特許第6232600号(P6232600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232600
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/50 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   B29C45/50
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-171365(P2013-171365)
(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公開番号】特開2015-39815(P2015-39815A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】井上 誠
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−34714(JP,A)
【文献】 特開平10−286842(JP,A)
【文献】 特開2006−231625(JP,A)
【文献】 特開平2−38018(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102829144(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0108729(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に設けられたボールネジ軸と該ボールネジ軸に螺合されたナット体とからなるボールネジ機構と、
前記ボールネジ軸を支持する軸受と、
該軸受が装着され、射出工程を行うときに前記ボールネジ軸が回転されるのに従い前進される進退自在なプッシャープレートと、を備えた射出成形機であって、
前記ボールネジ軸の外周に嵌合されると共に、該ボールネジ軸と前記軸受との間に配置された筒状のスリーブと、
前記ボールネジ軸に螺合され、前記ボールネジ軸の外周に嵌合された前記スリーブの抜け止めを行うロックナットと、
前記スリーブに装着されたプーリと、を備えたことを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記ボールネジ軸と前記プーリとの間に設けた楔と、回転することにより前記楔を前記ボールネジ軸に押し付け、該ボールネジ軸に対し前記プーリを固着する螺子と、からなる固定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記プッシャープレートは、その下方に設けられたガイドレールに係合され、進退自在に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱シリンダで溶融された熱可塑性樹脂を、射出ノズルから型閉された金型のキャビティに射出する射出成形機に関し、特に射出ノズルから熱可塑性樹脂を射出するため、ボールネジ軸に螺合されたナット体を動作させるとき、当該ナット体を動作するための駆動の伝達を確実に行えるようにした射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な射出成形機においては、ボールネジ軸とナット体からなる回転運動を直線運度に変換するボールネジ機構等が備えられており、モータの駆動によりボールネジ軸が回転されると、それに伴いナット体が前進又は後退され、ナット体の前進動作に従って、ボールネジ軸が前進されると、それに伴い加熱シリンダ内に設けられたスクリューが前進され、加熱シリンダ先端に装着された射出ノズルから、型閉された金型のキャビティに、加熱シリンダ内で溶融された熱可塑性樹脂が射出充填される。こうした技術に係るものとして、例えば特許文献1には、ボールねじ軸の後端側に位置するシャフト部を、該シャフト部に固着された円筒支持体を介し、プッシャープレートに固着された第1軸受により支持し、プッシャープレートに一体的に設けられた加熱筒内のスクリューを前進させることで射出工程を行う射出成形機が開示されている。また、特許文献2には、フロントプレートとプッシャープレートとを備えた2プレート方式の射出装置において、ベアリング、スリーブを介して、フロントプレートにボールネジの前端部を取り付けると共に、当該ボールネジの後部をプッシャープレートに設けたボールナットに螺合し、射出用モータによりボールネジを回動させることにより、プッシャープレートを前進させ射出工程を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−5425号公報
【特許文献2】特開平2−307714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボールネジ軸と該ボールネジ軸に螺合されたナット体からなるボールネジ機構により、回転運動を直線運動に変換して、スクリューを前進させる公知の射出成形機においては、例えば特許文献1に示すように、ボールネジ軸と軸受との間にスリーブと称される円筒支持体を配設したものが知られており、当該円筒支持体はボールネジ軸に嵌合されるなどして固着されるのだが、固着された円筒支持体が何らかの要因により緩んだりすると、ボールネジ軸に対する駆動の伝達に悪影響を及ぼすことになることから、駆動力の伝達される円筒支持体等の部品が緩むことがないよう確実に締結することが求められる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、射出工程を実行するときに駆動されるボールネジ軸への駆動伝達を確実に行えるようにした射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本射出成形機の発明は、
回転自在に設けられたボールネジ軸と該ボールネジ軸に螺合されたナット体とからなるボールネジ機構と、
前記ボールネジ軸を支持する軸受と、
該軸受が装着され、射出工程を行うときに前記ボールネジ軸が回転されるのに従い前進される進退自在なプッシャープレートと、を備えた射出成形機であって、
前記ボールネジ軸の外周に嵌合されると共に、該ボールネジ軸と前記軸受との間に配置された筒状のスリーブと、
前記ボールネジ軸に螺合され、前記ボールネジ軸の外周に嵌合された前記スリーブの抜け止めを行うロックナットと、
前記スリーブに装着されたプーリと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本射出成形機の発明は、
前記ボールネジ軸と前記プーリとの間に設けた楔と、回転することにより前記楔を前記ボールネジ軸に押し付け、該ボールネジ軸に対し前記プーリを固着する螺子と、からなる固定手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
本射出成形機の発明は、
前記プッシャープレートは、その下方に設けられたガイドレールに係合され、進退自在に支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ボールネジ軸に螺合したロックナットにより、ボールネジ軸の外周に嵌合されたスリーブが抜けてしまわぬよう固定し、スリーブとボールネジ軸とを一体に固定した状態で、スリーブに対しプーリを装着することにより、ボールネジに対しプーリを固定する。これにより、例えばスペースや強度上の問題で、ボールネジ軸に駆動力を伝達するプーリを、スリーブを介してボールネジ軸に固定しなければならないような制約的な状況が生じても、プーリの駆動力をボールネジ軸に確実に伝達することが可能となる。
【0010】
さらに、楔と螺子とからなる固定手段により、ボールネジ軸に対しプーリを固着することから、ボールネジ軸へのプーリの固定は、スリーブを介しての固定と、前記固定手段による固定との、それぞれ異なる2つの手段により固定されることから、射出工程を実行するときに動作されるボールネジ軸への駆動の伝達を確実に行うことが可能となる。
【0011】
さらに、プッシャープレートはガイドレールに係合されていることから、プッシャープレートが進退移動されるときに、軌道のずれ防止に加え防振性を向上することが可能となり、固定された部品の緩みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の射出成形機に構成される射出ユニットを側方から視た状態を示す断面図である。
図2】本発明の射出成形機に構成される射出ユニットを上方から視た状態を示す断面図である。
図3】射出ユニットの要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図1図3により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0014】
本発明の一例の射出成形機は、粒状の熱可塑性樹脂としてのペレットを原料として成形体を製造するものであり、射出成形機には機台1を備え、機台1上には、型閉された金型のキャビティへ熱可塑性樹脂を射出充填する射出ユニット2と、型開閉を行う型締ユニット(図示せず)とを備えるものである。
【0015】
図1及び図2に示すように、射出ユニット1には、筒型の加熱シリンダ3、加熱シリンダ3の先端に設けた射出ノズル4、加熱シリンダ3内に設けられ当該加熱シリンダ3内に供給された熱可塑性樹脂を混練するスクリュー5、加熱シリンダ3を支持する加熱シリンダ取付ブラケット6、スクリュー5を回転自在に支持すると共に前記加熱シリンダ取付ブラケット6に対して進退移動する、加熱シリンダ取付ブラケット6の後方に設けられたプッシャープレート7、該プッシャープレート7と加熱シリンダ取付ブラケット6とに回転自在に支持されたボールネジ軸8と、該ボールネジ軸8に螺合され前記加熱シリンダ取付ブラケット6に固定されたナット体9とからなるボールネジ機構10、加熱シリンダ取付ブラケット6及びプッシャープレート7の下方の機台1上に固定され、プッシャープレート7を進退自在に支持するガイドレール11、加熱シリンダ3内で溶融された樹脂を金型のキャビティに射出するときに、ボールネジ軸8の回転駆動により、プッシャープレート7と共にスクリュー5を前進させ射出工程を行う駆動源としての射出用モータ19等が構成されている。
【0016】
また、ボールネジ機構10のナット体9は加熱シリンダ取付ブラケット6に対し一体に設けられており、また、射出用モータ19はプッシャープレート7に一体に設けられている。
【0017】
プッシャープレート7には、ボールネジ軸8を回転自在に支持する軸受たるベアリング12が装着されており、ベアリング12とボールネジ軸8との間に配置された円筒体たるスリーブ13は、ボールネジ軸10の外周に嵌合され、当該ボールネジ軸10からスリーブ13が離脱しないよう、ボールネジ軸10の端部側に螺合されたロックナット14で抜け止めされている。
【0018】
また、スリーブ13の一方端には鍔部13Aが形成されており、該鍔部13Aには射出用モータを駆動源として回転されるプーリ15が固定手段たる固定ボルト16によりボルト止めされている。
【0019】
また、プーリ15とボールネジ軸8との間には楔17と螺子18とからなる固定手段が設けられており、該楔17は、螺子18を回転させることによりボールネジ軸8に押し付けられ、それにより、当該ボールネジ軸8に対しプーリ15が固着されている。
【0020】
以上のような射出成型機によれば、回転自在に設けられたボールネジ軸8と該ボールネジ軸8に螺合され前記加熱シリンダ取付ブラケット6に固定されたナット体9とからなるボールネジ機構10と、ボールネジ軸8を支持する軸受たるベアリング12と、該ベアリング12が装着され、射出工程を行うときに前記ボールネジ軸8が回転されるのに従い前進される進退自在なプッシャープレート7と、を備えた射出成形機であって、ボールネジ軸8の外周に嵌合されると共に、該ボールネジ軸8と前記ベアリング12との間に配置された筒状のスリーブ13と、ボールネジ軸8に螺合され、前記ボールネジ軸8の外周に嵌合された前記スリーブ13の抜け止めを行うロックナット14と、スリーブ13に装着されたプーリ15と、プーリ15を回転駆動する駆動源としての射出用モータと、を備える。すなわち、ボールネジ軸8に螺合したロックナット14により、ボールネジ軸8の外周に嵌合されたスリーブ13が抜けてしまわぬよう固定し、スリーブ13とボールネジ軸8とを一体に固定した状態で、スリーブ13に対しプーリ15を装着することにより、ボールネジに対しプーリ15を間接的に固定する。これにより、例えばスペースや強度上の問題で、ボールネジ軸8に駆動力を伝達するプーリ15を、スリーブ13を介してボールネジ軸8に固定しなければならないような制約的な状況が生じても、射出用モータ19から伝達されたプーリ15の駆動力をボールネジ軸8に確実に伝達することが可能となる。
【0021】
さらに、楔17と螺子18とからなる固定手段により、ボールネジ軸8に対しプーリ15を固着することから、ボールネジ軸8へのプーリ15の固定は、スリーブ13を介しての固定と、楔17と螺子18とからなる固定手段による固定との、それぞれ異なる2つの手段により固定されることから、射出工程を実行するときに動作されるボールネジ軸8への駆動の伝達を確実に行うことが可能となる。
【0022】
さらに、プッシャープレート7はガイドレール11に係合されていることから、プッシャープレート7が進退移動されるときに、軌道のずれ防止に加え防振性を向上することが可能となり、駆動力の伝達のため固定等されている部品の緩みを防止することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 機台
2 射出ユニット
3 加熱シリンダ
4 射出ノズル
5 スクリュー
6 加熱シリンダ取付ブラケット
7 プッシャープレート
8 ボールネジ軸
9 ナット体
10 ボールネジ機構
11 ガイドレール
12 ベアリング(軸受)
13 スリーブ
13A 鍔部
14 ロックナット
15 プーリ
16 固定ボルト
17 楔
18 螺子
19 射出用モータ
図1
図2
図3