(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用エンジンのシリンダーの加工仕上がり寸法や幾何学精度の良否は自動車の動力性能と燃料消費効率に大きく影響するが、これらの検査は一般には真円度測定機、表面粗さ計、リニヤスケールを用いた測長機等の接触式測定機を用いて検査されていた。しかし近年、被測定物に傷を付けない目的から光学式の非接触式測定機が登場している。
【0003】
非接触で被測定物内面の傷の有無を観察する手段として、画像診断技術(光イメージング技術)は、装置機械、医療などの現場において広く利用されている技術であり、例えば、精密機器などの製造現場において、深穴の奥部の検査や画像診断の手法として、一般的な内視鏡によるカメラ観察に加えて、光線を照射し反射光を光センサで捉え、光沢むらの状態をコンピュータで判断して自動検査する方法が採用されている。
【0004】
一方、医療の分野では人体内部の患部の観察に断層画像が観察可能なX線CT、核磁気共鳴、光の干渉性を利用した内視鏡によるOCT画像(光干渉断層撮影)などの方式が研究されると共に活用されている。
【0005】
医療の分野で光源として使用する近赤外線光は被測定物の深穴内周面の材質が金属系の場合は反射し、金属内面に樹脂皮膜層がある場合は近赤外光はその樹脂を半透過するため、内周面の三次元形状観察と同時に、皮膜樹脂の厚さ精度の測定や、樹脂面のピンホールの観察を同時に行うことができる。
【0006】
機械装置や機械部品の内周面に光線を照射して内周面の観察または測定を行う技術を適用した観察装置の代表的な構造は、例えば、特許文献1から3に示す通りである。
【0007】
特許文献1に示す光学式内視鏡プローブでは、該文献中
図1に示されるモータシャフト(5)の一端に反射膜(14)を設け、光線を全周方向に回転放射している。しかし、この構成ではモータ(1)の電線または配線基板(22)、(23)が回転放射する光線を遮るため、360度全周の放射が行えず、画像データが取り込めない部分が生じていた。
【0008】
また、特許文献2に示す内径形状計測センサでは、該文献中第1図に示すように、フレキチューブ(29)の先端側に設けられた中空モータ(26)が反射ミラー(20)を回転させ光線を放射している。また第4図に示される4枚の歪ゲージ(5)が被測定物の内径のXY方向の長さ寸法(直径)を測定し、光学的測定値の曖昧さを補正し、内周面の形状寸法を正しく画面表示している。
しかし、一般に被測定物の内径形状幾何学精度は0.05μm(ミクロン)程度の高精度が要求されるが、この構成では中空モータ(26)が高速回転すると、回転軸に振れ(Run Out)または非再現振れ(Non Repeatable Run Out)が内径形状計測センサに要求される精度以上に多く生じるため、採集された被測定物の内周面の断面形状データに歪みやノイズが乗ってしまい、真の測定値が得られない。
【0009】
また、特許文献3に記載される管内形状検査装置では、管内に光ビームを螺旋状に走査し、非接触で管の内径寸法と、該文献中
図10に示されるように三次元の形状データを取り込んで表示している。
しかし、該文献には光ビームを回転放射する機構は示されておらず、放射ビームの回転モータが高速回転すると回転軸に振れまたは非再現振れが生じて採集された被測定物の内周面の断面形状データにノイズが乗っていたり、またはデータに歪みが生じて真の測定値が得られなかった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態の干渉光学法を用いて被検対象物の観察および測定を行う光学式内面測定装置の第1の特徴は、チューブに内蔵された光ファイバーと、光ファイバーの先端側に配置された少なくとも1つの光路変換手段と、光ファイバーと光路変換手段との一方又は両方を回転駆動させるモータと、モータの回転軸部の振れ量を測定する変位検出手段とを備えることである。
この構成により、振れ検出手段の変位量データを用いて、回転部の振れに伴う測定誤差を補正することができるので、高精度での観察及び測定が可能である。
【0016】
第2の特徴としては、モータの回転軸部の振れ量を測定する変位検出手段を、モータの回転軸部の外周面に対向させて、すくなくとも1個の振れ検出センサを配置した。
この構成により、振れ検出センサが、回転軸部の振れ量のデータを収集し、波形データの補正を行えることで、正しく精密な内径及び内周面の精度測定が可能である。
【0017】
第3の特徴としては、光ファイバーを経て得た被検対象物からの反射光を、コンピュータで計算して得た被検査物の内周面の形状データと変位検出手段の変位量データとを基にして補正することにある。
この構成によれば、回転軸部の振れや振動により生じた画像の歪みや振動を元波形データから除去し、より正しく精密な内径及び内周面の精度測定が可能である。
【0018】
第4の特徴としては、変位検出手段が、チューブの内周の基準形状データと、回転軸の回転中に得られるチューブ内周面の測定データの差異を振れ量として検出することにある。
この構成により、被検査物の内周面の形状データに与えた画像の歪みや振動を収集した波形データから除去し、正しく精密は内径及び内周面の精度測定が可能である。
【0019】
第5の特徴としては、モータの回転軸を支える軸受は動圧溝付きの動圧軸受で構成している。
この構成によれば、モータの回転軸の振れ量、特に非再現振れが減少し、回転軸の振れが形状データに与える画像の歪みや振動が減少するので、より精密な内径及び内周面の精度測定が可能である。
【0020】
第6の特徴としては、モータの回転軸部を中空形状とし、光路変換手段は回転軸部と一体的に回転可能に配置し、光ファイバーは、回転軸部と相対的に回転自在に、回転駆動軸の中空穴に挿通される構造とした。
この構成によれば、チューブに内蔵された光ファイバーの先端側であって、光路変換手段の近傍に、回転駆動源が配置されるかたちとなるので、回転軸の振れ量、特に、非再現振れが減少し、回転軸の振れが形状データに与える画像の歪みや振動が減少するので、より精密な内径及び内周面の精度測定が可能である。
【0021】
第7の特徴としては、モータは、第1モータと、この第1モータの後方側に配置された第2モータとがあり、光路変換手段としては、第1モータにより動作する第1光路変換手段と、第2モータにより動作する第2光路変換手段とがある。そして、光ファイバーは、第2モータの後方側で、固定具を介してチューブに回転不能に配置された固定側光ファイバーと、第1モータ又は第2モータの回転軸部と一体的に回転する回転側光ファイバーとで構成されている。そして、第1モータ及び第2モータの回転軸部は、各々が中空形状をしている。そして、回転側光ファイバーは、先端側の少なくとも一部が第1モータの回転軸部の中空穴に挿通されるとともに、後方側の少なくとも一部が第2モータの回転軸部の中空穴に固定されている。そして、第1光路変換手段は、第2光路変換手段の先端側で、第1モータの回転軸部と一体的に回転可能に配置されており、第2光路変換手段は、回転側光ファイバーの先端に備わる構造とした。
この構成によれば、三次元的に光線を放射して走査する範囲内に、第1及び第2のモータの電線が存在しないため、光線に陰ができず、収集データに欠落がない高精度な測定が可能である。
【0022】
第8の特徴としては、特に第7の特徴で示した構成における第1光路変換手段を回転可能なミラー又はプリズムとした。
この構成によれば、反射効率が高く光学的損失を減らして高精度な精度測定が可能である。
【0023】
第9の特徴としては、特に第7の特徴で示した構成における第2光路変換手段は先端に傾斜する略平面を有するプリズムとした。
この構成によれば、光線の集光性が高く、光学的損失を減らして高精度な精度測定が可能である。
【0024】
第10の特徴としては、モータの回転軸部を中空形状とし、回転軸の中空穴には光ファイバーを、該回転軸に対して相対回転自在に挿通した。そして、モータは後方側に伸びる中空の摺動軸部を有し、この摺動軸部を出力軸とする直動アクチュエータを備える。そして、摺動軸部の中空穴に光ファイバーを固定している。この構造において、直動アクチュエータの出力軸が光ファイバーを押し引きすると同時に、光路変換手段とモータと先端側近傍の光ファイバーとを軸方向にスライドさせる構成とした。
この構成によれば、モータと直動モータの動作により光線を三次元的に放射し、三次元的に形状データが収集でき、光線を放射して走査する範囲内に、第1及び直動モータの電線が存在しないため、光線に陰ができず、収集データに欠落がない高精度な測定が可能である。
【0025】
次に本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0026】
本発明に関わる光学式内面測定装置の第1の実施形態について説明する。
図1〜
図10は本発明に係る光学式内面測定装置の実施形態を示している。
【0027】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る光学式内面測定装置である。ベース80にスタンド81が固定され、スライダ用モータ83によりスライダ82がプローブ28と共に上下に移動する。被測定物61はベース80上にセットされており、プローブ28、58は
図2に示す被測定物61の深穴61aに出入りする。プローブ28,59に入光した光線はチューブ6内を通過し、さらに測定機本体85の接続部84を通過して、光干渉解析部88に入り、コンピュータ89で解析してモニタ90に画像を表示する。
【0028】
この光学式内面測定装置は、複数の例えば8種類の機能を有しており、それらは、以下のとおりである。
〔A〕
図2に示す深穴61aの内面の三次元形状の表示を行う機能、及び、バリ、キズ等の外観検査機能
〔B〕 深穴61aの内周面に樹脂等の表面皮膜61bが施されている場合は、その皮膜厚さの測定、及びピンホール不良や突起発生不良の検査機能
〔C〕
図3に示す表面粗さ測定機能
〔D〕
図4の(1)に示す直径測定機能
〔E〕
図4の(2)に示す真円度測定機能
〔F〕
図4(2)の真円度測定データを長手方向に連続的にデータ収集し、三次元的に表示して得る円筒度測定機能
〔G〕
図4の(3)に示す内周面の凹凸高さ測定機能
〔H〕
図4の(4)に示す角度ピッチ測定機能
【0029】
図5は本発明の第1の実施の形態に係る光学式内面測定装置のプローブ部28の構成図である。チューブ6の内部に先端側と後方側をつなぎ、光ファイバー固定具4に固定された光ファイバー1とその先端側に例えばボールレンズ等の集光レンズ24を一体に有し、固定側光ファイバー1の先端近傍に略同軸上に中空回転軸10を有するモータ12を有する。
【0030】
中空回転軸10の中に固定側光ファイバー1が相対回転自在に貫通され、中空回転軸10の先端側に伸びるホルダー部10aには、集光レンズ24より先端側に例えばミラーやプリズムからなる第1光路変換手段3を取付け回転させている。
【0031】
固定側光ファイバー1の後方から送られて、集光レンズ24を経た光線26,27を軸中心線から角度を与えて反射させ、透光部21を通過して被測定物61の深穴61a内に照射する。このとき光線26,27は
図7のように360度全周範囲に放射される。図中D1は投光部材21の外径寸法であり、光線26,27は図中D2に示す半径2mm〜10mm(ミリメートル)の範囲に放射しその反射光を収集することができる。
【0032】
また、
図1に示すスライダ用モータ83がプローブ28を深穴61aの軸方向に動いて光線26は回転放射しつつ軸方向にスライドするので、
図2に示す深穴61aの全体に光線を放射し三次元形状の形状データを収集する事ができる。
【0033】
図5に示す第1の実施形態においては、光線26の軸方向への移動は、プローブ28には内蔵しておらず、
図1に示す外部に設けたスライド用モータ83が行うので、スライダ82が移動する直進精度は0.1μm(ミクロン)以下の高精度に構成している。
【0034】
モータ12は、モータケース8、軸受9a、9b、モータコイル7、中空回転軸10に固定されたロータ磁石11からなり、電線23から電力が供給され回転する。モータ12へは第1モータドライバ回路86から電力が供給され、モニタ90には、コンピュータ89で解析して作られた三次元画像が表示される。
【0035】
図5及び
図6において、回転する中空回転軸10の外周面の振れ量と振れの角度方向を2つの振れ検出センサ22a、22bが検出している。振れ検出センサは中空回転軸10の振れにより生じる静電容量や反射光の変化を検出し変位量に変換してデータとして取り込んでいる。
【0036】
既に説明した本発明の光学式内面測定装置が有する8種類の測定方法とその動作について以下に順に説明する。
〔A〕 三次元形状の表示とキズ等の外観検査方法
図1に示す被測定物61の深穴61aからの反射光を光干渉解析部88に取り込み、コンピュータ89により計算し、
図2に示す形状と同様の画像を表示するが、スライダ用モータ83がプローブ28を軸方向にスライドさせつつ反射光を三次元的に取り組むので、モニタ90に三次元画像を表示することができる。本発明では従来のCCDカメラや超音波センサ方式では得られなかった、高分解能で鮮明な内周面の立体画像を観察することができる。
また、バリ、キズが無い被測定物の基準データを別途事前にメモリしておき、取り込んだ被測定物61の表面状態と比較する事により外観不良品を検出する事が可能である。
〔B〕 次に、深穴61aの内周面に樹脂等の表面皮膜コーティングが施されている場合は、その表面層61bの厚さの測定、及びピンホール不良や突起発生不良は、近赤外光またはレーザ光が樹脂を半透過するため、皮膜を含む高分解能な三次元画像を得て、被膜厚さを検査する事ができる。
〔C〕 表面粗さ測定方法は、
図8に示す様にサンプリング長さ範囲〔例えば100μm(ミクロン)〕の被測定物61内周面の表面の元波形データ(図中上側の破線波形)を収集し、これと同時に中空回転軸10の外周振れを振れ検出手段(
図5においてはセンサ22a、22b)が取込んだシャフト振れ波形データ(図中下側の波形)を収集し、元波形データからシャフト振れデータを差し引きした補正後データ(図中上側の細実線波形)を得ることができる。この補正後データの最大値と最小値の幅が真の最大表面粗さ値になる。このように中空回転軸10の外周振れデータを得て補正する事により高精度は表面粗さの測定が行える。
〔D〕 直径測定方法は次のとおりである。
図9の外周に破線で示す波形は第1光路変換手段3から全周に放出された光線の反射光をコンピュータ89で計算して求めた被測定物61の内周面の形状を示す元波形であり、図中の内周の太実線波形に示す振れ検出手段(
図5ではセンサ22a、22b)から得たシャフト振れ変位量データを差し引きし、同図外径側の細実線に示す補正後データを得て、この補正後データから必要な内径寸法を得ることができる。
〔E〕 真円度測定方法は、先に説明した同図外径側に示す細実線が補正後データであり、これに対する内接円と外接円を計算で求め、これら2つの円の半径差を真円度と定義できるものである。
〔F〕円筒度の測定方法は、スライド用モータ83がスライダ82と共にプローブ28を直線性精度が0.1μm(ミクロン)以下の高精度に摺動させ、真円度測定データを長手方向に連続的にデータ収集して得る円筒の三次元画像の、内接円筒と外接円筒の半径差を円筒度と定義できる。
〔G〕 内周面の凹凸高さの測定は、例えば動圧軸受内周面に加工された動圧溝の深さなどの測定が該当するが、この測定方法は先に説明した表面粗さの測定方法と同じである。
〔H〕角度ピッチ測定方法は、第1モータ12が第1光路変換手段3を回転させるときに、第1モータ12の回転速度ムラ(ジッターまたはワウフラッターと呼ばれている)が生じているため、
図10に示す真の角度θの角度が、最大θpmaxから最小θpminの範囲で測定ばらつきが生じる課題を解決する必要があり、その対処方法として、この測定を十分な回数だけ繰り返し測定し、コンピュータで平均化して真値をもとめる事ができる。
【0037】
図5において、回転する中空回転軸10の外周面の振れは通常1μm(ミクロン)程度生じており、その振れは1回転に1回の周期振れ(Repeatable Run Out)と、周波数が定まらず低周波から高周波まで広域に生じる非再現振れ(Non-Repeatable Run Out)に分離できる。
【0038】
第1軸受9aにはいくつかの設計の方式と種類があるが、例えばボールベアリング式を採用した場合はボールの転がり振動が多くの非再現振れを発生する。また他方で、第1軸受に焼結含油軸受方式を採用した場合は、振れ周り振動や接触面からの振動による非再現振れが多く発生する問題が生じている。
【0039】
本実施例においては、
図11に示す様に、軸受の内周面に動圧発生溝9cを加工して設けた動圧軸受9aを示している。動圧軸受9aは回転と同時にオイル等の潤滑流体に動圧発生溝9cがポンプ力を与え、回転軸は浮上して高精度に非接触回転する軸受である。
【0040】
そのため、従来のボールベアリングの有していたころがり振動や、焼結含油軸受のような振れ周りや擦れが無いため、非再現振れは極めて少ない。その効果により、
図8及び
図9に示す元データをシャフト振れデータを差し引きして補正する場合に、シャフト振れデータが滑らかな波形であることで精度良く補正されるので、より一層測定精度が高くなる。
【0041】
図5及び
図6では、第1モータの回転軸部の振れ量を測定する変位検出手段は、第1中空回転軸の外周面に複数の振れ検出センサ22a、22bを対向させているが、この変位検出手段は他にもある。
【0042】
例えば、第1モータ12の回転軸部の振れ量を測定する他の変位検出手段は、チューブ6の内周の事前にメモリしておいた基準形状データと、第1モータの回転中に得られるチューブ内周面の測定データの差異を振れ量として検出する事ができる。この場合、
図9において内周の太実線データがチューブ内周面の基準形状データと、第1モータ回転中に得られる測定データの差異から求めた振れ量のデータである。この構成と検出方法によっても、被検査物の内周面の形状データに与えた画像の歪みや振動を収集した波形データから除去し、正しく精密は内径及び内周面の精度測定が可能である。また、チューブ6はガラスや透明な樹脂からなり、必要に応じて内周面に数ナノメートル厚さの透光性がある金属コーティングを施しておき、内周面からの収集波形の輪郭をより確実に検出することもできる。
【0043】
図19および
図20は本発明の第1の実施の形態に係る光学式内面測定装置の断面図である。第1光路変換手段3(回転するミラー)から放出された光線は、透明部材21の内周面21aと透明部材外周面21b、および被測定物61から反射光が放射され、それらの反射光が第1光路変換手段を経て固定側光ファイバー1に返される。
このとき、透明部材内周面21aまたは、透明部材外周面21bのいずれかから取り込んだ、360度全周の形状データが
図9の二重の形状データの内、内周側に示す第1光路変換手段3振れ量に相当し、この測定により被検査物の内周面の形状データに与えた画像の歪みや振動を収集した波形データから除去または補正することができる。
図19と
図20では、被測定物の内部で透明部材21を含むプローブ28の位置がずれているが、第1光路変換手段は回転しながら全周の形状データを取込むのでもいずれの場合も問題なく内径形状の測定を行うことができる。
【0044】
尚、チューブ6はその直径は約2mm(ミリメートル)程度でありその内部に貫通する固定側光ファイバー1は、屈曲自在なグラスファイバーであり直径は0.1mm〜0.4mm(ミリメートル)程度のものを使っている。
【0045】
図1に示される第1光路変換手段3は平滑な反射面を有するミラーかプリズムからなり、反射率を高めるため、その表面粗さと平面度は一般の光学部品と同等以上の精度に磨きあげられている。
【0046】
図1に示される第1中空回転軸10は、金属またはセラミックスからなり、溶融金属のダイによる引き抜き加工か、または焼成前のセラミックスのダイによる押し出し加工で中空に成形され、硬化処理後に研磨加工法等により仕上げ加工される。
【0047】
図1において、第1中空回転軸10の穴は直径が0.2mm〜0.5mm(ミリメートル)あり、光ファイバー1の直径より十分大きくしているため、固定具4で固定された固定側光ファイバー1が第1中空回転軸10に接触することはなく、仮に軽く接触しても摩耗粉が発生するほどではない。また、回転摩擦トルクが変動する問題もない。
【実施例2】
【0048】
図12〜
図16は本発明に係る光学式内面測定装置の実施形態2を示している。
図12は本発明の第2の実施の形態に係る光学式内面測定装置の断面図である。プローブ59の後端側から先端側に光線を導く固定側光ファイバー31は十分に長いチューブ36の穴の中に挿通され、光ファイバー固定具34により固定されている。
【0049】
固定側光ファイバー31の先端側には回転側光ファイバー32が回転自在に設けられている。回転側光ファイバー32の先端には略平面状のミラー等からなる第1光路変換手段33a、33bが第1モータ42により回転側光ファイバー32とは独立して回転自在に取り付けられ、回転する事で光線を全周方向に放射するよう構成している。
【0050】
また、回転側光ファイバー32の先端には固定側光ファイバー1を透過してきた光線を集光して回転しながら先端方向に少々の角度を付けて第1光路変換手段33a、33bに向けて放射する第2光路変換手段50が取り付けられている。
【0051】
回転側光ファイバー32と固定側光ファイバー31は5μm(ミクロン)程度の微小距離を隔てて対向し、回転する遮光板35,光ファイバー固定具34を含めて回転光コネクター52を構成し、回転側光ファイバー32と固定側光ファイバー31の間は高い透過率が維持でき、ほとんど損失なく光学的に接続されている。
【0052】
第1モータ42は、モータケース38にモータコイル37、第1軸受39b、39aが固定され、ロータ磁石41が取り付けられた第1中空回転軸40が回転する。モータコイル37には電線23から電圧が印加され、第1中空回転軸40には第1光路変換手段33を取り付けられている。
【0053】
第2モータ49は、第1モータ42と同様に、モータケース38に第2軸受48a、48bが取り付けられ第2回転軸43を回転自在に支障している。第12図において、第2回転軸43は可振子44の略中心に開けられた穴44aに軽圧入されるが、可振子44と第2回転軸43の間には可振子44のバネ性により安定した摩擦力が発生している。
【0054】
可振子44の外周には電歪素子または圧電素子45が貼り付けられ、これら素子には電極46が形成されている。これらそれぞれの電極は
図12に示す電線47により配線されており電圧が印加されている。可振子44は第2軸受48a、48bに対して回り止めがなされており、簡単には電線47が回り止めの機能を果たす場合もある。
【0055】
図12において、光線が放射される第1光路変換手段33の外周近傍には光線が透過可能な透光部51がチューブ36に取り付けられている。透光部51の内周面または外周の表面には必要に応じて表面反射を減らし、光線の透過率を高めるためのコーティング等がなされている。
【0056】
図12の第1モータ42には
図1の第1モータドライバ回路86から電力が供給されて回転駆動され、第2モータ49は第2モータドライバ回路87から電圧が印加されて回転駆動される。
【0057】
第1光路変換手段33は回転可能なミラー又はプリズムで構成されており、反射効率が高く光学的損失を減らして高精度な精度測定が可能である。
【0058】
第2光路変換手段50は先端に傾斜する略平面を有するプリズムで構成しており、光線の集光性が高く、光学的損失を減らして高精度な精度測定が可能である。
【0059】
次に上述した
図12〜
図16の三次元走査型の光イメージング用プローブについて、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
【0060】
図1において測定機本体85内の光源から発光された近赤外またはレーザ等の光線はチューブ36に内蔵された固定側光ファイバー31の中を通過して進む。
【0061】
図12において電線23から電力が供給され、第1モータ42と第2モータ49が約1800〜2万rpmの範囲の同一回転数で回転すると、導かれた光線は回転光コネクター52と回転側光ファイバー32を通過し,第2光路変換手段50aから放出され、第1光路変換手段33aの略平面部で反射し一定の角度方向(
図12においてはθ1の角度)に方向を変えて回転放射され、この時の放射範囲は
図14の様に角度θ1の傘状の範囲になる。
【0062】
近赤外線等の光線はさらに透光部材51を通過し,被測定物61から反射した光線を上記と同じ光路を逆方向に透光部材51⇒第1光路変換手段33a⇒第2光路変換手段50a⇒回転側光ファイバー32⇒回転光コネクター52⇒固定側光ファイバー31を通過して光干渉解析部88に導いている。
【0063】
次に、第1モータ42と第2モータ49の回転数が例えば第1モータ42の回転数が3600rpm一定で、一方第2モータ49の回転数は3570rpm一定で回転させ、このように2個のモータ回転数に若干の差を与える回転状態に切り換える。この状態では、
図13に示すように第1光路変換手段33と第2光路変換手段が50bの位置に回転角度位相が徐々に変化していき、180度の位相差ができた時には,光線は回転する第1光路変換手段33bで反射し光線の進路は一定角度変化し図中θ2に変わる。この瞬間の光線の放射範囲は
図15に示すような傾斜した範囲に変わっている。
【0064】
この回転位相角度は、第1モータ42が1分間に3600回転する間に第2モータ49の回転数との差分だけ、即ち30回転ずれるので、即ち2秒毎に360度の回転位相差が生じる。
【0065】
振れ検出センサ53aが第1中空回転軸の外周振れを検出しており、
図5の実施例1と同様に、収集した元波形データに補正を加えている。または、第1モータ42の回転軸部の振れ量を測定する他の変位検出手段は、チューブ6の内周の事前にメモリしておいた基準形状データと、第1モータの回転中に得られるチューブ内周面の測定データの差異を振れ量として検出する事で行っている。
【0066】
引き続き第1光路変換手段33と第2光路変換手段50の回転位相差がゆっくりと2秒に1回転ずつ生じ続ける、この動作により、光線の放射方向がθ1〜θ2の範囲で連続的に変化し、光線の放射範囲は
図16に示すようにθ1+θ2の範囲で三次元的に繰り返し照射し、走査範囲内に信号線や電線23,47が存在しないため、欠落のない鮮明な三次元画像データを得ることができる。
【実施例3】
【0067】
図17〜
図18は本発明に係る光学式内面測定装置の第3の実施形態を示している。
図17は本発明の実施の形態に係る光学式内面測定装置の断面図である。プローブ59の先端側(透光部材21の方向側)と後方側との間で光を伝える固定側光ファイバー1はチューブ36に内蔵されると共に、固定側光ファイバー1の先端側に例えばボールレンズ等からなる集光レンズ24を備えている。
【0068】
集光レンズ24の先端側には傾斜角を有する回転ミラー等からなる第1光路変換手段33を有し、電線23から電圧が印加されることにより第1モータ12により回転する。
【0069】
第1モータ12は、チューブ6の内周面に固定されたスライドガイド20に支持された摺動可能なモータケース8の内部に、モータコイル7が組込まれ、軸受9a、9bにより支えられた第1中空回転軸10を有している。
第1中空回転軸10には、ロータ磁石11が固定されると共に、第1光路変換手段33が一体的に取り付けられている。
【0070】
摺動モータケース8の後方側にはスライド第2軸57が略中心軸上に一体的に設けられており、またこのスライド第2軸57は中空軸であり、この穴に固定側光ファイバー1が貫通し接着固定されている。
【0071】
直動モータ62は、チューブ36内に設けられたモータケース68にスライド第2軸57を支える摺動軸受58a、58bが設けられ、スライド第2軸57の外周には略多角柱状の可振子54の中心穴に軽圧入され、可振子54の少なくとも外周面にパターン電極56を有する圧電素子55が貼り付けられている。
【0072】
電線47からパターン電極56に電圧が印加されると圧電素子55が振動を始め、可振子54に波状または三角波状の進行波を発生させ、これによりスライド第2軸57は直動モータ62、固定側光ファイバー1、集光レンズ24、第1光路変換手段33を図中Lsに示す様に軸方向に例えば5〜30mm(ミリメートル)の範囲でスライドさせる。
【0073】
図17において、チューブ36内に内蔵される固定側光ファイバー1の長さは、チューブ36の長さより少なくともLsミリメートル(mm)以上長く、チューブ36内に湾曲させ、長さに余裕を持たせて収納している。そのため、
図17において直動モータ62が動作してスライド第2軸57と第1モータ12をチューブ36内において先端側に移動させる場合、固定側光ファイバー1を押し引きする動作が十分小さい力で、スムーズに摺動できる。
【0074】
次に上述した
図17〜
図18の光学式内面測定装置について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
【0075】
図17において、電線23に通電されると、第1モータ12のモータコイル7は回転磁界を発生し、ロータ磁石11に回転力を与え、第1中空回転軸11は第1光路変換手段33を例えば1800rpm〜1万rpmの範囲において一定速度で回転する。
【0076】
第1光路変換手段33は、その回転位置により33a、その角度から180度回転した位置の光路変換手段を33bに示している。
【0077】
図1の測定機本体85から発光された例えば近赤外光線またはレーザ光線は、固定側光ファイバー1に導光され、集光レンズ24から前方に放出され、さらに第1光路変換手段33から略直角方向に放射され、被測定物61からの反射光は、再び固定側光ファイバー1を通して、測定機本体85に戻され、装置本体85は画像を表示することができる。
ここで
図1のプローブ28は、
図17ではプローブ59が対応している。また、
図1のチューブ6は
図17ではチューブ36が対応している。
【0078】
図17において、電線47を通してパターン電極56に通電が行われると、圧電素子55は進行波を発生しスライド第2軸57には先端側に向かって摺動する力が与えられる。そして、スライド第2軸57は第1モータ12、第1光路変換手段33、固定側光ファイバー1、集光レンズ24を一体的に先端側に移動を始め、光線は図中略直角またはθ1に示す方向に360全周に放射されると同時に、軸方向に摺動できるので、
図18に示す様に立体的に放射することで
図1に測定機本体85では、三次元の画像データの収集と蓄積が行なわれる。
【0079】
図17及び
図18においてスライド第2軸57が図中Lsの距離だけ移動すると、移動側センサ64cが固定側センサ64aに近接し、摺動動作の完了を示す信号を発生し、電線23からパターン電極56に印加される電圧は停止される。または印加方法が変化し、スライド第2軸57は逆方向に移動を始める。
【0080】
振れ検出センサ63aが第1中空回転軸の外周振れを検出しており、
図5の実施例1と同様に、収集した元波形データに補正を加えている。または、第1モータ12の回転軸部の振れ量を測定する他の変位検出手段は、チューブ6の内周の事前にメモリしておいた基準形状データと、第1モータの回転中に得られるチューブ内周面の測定データの差異を振れ量として検出している。
【0081】
なお、集光レンズ24はボールレンズが使われているが、円錐状の集光レンズを用いても同じである。
【0082】
この種の三次元走査内面観察および検査装置の要求性能の一つに空間分解能を高める事があるが、空間分解能を達成するための要因には、第モータ12の回転速度ムラ、第1中空回転軸10の振れ及び非再現振れ精度、第1光路変換素子33の精度、集光レンズ24の表面精度等がある。
【0083】
この中で影響度が大きいのはモータ12の回転速度ムラであるが、プローブ59の先端部に第モータ12を内蔵した本方式はたとえば1μm(ミクロン)以下の高い三次元の空間分解能を安定して達成できる。また、直動アクチュエータ22の軸方向への摺動動作により、光線を軸方向に一定範囲で放射でき、高分解能な三次元の観察画像を得ることができる。
【0084】
以上において説明したように、本発明の光学式内面測定装置は、モータの回転軸部の振れ量を検出する手段を設けている。そして被検査物から光ファイバーを経て得た反射光をコンピュータで計算して得た被検査物の内周面の形状データを、変位センサの変位量データで補正することで、光線を走査するモータの回転軸の振れや回転振動が、採集された被測定物の内周面形状データに与える測定誤差を解消し高精度な測定を可能である。