特許第6232622号(P6232622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6232622
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】光源を備えた衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/08 20060101AFI20171113BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A41D27/08 C
   A41D13/00 102
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-18407(P2017-18407)
(22)【出願日】2017年2月3日
【審査請求日】2017年2月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517037652
【氏名又は名称】合同会社PLENA VITA
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲也
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−180116(JP,U)
【文献】 実開昭56−058682(JP,U)
【文献】 実開昭62−051111(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0039290(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3061778(JP,U)
【文献】 特開2014−133559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D27/00−27/28
A41D13/00−13/12
A41D20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する光源を備えた衣服であって、前記衣服を複数の部位に分割して構成し、これらの各部位を、表地と裏地とからなり、前記表地に多数の灯光孔がほぼ全面にわたって形成され、前記表地と前記裏地との間に、前記多数の灯光孔のそれぞれに対向配置される発光体と、これらの発光体に駆動電流を供給する給電線とからなる電飾装置が配置された生地によって形成し、これらの各部位を形成する各生地を縫製等によって一体化し、かつ、前記各生地の給電線を相互に接続してなることを特徴とする光源を備えた衣服。
【請求項2】
前記表地と前記裏地とが貼着されて一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の光源を備えた衣服。
【請求項3】
前記裏地が前記表地に着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の光源を備えた衣服。
【請求項4】
前記表地と前記裏地が、ファスナーによって取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の光源を備えた衣服
【請求項5】
前記表地と前記裏地が、ボタンによって取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の光源を備えた衣服
【請求項6】
前記発光体がLEDであることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の光源を備えた衣服
【請求項7】
前記給電線が可撓性を有するプリント基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の光源を備えた衣服
【請求項8】
前記電飾装置が、前記表地若しくは裏地の何れかに止着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載の光源を備えた衣服
【請求項9】
前記電飾装置が、前記給電線が接続され前記発光体へ駆動電流を供給する電源を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れかに記載の光源を備えた衣服
【請求項10】
前記電源が、前記発光体への駆動電流の供給を制御するコントローラーを備えていることを特徴とする請求項9に記載の光源を備えた衣服
【請求項11】
前記表地もしくは前記裏地に前記電源を収納するポケットが形成されていることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の光源を備えた衣服
【請求項12】
前記灯光孔が、前記表地を穿孔することによって形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れかに記載の光源を備えた衣服
【請求項13】
前記灯光孔が、前記表地を織り込む際にこの織り目を調整することによって形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れかに記載の光源を備えた衣服
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を備えた衣服に係わり、特に、多数の光源を備えて電飾効果が得られるようにした衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服に発光体を取り付けることにより、この衣服に電飾効果を持たせることが行われており、その一従来例として、特許文献1に示されるように、柔軟な線状発光体を衣服の縁に縫い付ける技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3061778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した従来の技術にあっては、衣服の縁に縫い付けた線状発光体を発光させることにより、この衣服の輪郭を強調するようになっている。
【0005】
一方、たとえば、ステージ衣装等にあっては、衣服全体を発光させて衣服全体を電飾体として用いることがある。
【0006】
ここで、前述した技術を用いて衣服全体を電飾体とするには、前記線状発光体を前記衣服の表面に細かく縫い付ける必要がある。
このように線状発光体を衣服の表面に縫い付けると、その縫い目が表面に露出することで、衣服の外観が損なわれてしまうおそれがある。
【0007】
また、線状の光による電飾であるため細かな電飾効果が得られず、その電飾効果が制限されてしまう。
【0008】
本発明は、前述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、衣服全体で電飾効果が得られるとともに、細かな電飾効果が得られる衣服を実現できる光源を備えた生地を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光源を備えた生地は、前述した課題を解決するために、表地と裏地とからなり、光を照射する光源を備えた生地であって、前記表地に多数の灯光孔が形成され、前記表地と前記裏地との間に、前記多数の灯光孔のそれぞれに対向配置される発光体と、これらの発光体に駆動電流を供給する給電線とからなる電飾装置が配置されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明の光源を備えた生地は、前記表地を、衣服を構成する各部位ごとに裁断し、これらの裁断された部位ごとに、その裏面側に電飾装置を配置して、この電飾装置を構成する多数の前記発光体を、前記表地に形成されている多数の灯光孔のそれぞれに対峙させ、さらに、前記表地に裏地を重ねて前記電飾装置を固定する。
【0011】
これより、前記各部位を縫い合わせることにより衣服が縫製される。
このように縫製された衣服にあっては、その全ての部位の表面において、多数の灯光孔から前記発光体が露出させられる。
【0012】
しかも、前記電飾装置を構成する前記給電線は、前記表地の裏側に配置されて表面へ露出することがなく、衣服の外観が損なわれることはない。
【0013】
そして、前記給電線を介して前記各発光体に駆動電流を供給すると、衣服の表面の多数の点において光が照射されて、衣服全体での電飾がなされる。
【0014】
ここで、前記発光体が独立して多数設けられていることにより、これらの発光を個別に制御することが可能であることから、多彩な電飾効果を実現することができる。
【0015】
この発光体の発光制御は、衣服の各部位ごとに行うこともでき、あるいは、各部位の発光体が接続されている前記給電線を連結して、衣服全体で行うことも可能である。
【0016】
前記表地と前記裏地は、貼着によって一体化することもでき、また、ファスナーやボタン等によって相互に着脱可能な構成とすることもできる。
【0017】
前記発光体は、その消費電力や重量等を考慮した場合、LEDを用いることが好ましいが、使用目的等によっては、フィラメントを用いた発光体でもよい。
【0018】
前記給電線は、衣服に用いることや、多数の発光体の発光を制御するためことを考慮すると、可撓性を有し、また、多数の給電経路を形成できるプリント基板を用いることが好ましい。
【0019】
前記電飾装置は、前記表地と前記裏地で挟み込んで固定するようにしてもよく、前記表地若しくは裏地の何れかに止着するようにしてもよい。
【0020】
前記電飾装置に、前記給電線が接続され前記発光体へ駆動電流を供給する電源を設けておくことも可能である。
【0021】
このような構成とすることにより、前記電源を前記衣服に装着して、外部電源を不要にすることができる。
そして、この電源は、前記表地もしくは前記裏地にポケットを設けておくことにより衣服とともに携帯が可能となる。
【0022】
また、前記電源に、前記発光体への駆動電流の供給を制御するコントローラーを設けておくことも可能である。
【0023】
このコントローラーに、予め前記多数の発光体への給電パターンを記憶させておくことにより、前記発光体の発光パターンを制御してその電飾効果を高めることができる。
【0024】
前記灯光孔は、前記表地を穿孔することによって形成することが可能であり、もしくは、前記表地を織り込む際にこの織り目を調整することによって形成することも可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の光源を備えた生地によれば、この生地を用いて衣服を仕立てた際に、衣服の表面に多数の発光体を配置して、衣服全体での電飾を行うことができ、かつ、前記発光体のみを生地表面に露出させることにより、衣服の外観が損なわれることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、仕立てられた衣服の外観図である。
図2】本発明の第1の実施形態にかかる電飾装置の要部を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態にかかる表地の正面図である。
図4】本発明の第1実施形態を示すもので、衣服の後ろ身頃の部位の制作手順を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態を示すもので、衣服の後ろ身頃の裏面である。
図6】本発明の第2の実施形態を示すもので、衣服の表地を示す外観図である。
図7】本発明の第2の実施形態を示すもので、衣服の裏地を示す外観図である。
図8】本発明の第3の実施形態を示すもので、衣服の袖の表地と裏地との取り付け方法を説明するための外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の第1の実施形態について、図1ないし図5を参照して説明する。
図1中、符号1は本実施形態に関わる光源を備えた衣服Cを形成する生地を示し、この生地1を縫製することによって、前記衣服Cが形成されている。
【0028】
前記生地1は、表地Aと、この表地Aの裏側に取り付けられる裏地Bとによって構成され、前記表地Aには、多数の灯光孔2がほぼ全面にわたって形成されている。
【0029】
前記衣服Cは、大まかに、前身頃の部位C1、後ろ身頃の部位C2、袖の部位C3、および、襟の部位C4によって構成されている。
【0030】
前記各部位C1〜C4は、各部位毎に前記表地Aと裏地Bが裁断されて、これらの表地Aと裏地Bとが貼着等の手段によって重ね合わされることによって形成され、さらに、これらの各部位C1〜C4を縫製等によって組み合わせることにより前記衣服Cに仕立てられている。
【0031】
前記灯光孔2は、前記表地Aが織物出ない場合には、たとえば、この表地Aを穿孔することによって形成され、前記表地Aが織物である場合には、たとえば、その織り目を調整することによって形成される。
【0032】
前記表地Aと前記裏地Bとの間には、図2に示すような電飾装置3が装着されている。
【0033】
この電飾装置3は、前記表地Aに形成された多数の前記灯光孔2のそれぞれに対峙させられる発光体4と、これらの発光体4が装着されるとともに、これらの発光体4に駆動電流を供給する給電線5と、この給電線5に接続された電源としての蓄電池6と、この蓄電池6と前記給電線5との間に設けられ、前記発光体4へ供給する駆動電流の供給形態を調整するコントローラー7とによって構成されている。
【0034】
前記発光体4は、たとえば3色LEDが用いられ、各発光体4に供給される駆動電流が前記コントローラー7によって調整されることにより、各発光体4が個々に点灯もしくは消灯させられ、かつ、その発光色が変更されるようになっている。
【0035】
前記給電線5は、可撓性を有する薄肉のプラスチック基板に導電性材料によって複数の導電線が形成されたプリント基板によって形成されている。
【0036】
そして、前記発光体4は、前記給電線5上に、前記灯光孔2の間隔と同一間隔で装着されるとともに、前記給電線5に形成されている導電線に電気的に接続されている。
【0037】
ついで、このように構成された本実施形態の生地1によって前記衣服Cを仕立てる手順について説明する。
【0038】
前記衣服Cの仕立てには、まず、前記生地1を、前記表地Aおよび前記裏地Bともに、前記衣服Cの各部位に合わせて裁断する。
【0039】
以降、後ろ身頃の部位C2を例にとって説明する。
図3に示すように、後ろ身頃の部位C2の形状に合わせて、前記表地Aおよび前記裏地Bを裁断し、本実施形態においては、前記表地Aの裏面下部に、2つのポケット8を設けておく。
【0040】
ついで、前記表地Aの裏面に、この表地Aに形成されている前記灯光孔2の配列方向に沿って、前記電飾装置3の前記給電線5を配設し、この給電線5に装着されている多数の前記発光体4を多数の前記灯光孔2のそれぞれに対峙させた後に、前記給電線5を前記表地Aに接着剤等によって貼着することにより、図4に示すように、前記給電線5を前記表地Aの裏面に取り付ける。
【0041】
さらに、前記給電線5に接続されている前記蓄電池6や前記コントローラー7を、前記表地Aに設けられている前記各ポケット8に収納しておく。
【0042】
これより、前記表地Aの裏面に、前記裏地Bを、前記電飾装置3を覆うように取り付けて、図5に示すように、前記後ろ身頃の部位C2を形成する。
【0043】
同様の手順で前記衣服Cの残余の部位を形成した後に、これらの各部位C1〜C4を、縫製等によって相互に連結して図1に示すような前記衣服Cに仕立てる。
ただし、本実施形態においては、前記襟の部位C4に電飾装置3を配置してない例を示した。
【0044】
そして、前記蓄電池6やコントローラー7は、前記後ろ身頃の部位C2のみに配置してある。
そこで、その他の部位C2、C3に装着した給電線5を、前記後ろ身頃の部位C2に装着した給電線5にカプラー等を介して接続することにより、これらの部位C2、C3の給電線5への駆動電流の供給を可能にする。
【0045】
なお、図2および図4において符号9は、前記コントローラー7に接続されたスイッチを示す。
【0046】
このように仕立てられた衣服Cの表面には、その表面に形成されている前記多数の灯光孔2を介して、多数の発光体4のみが露出させられ、前記電飾装置3の、前記発光体4を除く構成部材は前記衣服Cの内側に位置させられている。
【0047】
したがって、前記衣服Cの表面がすっきりした状態となされ、その外観が損なわれることなく、衣服としての外観を保持することができる。
【0048】
そして、前記各発光体4に駆動電流を供給することにより、前記衣服Cの表面に、複数の点発光による電飾を行うことができる。
【0049】
ここで、前記灯光孔2および前記発光体4は、前記衣服Cの任意の位置に任意の配列で配置することができるので、これらの発光による電飾の形状も任意に設定することが可能とで、多彩な電飾効果を実現することができる。
【0050】
そして、本実施形態のように、前記コントローラー7によって、前記多数の発光体4の発光を個々に調整することができ、この点からも、電飾の形態の多様化を図ることができる。
【0051】
さらに、前記発光体4を3色LEDとすることにより、前述した前記発光体4の発光調整に加えて色彩の調整を行うことができ、電飾形態をさらに多様化することができる。
【0052】
図6および図7は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、衣服Cの表地Aと裏地Bを個別に縫製し、前記表地Aの裏面に前記電飾装置3を組み込み、この表地Aの裏面に、前記電飾装置3を覆うようにして、前記裏地Bをボタン10によって装着するようにしたものである。
【0053】
このような構成とすることにより、前記裏地Bを着脱可能にして、必要に応じて前記裏地Bを取り外して前記電飾装置3を露出させることができる。
これによって、この電飾装置3のメンテナンスを容易にする。
【0054】
図8は、本発明の第3の実施形態を示す。
本実施形態は、前記衣服Cの袖の部位C3に変更を加えたもので、前記袖の部位C3の表地Aと裏地Bをそれぞれ個別に縫製しておき、これらの表地Aと裏地Bとを着脱可能に装着できるようにしたものである。
【0055】
前記表地Aの側面には長さ方向に沿ってファスナー11が設けられており、このファスナー11を開放することにより、前記表地Aを平面状に展開できるようにしている。
【0056】
また、前記表地Aの袖口にもファスナー12が設けられており、後述する宇裏地Bの袖口に設けられているファスナー12と協働して、これらの表地Aと裏地Bとを着脱可能に連結するようになっている。
【0057】
一方、前記裏地Bは筒状に形成され、その袖口には、前述したように前記ファスナー12が設けられ、さらにその表面に前記電飾装置3が装着されている。
【0058】
このような構成とすることにより、前記電飾装置3を、前記裏地Bとともに取り外してそのメンテナンス等を行うことができる。
【0059】
なお、前記各実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、衣服の種類や使用目的等に応じて種々変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 生地
2 灯光孔
3 電飾装置
4 発光体
5 給電線
6 蓄電池
7 コントローラー
8 ポケット
9 スイッチ
10 ボタン
11 ファスナー
12 ファスナー
A 表地
B 裏地
C 衣服
C1 前身頃の部
C2 後ろ身頃の部位
C3 袖の部位
C4 襟の部位
【要約】
【課題】衣服全体で電飾効果が得られるとともに、細かな電飾効果が得られる衣服を実現できる光源を備えた生地を提供する。
【解決手段】表地Aと裏地Bとからなり、光を照射する光源を備えた生地であって、前記表地Aに多数の灯光孔2が形成され、前記表地とA前記裏地Bとの間に、前記多数の灯光孔2のそれぞれに対向配置される発光体4と、これらの発光体4に駆動電流を供給する給電線5とからなる電飾装置3が配置されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8