(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも前記押圧部が前記シート中の収容部を押圧するとき、前記シートの両側部を、前記シート中の一部分の下方への湾曲又は変形を可能とするように把持する把持部を備えている、請求項1に記載の薬剤シートなどの除包に適した除包装置。
前記開口又は凹部は、前記シート中の複数の収容部が幅方向に並んでいる一行部分の下方への湾曲又は変形を可能とするものである、請求項3に記載の薬剤シートなどの除包に適した除包装置。
前記載置部には、前記開口又は凹部の近傍領域において前記載置部の上面から前記開口又は凹部に向かって徐々に下方に傾斜する傾斜部が形成されている、請求項3又は4に記載の薬剤シートなどの除包に適した除包装置。
前記傾斜部の前記開口又は凹部と反対側の縁部は、前記開口又は凹部側を中心点とする略楕円の弧状に形成されている、請求項5に記載の薬剤シートなどの除包に適した除包装置。
前記制御部は、前記押圧部が前記一行部分上の複数の収容部を順次押圧するとき、一つの収容部を押圧した後、所定時間を経過してから次の収容部を押圧するように、前記振子状回動部を制御するものである、請求項1から7までのいずれかに記載の薬剤シートなどの除包に適した除包装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の特許文献1が提案しているような従来の除包装置などにおいては、例えば上側の押し出しローラー及び下側の挟み込みローラーにより薬剤シートを固定しながら同時に前記押し出しローラー中の押し出し部を高精度に位置決めしつつ当該押し出し部により薬剤シート中の各収容部を上方から押圧して内部の薬剤を押し出すようにするなど、被収容物の取り出しのために複雑な構成及び動作を必要としていたため、装置の製造コストが高止まりしてしまい装置の耐用年数も比較的短いものとなってしまうなどの問題点が存在していた。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、複数の収容部が配置されて成る可とう性シート中の各収容部から被収容物を取り出すための構成及び動作を単純化して、装置の製造コストを低減させると共に装置の耐用年数を長期化させることができる、薬剤シートなどの除包に適した除包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決するための本発明による薬剤シートなどの除包に適した除包装置は、可とう性シートに形成された複数の収容部であって前記シート平面に対して凸状に形成されている収容部から被収容物を取り出す除包装置であって、前記シートが載置され又はその上で移動する載置部と、前記載置部中に備えられた、前記シートの一部分が下方に曲がるように変形することを可能にする変形許容部と、前記シートの一部分が前記変形許容部上に配置されたとき、前記一部分に形成されている収容部を押圧し、前記一部分を下方に曲がるように変形させると共に、前記収容部の上側部分を変形させて前記収容部の下側部分に被収容物が排出される亀裂を生じさせる押圧部と、前記押圧部を前記載置部の上方の位置を支点として円弧状に回動させ且つ前記シート幅方向に往復移動させる振子状回動部であって、前記押圧部が、前記往復移動における往と復の2つの方向中の1つの方向を移動する間に、前記変形許容部上に配置された前記一部分中のシート幅方向に並ぶ複数の各収容部を、順次、連続的に押圧していくように、前記押圧部を前記変形された曲面に沿って回動させる振子状回動部とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明による薬剤シートなどの除包に適した除包装置においては、少なくとも前記押圧部が前記シート中の収容部を押圧するとき、前記シートの両側部を、前記シート中の一部分の下方への湾曲又は変形を可能とするように把持する把持部を備えていてもよい。
【0008】
また、本発明による薬剤シートなどの除包に適した除包装置においては、前記変形許容部は、前記載置部中に形成された開口又は凹部であってもよい。
【0009】
また、本発明による薬剤シートなどの除包に適した除包装置においては、前記開口又は凹部は、前記シート中の複数の収容部が幅方向に並んでいる一行部分の下方への湾曲又は変形を可能とするものであってもよい。
【0010】
また、本発明による薬剤シートなどの除包に適した除包装置においては、前記載置部に、前記開口又は凹部の近傍領域において前記載置部の上面から前記開口又は凹部に向かって徐々に下方に傾斜する傾斜部が形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明による薬剤シートなどの除包に適した除包装置においては、前記傾斜部の前記開口又は凹部と反対側の縁部は、前記開口又は凹部側を中心点とする略楕円の弧状に形成されていてもよい。
【0012】
また、本発明による薬剤シートなどの除包に適した除包装置においては、前記シートをその長手方向に沿って移動させる移動部と、(a)前記シートが、前記シート中の複数の収容部が幅方向に並んでいる一行部分が前記押圧部の振子状回動の軌道上に位置するまで、移動してその位置で停止するように、前記移動部を制御し、(b)前記押圧部が、前記一行部分中の各収容部を順次押圧しながら回動するように、前記振子状回動部を制御し、(c)前記回動が終了した後、前記シートが、前記シートの移動方向において前記一行部分より後方側の一行部分が前記押圧部の振子状回動の軌道上に位置するまで、移動してその位置で停止するように、前記移動部を制御し、(d)前記押圧部が、前記後方側の一行部分中の各収容部を順次押圧しながら前記回動方向と逆の方向に回動するように、前記振子状回動部を制御する制御部とを備えていてもよい。
【0013】
さらに、本発明による薬剤シートなどの除包に適した除包装置においては、前記制御部は、前記押圧部が前記一行部分上の複数の収容部を順次押圧するとき、一つの収容部を押圧した後、所定時間を経過してから次の収容部を押圧するように、前記振子状回動部を制御するものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、前記載置部上に載置された可とう性シート中の一部分(一行部分又は複数行部分)を前記変形許容部(例えば開口又は凹部)上に配置し、前記振子状回動部に形成、支持又は配置された前記押圧部が振子状に移動しつつ前記変形許容部上に配置された可とう性シート中の一部分中の各収容部の上側を順次押圧することにより、前記シートの各収容部から被収容物が外部に順次排出される。よって、本発明によれば、前記振子状回動部により前記押圧部が前記シートの上方を振子状に往復移動するという単純な構成及び動作により、前記シートの各収容部から被収容物を取り出すことができるので、前記シートの各収容部からの被収容物取り出しのための装置の製造コストを低減すると共に同装置の耐用年数を長期化させることができる。
【0015】
また、本発明において、前記押圧部が前記シート中の収容部を押圧するとき、前記シートの両側部(シートの幅方向の両端部)を前記シート中の一部分の下方への湾曲又は変形を可能とするように把持する把持部を備えるようにしたときは、前記シートを把持しながら、前記押圧部による振子状の回動及び押圧に対応して前記シートを下方に湾曲又は変形させることが、容易にできるようになる。
【0016】
また、本発明において、前記変形許容部を、前記載置部中に形成された開口又は凹部としたときは、前記シートを前記載置部上に載置した状態で前記押圧部が振子状に回動するとき、その振子状の回動及び押圧に対応して、前記シートを容易に且つ円滑に下方に湾曲又は変形させることができる。
【0017】
また、本発明において、前記変形許容部の一形態としての開口又は凹部を、前記シート中の複数の収容部が幅方向に並んでいる一行部分の下方への湾曲又は変形を可能とするものとしたときは、前記シートを前記載置部上に載置した状態で前記押圧部が振子状に回動するとき、その振子状の回動及び押圧に対応して、前記シート中の前記一行部分を容易に且つ円滑に下方に湾曲又は変形させることができる。
【0018】
また、本発明において、前記載置部に、前記開口又は凹部の近傍領域において前記載置部の上面から前記開口又は凹部に向かって徐々に下方に傾斜する傾斜部を形成するようにしたときは、前記シートを前記載置部上に載置した状態で前記押圧部が振子状に回動するとき、その振子状の回動及び押圧に対応して、前記シート中の前記一行部分を、より容易に且つ円滑に、下方へ湾曲又は変形させることができる。
【0019】
また、本発明において、前記傾斜部の前記開口又は凹部と反対側の縁部を、前記開口又は凹部側を中心点とする略楕円の弧状に形成するようにしたときは、前記シート中の前記一行部分の下方への湾曲又は変形が、より容易に且つ円滑に行われるようになる。
【0020】
また、本発明において、前記制御部により前記移動部及び前記振子状回動部を制御することにより、(a)前記シートを、前記シート中の一行部分が前記押圧部の振子状回動の軌道上に位置するまで、移動させて停止させ、(b)その後、前記押圧部を、それが前記一行部分の上を回動するように回動させ、(c)前記回動が終了した後は、前記シートを、前記一行部分と隣接する次の一行部分(前記シートの移動方向において前記一行部分より後方側の一行部分)が前記押圧部の振子状回動の軌道上に位置するまで、移動させて停止させ、(d)その後、前記押圧部を、それが前記次の一行部分(後方側の一行部分)の上を前記回動方向と逆の方向に回動するように回動させるようにしたときは、前記振子状回動部が前記押圧部を振子状に往復移動させるという単純な構成及び動作だけで前記シート中の各収容部から被収容物を順次取り出すことができるので、前記シートの各収容部からの被収容物取り出しのための装置の製造コストを低減し、同装置の耐用年数を長期化させることができる。
【0021】
さらに本発明において、前記制御部により、前記押圧部が前記一行部分上の複数の収容部を順次押圧するに際し、一つの収容部を押圧した後、所定時間を経過してから次の収容部を押圧するようにしたときは、前記押圧部の押圧により前記一行部分中の一つの収容部から取り出された薬剤について一回服用分用の容器に入れるなどの所定の処理を行った後に次の収容部を押圧して薬剤を取り出すことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の実施形態1の構成を
図1,2を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る除包装置の全体構成を示す図、
図2は本実施形態1中の主要な構成を示す図である。
【0024】
図1,2において、1は薬剤が複数の各収容部1aにそれぞれ収容されているPTPシート(薬剤シートの一種)、2は本実施形態1の本体フレーム、3は前記本体フレーム2の上面により構成される載置部であって前記PTPシート1を載置し又は搬送するために使用される載置部、4は前記PTPシート1中の長手方向端部から見たときの両側端部をそれぞれ前記載置部3との間で把持し固定しながら前記PTPシート1を前記PTPシート1の長手方向に沿って搬送する搬送ローラーである。前記搬送ローラー4の外周面にはゴムなどの弾性体が取り付けられている。
【0025】
また、
図1,2において、5は、前記PTPシート1中の複数の収容部1aがシート幅方向に並んでいる一行部分(
図1において、破線1bで囲まれた、計3個の収容部1aが前記幅方向に並んでいる部分)の下面側と対向するように、前記載置部3の一部に形成された開口部である。前記開口部5は、前記PTPシート1中の前記一行部分1bの図示下方への湾曲・変形を可能とするため、及び前記一行部分1b中の各収容部1aの下側封止面から下方に押し出され排出された薬剤を下方のホッパー(図示省略)などの薬剤収集部に向けて落下、移動させるためのものである。
【0026】
また、
図1,2において、6は、前記開口部5の前記PTPシート1長手方向(前記PTPシート1が搬送されるときの前後方向)における両側近傍部分に形成された傾斜部であって、前記開口部5と反対側の縁部6aから前記開口部5に向かって徐々に下降するように形成された傾斜部である。前記傾斜部6の前記開口部5と反対側の縁部6aは、前記開口部5側(前記開口部5の近傍部分をも含む)に中心点を有する略楕円の弧状に形成されている。前記傾斜部6は、前記開口部5上に配置された前記PTPシート1中の一行部分1bが図示下方に湾曲・変形することを、より円滑に且つ容易にするためのものである。
【0027】
また、
図1,2において、7は、その図示上方に位置するモーター8(
図2(c)参照)に駆動される回動軸7aを中心として振子状に往復回動する振子状回動部、7bは前記振子状回動部7の下端部に形成された正面略矢印先端状の押圧部である。前記押圧部7bは、前記振子状回動部7により、前記PTPシート1の前記一行部分1b中の各収容部1aの上側ドーム状部分を上方から順次押圧して押し潰し変形させながら被収容物である薬剤を下方に押圧し、前記押圧された薬剤で前記収容部1aの下側封止面(例えばアルミ箔製)を突き破らせ、前記薬剤を排出させるためのものである。なお、
図1において、9は、前記載置部3と連続的に形成された空シート排出部であって、前記押圧部7b等の動作により各収容部1aから薬剤が全て排出された後の空のPTPシート(空シート)をホッパー(図示省略)などの空シート回収部に移動させるための傾斜面から成る空シート排出部である。
【0028】
次に、
図3〜7を参照して本実施形態1の動作を説明する。
図3(a)及び(b)は前記PTPシート1中の搬送方向に沿う両側の端部が搬送ローラー4と載置部3との間で把持、固定されながら図示の矢印A方向に搬送されている状態を示す斜視図及び平面図、
図4(a)及び(b)は前記PTPシート1の両側端部が搬送ローラー4と載置部3との間で把持された状態で、前記PTPシート1の搬送方向前端の一行部分1bが前記開口部5(
図1〜3参照)上まで移動したために前記搬送が停止された後、前記押圧部7bが矢印B方向(
図4(a)参照)に振子状の回動を開始して前記PTPシート1の一行部分1b中の図示左側収容部1aの上まで移動したときの状態を示す斜視図及び平面図、
図5は前記
図4の状態から前記押圧部7bが矢印B方向にさらに回動して前記PTPシート1の一行部分1b中の図示中央収容部1aの上まで移動したときの状態を示す斜視図、
図6は前記
図5の状態から前記押圧部7bが矢印B方向にさらに回動して前記PTPシート1の一行部分1b中の図示右側収容部1aの上まで移動したときの状態を示す斜視図、
図7は、前記
図6の状態から前記押圧部7bが矢印B方向にさらに回動した後、前記PTPシート1を、前記各収容部1aから薬剤が取り出された後の一行部分1bの次(搬送方向における後方側)の一行部分1b’が前記開口部5の上に位置するまで矢印A方向に搬送して停止させて、前記押圧部7bに前記矢印B方向と逆の矢印B’方向への振子状の回動を開始させるときの動作を示す斜視図である。
【0029】
まず、
図3(a)及び(b)に示すように、本実施形態1では、前記PTPシート1が、その両側端部がそれぞれ前記搬送ローラー4と前記載置部3との間で把持されながら、図示矢印A方向に順次搬送される。
【0030】
次に、
図4(a)及び(b)に示すように、前記PTPシート1の両側端部が搬送ローラー4と載置部3との間で把持された状態で、前記PTPシート1の搬送方向(矢印A方向)における前端側の一行部分1bが前記開口部5(
図1〜3参照)の上まで移動すると、そのことを示す例えば赤外線センサなどの検知部からの検出信号が制御部(図示しないマイクロコンピュータなどにより構成される制御部)に送信される。前記制御部は、前記検出信号を受信すると、前記搬送ローラー4による前記PTPシート1の搬送を停止させ、さらに前記モーター8(
図2(c)など参照)を制御して、前記振子状回動部7及びその下端の押圧部7bを振子状に回動させる(
図4(a)の矢印B参照)。
【0031】
そして、前記押圧部7bが、図示矢印B方向への振子状回動を開始して、前記PTPシート1の一行部分1b中の図示左側収容部1aの上まで移動すると、前記押圧部7bの押圧動作により、前記左側収容部1aの上側ドーム状部分が下方に押し潰されて変形し、内部の薬剤が、前記押圧部7bに押されて前記収容部1aの下側封止面(アルミ箔)を突き破り、そこから外部に排出される。なお、本実施形態1では、前記左側収容部1aから薬剤が排出された後、前記制御部により、当該排出された薬剤が一回服用分の容器に入れられるなどの処理が終了するまでの所定時間、前記押圧部7bの回動が停止され、前記処理が終了してから前記押圧部7bの回動が再開される。後述の図示中央側収容部1a,及び図示右側収容部1aから薬剤が排出された後においても同様である。
【0032】
その後、前記押圧部7bが図示矢印B方向への回動をさらに継続して前記PTPシート1の一行部分1b中の図示中央側収容部1aの上まで移動すると、
図5に示すように、前記押圧部7bの押圧動作により、前記中央側収容部1aの上側ドーム状部分が下方に押し潰されて変形し、内部の薬剤が、前記押圧部7bに押されて前記収容部1aの下側封止面(アルミ箔)を突き破り、そこから外部に排出される。
【0033】
なお、前記押圧部7bは前記回動軸7aを中心として振子状に回動し、その軌跡は円弧状となるため、もし前記PTPシート1が平板状に固定されたままであるならば、前記押圧部7bによる前記一行部分1b中の図示左側収容部1a及び図示右側収容部1aへの押圧と、前記押圧部7bによる前記一行部分1b中の図示中央側収容部1aへの押圧とで、その押圧の力の大きさ及び態様は大幅に異なることとなってしまう。しかしながら、本実施形態1では、前記PTPシート1は可とう性シートであり、前記PTPシート1中の前記一行部分1bは前記開口部5(下方への変形を許容する変形許容部の一形態)の上に配置されている。そのため、本実施形態1では、前記PTPシート1中の前記一行部分1bが、前記押圧部7bの振子状回動の軌跡と略一致する略円弧状に湾曲、変形することが、許容されている。また、前記PTPシート1の両側端部は、前記の外周面にゴム等の弾性体が取り付けられた搬送ローラー4と前記載置部3とに挟まれて、微小な距離(例えば1〜3mm程度)のズレが許容される態様で把持されているため、このことからも、前記PTPシート1の前記一行部分1bは、前記略円弧状に湾曲、変形することが確実に可能となっている。
【0034】
したがって、本実施形態1においては、前記PTPシート1中の前記一行部分1bは、前記押圧部7bに押されたとき、
図5に示すように、全体として、正面視で(前記PTPシート1の長手方向端部から見て)前記押圧部7bの振子状回動の軌跡と略一致する略円弧状に湾曲、変形する。よって、本実施形態1では、前述のように前記一行部分1bが全体として正面視で前記略円弧状に湾曲、変形するため、前記押圧部7bによる押圧は、前記一行部分1b中の図示左側収容部1a及び図示右側収容部1aに対しても、また前記一行部分1b中の図示中央側収容部1aに対しても、ほぼ同じ力の大きさ及び態様のものとなる。
【0035】
なお、前記一行部分1bが前述のように略円弧状に湾曲、変形する動作に関しては、前記開口部5の周辺に形成された前記傾斜部6の作用も寄与しているが、前記開口部5及び前記傾斜部6の作用等については、後述の本発明の実施形態2における開口部15及び傾斜部16についての説明の中で併せて詳述する。
【0036】
次に、
図5に関して前述した薬剤取り出し動作の後、前記押圧部7bがさらに前記回動を継続して前記PTPシート1の一行部分1b中の図示右側収容部1aの上まで移動すると、
図6に示すように、前記押圧部7bの押圧動作により、前記右側収容部1aの上側ドーム状部分が下方に押し潰されて変形し、内部の薬剤が、前記押圧部7bに押されて前記収容部1aの下側封止面(アルミ箔)を突き破り、そこから外部に排出される。
【0037】
前記制御部は、前記押圧部7bによる前記右側収容部1aからの薬剤取り出し(
図6参照)が終了すると、前記押圧部7bをさらに少しの距離(例えば数〜十数mm程度の距離)だけ矢印B方向に回動させた後、その位置でいったん停止させる(
図7に示す状態)。その後、前記制御部は、前記搬送ローラー4を制御して、前記PTPシート1を少しの距離(例えば数〜十数mm程度の距離)だけ矢印A方向(搬送方向)に移動させ、前記PTPシート1中の前記搬送方向において前記一行部分1bよりも後方側の次の一行部分1b’が前記開口部5(
図1〜3参照)の上まで移動したとき、前記PTPシート1の搬送をいったん停止させ、その後、前記モーター8を制御し、前記振子状回動部7を介して前記押圧部7bを前記B方向とは逆向きの矢印B’方向(
図7参照)に振子状に回動させる。
【0038】
以後は、前述した動作とは逆の順序、すなわち
図7から
図6、
図5、
図4、さらに
図3へという順序で、前記押圧部7bが順次、各収容部1aを押圧して内部の薬剤を排出させる。そして、それ以後も、前記PTPシート1の数〜十数mm程度の距離の搬送による次の(後方側の)一行部分1bの前記開口部5上への配置、前記押圧部7bの一方向への振子状回動、前記PTPシート1の数〜十数mm程度の距離の搬送によるさらに次の(後方側の)一行部分1bの前記開口部5上への配置、及び前記押圧部7bの前記と反対方向への振子状回動が、前記PTPシート1中に配置された全ての収容部1aから内部の薬剤が排出されるまで、繰り返される。なお、前記の全ての収容部1aから薬剤が排出された後のPTPシート1(空シート)は、前記載置部13と連続的に形成されている空シート排出部9から排出され、図示しない廃棄用容器などにより回収される。
【0039】
以上のように、本実施形態1においては、前記載置部3上に載置されたPTPシート1中の一行部分1bが前記開口部5上に配置されているとき、前記振子状回動部7が前記押圧部7bを振子状に回動させ、その過程で前記PTPシート1の各収容部1aから薬剤が前記開口部5の下方に排出される。よって、本実施形態1によれば、前記振子状回動部7が前記押圧部7bを振子状に往復移動させるという単純な構成及び動作だけで前記PTPシート1の各収容部1aから内部の薬剤を取り出すことができるので、前記PTPシート1の各収容部1aから薬剤を取り出すための装置の製造コストを低減し、同装置の耐用年数を長期化させることができる。
【0040】
また、本実施形態1においては、前記押圧部7bが前記PTPシート1中の各収容部1aを押圧するとき、前記PTPシート1中の一行部分1bの下方(前記開口部5の方向)への湾曲又は変形を可能とするように、すなわち前記PTPシート1の位置が前記湾曲又は変形のために少しだけズレることを許容するように、前記PTPシート1の両側部(長手方向又は搬送方向に沿う両側部)を前記外周面にゴム等の弾性体が取り付けられている搬送ローラー4と載置部3とで把持するようにしたので、前記PTPシート1を把持しながら、前記押圧部7bの振子状回動に応じて、前記PTPシート1を前記押圧部7bの軌跡と略同一の円弧状に(下方に)湾曲又は変形させることが、円滑に且つ容易にできるようになる。
【0041】
また、本実施形態1においては、前記開口部5の前記PTPシート1が搬送される前後方向の両側の近傍部分に傾斜部6(前記載置部3の上面から前記開口部5に向かって徐々に下方に傾斜する傾斜部)を形成するようにしたので、前記PTPシート1を全体としては前記載置部3上で平板状に載置した状態のままで、前記一行部分1bを、前記押圧部7bの押圧動作に対応して前記開口部5の下方に前記円弧状に湾曲、変形させることが、円滑に且つ容易にできるようになる。
【0042】
また、本実施形態1においては、前記傾斜部6の前記開口部5と反対側の縁部6aを、前記傾斜部6の前記開口部5側(前記開口部5の近傍部分を含む)を中心点とする略楕円の弧状に形成するようにしたので、前記PTPシート1中の前記一行部分1bの下方への前記円弧状の湾曲又は変形が、より円滑に且つ容易に行われるようになる。
【0043】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の実施形態2による除包装置について
図8〜15を参照して説明する。
図8(a)は本実施形態2の載置部及び振子状回動部などを示す斜視図、同(b)は前記載置部中の開口部及びその周辺の傾斜部などを示す斜視図、
図9はPTPシートが載置部へ搬送される動作を示す斜視図、
図10(a)はPTPシート中の一行部分が載置部中の開口部上に配置されたときの動作を示す斜視図、同(b)はその正断面図、
図11(a)は押圧部がPTPシートの一行部分中の左側収容部を押圧する動作を示す斜視図、同(b)はその正断面図、
図12は押圧部がPTPシートの一行部分中の中央側収容部を押圧する動作を示す正断面図、
図13は押圧部がPTPシートの一行部分中の右側収容部を押圧する動作を示す正断面図、
図14はPTPシートの一行部分中の3個の収容部から薬剤が取り出された後における押圧部の動作を示す斜視図、
図15は薬剤が取り出された一行部分の次の(搬送方向における後方側の)一行部分が開口部上に配置されたときのPTPシート及び押圧部などの動作を示す斜視図である。
【0044】
本実施形態2の基本的構成は前記実施形態1と同一であるので、以下では前記実施形態1と異なる部分を中心に説明する。
図8〜15において、11はPTPシート、11aは前記PTPシート11中に複数個配置されそれぞれが薬剤11cを収容している収容部、11bは前記PTPシート11中において幅方向に2個又は3個の収容部11aが並んでいる一行部分(後述の押圧部17bが振子状に回動しながら上方から押圧する2個又は3個の収容部を含む部分)、13はPTPシート11がその長手方向に沿って搬送される過程において載置される載置部、15は前記載置部13の一部に形成された開口部(前記PTPシート11中の一行部分11bの図示下方への湾曲、変形を許容する部分)、16は前記載置部13中の前記開口部15の前記PTPシート11の搬送方向における両側(搬送方向の前側及び後側)の各近傍領域に形成された傾斜部(前記載置部13の上面から前記開口部15に進むに従って徐々に下降するように傾斜された部分)、16aは前記傾斜部16の前記開口部15から離れる側の縁部、17はモーター18による回動軸17aを中心として振子状に回動される振子状回動部、17bは前記振子状回動部17の下端部に配置され正面側が矢印先端形状に形成された押圧部である。
【0045】
本実施形態2では、
図8(a)に示すように、図示しない搬送機構(前記実施形態1に関して前述した
図1の搬送ローラー4及び載置部3など参照)により前記PTPシート11が前記載置部13上を搬送される過程で、前記PTPシート11中の2個又は3個の収容部11aが幅方向に並ぶ一行部分11bが前記載置部13中の開口部15の上まで移動したとき、制御部(図示省略)は、前記搬送機構を停止させて前記一行部分11bを前記開口部15上に配置したままとし、その後、前記モーター18を駆動させて前記押圧部17bを振子状に回動させ、前記2個の収容部11aをその上方から順次押圧して中身の薬剤を下側封止面から下方の開口部15中に押し出し、排出、落下させる。前記開口部15の下方に落下した薬剤は、前記開口部15の下方に配置されたホッパーなどの容器内に収集される。
【0046】
前述のように、本実施形態2では、前記載置部13中に、前記PTPシート11の一行部分11b中の各収容部11aから排出された薬剤が落下する開口部15が形成されているが、この開口部15は、単に前述のように薬剤を落下させるためだけではなく、前記PTPシート11が全体としては前記載置部13上で平板状に保持されながら前記開口部15上の一行部分11bだけが前記押圧部17bによる押圧に対応して下方へ(すなわち前記開口部15の方へ)湾曲、変形することを許容するためにも形成されている。
【0047】
また、本実施形態2では、
図8(b)に示すように、前記開口部15の前記PTPシート11の搬送方向における両側(前側及び後側)には、それぞれ、前記開口部15から離れる側の縁部16aを有する傾斜部16が形成されている。前記傾斜部16の縁部16aは、前記開口部15側(前記開口部15の近傍部分を含む)を中心とする平面略楕円の弧状に形成されている。また前記傾斜部16は、前記縁部16aから前記開口部15に向かって徐々に下降、傾斜するように形成されている。前記傾斜部16は、前記開口部15上に配置された前記PTPシート11中の一行部分11bが前記押圧部17bによる押圧に対応して下方へ略円弧状に湾曲、変形するとき、前記一行部分11bの周辺部分も前記傾斜部16に沿って少しだけ下方に曲がるようにすることにより、前記一行部分11bの前記湾曲、変形がより円滑に行われるようにするために形成されたものである。
【0048】
次に本実施形態2の動作を
図9〜15を参照して説明する。前記PTPシート11が、矢印A方向に搬送されて(
図9参照)、前記PTPシート11の前方の一行部分11b(
図9ではシートの幅方向に3個の収容部11aが並んでいる部分)が前記載置部13中の開口部15と対向する位置まで移動したとき、前記制御部は、前記PTPシート11の搬送を停止し、前記モーター18を制御して前記振子状回動部17を駆動し、前記押圧部17bの矢印B方向への回動を開始させる(
図10(a)及び(b)参照)。
【0049】
前記押圧部17bが矢印B方向へ少し回動して、
図11(a)に示すように、前記一行部分11b中の図示左側収容部11aの上を押圧すると、
図11(b)に示すように、前記押圧部17bが、前記左側収容部11aの上側ドーム状部分を押し潰し(
図11(b)において符号11a’は前記ドーム状部分が押し潰された状態のものを示す)、さらに内部の薬剤11cを下方に押し下げて前記左側収容部11aの下側封止面を突き破らせ、薬剤11cを前記開口部15の下方に落下させる。
【0050】
また、この過程で、
図11(b)に示すように、前記PTPシート11の一行部分11bは、前記押圧部17bの押圧により、その幅方向の中央部分を中心に下方(前記開口部15の方)に向けて湾曲、変形する。このとき、前記一行部分11bの周辺部分も前記傾斜部16(
図8(b)参照)の傾斜に沿って少しだけ斜め下方向に曲がるので、前記一行部分11bの湾曲、変形は極めて円滑に行われる。なお、本実施形態2でも、前記実施形態1と同様に、前記左側収容部11aから薬剤が排出された後は、前記制御部により、当該排出された薬剤が一回服用分の容器に収容されるなどの処理が終了するまでの所定時間、前記押圧部17bの回動が停止され、前記処理が終了してから前記押圧部17bの回動が再開される。後述の図示中央側収容部11a,及び図示右側収容部11aから薬剤が排出された後においても同様である。
【0051】
その後、前記押圧部17bがさらに矢印B方向に回動して前記一行部分11b中の図示中央側収容部11aの上まで移動すると、
図12に示すように、前記押圧部17bが前記中央側収容部11aの上側ドーム状部分を押し潰し(
図12の11a’参照)、内部の薬剤11cを下方に押圧して下側封止面から排出させ、前記開口部15の下方に落下させる。なお、この過程で、
図12(b)に示すように、前記PTPシート11中の前記一行部分11bは、前記押圧部17bによる前記中央側収容部11aへの押圧などに伴い、前記一行部分11bの幅方向の中央部分を中心に、下方(前記開口部15の方)に向かって湾曲し、前記押圧部17bによる振子状回動の軌跡に対応する略円弧状に変形する。その結果、前記押圧部17bによる押圧の力の大きさ及び態様は、前記一行部分11b中の左側収容部11a、中央側収容部11a、及び右側収容部11aのいずれに対しても、ほぼ均等のものとなる。
【0052】
その後、さらに、前記押圧部17bが矢印B方向に回動して前記一行部分11b中の図示右側収容部11aの上まで移動すると、
図13に示すように、前記押圧部17bが前記右側収容部11aの上側ドーム状部分を押し潰し(
図13の11a’参照)、内部の薬剤11cを下方に押圧して下側封止面から排出させ、前記開口部15の下方に落下させる。以上の動作により、前記一行部分11b中の3個の収容部11aから薬剤が取り出される。
【0053】
その後、前記制御部は、前記振子状回動部17をさらに少しだけ矢印B方向に回動させて、前記押圧部17bを前記一行部分11bから少しだけ離れるように移動させる(
図14参照)。その後、前記制御部は、前記搬送機構を制御して前記PTPシート11を少しの距離(例えば数〜十数mm程度)だけ矢印A方向に搬送、移動させる。そして、前記搬送方向において前記一行部分11bよりも後方側に位置する次の一行部分11b’が前記開口部15上まで移動すると、その位置で前記PTPシート11の搬送を停止させ、その後、前記モーター18を制御して前記振子状回動部17を駆動し、前記押圧部17bが前記矢印B方向とは逆の矢印B’方向に回動するように、回動を開始させる(
図15参照)。
【0054】
以後は、前述の
図9〜15に基づいて説明した各動作が前述と逆の順序で、すなわち
図15から始まって
図14、
図13、
図12、
図11、
図10、及び
図9の順序で行われるが、それらが交互に繰り返されることにより、前記PTPシート11中の全ての各収容部11aからの薬剤取り出し(除包)が行われる。その後は、前記制御部が前記空のPTPシート11を矢印A方向に移動させて空シート排出部9により排出させ、次のPTPシート11を前記載置部13上に搬送して、同様の動作を繰り返す。以上のように、本実施形態2の構成及び動作は前記実施形態1と基本的に同様であるから、本実施形態2によっても前記実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0055】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態1においては、前記PTPシート1中の一行部分1bが前記押圧部7bによる振子状回動の軌跡に対応するように略円弧状に湾曲、変形することを許容するための構成(変形許容部)として、前記載置部3中に前記開口部5を形成するようにした(なお、前記実施形態1では前記開口部5は前記各収容部1aから排出された薬剤を落下させて収集するためにも使用されている)が、本発明ではこれに限られることなく、例えば、前記載置部3中に前記開口部5を形成することに代えて、前記載置部3中に前記一行部分1bの略円弧状の湾曲、変形を許容する溝部などの凹部を形成する(そして前記各収容部1aから排出された薬剤は、この溝部などの凹部の中を移動して収集される)ようにしてもよい。さらに、前記実施形態1では、前記傾斜部6の前記開口部5から離れる側の縁部6aを前記開口部5側を中心とする略楕円の弧状としたが、本発明ではこれに限られることなく、例えば、前記縁部6aを円弧状などに形成するようにしてもよい。
【目的】複数の収容部が配置された可とう性シート中の各収容部から被収容物を取り出すための構成を単純化し、装置の製造コストを低減し装置の耐用年数を長期化させる薬剤シートなどの除包に適した除包装置を提供する。
【構成】可とう性シートが載置又は配置される載置部と、前記シートの一部分が下方に曲がるように変形することを可能にする変形許容部と、前記シート中の前記変形許容部上に配置された収容部をその上方から押圧することにより、前記収容部の上側部分を変形させ、前記収容部の下側部分に前記被収容物が排出される亀裂を生じさせる押圧部と、前記押圧部が下方に配置されている振子状回動部であって、前記載置部の上方の位置を支点として前記押圧部を振子状に往復移動させる振子状回動部とを備えた除包装置である。