(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るバーリング装置について図面に基づいて説明する。ここで、
図1は本発明に係るプルアップ式のバーリング装置の装置全体を示す概略構成図である。本発明に係るプルアップ式のバーリング装置100は、金属管1に対してバーリング加工を行うバーリング加工部50と、このバーリング加工部50に対して金属管1の回転制御及び位置制御を行うバーリング用搬送部20Aと、バーリング加工部50が形成したバーリング部5の端面の面取りを行う面取り部40と、後述のビットレスト62を保持するサポート部60と、金属管1に下孔3を穿孔する穿孔部30と、この穿孔部30に対して金属管1の回転制御及び位置制御を行う穿孔用搬送部20Bと、金属管1を穿孔用搬送部20Bからバーリング用搬送部20Aに移動させる金属管移送部70と、を有している。
【0010】
次に、バーリング用搬送部20A、穿孔用搬送部20Bの構成を説明する。先ず、穿孔用搬送部20Bとバーリング用搬送部20Aとは平行に配置され、この間に金属管移送部70が配置される。尚、バーリング用搬送部20Aと穿孔用搬送部20Bとの基本的な構成は同一である。ただし、両者は互いに対称に構成され、双方とも金属管1を保持するチャックアーム22が金属管移送部70側(内側)に位置する。
【0011】
次に、バーリング用搬送部20A、穿孔用搬送部20Bの構成をバーリング用搬送部20Aを例に説明を行う。ここで、
図2(a)はバーリング用搬送部20Aの上面図であり、
図2(b)は側面図である。
図2に示すバーリング用搬送部20Aは、金属管1を保持するパイプチャック22aと、このパイプチャック22aを備えたチャックアーム22と、このチャックアーム22をスライドレール25に沿って前進、後退させるサーボモータ等のアーム移動手段24aと、パイプチャック22aを回転させて金属管1の角度を変えるサーボモータ等のアーム回転手段24bと、金属管1を支持する金属管サポータ26と、を有している。尚、パイプチャック22aは金属管1の径によって適宜付け替えが可能である。また、金属管サポータ26の支持部26aは金属管1が収まる逆V字状を呈しており、その内面には金属管1の回転及び移動を円滑に行うローラが設置されている。また、金属管サポータ26は支持部26aを昇降させる昇降手段26bを有しており、チャックアーム22が通過する際や金属管移送部70による金属管1の移送時等に適宜支持部26aを待機位置に降下させて、支持部26aをチャックアーム22、金属管1等の経路上から退避させる。尚、金属管サポータ26は金属管1の長さや加工位置に応じて、ガイドレール27に沿って位置調整が可能である。そして、バーリング用搬送部20Aは面取り部40、バーリング加工部50の手前側に設置され、面取り部40、バーリング加工部50に対する金属管1の回転制御と長手方向の位置制御とを行う。また、穿孔用搬送部20Bは穿孔部30の手前側に設置され、穿孔部30に対する金属管1の回転制御と長手方向の位置制御とを行う。
【0012】
次に、バーリング装置100のサポート部60に関して説明する。バーリング装置100のサポート部60は
図3に示すように、先側にビットレスト62が設置されたロッド66と、金属管1を支持する金属管サポータ26と、を有している。また、サポート部60は、ビットレスト62の交換時やメンテナンス時等にビットレスト62をロッド66ごと後退させてバーリング加工部50から引き出すロッドステージ64を有していても良い。尚、バーリング加工時等において、金属管1はロッド66を内挿しつつサポート部60側へ移動する。よって、ロッド66の径は金属管1の内径よりも小さい径とし、その長さはバーリング装置100が対応可能な最長の金属管1の長さと略同等な長さとすることが好ましい。
【0013】
次に、バーリング加工部50を構成するビットレスト62とビット90の構成を
図4を用いて説明する。ここで
図4(a)はビットレスト62及びビット90を上方向から見た図であり、
図4(b)は側面方向から見た模式的な断面図である。先ず、バーリング加工部50を構成するビット90は、
図4(a)、(b)に示すように、上面が略半球状を呈するとともに中心にグリップ穴92を有している。また、グリップ穴92の内周面には一定幅で所定の深さの凹条94が全周に亘って形成されている。また、ビット90の底面には円形の位置決め凹部95aを有している。尚、ビット90は形成するバーリング部5の径に応じた径のものが複数用意される。このとき、グリップ穴92及び凹条94の寸法は基本的にビット90の径によらず同一とする。ただし、ビット90の形状差が大きく同一寸法のグリップ穴92では保持に不都合が生じる場合、グリップ穴92を異なる寸法としても良い。ただし、この場合ビットグリッパ52もグリップ穴92の寸法と対応して複数種必要となる。よって、グリップ穴92の種類は極力少なくすることが好ましい。
【0014】
また、ビットレスト62は金属管1の内径よりも若干小さな略円筒状を呈するとともに、中央部分が平面状に切り欠かれ、その切欠き面がビット90を載置するレスト面96となっている。また、レスト面96の略中心には、ビット90側の位置決め凹部95aと係合する位置決め凸部95bを有している。また、レスト面96には磁石98を埋設し、ビット90を磁着して保持することが好ましい。尚、位置決め凹部95aと位置決め凸部95bの寸法はビット90の径によらず基本的に同一とする。これにより、異なる径のビット90を全てのビットレスト62で使用することが可能となる。また、ビットレスト62は基本的に加工する金属管1の内径ごとに作製する。よって、ビットレスト62はロッド66に対し着脱が可能である。
【0015】
次に、バーリング加工部50の本体部500の構成を
図5を用いて説明する。ここで
図5(a)はバーリング加工部50のクランプ部56の開いた状態を示す図であり、
図5(b)はクランプ部56の閉じた状態を示す図である。
図5に示すバーリング加工部50の本体部500は、ビット90を保持するビットグリッパ52と、このビットグリッパ52の先端を開閉動作させるグリッパ開閉手段502と、ビットグリッパ52を上下動させる油圧シリンダ等の周知のグリッパ移動手段504と、金属管1を上方向から押圧保持するクランプ部56と、このクランプ部56が固定したスライドステージ506と、クランプ部56をスライドステージ506ごと上下動させるクランプ移動機構と、金属管1の下方を支持するパイプサポータ58と、を有している。
【0016】
次に、クランプ移動機構の好適な一例を説明する。クランプ移動機構の好適な一例では、スライドステージ506と上板510とを左右2つの上リンク512a及び下リンク512bを介して接続する。また、上リンク512aと下リンク512bとの接続軸514は、ガイド板508に形成された左右のガイドスリット518に可動な状態で挿入される。また、ガイド板508には接続軸514をそれぞれ内外方向に移動させる油圧シリンダ等の周知のリンク押圧手段519が設けられる。そして、クランプ部56が上位置にある
図5(a)の状態において、接続軸514はガイドスリット518の外側に位置し、上リンク512aと下リンク512bとは屈曲した狭まった状態にある。このとき、スライドステージ506は上リンク512a、下リンク512bを介して引き上げられた上位置にある。この状態からクランプ部56を下降させる場合、左右のリンク押圧手段519が接続軸514を内側にそれぞれ押圧する。これにより、左右の接続軸514はガイドスリット518に沿って内側に移動する。この接続軸514の移動に伴い上リンク512aと下リンク512bとの屈曲角度は拡がり、スライドステージ506と上板510との間隙は押し拡げられる。これにより、スライドステージ506が下方に移動し、これに伴ってクランプ部56が下降して
図5(b)に示す閉じた状態となる。尚、クランプ部56を開状態にするには、左右のリンク押圧手段519を逆動作させ接続軸514を外側に移動させる。これにより、上リンク512aと下リンク512bとの屈曲角度は狭まり、スライドステージ506及びクランプ部56は上昇する。
【0017】
次に、クランプ部56に関して
図6を用いて説明する。ここで
図6(a)、(b)はクランプ部56が開いた状態の正面及び側面の模式的な断面図であり、
図6(c)、(d)は閉じた状態の正面及び側面の模式的な断面図である。
図6に示すようにクランプ部56は、底面に金属管1の外周面の径と略同等で金属管1の長手方向に沿って形成された周面56bと、中央部分に形成され少なくともビット90が通過可能な大きさの開口部56aと、を有している。尚、使用するビット90の最大径は金属管1の内径(詳細には内径にスプリングバック量を加味した値)と同等であるから、開口部56aは金属管1の直径以上の大きさが必要となる。従って、
図6(a)、(b)に示すように、クランプ部56はある程度の厚みを備え、開口部56aの径を金属管1(周面56b)の径よりも大きく形成することが好ましい。尚、
図6ではクランプ部56に円筒を縦方向に割った略半円筒形状の部材を用いているが、クランプ部56はこの形状に限定されるわけではなく、周面56bと開口部56aとを備えたブロック形状等のものでも構わない。また、クランプ部56及びパイプサポータ58とは、基本的に金属管1の径に応じて交換して使用する。
【0018】
次に、ビットグリッパ52に関して
図7を用いて説明する。ここで
図7(a)はビットグリッパ52の先端が閉じた状態の模式断面図であり、
図7(b)はその先端部分を下から見た図である。また、
図7(c)はビットグリッパ52の先端が開いた状態の模式断面図であり、
図7(d)はその先端部分を下から見た図である。ビットグリッパ52は
図7(a)、(c)に示すように、一対のグリップ部材520a、520bと、これらグリップ部材520a、520bの基側を保持するグリッパホルダ524と、グリップ部材520a、520bの間に基側から挿入される開閉ピン526と、グリップ部材520a、520bを閉方向に付勢するリングスプリング等の弾性部材528と、を有している。また、グリップ部材520a、520bの先端部分の所定の位置には開方向に突出した凸部522を有するとともに、内側には開閉ピン526が摺動する溝523が形成されている。
【0019】
そして、ビットグリッパ52の閉状態では
図7(a)に示すように、開閉ピン526はグリップ部材520a、520bの基側の位置にある。この場合、グリップ部材520a、520bの先側は弾性部材528の弾性力によって閉じた状態に維持される。この時、
図7(b)に示す左右の凸部522間の距離L1はビット90のグリップ穴92の径よりも小さくなる。また、ビットグリッパ52の開状態ではグリッパ開閉手段502が開閉ピン526を下方に押圧する。これにより、開閉ピン526はグリップ部材520a、520bの溝523に沿って先側に移動する。これにより、グリップ部材520a、520bは
図7(c)に示すように、先側が押し拡げられた開状態となる。この時、
図7(d)に示す、左右の凸部522間の距離L2はグリップ穴92の凹条94の径と略同等もしくはこれよりも大きくなる。
【0020】
次に、面取り部40に関して
図8を用いて説明する。ここで
図8(a)は面取り部40をバーリング加工部50側から見た図であり、
図8(b)は面取り部40を構成する挟持部46を上から見た図である。面取り部40は、フライス等の端面切削刃42aと、この端面切削刃42aを回転させる周知のモータ等の回転手段42と、この回転手段42が固定したステージ44と、このステージ44を昇降させる昇降手段43と、金属管1を両側から挟持する挟持部46と、を有している。
【0021】
また、挟持部46は金属管1を左右から挟持する挟持爪48と、この挟持爪48を開閉する挟持爪開閉手段49と、を有している。また、挟持爪48は内周面が金属管1の外周と略同径の円弧で形成されるとともに、
図8(b)に示すように、バーリング部5(加工位置)を挟んで両側に位置する挟持爪48a、48bとを有している。尚、挟持爪48は加工する金属管1の径に応じて、対応する寸法のものに適宜付け替えが可能である。
【0022】
次に、穿孔部30に関して
図9を用いて説明する。穿孔部30は、
図9に示すように、ドリルやエンドミル等の穿孔刃32aと、この穿孔刃32aを回転させる周知のモータ等の回転手段32と、この回転手段32が固定したステージ34と、このステージ34を昇降させる昇降手段33と、金属管1を両側から挟持する挟持部46と、ステージ34をX軸、Y軸方向に移動させる図示しない移動手段と、を有している。また、挟持部46は面取り部40のものと同様に、金属管1を左右から挟持する挟持爪48と、この挟持爪48を開閉する挟持爪開閉手段49と、を有している。また、挟持爪48は内周面が金属管1の外周と略同径の円弧で形成されるとともに、穿孔位置を挟んで両側に位置する挟持爪48a、48b(図示せず)とを有している。尚、挟持爪48は加工する金属管1の径に応じて、対応する寸法のものに適宜付け替えが可能である。
【0023】
次に、金属管移送部70に関して
図10を用いて説明する。ここで
図10(a)は金属管移送部70の正面図であり、
図10(b)は上面図である。
図10に示す金属管移送部70は、金属管1を挟持するパイプホルダ72と、このパイプホルダ72を左右方向に移動させる第1スライダ機構74aと、パイプホルダ72を第1スライダ機構74aごと上下移動させる昇降装置76と、この昇降装置76を左右方向に移動させる第2スライダ機構74bと、を有している。尚、これらの移送機構(パイプホルダ72、第1スライダ機構74a、昇降装置76、第2スライダ機構74b)は台座78に複数個(本例では3個)平行に設置され、全ての移送機構が連動して同一の動作を行う。また、パイプホルダ72は金属管1の径によって適宜適切なサイズのものに付け替えが可能である。
【0024】
次に、本発明に係るプルアップ式のバーリング装置100の動作を説明する。先ず、加工する金属管1の径に応じたビットレスト62を選択し、ロッド66の先端に固定する。また、初めに形成するバーリング部5の径と対応したビット90を選択し、ビットレスト62のレスト面96に載置する。このとき、ビット90側の位置決め凹部95aをビットレスト62側の位置決め凸部95bに挿入することで、ビット90をレスト面96の特定の位置に載置することができる。また、レスト面96に埋設された磁石98がビット90を磁着することで、振動等でビット90が位置ずれを起こすことを防止する。
【0025】
また、加工する金属管1の径に対応したクランプ部56及びパイプサポータ58を選択し、バーリング加工部50の本体部500に設置する。また、必要であればビットグリッパ52をビット90のグリップ穴92と対応するものに交換する。また、必要に応じてパイプチャック22a及びパイプホルダ72を加工する金属管1の径と対応するものに交換する。またさらに、穿孔部30と面取り部40の各挟持部46の挟持爪48を加工する金属管1の径と対応するものに交換する。
【0026】
次に、バーリング装置100の電源をオンする。次に、バーリング装置100の図示しない制御部に金属管1に対する加工プログラムを選択もしくは入力する。尚、この加工プログラムにはバーリング部5を形成する金属管1の長手方向の位置情報を有している。また、バーリング部5を金属管1に複数形成する場合には、形成するバーリング部5の角度情報(各バーリング部5との相対角度)とバーリング部5の径情報とを有している。
【0027】
次に、バーリング加工を行う金属管1を穿孔用搬送部20Bの金属管サポータ26上に載置する。尚、このとき支持部26aは金属管1を支持する上方の支持位置にある。次に、バーリング装置100をスタートさせる。これにより、バーリング装置100の制御部はアーム移動手段24aを動作させ、穿孔用搬送部20Bのチャックアーム22を待機位置から初期位置に前進させる。このとき、金属管1の手前側の一端はパイプチャック22aの最奥端に当接する。次に、バーリング装置100の制御部は穿孔用搬送部20Bのパイプチャック22aを閉動作させ、金属管1を保持する。
【0028】
次に、制御部は加工プログラムに基づいてアーム移動手段24aを動作させ、チャックアーム22をスライドレール25に沿って前進させる。そして、金属管1のバーリング部形成位置を穿孔部30の穿孔位置に位置させる。次に、制御部は穿孔部30の挟持爪開閉手段49を閉動作させ、金属管1を左右の挟持爪48によって挟持する。尚、このとき金属管1の穿孔位置は前後の挟持爪48a、48bの間に位置し、穿孔位置の上下は露出する。
【0029】
次に、制御部は穿孔部30の回転手段32を動作させる。これにより、穿孔刃32aが回転する。次に、制御部は穿孔部30の昇降手段33を動作させ、ステージ34を待機位置から切削位置まで下降させる。これにより、穿孔刃32aが金属管1の加工位置に当接し、この位置に下孔3を穿孔する。この際、加工プログラムによっては制御部が穿孔部30の移動手段を制御して穿孔刃32aをX軸方向もしくはY軸方向に移動させる。これにより、金属管1に楕円の下孔3を穿孔することができる。そして、この下孔3はビットグリッパ52の先側が通過するのに十分な径を有している。このようにして下孔3の穿孔が完了すると、制御部はステージ34を待機位置まで上昇させるとともに、挟持爪開閉手段49を開動作する。これにより、挟持爪48による金属管1の挟持は解除される。
【0030】
尚、金属管1に複数のバーリング部5を形成する場合、制御部は加工プログラムに基づいて穿孔用搬送部20Bを制御し、金属管1の次のバーリング部形成位置を穿孔部30の加工位置に位置させる。また、先のバーリング部とバーリングの形成方向が異なる場合、制御部はアーム回転手段24bを制御してパイプチャック22aを加工プログラムに基づいて所定の角度回転させる。そして、挟持爪48で保持した後、ステージ34を下降させ穿孔刃32aによる下孔3の穿孔を行う。このようにして、全ての下孔3の穿孔が完了すると、穿孔部30は穿孔刃32aの回転を停止する。次に、制御部はチャックアーム22を金属管1を保持したまま初期位置に後退させる。
【0031】
次に、制御部は金属管移送部70の第1スライダ機構74aを動作させ、パイプホルダ72を穿孔用搬送部20B側に位置させる。次に、制御部は第2スライダ機構74bを動作させ、パイプホルダ72を昇降装置76ごと穿孔用搬送部20B側に位置させる。これにより、パイプホルダ72は
図11(a)に示すように、穿孔用搬送部20Bが保持している金属管1の下方に位置する。次に、制御部は昇降装置76を動作させパイプホルダ72を第1スライダ機構74aごと上昇させる。次に、制御部はパイプホルダ72を閉動作させる。これにより、パイプホルダ72は
図11(b)に示すように、金属管1を挟んで保持する。次に、制御部は穿孔用搬送部20Bのパイプチャック22aを開動作する。そして、チャックアーム22を初期位置から待機位置に退避させる。また、制御部は金属管サポータ26の昇降手段26bを下降動作させ、支持部26aを下方に退避させる。これにより、金属管1が穿孔用搬送部20Bから金属管移送部70に回転することなく受け渡される。
【0032】
次に、制御部は第1スライダ機構74aを動作させ、パイプホルダ72をバーリング用搬送部20A側に位置させる。次に、制御部は第2スライダ機構74bを動作させ、パイプホルダ72を昇降装置76ごとバーリング用搬送部20A側に位置させる。このとき、バーリング用搬送部20Aのチャックアーム22は待機位置にあり、また、金属管サポータ26の支持部26aは下方の位置に退避している。これにより、金属管1は
図11(c)に示すように、パイプチャック22aの軸線上に位置する。
【0033】
次に、制御部はバーリング用搬送部20Aのチャックアーム22を待機位置から初期位置に前進させる。これにより、金属管1の手前側の一端はパイプチャック22aの最奥端に当接する。次に、制御部はバーリング用搬送部20Aのパイプチャック22aを閉動作させ、金属管1を保持する。また、制御部はバーリング用搬送部20Aの金属管サポータ26を上昇動作させる。これにより、金属管サポータ26の支持部26aは金属管1を支持する。次に、制御部はパイプホルダ72を開動作させる。これにより、金属管1が金属管移送部70からバーリング用搬送部20Aに回転することなく受け渡される。次に、制御部は昇降装置76を動作させパイプホルダ72を第1スライダ機構74aごと下降させる。次に、制御部は第2スライダ機構74bを動作させ、
図11(d)に示すように、パイプホルダ72を所定の待機位置に位置させる。以上の金属管移送部70の動作により、金属管1は穿孔用搬送部20Bからバーリング用搬送部20Aに回転することなく受け渡される。
【0034】
次に、制御部は加工プログラムに基づいてバーリング用搬送部20Aのアーム移動手段24aを動作させ、チャックアーム22をスライドレール25に沿って前進させるとともに、アーム回転手段24bを制御してバーリング加工を行う下孔3が上を向くようパイプチャック22aを回転させる。そして、ビットレスト62を内挿しながらバーリング加工を行う下孔3をバーリング加工部50の加工位置に位置させる。このとき、パイプサポータ58は金属管1の下方に当接し金属管1を支持する。尚、バーリング加工部50の加工位置とは、ビット90の中心の軸線上の位置であり、よって、ビット90の中心と下孔3の中心とは上面視で略一致して同一軸線上に並ぶ。尚、バーリングの加工位置によっては、金属管1の先側はバーリング加工部50を通過してロッド66を内挿しながらサポート部60側に突出する。このとき、金属管1はサポート部60の金属管サポータ26によって支持される。
【0035】
次に、制御部はバーリング加工部50のリンク押圧手段519を前進動作させる。これにより、接続軸514が内側に移動しクランプ部56がスライドステージ506ごと下降する。そして、
図6(c)、(d)に示すように、クランプ部56の周面56bが金属管1の周面に当接し、これを下方向に押圧保持する。このとき、下孔3はクランプ部56の開口部56aにより露出する。次に、制御部はバーリング加工部50のグリッパ移動手段504を下降動作させる。これにより、ビットグリッパ52が下方向に移動する。そして、ビットグリッパ52の先部はクランプ部56の開口部56a及び下孔3を通過して金属管1内に位置するビット90のグリップ穴92内に挿入する。そして、
図12(a)に示すように、ビットグリッパ52の凸部522とグリップ穴92の凹条94とが略一致する位置で停止する。尚、
図12ではクランプ部56の図示は省略する。
【0036】
次に、制御部はグリッパ開閉手段502を動作させる。これにより、開閉ピン526が下降してグリップ部材520a、520bの先端部分が開き、
図12(b)に示すように、ビットグリッパ52の凸部522が凹条94内に嵌入する。これにより、ビットグリッパ52がビット90を保持する。
【0037】
次に、制御部はグリッパ移動手段504を上昇動作させる。これにより、ビットグリッパ52はビット90を保持したまま上方向に移動する。このとき、ビット90の径は下孔3の径よりも大きいから、ビット90の略半球状の上面は下孔3の周縁に当接し、ビット90の上昇に伴ってこれを徐々に立ち上げる。そして、この下孔周縁の塑性変形により
図12(c)に示すようにバーリング部5が形成される。このとき、金属管1の上面はクランプ部56によって押圧保持されているため、金属管1の全体が湾曲することはない。
【0038】
次に、制御部はビット90がバーリング部5から抜けきらない位置でグリッパ移動手段504の動作を停止する。そして、再度、グリッパ移動手段504を下降動作させる。これにより、ビットグリッパ52がビット90を保持したまま下方向に移動する。そして、
図12(d)に示すように、ビット90をビットレスト62の元の位置に戻して停止する。次に、制御部はグリッパ開閉手段502を逆動作させる。これにより、開閉ピン526が上昇して
図12(e)に示すように、グリップ部材520a、520bの先端部分が閉じ、ビットグリッパ52によるビット90の保持は解除される。そして、位置決め凹部95a、位置決め凸部95b、磁石98によってビット90はレスト面96の特定の位置に載置される。次に、制御部はグリッパ移動手段504を上昇動作させる。これにより、ビットグリッパ52は上方向に移動し、ビットグリッパ52の先端はグリップ穴92から抜き出され、
図12(f)に示すように、バーリング部5よりも上方の待機位置で停止する。
【0039】
次に、制御部は本体部500のリンク押圧手段519を後退動作させる。これにより、接続軸514が外側に移動しクランプ部56がスライドステージ506とともに上昇する。これにより、クランプ部56による金属管1の押圧保持は解除される。
【0040】
次に、制御部はバーリング用搬送部20Aを制御して金属管1を所定量後退させ、形成後のバーリング部5を面取り部40の加工位置に位置させる。次に、制御部は面取り部40の挟持爪開閉手段49を閉動作させ、金属管1を左右の挟持爪48によって挟持する。尚、このとき金属管1の加工位置は前後の挟持爪48a、48bの間に位置し、バーリング部5は露出する。次に、制御部は面取り部40の回転手段42を動作させる。これにより、端面切削刃42aが回転する。次に、制御部は昇降手段43を下降動作させ、面取り部40のステージ44を待機位置から切削位置まで下降させる。これにより、端面切削刃42aが下降してバーリング部5の端面に当接し、この端面の面取りを行う。そして、端面の面取りが完了すると、制御部はステージ44を待機位置まで上昇させるとともに、挟持爪開閉手段49を開動作する。これにより、挟持爪48による金属管1の挟持は解除される。これにより、端面が平滑なバーリング部5が形成される。
【0041】
次に、この金属管1に同一径のバーリング部5を複数形成する場合、制御部は形成済みのバーリング部5がバーリング装置100の各部に接触しないようアーム移動手段24a、アーム回転手段24bを適宜動作させながら、次にバーリング加工を行う下孔3をバーリング加工部50の加工位置に位置させる。そして、上記の一連の動作によりバーリング部5を形成する。そして、形成したバーリング部5の面取りを行う。
【0042】
また、異なる径のバーリング部5を形成する場合、制御部はバーリング用搬送部20Aを制御して金属管1をバーリング加工部50から一旦退避させ、ビットレスト62及びビット90を露出させる。そして、ランプやブザー等によって作業者に報知する。作業者はこれを受けてビット90を次にバーリング加工を行う径のものと交換する。そして、再始動ボタン等を押下する。これにより、制御部はアーム移動手段24a、アーム回転手段24bを適宜動作させながら、新たな径のバーリング部5を形成する下孔3をバーリング加工部50の加工位置に位置させる。そして、上記の一連の動作によりバーリング部5を形成し、面取りを行う。そして、金属管1の全てのバーリング部5の形成が完了した後、制御部はアーム移動手段24a、アーム回転手段24bを適宜動作させながら、金属管1をバーリング用搬送部20Aの初期位置に後退させる。そして、パイプチャック22aを開動作するとともに、チャックアーム22を待機位置に後退させる。そして、金属管1に対するバーリング加工を終了する。完成した金属管1は作業者やロボットが取り出して後工程に移送する。尚、バーリング径が著しく大きい等の特別な場合には、ビット90に加え、ビットレスト62及びビットグリッパ52も交換する必要がある。ただし、これは特別な場合であって、通常のバーリング加工においてはビット90の交換のみで対応が可能である。
【0043】
以上のように、本発明に係るバーリング装置100は、同一径の金属管に対してはビットレスト62に載置されたビット90を交換することで異なる径のバーリング加工を行うことができる。これにより、金属管1へのバーリング加工をより一層短時間、且つ効率良く行うことができる。
【0044】
尚、本例で示したバーリング装置100の各部の構成、機構、形状、寸法、動作手順等は一例であるから、特に本例に限定される訳ではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【解決手段】このバーリング装置100は、ビットレスト62上に載置したビット90を、金属管1内の下孔3の位置に位置させる。そして、ビットグリッパ52が下孔3を通してビット90を保持し、これを上昇させることでバーリング部5を形成する。そして、同一径の金属管に対してはビットレスト62に載置されたビット90を交換することで異なる径のバーリング加工を行うことができる。これにより、金属管1へのバーリング加工をより一層短時間、且つ効率良く行うことができる。