(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6232536
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】連結固定ブロック
(51)【国際特許分類】
E04B 2/02 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
E04B2/02 G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-141022(P2017-141022)
(22)【出願日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年7月20日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517060030
【氏名又は名称】西田 稔
(72)【発明者】
【氏名】西田 稔
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/025789(WO,A1)
【文献】
特開2013−204353(JP,A)
【文献】
特許第4660289(JP,B2)
【文献】
特許第4686770(JP,B2)
【文献】
実開昭55−165062(JP,U)
【文献】
実開昭55−006351(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のブロック体と、連結固定ブロック部材と、砂と、の組み合わせによって連結固定される連結固定ブロックであって、
前記ブロック体は、所定の寸法を有するコンクリート製またはレンガ製の直方体ブロックの上面に、垂直積みならびに千鳥積みの状態で下方に連通する連結貫通穴を少なくとも2以上設けて成り、
前記連結固定ブロック部材は、前記ブロック体と同材質部材を使用して形成されると共に、前記ブロック体の連結貫通穴に挿入される外径寸法と、前記ブロック体の高さと同じ寸法長さを有して形成し、さらに上端部と下端部には前記砂が充填されるテーパ部を形成して成り、
前記砂は、前記ブロック体の連結貫通穴と、前記連結固定ブロック部材の隙間空間に入り込んで滞留する粒径を有して成り、
施工時において、前記連結固定ブロック部材を垂直積みならびに千鳥積みの状態の前記ブロック体の上方から連続的に挿入して二つの前記ブロック体に跨って位置させることによって、前記連結固定ブロック部材のテーパ部に充填されている前記砂が、前記ブロック体と前記連結固定ブロック部材との隙間空間に入り込んで食い込むことにより、前記ブロック体同士が強固に連結固定されることを特徴とする連結固定ブロック。
【請求項2】
前記連結固定ブロック部材の外周面に前記砂が上下に流動することができる凹凸部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の連結固定ブロック。
【請求項3】
前記連結固定ブロック部材の中心に鉄芯挿入穴を穿設し、該鉄芯挿入穴に鉄芯を固設または着脱自在に挿入して成ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の連結固定ブロック。
【請求項4】
前記ブロック体の前面ならびに後面を構成する周縁部に面取り部を設けて成ることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか記載の連結固定ブロック。
【請求項5】
前記ブロック体の前面または後面にアート、イラスト、彫刻、模様等を施したジグソーパネルを貼付して成ることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか記載の連結固定ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正確に位置決めすることができる位置決め手段と、接合部剤を必要としない連結手段と、倒壊防止手段を備えると共に、それらの手段がブロック体と同材質部材を使用して達成される連結固定ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来における建築構造用のブロックや、擁壁用の軽量ブロックならびに家庭菜園用の園芸ブロックなどにおけるブロック構造は、正確に位置決めする構造や、接合部剤を必要としない施工手段や、強固に連結する連結手段を備えて多様な形状を有して提供されている。
【0003】
例えば、正確に位置決めすることができる手段を備えた連結固定ブロックとしては、歩道、アプローチ、花壇の縁取りおよび各種の壁等の構造物を構築するにあたり、作業者にある程度の熟練を必要とすることなく、上下、左右或いは更に前後へと順次、簡単且つ正確に積み上げたり、並べたりすることができ、しかも目的の構造物に対応した自由度が高い「コンクリートブロックおよびその嵌め合わせ方法」(特許文献−1)が提案され、公知技術となっている。
【0004】
しかしながら、係る「コンクリートブロックおよびその嵌め合わせ方法」の提案は、上下面における長手方向の長さに対する短手方向の長さの割合が略1/2である直方体状のコンクリートブロックであって、上下面のうち、一面には2つの略円柱状または略円筒状の嵌合凸部が当該面を長手方向に二等分した正方形の中央位置に設けられ、他面には両嵌合凸部が嵌め入れられ得る嵌合凹溝が当該面の一端から他端寄り部分まで設けられ、該凹溝はこれに2つの嵌合凸部を嵌め入れた状態で当該凹溝の先端部壁がこれと隣り合う1つの嵌合凸部の外周面における嵌合凹溝先端側部分と対向し得る長さとなされ、且つ嵌合凹溝の幅が嵌合凸部の直径と対応して成る提案であることから、嵌め合っている二つのコンクリートブロック同士の位置決め作業は容易且つ正確に行うことができるが、地震等によって上下方向に発生するズレが嵌合凸部と嵌合凹溝の嵌め合い高さ寸法以上に生じた場合、嵌め合っている二つのコンクリートブロックがズレて倒壊する恐れがあるといった問題点があるものであった。
【0005】
また、接合部剤を必要としない手段を備えた連結固定ブロックとしては、複数のブロックを接続ピンを介して簡単且つ的確に接続することができる「ブロックの接続構造及び接続方法」(特許文献−2)や、構造物の構築に好適に用いられてきたコンクリートブロックやレンガ等の建材に、弾性を持たせると共に、容易に接合させ得るようにして、地震等の自然災害発生時に起こり得る倒壊等が人間その他に与える危険性を低減させ、また構築時に必要とされる熟練等の作業負荷を低減させ得る「弾性ブロック」(特許文献−3)や、一種類だけでブロックを自由な高さに積み重ねて互いに連結することができる「ブロック連結固定ブロック部材及びブロック連結構造」特許文献−4)が提案され、公知技術となっている。
【0006】
しかしながら、上記「ブロックの接続構造及び接続方法」(特許文献−2)の提案は、所定の長さと幅と厚さからなるレンガ状のブロックに、平面視における中心から長手方向の等距離で厚さの中心から側方に向けて変位させたピン孔を穿設し、該ピン孔に厚さと略同長さの接続ピンを略半分程度挿入して所定の斜設角を有して突出させると共に、該突出させた接続ピンに同形状のブロックのピン孔を嵌入させて複数のブロックを接続するブロックの接続構造の提案であることから、側方に向けて変位させたピン孔を穿設するには、複雑な且つコスト高となる製造手段を必要とするもので、さらに施工時においてその接続ピンにブロックのピン孔を挿入する作業は、熟練度と多くの作業工数が必要とされるといった問題点があるものであった。
【0007】
また、上記「弾性ブロック」(特許文献−3)における提案は、複数個の組み合わせにより各種の構造物を構築し得るブロック体であって、弾性を有する多数の細片を成形することで所要形状となした本体と、この本体の所要部位に設けられて、複数の本体を相互に接合し得る接合部とから構成した弾性を有するブロック構造の提案であることから、ブロック体同士ならびに支持部材の接合手段が、液状ならびに練り状の接着剤を必要とすることからして、レンガならびにコンクリートブロックなどの多孔質の材質に適合した接合手段を有する連結固定ブロックの提案ではなかった。
【0008】
また、上記「ブロック連結固定ブロック部材及びブロック連結構造」(特許文献−4)における提案は、一端側に突入部を備えるとともに他端側に受け入れ部を備え、一のブロックの連結固定ブロック部材挿通孔に挿通された一のブロック連結固定ブロック部材の前記突入部を他のブロックの連結固定ブロック部材挿通孔に挿通された他のブロック連結固定ブロック部材の前記受け入れ部に突入させて互いに同一長さの前記連結固定ブロック部材挿通孔を有する前記ブロック同士を互いに連結せしめるブロック連結固定ブロック部材であって、前記突入部に拡張作用部を備えるとともに前記受け入れ部に拡張自在な拡張部を備え、前記突入部を前記受け入れ部に突入させたときに前記拡張作用部が前記拡張部を拡張せしめて前記連結固定ブロック部材挿通孔の内周面と前記拡張作用部との間で前記拡張部を保持せしめるように構成されている提案は、ブロック連結固定ブロック部材の構造が複雑なプレス加工によって成形されていることから、製品一個当たりの製造コストが高騰になるものであり、さらにブロック連結固定ブロック部材がブロック体一個当たりで2個必要とされることから、建築構造物に使用された場合、膨大な数のブロック連結固定ブロック部材が必要とされることで最終的な建築コストの高騰につながるといった問題があるものであった。
また、耐震構造を高める上での連結固定ブロック部材挿入穴に長尺のボルトを挿入する手段においては、取り付けの施工工事が追加的に必要とされるものであり、さらに長尺のボルト自体が高額になることから施工コストの高騰につながるといった問題があるものであった。
また、ブロック連結固定ブロック部材が構造用鉄筋棒のように無垢材ではなく連結固定ブロック部材挿通孔によって中空のパイプ状に形成されていることから、地震による水平方向の剪断力に対して脆弱な構造であると共に、ブロック連結固定ブロック部材の継ぎ目が地震による水平方向の剪断力が集中するブロック連結部の継ぎ目と重なることで地震による抜けや破断現象が生じる可能性があるものであった。
【0009】
また、積み上げられたブロックを強固に連結する手段を備えた連結固定ブロックの提案としては、ブロック間の接合面に従来のようなモルタルを用いることなく、各ブロックが水平及び鉛直方向に機械的にかつ自動的に位置決めされ、技術力の低い作業者であっても、住宅等建築物及び擁壁等の構造物の所望の構造を正確にかつ効率よく低コストで建設することができる「構造用ブロック」(特許文献−5)が提案され、公知技術となっている。
【0010】
しかしながら、上記「構造用ブロック」(特許文献−5)の提案は、ソイルセメント、又はセメントと岩粉、土、砂若しくは砕石との混合物を成形した概ね直方体の構造用ブロックで、その上面には、これを長手方向に2等分する左右領域の各中心位置に形成された左右2個の凸部を、下面には、それぞれ一方の凸部と上下に対応する位置に形成された左右2個の凹部を有する。凸部と凹部とは、上下に積み重ねたとき下側ブロックの凸部が隣接する上側ブロックの凹部に嵌合するように、互いに補完する形状を有する構造であることから、左右2個の凸部と左右2個の凹部によって位置決めが容易にできるが、
図6に示されるように円形穴に鋼棒を通した場合、該鋼棒と構造用ブロックの固定手段は、セメントモルタルを注入して固める手段を採用していることでその手段を遂行する作業工数と接着部材を必要とするもので、総合的に建築コストの高騰につながるといった問題があるものであった。
【0011】
本出願人は、従来工法における積み上げられるブロックの位置決め手段ならびに接合手段に加えてブロック体同士を強固に連結する手段の三つの連結手段に着目し、その手段をブロック体と同材質部材を使用して達成することができないものかという着想の下、正確に位置決めすることができる位置決め手段と、接合部剤を必要としない連結手段と、倒壊防止手段を備えると共に、それらの手段がブロック体と同材質部材を使用して達成される連結固定ブロックを開発し、本発明における「連結固定ブロック」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−227108号公報
【特許文献2】特開2000−144975号公報
【特許文献3】特開2000−192573号公報
【特許文献4】特開平10−252184号公報
【特許文献5】特開2000−144976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記問題点を鑑み、正確に位置決めすることができる位置決め手段と、接合部剤を必要としない連結手段と、倒壊防止手段を備えると共に、それらの手段がブロック体と同材質部材を使用して達成される連結固定ブロックの提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされるもので、本発明における連結固定ブロックは、複数個のブロック体と、連結固定ブロック部材と、砂と、の組み合わせによって連結固定される連結固定ブロックであって、前記ブロック体は、所定の寸法を有するコンクリート製またはレンガ製の直方体ブロックの上面に、垂直積みならびに千鳥積みの状態で下方に連通する連結貫通穴を少なくとも2以上設けて成り、前記連結固定ブロック部材は、前記ブロック体と同材質部材を使用して形成されると共に、前記ブロック体の連結貫通穴に挿入される外径寸法と、前記ブロック体の高さと同じ寸法長さを有して形成し、さらに上端部と下端部には前記砂が充填されるテーパ部を形成して成り、前記砂は、前記ブロック体の連結貫通穴と、前記連結固定ブロック部材の隙間空間に入り込んで滞留する粒径を有して成り、施工時において、前記連結固定ブロック部材を垂直積みならびに千鳥積みの状態の前記ブロック体の上方から連続的に挿入して二つの前記ブロック体に跨って位置させることによって、前記
連結固定ブロック部材のテーパ部に充填されている前記砂が、前記ブロック体と前記連結固定ブロック部材との隙間空間に入り込んで食い込むことにより、前記ブロック体同士が強固に連結固定される手段を採る。
【0015】
また、本発明における連結固定ブロックは、前記連結固定ブロック部材の外周面に前記砂が上下に流動することができる凹凸部を設けて成る手段を採る。
【0016】
また、本発明における連結固定ブロックは、前記連結固定ブロック部材の中心に鉄芯挿入穴を穿設し、該鉄芯挿入穴に鉄芯を固設または着脱自在に挿入して成る手段を採る。
【0017】
また、本発明における連結固定ブロックは、前記ブロック体の前面ならびに後面を構成する周縁部に面取り部を設けて成る手段を採る。
【0018】
また、本発明における連結固定ブロックは、前記ブロック体の前面または後面にアート、イラスト、彫刻、模様等を施したジグソーパネルを貼付して成る手段を採る。
【発明の効果】
【0019】
本発明の連結固定ブロックによれば、施工時において、連結固定ブロック部材を垂直積みならびに千鳥積みの状態のブロック体の上方から連続的に挿入して二つのブロック体に跨って位置させることによって、
連結固定ブロック部材のテーパ部に充填されている砂が、ブロック体と連結固定ブロック部材との隙間空間に入り込んで食い込むことにより、ブロック体同士が強固に連結固定されるといった優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明の連結固定ブロックによれば、連結固定ブロック部材が、ブロック体の高さと同じ寸法長さを有して積み重られる二つのブロック体に跨って位置することで、地震発生時における水平方向のせん断力に耐え得る構造とすることができるといった優れた効果を奏する。
【0021】
また、本発明の連結固定ブロックによれば、連結固定ブロック部材がブロック体と同材質部材で形成されることによって、例えば、発展途上国における建設資材の調達が困難な地域においても連結固定ブロックの製造と施工工事が容易にできるといった優れた効果を奏する。
【0022】
また、本発明の連結固定ブロックによれば、連結固定ブロック部材の外周面に砂が上下に流動することができる凹凸部を設けて成る手段を採ることによって、ブロック体の連結貫通穴の内径面と連結固定ブロック部材の外周面との隙間空間に砂を万遍なく行き届かせて砂の食い込みを良くすることによりブロック体同士が強固に連結固定されるといった優れた効果を奏する。
【0023】
また、本発明の連結固定ブロックによれば、連結固定ブロック部材の中心に鉄芯挿入穴を穿設し、該鉄芯挿入穴に鉄芯を固設または着脱自在に設けた手段を採ることによって、連結される連結固定ブロック同士が鉄芯によって地震発生時における水平方向のせん断力に耐え得る構造とすることができるといった優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明の連結固定ブロックによれば、ブロック体の前面ならびに後面を構成する周縁部に面取り部を設けることによって、ブロック体の周縁部が視覚的に強調されることで、ブロック構造物の多様なインテリア性やデザイン性が強調できると共に、ブロック体の周縁部におけるバリの除去や目地の外観性の強調などの面取り効果が得られるといった優れた効果を奏する。
【0025】
また、本発明の連結固定ブロックによれば、ブロック体の前面または後面にアート、イラスト、彫刻、模様等を施したジグソーパネルを貼付することによって、擁壁単位の自分好みの美術的要素やインテリア要素を取り入れたブロックユニット家具を創造することができるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の連結固定ブロックにおける実施形態を示す説明図である。(実施例1)
【
図2】本発明の連結固定ブロックにおける施工例を示す説明図である。
【
図3】本発明の連結固定ブロックにおけるその他の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
【
図4】本発明の連結固定ブロックにおけるその他の実施形態を示す説明図である。(実施例3)
【
図5】本発明の連結固定ブロックにおけるその他の実施形態を示す説明図である。(実施例4)
【
図6】本発明の連結固定ブロックにおけるその他の実施形態を示す説明図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明における連結固定ブロック10は、複数個のブロック体20と、連結固定ブロック部材30と、砂50と、の組み合わせによって連結固定される連結固定ブロック10であって、施工時において、連結固定ブロック部材30を垂直積みならびに千鳥積みの状態のブロック体20の上方から連続的に挿入して二つのブロック体20に跨って位置させることによって、
連結固定ブロック部材30のテーパ部31に充填されている砂50が、ブロック体20と連結固定ブロック部材30との隙間空間32に入り込んで食い込むことにより、ブロック体20同士が強固に連結固定される手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
尚、本発明の連結固定ブロック10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で適宜変更することができる。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の連結固定ブロックにおける実施形態を示す説明図である。
図1(a)は本発明のブロック体20がコンクリートブロックで形成される説明図である。
図1(b)は本発明のブロック体20がレンガで形成される説明図である。
本発明の連結固定ブロック10は、複数個のブロック体20と、連結固定ブロック部材30と、砂50と、の組み合わせによって連結固定される連結固定ブロック10であって、ブロック体20は、所定の寸法を有するコンクリート製またはレンガ製の直方体ブロックの上面20aに、垂直積みならびに千鳥積みの状態で下方に連通する連結貫通穴21を少なくとも2以上設けて形成される。
【0030】
ブロック体20は、所定の寸法を有するコンクリート製またはレンガ製の直方体ブロックで形成され、上面20aには垂直積みならびに千鳥積みの状態で下方に連通する連結貫通穴21を少なくとも2以上設けて同材質部材を使用して形成される連結固定ブロック部材30によって連結される形状に形成される。
【0031】
連結貫通穴21は、ブロック体20の上面20aに垂直積みならびに千鳥積みの状態で下方に少なくとも2以上設けて成る連通穴で、連結固定ブロック部材30を挿入して複数のブロック体20を連結する目的で形成されると共に、施工時におけるブロック体20同士の相互の位置関係を正確に位置付けする目的で形成される。
【0032】
連結固定ブロック部材30は、ブロック体20と同材質部材を使用して形成されると共に、ブロック体20の連結貫通穴21に挿入される外径寸法と、ブロック体20の高さHと同じ寸法長さを有して形成し、さらに上端部と下端部には砂50が充填されるテーパ部31を形成している。
【0033】
テーパ部31は、連結固定ブロック部材30の上端部と下端部に設けられ、テーパ部31によって形成される隙間空間32に砂50を充填する目的で形成される。
【0034】
隙間空間32は、連結固定ブロック部材30の上端部と下端部に設けられるテーパ部31によって形成される空間部と、ブロック体20の連結貫通穴21と連結固定ブロック部材30の外周面の間に形成される空間部をいう。
【0035】
砂50は、所要の粒径を有した川砂が使用され、連結固定ブロック部材30のテーパ部31に充填された砂50がブロック体20の連結貫通穴21と、連結固定ブロック部材30の隙間空間32に入り込んで滞留して食い込むことでブロック体20同士を強固に連結固定させる役割を果たす。
【0036】
図1(c)は本発明の連結固定ブロック部材30の施工状態を示す説明図である。
垂直積みならびに千鳥積みされたブロック体20の連結貫通穴21に連結固定ブロック部材30を挿入して擁壁を形成する状態を示す。
【0037】
図1(d)は本発明の連結固定ブロック部材30の施工状態を示す拡大断面説明図である。
垂直積みならびに千鳥積みされたブロック体20のテーパ部31に充填されている砂50が、ブロック体20と連結固定ブロック部材30の隙間空間32に入り込んで食い込むことにより、ブロック体20同士が強固に連結固定される。
【0038】
正確に位置決めすることができる位置決め手段は、コンクリート製の直方体ブロックの上面20aに、垂直積みならびに千鳥積みの状態で下方に連通する連結貫通穴21を少なくとも2以上設けることで達成される。
【0039】
接合部剤を必要としない連結手段は、垂直積みならびに千鳥積みされたブロック体20の連結貫通穴21に連結固定ブロック部材30を連続的に挿入して二つのブロック体20に跨って位置させた状態でブロック体20同士のテーパ部31で形成される隙間空間32に砂50を充填させることでブロック体20同士が砂50の食い込みによって強固に連結されることで達成される。
【0040】
倒壊防止手段は、ブロック体20の連結貫通穴21内に連続的に挿通される二つの連結固定ブロック部材30の上端部と下端部を位置させて、多段積み(垂直積みならびに千鳥積み)することで達成される。
【0041】
本発明におけるブロック体20の高さHの定義は、コンクリートブロックの場合は、一般的に使用される直方体の一番広い面の寸法幅が小さい辺の長さ寸法がブロック体20の高さHとなり、レンガの場合は、一般的に使用される直方体の一番広い面同士が対向する厚み寸法がブロック体20の高さHとなる。
【0042】
図2は、本発明の連結固定ブロックにおける施工例を示す説明図である。
《施工例》
(1)地面Gに溝を掘り、栗石、砕石Sを敷占め、モルタルコンクリートMを流し込む。
(2)モルタルコンクリートMが乾かないうちに基礎用のブロック体20を敷設する。(3)連結固定ブロック部材30を基礎用のブロック体20の連結貫通穴21にブロック体20の高さHの1/2位の位置(二つのブロック体20に跨った状態)まで挿入する。さらにブロック体20のテーパ部31の隙間空間32に砂50を充填し、振動を与えながらブロック体20と連結固定ブロック部材30の隙間空間32に砂50を食い込ませて連結固定していく。
(4)ブロック体20を上方から連続的に挿入していき、前に挿入した固定ブロック部材30の上端部に新たな連結固定ブロック部材30の下端部を当接させて連結固定していく。
(5)(3)と(4)を繰り返して任意の高さのブロック体20を積み上げていく。
(6)最上段に笠ブロックBを配設する。
(7)完成。
【0043】
以上で構成される本発明の連結固定ブロック10は、施工時において、連結固定ブロック部材30を垂直積みならびに千鳥積みの状態のブロック体20の連結貫通穴21に上方から連続的に挿入していくことによって、ブロック体20同士が正確に位置決めされると共に接合部剤を必要としないで強固に連結固定され、さらに、一つの連結固定ブロック部材30を二つのブロック体20に跨って位置させることによって地震発生時における水平方向のせん断力に耐える構造とすることができ、さらに連結固定ブロック部材30が、ブロック体20の連結貫通穴21に挿入される外径寸法を有すると共に、ブロック体20の高さHと同じ長さ寸法を有し、ブロック体20と同材質部材を使用して形成し、さらに上端部と下端部には砂50が充填されるテーパ部31が形成されていることによって、ブロック体20同士を連結する短尺の連結部品機能とブロック体20よって構成される擁壁の倒壊防止機能を同時に備えることができる連結固定ブロック10の提供を可能にする。
【実施例2】
【0044】
図3は、本発明の連結固定ブロックにおけるその他の実施形態を示す説明図である。
図は本発明の連結固定ブロック20を構成する全体斜視図を示す。
本発明の連結固定ブロック10は、連結固定ブロック部材30の外周面に砂50が上下に流動することができる凹凸部34を設けた手段を採ることができる。
【0045】
凹凸部34は、砂50の上下の流動を容易にする目的で形成されるもので、その形状や構成手段は特に限定するものではない。
【0046】
以上で構成される本発明の連結固定ブロック10は、連結固定ブロック部材30の外周面に砂50が上下に流動することができる凹凸部34を設けることによって、ブロック体20の連結貫通穴21の内径面と連結固定ブロック部材30の外周面との隙間空間32に砂50を万遍なく行き届かせて砂の食い込みを良くすることによりブロック体20同士が強固に連結される連結固定ブロック10の提供を可能にする。
【実施例3】
【0047】
図4は、本発明の連結固定ブロックにおけるその他の実施形態を示す説明図である。
図は本発明の連結固定ブロック20を構成する全体斜視図を示す。
本発明の連結固定ブロック10は、連結固定ブロック部材30の中心に鉄芯挿入穴35を穿設し、該鉄芯挿入穴35に鉄芯33を固設または着脱自在に挿入する手段を採ることができる。
【0048】
鉄芯33は、金属製丸棒ならびに構造用鉄筋棒で形成されるもので、鉄芯33を予め連結固定ブロック部材30に固設した仕様と、連結固定ブロック部材30の中心に連結貫通穴21を穿設しその連結貫通穴21に金属製丸棒ならびに構造用鉄筋棒を着脱自在に設ける仕様と二通りの仕様によって形成することができる。
【0049】
以上で構成される本発明の連結固定ブロック10は、建築構造物の耐震強度仕様に合わせて耐震構造を任意に選択することができる連結固定ブロック10の提供を可能にする。
【実施例4】
【0050】
図5は、本発明の連結固定ブロックにおけるその他の実施形態を示す説明図である。
本発明の連結固定ブロック10は、ブロック体20の前面20bならびに後面20cを構成する周縁部に面取り部22を設けた手段を採ることができる。
【0051】
面取り部22は、ブロック体20の前面20bならびに後面20cを構成する周縁部に設けられる。
【0052】
以上で構成される本発明の連結固定ブロック10は、ブロック体20の前面20bならびに後面20cを構成する周縁部に面取り部22を設けることによって、ブロック体20の周縁部が視覚的に強調されることで、ブロック構造物の多様なインテリア性やデザイン性が強調することができると共に、ブロック体20の周縁部におけるバリの除去や目地の外観性の強調が得られる連結固定ブロック10の提供を可能にする。
【実施例5】
【0053】
図6は、本発明の連結固定ブロックにおけるその他の実施形態を示す説明図である。
本発明の連結固定ブロック10は、ブロック体20の前面20bまたは後面20cにアート、イラスト、彫刻、模様等を施したジグソーパネル40を貼付した手段を採ることができる。
【0054】
ジグソーパネル40は、複数のブロック体20の表面にアート、イラスト、彫刻、模様等を施してブロック体20がある一定の大きさに積み重ねられた時、一つの作品が完成して観賞できるように形成される。
【0055】
以上で構成される本発明の連結固定ブロック10は、ブロック体20の前面20bまたは後面20cにアート、イラスト、彫刻、模様等を施したジグソーパネル40を貼付することによって、擁壁単位の自分好みの美術的要素やインテリア要素を取り入れた装飾構造物とすることができる連結固定ブロック10の提供を可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の連結固定ブロックは、簡単且つ安価な構造によって正確に位置決めすることができる位置決め手段と、正確に位置決めすることができる位置決め手段と、接合部剤を必要としない連結手段と、倒壊防止手段を備える連結固定ブロックの提供が可能になることから、本発明の「連結固定ブロック」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0057】
10 連結固定ブロック
20 ブロック体
20a 上面
20b 前面
20c 後面
21 連結貫通穴
22 面取り部
30 連結固定ブロック部材
31 テーパ部
32 隙間空間
33 鉄芯
34 凹凸部
35 鉄芯挿入穴
40 ジグソーパネル
50 砂
H ブロック体の高さ
G 地面
S 砕石
M モルタルコンクリート
B 笠ブロック
【要約】
正確に位置決めすることができる位置決め手段と、接合部剤を必要としない連結手段と、倒壊防止手段を備えると共に、それらの手段がブロック体と同材質部材を使用して達成される連結固定ブロックの提供を図る。
【課題】本発明は、複数個のブロック体と連結固定ブロック部材と砂とで構成される連結固定ブロックであって、ブロック体は、所定の寸法を有するコンクリート製またはレンガ製の直方体ブロックの上面に、垂直積みならびに千鳥積みの状態で下方に連通する連結貫通穴を少なくとも2以上設けて成り、連結固定ブロック部材は、ブロック体と同材質部材を使用して形成されると共に、ブロック体の連結貫通穴に挿入される外径寸法と、ブロック体の高さと同じ寸法長さを有して形成し、さらに上端部と下端部には砂が充填されるテーパ部を形成して成り、砂は、ブロック体の連結貫通穴と、連結固定ブロック部材の隙間空間に入り込んで滞留する粒径を有する。
【選択図】
図1