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232465
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】載置台
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/44 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   B65D19/44 Z
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-87255(P2016-87255)
(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2017-197200(P2017-197200A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2016年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】591179178
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴雄
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−186939(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3145501(JP,U)
【文献】 特開平10−061640(JP,A)
【文献】 特開2001−153111(JP,A)
【文献】 特開2001−002072(JP,A)
【文献】 特開2008−127030(JP,A)
【文献】 特開2013−113350(JP,A)
【文献】 特開2009−115228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00−19/44
F16B 35/00−37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面を有する台本体と、
前記取付面に設けられ、その幅方向両内側面に、それぞれ幅狭部、及び、前記幅狭部よりも深い部分であり、幅方向間の長さが前記幅狭部間の長さよりも長い幅広部をそれぞれ有する溝部と、
一方向に沿う長さが前記幅狭部間の長さ以下の長さを有し、この一方向に交差する方向の長さが前記幅広部間の長さより長い長さを有し、これら2方向により規定される面を前記深さ方向に直交する姿勢で前記溝部内に配置され、前記一方向が前記溝部の幅方向に平行となり前記幅狭部間を通して前記幅広部間に出し入れ可能な状態と、前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態とを前記深さ方向回りに回転することにより切り替え可能な頭部、及び、前記頭部が前記幅広部間に配置された状態において前記取付面上に配置される軸部を有した取付部材と、
ナットと、
を具備し、
前記取付部材は、ボルトであり、前記頭部と前記軸部との間に形成されて前記幅狭部間に配置される被挟持部を具備し、前記軸部に前記ナットが着脱可能に螺合され、
前記溝部の前記幅方向両内側面は、それぞれ、その幅方向間の長さが前記深さ方向に漸次増大する第1の面部、前記第1の面部に連続し、前記第1の面部に対して屈曲して前記幅方向外側に延びる第2の面部、及び、前記第2の面部に連続し、前記第2の面部に対して屈曲して前記深さ方向に延びる第3の面部を有し、
前記幅狭部は、前記第1の面部と前記第2の面部との稜部であり、前記幅広部は、前記第3の面部であり、
前記第1の面部は、前記ナットが取り外された状態において、前記頭部が前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態の前記取付部材の前記被挟持部との間に隙間を有し、
前記隙間は、前記頭部が前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態において前記ナットが所定の締め付けトルクで締結されると、幅方向内側に移動した前記第1の面部により前記被挟持部が挟持される隙間に設定されている
ことを特徴とする載置台。
【請求項2】
前記頭部は、直方体状に形成されて、その周面が、互いに対向配置され、平行な第1の側面及び第2の側面、並びに、互いに対向配置され、平行な第3の側面及び第4の側面を有し、
前記第1の側面から前記第2の側面へ向かう方向が前記一方向となり、前記第1の側面と第2の側面との間の長さは、前記第1の面部と前記第2の面部との前記稜部間の長さ以下の長さを有し、
前記第1の側面と前記第3の側面との稜部から、前記第2の側面と前記第4の側面との稜部へ向かう方向が前記交差する方向であり、前記第1の側面と前記第3の側面との稜部と、前記第2の側面と前記第4の側面との稜部との間の長さが、前記第3の面部間の前記幅方向の長さより長い長さを有し、
前記第1の側面と前記第4の側面との稜部、及び、前記第2の側面と前記第3の側面との稜部は、これら稜部が前記第3の面部に向かう方向に沿って、前記第3の側面側の端部、及び、第4の側面側の端部が前記第3の面部に当接するまで前記頭部を回転可能とする曲面に形成され、
前記被挟持部は、直方体状に形成されて、その周面が、互いに対向配置され、前記第1の側面及び前記第2の側面に平行な第5の側面及び第6の側面、並びに、互いに対向配置され、前記第3の側面及び前記第4の側面に平行な第7の側面及び第8の側面を有し、
前記第5の側面と前記第8の側面との稜部、及び、前記第6の側面と前記第7の側面との稜部は、前記ナットが取り外された状態において、これら稜部が第1の面部に向かう方向に沿って、前記第7の側面及び前記第8の側面が前記第1の面部に対向するまで前記被挟持部を回転可能とする曲面に形成され、
前記隙間は、幅方向内側に移動した前記第1の面部が、前記被挟持部の前記第7の側面及び前記第8の側面に面接触することにより前記溝部の深さ方向に平行な平面になり、前記被挟持部を挟持する隙間に設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の載置台。
【請求項3】
前記頭部において、当該頭部が前記幅広部間で回転されて前記幅広部に当接したときに前記深さ方向に対して前記逆方向に前記溝部の内面に対向する部分には、突起が形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の載置台。
【請求項4】
前記軸部の先端には、前記頭部の姿勢を示す目印が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の載置台。
【請求項5】
前記台本体の前記取付面上に配置されて前記軸部に係合する係合部を備え、被載置物を載置可能な載置部材と、
平行に配置された複数の前記溝部と、
を具備し、
前記係合部は、隣接する一対の前記溝部内に配置された前記取付部材の前記軸部をひとつずつ配置する一対の貫通孔が形成され、
前記貫通孔は、一対の前記貫通孔が互いに並ぶ方向に沿って延びる長孔形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の載置台。
【請求項6】
取付面を有する台本体と、
前記取付面に設けられ、その幅方向両内側面が、それぞれ、その幅方向間の長さが深さ方向に漸次増大する第1の面部、前記第1の面部に連続し、前記第1の面部に対して屈曲して幅方向外側に延びる第2の面部、及び、前記第2の面部に連続し、前記第2の面部に対して屈曲して前記深さ方向に延びる第3の面部を有する溝部と、
前記第1の面部間を通って前記第3の面部間に配置可能な頭部、前記頭部に形成され、前記頭部が前記第3の面部間に配置された状態において前記第1の面部間に配置される被挟持部、及び、前記被挟持部に形成され、前記頭部が前記第3の面部間に配置された状態において前記台本体の外側に配置され、周面に雄ねじが形成され、かつ、その先端に目印が形成された軸部を有したボルトと、
前記台本体の前記取付面上に配置される載置部材であって、前記軸部を内側に配置する貫通孔が形成され、被載置物を載置可能な載置部材と、
前記軸部に着脱可能に螺合して前記台本体との間に前記載置部材を締結するナットと、
を具備し、
前記頭部は、直方体状に形成されて、その周面が、互いに対向配置され、平行な第1の側面及び第2の側面、並びに、互いに対向配置され、平行な第3の側面及び第4の側面を有し、
前記第1の側面と第2の側面との間の長さは、前記第1の面部と前記第2の面部との稜部間の長さ以下の長さを有し、
前記第1の側面と前記第3の側面との稜部と、前記第2の側面と前記第4の側面との稜部との間の長さは、前記第3の面部間の長さより長い長さを有し、
前記第1の側面と前記第4の側面との稜部、及び、前記第2の側面と前記第3の側面との稜部は、これら稜部が前記第3の面部に向かう方向に沿って、前記頭部の前記第3の側面側の端部及び第4の側面側の端部が前記第3の面部に当接するまで前記頭部を回転可能とする曲面に形成され、
前記被挟持部は、直方体状に形成されて、その周面が、互いに対向配置され、前記第1の側面及び前記第2の側面に平行な第5の側面及び第6の側面、並びに、互いに対向配置され、前記第3の側面及び前記第4の側面に平行な第7の側面及び第8の側面を有し、
前記第5の側面と前記第8の側面との稜部、及び、前記第6の側面と前記第7の側面との稜部は、これら稜部が第1の面部に向かう方向に沿って、前記第7の側面及び前記第8の側面が前記第1の面部に対向するまで前記被挟持部を回転可能とする曲面に形成され、
前記第1の面部は、前記ナットが取り外された状態において、前記第3の側面側の端部及び第4の側面側の端部が前記第3の面部に当接するまで回転された状態の前記頭部の前記被挟持部との間に隙間を有し、
前記隙間は、前記頭部が前記第3の面部に当接するまで回転された状態において前記ナットが所定の締め付けトルクで締結されると、幅方向内側に移動した前記第1の面部が、前記被挟持部の前記第7の側面及び前記第8の側面に面接触することにより前記深さ方向に平行な平面となり、前記被挟持部を挟持する隙間に設定されている
ことを特徴とする載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物等の被載置物が載置される載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
パレット(載置台)の取付面上に荷物(被載置物)を載置し、これらを、フォークリフトを用いて搬送することが行われている。また、荷物を取付面上に固定する固定構造を有するパレットが知られている。この固定構造は、取付面上に設けられた溝部に沿って移動する一対のスライダ間に荷物を挟持し、これらスライダを、ボルトとナットとによりパレットに固定することによって、荷物をパレットに固定する。
【0003】
ボルトは、その頭部が溝部内に配置され、その軸部を取付面上に配置している。スライダは、ボルトの軸部に螺合されたナットとパレットとの間に挟持されることにより、パレットに固定される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4080694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した、溝部に沿って移動するスライダを用いるパレットには、以下の問題があった。すなわち、パレット上に荷物を固定する為には、荷物を取付面の所望の位置に載置する必要があるが、上述のようにスライダを用いる場合では、複数の溝部から固定に適した溝部を選択し、次にこの溝部のパレットの周面上の開口を通してボルトの頭部を溝部内に配置し、次にスライダをボルトと合わせて溝部に沿って所望の位置に移動する必要がある。
【0006】
溝部の幅はボルトの頭部の直径よりも若干大きい程度である為、ボルトの頭部が溝部の内面に対して摺動することによる摩擦により、スライダをスムーズに移動しづらくなるので、荷物をパレットの取付面の所望の位置に載置する作業の効率が悪くなる。
【0007】
この為、被載置物を載置台の取付面の所望の位置に載置する作業の効率の向上が望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、被載置物を載置台の取付面の所望の位置に載置する作業の効率を向上できる載置台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様として、載置台は取付面を有する台本体と、前記取付面に設けられ、その幅方向両内側面に、それぞれ幅狭部、及び、前記幅狭部よりも深い部分であり、幅方向間の長さが前記幅狭部間の長さよりも長い幅広部をそれぞれ有する溝部と、一方向に沿う長さが前記幅狭部間の長さ以下の長さを有し、この一方向に交差する方向の長さが前記幅広部間の長さより長い長さを有し、これら2方向により規定される面を前記深さ方向に直交する姿勢で前記溝部内に配置され、前記一方向が前記溝部の幅方向に平行となり前記幅狭部間を通して前記幅広部間に出し入れ可能な状態と、前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態とを前記深さ方向回りに回転することにより切り替え可能な頭部、及び、前記頭部が前記幅広部間に配置された状態において前記取付面上に配置される軸部を有した取付部材と、ナットと、を備える。
前記取付部材は、ボルトであり、前記頭部と前記軸部との間に形成されて前記幅狭部間に配置される被挟持部を具備し、前記軸部に前記ナットが着脱可能に螺合される。前記溝部の前記幅方向両内側面は、それぞれ、その幅方向間の長さが前記深さ方向に漸次増大する第1の面部、前記第1の面部に連続し、前記第1の面部に対して屈曲して前記幅方向外側に延びる第2の面部、及び、前記第2の面部に連続し、前記第2の面部に対して屈曲して前記深さ方向に延びる第3の面部を有する。前記幅狭部は、前記第1の面部と前記第2の面部との稜部であり、前記幅広部は、前記第3の面部である。前記第1の面部は、前記ナットが取り外された状態において、前記頭部が前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態の前記取付部材の前記被挟持部との間に隙間を有する。前記隙間は、前記頭部が前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態において前記ナットが所定の締め付けトルクで締結されると、幅方向内側に移動した前記第1の面部により前記被挟持部が挟持される隙間に設定されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被載置物を載置台の取付面の所望の位置に載置する作業の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るパレットを概略的に示す斜視図。
図2】同パレットを示す平面図。
図3】同パレットを示す側面図。
図4】ナット及び載置部材が取り外された同パレットのボルト近傍を拡大して示す側面図。
図5】同ナット及び同載置部材が取り外された同パレットの同ボルト近傍を拡大して示す平面図。
図6】同ナット及び同載置部材が取り外された同パレットの同ボルト近傍を拡大して示す側面図。
図7】同ナット及び同載置部材が取り外された同パレットの同ボルト近傍を拡大して示す平面図
図8】同パレットの同ボルト近傍を拡大して示す側面図。
図9】同パレットを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るパレット(載置台)10を、図1から図9を用いて説明する。パレット10は、荷物(被載置物)1を載置可能に、かつ、フォークリフト等の搬送装置により搬送可能に構成されている。
【0013】
図1は、パレット10を概略的に示す斜視図である。図2は、パレット10を示す平面図である。図3は、パレット10を示す側面図である。図4は、パレット10に用いられるナット80及び載置部材90が取り外されたパレット10のボルト50の近傍を拡大して示す側面図である。図5は、ナット80及び載置部材90が取り外されたパレット10のボルト50の近傍を拡大して示す平面図である。
【0014】
図6は、ナット80及び載置部材90が取り外されたパレット10のボルト50の近傍を拡大して示す側面図である。図7は、ナット80及び載置部材90が取り外されたパレット10のボルト50の近傍を拡大して示す平面図である。図8は、パレット10のボルト50の近傍を拡大して示す側面図である。図9は、パレット10を示す平面図である。
【0015】
図1,2,3に示すように、パレット10は、その取付面に開口した複数の溝部40を有したパレット本体(台本体)20、溝部40内に頭部51が配置されるとともに軸部52をパレット本体20の主面の開口を通して外部に配置する複数のボルト50、ボルト50の軸部52に螺合可能な複数のナット80、及び、ボルト50とナット80とによりパレット本体20の主面に固定され、荷物1が載置可能な載置部材90を有している。
【0016】
本実施形態では、一例として、パレット本体20の溝部40が開口する取付面を平面に形成された上面とし、この上面に直交する方向を上下方向Vとしている。すなわち、溝部40の深さ方向は、上下方向Vに平行な方向となる。
【0017】
パレット本体20は、フォークリフトの爪部を挿入可能に構成されている。パレット本体20は、具体的には、底壁部21、底壁部21上に固定された骨格部22、及び、骨格部22上に固定され、溝部40を有する複数の溝部ユニット30を有している。底壁部21は、例えば平板材から形成されており、平面形状が例えば矩形に形成されている。
【0018】
骨格部22は、底壁部21と溝部ユニット30との間に、フォークリフトの爪部を挿入可能な隙間S1を形成している。骨格部22は、底壁部21に固定され、互いに離間して配置される複数の第1の骨格部材23、及び、第1の骨格部材23上に固定され、互いに離間して配置される第2の骨格部材24を有している。
【0019】
第1の骨格部材23は、一方向に長い形状を有しており、互いに、フォークリフトの爪部を配置可能な間隔を有して配置されている。第1の骨格部材23は、例えば、3つ用いられている。一対の第1の骨格部材23は、底壁部21の互いに対向する縁に沿って配置されている。残りの第1の骨格部材23は、底壁部21の中央部に配置されている。第1の骨格部材23の高さは、底壁部21と第2の骨格部材24との間に、フォークリフトの爪部を挿入可能な隙間S1を形成する高さを有している。
【0020】
第2の骨格部材24は、一方向に長い形状を有する板状部材である。第2の骨格部材24は、第1の骨格部材23上に、第1の骨格部材23に対して交差する姿勢で固定されている。第2の骨格部材24は、その長手方向が、第1の骨格部材23の長手方向に対して例えば90度で交差した姿勢で、第1の骨格部材23上に固定されている。
【0021】
第2の骨格部材24は、例えば3つ用いられている。一対の第2の骨格部材24は、第1の骨格部材23の両端部上に1つずつ固定されている。残りの第2の骨格部材24は、第1の骨格部材23の長手方向の中途部上に固定されている。
【0022】
図3〜6に示すように、溝部ユニット30は、上面31を有した上壁部32、上面31に開口する、一方向に延びた複数の溝部40、及び、上壁部32に連続して形成され、複数の溝部40を挟んで両側に配置された一対の側壁部33を有している。
【0023】
溝部ユニット30は、例えば、1枚の金属製の板部材に対してロールフォーミングを施すことにより形成されており、この一枚の板部材から、上壁部32、溝部40、及び、側壁部33が一体に形成されている。
【0024】
溝部ユニット30は、溝部40が延びる方向となる長手方向Lが、第2の骨格部材24に交差し、かつ、上下方向Vに直交する姿勢で、第2の骨格部材24上に固定されている。溝部ユニット30は、例えば、第2の骨格部材24に対して90度交差する姿勢で、第2の骨格部材24上に固定されている。溝部ユニット30は、例えば、5つ用いられている。各溝部ユニット30は、互いに離間して、例えば平行に配置されている。
【0025】
溝部40は、溝部ユニット30の長手方向一端から他端まで、直線状に延びている。複数の溝部40は、互いに平行に配置されている。溝部40は、例えば一対形成されている。溝部40は、その内部に、ボルト50の頭部51を収容可能に形成されている。
【0026】
溝部40は、具体的には、底壁部41、及び、底壁部41の長手方向Lに沿う縁に連続して形成された一対の側壁部42を有している。また、溝部40は、第1の収容部R1、及び、第2の収容部R2を有している。第1の収容部R1は、溝部40の下方部分を構成している。第2の収容部R2は、第1の収容部R1よりも上方部分を構成している。
【0027】
本実施形態では、溝部40の長手方向L及び上下方向Vに直交する方向を、幅方向Wとする。第1の収容部R1の内部空間の幅方向Wの長さ、及び、第2の収容部R2の内部空間の幅方向Wの長さは、互いに異なる。
【0028】
底壁部41の上面41aは、上面31に平行な平面に形成されている。底壁部41の下面41bは、上面31に平行な平面に形成されている。なお、溝部ユニット30に形成された複数の溝部40の下面41bは、全て、同一平面上に配置されている。下面41bは、第2の骨格部材24上に設置され、溶接等の固定手段により、固定される。
【0029】
側壁部42は、底壁部41とともに第1の収容部R1を形成する第1の収容部形成部43、及び、第2の収容部R2を形成する第2の収容部形成部44を有している。
【0030】
第1の収容部形成部43は、底壁部41に連続しており、第1の収容部R1の内部空間を規定する。第1の収容部形成部43は、底壁部41から上方に所定の高さまで延び、その上端部が、幅方向内側に屈曲している。第1の収容部形成部43の内面は、第1の収容部R1の幅を規定する幅規定面部(第3の面部)45、及び、第1の収容部R1の上端を規定する上端規定面部(第2の面部)46を有している。
【0031】
幅規定面部45は、底壁部41の上面41aに直交する平面に形成されている。両幅規定面部45は、互いに平行に形成されている。上端規定面部46は、幅規定面部に対して屈曲して幅方向内側に向かって屈曲している。上端規定面部46は、例えば、水平面に形成されている。
【0032】
第2の収容部形成部44は、第1の収容部形成部43に連続して形成されている。また、第2の収容部形成部44は、上壁部32に連続して形成されている。第2の収容部形成部44の内面(第1の面部)47は、平面に形成されている。また、第2の収容部形成部44は、内面47と上壁部32の上面31との第1の稜部C1間の幅方向Wの第1の長さL1が、内面47と上端規定面部46との第2の稜部C2間の幅方向Wの第2の長さL2よりも短くなるよう、上下方向Vに対して傾斜している。すなわち、内面47は、溝部40の深さ方向に対して傾斜する傾斜面となる。
【0033】
第2の収容部R2の幅となる、第2の収容部形成部44の内面47間の長さは、第1の稜部C1間で最短となり、第2の稜部C2まで、漸次増大し、第2の稜部C2で最長となる。
【0034】
第2の稜部C2間の第2の長さL2は、第1の収容部R1の幅となる、幅規定面部45間の幅方向Wの長さである第3の長さL3未満である。本実施形態では、第1の稜部C1間の第1の長さL1、及び、第2の長さL2は、いずれも、第3の長さL3未満である。
【0035】
側壁部33は、上壁部32の長手方向Lに沿う縁に連続して形成されている。側壁部33の上部は、例えば、円弧状に形成されている。側壁部33の下端部35は、幅方向内側に屈曲している。下端部35の下面35aは、溝部40の底壁部41の下面41bと同一平面となる平面に形成されている。下端部35の下面35aは、第2の骨格部材24上に設置され、固定されている。
【0036】
図4,5に示すように、ボルト50は、溝部40内に配置可能な頭部51、及び、雄ねじが形成された軸部52を有している。なお、ボルト50は、溝部40内に、軸部52の先端を上端する姿勢で配置される。本実施形態では、ボルト50の上下については、ボルト50が溝部40内に配置された姿勢に基づいて、設定する。
【0037】
図6は、図5に示されたボルト50が、軸部52の軸線回りに回転された状態を示している。図6に示すように、頭部51は、凸型状に形成されており、第1の収容部R1内に収容可能に形成された第1の頭部60、及び、第1の頭部60上に形成され、その少なくとも一部が第2の収容部R2内に収容可能に形成された第2の頭部70を有している。
【0038】
第1の頭部60は、頭部本体61、及び、頭部本体61の上面65に形成された一対の突起62を有している。頭部本体61は、その一方向に沿う長さが、内面47と上端規定面部46との第2の稜部C2間の幅方向の第2の長さL2以下の長さを有し、この一方向に交差する方向の長さが幅規定面部45間の第3の長さL3より長い長さを有している。また、頭部本体61は、これら2方向により規定される面が溝部40の上下方向Vに直交する姿勢で溝部40内に配置されると、上述の一方向が溝部40の幅方向Wに平行となり第2の稜部C2間を通して幅規定面部45間に出し入れ可能な状態と、幅規定面部45に当接するとともに上端規定面46に対向する状態とを上下方向V周りに回転することにより切り替え可能なに形成されている。
【0039】
頭部本体61は、具体的には、直方体状に形成されており、平面に形成された底面63、周面64、及び、上面65を有している。周面64は、図5,7に示すように、互いに対向配置された第1の側面66及び第2の側面67、並びに、互いに対向配置された第3の側面68及び第4の側面69を有している。
【0040】
第1の側面66、及び、第2の側面67は、底面63に直交する互いに平行な平面に形成されている。第1の側面66と第2の側面67との間の第4の長さL4は、溝部40の第2の稜部C2間の第2の長さL2以下となる長さを有している。第1の側面66から第2の側面67へ向かう方向が、上述の一方向となる。
【0041】
第3の側面68及び第4の側面69は、例えば、底面63に直交し、第1の側面66及び第2の側面67に直交し、互いに平行な平面に形成されている。第3の側面68と第4の側面69との間の第5の長さL5は、第4の長さL4より長い。第1の側面66と第3の側面68との第3の稜部C3と、第2の側面67と第4の側面69との第4の稜部C4との間の第6の長さは、第1の収容部形成部43の内面の幅規定面部45間の第3の長さL3よりも長い長さを有する長さを有している。本実施形態では、一例として、第5の長さL5は、第2の稜部C2間の第2の長さL2よりも長く、かつ、幅規定面部45間の第3の長さL3よりも若干短い長さを有している。
【0042】
本実施形態では、第3の側面68と第4の側面69との間の第5の長さL5が、幅規定面部45間の第3の長さL3よりも若干短い長さを有することによって、ボルト50を所定角度回転すると、第1の側面66と第3の側面68との第3の稜部C3、及び、第2の側面67と第4の側面69との第4の稜部C4が、幅規定面部45に当接可能となる。
【0043】
また、第1の頭部60は、第2の稜部C2間を通って第1の収容部R1内に配置された姿勢から、第1の側面66と第4の側面69との第5の稜部C5、及び、第2の側面67と第3の側面68との第6の稜部C6を幅規定面部45に近づける方向に回転させたときに、第1の側面66と第3の側面68との第3の稜部C3及び第2の側面67と第4の側面69との第4の稜部C4が第1の収容部形成部43の内面の幅規定面部45に当接するまで回転可能とする形状の一例として、第5の稜部(第3の側面側の端部)C5、及び、第6の稜部(第4の側面側の端部)C6が、曲面に形成されている。第5の稜部C5の曲率半径、及び、第6の稜部C6の曲率半径は、幅規定面部45間の第3の長さL3の半分以下の長さを有している。
【0044】
なお、第3の側面68と第4の側面69との間の第5の長さL5が、幅規定面部45間の第3の長さL3と同じとなる場合では、第1の側面66と第4の側面69との第5の稜部C5、及び、第2の側面67と第3の側面68との第6の稜部C6を幅規定面部45に近づける方向に回転させると、第1の頭部60第3の側面(第3の側面側の端部)68及び第4の側面(第4の側面側の端部)69が幅規定面部45に面接触するまで回転可能となる。
【0045】
上面65は、例えば、底面63に平行な平面に形成されている。突起62は、上面65の第3の側面68側の縁部のうち、第2の側面67と第3の側面68との第6の稜部C6を除いた部分、及び、上面65の第4の側面69側の縁部のうち、第1の側面66と第4の側面69との第5の稜部C5を除いた部分に形成されている。すなわち、突起62は、第1の頭部60の長手方向端部に形成されている。
【0046】
突起62は、縁部に沿って延びており、かつ、上方に向かって突出する形状に形成されている。また、突起62は、突出方向の先端が、鋭角に形成されている。本実施形態では、突起62の先端は、例えば、45度の角度に形成されている。突起62は、一定の高さを有している。
【0047】
第1の頭部60の高さとなる、底面63から突起62の上端までの第1の高さH1は、第1の頭部60が第1の収容部R1内に配置可能な高さを有している。本実施形態では、一例として、第1の収容部R1は、第1の頭部60、及び、第2の頭部70の一部を内部に配置可能な高さを有している。具体的には、第1の頭部60の第1の高さH1は、第1の収容部R1の高さとなる、底壁部41の上面41aから上端規定面部46までの第2の高さH2よりも低くい。
【0048】
第2の頭部70は、第1の頭部60が第1の収容部R1の底壁部41上に配置された状態において、少なくとも上部が第2の収容部R2内に配置可能な大きさを有している。また、第2の頭部70は、第2の収容部R2内で軸部52の軸線回りに回転可能に形成されている。第2の頭部70は、具体的には、直方体状に形成されており、突起62よりも内側に配置されている。第2の頭部70は、周面71、及び、上面72を有している。
【0049】
周面71は、互いに対向配置され、第1の頭部60の第1の側面66及び第2の側面67に平行な、第5の側面73及び第6の側面74、並びに、互いに対向配置され、第1の頭部60の第3の側面68及び第4の側面69に平行な第7の側面75及び第8の側面76を有している。
【0050】
第5の側面73は、第1の頭部60の第1の側面66側に配置され、第6の側面74は、第1の頭部60の第2の側面67側に配置されている。第5の側面73と第6の側面74との間の第7の長さL7は、ナット80が締め付けられていない状態おいて、溝部40の第2の収容部形成部44の内面47において第5の側面73及び第6の側面74と対向する部分と、第5の側面73及び第6の側面74との間に隙間を形成可能な長さを有している。
【0051】
本実施形態では、第5の側面73は、第1の頭部60の第1の側面66に連続して形成されている。第6の側面74は、第1の頭部60の第2の側面67に連続して形成されている。この為、第5の側面73と第6の側面74との間の第7の長さL7は、第1の頭部60の第1の側面66と第2の側面67との間の第4の長さL4と同じ長さとなっている。
【0052】
第7の側面75、及び、第8の側面76は、第1の頭部60が幅規定面部45に当接するまで回転されたときに、第2の収容部形成部44の内面47に対向する面となる。
【0053】
第7の側面75は、第1の頭部60の第3の側面68側に配置されている。第8の側面76は、第1の頭部60の第4の側面69側に配置されている。第7の側面75と第8の側面76との間の第8の長さL8は、ナット80が締め付けられていない状態において、ボルト50の頭部51を溝部40内に配置し、かつ、第7の側面75及び第8の側面76が第2の収容部形成部44の内面47に対向する姿勢としたときに、内面47において第7の側面75及び第8の側面76に対向する部分間の幅方向Wの長さ未満の長さを有している。
【0054】
この為、ナット80が締め付けられていない状態において、第2の頭部70が、第7の側面75及び第8の側面76が第2の収容部形成部44の内面47に対向する姿勢で第2の収容部R2内に配置されると、第2の頭部70と内面47との間に隙間S2が形成される。この隙間S2については、後で具体的に説明する。
【0055】
また、第2の頭部70は、第7の側面75、及び、第8の側面76が第2の収容部形成部44の内面47に対向するまで回転可能とする形状の一例として、第6の側面74と第7の側面75と間の第7の稜部C7、及び、第5の側面73と第8の側面76との間の第8の稜部C8が、曲面に形成されている。
【0056】
上面72は、例えば、第1の頭部60の底面63と平行な平面に形成されている。第2の頭部70の高さとなる、第1の頭部60の上面65から第2の頭部70の上面72までの第3の高さH3は、ナット80が締め付けられていない状態の第2の収容部R2の深さとなる、溝部ユニット30の上面31から上端規定面部46までの第1の深さD1未満の長さを有している。
【0057】
軸部52は、その軸線の延長上に、第2の頭部70、及び、第1の頭部60の中心を配置している。軸部52の端面53には、頭部51の姿勢を示す目印54が形成されている。本実施形態では、目印54は、一例として、端面53に形成された溝である。この溝は、第1の頭部60の長手方向に平行に延びる直線状に形成されている。
【0058】
載置部材90は、図2,3に示すように、ボルト50の軸部52を配置可能な貫通孔91が形成された基部(係合部)92、荷物1が載置可能に形成された載置部93、及び、基部92と載置部93とを連結する連結部94を有している。載置部材90は、例えば、金属製の板部材に対して曲げ加工を施すことにより形成されており、基部92、載置部93、及び、連結部94が一体に形成されている。
【0059】
基部92は、その上面に、ナット80を設置可能に形成されている。基部92は、ナット80が所定の締め付けトルクで締め付けられると、ナット80とワッシャ100を用いて溝部ユニット30の上面31との間に挟持されることにより、パレット本体20に対して固定される。基部92の下面92aは、平面に形成されている。
【0060】
基部92は、一対の貫通孔91が形成されている。一方の貫通孔91は、溝部ユニット30の一方の溝部40に取り付けられたボルト50の軸部52を配置可能に形成され、他方の貫通孔91は、他方の溝部40に取り付けられたボルト50の軸部52を配置可能に形成されている。貫通孔91は、一対の貫通孔91が並ぶ方向に延びる長孔に形成されている。載置部93は、基部92に対して上方に配置されており、例えば上下方向Vに直交する載置面95を有している。
【0061】
次に、ナット80が締め付けられていない状態において、第2の頭部70が第2の収容部R2内に、第7の側面75及び第8の側面76が第2の収容部形成部44の内面47に対向する姿勢で配置された時に形成される、第2の頭部70と内面47との間の隙間S2について、説明する。
【0062】
隙間S2は、ナット80が予め決定された所定の締め付けトルクで締め付けられることによる、溝部40の第2の収容部形成部44の幅方向内側への移動により、第2の収容部形成部44の内面47が、第2の頭部70の第7の側面75及び第8の側面76に面接触して第2の頭部70を挟持し、かつ、第2の収容部形成部44の内面47が、上下方向Vに平行となることが可能となる隙間に設定されている。
【0063】
具体的に説明する。図8は、載置部材90が、ボルト50及びナット80により、ナット80と基部92との間にワッシャ100を介装してパレット本体20に締結されて固定された状態における、溝部40の側壁部42の一部を拡大して示している。ナット80は、予め決定されている、所定の締め付けトルクにより、締め付けられている。
【0064】
図8に示すように、ナット80が締め付けられることにより、ボルト50が上方に移動し、第1の頭部60の突起62が、上端規定面部46の内面に食い込む。上述の所定の締め付けトルクは、本実施形態では一例として、少なくとも突起62の一部が上端規定面部46に食い込むように設定されている。なお、所定の締め付けトルクは、突起62の全てが上端規定面部46に食い込むように設定されてもよい。
【0065】
突起62が上端規定面部46に食い込むことにより、ボルト50の第1の頭部60が上端規定面部46に固定される。すなわち、ボルト50が溝部40内に固定される。
【0066】
第2の頭部70の第3の高さH3は、ナット80が締め付けられていない状態の第2の収容部R2の第1の深さD1未満の長さを有している為、第2の収容部形成部44は、締め付けトルクにより、上下方向Vに圧縮荷重が加わる。第2の収容部形成部44は、この圧縮荷重により変形する。第2の収容部形成部44は、上述のように上下方向Vに圧縮荷重が加わると、幅方向内側に移動するよう、変形する。なお、図8中では、ナット80が締め付けられていない状態の第2の収容部形成部44の内面47を、2点鎖線で示している。
【0067】
第2の収容部形成部44は、幅方向内側に移動することにより、その内面47が第2の頭部70の第7の側面75及び第8の側面76に面接触し、第2の頭部70を幅方向Wに挟持する。また、第2の収容部形成部44は、その内面47が第2の頭部70の第7の側面75及び第8の側面76に面接触することにより、上下方向Vに平行となる。
【0068】
隙間S2は、上述のように、所定の締め付けトルクによる第2の収容部形成部44の幅方向内側への移動により、第2の収容部形成部44の内面47が第7の側面75及び第8の側面76に面接触することによって上下方向Vに平行な平面となり、第2の収容部形成部44が上下方向Vに平行となり、かつ、第2の収容部形成部44により、第2の頭部70を幅方向Wに挟持する力を発生する隙間に設定されている。
【0069】
次に、パレット10に荷物1を載置する作業について、その一例を説明する。図2は、荷物1がパレット10上に載置された状態を示している。なお、荷物1は、2点鎖線でその外郭が示されている。
【0070】
図2に示すように、まず、荷物1をパレット10上に載置するに際し、パレット本体20における、載置部材90を固定する位置を決定する。載置部材90を固定する位置が決定されると、次に、当該位置に載置部材90を固定するべく、ボルト50の頭部51を溝部40内に配置する。
【0071】
ボルト50は、図5に示すように、頭部51を下として、頭部51が溝部40の開口40aを通る姿勢で、開口40aを通して溝部40内に配置される。具体的には、ボルト50の第1の頭部60の長手方向を、溝部40の長手方向Lに平行とする姿勢で、頭部51を、開口40aを通して溝部40内に配置する。
【0072】
図4に示すように、第1の頭部60が、溝部40の底壁部41の上面41a上に設置されることにより、ボルト50の軸部52の軸線が上下方向Vに平行となる。また、第1の頭部60、及び、第2の頭部70の一部が第1の収容部R1内に配置され、第2の頭部70の一部が第2の収容部R2内に配置される。
【0073】
次に、図7に示すように、ボルト50を、第1の頭部60の第3の側面68及び第4の側面69が幅規定面部45に対向する姿勢となるよう、軸部52の軸線回りに回転する。具体的には、ボルト50は、第1の頭部60の曲面に形成された稜部C5,C6が、幅規定面部45に向かうように、かつ、第2の頭部70の曲面に形成された稜部C7,C8が、第2の収容部形成部44の内面47に向かうように、軸部52の軸線回りに回転される。
【0074】
作業者は、稜部C5,C6,C7,C8が曲面に形成されることにより、第1の頭部60の第1の側面66と第3の側面68との第3の稜部C3、及び、第2の側面67と第4の側面69との第4の稜部C4が幅規定面部45に接触するまで、ボルト50を回転することができる。
【0075】
また、作業者は、ボルト50の軸部52の端面53に形成された目印54を確認することにより、ボルト50が回転されたものであるか否かを判断することができる。これは、目印54の姿勢が、頭部51の姿勢を示すためである。
【0076】
例えば、作業者は、図7に示すように、目印54の長手方向が、溝部40の長手方向Lに対して直交する場合は、ボルト50が第1の頭部60の長手方向が溝部40の長手方向に対して直交する姿勢であると判断することができ、それゆえ、第3の側面68及び第4の側面69が、幅規定面部45に対向していると判断できる。
【0077】
本実施形態では、第1の側面66と第3の側面68との第3の稜部C3、及び、第2の側面67と第4の側面69との第4の稜部C4が幅規定面部45に接触するまでボルト50が回転されると、それ以上の回転が防止されるとともに、目印54の長手方向は、溝部40の長手方向Lに直交する方向に対して、若干傾斜することとなる。
【0078】
ボルト50が、第1の頭部60が幅規定面部45に当接するまで回転されることにより、第1の頭部60の上面65及び突起62が、上下方向Vに、上端規定面部46に対向する。
【0079】
なお、第1の頭部60の長手方向の長さとなる第5の長さL5が、第2の収容部形成部44の内面の第2の稜部C2間の第2の長さL2より長いことにより、ボルト50を、第1の頭部60の長手方向が幅方向Wに平行となる姿勢まで回転しても、すなわち、第1の頭部60が幅規定面部45に当接するまで回転せず、目印54の姿勢に基づいて第1の頭部60の長手方向が幅方向Wに平行となる姿勢まで回転しても、第1の頭部60の上面65及び突起62は、上端規定面部46に上下方向Vに対向することとなる。
【0080】
作業者は、次に、載置部材90を取り付ける。載置部材90は、その貫通孔91内にボルト50の軸部52を配置するように、取り付けられる。載置部材90が取り付けられると、作業者は、次に、ワッシャ100を軸部52に通し、かつ、ナット80を軸部52に螺合して所定の締め付けトルクで締め付ける。
【0081】
ナット80が所定の締め付けトルクで締め付けられることにより、図8に示すように、第2の収容部形成部44の内面47が第2の頭部70の第7の側面75及び第8の側面76に面接触し、第2の頭部70が第2の収容部形成部44に挟持される。また、第2の収容部形成部44が、上下方向Vに平行となる。
【0082】
載置部材90は、ボルト50及びナット80により、パレット本体20に締結され、固定される。載置部材90がパレット本体20に固定されると、作業者は、次に、荷物1を載置部材90の載置部93上に載置する。
【0083】
図9は、パレット本体20に対する載置部材90の固定位置の別例を示す平面図である。図9に示すように、貫通孔91内でのボルト50の軸部52の位置をずらすことにより、載置部材90の姿勢を調整することが可能となる。
【0084】
図9に示されたパレット10では、載置部材90は、例えば円柱状の荷物1が載置可能となるように、パレット本体20に固定されている。具体的には、載置部材90は、貫通孔91内のボルト50の軸部52の位置を調整することにより、貫通孔91の並ぶ方向を、溝部40の長手方向Lに対して傾斜する姿勢で、パレット本体20に固定されている。
【0085】
このように形成されたパレット10では、ボルト50は、パレット本体20において載置部材90を固定する部分の溝部40の開口40aを通して出し入れが可能であり、第1の頭部60が溝部40の内面の幅規定面部45に当接するまで回転することにより、溝部40からの抜け止めを施すことができる。
【0086】
この為、ボルト50を、溝部40のパレット本体20の周面の開口を通して出し入れする必要がないので、ボルト50を、溝部40に沿ってスライドする必要がない。さらに、ボルト50を、第1の頭部60が溝部40の内面に当接するまで回転するだけで、抜け止めを施すことができるので、載置部材90をパレット本体20に固定する固定作業の効率を向上することができる。この為、パレット10上に荷物1を載置する作業の効率を向上することができる。
【0087】
また、載置部材90をパレット本体20に固定する取付部材として、ボルト50を用いることにより、パレット10の構造を簡素にすることができる。
【0088】
また、ボルト50は、ナット80が所定の締め付けトルク締め付けられた状態において溝部40の第2の収容部形成部44の内面47間に挟持される第2の頭部70を有することにより、ボルト50をパレット本体20に強固に固定することができる。
【0089】
さらに、溝部40の第2の収容部形成部44は、ナット80が所定の締め付けトルクで締め付けられると、溝部40の深さ方向に平行となり、それゆえ、その内面47も溝部40の深さ方向に平行な平面となる。
【0090】
この為、パレット10上に荷物1を載置すると、パレット本体20には、上下方向V、すなわち、溝部40の深さ方向に荷重が作用すると、上述のように、第2の収容部形成部44が溝部40の深さ方向に平行となることにより、第2の収容部形成部44による補強リブとしての機能が向上するので、荷物1から入力される荷重に対するパレット10の剛性を向上することができる。
【0091】
また、第1の頭部60が突起62を有することにより、溝部40に強固に固定することができる。
【0092】
また、作業者は、ボルト50の軸部52の先端に形成された目印54を確認することにより、ボルト50が、抜け止め位置まで回転された状態、すなわち、第1の頭部60の第3の側面68及び第4の側面69が、溝部40の幅規定面部45に対向する位置まで回転されたか状態であるか否かの判断を容易にすることができるので、作業効率を向上することができる。
【0093】
さらに、目印として第1の頭部60の長手方向に平行に延びる溝を用いることにより、第1の頭部の姿勢を容易に判断することができる。
【0094】
また、載置部材90の貫通孔91が長孔に形成されることにより、貫通孔91内でのボルト50の軸部52の位置を調整することによって、パレット本体20に対する載置部材90の姿勢を調整することができる。この為、載置部材90を、荷物1の形状に合わせて、最適に配置することが可能となる。
【0095】
なお、本実施形態では、載置台の一例として、荷物の搬送に用いられるパレット等のパレット10が用いられた。他の例では、載置台は、例えば、コンテナの底壁部であってもよい。コンテナの底壁部は、荷物が載置される載置台の一例である。また、載置台は、搬送に用いられるパレット以外の台であってもよい。
【0096】
また、本実施形態では、載置部材90は、被載置物が載置される載置部93が平面状に形成されたが、これに限定されない。載置部材90は、被載置物が載置されるに適した形状に形成される。また、本実施形態では、載置部材90上に被載置物が載置されたが、他の例としては、載置部材90が、被載置物を載置部材90に固定する固定構造を有してもよい。
【0097】
または、載置台は、載置部材90を用いず、ボルト50の軸部52が被載置物に直接固定されてもよい。
【0098】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。以下に、本願出願の当初の特許請求範囲に記載された発明を付記する。
[1]
取付面を有する台本体と、
前記取付面に設けられ、その幅方向両内側面に、それぞれ幅狭部、及び、前記幅狭部よりも深い部分であり、幅方向間の長さが前記幅狭部間の長さよりも長い幅広部をそれぞれ有する溝部と、
一方向に沿う長さが前記幅狭部間の長さ以下の長さを有し、この一方向に交差する方向の長さが前記幅広部間の長さより長い長さを有し、これら2方向により規定される面を前記深さ方向に直交する姿勢で前記溝部内に配置され、前記一方向が前記溝部の幅方向に平行となり前記幅狭部間を通して前記幅広部間に出し入れ可能な状態と、前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態とを前記深さ方向回りに回転することにより切り替え可能な頭部、及び、前記頭部が前記幅広部間に配置された状態において前記取付面上に配置される軸部を有した取付部材と、
を具備することを特徴とした載置台。
[2]
ナットを具備し、
前記取付部材は、ボルトであり、前記頭部と前記軸部との間に形成されて前記幅狭部間に配置される被挟持部を具備し、前記軸部に前記ナットが着脱可能に螺合され、
前記溝部の前記幅方向両内側面は、それぞれ、その幅方向間の長さが前記深さ方向に漸次増大する第1の面部、前記第1の面部に連続し、前記第1の面部に対して屈曲して前記幅方向外側に延びる第2の面部、及び、前記第2の面部に連続し、前記第2の面部に対して屈曲して前記深さ方向に延びる第3の面部を有し、
前記幅狭部は、前記第1の面部と前記第2の面部との稜部であり、前記幅広部は、前記第3の面部であり、
前記第1の面部は、前記ナットが取り外された状態において、前記頭部が前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態の前記取付部材の前記被挟持部との間に隙間を有し、
前記隙間は、前記頭部が前記幅広部に当接するとともに前記深さ方向に対して逆方向に前記溝部の内面に対向する状態において前記ナットが所定の締め付けトルクで締結されると、幅方向内側に移動した前記第1の面部により前記被挟持部が挟持される隙間に設定されている
ことを特徴とする[1]に記載の載置台。
[3]
前記頭部は、直方体状に形成されて、その周面が、互いに対向配置され、平行な第1の側面及び第2の側面、並びに、互いに対向配置され、平行な第3の側面及び第4の側面を有し、
前記第1の側面から前記第2の側面へ向かう方向が前記一方向となり、前記第1の側面と第2の側面との間の長さは、前記第1の面部と前記第2の面部との前記稜部間の長さ以下の長さを有し、
前記第1の側面と前記第3の側面との稜部から、前記第2の側面と前記第4の側面との稜部へ向かう方向が前記交差する方向であり、前記第1の側面と前記第3の側面との稜部と、前記第2の側面と前記第4の側面との稜部との間の長さが、前記第3の面部間の前記幅方向の長さより長い長さを有し、
前記第1の側面と前記第4の側面との稜部、及び、前記第2の側面と前記第3の側面との稜部は、これら稜部が前記第3の面部に向かう方向に沿って、前記第3の側面側の端部、及び、第4の側面側の端部が前記第3の面部に当接するまで前記頭部を回転可能とする曲面に形成され、
前記被挟持部は、直方体状に形成されて、その周面が、互いに対向配置され、前記第1の側面及び前記第2の側面に平行な第5の側面及び第6の側面、並びに、互いに対向配置され、前記第3の側面及び前記第4の側面に平行な第7の側面及び第8の側面を有し、
前記第5の側面と前記第8の側面との稜部、及び、前記第6の側面と前記第7の側面との稜部は、前記ナットが取り外された状態において、これら稜部が第1の面部に向かう方向に沿って、前記第7の側面及び前記第8の側面が前記第1の面部に対向するまで前記被挟持部を回転可能とする曲面に形成され、
前記隙間は、幅方向内側に移動した前記第1の面部が、前記被挟持部の前記第7の側面及び前記第8の側面に面接触することにより前記溝部の深さ方向に平行な平面になり、前記被挟持部を挟持する隙間に設定されている
ことを特徴とする[2]に記載の載置台。
[4]
前記頭部において、当該頭部が前記幅広部間で回転されて前記幅広部に当接したときに前記深さ方向に対して前記逆方向に前記溝部の内面に対向する部分には、突起が形成されている
ことを特徴とする[1]に記載の載置台。
[5]
前記軸部の先端には、前記頭部の姿勢を示す目印が形成されている
ことを特徴とする[1]に記載の載置台。
[6]
前記台本体の前記取付面上に配置されて前記軸部に係合する係合部を備え、被載置物を載置可能な載置部材と、
平行に配置された複数の前記溝部と、
を具備し、
前記係合部は、隣接する一対の前記溝部内に配置された前記取付部材の前記軸部をひとつずつ配置する一対の貫通孔が形成され、
前記貫通孔は、一対の前記貫通孔が互いに並ぶ方向に沿って延びる長孔形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の載置台。
[7]
取付面を有する台本体と、
前記取付面に設けられ、その幅方向両内側面が、それぞれ、その幅方向間の長さが深さ方向に漸次増大する第1の面部、前記第1の面部に連続し、前記第1の面部に対して屈曲して幅方向外側に延びる第2の面部、及び、前記第2の面部に連続し、前記第2の面部に対して屈曲して前記深さ方向に延びる第3の面部を有する溝部と、
前記第1の面部間を通って前記第3の面部間に配置可能な頭部、前記頭部に形成され、前記頭部が前記第3の面部間に配置された状態において前記第1の面部間に配置される被挟持部、及び、前記被挟持部に形成され、前記頭部が前記第3の面部間に配置された状態において前記台本体の外側に配置され、周面に雄ねじが形成され、かつ、その先端に目印が形成された軸部を有したボルトと、
前記台本体の前記取付面上に配置される載置部材であって、前記軸部を内側に配置する貫通孔が形成され、被載置物を載置可能な載置部材と、
前記軸部に着脱可能に螺合して前記台本体との間に前記載置部材を締結するナットと、
を具備し、
前記頭部は、直方体状に形成されて、その周面が、互いに対向配置され、平行な第1の側面及び第2の側面、並びに、互いに対向配置され、平行な第3の側面及び第4の側面を有し、
前記第1の側面と第2の側面との間の長さは、前記第1の面部と前記第2の面部との前記稜部間の長さ以下の長さを有し、
前記第1の側面と前記第3の側面との稜部と、前記第2の側面と前記第4の側面との稜部との間の長さは、前記第3の面部間の長さより長い長さを有し、
前記第1の側面と前記第4の側面との稜部、及び、前記第2の側面と前記第3の側面との稜部は、これら稜部が前記第3の面部に向かう方向に沿って、前記頭部の前記第3の側面側の端部及び第4の側面側の端部が前記第3の面部に当接するまで前記頭部を回転可能とする曲面に形成され、
前記被挟持部は、直方体状に形成されて、その周面が、互いに対向配置され、前記第1の側面及び前記第2の側面に平行な第5の側面及び第6の側面、並びに、互いに対向配置され、前記第3の側面及び前記第4の側面に平行な第7の側面及び第8の側面を有し、
前記第5の側面と前記第8の側面との稜部、及び、前記第6の側面と前記第7の側面との稜部は、これら稜部が第1の面部に向かう方向に沿って、前記第7の側面及び前記第8の側面が前記第1の面部に対向するまで前記被挟持部を回転可能とする曲面に形成され、
前記第1の面部は、前記ナットが取り外された状態において、前記第3の側面側の端部及び第4の側面側の端部が前記第3の面部に当接するまで回転された状態の前記頭部の前記被挟持部との間に隙間を有し、
前記隙間は、前記頭部が前記第3の面部に当接するまで回転された状態において前記ナットが所定の締め付けトルクで締結されると、幅方向内側に移動した前記第1の面部が、前記被挟持部の前記第7の側面及び前記第8の側面に面接触することにより前記深さ方向に平行な平面となり、前記被挟持部を挟持する隙間に設定されている
ことを特徴とする載置台。
【符号の説明】
【0099】
1…荷物(被載置物)、10…パレット(載置台)、20…パレット本体(台本体)、31…上面(取付面)、40…溝部、40a…開口し、45幅規定面部(第3の面部)、46…上端規定面部(第2の面部)、47…内面(第1の面部)、50…ボルト(取付部材)、52…軸部、54…目印、60…第1の頭部(頭部)、64…周面、66…第1の側面、67…第2の側面、68…第3の側面、69…第4の側面、70…第2の頭部(被挟持部)、80…ナット、90…載置部材、91…貫通孔、C1…第1の稜部、C2…第2の稜部、C3…第3の稜部、C4…第4の稜部、C5…第5の稜部、C6…第6の稜部、C7…第7の稜部、C8…第8の稜部、L1…第1の長さ、L2…第2の長さ、S2…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9