(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転しながら被接合部材に圧入されて前記被接合部材内部に塑性流動現象を発生させる接合ツールと、前記接合ツールの内部に設けられ、前記接合ツールの物理状態値を検出するセンサと、前記接合ツールを保持するツールホルダ内に設けられ、前記センサによって検出された物理状態値を含んだデータを無線で送信するセンサデータ送信器と、前記接合ツールを回転させるツール回転駆動装置と、前記接合ツールを移動させるツール移動駆動装置と、前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置を制御する制御装置と、を備えてなる摩擦攪拌接合装置であって、
前記センサデータ送信器は、
少なくとも前記接合ツールの内部に設けられた前記センサの種別および数を含む情報に応じて設定された第1のセキュリティコードを記憶した第1の記憶手段と、
前記センサによって検出された物理状態値と前記第1のセキュリティコードとを含んでなる通信フレームを生成して、前記制御装置へ送信する通信フレーム送信手段と、
を有し、
前記制御装置は、
前記通信フレームに含まれる前記物理状態値に応じて前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置を制御するための制御データとその制御データに対応付けられた第2のセキュリティコードとを予め記憶した第2の記憶手段と、
前記センサデータ送信器から送信された前記通信フレームに含まれる前記第1のセキュリティコードが前記第2のセキュリティコードと一致する場合に限って、前記通信フレームに含まれる前記物理状態値と前記第2の記憶手段に記憶されている前記制御データとを用いて、前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置に対する制御を実行する制御処理手段と、
を有することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
回転しながら被接合部材に圧入されて前記被接合部材内部に塑性流動現象を発生させる接合ツールと、前記接合ツールの内部に設けられ、前記接合ツールの物理状態値を検出するセンサと、前記接合ツールを保持するツールホルダ内に設けられ、前記センサによって検出された物理状態値を含んだデータを無線で送信するセンサデータ送信器と、前記接合ツールを回転させるツール回転駆動装置と、前記接合ツールを移動させるツール移動駆動装置と、前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置を制御する制御装置と、をそれぞれ備えてなる複数の摩擦攪拌接合装置と、
通信ネットワークを介して前記複数の摩擦攪拌接合装置それぞれの制御装置に接続された管理サーバ装置と、
を備えてなり、
前記センサデータ送信器は、
少なくとも前記接合ツールの内部に設けられた前記センサの種別および数を含む情報に応じて設定された第1のセキュリティコードを記憶した第1の記憶手段と、
前記センサによって検出された物理状態値と前記第1のセキュリティコードとを含んでなる通信フレームを生成して、前記制御装置へ送信する通信フレーム送信手段と、
を有し、
前記制御装置は、
前記センサデータ送信器から送信された前記通信フレームに含まれる前記第1のセキュリティコードを前記管理サーバ装置に送信するセキュリティコード送信手段と、
前記第1のセキュリティコードに応じて前記管理サーバ装置から返送される、前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置を制御するための制御データを受信する制御データ受信手段と、
前記受信した制御データを記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に前記制御データが記憶された後に、前記センサデータ送信器から送信された前記通信フレームに含まれる前記物理状態値と前記第2の記憶手段に記憶されている前記制御データとを用いて、前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置に対する制御を実行する制御処理手段と、
を有し、
前記管理サーバ装置は、
前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置を制御するための制御データを、予め、第2のセキュリティコードに対応づけて記憶した第3の記憶手段と、
前記第3の記憶手段を参照して、前記制御装置から送信された前記第1のセキュリティコードと同じ第2のセキュリティコードに対応付けられた制御データを抽出する制御データ抽出手段と、
前記抽出した制御データを前記制御装置へ送信する制御データ送信手段と、
を有すること
を特徴とする摩擦攪拌接合システム。
回転しながら被接合部材に圧入されて前記被接合部材内部に塑性流動現象を発生させる接合ツールと、前記接合ツールの内部に設けられ、前記接合ツールの物理状態値を検出するセンサと、前記接合ツールを保持するツールホルダ内に設けられ、前記センサによって検出される物理状態値を含んだデータを無線で送信するセンサデータ送信器と、前記接合ツールを回転させるツール回転駆動装置と、前記接合ツールを移動させるツール移動駆動装置と、前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置を制御する制御装置と、を備えてなる摩擦攪拌接合装置によって行われる摩擦攪拌接合制御方法であって、
前記センサデータ送信器は、
少なくとも前記接合ツールの内部に設けられた前記センサの種別および数を含む情報に応じて設定された第1のセキュリティコードを記憶した第1の記憶手段を有しており、
前記センサによって検出された物理状態値と前記第1のセキュリティコードとを含んでなる通信フレームを生成して、前記制御装置へ送信し、
前記制御装置は、
前記通信フレームに含まれる前記物理状態値に応じて前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置を制御するための制御データとその制御データに対応付けられた第2のセキュリティコードとを予め記憶した第2の記憶手段を有しており、
前記センサデータ送信器から送信された前記通信フレームに含まれる前記第1のセキュリティコードが前記第2のセキュリティコードと一致する場合に限って、前記通信フレームに含まれる前記物理状態値と前記第2の記憶手段に記憶されている前記制御データとを用いて、前記ツール回転駆動装置および前記ツール移動駆動装置に対する制御を実行すること、
を特徴とする摩擦攪拌接合制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
≪第1の実施形態≫
図1は、第1の実施形態に係るFSW装置100の外観斜視図の例を模式的に示した図である。
図1に示すように、FSW装置100は、突起部11を備えた接合ツール1、接合ツール1を保持するツールホルダ2、ツールホルダ2を回転可能に保持するハウジング3などにより構成される。ここで、ハウジング3は円筒状の容器であり、その内部には、主軸20を中心に円柱状のツールホルダ2を回転させる主軸モータ6(
図2参照)などが収納されている。また、主軸20は、円柱状のツールホルダ2の中心軸を指す。
【0015】
接合ツール1およびツールホルダ2を以上のようにして保持したハウジング3は、図示しないマシニングツールや多軸ロボットのアーム4の先端部に取り付けられている。すなわち、接合ツール1は、マシニングツールや多軸ロボットによるアーム4の駆動により、上下方向にも平面方向にも自在に移動可能なように構成されている。
【0016】
接合ツール1の突起部11は、主軸20を中心に沿った細長いピンの形状をしており、しばしば接合ツールピン部と呼ばれる。そして、2つの被接合部材101a,101bを接合するときには、ツールホルダ2に保持された接合ツール1は、回転しながら、その突起部11を被接合部材101a,101bの境界である接合線102上に圧入させる。このとき、突起部11は、接合ツール1本体の底面部の突起部11を除いた部分(
図2でいうツールショルダ部12)が被接合部材101a,101bの表面に接触する位置まで圧入される。
【0017】
突起部11が圧入されると、被接合部材101a,101bには、突起部11およびツールショルダ部12が被接合部材101a,101bに接触しながら回転するときの摩擦熱により温度が上昇し、塑性流動現象が生じる。そして、この塑性流動現象が生じた被接合部材101a,101bの構成材料が接合ツール1により攪拌され、混じり合うこととなる。さらに、接合ツール1は、突起部11が被接合部材101a,101bに圧入された状態で接合線102に沿って移動するよう制御される。その結果、被接合部材101a,101bは、その境界部が接合される。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係るFSW装置100の概略ブロック構成の例を示した図である。なお、
図2には、接合ツール1、ツールホルダ2およびハウジング3の模式的な縦断面構造が併せて示されるとともに、これらに付随する装置や部材が示されている。
【0019】
前記したように、ハウジング3は、円筒状の容器であり、その内部には、円柱状のツールホルダ2がベアリング31を介して、その円柱の中心軸(主軸20)を中心に回転可能に保持されている。このとき、ツールホルダ2は、ハウジング3側に取り付けられた主軸モータ6により回転駆動される。また、ツールホルダ2の下方先端部には、接合ツール1が取り付けられており、接合ツール1は、ツールホルダ2とともに主軸モータ6により回転駆動される。
【0020】
接合ツール1は、ツールホルダ2と同軸の円柱形状をしており、その底面部にはツールホルダ2と同軸の細長略円柱状(ピン状)の突起部11が設けられている。また、接合ツール1の底面部のうち突起部11が設けられている以外の部分は、ツールショルダ部12と呼ばれている。このうち突起部11は、ツールショルダ部12が被接合部材101a,101bの表面に接する位置まで圧入される。従って、ツールショルダ部12は、突起部11の圧入を停止させる役割を果たす。また、このとき、ツールショルダ部12は、被接合部材101a,101bの表面を押圧するとともに、その表面上を回転、摺動する。そして、ツールショルダ部12の回転、摺動の摩擦熱により、被接合部材101a,101b内のツールショルダ部12および突起部11の近傍部分は熱せられ、塑性流動現象が現れる。
【0021】
本実施形態では、接合ツール1またはその突起部11の内部に、温度センサ、歪みセンサ、加速度センサなどのセンサ13、1つまたは複数埋め込まれている。
図3では3つのセンサ13が描かれているが、センサ13の数は3つに限定されない。センサ13の数は、1つでも、2つでも、あるいは4つ以上でもよい。また、これら複数のセンサ13は、全てが温度センサなど同種類のセンサであってもよく、それぞれが異種類のセンサであってもよい。複数のセンサ13の種類の組み合わせは任意である。
【0022】
センサ13の検出値は、ツールホルダ2に取り付けられたセンサデータ送信器8およびハウジング3に取り付けられた受信器9介して、制御装置5に送信される。なお、センサデータ送信器8は、ツールホルダ2とともに回転するので、受信器9は、例えば、そのセンサデータ送信器8を取り囲むドーナツ形状のアンテナを備え、センサデータ送信器8との間で無線にて通信する。
【0023】
制御装置5は、例えば、センサ13で検出された温度(ツール温度)などに基づき、主軸モータ6およびツール移動駆動装置7を制御する。その場合、例えばツール温度を低下させるときには、主軸モータ6の回転を減速するか、ツール移動駆動装置7による接合ツール1の移動速度を速くすればよい。また、ツール温度を上昇させるときには、主軸モータ6の回転を加速するか、ツール移動駆動装置7による接合ツール1の移動速度を遅くすればよい。
【0024】
図3は、センサデータ送信器8の構成の例を示した図である。
図3に示すように、センサデータ送信器8は、センサ信号入力ポート81、A/D(Analog to Digital)変換部82、データ処理部83、無線信号出力部84などを含んで構成される。また、データ処理部83は、センサ検出値取得部831、センサ検出値記憶部832、セキュリティコード記憶部833、通信フレーム生成部834などを含んで構成される。
【0025】
センサ信号入力ポート81は、複数のアナログ信号入力端子(図示省略)を備え、そのアナログ信号入力端子のそれぞれにはセンサ13からの信号線が接続されている。
図3では、センサ信号入力ポート81には、3つのセンサ13からの信号線が接続されているが、センサ信号入力ポート81に接続されるセンサ13の数は、3つに限定されない。
【0026】
A/D変換部82は、センサ信号入力ポート81を介して入力されるセンサ13からのアナログの検出値をディジタルの検出値に変換し、そのディジタルの検出値をデータ処理部83に宛てて出力する。
【0027】
データ処理部83のセンサ検出値取得部831は、A/D変換部82から出力されるディジタルの検出値を、そのセンサ13の識別情報であるセンサIDに対応付けて、センサ検出値記憶部832に格納する。
【0028】
セキュリティコード記憶部833には、センサデータ送信器8に接続されているセンサ13の構成(センサ13の種別や数など)やFSW装置100の本体の型式などに応じて予め設定されたセキュリティコードが記憶されている。以下、本明細書では、セキュリティコード記憶部833に記憶されているセキュリティコードを、セキュリティコード#1という。
【0029】
ここで、セキュリティコード記憶部833は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリにより構成されているものとする。そして、前記セキュリティコード#1は、FSW装置100が製造される際に、その型式やセンサ13の種類や構成に応じてその不揮発性メモリからなるセキュリティコード記憶部833に書き込まれるものとする。
【0030】
なお、セキュリティコード#1は、複数のFSW装置100間でセンサデータ送信器8に接続されているセンサ13の種別や数の相違、FSW装置100の本体の型式の相違などを識別可能であれば、どのようなコードであってもよい。例えば、FSW装置100の製造番号など、FSW装置100を個別に識別する個別識別情報であってもよい。
【0031】
通信フレーム生成部834は、センサ13の検出値や前記セキュリティコード#1などを制御装置5へ送信する際の通信フレーム85(
図4参照)を生成する。また、無線信号出力部84は、通信フレーム生成部で生成した通信フレーム85のデータを所定の方式で無線信号に変調し、その変調した無線信号を受信器9に向けて送信する。
【0032】
なお、センサデータ送信器8は、センサ13による検出値をA/D変換部82でディジタル値に変換し、
図4に示すような通信フレーム85を生成し、制御装置5へ送信する処理を、例えば、1秒間隔など所定の時間間隔で繰り返し実行するものとする。
【0033】
図4は、センサデータ送信器8から受信器9を介して制御装置5へ送信される通信フレーム85の構成の例を示した図である。
図4に示すように、通信フレーム85は、ヘッダコード851と、セキュリティコード852と、複数のセンサIDおよびセンサ検出値の組853と、とを含んだ各フィールドにより構成される。ここで、ヘッダコード851は、変調方式を含むセンサデータ送信器8と制御装置5との間の通信方式などによって決まるコードであり、その中には、しばしば通信フレーム85のフレーム長などが含まれる。また、セキュリティコード852のフィールドには、セキュリティコード記憶部833に記憶されているセキュリティコード#1が設定される。なお、このセキュリティコード852のフィールドは、ヘッダコード851の中に含まれるものであってもよいし、ヘッダコード851から独立したフィールドであってもよい。
【0034】
また、センサIDおよびセンサ検出値の組853からなるフィールドには、それぞれ、センサデータ送信器8に接続されたセンサ13センサを識別するためのセンサIDおよびそのセンサ13によって検出された検出値が設定される。なお、ここでいうセンサIDは、センサ13を個別に識別する情報に加えて、センサ13の種類(温度センサ、歪みセンサなど)を識別する情報を含んでいるものとする。
【0035】
図5は、第1の実施形態に係る制御装置5の構成の例を示した図である。
図5に示すように、制御装置5は、通信フレーム分解部51、セキュリティコード認証部52、FSW制御処理部53、制御信号出力部54、センサ検出値記憶部55、セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56などを含んで構成される。
【0036】
通信フレーム分解部51は、受信器9を介して受信した通信フレーム85を分解して、セキュリティコード852(セキュリティコード#1)、センサIDおよびセンサ検出値の組853を取得する。そして、このセキュリティコード852は、セキュリティコード認証部52へ受け渡され、センサIDおよびセンサ検出値の組853のデータは、一時的にセンサ検出値記憶部55に格納される。
【0037】
セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56には、被接合部材101の材質やセンサ13によるセンサ検出値に応じて主軸モータ6およびツール移動駆動装置7を制御するためのFSW制御データ561(
図6参照)が予め記憶されている。そして、セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56では、このFSW制御データ561に対応付けられたセキュリティコード562(以下、セキュリティコード#2という)が記憶されている。なお、このセキュリティコード#2は、当該FSW装置100が製造される際に設定され、その値は、センサデータ送信器8のセキュリティコード記憶部833に記憶されるセキュリティコード#1と同じである。
【0038】
セキュリティコード認証部52は、通信フレーム分解部51で取得されたセキュリティコード#1とセキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56に記憶されているセキュリティコード#2とを比較する。そして、その両者が一致した場合、FSW制御処理部53の処理を起動し、一致しない場合には、FSW制御処理部53の処理を起動しないようにする。なお、セキュリティコード認証部52における処理の例については、別途
図8を参照して説明する。
【0039】
FSW制御処理部53は、セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56に記憶されているFSW制御データ561を参照し、センサ検出値記憶部55に記憶されているセンサ検出値などに基づき、主軸モータ6、ツール移動駆動装置7などに対する制御値を求める。そして、その制御値を、制御信号出力部54を介して主軸モータ6、ツール移動駆動装置7に出力する。なお、本実施形態におけるFSW制御の基本的な考え方については、別途
図7を参照して説明し、さらに、FSW制御処理部53の処理の例については、別途
図9を参照して説明する。
【0040】
なお、以上のように構成される制御装置5は、演算処理装置と記憶装置(半導体メモリ、ハードディスク装置など)と入出力装置(キーボード、ボタン、表示装置など)とを備えた1つまたは複数のコンピュータによって実現される。
【0041】
図6は、セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56に記憶されるFSW制御データ561の構成の例を示した図である。
図6に示すように、FSW制御データ561は、被接合部材101a,101bの材料およびその板厚ごとに管理温度範囲、管理判定温度範囲、主軸モータの回転速度、ツール移動速度などが対応付けられて構成される。そして、このFSW制御データ561には、予め定められたセキュリティコード562(セキュリティコード#2)が対応付けられている。
【0042】
ここで、
図6において、管理温度範囲とは、センサ13(温度センサ)により検出されるツール温度を管理するための温度であり、上限値と下限値とからなる。そして、接合ツール1による接合が実施されているときには、ツール温度、すなわち、接合ツール1により摩擦攪拌されている被接合部材101a,101bの接合部の温度は、この管理温度範囲の上限値と下限値の範囲内に収まるように管理される。
【0043】
また、
図6における管理判定温度範囲の上限値および下限値は、管理温度範囲内に含まれる温度である。すなわち、管理判定温度範囲の上限値は、管理温度範囲の上限値よりも低く、管理判定温度範囲の下限値は、管理温度範囲の下限値よりも高い値が設定される。
【0044】
一般に、大きい熱容量を有する物体の温度制御では、温度上昇中にある物体の温度を検知して加熱量を減じても、その温度は、すぐには下降せずオーバシュートする。同様に、温度下降中にある物体の温度を検知して、加熱量を増やしても、その温度は、すぐに上昇せずアンダシュートする。そこで、本実施形態では、管理判定温度範囲の上限値および下限値を設定することにより、温度制御における温度のオーバシュートおよびアンダシュートの許容を可能としたものである。
【0045】
また、
図6において、主軸モータ回転速度の初期値は、接合ツール1の突起部11を被接合部材101a,101bに圧入するときの主軸モータ6の回転速度の初期値を意味する。また、主軸モータ回転速度の定常値#1、定常値#2およびツール移動速度の定常値#1、定常値#2は、接合実施中の主軸モータ6の回転速度および接合ツール1の移動速度の制御値である。なお、ここで、定常値#1、定常値#2は、それぞれ、ツール温度が管理判定温度範囲の下限値、上限値を超えたときに設定される制御値である。
【0046】
以上、FSW制御データ561を構成する管理温度範囲の上限値、下限値、管理判定温度範囲の上限値、下限値、主軸モータ回転速度の初期値、定常値#1、定常値#2、ツール移動速度の定常値#1、定常値#2などの値は、被接合部材101a,101bの材料や板厚、応じて、実験またはシミュレーションなどにより予め適切な値が求められたものであるとする。
【0047】
以上のような構成を有するFSW制御データ561は、被接合部材101a,101bをFSW装置100で接合するときの加工条件データということができる。
【0048】
次に、セキュリティコード562としては、前記したようにセンサデータ送信器8のセキュリティコード記憶部833に記憶されているセキュリティコード#1と同じコードであるセキュリティコード#2が記憶される。これは、制御装置5に記憶されているFSW制御データ561の構成が、少なくとも当該FSW装置100の接合ツール1の中に設けられているセンサ13の構成(種別、数など)との間で整合がとれていることを表す。つまり、FSW制御データ561が当該FSW装置1の主軸モータ6やツール移動駆動装置7の制御に使用可能であることを意味する。
【0049】
前記したように、セキュリティコード#1およびセキュリティコード#2は、FSW装置100の製造時に同じコードが設定される。従って、通常は、セキュリティコード認証部52による認証は常に成功する。しかしながら、FSW装置100の移転や転売などにより、接合ツール1を含むFSW装置100の本体部と制御装置5の組合せが変ったり、制御装置5が別の制御装置が更新されたりした場合には、両者のセキュリティコードは異なる。この場合、セキュリティコード認証部52による認証は失敗する。これは、FSW制御データ561が当該FSW装置100の主軸モータ6やツール移動駆動装置7の制御に使用できないことを意味する。
【0050】
また、前記したように、セキュリティコード#1(=セキュリティコード#2)として、それぞれのFSW装置100を個別に識別する個別識別情報を設定することもできる。この場合には、FSW制御データ561を、センサ13の構成だけでなく、接合ツール1の物理的、機械的な特性、主軸モータ6やツール移動駆動装置7の電気的、機械的な特性に個別的に合わせ込んだものとすることができる。
【0051】
なお、
図6の例では、センサデータ送信器8に接続されているセンサ13は、接合ツール1のツール温度を検出する温度センサであるとしているが、センサデータ送信器8には、温度センサだけでなく歪みセンサや加速度センサなどが接続されていてもよい。その場合には、
図6のFSW制御データ561には、歪みや加速度の管理範囲の上限値などが追加されることとなる。
【0052】
図7は、接合ツール1によって被接合部材101a,101bが接合されているときの温度管理の方法の例を概念的に示した図である。本実施形態では、接合ツール1の突起部11が被接合部材101a,101bに圧入され、ツール温度がFSW制御データ561で定められた管理温度範囲内に入って始めて接合開始となる。接合が開始されると、接合ツール1は、回転するだけでなく、移動を開始する。
【0053】
ツール温度は、通常、接合開始時には上昇局面にある。そこで、制御装置5は、FSW制御データ561の主軸モータ回転速度の定常値#1およびツール移動速度の定常値#1を、それぞれ、主軸モータ6およびツール移動駆動装置7に出力する。これにより、接合ツール1は、この出力された回転速度および移動速度に従って回転し、移動する。なお、ツール温度は、主として主軸モータ回転速度とツール移動速度によって定まるが、このときの主軸モータ回転速度の定常値#1およびツール移動速度の定常値#1は、ツール温度がわずかに上昇するような値となっている。
【0054】
続いて、制御装置5は、ツール温度がFSW制御データ561で指定される管理判定温度範囲の上限値131bを超えたか否かを判定する。そして、ツール温度が管理判定温度範囲の上限値131bを超えた場合(
図7の時刻ta)には、制御装置5は、FSW制御データ561の主軸モータ回転速度の定常値#2およびツール移動速度の定常値#2を、それぞれ、主軸モータ6およびツール移動駆動装置7に出力する。なお、このときの主軸モータ回転速度の定常値#2およびツール移動速度の定常値#2は、ツール温度がわずかに下降するような値となっている。
【0055】
これらの制御により、ツール温度は、管理判定温度範囲の上限値131bを多少超える(オーバシュートする)ものの、管理温度範囲の上限値132bに到達しないうちに下降する局面に転ずる。
【0056】
続いて、制御装置5は、ツール温度がFSW制御データ561で指定される管理判定温度範囲の下限値131aを下回ったか否かを判定する。そして、ツール温度が管理判定温度範囲の下限値131aを下回った場合(
図7の時刻tb)には、制御装置5は、FSW制御データ561の主軸モータ回転速度の定常値#1およびツール移動速度の定常値#1を、それぞれ、主軸モータ6およびツール移動駆動装置7に出力する。
【0057】
これらの制御により、ツール温度は、管理判定温度範囲の下限値131aを多少下回る(アンダシュートする)ものの、管理温度範囲の下限値132aに到達しないうちに再び上昇する局面に転ずる。
【0058】
以上、本実施形態では、ツール温度は、
図7に示したように、上昇する局面と下降する局面を繰り返すものの、管理温度範囲の下限値132aと上限値132bとの間に収められる。
【0059】
図8は、セキュリティコード認証部52により実行されるセキュリティコード認証処理の処理フローの例を示した図である。なお、このセキュリティコード認証処理は、制御装置5に電源が投入されたときや、FSW作業開始ボタンなどが押下されたりしたときに実行される。
【0060】
図8に示すように、制御装置5のセキュリティコード認証部52は、まず、通信フレーム分解部51を介して通信フレーム85のセキュリティコード852のフィールドからセキュリティコード#1を取得する(ステップS01)。続いて、セキュリティコード認証部52は、セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56を参照し、セキュリティコード562の欄からキュリティコード#2を取得する(ステップS02)。
【0061】
次に、セキュリティコード認証部52は、セキュリティコード#1とセキュリティコード#2を比較し、両者が一致した場合には(ステップS03でYes)、FSW制御処理(
図9参照)を起動する(ステップS04)。一方、セキュリティコード#1とセキュリティコード#2とが相違した場合には(ステップS03でNo)、セキュリティコード認証部52は、FSW制御データが使用不可である旨を表示装置などに表示する(ステップS05)。従って、FSW制御処理(
図9参照)は、セキュリティコード#1とセキュリティコード#2が一致した場合には実行されるが、不一致の場合には実行されない。
【0062】
図9は、FSW制御処理部53により実行されるFSW制御処理の処理フローの例を示した図である。ただし、ここでは、この処理フローの説明を分かりやすくするために、センサ13は温度センサであるとする。そして、FSW制御処理部53は、そのセンサ13により検出される温度(ツール温度)がFSW制御データ561で定められた管理温度範囲内に収まるように、ツール移動速度および主軸モータ回転速度を制御するものとする。
【0063】
図9に示すように、FSW制御処理部53は、まず、FSW制御データ561(
図6)を参照し、被接合部材101a,101bの材料および板厚に対応した管理温度範囲、管理判定温度範囲、ツール移動速度、主軸モータ回転速度、ツール移動速度などのデータを取得する(ステップS10)。
【0064】
続いて、FSW制御処理部53は、主軸モータ6を駆動しつつ、接合ツール1の突起部11を被接合部材101a,101bに圧入させ(ステップS11)、ツールショルダ部12が被接合部材101a,101bに接触したか否かを判定する(ステップS12)。ここで、ツールショルダ部12が被接合部材101a,101bに接触していない場合は(ステップS12でNo)、ステップS11の制御が継続される。一方、ツールショルダ部12が被接合部材101a,101bに接触した場合には(ステップS12でYes)、FSW制御処理部53は、突起部11の圧入を停止し、センサ13により検出されたセンサ検出値(ツール温度)を取得する(ステップS13)。なお、このセンサ検出値(ツール温度)は、このときセンサ検出値記憶部55に記憶されているセンサ検出値の最新の値である。
【0065】
次に、FSW制御処理部53は、ツール温度がステップS10で取得した管理判定温度範囲に到達したか否かを判定する(ステップS14)。ここで、ツール温度が前記管理判定温度範囲に到達していない場合には(ステップS14でNo)、ステップS13以下の処理が再度実行される。また、ツール温度が前記管理判定温度範囲に到達した場合には、FSW制御処理部53は、主軸モータ6およびツール移動駆動装置7に対して、それぞれ主軸モータ回転速度(定常値#1)およびツール移動速度(定常値#1)を設定する(ステップS15)。
【0066】
続いて、FSW制御処理部53は、ツール移動駆動装置7を駆動して、接合ツール1を予め定められた接合線102(
図1参照)に沿って、そのとき設定されているツール移動速度で移動させる(ステップS16)。さらに、FSW制御処理部53は、接合ツール1の位置が接合終了点に到達したか否かを判定する(ステップS17)。ここで、接合ツール1の位置が接合終了点に未だ到達していない場合には(ステップS17でNo)、FSW制御処理部53は、センサ13によるセンサ検出値(ツール温度)を取得し(ステップS18)、さらに、その取得したツール温度が前記管理判定温度範囲内であるか否かを判定する(ステップS19)。
【0067】
ステップS19での判定の結果、ツール温度が前記管理判定温度範囲内であった場合には(ステップS19でYes)、FSW制御処理部53は、ステップS16以下の処理を繰り返して実行する。一方、ツール温度が前記管理判定温度範囲外であった場合には(ステップS19でNo)、FSW制御処理部53は、主軸モータ6およびツール移動駆動装置7にそれぞれ設定されている主軸モータ回転速度およびツール移動速度を変更する(ステップS20)。そして、FSW制御処理部53は、ステップS16以下の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS20では、そのとき設定されている主軸モータ回転速度およびツール移動速度が定常値#1であれば、定常値#2に変更され、定常値#2であれば、定常値#1に変更される。
【0068】
また、ステップS17の判定の結果、接合ツール1の位置が接合終了点に到達した場合には(ステップS17でYes)、FSW制御処理部53は、当該FSW接合制御処理を終了する。
【0069】
なお、
図7や
図9に示したFSW制御処理は、センサ13が温度センサの場合に、ツール温度を管理し、制御するものであるが、センサ13が歪みセンサや加速度センサなどである場合にも、同様の制御をすることは可能である。例えば、歪みセンサや加速度センサから得られる検出値が所定の値を超えた場合でも、ツール移動速度または主軸モータ回転速度を適切に設定することにより、ツール温度が管理温度範囲の範囲内に収まるような制御をすることができる。
【0070】
以上、本実施形態では、制御装置5のセキュリティコード認証部52の処理により、セキュリティコード#1とセキュリティコード#2とが一致したときに限って、FSW制御処理部53の処理が実行されるようにされている。従って、本実施形態では、センサデータ送信器8から少なくともFSW制御データ561で想定しているセンサ13の構成(種別や数)に整合しないようなデータが送られてきた場合には、FSW制御処理部53の処理は実行されない。また、セキュリティコード#1がFSW装置100の個別識別情報である場合には、そのFSW装置100ごとに、センサ13の構成だけでなく、接合ツール1、主軸モータ6、ツール移動駆動装置7などの諸特性に応じて合わせ込まれたFSW制御データ561でなければ使用されない。
【0071】
すなわち、本実施形態では、摩擦攪拌接合制御処理(FSW制御処理部53の処理)において、不適切なFSW制御データ561が使用されることはない。よって、本実施形態に係るFSW装置100では、適切なFSW制御データ561を用いた、つまり、適切な加工条件を用いた摩擦攪拌接合が保証されることとなり、その接合品質が保証される。
【0072】
また、FSW装置100が移転されたり、転売されたりした場合には、FSW制御データ561が喪失されたり、FSW装置100の本体と制御装置5との対応関係が不明確になる場合がある。本実施形態では、このような場合にも、セキュリティコード#1とセキュリティコード#2とが一致しない限りFSW制御処理が実行されないので、適切でないFSW制御データ561を用いた摩擦攪拌接合を防止することができる。
【0073】
<第1の実施形態の変形例>
以上に説明した実施形態では、FSW装置100における接合ツール1は、ツールホルダ2から容易に着脱可能なように構成されている。これは、接合ツール1の突起部11が被接合部材101に圧入されることにより摩耗するため、しばしば新品と交換することが必要となるからである。
【0074】
この実施形態の変形例では、接合ツール1と接合ツール1を保持するツールホルダ2とツールホルダ2内に設けられたセンサデータ送信器8とが一体構成されるとともに、ハウジング3に対して着脱可能なように構成されているものとする。そして、この一体構成された接合ツール1とツールホルダ2とセンサデータ送信器8を、広義の接合ツールとみなす。
【0075】
この場合、FWS装置100の製造業者は、接合ツール1の中に設けられているセンサ13の種類や数が互いに相違する様々な仕様の広義の接合ツールを用意しておくことにより、様々な型式のFWS装置100を容易に提供できるようになる。
【0076】
≪第2の実施形態≫
図10は、第2の実施形態に係る摩擦攪拌接合システム200の概略ブロック構成の例を示した図である。
図10に示すように、摩擦攪拌接合システム200は、複数のFSW装置100aが通信ネットワーク15を介して管理サーバ装置16に接続されて構成される。ここで、第2の実施形態に係るFSW装置100aの構成は、制御装置5aの機能を除き、
図2に示した第1の実施形態に係るFSW装置100の構成と同じである。
【0077】
なお、
図10を含む以下の図面では、第1の実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付し、その説明を省略する。また、
図10では、センサデータ送信器8に接続されているセンサ13が1つしか描かれていないが、これは、図を小さくするために略記したことによるものであり、
図2と同様に複数のセンサ13が3つ(複数)接続されるものであってもよい。
【0078】
第2の実施形態の特徴は、複数のFSW装置100aが通信ネットワーク15を介して管理サーバ装置16により管理されることにある。ここで、通信ネットワーク15は、インターネットであっても、工場内などに専用に設けられたLAN(Local Area Network)などであってもよい。続いて、FSW装置100aの制御装置5aおよび管理サーバ装置16の詳細な機能や構成について説明する。
【0079】
図11は、第2の実施形態に係る制御装置5aの構成の例を示した図である。
図10に示すように、制御装置5aは、通信フレーム分解部51、FSW制御処理部53、制御信号出力部54、セキュリティコード送信部57、FSW制御データ受信部58、センサ検出値記憶部55、FSW制御データ記憶部56aなどを含んで構成される。
【0080】
この制御装置5aの構成を第1の実施形態に係る制御装置5(
図5参照)の構成と比較すると、次の点で相違している。
(1)セキュリティコード認証部52がなくなっている。
(2)セキュリティコード送信部57およびFSW制御データ受信部58が追加されている。
(3)セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56が単なるFSW制御データ記憶部56aとなっている。
【0081】
以上の相違は、本実施形態では、第1の実施形態に係るセキュリティコード認証部52の機能に相当する機能を、管理サーバ装置16で実施するようにしたことにより生じたものである。
【0082】
一方、ツールホルダ2の中に設けられているセンサデータ送信器8およびハウジング3の中に設けられている受信器9の構成は、第1の実施形態と全く同じである。従って、センサデータ送信器8から受信器9を介して制御装置5aへ送信される通信フレーム85の構成は、
図4に示したものと同じである。
【0083】
本実施形態では、通信フレーム分解部51で通信フレーム85から取り出されたセキュリティコード852は、セキュリティコード送信部57へ受け渡され、さらに、セキュリティコード送信部57から管理サーバ装置16へ送信される。このとき、管理サーバ装置16は、後記するように、FSW制御データDB164(
図12、
図13参照)の中から、前記受信したセキュリティコード852に対応付けられたFSW制御データ561を抽出する。そして、その抽出したFSW制御データ561を制御装置5aへ返送する。
【0084】
そこで、FSW制御データ受信部58は、管理サーバ装置16から送信されたFSW制御データ561を受信し、受信したFSW制御データ561を、FSW制御データ記憶部56aに格納する。これにより、FSW制御データ記憶部56aには、第1の実施形態でセキュリティコード認証部52での認証が成功した場合に相当するFSW制御データ561が記憶されていることになる。
【0085】
なお、以上の通信フレーム85からセキュリティコード#1を抽出して、そのセキュリティコード#1に対応付けられたFSW制御データ561を管理サーバ装置16から取得し、FSW制御データ記憶部56aに格納するまでの処理は、FSW装置100に電源が投入された後に速やかに実行されるものとする。一方、FSW制御処理部53の処理は、管理サーバ装置16から送信されたFSW制御データ561がFSW制御データ記憶部56aに格納された後に実行されるものとする。従って、この場合に行われる制御では、接合ツール1内に設けられたセンサ13の種類や数に適合し、かつ、主軸モータ6やツール移動駆動装置7などの電気的、機械的性能に合わせ込まれた適切なFSW制御データ561が使用されることになる。
【0086】
図12は、第2の実施形態に係る管理サーバ装置16の構成の例を示した図で、
図13は、FSW制御データDB(データベース)164の構成の例を示した図である。
図12に示すように、管理サーバ装置16は、セキュリティコード受信部161、FSW制御データ抽出部162、FSW制御データ送信部163、FSW制御データDB164などを含んで構成される。
【0087】
また、
図13に示すように、FSW制御データDB164は、FSW制御データ561とそれに対応付けられたセキュリティコード562との組が複数組、記憶装置に記憶されて構成される。なお、各組のFSW制御データ561の構成は、
図6に示したFSW制御データ561の構成と同じである。
【0088】
管理サーバ装置16において、セキュリティコード受信部161は、制御装置5のセキュリティコード送信部57から送信されたセキュリティコード852(セキュリティコード#1)を受信する。続いて、FSW制御データ抽出部162は、FSW制御データDB164を検索し、そのセキュリティコード562の値が前記受信したセキュリティコード852と一致するもの抽出し、さらに、そのセキュリティコード562に対応付けられたFSW制御データ561を抽出する。続いて、FSW制御データ送信部163は、FSW制御データ抽出部162によりFSW制御データDB164から抽出されたFSW制御データ561を、制御装置5のFSW制御データ受信部58へ送信する。
【0089】
従って、本実施形態でも、FSW制御処理部53の処理において適切でないFSW制御データ561が用いられることはない。よって、本実施形態に係るFSW装置100aでは、適切なFSW制御データ561を用いた摩擦攪拌接合が保証されることとなり、その摩擦攪拌接合による接合品質が保証される。
【0090】
また、FSW装置100が移転されたり、転売されたりして、FSW制御データ561が喪失されたり、FSW装置100の本体と制御装置5との対応関係が混乱しても、適切でないFSW制御データ561を用いた摩擦攪拌接合が行われることはない。よって、その摩擦攪拌接合による接合品質が保証される。
【0091】
本発明は、以上に説明した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および変形例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態や変形例の構成の一部を、他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態や変形例の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態や変形例の構成の一部について、他の実施形態や変形例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。
【解決手段】制御装置5のセキュリティコード認証部52は、センサデータ送信器から送信された通信フレームの中からセキュリティコード#1を抽出し、セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56に記憶されているセキュリティコード#と比較し、両者が一致しているときに限って、セキュリティコード付きFSW制御データ記憶部56に記憶されているFSW制御データを用いて、FSW制御処理部53の処理を実行する。